2012年7月号

ミハル通信
Interop Tokyo 2012・IMC Tokyo 2012
(6/13水〜6/15金 開催)
放送局・ケーブルテレビ注目展示
館内デジタル自主放送システム
「MRシリーズ」全機種と
エリア放送トータルシステムを出展
ミハル通信はInterop Tokyo 2012(6月13日
(水)
~15日
(金)
、幕張メッセで開催)に、館内デジタル自
主放送システム「MRシリーズ」の全5 機種とエリア放送システムを出展する。展示ブースは放送関連の
展示を集めたIMC Tokyo 2012のコーナーに6コマの規模で設ける
(6ホールの6M05)
。ミハル通信は
Interopに2009年から毎年出展しており、
毎回業界に先駆けた新製品で注目を集めてきた。
今年も放送局・
(取材・文:渡辺 元・本誌編集部)
CATV関係者は「必見」の新システムが登場する。
「 MRシリーズ」のフルラインナップ5 機種
図1 「MR3300X」
(IP 機能付きOFDM変調器)のブロック図
マルチキャスト配信、
スカパー! HDなど5機種
ブロック図
デジタル映像・音声入力(HD/SD SDI)
デジタル映像・音声入力(HDMI)
は、フルラインナップの5 機種を出展する。
SDカードスロット
SD
PSI/SI
生成部
T
S
IP
TS入力
「MR3000X」はHD/SD OFDM変調器。学校
TS over IP(RX)
TS over IP(TX)
SDカード
スロット
SD
H.264→
MPEG2
トランスコード
O
F
D
M
変調部
館内デジタル自主放送システム「MRシリーズ」
アナログ音声入力
(RCAピンx2)
IP-TS入力
T
S
多重部
アナログコンポジット映像入力(VIDEO)
H.264
MPEG2
エンコード
多重部
S
W
アナログコンポーネント映像入力(D1/D3)
RF出力
PSI/SI
生成部
TS-IP出力
TS入力
や病院などが館内デジタル自主放送を低コストで
導入できる。放送局内向けにはハイスペックHD
OFDM変調器「MR3100X」が最適だが、通常の
HDでもよければ「MR3000X」を低コストで導入
に変換する機能の両方を備えている。例えば、本
るテレビの地デジ化はおおむね終了しているため、
するという方法もある。放送局から引き合いがあ
社と遠隔地にある各地の支店に「MR3300X」を
今後は配信する映像コンテンツのHD化が課題
るのは局内のモニタへの配信だけでなく、中継
設置し、既存のIP網を利用して、本社からの映像
で、「MR5000X」が注目されている。1台で1チ
時の用途もある。例えば、ゴルフ中継で本部とプレ
を支店にマルチキャスト配信することができる。ス
ャンネルのコンテンツを配信する。客室がいくつ
ス用など複 数のモニタに映 像配 信するために
ーパーマーケットや家電量販店などの店舗でも利
あっても1台で配信可能だ。チューナーとOFDM
用可能だ。例えば、家電量販店のお客さん向けの
変調器が一体型なので、煩わしい配線やトラブル
「MR3100X」はハイスペックHD OFDM変調
デジタルサイネージや店頭の商品のテレビに映す
時の面倒な切り分け、HDCPや外付けチューナー
器。放送局内や競技場などでの、高画質な映像
映像コンテンツを本部から各地の店舗に配信でき
の機種に依存することがない。「MR5000X」は
配信用だ。放送局内への配信用途では、すでに
る。IMCではデモ展示をする予定だ。本社と遠隔
将来にわたって安心して導入できる唯一の製品
複数の地上波放送局で導入が決まっている。
地にある支社の想定で、会場内のカメラの映像を
だ。価格も「MR3000X」と同程度とチューナー
「MR3000X」が実際に使われている。
「MR3200X」はQuad SD OFDM変調器。1
実際にマルチキャスト配信する。ネットワークの効
台で4つのSD映像を配信できる。監視カメラの
