改訂版 新しい簡単減量マニュアル 《ダイエットとは、目指す体重に見合っ

改訂版 新しい簡単減量マニュアル
《ダイエットとは、目指す体重に見合った食習慣を身に付けること》
要点 1 日本人男性は巨大化が進行中
要点 2 巨大化の原因は食べ過ぎ
要点 3 体重は摂取エネルギーに比例する
要点 4 期間限定ダイエットは無意味
要点 5 ダイエットとは、目指す体重に見合った食習慣を身に付けること
1.このマニュアルの対象者
このマニュアルの対象者は、デスクワーク中心の中年以上の男性サラリーマンを想定
しています。
2.要点 1 日本人男性は巨大化が進行中
最近、日本人男性が巨大化しているように感じます。
実は、統計的にもそのようです。長期的なトレンドで、日本人男性が巨大化している
のが一目で分かるデータを紹介します。厚労省の国民健康・栄養調査データを加工して、
男性の、現在、10 年前、20 年前の年齢層毎の BMI25 以上の人の割合を、グラフ化して
みました。単年度データではばらつきがあるので、5 年分のデータを相加平均した数値
で比較しています。20 歳代、30 歳代、40 歳代、50 歳代すべての年齢層で、BMI25 以上
の人の割合が増加傾向にあるのがわかります。
現在、10年前、20年前の年齢層毎のBMI25以上の人の割合(5年平均)(男)(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
20~29歳
30~39歳
1987~1991年平均
40~49歳
1997~2001年平均
50~59歳
2007~2011年平均
次に、現在の各年齢層が、10 年前、20 年前と比べてどうなっているのかを比較するグ
ラフを作成しました。パネル調査ではありませんが、全体的な傾向はつかめると思いま
1
す。全ての年齢層で、10 年前、20 年前よりも BMI25 以上の人の割合が増加しています。
グラフを見ると、若い世代ほど、若い時点での BMI25 以上の比率が高くなっています。
このトレンドから推測すると、現在の 40 歳代や 30 歳代が 50 歳代になる頃には、どう
なっていることか(^^;)。
現在の年齢層の10年前、20年前のBMI25以上の人の割合(5年平均)(男)(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
20~29歳時
30~39歳時
現20~29歳
40~49歳時
現30~39歳
現40~49歳
50~59歳時
現50~59歳
一方で、女性は、長期的なトレンドで男性と異なる動きを示します。特に 40 歳代、50
歳代は、男性と全く逆の傾向を示しています。
現在、10年前、20年前の年齢層毎のBMI25以上の人の割合(5年平均)(女)(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
20~29歳
30~39歳
1987~1991年平均
40~49歳
1997~2001年平均
50~59歳
2007~2011年平均
女性についても、現在の各年齢層が、10 年前、20 年前と比べてどうなっているのかを
比較するグラフを作成しました。女性についても、加齢とともに BMI25 以上の人の割合
が増える傾向があるのは男性と同様です。ただし、世代間のブレがないのが特徴的です。
そして、10 歳加齢後の比率の増分が、男性よりも小さい感じです。
2
現在の年齢層の10年前、20年前のBMI25以上の人の割合(5年平均)(女)(%)
40
35
30
25
20
15
10
5
0
20~29歳時
30~39歳時
現20~29歳
40~49歳時
現30~39歳
現40~49歳
50~59歳時
現50~59歳
3.要点 2 巨大化の原因は食べ過ぎ
巨大化の理由は簡単です。食べ過ぎです。
体重増減
=
摂取エネルギー
-
消費エネルギー
の式において、摂取エネルギーは、通常は食べることのみによって獲得できます。従っ
