フジタ技術研究報告 第 44 号 2008 年 乾式二重床先行工法の居住性能に関する検討 床衝撃音・空気音遮断性能と体感振動について 小谷 朋央貴 概 漆 戸 幸 雄 要 今回、実験室において、乾式二重床仕上げ構造と発泡プラスティック系床下地構造材を用いた床仕上げ構造による床を 床先行工法、壁先行工法で施工し、床衝撃音遮断性能、固体音低減性能、空気音遮断性能、隣室の床と間仕切壁への振 動伝搬性能(体感振動)の比較検討実験を行った。 実験の結果以下の知見が得られた。 (1) 床衝撃音レベルのスラブ素面に対する低減量は、壁先行工法の方が、床先行工法よりも若干大きい傾向がある。 (2) 隣室への固体音は、床先行工法の方が壁先行工法よりも 10 dB 程度大きくなっている。 (3) 空気音遮断性能は、乾式二重床の床先行工法では 250Hz 帯域と 500Hz 帯域で空気音遮断性能の低下がみられた。 (4) 隣室への振動低減量は、床先行工法で 10dB~40dB、壁先行工法で 20dB~60dB である。 (5) 乾式二重床における歩行程度の加振時の隣室の床振動は、V-30~V-70 程度である。 Study on the habitation performance of dry double floor-preceding construction method focused on floor impact sound and airborne sound insulation, and body sensory vibration Abstract In this report, model rooms were constructed by using floor-preceding method and wall-preceding method with dry double floor methods using foam plastic as base materials. Tests were then carried out to examine performance for floor impact sound insulation, solid-borne sound reduction, airborne sound insulation vibration transmission (body sensory vibration) between floors of neighboring rooms and partition walls. The following findings were obtained; 1) The wall preceding method was slightly more effective than the floor preceding method for reduction of floor impact sound level. 2) Regarding solid-borne sound transmission, the floor-preceding method transmitted sounds 10 dB louder than the wall-preceding method. 3) For airborne sound insulation performance, the floor-preceding method showed performance reduction in 250Hz band and 500 Hz band. 4) Vibration reduction was 10 dB-40dB in the floor-preceding method compared with 20-60dB in the wall-preceding method. 5) In vibration level by walking, floor vibrations of neighboring rooms showed V-30 – V-70. キーワード: 乾式二重床 床先行 壁先行 床 衝撃音 遮音 固体音 床振動 -37- フジタ技術研究報告 第 44 号 §1.はじめに §2.実験概要 2.1 試験室および床仕上構造 乾式二重床の集合住宅などにおいて、住戸内の床仕 実験は矩形残響室(内法 5m×7m×h6m)の屋上を図1 上げ構造と間仕切壁の施工法には大きく分けて、床先行 工法(床を先に施工して、その上に間仕切壁を建てる工 に示すように石膏ボード乾式二重壁(PB t12.5×2+LGS 法)と壁先行工法(間仕切壁を先に施工してから間仕切 +PB t12.5)で区画した 7 m×3.55 m×天井高 2.2m の仮 壁で区画された部分の床を施工する工法)がある。 