率的利用に貢献するH.264圧縮にも対応している
購入費用を考えなくてよい点も魅力的だ。客室側
ではテレビで直接受信できるため、スカパー!チ
映像や、ホテルでSDの映像コンテンツを多チャ
点は大きなメリットだ。
ューナーの設置は不要だ。「MR5000X」は業界
ンネル配信するのに最適だ。
「MR5000X」はスカパー! HD対応チューナ
今回の注目はIP機能付きOFDM変調器「MR
ー内蔵OFDM変調器。ホテルで各客室にスカパ
ー!のHD映像を配信できる。ホテルの客室にあ
3300X」だ。IPをTSに変換する機能と、TSをIP
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で先行して2010年に発表しており、機能・品質
の実績が確立されている。すでに関西の外資系ホ
テルや今年4月にリニューアルオープンした東京
図2 ミハル通信はエリア放送システムをトータル提供
(フルセグ型)
※見張るチャンはミハル通信
(株)の登録商標です。
「エリア放送用送出機(フルセグ型)
」
地デジ簡易測定・監視装置
「見張るチャン ®(MR9000X)
」
地デジ簡易測定・監視装
置「見張るチャン」の機能
の一例。放送局が特定で
きる「受信方位特性の測
定」の画面表示
の大手ホテルなどで導入されている。今年2月に
「エリア放送用送出機」は12セグとワンセグの
ナに光ファイバーを通して信号を伝送するための
東京で開催された国際ホテル・レストラン・ショー、
両方に対応し、データ放送も送出できる。12セグ
「光送信ヘッドアンプ」、そこからの信号を入力し
そして今回のIMCでは課金システムとの連携を提
用MPEG2エンコーダ、ワンセグ用H.264エンコ
て再び送信する「屋外型光入力再送信機」も展
案するため、動作をイメージした展示を行う。
ーダ、TS多重、SI/EPG生成、OFDM変調の機
示する。既存のダークファイバーなどの光ファイ
バーを利用して送信アンテナまで信号を長距離伝
「MRシリーズ」が他社の館内デジタル自主放
能を搭載している。エリア放送の送出に必要な機
送システムに対して差別化している点は何か。
能をこれ1台で賄うことができる。地デジ送出機と
送するための製品だ。これらはもともとミハル通信
「まず、5機種ものラインナップを揃えているため、
して実際に放送局に採用されているミハル通信製
のギャップフィラー用製品として発売されていたも
お客様が用途に応じて最適な機種を選択できること
品の技術が活用されているのが強みだ。ホワイト
のだが、エリア放送にも利用できる。実際にエリ
です。また、ミハル通信はもともとケーブルテレビ事
スペース特区でのエリア放送の実証実験ですでに
ア放送の案件で引き合いがある。
業者向けエンコーダ、OFDM変調器、TS多重器な
使用されている実績がある。デモ展示では12セグ、
「ミハル通信は送出機から伝送路機器、測定・
どの製造・販売で実績を持っています。それらの技術
ワンセグを展示会場で実際に放送する。
監視装置までエリア放送システムをトータルで提
を『MRシリーズ』に活用していますので、品質に自信
地デジ簡易測定・監視装置「見張るチャン」は、
案・支援します。地上波のキー局、準キー局、ロ
があります。お客様に安心してお使いいただけます」
地デジを受信してそのエリアの受信状況やどの放
ーカル局、ケーブルテレビ局など、エリア放送へ
送局の信号を受けているかといったことをパソコン
の参入を検討している事業者の皆様に、ぜひIMC
の画面上にわかりやすく可視化する。測定機能と
のミハル通信ブースにご来場いただきたいと思い
しての使いやすさが特長だ。また、今後のエリア
ます」
(岩鶴課長)
(岩鶴賢一・ミハル通信(株)企画部企画課課長)
送出機から測定・監視装置まで
エリア放送をトータル提案
放送は実証実験ではなく長期にわたる運用になる
特にケーブルテレビ事業者はコミュニティチャン
