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2013/5/10
Agenda

規格のおさらい


無線LAN

MAC制御

電子情報工学科 3年前期
ネットワークアーキテクチャ
情報科学センター/ネットワークデザイン
研究センター
福田 豊




ネットワークの構成
チャネル,使用周波数帯など
DCF, PCF
CSMA/CA
隠れ端末問題
セキュリティ
802.11a/b/g/n, 802.11ac/ad
2
IEEE802.11系が使用する周波数
0
802.11
無線LAN
802.15
無線PAN
802.16
無線MAN
802.20
無線WAN
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
20
30
40
50
802.11b/gが用いる周波数帯

60 GHz
802.11b/gで用いられている2.4GHz帯
ISM (Industry, Scientific, Medical) バンド
 工業用・医療用の高周波機器や
電子レンジに使用されている

5.15~5.35GHz
5.47~5.725GHz
(802.11a)
2.4~2.5GHz
(802.11b/g)
915MHz
ZigBee (15.4)
(868MHzも)
2.4~2.5GHz
Bluetooth (15.1)
ZigBee (15.4)
2.5GHz帯 3.5GHz
(2.3/2.5GHz)
3.1~10.6GHz
UWB (15.3a)
6GHz以下
(802.16e)
60GHz
UWB (15.3c)
11GHz以下
(802.16-2004)

干渉
同じ場所で同時に使用すると干渉が起きる
 アクセスポイント同士や無線LAN端末同士
でも干渉は起こる

10~66GHz
(802.16)
3.5GHz以下
7
8
IEEE 802規格の中での802.11
802.2 LLC (論理リンク制御)
IEEE802.11
802.11 無線LAN MAC
802.3
CDMA
/CD
802.11 802.11
FHSS
DSSS
PHY
PHY
.11a
OFDM
PHY
.11g
.11b
DSSS
DSSS
/OFDM
PHY
PHY
LLC
Layer 2
Datalink
MAC
PHY
Layer 1
Physical
802.11および関係プロトコル
MAC: Media Access Control FH: Frequency Hopping DS: Direct Sequence
SS: Spread Spectrum
OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing
10
1
2013/5/10
802.11b/g で利用される周波数
Contd.,
最大チャネル数 3
(#1, #6, #11)
日本の 11b のみ
安心して無線LANを使用するために 参考資料(総務省) 2004 より
11
12
IEEE 802.11a で利用される周波数
通信モード

通信モード:2つ

Ad-hoc mode




J52 では海外規格とずれていたのでW52で修正
W53,W56でチャネル追加
13
14
Contd.,

Contd,
Infrastructure mode


端末同士が通信
AP(Access Point)は不要
屋外でも使用可能
合計19チャネル

Ad-hoc mode,Infrastructure Mode

APを介して通信を行う
ローミングを行うことができる
Access Point の機能



端末局の認証と暗号化
端末局と基地局間の従属関係の管理
ローミングに伴うハンドオフ (端末局と基地局間の
従属関係の更新)
ネットワーク
AP
15
16
2
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ネットワークの構成(ESS)
ネットワークの構成
17
802.11ネットワークの基本的構成要素は
基本サービスセット (BSS: Basic Service Set)

BSSは,あくまで電波の到達範囲に限られる
狭い空間をカバーすることはできるが,より広い
エリアをカバーすることはできない
 802.11では,拡張サービスセット (ESS: Extended
Service Set) にBSSをバックボーンネットワークで
つなぐことによって形成できる
 802.11は1つのESSの中でのリンク層の移動性を
提供する.ただし,バックボーンは単一(イーサ
ネット)ドメインでなくてはならない
 拡張サービスエリアの識別 ESSID

アクセス
ポイント
独立BSS (IBSS: Independent BSS)
アドホックBSS,アドホックモード
拡張サービスエリア
インフラストラクチャBSS
インフラストラクチャモード
18
BSSとESS
BSS1
BSS3
BSS4
アクセス
ポイント
バックボーン
IEEE802.11b
(ESSID: CSIS)
BSS2
アクセス
ポイント
ESS1
アクセス
ポイント
19
Contd.,
802.11bの特徴