設室 A 室、B 室で行った。実験対象の仕上げ床構造と各 床先行工法は、施工性や将来的な間取り変更への対 床下地の割付け、及び測定点を図2に示す。実験で使用 応の面で利点があるが、住戸内の居室間で床下地構造 した床仕上げ構造は、発泡プラスティック系下地床(以下 や床下空間が連続するため、床衝撃音遮断性能の低下、 7000 90 3455 3455 隣接居室への固体音や体感振動の増加、床下の側路伝 A室 搬による空気音遮断性能の低下などの懸念がある。 B室 A1 5000 3550 本報では実験室において、乾式二重床仕上げ構造と 発泡プラスティック系床下地構造材を用いた床仕上げ構 B2 A2 A3 A5 A4 造による床を床先行工法、壁先行工法で施工し、床衝撃 B1 間仕 切壁 施工 位置 B3 B4 B5 出入口 出入口 音遮断性能、固体音低減性能、空気音遮断性能、隣室 PBt12.5×2+LGS+PBt12.5 【ス ラブ】 230mm 厚 【下 室】矩形 残響室 W 7m×D 5m × 6m の床と間仕切壁への振動伝搬性能(体感振動)の比較検 討を行った実測結果について報告する。 腰壁(天端 FL+270m m) 図1実験室(平面図) 90 巾木 巾木 150 合木根太 90 天然木化粧複合フローリング t=12 捨て張り合板 t=12 発泡プラスチック系床下地材 t=120 レベル調整材 t=6(ウレタン系接着剤) 150 天然木化粧複合フローリング t=12 捨て張り合板 t=12 発泡プラスチック系床下地材 t=120 レベル調整材 t=6(ウレタン系接着剤) 合木根太 発泡プラスチックネダ 発泡プラスチックネダ A室 B室 床a 1 2 1,4 A室 床床 aa 2 3 1 1 2 1,4 床 a' 2 1 3 3 間仕切壁 B室 床 a' 3 間仕切壁 3 3 400 400 4 5 2,5 5 4 4 5 2,5 5 4 加振点 床受振点 壁受振点 加振点 床受振点 壁受振点 【床 a】発プラ下地床(床先行) フローリング t=12 中密度繊維板 t=7 パーティクルボード 巾木 90 【床 a’】発プラ下地床(壁先行) 巾木 フローリング t=12 中密度繊維板 t=7 パーティクルボード t=20 巾木 2 巾木 2 5 150 防振システムネダ 1 パッキン 90 支持脚(間仕切壁下用) (@300) 支持脚(一般部用) 床b A室 150 5 パッキン 1,4 2 3 1 1 床 b’ B室 1,4 2 3 1 3 間仕切壁 3 3 400 400 4 2 3 間仕切壁 支持脚(一般部用) 床 b’ A室 床b B室 2 防振システムネダ 5 2,5 5 4 4 5 2,5 5 4 加振点 床受振点 壁受振点 加振点 床受振点 壁受振点 【床 b】乾式二重床(床先行) 【床 b’】乾式二重床(壁先行) 図2 実験対象床仕上げ構造および測定点図 -38- (以下乾式二重床)の2種類である。A 室とB室間の間仕切壁は、主寝室の区 画を 想定 し、 角型 鋼製 間 柱(40 mm 角)下地に石膏ボード(12.5 mm 厚)両 面 2 枚張りとした(間仕切壁②)。なお、 振動伝搬実験は乾式二重床先行工法 30 乾式二重床 床先行工法 乾式二重床 壁先行工法 発プラ床 床先行工法 発プラ床 壁先行工法 20 10 10 A室⇒B室 固体音低減量 (dB) 発プラ下地床)と木質系乾式二重床 床衝撃音レベル低減量 (dB) 乾式二重床先行工法の居住性能に関する検討 バングマシン 125 250 500 1k 2k 31.5 63 拠して測定した。加振源はバングマシ 20 1k 2k A室⇒B室 0 壁先行工法 ゴムボール -10 10 0 ゴムボール 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り -10 ン(RION FI-01)、ゴムボール(RION 125 250 500 10 乾式二重床 床先行工法 乾式二重床 壁先行工法 発プラ床 壁先行工法 固体音低減量 (dB) 1418-1:2000、JIS A 1418-2:2000 に準 床衝撃音レベル低減量 (dB) 矩 形 残 響 室 を 受 音 室 と し 、 JIS A 乾式二重床 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り -30 30 床衝撃音遮断性能はA室を音源室、 床先行工法 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り -10 31.5 63 壁先行工法 -20 両面 1 枚張りとした(間仕切壁①)条件 2.2 実験方法 バングマシン -10 0 の間仕切壁を石膏ボード(12.5 mm 厚) でも行った。 