ので、放送局並みの信号品質が要求される。その
ネルのノウハウを持っているため、エリア放送に参
ミハル通信がIMCに出展するもう一つの分野
ための監視機能も「見張るチャン」には搭載され
入しやすい。エリア放送に必要なシステム全般を
は、エリア放送システムだ。「エリア放送用送出
ている。エリア放送免許申請時に提出が必要とな
揃えているミハル通信のトータルソリューションは、
それをさらに容易にする。今、ケーブルテレビ事
機(フルセグ型)」と地デジ簡易測定・監視装置
るさまざまなデータ測定、運用後の監視に最適な
「見張るチャン(MR9000X)」を中心に展示する。
製品だ。
業者にはエリア放送参入のチャンスが到来してい
それぞれデモ展示を予定している。
IMCではこのほかに、エリア放送の送信アンテ
るのだ。
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ミハル通信
第12回光通信技術展 FOE 2012報告
FTTH設備「IP-BOX」
セル単位の段階的 FTTH 化を低コストで実現
ケーブルテレビ各社から引き合い
ミハル通信は今年4月11日~13日に開催された光通信技術展 FOE2012に、ケーブルテレビのFTTH
設備の新製品「IP-BOX」を出展した。セル単位で段階的にHFCをFTTH化させて設備投資負担を軽減
させる製品で、ケーブルテレビ事業者から引き合いが相次いでいる。IMCには展示しないが、ケーブル
テレビ業界から注目されている新製品として解説する。 (取材・文:渡辺 元・本誌編集部、写真:石曾根理倫)
図3 「IP-BOX」を設置しセル単位で段階的にFTTH化
映像最大2,000世帯
通信500世帯に対応
1台で映像最大2,000世帯
通信500世帯に対応
スの加入者の割合が多いセルなど、加入者が
「IP-BOX」を提案する。「IP-BOX」は自立柱上
HFCからFTTHに短期間のうちに切り替えるこ
に設置するため、省スペースで設置費用もあま
とが見込めるセルから優先的にセル単位で
りかからない。自立柱は既存のHFCで使ってい
鎌形洋行・ミハル通信(株)広域営業部部長
FTTH化するのが効率的です。しかし、セル単
るPS用の自立柱のように簡単に設置できる。耐
は従来のFTTH化の問題点について次のように
位でFTTH化する場合、各セルのノードにサブ
荷重に問題がなければ、既存の自立柱を流用す
説明する。
センターを設けると設備投資額が膨らんでしま
ることもできる。この「IP-BOX」をサブセンター
「従来のFTTH化の方法では、1カ所のサブ
います。また、サブセンターを設置する場合、
の代わりに各セルのノード位置に設置すれば、
センターが複数のセルをカバーしていました。し
かなりのスペースが必要となります。積雪に対
セル単位でのFTTH化の初期費用を低減でき
かし、セルによっては加入者がHFCからFTTH
応して設置する位置を高くしたり、部外者が侵
る。HFCとFTTHを共存させながら段階的に
に短期間で契約を切り替えるところもあります
入できないように柵を作ったりと、費用がかかっ
FTTH化 できるのだ。「IP-BOX」1台あたり
し、逆になかなか切り替えないところもあります。
てしまうのです」
FTTHの映像サービスは最大約2,000世帯、通
そのため、インターネットサービスや電話サービ
そこでミハル通信は低コストでコンパクトな
信サービスは最大約500世帯に対応できる。
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7-2012
「IP- BOX」の背面。扉に設置されている電子ク
ーラーが内部温度などを一定に維持する
光通信技術展 FOE 2012(今年4月)のミ
ハル通信ブースで、「IP-BOX」などFTTH
ソリューションの展示を熱心に見る来場者
「1ピッチ型GE-PON OLT(8ポート)」
「IP-BOX」の前面。1U型のGE-PON OLT