て、体重が増加するということは、摂取エネルギーが消費エネルギーよりも多い状態、
つまり、食べ過ぎということです。
するとここで異論が出ます。
「食べ過ぎ」ではなくて「運動不足」ではないかと。長期
トレンドでは摂取エネルギーは減っているので食べ過ぎではなくて運動不足だと主張
する人がいます。
「食べ過ぎ」なのか、
「運動不足」なのかに対する答えは簡単です。人間は、仕事や日
常生活等の生きる活動で自らのエネルギーを消費します。そして、食べる行為、つまり、
エネルギーを摂取するという行為は、消費されたエネルギーを補うため、あるいはこれ
から消費されるエネルギーを事前に補うための行為です。摂取したエネルギーを消費す
るために生きているのではありません。消費エネルギーが基準で、それに対して摂取エ
ネルギーがどうなのかということで判断すると、食べ過ぎということになります。
数字だけを見て物事を判断しようとすると、間違いを起こします。生きるとはどうい
うことかということを含めて考えて初めて「食べ過ぎ」が原因であるということが分か
ります。
摂取エネルギーが減っているのに体重が増加している人が増えているのはどういうこ
とかというと、消費エネルギーがもっと減っているということです。それについて説明
します。
人間は、未来の暮らしを良くしようと努力します。より便利に、より豊かになること
を目指します。仕事や日常生活において、自動化や機械化を進め、体力を使わなくて済
むように頑張ります。その結果、人間は少ない消費エネルギーで暮らすことができます。
3
機械が人間に代わってエネルギーを消費してくれるからです。
また、余暇活動における消費エネルギーも減ってきているのではないかと思います。
個人が尊重される今の時代、余暇活動の過ごし方も、誰かと過ごす余暇活動から一人で
過ごす余暇活動にシフトしています。余暇活動の内容も省エネ型になっていると感じま
す。
消
費
エ
ネ
ル
ギ
ー
仕事や日常生活の自動化・機械化、余
暇活動の省エネ化により、消費エネル
ギーは時代とともに減少
時代
これが、時代とともに世の中が発展して、消費エネルギーが減る理由です。
もう一つ、発展要因以外に、加齢とともに、消費エネルギーも減ります。人間は体温
を保ったり臓器を動かしたりするため、エネルギーを消費します。基礎代謝がこれに相
当しますが、体重 1 ㎏当たりの基礎代謝は、加齢とともに減少することが分かっていま
す。
基
礎
代
謝
加齢とともに基礎代謝は減少
20 歳
60 歳
年齢
従って、体重管理は、発展と加齢による消費エネルギーの減少に対応して、摂取エネ
ルギーをコントロールする必要があります。
要点 1 で説明した 4 つの図を見比べると、女性は消費エネルギーの減少に対する摂取
エネルギーのコントロールがうまくできているのだと思います。太っていると女性とし
ての魅力が劣るという価値観が大きく支配していると思いますが、栄養に関する知識も
男性より多くの知識を持っていると思います。
これで、「食べ過ぎ」「運動不足」論争に決着がつきましたが、次の論争が立ちはだか
ります。
「私は食べ過ぎていない」
4
これは厄介です。主観で否定する人に対して体重増加の原因が食べ過ぎであることを
説明するのは難しいです。しかも、こういう人は栄養に関する知識が乏しいことが多い
です。
食べ過ぎを認めない人が減量を試みる時は、大抵運動して減量しようと試みます。運
動不足が原因で太っていると思っているからです。そしてだいたいが長続きせず、元の
生活に戻って全然痩せない、というパターンが多いことでしょう。
予め定義しておきますが、ダイエットの世界では、「食べ過ぎ」を、「消費エネルギー
以上に摂取エネルギーが多いこと」と定義します。
体積や重量のことではありません。エネルギーです。体積や重量ベースで食べ過ぎて
いる自覚がなくても、エネルギーベースで食べ過ぎているということです。自分の食習
慣が食べ過ぎか否かを判断するためには、栄養に関する知識が必要ということです。