0 31.5 63 125 250 500 1k 床先行工法 -20 乾式二重床 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り -30 31.5 63 2k 125 250 500 1k 2k YI-01)、タッピングマシン(B&K 4207) A室⇒B室 50 る床衝撃音レベルを測定した。空気音 遮断性能は、A室を音源室とし、ノイズ 発生器(RION SF-05)から広帯域ノイ ズを発生させ、隣のB室との 室間平均 床衝撃音レベル低減量 (dB) A室から隣のB室への固体音を対象と 40 乾式二重床 床先行工法 乾式二重床 壁先行工法 発プラ床 床先行工法 発プラ床 壁先行工法 30 20 タッピングマシン 30 固体音低減量 (dB) 点とした(図1)。固体音低減性能は、 して、A室を音源室、B室を受音室とす 40 60 を用いた。加振点、受音点はともに 5 20 壁先行工法 10 0 床先行工法 -10 10 音圧レベル差を測定した。 振動伝搬の実験は、各受振点(図2 ●▲印)に加速度ピックアップ(RION 0 タッピングマシン -20 乾式二重床 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り 間仕切壁:PBt12.5mm2枚張り -30 -10 PV-85,PV-86)を瞬間接着剤で設置し、 A 室の中央の測定点 3 から 40cm 離れ た点(図2★印)を加振点として測定し 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数 (Hz) 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数 (Hz) 図 3 床先行工法と壁先行工法の床 衝撃音レベル低減量の比較 図4 床先行工法と壁先行工法 の固体音低減量の比較 た。振動実験の諸条件を表1に示す。 §3.実験結果 分析は FFT アナライザにより、衝撃加振は 5 発平均値、定 常加振は約 10 秒間の平均値とし、振動加速度レベルは、 3.1 床衝撃音遮断性能 部位毎の各 5 点のエネルギ平均値とした。 床仕上げ構造と間仕切壁を施工後の床衝撃音レベル 表1 振動実験の諸条件 床構造 床・壁施工法 床先行 加振源 受振点 を、壁先行工法の床仕上げ構造施工前の状態(以下スラ 間仕切壁 バングマシン A室B室:床5点 間仕切壁② タッピングマシン B室側:壁5点(面外方向) 発プラ下地床 ブ素面)に対する低減量として図3に示す。床仕上げ構 造、加振源によらず、壁先行工法の低減量の方が、床先 壁先行 床先行 同上 壁先行 同上 バングマシン A室B室:床5点 間仕切壁無 タッピングマシン B室側:壁5点(面外方向) 間仕切壁① ゴムボール 〃 (鉛直方向) 間仕切壁② 足踏み 踵落し 乾式二重床 同上 バングマシン タッピングマシン ゴムボール 足踏み 踵落し 歩行 A室B室:床中央点 間仕切壁② 同上 間仕切壁② 同上 間仕切壁② 行工法よりも 2~3dB 大きい傾向がある。 3.2 固体音低減性能 スラブ素面状態でA室を加振した場合のB室における 床衝撃音レベルに対する床衝撃音レベルの低減量を図 4に比較して示す。バングマシンとゴムボールで音源室の 床を衝撃加振したときの隣室での発生音は、乾式二重床 を施工すると、スラブ素面よりも大きくなる傾向がある。タッ -39- フジタ技術研究報告 第 44 号 50 域以上、床先行工法では 1kHz 帯域以上で、スラ では壁先行工法よりも 10 dB 程度、隣室での固体 音が大きくなっている。 3.3 空気音遮断性能 A、B室間の音圧レベル差の測定結果を比較して 40 音圧レベル差 (dB) ブ素面よりも発生音が低減している。床先行工法 50 間仕切壁: 両面PBt12.5mm2枚張り 20 スラブ素面 乾式二重床 床先行工法 〃 壁先行工法 発プラ床 床先行工法 〃 壁先行工法 図5に示す。発プラ床の床先行と壁先行工法、乾 式二重床の壁先行工法の場合の空気音遮断性 0 は向上している。 スラブ素面 間柱先行工法 床先行工法 壁先行工法 20 床:スラブ素面,乾式二重床 間仕切壁:両面PBt12.5mm2枚張り 0 125 250 500 1000 2000 4000 オクターブバンド中心周波数 (Hz) 図 6 乾式二重床の空気音遮 断性能(施工法の比較) で 8 dB 程度のレベル差が見られる。 