使用周波数帯域




2.4GHz のISM(Industrial Science Medical)帯
日本では 2.471GHz ~ 2.497GHz,2.400 ~
2.4835GHz を使用




使用周波数帯域を 5MHz ごとに 13チャネルに区分
日本:13(+1)チャネル使用可能
干渉せずに使用できる最大チャネル数=3チャネル

電波の受信状況,もしくはフレームロスなどに応
じて切り替わる
サポートする伝送レート

チャネル

通信速度

通信範囲



14チャネル目を使えば 4 チャネル
21
11Mb/s, 5.5Mb/s, 2Mb/s, 1Mb/s
11Mb/s: 屋外 100m / 屋内 60m
5.5Mb/s: 屋外 200m / 屋内 100m
1/2Mb/s: 屋外 270m / 屋内 130m
22
3
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伝送方式

メディアアクセス制御 (1)
802.11b では DSSS(Direct Sequence Spread
Spectrum:直接シーケンス・スペクトラム拡散) を採用



無線の特徴

一度広帯域に拡散し,その後逆拡散して元の信号に復元
ノイズ,干渉に強い

Stop and Wait による確認応答を採用

送信データ

一次変調
BPSK
QPSK
CCK
同時に送受信することができない
1つのデータフレームを送信後,
受信側はACKフレームを返信
送信側は ACK フレームを受信できなければ,
フレームを再送
二次変調
20MHz の帯域
に拡散
23
24
メディアアクセス制御 (2)

2 つのモード



メディアアクセス制御 (3)

PCF (Point Coordination Function), 制御型,オプション,
DCF (Distributed Coordination Function), 競合型,必須
DCF
各STAが衝突を前提として
CSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access with
Collision Avoidance)
により自律分散的に通信

PCF

APがSTAに対して送信を許可するポーリングを行う

無線LAN



自STAがフレームを送信中の場合,そのフレーム
と他のフレーム間の衝突を検知することが不可能
よって,CSMA/CDではなく,CSMA/CAを用いる
また衝突無く正しく相手に到達しているかを判断するために,
誤りのないフレームを受け取った受信側はMAC層の
ACK(Acknowledgement) を返す
25
26
CSMA/CA
802.11b MAC機構

パケットの種別毎に異なる優先制御


優先度に応じて異なる IFS (InterFrame Space) を用意
伝送する前に通信路上の搬送波を調査し,通
信路が空いていればパケットを伝送する
DIFS
PIFS
送信フレーム
データフレームの
場合,前のフレームの
送信からDIFS時間待機
Busy
Frame
SIFS
IFS
ユーザB
t
SIFS
PIFS
DIFS
IFS
ユーザA
バックオフ
ACKフレーム
PCFにおけるPolling用
データフレーム
Busy
ユーザC
27
アクセス遅延
IFS
IFS
※ IFS : Inter Frame Space
28
4
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Contd.,

Contd.,
Collision Avoidance (1)


Collision Avoidance (2)

送信前

各端末は通信路が一定時間以上継続して空いている
ことを確認してからデータを送信
送信後

CW (Contention Window)
DIFS

受信側は (SIFS後) 必ずACKを返信
ACKが帰ってこない場合は、再度再送バックオ
フ時間待った後,フレームを再送する
PIFS
フレーム
slot slot slot
3
1
2
SIFS
CSMA/CAで解決できない問題

slot slot
5
4
フレーム

SIFS: Ack
PIFS: 集中制御用
DIFS: データ通信用
隠れ端末問題
データを送信したい端末:
• DIFS待った後,CW内のスロットをランダムに選択し,
そのスロットの順番が回ってくると送信
• 待機中に他の端末の送信を検知すると,タイマーを
凍結し,通信終了後,再びタイマーを再稼働させる
29
30
Contd.,
隠れ端末問題

