NT-ProBNPとBNPについて

FAQ(免疫)
NT-ProBNPとBNPについて
Q NT-ProBNPとBNPは何が異なるのですか。
A
ProBNPは、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体のことで、このN末端フラグメントがNT-ProBNPになり
ます。これらは、健常人の血中濃度は極めて低く、心不全の重症度に応じて血中濃度が上昇することか
ら、心不全の病態把握に有用な血液検査マーカーとして注目されています。以前はBNPのみが臨床で測
定されていましたが、平成19年6月1日付でNT-proBNPが保険収載されたことにより、この検査も増えて
います。
心臓にストレス(負担)がかかると、心筋細胞でPre ProBNPが合成され、次にProBNPが産生されま
す。その後、蛋白分解酵素の作用により生理活性を持つBNPと生理活性を有しないNT-proBNPに分解さ
れて血中に放出されます。一部はProBNPのまま放出されてしまうため、交差反応の原因になることがあ
ります。
BNPとNT-ProBNPの測定上の大きな違いは以下の3つになります。
1.使用検体
BNPは血漿のみであるのに対し、NT-ProBNPは血清と血漿のどちらも用いることができます。
2.安定性
室温での安定性がBNPは4時間しかないのに対し、NT-ProBNPは72時間(3日間)ですので、NTProBNPの方が扱いやすいです。
3.溶血の影響
BNPは溶血の影響を受けるが、NT-ProBNPは溶血による影響を受けません。
4.血中濃度の上昇率
BNPに対し、NT-ProBNPの方が上昇率が高いため、重傷度をよりダイナミックに反映します。