体は正直ですので、必要とするエネルギー以上に食べ過ぎると、脂肪という形でお腹
にエネルギーを貯蔵するようになっています。このメッセージは、お腹が出るという現
象によって伝えられているのですが、脳味噌は正直ではありませんので、そのメッセー
ジを素直に受け取らず、食べ過ぎるという行為を続けます。ある意味、ステレオタイプ
なイメージがあるのだと思います。毎食の食事量はこれだけ必要という。その結果、太
り続けるということになります。
4.要点 3 体重は摂取エネルギーに比例する
体重増減はどのようなメカニズムで起こるでしょうか。一番単純な表現として、体重
増減は摂取エネルギーと消費エネルギーの差で起こる、というのがあります。式で表現
すると、
体重増減=摂取エネルギー-消費エネルギー (1)
となります。市販されている減量本でもよく見る式です。
もう一つの表現として、消費エネルギーは体重に比例する、というのがあります。こ
れは市販されている減量本ではあまり見ることはありませんが、高校の物理で習う通り、
熱力学や、力学の仕事がそれに該当します。
力学の仕事は、力×移動距離ですので、人間の場合は体重×移動距離のようなもので
す。体重の違う 2 人が同じ 4 ㎞歩いたとしても、体重の重い人の方が消費エネルギーが
多くなります。
例えば、100m 歩くとして、何も持たないで歩くのと、子供をおんぶして歩くのでは、
子供をおんぶして歩く方がエネルギーを多く消費します。子供の体重を自分の体重に置
きかえると、体重が重いほどエネルギーを多く消費するイメージが湧くと思います。
熱力学については、人間が体温を一定に保つためには、体重の重い人ほどエネルギー
消費量が多くなります。熱力学では熱量を、1g の水を 1℃上昇させるために必要なエネ
ルギーといった感じで習うと思います。
例えば、やかんに水を満杯にして湯を沸かすのと、水を少しだけ入れて湯を沸かすの
では、水を満杯にした方が沸騰するまでに時間がかかります。水の温度を 100℃まで上
げるのに、多くのエネルギーが必要となります。この水の重さを体重に置き換えると、
自分の体を 37℃に保つためには、体重の重い人の方が多くのエネルギーが必要になりま
す。つまり、体重が重い人の方が、生きているだけで多くのエネルギーを消費すること
5
になります。
これで、消費エネルギーが体重に比例するということが理解頂けると思います。
これらを式で表現すると、
消費エネルギー=定数×体重 (2)
となります。
(1)式、(2)式から、
体重増減=摂取エネルギー-(定数×体重)
(3)
となります。
(3)式を変形すると、
体重=(摂取エネルギー-体重増減)/定数
(4)
となり、体重増減がない場合、(4)式の体重増減に 0 を入れると、(4)式はさらに、
体重=(1/定数)×摂取エネルギー (5)
となります。
つまり、体重は、摂取エネルギーに比例することになります。
(5)式を一覧表にしたものを示します。この表を、決定版早見表
と命名します。この表は減量を考える上で大変便利な表です。
決定版早見表の見方を説明します。縦方向は 1 日当たり摂取エネルギー(kcal)、横方
向は定数です。定数は、運動の強度(消費エネルギーの大小)のようなものです。
話を難しくしないために、まず、定数 30 の時の自分の体重に近いセルを探してくださ
い。
このセルを、運動の量によって横方向に移動させ、摂取エネルギーの量によって縦方
向に移動させます。運動を増やせば右方向に、運動を減らせば左方向に移動させます。
摂取エネルギーを減らせば上方向に、摂取エネルギーを増やせば下方向に移動させます。
定数の加算の目安を説明します。仮に、デスクワーク中心で特段の運動をしていない
状態の定数を 30 とします。通勤時に 1 駅余分に歩くとか、建物では階段を利用する等、
日常生活で意識的に運動するように心がけている場合は、定数を 1~2 加算します。更