500Hz 帯域で空気音遮断性能の低下がみられ、床先行 乾式二重床 床 b と床 b’の床・壁の振動加速度レベル 工法と同様に床下空間が居室間で連続する間柱先行工 差を図8に示す。B室の床振動(図 8 左側)では、50 Hz 帯 法(間柱、仕上げ床下地、ボード張りの手順で施工し、通 域付近と 1k Hz 以上ではレベル差が見られないが、その 常は床下地天端から上のみにボードが張られる)の遮断 他の周波数では発プラ下地床同様、10dB~30dB 程度の 性能と同程度である(図6)。 レベル差である。B 室の面外方向の壁振動(図 8 中央)で 3.4 振動伝搬性能 は、31.5 Hz 帯域付近で壁先行工法の振動が 10dB 程度 3.4.1 床先行工法と壁先行工法の比較 大きく、500Hz~2kHz 帯域では床先行工法の方が 8dB 発プラ下地床 床 a と床 a’の床・壁の振動加速度レベ 程度大きなレベルになっている。B 室の鉛直方向の壁振 ル差(床先行-壁先行)を図 7 に示す。A室の床振動(図 動(図 8 右側)では、31.5 Hz 帯域より高域では、床先行工 7 左側)では、レベル差は 5dB 以下で、B室の床振動(図 7 法の方が 5dB~10dB 程度大きなレベルになっている。ま 中央)では、63 Hz 帯域と 2kHz 帯域付近を除く周波数帯 た、いずれの場合も加振機の違いによる顕著な差は見ら 域では、加振機によらず 10dB~30dB 程度のレベル差に れない。 なっている。B室の壁振動(図 7 右側)では、低域から 250 3.4.2 隣室への振動低減量 Hz 帯域付近までは、レベル差が小さく、500 Hz 帯域付近 20 10 0 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン -20 B 室床振動-A 室床振動の振動加速度レベル差を隣室 30 B室 床振動(床先行-壁先行) 30 20 10 0 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン 振動加速度レベル差(dB) 40 A室 床振動(床先行-壁先行) 振動加速度レベル差(dB) 振動加速度レベル差(dB) 30 10 図 5 空気音遮断性能の比較 乾式二重床の床先行工法では 250Hz 帯域と -10 D-30 40 125 250 500 1000 2000 4000 オクターブバンド中心周波数 (Hz) 能は、スラブ素面を間仕切った場合と同程度もしく 30 D-30 30 10 D-35 D-35 音圧レベル差 (dB) ピングマシンの場合、壁先行工法では 250Hz 帯 20 10 0 -10 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン -20 -10 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) B室 壁振動(床先行-壁先行) 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 図 7 床先行工法と壁先行工法の比較(発プラ下地床) 20 10 -10 ●:バングマシン ●:ゴムボール ○:タッピングマシン B室 壁振動(床先行-壁先行) 20 10 0 -10 -20 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) ●:バングマシン ●:ゴムボール ○:タッピングマシン 振動加速度レベル差(dB) 30 0 30 30 B室 床振動(床先行-壁先行) 振動加速度レベル差(dB) 振動加速度レベル差(dB) 40 20 10 0 -10 ●:バングマシン ●:ゴムボール ○:タッピングマシン -20 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 図 8 床先行工法と壁先行工法の比較(乾式二重床) -40- B室 壁(鉛直)振動(床先行-壁先行) 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 乾式二重床先行工法の居住性能に関する検討 への床振動低減量として図9に示す。発プラ下地床の床先 程度のレベル差が見られる。B 室の鉛直方向の壁振動 行工法の場合、20dB 程度の低減量であり 2kHz 付近では (図 10 右側)では、63Hz 帯域付近で、間仕切壁②の方の 40dB 程度となっている。一方、壁先行工法では、20dB~ レベルが 4dB 程度大きくなっているが、その他の周波数 60dB の振動低減量となっている(図 9 左側)。