やEDFAを収納したコンパクト設計だ
※両サイドのライトは展示用に設置
鎌形洋行 ミハル通信
(株)広域営業部部長
「IP-BOX」はコンパクトな設計だ。内部に搭
「1ピッチ型光サブラック」
監視システムの「IP-BOX」監視の画面(写真左)と、GE-PONコント
ローラの画面(写真右)。装置の状態をわかりやすく可視化している
も試験をクリアしている。
のトラブルが発生した時は瞬時にわかります。
チ型光サブラック」、L2スイッチ、光成端箱、
監視システムで
センターから管理
これまでもGE-PON OLTの送受信パワーは光
と停波を起こしてしまいます。監視システムで
光カプラなど、すべて1U型だ。
「IP-BOX」は外気温が変化しても内部温度を一
は停波を起こさずにGE-PON OLTの状態がわ
停電時のバックアップ電源も考慮している。
定に保つ電子クーラーを搭載している。「IP-
かります。GE-PON ONUの状態も、わざわざ
載する機器も1U型のものを取り揃えている。「1
ピッチ型GE-PON OLT(8ポート)」、「1ピッ
ファイバーを抜けば測定できましたが、そうする
AC100Vの充電器はかなり大きいため、「IP-
BOX」自体と、その内部に搭載するGE-PON
各家庭に行って測定しなくても、センターから
BOX」を設置する自立柱には設置できない。ス
OLT、EDFA、停電時に使用する自動復帰ブレー
監視することができます」
(鎌形部長)
ペース効率の悪い自立型で置かなければならな
カーなどの機器を管理する監視システムも提供して
今回FOE 2012で展示した「I P-BOX」は、
い。そこで、
「IP-BOX」のバックアップ電源には、
いる。監視システムはケーブルテレビ事業者のセン
昨年のInter BEE 2011に展示したものよりさら
に小型化した。サイズは13U。ヘッドエンドで
HFCで使用されている無停電電源装置(UPS)
ターのPC画面上で監視できる。新放送法が伝送
であるAC60V出力(約2時間停電保証)の製品
路設備の信頼性を重視していることに対応した。
使うラックが約40Uなので、ヘッドエンドラック
をそのまま活用できるようにした。HFCで使用
「監視システムは電子クーラーの起動温度の
の3分の1の大きさだ。
している既存のUPSを活用するため、HFCと
設定、動作状態、内部温度・湿度、電源から供
「IP-BOX」は河村電器産業製で、ミハル通信
FTTHが共存するサイマル期間にも対応できる
給される電圧、動作電流などを監視できます。
仕様にカスタマイズした。今年のFOEでは、映
という利点もある。
電子クーラーは「IP-BOX」の内部温度の閾値を
像サービス最大2,000世帯、通信サービス最大
ケーブルテレビ事業者のセンター設備から
設定し、それより高くなるとクーラーが起動する
500世帯対応の製品を標準品として出展した
「IP-BOX」にかけては、光ファイバーがループ
ようになっています。温度の閾値は監視システ
が、顧客のニーズに応じて標準品より大型や小
構成となる。「IP-BOX」内はルート冗長に適し
ムから設定できます。
型の製品も提供している。監視システムの監視
た光スイッチを搭載している。そのため光ファイ
内部に搭載する機器に関しては、従来監視が
項目も、オプションとして顧客が選択できる。
バーが切れた場合でも停波しない。
困難だったGE-PON OLT及びGE-PON ONU
「IP-BOX」はFOEに出展する前から複数の
「IP-BOX」は屋外に設置するため、雨、雪、
の光送受信パワー監視機能(Optical Monitoring
ケーブルテレビ事業者から引き合いがあり、今
塩害に強い完全密封構造だ。積雪時の耐荷重
機能)の実現により、機器の不具合や伝送路上
注目を集めている製品だ。
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