ゆう せ ゆうき こんじょう 第五話 武士の道 その四 勇(攻める勇気、 根 性 ) まさひろ こ い の すけ 柏村の武士団大将竹岡は、松戸村武士団大将壮大、野田村武士団大将恋之介に呼びかけ、恋之介の父上を助け出すために、少人数で多くの相 う か つくばさん ふもと がっしゅく 手に打ち勝つための特訓を筑波山の 麓 で合 宿 をして行っていました。 あいさつ 通りかかり、特訓を見ていた平将門殿に挨拶した竹岡はすぐに特訓の指導に戻りました。 たぜい たお たよ す で すあし こうげき 「いいか、相手は多勢だ!少なくても一人で十人は倒せ!そのためには、刀や武器だけには頼るな!素手、素足での攻撃も考えろ!」それぞれ すぐ の大将が部下達に武器を持たず、組手を行っています、竹岡、壮大、恋之介は武術に優れていて、部下達は目の前に立っているのもやっとで、 蹴りや突きで何度も何度も倒されています、野田村の茂朗、妹の悠里、壮一朗、松戸村の博貴、港、柏村の海斗、兄の龍二、弟の丞、みんな厳 けんめい た いた ぐ ち しいい稽古でほとんどが泣きながらも懸命に耐えています「なんで、こんな痛い思いしなきゃなんないんだよ!」と海斗が愚痴ると「こんなき わす ついのもういやだな」茂朗も弱音をはきました。みんな、なんのための特訓か忘れかけていましたが、そこへ、 「おーい、みんなーたいへんだぞ! さか みかた はんこう 恋之介の母上もお上に逆らって、それを味方した、茂朗、博貴、海斗の母上の四人の母上がお上に反抗したとの理由でお上に連れていかれたぞ!」 みさと たけひろ りゅうひ ひょう ま しおん ともな 連れて行かれたのを目撃した、三郷村の武士団大将健弘が部下の龍飛、 彪 真、紫苑の三兄弟を 伴 いやってきました。 「本当か!それは大変な事 ころ ぜったい になった!」と竹岡が言うと「お母さん、殺されちゃうの?そんなの絶対いやだ!」と悠里が泣きだしました。博貴も「ゆるせない、絶対助け とっくん に行くぞ!」龍二も「よーし、もっと特訓だ!」と言うと、海斗は「じゃあ、もすこし、まじにやるかな!?」と少しやる気になりました くわ いただき 三郷村の武士団大将の健弘は「竹岡殿、わたしたちもお話を聞いて、お上のやり方はどうしても許せないので、この武士団の特訓に加えて 戴 き せんりょく 一緒に戦わせて下さい!ここにいる福島三兄弟は兄弟で武術の稽古をしているので、そこそこは 戦 力 になりますぞ!」 「それはありがたい!す こた ふ ん い き ぐにでも参加してくれるとたすかります!」竹岡が答え、貴重な戦力が増えました。これらの事があり、特訓の雰囲気も変わってきました、み ひっし いのちが かくご んな、なんのための稽古なのか、考え直し、これは、もっと必死に稽古して、お上に連れていかれた人を命懸けで助ける覚悟を決めました! む 今まで、組手稽古で怖くて竹岡大将に向かって行けなかった龍二が正面から突っ込み飛び前蹴りを出し、突きから、左右の膝蹴りを連打します、 なか きょうれつ した つ 竹岡は「いいぞ、龍二!」と軽くあしらうと龍二のお腹に 強 烈 な下突きを決めると、 「うゥー」唸り体をくの字におり倒れましたが、すぐに顔 ふたた をくちゃくちゃにしながら、立ちあがり「うォー」と気合を入れて 再 び向かって行きます、その龍二の勇気と根性を見た博貴も壮大大将に怖く ひだりちゅうだんまわ てちょっとビビリながらも「俺も、母上をたすけるぞ!」と気合を入れて 左 中 段 廻し蹴りから右の上段膝蹴りで向かって行きました「オ―ヤ みぎじょうだんまわ ルネ、博貴!」と軽くあしらうと右 上 段 廻し蹴りで、博貴を倒してしまいました、一瞬気を失いかけた博貴でしたが、フラフラと立ち上がると れんだ 「おかーさーん!」と一言言ったと思ったら、また壮大大将に突きの連打で向かって行きました、これを見ていた他の部下達も「負けてはいら たいしょうたち れない!」と勇気を持って 大 将 達に向かっていきました。 「みんないいぞ!その気持ちだ、怖がらず、今は勇気を持って向かって行け!根性だ!、 げき と 今、痛い思いをしないと強くなれなぞ!」と竹岡は檄を飛ばしました。 かんしん この特訓に関心しまだ見ていた将門は「竹岡殿、だいたいの状況は、みなさんの父上や母上がお上に連れて行かれたのを助けにいくための特 りょうしゅ ひたち りょうしゅ たいらのくに か との 訓である様ですが、いったいどこの 領 主 に連れていかれたのですか?」竹岡はいいずらそうに、 「実は常陸の 領 主 、 平 国香殿の所に連れてい かれているのです」 「何ですと、叔父上のところですか!」将門はうつむき、腕を組みました。
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