32.改正高年法の対応ポイント(平成 25 年 4 月 1 日施行) 第1の注意

32.改正高年法の対応ポイント(平成 25 年 4 月 1 日施行)
新しい高年齢者雇用安定法(高年法)により、原則として、希望者全員 65 歳までの安定した雇用が義務になりました。
【質問】
当社では社員の定年を 60 歳としています。このたびの高年法の改正によって、定年を 65 歳にしなければならなくなったという
話しを聞きましたが、本当でしょうか。
【アドバイス】
定年を 65 歳にしなければならなくなったということではありません。ですから、引き続き、定年を 60 歳とすることも可能です。
このたびの改正によって、「継続雇用制度を導入する場合、60 歳で定年を迎えた方についても、原則として、希望をすれば 65
歳までの雇用を保障する制度の導入」が必要になりました。改正ポイントをお伝えします。
第1の注意点 そもそも「継続雇用制度」とは
「継続雇用制度」とは、「高年齢者雇用確保措置」の一つです。
「高年齢者雇用確保措置」とは、65 歳までの安定した雇用を確保するための措置をいいます。
事業主は、下記(1)~(3)のいずれかの措置を講ずることが義務付けられています。
※( )内の数値は実施済み企業割合 (厚生労働省発表の平成24年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)から引用)
(1)「定年」引上げ
(14.7%)
高 年 齢 者
雇用確保措置
(97.3%)
…
定年年齢を 65 歳以上とすること
(2)継続雇用制度
の導入
(82.5%)
…
現に雇用している高年齢者が希望するとき、
当該高年齢者をその定年後も65歳まで引き続き雇用する制度
(平成 25 年 4 月 1 日からは、継続雇用制度を導入する場合、
原則として(※1)65 歳までの希望者全員(※2)を対象としなければなりませ
ん)
(3)「定年」廃止
(2.7%)
…
定年制度を廃止すること(65 歳以降も働きたいだけ働くことができる)
※1 平成 25 年 3 月 31 日まで(法改正前)に労使協定で「継続雇用制度の対象者を限定する基準」を定めていた事業主につ
いては、経過措置として、定年到達の時期に応じて、希望者全員継続雇用の対象となる年齢を、老齢厚生年金の報酬比
例部分の支給開始年齢と連動して段階的に引き上げることができます。
ある労働者の定年到達の時期
平成 25 年 4 月~平成 28 年 3 月
継続雇用制度の概要(法改正前に労使協定締結済の事業主に適用される経過措置)
定年に達した者で 61 歳未満の継続雇用希望者全員(※2)を継続雇用の対象とする
平成 28 年 4 月~平成 31 年 3 月
〃
62 歳未満
〃
平成 31 年 4 月~平成 34 年 3 月
〃
63 歳未満
〃
平成 34 年 4 月~平成 37 年 3 月
〃
64 歳未満
〃
平成 37 年 4 月~
〃
65 歳未満
〃
ワ
ワン
ンポ
ポイ
イン
ントト!
!
平成 25 年 3 月 31 日までに労使協定で「継続雇用制度の対象者を限定する基準」を定めていない事業主については、平成
25 年 4 月 1 日から、原則通り、定年後も引き続いて希望者全員 65 歳まで継続雇用する等高年齢者雇用確保措置を講じなけ
ればなりません。
※2 心身の故障のため業務に耐えられないと認められること、勤務状況が著しく不良で引き続き労働者としての職責を果た
し得ないこと等就業規則に定める解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く。)に該当する場合には、継続雇用しない
ことができます。(注意:客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合に限ります。)
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ワン
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ポイ
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定年を 60 歳で迎えた労働者を 1 年ごとの有期労働契約で継続雇用した場合の注意点
1. 定年退職後、契約期間 1 年で再雇用された労働者についても反復更新 5 年超で無期転換申込権が発生します。
2. 更新の上限年齢を設定する等労働条件の整備をしていない場合、定年退職後の労働者が無期転換申込権を行使
すると、一定年齢到達による自動退職制度がないため、事実上定年制度がない労働契約になります。
第2の注意点 違反した企業名公表、求人不受理
高年齢者雇用確保措置が講じられていない企業に対しては、労働局やハローワークが「指導」を実施します。
指導後も改善が見られないときは、さらに「勧告」が行われ、それに従わない場合は企業名が「公表」されます。
勧告を受けた企業は、ハローワークでの求人の不受理・紹介保留、助成金の不支給等の措置を受けてしまいます。
高年齢者雇用確保措置
高年齢者雇用確保措置
を実施していない
を導入するよう個別指導
求人公開カードに「指導中」の文字
(改善が全く見られない)
勧
企業名公表
告
求人不受理・紹介保留、助成金の不支給等
あわせて知っておきたい (そもそも「定年」とは?)
【判決例 昭和43年12月25日 最高裁 秋北バス事件 『定年制度について』 (要点のみ整理し列挙)】
1.
定年制は、労働者が所定の年令に達したことを理由として、自動的に、又は解雇の意思表示によって、その地位(職)
を失わせる制度である。
2.
労働契約における定年の定めは一種の労働条件に関するものであって、労働契約の内容となり得るものである。
3.
労働契約に定年の定めがないということは、ただ、雇用期間の定めがないというだけのことで、労働者に対して終身雇
用を保障や、将来にわたって定年制を採用しないすることを意味するものではなく、俗に「生涯雇用」といわれているこ
とも、法律的には、労働協約や就業規則に別段の規定がないかぎり、雇用継続の可能性があるということに以上には
出てないものであって、労働者にその旨の既得権を認めるものということはできない。
4.
定年制は、一般に、老年労働者にあっては当該業種又は職種に要求される労働の適格性が逓減(=次第に減ること)
するにかかわらず、給与が却って逓増するところから、人事の刷新、経営の改善等、企業の組織および運営の適正化
のために行われるものであって、一般的にいって、不合理な制度ということはできない。
厚生労働省ホームページ「高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者雇用確保措置関係)」
http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/qa/