日本語資料 - エーザイ株式会社

エーザイ
サイエンティフィック
デイ
2016年6月29日
将来見通しに関する注意事項
 本発表において提供される資料ならびに情報は、いわゆる「見通し情報」(forward-looking statements)を含みます。
これらの文言は、現在における見込み、予測、リスクを伴う想定、実質的にこれらの文言とは異なる現実的な結論、
結果を招き得る不確実性に基づくものです。
 それらリスクや不確実性には、一般的な業界ならびに市場の状況、金利、通貨為替変動といった一般的な国内および
国際的な経済状況が含まれます。リスクや不確実性は、特に製品に関連した見通し情報に存在します。製品のリスク、
不確実性には、技術的進歩、特許の競合他社による獲得、臨床試験の完了、製品の安全性ならびに効果に関する
クレームや懸念、規制機関による審査期間や承認取得、国内外の保健関連改革、マネジドケア、健康管理コスト抑制へ
の傾向、国内外の事業に影響を与える政府の法規制など、新製品開発に付随する課題などが含まれますが、これらに
限定されるものではありません。
 また、承認済み製品に関しては、製造およびマーケティングのリスクがあり、需要を満たす製造能力を構築する能力を
欠く状況、原材料の入手困難、市場の受容が得られない場合などが含まれますが、これに限定されるものではありま
せん。
 新しい情報、将来の出来事もしくはその他の事項より、見通し情報に更新もしくは改正が望ましい場合であっても、
それを行う意図を有するものではなく、義務を負うものではありません。
 本発表資料は、オリジナルである英語版を日本語に訳したものです。日本語版、英語版の資料間での不一致等に
ついては、英語版を主とします。
エーザイ サイエンティフィック デイ
オープニング リマークス
内藤 晴夫、KBE
CEO
2
新中期経営計画「E-WAY2025」
2025年の企業像
神経領域・がん領域
での予防-治癒-ケア
への貢献
2025
アタックキャンプ
安心・安全を
届ける地域医療
への貢献
キャンプ3
キャンプ2
キャンプ1
ベースキャンプ
2016
3
Plan ‘E-WAY 2025’ 中心的コンセプト
Converting
Knowledge into Business
We Make Medicines, We Make Solutions through Eisai’s WAY
活動共同化
患者様とともに時間を過ごす 共体験をする
的ニーズ
患者様の真のニーズを理解する
*1
イノベーション に対する強い動機付け
的ニーズをわれわれのイノベーションで満たす
*2
「立地」 の発見
そのニーズを満たす上で いまだ人々が成功していない
あるいは着手していないもので、エーザイがフロント
ランナーとなりうる機会、すなわち「立地」を見出す
かかる「立地」においてわれわれが中心的な役割を果たす
われわれがイノベーションをもって「立地」における
主体的な役割(センターライン)を果たす
4
*1 イノベーション:「科学、技術、ビジネスモデル等従来に比較してより多くのアウトプットを生む可能性のある試み」を指す
*2 出典:『経営戦略の実戦1 高収益事業の創り方』 (三品和広、東洋経済新報社、2015年)
アリセプト
-世界初のアルツハイマー型認知症治療薬筑波研究所にて、杉本八郎博士が発見した化合物で、優れた血液脳関門透過性ならびに選択的アセ
チルコリンエステラーゼ阻害作用を有しており、有効性と安全性が十分に実証された世界初の本格的
アルツハイマー型認知症治療薬である。
世界97カ国で承認、 85カ国以上で上市
3,447 百万米ドル*1
2009年度
(百万米ドル)
3,500
3,000
2,500
及び鏡像異性体
2,000
ドネペジル塩酸塩
分子量:416
1,500
1,000
500
軽度及び中等度
0
5
*1: 全世界でのアリセプトの売上
*2: 日本とフィリピンで承認
高度
レビー小体型*2
認知症
ハラヴェン
-現代合成化学の勝利ハラヴェンは神奈川県三浦半島の海洋生物クロイソカイメン( Halichondria okadai )から単離された
天然物をもとにアンドーバーの研究所で合成された薬剤である。ハラヴェンは19個の不斉炭素を含む
ため、理論的には立体異性体の数は2の19乗個(524,288個)の可能性があり、きわめて合成の難易
度は高い化合物である。また、ハラヴェンは進行再発乳がんの患者様および進行または再発の軟部
肉腫*1の患者様において、世界で初めて単剤で全生存期間の優位な延長を示した唯一の薬剤である。
世界60カ国で承認、45カ国以上で上市
334 百万米ドル*2
2015年度
(百万米ドル)
350
海洋生物
クロイソカイメン
300
250
200
150
Chiral
::不斉炭素
carbon
不斉炭素:19個
エリブリンメシル酸塩
分子量:826
6
100
50
0
FY2010
2010年度
乳がん