乾式二重床 では、間仕切壁②の方が、5dB~10dB の振動低減効果 の場合(図 9 中央)も、発プラ下地床の結果と同様な傾向で が見られる。また、いずれの場合も加振機の違いによる顕 ある。床先行工法の発プラ下地床と乾式二重床の床振動を 著な差は見られない。 比較すると、63Hz 帯域以下の低域では、乾式二重床の方 3.4.4 床仕上げ構造の違いの比較(床先行工法) が、5dB~20dB 程度低減量が少なく、63Hz 帯域より高域で 床先行工法における発プラ下地床と乾式二重床の床・ は同様の低減量になっている(図 9 右側)。また、いずれも 壁の振動加速度レベル差(乾式二重床-発プラ下地床) 加振機の違いによる顕著な差は見られない。 を図11に示す。A 室の床振動(図 11 左側)では、63Hz 帯 域付近を境に低域では乾式二重床の方が 10dB 程度大 3.4.3 床先行工法の間仕切壁の振動低減効果 きく、高域では発プラ下地床の方が 10dB 程度大きくなっ 乾式二重床の床先行工法において、間仕切壁①、② ている。B 室の床振動(図 11 中央)では、A 室の床振動と の場合の B 室の床振動と間仕切壁が無い場合の B 室の 同様な傾向であるが、20dB 程度のレベル差になっている。 床振動の振動加速度レベル差と、間仕切壁①と②の B 室 B 室の面外方向の壁振動(図 11 右側)では、A 室の床振 壁の振動加速度レベル差を図10に示す。間仕切壁を施 動と同様の傾向であり、10dB 程度のレベル差が見られる。 工することで、B 室の床振動は、全帯域にわたり振動低減 また、加振機の違いでは、63Hz 帯域より高域で、床壁振 効果が得られ、特に 1kHz~2kHz 帯域付近では大きな効 動共にバングマシンよりタッピングマシンの方が、発プラ 果となっている(図 10 左側)。間仕切壁①と②の B 室の面 下地床のレベルが 5dB~10dB 程度大きくなっている。 外方向の壁振動(図 10 中央)では、全帯域にわたり 10dB 0 0 10 B室-A室 床振動 B室-A室 床振動(床先行) -10 0 -20 -20 -10 -30 -40 -50 -70 床先行(バングマシン) 壁先行(バングマシン) 床先行(タッピングマシン) 壁先行(タッピングマシン) -30 -40 -50 -60 -70 -80 -30 -40 a)発プラ下地床 -70 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) b)乾式二重床 図9 隣室への床振動低減量 c)両工法比較(床先行) 30 20 0 間仕切壁①(バングマシン) 間仕切壁②(バングマシン) 間仕切壁①(ゴムボール) 間仕切壁②(ゴムボール) 間仕切壁①(タッピングマシン) 間仕切壁②(タッピングマシン) -30 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 振動加速度レベル差(dB) 10 30 B室 壁面外振動レベル差(壁①-壁②) B室 床振動(間仕切壁なし基準) 20 10 0 -10 発プラ下地床(バングマシン) 乾式二重床(バングマシン) 発プラ下地床(タッピングマシン) 乾式二重床(タッピングマシン) -50 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) オクターブバンド中心周波数(Hz) -20 -20 -60 -80 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k -10 床先行(バングマシン) 壁先行(バングマシン) 床先行(ゴムボール) 壁先行(ゴムボール) 床先行(タッピングマシン) 壁先行(タッピングマシン) バングマシン ゴムボール タッピングマシン -20 B室 壁鉛直振動レベル差(壁①-壁②) 振動加速度レベル差(dB) -60 振動加速度レベル差(dB) -10 振動加速度レベル差(dB) 振動加速度レベル差(dB) B室-A室 床振動 振動加速度レベル差(dB) 3.4.5 実加振源による隣室への床振動評価 20 10 0 バングマシン ゴムボール タッピングマシン -10 -20 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 図 10 乾式二重床-床先行工法における間仕切壁の振動低減効果 -41- フジタ技術研究報告 第 44 号 30 振動加速度レベル差(dB) 振動加速度レベル差(dB) A室 床振動(乾式二重床-発プラ) 10 