隠れ端末問題の解決法: RTS/CTS を用いる
1. 送信したいSTAは伝送路の状況を監視
2. 伝送路が空いたら RTSフレーム を送信
3. 隠れ端末が同時に送信を開始するとRTSが衝突
4. RTSを正しく受信すると CTSフレーム を送信
これにより他のSTAは媒体占有時間を認識
5. CTSを受信すると、データフレームを送信
6. データを正常に受信すると ACKフレーム を送信
CSMAにより、通信路中を
調べたが、STA1の信号を
受信できない。
data
STA1
collision
data
AP
STA2
31
32
実効スループット
RTS/CTS 送受信手順

IEEE802.11における1パケット送信シーケンス
SIFS
DIFS
送信待機状態に入る
RTS
RTS
Data
ACK
RTS
CTS
SIFS
CTS
STA1
CTS
AP
STA2

tT = RTS + CTS +
33
SIFS
要する時間 t T は
Data + ACK + DIFS + 3SIFS + overhead
Rate
36
5
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セキュリティ
Contd.,
CSMA/CD との比較



容易に通信が傍受できるので,暗号化が必要
WEP:Wired Equivalent Privacy

毎回ACKを返信する必要がある
衝突しても送信を中断しない


CSMA/CD比べるとどうしても効率が悪い

実効スループット
T


t = RTS + CTS + Data + ACK + DIFS + 3SIFS + overhead
T
Rate

より,電波環境が良くても約半分程度のスループッ
トしか達成できない
アクセスポイントと無線LANカードで
共通の暗号鍵を使用して暗号通信を行っている
Challenge and Response 型の認証
Encrypt Key: 64bit, 128bit
問題点:

同じ共通鍵で暗号化されたデータを集めれば,比較的
簡単にWEPキーを解読することが可能
37
38
Contd.,
WEPの脆弱性
チェックサムの算出

WEPの詳細

データ


データ
64,または128bit
40, or 104bit
共通鍵
任意の文字列
乱数 発生
24bit
初期化
ベクトル
4万パケット
チェック
サム

乱数
初期化
ベクトル
暗号化したデータ
IEEE 802.11
フッタ
39
40
TKIP の改良点
Wi-Fi Alliance により WPA (Wi-Fi Protected
Access) で,WEP よりも強固な TKIP が採用




Wi-Fi Alliance

数分のYouTube動画,メールやWebしか見ない人たちでも複数が同時
に利用すれば短時間で収集できる
+ 排他的論理和
TKIP

4万パケット程度を得るだけで、WEPの104ビット鍵(パスフレーズ)を瞬
時に解読できる手法が報告
暗号化したデータ
ベンダーごとに
独自に自動設定
IEEE 802.11
ヘッダ
2008年10月
チェック
サム

無線LANの相互接続試験,製品の認証,普及に向け
たプロモーション活動を行う
IV (初期化ベクトル) が 48 bit に
一時鍵を一定時間毎に更新
鍵の生成に各端末のMACアドレスを利用し,鍵が
個別に異なる
WPA

Wi-Fi Alliance 監督下で策定され IEEE 802.11i に準
拠,暗号鍵を一定時間毎に自動的に更新する
TKIP (Temporal Key Integrity Protocol) が採用
41
42
6
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WPA2

IEEE 802.11i 標準化策定後,内容を反映して
WPA2 が策定


WPA は元々暫定
暗号化方式 RC4 に変わって AES が採用
IEEE802.11a/b/g
43
規格化の背景

802.11 aの特徴
IEEE 802.11b では最高速度が 11 Mb/s







100 Mb/s ~ 1 Gb/s を超える有線LANと比較して
低速
より高速な規格が求められる
802.11a は 802.11b と同時期に標準化
使用周波数帯域


5 GHz 帯を使用
チャネル

現在は W52,W53, W56 の系19チャネル使用可能
5GHz帯の整理に時間を要し,2002年頃から普及
OFDM を採用し,高速化
802.11b でも OFDM を採用した高速化

