冷却ジェル製品中に使用されている防腐剤の実態調査

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冷却ジェル製品中に使用されている防腐剤の実態調査
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国立衛研)
◯河上 強志 1 ,伊佐間 和郎 1 ,西村 哲治(
【目的】近年、冷感効果を謳った冷却ジェルを利用した製品が増えている。その、
冷却ジェル製品に防腐剤として使用されていた 2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3オン(OIT)によるアレルギー性接触皮膚炎の発症が報告され、改正消費生活用製
品安全法に基づく重大製品事故(平成 22 年 3 月 24 日:厚生労働省発表)となった
ため、
同様の冷却ジェル製品中の OIT およびその他の防腐剤の実態調査を行った。
【方法】2010 年 4 月∼6 月にかけて、冷却効果を謳ったジェル製品もしくはそれ
に類似する素材を用いた製品を小売店から購入した。布団・枕用製品が 17 試料、
首やおでこ等の局所用製品が 6 試料、ペット用が 1 試料の計 24 試料であった。化
合物はメタノール抽出後に LC/ESI/MS/MS にて定量した。
【結果】OIT は 2 試料から 0.14 ȝg/g および 2.2 ȝg/g 検出された。OIT と同じイソ
チアゾリン系化合物である 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(MIT)は 11 試料か
ら、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン(Cl-MIT)は 6 試料からそれぞれ
0.12~115 ȝg/g および tr~16 ȝg/g 検出された。MIT および Cl-MIT は OIT よりも皮膚
感作性が強い事が知られている。そして、冷却ジェルを用いた製品は直接ジェル
と皮膚が接触する訳ではないが、重大製品事故の場合には OIT がジェル中からジ
ェルを包装していたポリエチレン膜を浸透し、製品生地表面に移行してきたと考
えられており、今回調査した製品でも同様の事象が生じる可能性は否定できない。
また、首に巻いて使用する製品でもジェルの包装に傷がつくと、防腐剤を含むジ
ェルに皮膚が曝露されるリスクが生じると考えられる。そのため、冷却ジェル製
品に対して皮膚感作性を有している防腐剤を使用する場合には十分に注意を払う
必要がある。その他、パラベン類などが冷却ジェル製品中から検出された。