に、余暇に毎日 1 時間程度の散歩をしている場合は、定数を 3 加算します。また、加齢
とともに基礎代謝量が減るため、定数も加齢とともに減ります。10~15 歳加齢ごとに、
定数を 1 減らします。
6
決定版早見表
摂
取
エ
ネ
ル
ギ
ー
(kcal)
1700
1720
1740
1760
1780
1800
1820
1840
1860
1880
1900
1920
1940
1960
1980
2000
2020
2040
2060
2080
2100
2120
2140
2160
2180
2200
2220
2240
2260
2280
2300
2320
2340
2360
2380
2400
2420
2440
2460
2480
2500
2520
2540
2560
2580
2600
2620
2640
2660
2680
2700
28
60.7
61.4
62.1
62.9
63.6
64.3
65.0
65.7
66.4
67.1
67.9
68.6
69.3
70.0
70.7
71.4
72.1
72.9
73.6
74.3
75.0
75.7
76.4
77.1
77.9
78.6
79.3
80.0
80.7
81.4
82.1
82.9
83.6
84.3
85.0
85.7
86.4
87.1
87.9
88.6
89.3
90.0
90.7
91.4
92.1
92.9
93.6
94.3
95.0
95.7
96.4
29
58.6
59.3
60.0
60.7
61.4
62.1
62.8
63.4
64.1
64.8
65.5
66.2
66.9
67.6
68.3
69.0
69.7
70.3
71.0
71.7
72.4
73.1
73.8
74.5
75.2
75.9
76.6
77.2
77.9
78.6
79.3
80.0
80.7
81.4
82.1
82.8
83.4
84.1
84.8
85.5
86.2
86.9
87.6
88.3
89.0
89.7
90.3
91.0
91.7
92.4
93.1
30
56.7
57.3
58.0
58.7
59.3
60.0
60.7
61.3
62.0
62.7
63.3
64.0
64.7
65.3
66.0
66.7
67.3
68.0
68.7
69.3
70.0
70.7
71.3
72.0
72.7
73.3
74.0
74.7
75.3
76.0
76.7
77.3
78.0
78.7
79.3
80.0
80.7
81.3
82.0
82.7
83.3
84.0
84.7
85.3
86.0
86.7
87.3
88.0
88.7
89.3
90.0
31
54.8
55.5
56.1
56.8
57.4
58.1
58.7
59.4
60.0
60.6
61.3
61.9
62.6
63.2
63.9
64.5
65.2
65.8
66.5
67.1
67.7
68.4
69.0
69.7
70.3
71.0
71.6
72.3
72.9
73.5
74.2
74.8
75.5
76.1
76.8
77.4
78.1
78.7
79.4
80.0
80.6
81.3
81.9
82.6
83.2
83.9
84.5
85.2
85.8
86.5
87.1
32
53.1
53.8
54.4
55.0
55.6
56.3
56.9
57.5
58.1
58.8
59.4
60.0
60.6
61.3
61.9
62.5
63.1
63.8
64.4
65.0
65.6
66.3
66.9
67.5
68.1
68.8
69.4
70.0
70.6
71.3
71.9
72.5
73.1
73.8
74.4
75.0
75.6
76.3
76.9
77.5
78.1
78.8
79.4
80.0
80.6
81.3
81.9
82.5
83.1
83.8
84.4
7
定数
33
51.5
52.1
52.7
53.3
53.9
54.5
55.2
55.8
