NC放電加工機工

NC放電加工機工 H528­04
ど
んな職業か
金属加工には、旋盤やフライス盤に代表される切削加工の他に、電気の力を利用して金属を除去する放電加工という
方法があり、NC放電加工機工は放電加工機を操作して放電の火花を飛ばすことにより火花の当たった部分を除去し、
切削では加工できない難削材や複雑な形状の高精度な加工を行う。
テレビ、携帯電話機、パソコン、エアコン、自動車、航空機など、複雑で高精度を要求される部品の金型製造にはな
くてはならない工作機械である。
放電加工機は大別すると「形彫放電加工機」と「ワイヤー放電加工機」に分かれる。
形彫放電加工機とは、工具となる電極と工作物との間に直接放電を発生させ、金属の除去加工を行う機械で、電極に
は銅またはグラファイトを材料とする総型電極が使用される。また、ほとんどの操作はディスプレイや操作盤を使って
行う。
ワイヤー放電加工機は、垂直方向又は角度をつけて常に一定の張力を与え、ワイヤー(電極)と工作物の間に連続的
に放電現象を発生させ、あたかも糸ノコ盤のように工作物にスリットを作り、形状を切り抜くことのできる機械である
。主に精密で微細な加工を行う時に使用される。
作業者は最初に加工物を取り付け、次に位置出しを行う。位置出しとは、電極をその型に加工する工作物の位置まで
正確に移動させることで、放電加工の精度を決める重要な作業である。そしてワイヤーの取付け及び加工プログラムの
入力を行う。全加工周長から加工時間と使用ワイヤーの長さを計算して、ワイヤーを機械本体にセットする。コアを切
り落とす場合は落下時にワイヤーを切断しないようにあらかじめ固定しておく。
加工終了後、加工面のサビを除去し、寸法と面粗度をチェックし、加工物全体のサビを除去した後に防錆油を塗布し
て作業が完了する。
就
くには
入職にあたって特別な条件や制限はないが、機敏な運動神経や的
確な空間(立体)判断力、数理能力に加えてパソコンの初歩的な知
識が望まれる。
入職後は機械操作の基礎的な研修を受け、その後職場で半年から
1年の実習訓練を受けて配属される。放電加工機のほとんどがNC
装置付きであるため、NC言語の習得に始まり、電極の特性(銅、
グラファイト)、加工材料、加工法、測定技能、図面の読解などに
関する知識が必要となる。実技面では、電極やワイヤーの取付け方
法の決定と技能、加工条件の選択、要求される部品の寸法、形状、
面粗度、精度を得るための判断力などが必要である。
放電加工機は加工時間が長いため、複数台の操作を担当するのが
一般的である。加工開始後は、各機械を監視して異常の発見、加工
液・水・ワイヤーの補充、フィルターの交換・清掃などを行う。こ
れらの経験を積んでからプログラムの作成に移るが、ワイヤー放電
加工機のほとんどがコンピュータによる自動プログラミング機能を
装備しているため、高度のプログラミング知識は不要といえる。
関連する資格として、厚生労働省が実施している技能検定に「放
電加工技能士」がある。
NC放電加工機工
労
働条件の特徴
放電加工機の活躍する一般機械器具、電気機械器具、輸送機械器具などの製造分野を中心として、全国の大きな工業
地帯だけでなく、近年では地方での工場立地に伴い全国各地に就業の場が広がっている。
NC放電加工機工の賃金や労働時間は、他の工作機械の職業に準ずると考えられる。
放電加工機は、加工を開始すると長時間の加工時間を要するため、作業者は複数台を受け持ったり、他の数値制御工
作機械との併用加工を行う例もみられる。
工場では、精度管理面から機械を温度管理された環境に設置することが多く、機械は騒音を発生しない。従来はほと
んどが男性オペレーターであったが、最近では女性も多く見られる。
不燃性加工液を用いたワイヤー放電加工機の開発や、マイクロマシーンと呼ばれる極微小機械の構成部品の製作の研
究、マシニングセンターや電極加工機、測定機、洗浄装置、搬送車と有機的に結合したシステム化などが進められてお
り、これからの就業分野として期待されている。
参
考情報
関連団体
関連資格
社団法人 日本工作機械工業会
http://www.jmtba.or.jp/
放電加工技能士