100年先を見据えたエネルギー政策を ∼子供達の未来のために∼ 堀 義人 1 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ KIBOW:活動地域(3∼7月) 7/24 八戸 7/22 久慈 7/22 野田 7/22 田老 6/22 遠野 6/22 盛岡 6/28 宮古 6/23大鎚 6/28 大船渡 6/28 釜石 6/27 陸前高田 5/12 気仙沼 5/11 仙台 5/12 南三陸 7/15 山元町 5/11 石巻 7/15 南相馬 7/15 福島 7/15 飯館 4/12 富岡 4/12 楢葉 4/12広野 4/14 いわき 3/25 水戸 2 1.福島第一原発事故からの教訓 出典:日本経済新聞社・編集委員 三宅伸吾氏(日経ビジネス 三宅伸吾氏(日経ビジネス2011.5.2 2011.5.2号) 号) KIBOW@いわき 参加者からの意見 ● 「今の原発の危険な状態に反対であるが、 過去に原発に反対であったわけではない。 今後は、原発とどうやって共存するかを 前向きに考える必要がある」 (E-Commerceの会社経営) ● 「反原発等が、バブリーな状態になっている。 『正義』を振りかざし始めると、危険だ。 何が正しいかをしっかりと見極めたい」 (いわき市議会議員) 出典:http://blog.globis.co.jp/hori/2011/04/kibow1-6bae.html 4 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ KIBOW@いわき 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ いわきを訪問して ● このような事故を二度と起こしてはいけない 地震のたびごとに日本の耐震設計が上がった 飛行機事故のたびごとに、飛行機の安全性が高まった 同様に原発の安全性を徹底的に高める必要がある ● 厳しい現実を直視したうえで、ヒステリックに短絡的に、 反・脱原発と叫ぶのではなく、冷静になり、 日本のエネルギー政策に立ち戻って論じる必要がある 6 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 100年先を見据えたエネルギー政策を ∼子供達の未来のために∼ 2. 「子供達の未来」のために、4つの視点 ① 安全保障 ② 環境・命への影響 ③ 実現性/安定性/経済性 ④ 50年、100年先のエネルギー 8 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ①安全保障 9 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ①安全保障:日本の発電電力量の推移 出典:経済産業省 資源エネルギー庁 10 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ①安全保障 ● 日本はエネルギー資源が無い国 自給率を上げるために、再生エネルギーと ともに原子力を増やす必要がある ● エネルギー安保の基本は「多様性」 日本は、エネルギーがきっかけとなり、 第二次世界大戦に参戦した 資源の輸入元、エネルギー源は、多様化 する必要がある 11 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ②環境・命への影響 各種電源の発電量当たりの温室効果ガス排出量(CO2換算) 出典:経済産業省 資源エネルギー庁 12 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ②環境・命への影響 ヨーロッパにおける 発電電力量当たりの死亡者数 24.6 石炭 18.4 石油 2.8 ガス 原子力 0.1 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 出典: Electricity generation and health, Anil Markandya and Paul Wilkinson, The Lancet Vol. 370 September15, 2007 13 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 30.0 ②環境・命への影響 CO2の排出量、そして人命への優しさを 考慮すると、風力・太陽光と並び原子力が 最もエネルギーとして優位である 14 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ③実現性=面積 太陽光 風力 100万kW級原子力発電所1基分を代替する場合 必要な敷地面積 ※1 約58km2 山手線の面積とほぼ同じ 約214km2 山手線の面積の約3.4倍 設備利用率 ※2 12% 20% ※1 第1回低炭素電力供給システム研究会 (平成20年7月) ※2 資源エネルギー庁「日本のエネルギー2010」 出典:原子力・エネルギー図面集2011 15 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ③安定性 太陽光発電の出力変動(春季) 風力発電の出力変動(冬季) (kW) (kW) 2.5 1,200 1,000 発電電力量 発電電力量 晴れ 2 曇り 1.5 1 雨 0.5 0 6 7 8 定格出力(1,100kW) 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 (時) 800 600 400 200 0 6 12 18 容量3.2kW、北緯34.4° 、東経132.4° 、方位角0(真南)、傾斜角30°の場合 太陽光発電は時間と天気で 