56.4
57.0
57.6
58.2
58.8
59.4
60.0
60.6
61.2
61.8
62.4
63.0
63.6
64.2
64.8
65.5
66.1
66.7
67.3
67.9
68.5
69.1
69.7
70.3
70.9
71.5
72.1
72.7
73.3
73.9
74.5
75.2
75.8
76.4
77.0
77.6
78.2
78.8
79.4
80.0
80.6
81.2
81.8
34
50.0
50.6
51.2
51.8
52.4
52.9
53.5
54.1
54.7
55.3
55.9
56.5
57.1
57.6
58.2
58.8
59.4
60.0
60.6
61.2
61.8
62.4
62.9
63.5
64.1
64.7
65.3
65.9
66.5
67.1
67.6
68.2
68.8
69.4
70.0
70.6
71.2
71.8
72.4
72.9
73.5
74.1
74.7
75.3
75.9
76.5
77.1
77.6
78.2
78.8
79.4
35
48.6
49.1
49.7
50.3
50.9
51.4
52.0
52.6
53.1
53.7
54.3
54.9
55.4
56.0
56.6
57.1
57.7
58.3
58.9
59.4
60.0
60.6
61.1
61.7
62.3
62.9
63.4
64.0
64.6
65.1
65.7
66.3
66.9
67.4
68.0
68.6
69.1
69.7
70.3
70.9
71.4
72.0
72.6
73.1
73.7
74.3
74.9
75.4
76.0
76.6
77.1
36
47.2
47.8
48.3
48.9
49.4
50.0
50.6
51.1
51.7
52.2
52.8
53.3
53.9
54.4
55.0
55.6
56.1
56.7
57.2
57.8
58.3
58.9
59.4
60.0
60.6
61.1
61.7
62.2
62.8
63.3
63.9
64.4
65.0
65.6
66.1
66.7
67.2
67.8
68.3
68.9
69.4
70.0
70.6
71.1
71.7
72.2
72.8
73.3
73.9
74.4
75.0
37
45.9
46.5
47.0
47.6
48.1
48.6
49.2
49.7
50.3
50.8
51.4
51.9
52.4
53.0
53.5
54.1
54.6
55.1
55.7
56.2
56.8
57.3
57.8
58.4
58.9
59.5
60.0
60.5
61.1
61.6
62.2
62.7
63.2
63.8
64.3
64.9
65.4
65.9
66.5
67.0
67.6
68.1
68.6
69.2
69.7
70.3
70.8
71.4
71.9
72.4
73.0
38
44.7
45.3
45.8
46.3
46.8
47.4
47.9
48.4
48.9
49.5
50.0
50.5
51.1
51.6
52.1
52.6
53.2
53.7
54.2
54.7
55.3
55.8
56.3
56.8
57.4
57.9
58.4
58.9
59.5
60.0
60.5
61.1
61.6
62.1
62.6
63.2
63.7
64.2
64.7
65.3
65.8
66.3
66.8
67.4
67.9
68.4
68.9
69.5
70.0
70.5
71.1
5.要点 4 期間限定ダイエットは無意味
いきなり衝撃的なタイトルですが、決定版早見表を使って、期間限定ダイエットが無
意味であることを説明します。
日常生活で特段の運動をしていない体重 80 ㎏で安定している人のダイエットについ
て考えます。初期状態を定数 30 と仮定すると、決定版早見表から、摂取エネルギーは
2400kcal となります。
この人が 2 か月のダイエットを決心し、摂取エネルギーを 2000kcal に減らし、毎日 1
