ひと息コラム『巨龍のあくび』 ttp://www.toyo-sec.co.jp/china/column/yawn/index.html 第193回:引退後に評価されても キャロライン・ケネディ女史が今週来日し、19日に皇居で行われた信任状奉呈式を経て、第29代の駐日 米国大使に着任した。信任状奉呈式に際しては、宮内庁が東京駅頭から皇居までの間を、自動車か馬車で 送迎するしきたりとなっている。むかしは馬車を好んだ大使が多かったようだが、いまの時代に古色蒼然と した馬車よりは乗用車の方が便利だし、馬糞を落とすリスクもない。馬車に乗りたがるのは中国大使くらい かと思っていたら、ケネディ大使が馬車に乗り込んだのには驚いた。たぶん政府が好意で勧めたのだろう。 ケネディ家と云えば米国ではロイヤル・ファミリーのような存在であり、品の良い彼女には馬車がよく似合う。 大使就任に際しては上院の承認が必要であり、これまでのオバマ人事は共和党の抵抗で何度も頓挫してき たが、彼女だけは満場一致で承認されたと云うから恐れ入る。 その彼女の父親の JFK が1960年に第35代アメリカ大統領に就任したとき、最後まで選挙で競り合った のがリチャード・ニクソンであった。当初大統領選挙は共和党のニクソンの楽勝と思われていたが、テレビが 普及したことにより、お茶の間でテレビ中継を観た米国選挙民が、イケメン・都市部出身・一流大学・資産家 のケネディを選択し、ブサメン・田舎出身・三流大学・貧乏人のニクソンを土壇場で逆転することとなった。 ニクソンには最後まで暗い印象がつきまとい、ニューヨーカーたちのパーティ・ジョークでいつも酒の肴に されていた。例えばニクソン陣営がリチャードの愛称ディックを使って「Let's get Dick elected(ディックを当選 させよう)」という選挙キャンペーンを張ったとき、反ニクソン派の連中は、パーティで「Let's get Dick erected」 と、お下劣なジョークを飛ばしたという。(ダニエルの愛称はダン、リチャードの愛称はディックだが、ディック には隠語で別の意味もある・・蛇足だが。) ニクソンの評判はウォーターゲート事件で完全に失墜したが、近年彼を再評価する動きが高まっている。 ケネディ大統領は側近にとびきり優秀な人材を登用したが、「ベスト&ブライテスト」であるはずのバンディ、 マクナマラ、ソレンセンといったケネディ・マシーンたちが皮肉にも、米国をベトナム戦争の泥沼に引きずり 込むことになり、その後始末をさせられたのがニクソンであった。米中国交回復を成し遂げたのもニクソンで ある。そんなわけで、いまニクソン株は上昇トレンドにあるが、そうなれば誰かを悪役に仕立てなければジョ ークは成立しない。ニクソンの引き立て役と云えばクリントン元大統領がぴったりだ。例えば・・・ ●Nixon は「Ex President(元大統領)」、 Clinton は「Sex President」 ●Nixon と Clinton の共通項は「Tricky Dick」。(前者は「狡猾なニクソン」の意、後者は別の意であることは 云うまでもない)。 ケネディと云えばマリリン・モンロー、クリントンといえばモニカ・ルインスキー、相棒の容色は天と地くらい の開きがあるが、共に女性関係が派手だったのは事実である。一方ニクソンの女性関係はあまり知られて いない。何故かと云えば Tricky Dick は海外で遊んでいたからだ。彼がケネディに敗れ下野したころニクソン はしばしば香港を訪れ、現地の高級ナイトクラブの中国人ホステス、マリアンナ・リウと懇ろの関係になって いた。彼女は中国の間諜で、ニクソンはハニー・トラップを疑われたと云う説もある。彼の電撃訪中が彼女を 通じて中国側に筒抜けになったという噂もあるが、これは流石にジョークだろう。 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 1/3 東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 121 号 日本証券業協会 加入 本社所在地 〒104-8678 東京都中央区八丁堀 4-7-1 ℡03-5117-1040 ひと息コラム『巨龍のあくび』 ttp://www.toyo-sec.co.jp/china/column/yawn/index.html 中国でも現役時代は評判が悪かったが、引退後に評価が見直される人物は多い。例えば江沢民元主席、 彼の人気は必ずしも高くないが、彼がマルクスやレーニンに会う頃には再評価の動きが広がっているだろう。 鄧小平は別格だ。改革開放の30年を俯瞰すれば、世界最貧国であった中国をテイクオフさせる「仕組み」を 作っただけでも、彼の貢献は功一級である。 問題は鄧小平の後継者で、胡錦濤の前任者の江沢民である。彼は胡錦濤の失政のお陰で評価が上がる ことになるかも。江沢民を嫌う中国人は少なくない。彼こそが貧富の格差や、腐敗汚職、環境汚染の責任者 だと云う声も強いが彼は確信犯だ。貿易と投資をテコにして経済規模の極大化を推進したのが江沢民であ り、その結果として生み出される格差や汚染の対策を後回しにした彼の戦略は、当時必ずしも間違いであっ たとは云えないだろう。江沢民に女性スキャンダルはないようだが、彼を揶揄するジョークにいつも登場す るのが、宋祖英である。中国を代表する歌手と云えば、共に人民解放軍の陸軍少将である彭麗媛と宋祖英 である。彭麗媛が習近平の夫人であることから、中国の戯作者は江沢民の愛人は宋祖英であると決め付け たいのだろう。映画「タイタニック」と云えば、船の先端で二人が手を広げて大の字に立つシーンが有名だが、 グーグルで江沢民、宋祖英で画像検索すると、彼らが仲好く船の先頭に立つ合成写真がよく登場する。 閑話休題、江沢民が総書記を引退したのは2002年、軍事委員会を退いたのは04年、つまり10年も前 のことである。彼の引退後の中国経済や社会問題は胡錦濤の責任である。しかも彼は高度成長の歪みの 是正を公約にして、中国のトップに就任したのである。