FY2011
2011年度
軟部肉腫
FY2012
2012年度
*1: 米国、欧州での適応症:脂肪肉腫、日本での適応症:悪性軟部腫瘍 *2: 全世界でのハラヴェンの売上
FY2013
2013年度
FY2014
2014年度
FY2015
2015年度
成功のための共通要素
人財
強いオーナーシップ
困難を乗り越えるための日夜の努力
リスクを取る
サイエンス/テクノロジー
ケミストリー
ヒューマン バイオロジー
ICT*
7
* Information communication technology
アルツハイマー型認知症および
認知症領域における
“
” とイノベーション
Ricchi
エーザイ サイエンティフィック デイ
ニューロロジー ビジネスグループ プレジデント
アイヴァン・チャン
「立地」とは、家を建てる上で適した、混んでなく地平がひらけた場所のことである。
エーザイは、自らの“立地”において、イノベーションを最大限に活用し、
予防と根治治療を実現する新薬の創出をめざす。
8
患者様の真のニーズを理解する:
これが我々のhhcミッションである
アルツハイマー型認知症ならびに認知症の患者様の声
• 私が認知症になるはずがない。私は認めたくありません。
• 私は少なくとも自分の身の回りのこと、着衣・入浴・食事ぐらいは
自分でしたい。でもそんな事が日々、出来なくなっています。
• 私は自分で医師と面会することを決意しました。
これ以上不安を抱え続けることができないからです。
私は答えがほしいのです。
• 先生、この病名を告げるときには、希望も同時にお伝えください。
• 今こうして話していても、結構いっぱいいっぱいで、後でひどい脳の疲
労がやってきます。体が疲れるのとは違う、脳が腫れ上がるような・・・。 • 私は早期に診断して欲しくて受診しましたが、
レビー小体型認知症の診断を受けるまで6年も
• 私がアルツハイマー型認知症と診断された時はショックでした。
かかりました。それまでの間、間違った診断により、私の病気は悪化してし
人に迷惑をかけたくはありません。死んだほうがましとも考えましたが、
まったのです。
とりあえず生きる目標を探しております。
• 祖母が私のことをわからなくなった時、本当にショックでした。
• 妻は私に外に出るなと言います。私は一見普通の人に見えるので、
しかし、彼女も「知らない人に話しかけられて怖かった。」と言ったそうです。
妻は人々が私が認知症のふりをしているだけと思うのではないかと
心配しているのです。
• 人は弱みを見せたがりません。それは認知症の人も同じです。
神経変性疾患の分野において、患者様の潜在・顕在化するニーズを満たし、
ヒューマンバイオロジーの進化に基づく疾患の根本原因を標的とする
治療薬を創出することで、ヒューマンヘルスケア(hhc)をより進化させる
アルツハイマー型認知症/認知症における「トータルケア」を革新し
最も尊敬される企業をめざす
9
アルツハイマー型認知症/認知症のトータルケア実現をめざした
6つの“立地”におけるプラットフォーム
立地1
低侵襲な早期診断
立地2
新しい神経伝達経路
AMPA プラットフォーム、オレキシン プラットフォーム、PDE プラットフォーム
サポーティブ
超解像蛍光顕微鏡(提携)や血中バイオマーカー
様々な動物モデルにおける、行動、電気生理、神経化学、PETトレーサーイメージングを統合した包括的な解析手法
立地3
立地4
タンパク変性
(変性タンパク質の産生
/凝集の阻害と、毒性分子種のクリアランスの組み合わせ)
認知症のノウハウ(標的となる分子種の選択や、患者様層別化
や薬力学的マーカー、高感度の臨床スケールに関する統合的なノウハウ)
ゲノム編集細胞/動物モデルにおける、機能と病態生理の相関を
用いたヒトへのトランスレーション技術
立地5
シナプス微小環境
シナプス微小環境においてタンパク質間相互作用による
低分子化合物創出、もしくは機能的なバイオロジクスの
創薬プラットフォーム
10
本日ご紹介する内容
ヒューマンバイオロジーにより強く支持される創薬標的を同定する
ための、大規模ゲノムシークエンスデータの解析と、それに続く
神経炎症にフォーカスした機能ゲノミクス
立地6
ニューロン再生
遺伝子改変グリア細胞移植プラットフォーム
グリア細胞(アストロサイト)移植を含む次世代の治療法
を企図した、幹細胞やiPS細胞のハンドリング技術
治癒
神経栄養因子プラットフォーム
タンパク質間相互作用制御プラットフォーム
免疫-認知症 プラットフォーム、
機能ゲノミクスおよびゲノム編集 プラットフォーム、
フラクタルカイン プラットフォーム
先制医療
デュアルトラック プラットフォーム
神経炎症および免疫ジェネティクス
*プラットフォーム:「イノベーションにより確立された創薬技術基盤」を指し、ここから一連のプロジェクトが生み出される
アルツハイマー型認知症/認知症のトータルケアに向けた
業界トップレベルのポートフォリオ