時間の散歩を実行することにします。
ダイエット開始後、摂取エネルギー2000kcal、定数 33 ですので、60.6kg に向かって
体重が減少していきます。ダイエットを 2 か月続けると、5 ㎏ぐらい痩せて、75 ㎏ぐら
いになります。
80 ㎏から 75 ㎏の減量に成功し、気分よく、元の生活に戻します。
そうすると、摂取エネルギー2400kcal、定数 30 の、80 ㎏に向かって増量を開始しま
す。10 か月後にはきれいにもとの体重の 80 ㎏に戻っていることでしょう。
ダイエットをせずに摂取エネルギー2400kcal の生活を続けても、1 年後は同じ 80 ㎏で
す。
それはつまり、この 1 年間で、2 か月間、毎日 400kcal の摂取エネルギー制限をした
ことにより、60 日間で合計 24000kcal 分の食べる楽しみを失ったことになります。
かつ丼 1 杯を 1000kcal とすると、1 年間にかつ丼 24 杯分の食べる楽しみを失ったと
考えると、大きな損失です。
期間限定ダイエットが無意味であることは、市販のダイエット本ではあまり書かれて
いません。
2400kcal
80kg
摂
取
エ
ネ
ル
ギ 2000kcal
ー
摂取エネルギーを元に
戻したので体重は元に
戻っていく
摂 取 エ ネ ルギ ー
を 減 ら し たの で
体重は減少する
↑減量開始
体
重
75kg
2 か月間のダイ
エットを実施
↑2 か月後
↑12 か月後
6.要点 5 ダイエットとは、目指す体重に見合った食習慣を身に付けること
ダイエットが無意味なものにならないために、先ほどの例の人はどのようなダイエッ
トをすべきだったでしょうか。
期間限定ダイエットは無意味ということですので、少なくとも 5~10 年は実行できる
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ダイエットでなければならないということです。5~10 年も継続できるダイエットは、
それはもはや習慣ということになります。
従って、ダイエットとは、目指す体重に見合った食習慣を身に付けることということ
になります。
目指す体重に見合った食習慣を身に付けることで、ダイエットの必要性を感じない体
重を維持できることになります。
補完的に、消費エネルギーを増やす習慣も身に付ければ、もっと良くなります。目標
は、運動によって定数を 2 加算することです。
生活習慣の中で、通勤時に 1 駅余分に歩くとか建物では階段を利用する等により 1 加
算し、余暇の運動で 1 加算することでいかがでしょうか。
定数を 2 加算することは、歩行 40 分程度の運動エネルギーに相当します。消費エネル
ギーを増やすための運動も、当然 5~10 年は継続可能な程度でなければ意味がありませ
ん。この程度の運動であれば、5~10 年継続が可能な感じがします。つまり、運動習慣
を身に付けます。
運動習慣をつけることで、加齢による衰えを小さくできますし、筋肉を増やして脂肪
を減らすことで、基礎代謝を増やすことができます(栄養に関する本によると、筋肉 1
㎏当たりの代謝は、脂肪 1kg 当たりの代謝の 3 倍ぐらいあるようです)。
継続できないような運動によって減量を目指すのは、体に負担がかかりますし、貴重
な余暇の時間の多くを減量目的の運動に充てるのは時間がもったいないです。そして、
運動が継続できなくなった時点で体重は増加し始めます。また、加齢とともに基礎代謝
量が落ちることによる消費エネルギーの低下を運動によってカバーすることは現実的
ではありません。
7.決定版早見表を使った減量の実行
これから決定版早見表を使って減量を実行します。そのために、現状を把握する必要
があります。把握すべき現状は、
(1)現在の体重
(2)現在の日常生活(消費エネルギー)
(3)現在の体重が増量中か減量中か安定的か
(4)現在の日常生活(摂取エネルギー)
の 4 つです。