0 -10 -20 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン -30 20 10 0 -10 30 B室 床振動(乾式二重床-発プラ) 振動加速度レベル差(dB) 20 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン -20 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) B室 壁振動(乾式二重床-発プラ) 20 10 0 -10 黒塗り:バングマシン 白抜き:タッピングマシン -20 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 16 31.5 63 125 250 500 1k 2k オクターブバンド中心周波数(Hz) 図 11 発プラ下地床と乾式二重床の比較(床先行工法) 120 室の床振動を、日本建築学会環境基準に示されている 110 4) 床先行(足踏み) 床先行(踵落し) 壁先行(足踏み) 壁先行(踵落し) BGV 壁先行(歩行) 100 -5 鉛直振動に関する振動評価曲線 と併せて図 12 に示す。 m/s 2 乾式二重床で実加振(足踏み、踵落しなど)した時の隣 振動加速度レベル(dB)(0-P) ref:10 足踏みの場合、床先行工法でV-50~V-70 程度、壁先行 工法ではV-30~V-50 程度のレベルである。踵落しでは 両者ともV-90 以上となっている。また、壁先行工法のみ で行った歩行による振動は、足踏みと同程度のレベルで ある。歩行程度の生活動作による隣室の床振動は、旧基 準3)ランクⅡ~Ⅲとなり、いずれの工法でも許容範囲内の レベルである。 §4.まとめ 90 80 70 60 V-90 V-70 V-50 V-30 V-10 50 40 30 20 10 今回の検討結果から以下の知見が得られた。 1 2 4 8 16 31.5 63 125 250 オクターブバンド中心周波数(Hz) (1)床衝撃音レベルのスラブ素面に対する低減量は、壁 先行工法の低減量の方が、床先行工法よりも若干大きい 図 12 実加振時の隣室の床振動(乾式二重床) 傾向がある。(2)床先行工法では壁先行工法よりも 10 dB 振動は、床先行工法で V-50~V-70 程度、壁先行工法 程度、隣室での固体音が大きくなっている。(3)発プラ床 で V-30~V-50 程度である。 の床先行と壁先行工法、乾式二重床の壁先行工法の場 合の空気音遮断性能は、スラブ素面を間仕切った場合状 参考文献 態と同程度もしくは向上している。乾式二重床の床先行 1) 漆戸幸雄・小谷朋央貴:床先行工法と壁先行工法で区画 された室の床衝撃音と空気音遮断性能に関する基礎的 検討、日本音響学会講演論文集、2-6-18、2007.9。 2) 小谷朋央貴・漆戸幸雄:床先行工法と壁先行工法で区画 された室間の振動伝搬に関する基礎的検討、日本音響 学会講演論文集、2-6-19、2007.9。 3) 建築物の振動に関する居住性能評価指針・同解説、 (社)日本建築学会、1991.4。 4) 日本建築学会環境基準 AIJES-V001-2004 建築物の振 動に関する居住性能評価指針・同解説、(社)日本建築 学会、2004.5。 工法では 250Hz 帯域と 500Hz 帯域で空気音遮断性能の 低下がみられ、床先行工法と同様に床下空間が居室間 で連続する間柱先行工法(間柱、仕上げ床下地、ボード 張りの手順で施工し、通常は床下地天端から上のみにボ ードが張られる)の遮断性能と同程度である。(4)床先行 工法と壁先行工法の床振動加速度レベル差は最大 30dB 程度である。また、壁振動では 10dB 程度のレベル差であ る。(5)隣室への振動低減量は、床先行工法で 10dB~ 40dB、壁先行工法で 20dB~60dB である。(6)床先行工 ひ と こ と 今回の検討から床先行は壁先行に 比べ、若干音響振動性能が低いこと が示されたが、実生活上は気になら ないレベルと考えられ、今後床先行工 法の適用に向けて更に検討したい。 法の場合、間仕切壁施工により、隣室への床振動はある 程度低減される。また、間仕切壁①と②の壁振動加速度 レベル差は 10dB 程度である。(7)床先行工法の隣室の 床振動は、低域では乾式二重床が、高域では発プラ下 地床の方が 10dB~20dB 大きい傾向が見られた。(8)乾 小谷 朋央貴 式二重床での足踏みや歩行程度の加振では、隣室の床 -42-
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