802.11g の登場
51
52
802.11g の特徴
Contd.,

通信速度

サポートする伝送レート




6 ~ 54 Mb/s

伝送方式





狭帯域の搬送波を複数使って伝送
1チャンネルあたりの占有周波数帯幅は 16.6MHz
データ用の48本と,パイロット信号用4本の計52本の狭い
帯域に分割(1本辺り0.3125MHz)
それぞれの帯域で搬送波(サブキャリア)が立てられる
個々のサブキャリアを0.25MHzの変調速度で個別に変調
し,全体を使ってデータを伝送
11b と同じ 2.4 GHz 帯
チャネル

OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplex)

使用周波数帯域
使用周波数帯域を
5MHz ごとに 13チャ
ネル

53
11b は 14 チャネル使
えたが,11g は 13 チャ
ネルまで
54
7
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IEEE 802.11b/g 混在時 (1)

IEEE 802.11b/g 混在時 (2)
無線LANの通信速度
同一APにIEEE 802.11b/gのSTAが混在する際の通信

最大速度
IEEE 802.11b: 11 Mb/s,IEEE 802.11g: 54 Mb/s
STA
(IEEE 802.11b)
STA
(IEEE 802.11b)
overhead
DATA
DATA
ACK
overhead
STA
(IEEE 802.11g)
time
DATA
overhead
time
ACK
AP
STA
(IEEE 802.11g)
ACK
AP
ACK
AP
DATA
単位時間あたりのIEEE 802.11gのスループットが低下
overhead
time
実効速度
IEEE 802.11b:約 5 Mb/s,IEEE 802.11g:約 25 Mb/s
55
56
IEEE802.11n
802.11 a/b/g = 実行スループットは伝送速度の約半分
PHY拡張+MAC拡張により,
MAC層で100Mb/s超のスループットを目指す
IEEE802.11n
MACスループットで
100Mb/s以上
802.2 … LAN上でのデータ転送
802.11
チャネルアクセス制御
無線区間上の送受信
LLC
MAC
PHY
LLC
MAC
PHY
PHY層での高速化
MAC層での高効率化
58
物理層での高速化の工夫 (1)
MIMO (Multiple Input Multiple Output)の採用



50
送信機とアンテナの組み合わせを複数用意
データを並列化して同時に送信する
送信機と受信機が二組あれば2つのデータ(データスト
リーム)を同時に送信できるため,データ通信速度が倍に
なる
MACスループット [Mb/s]

MAC層拡張の必要性
54Mb/s
104Mb/s
130Mb/s
40
 PHY層のみでの拡張では限界
無線区間の伝送速度を上げても
MACでのスループットは上がらない
30
 MAC層でのオーバヘッドが原因
20
10
PHY拡張+MAC拡張
0
0
20
40
60
距離 [m]
※グラフはイメージ
59
60
8
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MAC 層での工夫

下位互換性問題
フレームアグリゲーション



複数のEthernetフレームを1つのフレームへとまとめて送信
A-MSDU : MACヘッダより後の部分を連結
A-MPDU : MACヘッダも含んで連結

下位互換性の確保

レガシーモード

ミックスモード




レガシーモード,ミックスモードを提供
11a/b/g として動作するため,11nのメリット無し
先頭に 11a/b/g が認識できるように信号を付加す
るため,オーバーヘッドが増加
11b/g 混在時と同じように,パフォーマンスが
大幅に低下
61
62
まとめ
IEEE 802.11ac/ad

さらなる高速化








既に 802.11 で標準化作業が開始
802.11ac


5GHz 帯を使用
エリアは数10m
規格上の理論値では 6.9 Gb/s
Netgear,802.11ac 対応無線LANルータの販売を発表





60 Ghz 帯を使用
エリアは10m程度
規格上の理論値では 6.8 Gb/s


DCF, PCF,CSMA/CA
実行スループット
隠れ端末問題
セキュリティ
802.11a/b/g/n, 802.11ac/ad

63
ネットワークの構成
チャネル,使用周波数帯など
MAC制御

802.11ad

規格のおさらい
規格混在時のスループットの低下
67
9