決定版早見表を使うに当たって必要な情報は、体重、摂取エネルギー、定数の 3 つで
す。このうち、はっきりと分かるのは体重だけですが、それだけで結構です。決定版早
見表は相対的な位置関係が分かればよいので、摂取エネルギーや定数はどこかの値で仮
定すれば結構です。
まず、現在の体重を測ります。80 ㎏だとします。次に、定数を仮定します。特段の運
動をしていなければ、定数を 30 に仮定してください。体重が 80 ㎏で安定していれば、
摂取エネルギーは 2400kcal となります。
今の食習慣での摂取エネルギーが 2400kcal だと仮置きして頂ければ結構です。
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次に、食習慣の見直しを検討します。どこをどう見直すかは、その人の食習慣により
ますので、具体的な助言はできません。減量する本人が考えて下さい。
一例として、食パンを 6 枚切りから 8 枚切りに変えると、約 40kcal 節約できます。決
定版早見表で 2360kcal、定数 30 を見ると、78.7 ㎏です。これだけの見直しで 1.3kg も
減量できます。更に、ごはんのお替わりをいつもの半分にします。お替わりの量は人に
よりますので節約できるエネルギーは人それぞれですが、例えば 0.5 合程度のお替わり
を半分の 0.25 合に抑えることで、約 120kcal 節約できます。決定版早見表で 2240kcal、
定数 30 を見ると、74.7 ㎏です。
この程度の見直しなら、5~10 年の継続は可能ではないしょうか。減量前の食習慣は
人それぞれですので、自分に見合った食習慣の改善をして頂ければと思います。
補完的に、生活習慣の中で、消費エネルギーも少し増やしてみます。
これも、現在の運動習慣が分かりませんので、人それぞれですが、通勤時に 1 駅分歩
いたり、なるべく階段を利用することにします。決定版早見表の定数は、20 分程度の歩
行で定数が 1 増えます。通勤時や余暇の一部を利用して、40 分程度の歩行なら、5~10
年継続できるかもしれません。40 分の歩行相当の運動を追加して、定数を 2 加算します。
決定版早見表で、2240kcal、定数 32 を見ると、70 ㎏です。
決定版早見表を使って減量を試みると、意外と簡単なことが分かります。しかし、減
量が意外と簡単ということは、増量も意外と簡単ということです。この人が、食習慣を
もとに戻し、運動もやめれば、決定版早見表の 2400kcal、定数 30 の、80 ㎏に戻ってし
まうということです。
8.10kg 減量したければ摂取エネルギーを 300kcal 減らします
決定版早見表を見てすでにお気づきの方もいると思います。定数 30 の時、現在の体重
が何 kg であっても、摂取エネルギーを 300kcal 減らせば、10 ㎏の減量となります。
2700kcal の時、90 ㎏。2400kcal の時、80 ㎏。2100kcal の時、70 ㎏。1800kcal の時、
60 ㎏です。
だいたいの目安として、目指す体重まで減量するには、摂取エネルギーをどれだけ減
らせばよいかが分かります。
(ちなみに、定数が 33 の場合は、300kcal 減らすと、9.1kg の減量となります。)
ここで 1 つ、反論が出ます。
食べたいものを食べてこその人生ではないか。体重を気にしながら食べるのを我慢す
る人生の何が楽しいのだ。
300kcal と言えば、コンビニのエクレアが毎日 1 個食べられなくなることに相当しま
すので、一見正論のように見えますが、実は、ただの言い訳です。
例えば、1 日の摂取エネルギーが 2400kcal の時、年間では、約 88 万 kcal となります。
1 日の摂取エネルギーが 2100kcal の時、年間では約 77 万 kcal となります。
88 万 kcal だと人生が楽しくて、77 万 kcal だと人生が楽しくないのですか?