企業経営者もいっしょだが問題の所在を理解しなが ら手を打たない社長が最悪だ。鄧小平や江沢民よりも頭の良い胡錦濤は問題の本質をしっかり理解してい たからこそ「和諧社会」、「科学的発展観」を政策スローガンに据えたのである。胡錦濤の改革に対する抵抗 勢力の背後に江沢民一派が存在したのは事実だが、共産党総書記にはそれを排除する絶対的な権限があ る。あのとき胡錦濤がじっくり腰を据えて課題に取り組めば、中国の経済は修正可能であったはずだ。 スペインの全国管区裁判所がチベットにおける集団殺害容疑で中国の江沢民元国家主席、李鵬元首相 ら元政権幹部5人に逮捕状を出したとのニュースに接し、朝からモンブランの万年筆を握り締めているのだ が、中国政府が最も嫌がる touchy な issue を書き散らかし、その結果上海の空港で入国を拒否されると困る ので、ぐっと我慢して毒にも薬にもならぬ話題を書いた次第である。(了) 文中の見解は全て筆者の個人的意見である。 平成25年11月22日 (JFK の暗殺日に記す) 筆者プロフィール 杉野光男 東洋証券株式会社 主席エコノミスト 一橋大学商学部卒、 三菱信託銀行(現三菱 UFJ 信託銀行)入社、上海華東師範大学へ留学 同行北京駐在員、上海駐在員事務所長、理事中国担当部長を経て、2007年より現職 著書 日本の常識は中国の非常識(時事通信社)、中国ビジネス笑劇場(光文社)等 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 2/3 東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 121 号 日本証券業協会 加入 本社所在地 〒104-8678 東京都中央区八丁堀 4-7-1 ℡03-5117-1040 ひと息コラム『巨龍のあくび』 ttp://www.toyo-sec.co.jp/china/column/yawn/index.html ご投資にあたっての注意事項 手数料等およびリスクについて ①株式の手数料等およびリスクについて ・ 国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大1.2075%(税込み)(約定代金が 260,869 円以下の場合は、 3,150 円(税込み))の手数料をいただきます。国内株式を募集、売出し等により取得いただく場合には、購入 対価のみをお支払いいただきます。 国内株式は、株価の変動により、元本の損失が生じるおそれがあります。 ・ 外国株式等の売買取引には、売買金額(現地における約定代金に現地委託手数料と税金等を買いの場合に は加え、売りの場合には差し引いた額)に対して最大 0.8400%(税込み)の国内取次ぎ手数料をいただきます。 外国の金融商品市場等における現地手数料や税金等は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて決定さ れますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。 外国株式は、株価の変動および為替相場の変動等により、元本の損失が生じるおそれがあります。 ②債券の手数料等およびリスクについて ・ 非上場債券を募集・売出し等により取得いただく場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 債券は、金利水準の変動等により価格が上下し、元本の損失を生じるおそれがあります。外国債券は、金 利水準の変動等により価格が上下するほか、カントリーリスク及び為替相場の変動等により元本の損失が生 じるおそれがあります。また、倒産等、発行会社の財務状態の悪化により元本の損失を生じるおそれがありま す。 ③投資信託の手数料等およびリスクについて ・ 投資信託のお取引にあたっては、申込(一部の投資信託は換金)手数料をいただきます。投資信託の保有期 間中に間接的に信託報酬をご負担いただきます。また、換金時に信託財産留保金を直接ご負担いただく場合 があります。 投資信託は、個別の投資信託ごとに、ご負担いただく手数料等の費用やリスクの内容や性質が異なるため、 本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。 投資信託は、主に国内外の株式や公社債等の値動きのある証券を投資対象とするため、当該金融商品市 場における取引価格の変動や為替の変動等により基準価格が変動し、元本の損失が生じるおそれがありま す。 ④株価指数先物・株価指数オプション取引の手数料等およびリスクについて ・ 株価指数先物取引には、約定代金に対し最大 0.0840%(税込み)の手数料をいただきます。また、所定の委 託証拠金が必要となります。 ・ 株価指数オプション取引には、約定代金、または権利行使で発生する金額に対し最大 4.20%(税込み)(約定 代金が 2,625 円に満たない場合は、2,625 円(税込み))の手数料をいただきます。また、所定の委託証拠金が 必要となります。 株価指数先物・株価指数オプション取引は、対象とする株価指数の変動により、委託証拠金の額を上回る損 失が生じるおそれがあります。 ご投資にあたっての留意点 取引や商品ごとに手数料等およびリスクが異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面、上場有価証券 等書面、目論見書、等をよくお読みください。 最終ページに重要なお知らせ「注意事項」がありますので必ずお読みください。 3/3 東洋証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 121 号 日本証券業協会 加入 本社所在地 〒104-8678 東京都中央区八丁堀 4-7-1 ℡03-5117-1040
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