風力発電は風の強さで 発電量が変わる 発電量が変わる 出典:原子力・エネルギー図面集2011 16 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 24(時) ベースロード電源とは ベースロード 出典:経済産業省 資源エネルギー庁 17 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ③経済性:ドイツの太陽光の事例 ● ドイツの太陽光発電は全体の2%:原発1基分強 ● 太陽光の累積投資額は7兆円:原発の20倍以上 ● 電気料金は 家庭用約30円/Kwhで産業用と比べ 3倍高く、社会問題になりつつある ● 日本で原発を全部太陽光に転換するには ⇒千葉県に相当する面積と80兆円もの費用が必要 ⇒さらに年間約3.4兆円ものバックアップ火力が必要 出典:米国ブレークスルー研究所/手塚宏之氏 18 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ③実現性/安定性/経済性 太陽光、風力等の再生可能エネルギーは 賛成であるが、ドイツの事例を見ても 問題点(面積=実現性、安定性、経済性)があり、 原子力の代替となる安定的なベースロードに なりえない 「脱原発」と叫ぶ前に、 実現性・代替可能性を確認しよう 19 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ④ 50年、100年先の未来 世界人口の推移予測 100 90 80 2050年 92億人 70 60 50 40 30 20 10 1950年25億人 0 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 2025 2030 2035 2040 2045 2050 出典:統計局 世界人口の推移(1950∼2050年) 20 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 世界のエネルギー資源確認埋蔵量と可採年数 出典:経済産業省 資源エネルギー庁 21 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ④50年、100年先のエネルギー ● 人口爆発:2050年に92億人 ● 化石燃料枯渇後は、再生エネルギーと原子力しか 残らない。CO2の問題も ● 原子力は、ウランの他にもトリウムを原料とでき、更に 高速増殖炉や核融合まで含めると、無尽蔵の発電の 可能性がある 22 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ エネルギー政策∼まとめ 1. 2. 3. 4. 安全保障:「多様性」 環境・命への優しさ:低CO2、低死亡率 実現性/安定性/経済性:面積、自然の影響 50年、100年先の未来:枯渇しないもの 「子供達の未来」のためにしっかりと考えよう 「脱原発」は、全ての観点で課題を残す 23 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 3.性急な「脱原発」は、なぜ問題か? ① 電力料金が急上昇 ② 産業の空洞化 ③ 貿易赤字の定着 ④ 失業者の増加 24 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ①電力料金が急上昇 短期的には、年間3兆円の燃料費の増 長期的には、脱原発・太陽光10%になると、 70%アップ(2020年) 出典:A.T. カーニー株式会社 25 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ②産業の空洞化 製造業:GDP約21%(2006)・雇用982万人(2011) 「3年内に海外移転」4割――電力対策、過半が要望 「社長100人アンケート」 3年内に海外シフトせざるを 得ないもの(上位) 政府が早期に取り組むべき 制度的課題(上位) 出典:日本経済新聞 2011年7月15日 朝刊 26 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ③貿易赤字の定着 ● 貿易・サービス収支は赤字定着 ● 経常収支までもが、2017年から赤字に 出典:日本経済研究センター 第37回中期経済予測改定 27 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ ④失業者の増加 GDPの最大押し下げ幅 雇用減少数 3.2% 52万人 出典:日本総合研究所 28 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ まとめ:性急な「脱原発」すると ● ● ● ● ● 電力料金が、最大70%上昇 産業の空洞化 貿易赤字の定着 雇用の喪失 そして財政破綻を招く可能性が高まる 「日本人が貧乏になり、 子供世代に 借金を押し付ける」ことになる 29 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼ 4.結論 1. 原発事故の猛省をしながらも、悲しみと苦しみを 乗り越えて、冷静に判断し前に進むべきである 2. 再生エネルギーは大賛成である。但し、ドイツの事 例を鑑みて、問題点(安定性、実現性、経済性)が 山積しており、原発の代替となるベースロードに なりえない 3. 「脱原発」は、空洞化、雇用の喪失、貿易赤字、 そして、財政破綻の可能性を高める 脱原発と叫ぶ前に、 実現性・代替可能性を確認しよう 30 孫正義×堀義人 トコトン議論 ∼日本のエネルギー政策を考える∼
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