食べたいものを列挙してみると、案外、食べたいものはほぼ食べることができます。1
日の摂取エネルギーが 1800kcal の時、年間では約 66 万 kcal となりますが、三大栄養素
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をしっかり理解していれば、これでも大丈夫です。
如何に日常的に惰性でエネルギーを摂取しているか、思い知ることができます。毎回
の食事を真剣に摂ることで、逆に以前よりも食生活が楽しくなり、なおかつ充実するこ
とになることでしょう。
9.決定版早見表はあらゆる言い訳にも答えます
(1)運動しているのに一向に痩せない
運動しても減量できないという人がいます。毎日 1 時間歩いているのに、80 ㎏から全
然痩せないと。この悩みに、決定版早見表は答えます。
この人は毎日 1 時間歩いているので、定数を 33 とします。定数 33 で 80 ㎏の時、摂取
エネルギーは 2640kcal です。この食習慣で運動をやめると、体重は、定数 30 の時の 88
㎏になります。
つまりこの人は、運動しなければ 88 ㎏になるところ、運動によって 80 ㎏に減量でき
ているということになります。
それ以上痩せたければ、定数 33 のところの目指す体重の摂取エネルギーとなるように
食習慣を改善すれば良いです。70 ㎏に減量したければ、摂取エネルギーがだいたい
2300kcal となりますので、これまでの食習慣から 340kcal 分を減らせばよいことが分か
ります。
(2)太りやすい体質
ダイエットできない言い訳としてよく見かける太りやすい体質とは、どういうことで
しょうか。これは、決定版早見表で言うところの、定数が小さい人に相当します。普通
の人の定数が 30 のところ、この人の定数が 28 であれば、太りやすい体質と言えます。
摂取エネルギーが 2400kcal の時、普通の人が 80 ㎏なのに対し、この人は 85.7kg とな
ります。
でもこの太りやすい体質の人でも、食習慣を改善し、補完的に運動することで、確実
に減量できます。食パンを 6 枚切りから 8 枚切りに変え、お替わりを半分にして、40 分
の歩行を追加すれば、摂取エネルギー2240kcal、定数 30 の時の体重の、74.7kg に減量
できます。
ダイエットに関して、自分の体質と他人の体質を比較することは意味がありません。
自分の体質という固定された条件のもとで、摂取エネルギーを減らせば確実に減量でき
ます。
10. 情報過多は、減量は難しいものと錯覚させます
このマニュアルにおいて、食べることに関して必要な知識は、三大栄養素のエネルギ
ーのみです。減量前の食生活からどれを減らすことで摂取エネルギーを減らすかという
知識です。それぞれの食品が、どれくらいのエネルギーを持つのか、三大栄養素の構成
はどうなのかという知識があれば、決定版早見表を使いこなすことができます。体重管
理は摂取エネルギーと消費エネルギーの収支バランスで管理しますので、必要かつ十分
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な情報です。
しかし、ダイエット市場では、食べることに関して大変難しい情報が多くあります。
・食品○○に含まれる○○という物質が、○○に効果的
・○時以降は食べない方が良い
・食べる順番として、○○を先に食べると良い
・○○は脂肪を吸収する
・こういう運動をすると痩せる
これらは、医療分野における何かの目的のために研究して、得られた知見なのだと思
います。これらはその目的において有効な知見なのだと思いますが、それをそのまま一
般人が減量目的に適用しようというところに問題があるのだと思います。
目指す体重に見合った食習慣を身に付けることで確実に減量できますので、あまり難
しいことは考えない方が良いと思います。
11. 参考図書のご紹介
これまで読んだ市販されている減量関連書籍で、印象に残った本を紹介します。乾哲
也先生の著作「メタボ氏のための体重方程式 わかると治る生活習慣病」(株式会社創
元社、2008 年)は、減量に取り組む人達にとって、気分的なハードルを下げてくれる内
容で、とても勉強になります。
その他、どこの出版社でも良いと思いますが、食品の知識を得るために、食品成分表
は必携です。英語学習における英単語帳のようなものです。
減量がうまくいくと、栄養学についても興味が湧いてきます。これもどこの出版社で
も良いと思いますが、私が持っているのは、川端輝江先生編著の「しっかり学べる!栄
養学」(ナツメ社、2012 年)です。三大栄養素以外も勉強できます。
12. まとめ
長々と書く必要はありません。冒頭に書いた通り、5 つの要点を再掲します。
要点 1
要点 2
要点 3
要点 4
要点 5
日本人男性は巨大化が進行中
巨大化の原因は食べ過ぎ
体重は摂取エネルギーに比例する
期間限定ダイエットは無意味
ダイエットとは、目指す体重に見合った食習慣を身に付けること
このマニュアルを読んで、特に、要点 3、4、5 が正しく理解できていれば、目指す体
重まで確実に減量できます。
(2013 年 11 月 4 日作成)
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