E2609: BACE阻害剤
(フェーズII試験、フェーズIII試験準備中)
BAN2401: 抗Aβプロトフィブリル抗体
(フェーズII試験進行中)
Aducanumab: 抗Aβ抗体
(フェーズIII試験進行中)
疾患洞察に
(バイオジェン社が開発中、
エーザイがオプション権を保有)

タウを標的としたプロジェクト
もとづく
病態制御
(抗体・凝集抑制剤プロジェクト)





11
改善をめざすPDE9阻害剤
(フェーズI試験進行中)

新しい神経伝達経路を
標的としたプロジェクト
認知機能の向上
サポーティブケア
早期で
低侵襲的な診断
血液マーカーを用いた診断薬に関する
パートナーシップを検討中
E2609: Biogen社とのパートナーシップ
E2027:認知症の中核症状と周辺症状の
アルツハイマー型認知症
レビー小体型認知症
パーキンソン病認知症
前頭側頭葉変性症
など
免疫-認知症プロジェクト
シナプス微小環境に関する
プロジェクト
異なる作用機序の薬剤に
よる併用療法
シスメックス株式会社との
パートナーシップ


Lemborexant:
高齢者等を対象とした
不眠症治療剤
(フェーズIII試験進行中)
認知症に伴う睡眠覚醒断片化治療剤
(フェーズII試験準備中)
BAN2401: BioArtic社、Biogen社とのパートナーシップ Lemborexant: Purdue Pharmaとのパートナーシップ
エーザイ ニューロロジービジネスグループ
ディスカバリーエンジン 4拠点
筑波研究所 (日本,茨城)
プラットフォームテクノロジー
• CNS創薬における豊富な知識を有するバイオ薬理学とメディシナルケミストリーの統合
• 社内の創薬プロジェクトを通して確立された競合性の高い探索プラットフォーム
• 超解像蛍光顕微鏡 (提携)、血中バイオマーカー
• ゲノム編集細胞/動物モデルにおける、ヒトへのトランスレーション技術(脳波、fMRI、
アミロイドやタウのPET、CSF測定)
• 様々な動物モデルにおける行動や電気生理、神経化学、PETトレーサーイメージングを
統合した解析手法
低侵襲な早期診断
タンパク変性
シナプス微小環境
新しい神経伝達経路
Andover Innovative Medicines Institute (米国,Andover)
プラットフォームテクノロジー
• 免疫ジェネティクスや免疫エピジェネティクスに基づく創薬標的の探索
• ヒューマンバイオロジーにより強く支持される創薬標的を同定するため、大規模ゲノム
シークエンスデータの解析と、それに続く神経炎症にフォーカスした機能ゲノミクス
カン研究所 (日本,神戸)
プラットフォームテクノロジー
• 統合細胞生物学:シナプスバイオロジー、発生生物学、炎症生物学
• 神経、免疫、腫瘍細胞生物学の中で知識/技術を共有することによる病態生理学に
おける新しい視点
• 疾患原因となる新規の細胞や分子の同定
• 機能的なバイオロジクスによるタンパク質間相互作用の調節
• グリア細胞(アストロサイト)移植を含む次世代の治療法を企図した、幹細胞やiPS細胞
のハンドリング技術
Hatfield Research Laboratories (英国,Hatfield)
プラットフォームテクノロジー
• 英国・欧州のアカデミアトの強力なネットワークに基づくオープンイノベーション
• 患者様サンプルへの容易なアクセス
• Leonard Wolfson Experimental Centreとのバイオマーカー共同研究
12
神経炎症および
免疫ジェネティクス
シナプス微小環境
神経炎症および
免疫ジェネティクス
ニューロン再生
タンパク変性
神経炎症および
免疫ジェネティクス
認知症治療実現のためのプレシジョン・メディスン
ヒト遺伝子情報を用いた新しい創薬研究
エーザイ サイエンティフィック デイ
Nadeem Sarwar
President, Eisai AiM Institute
Andover innovative Medicines
AiM Institute hhc mission statement
Have the courage to innovate without borders and make evidence-based decisions
to deliver solutions that address real patient needs
13
ヒト遺伝子変異は、創薬研究に
全く新しいパラダイムをもたらします
ヒト遺伝子情報と創薬研究の関係:成功確立は向上
14
創薬研究の新しい枠組み :
古い枠組みの撤廃と新しい取り組みへの挑戦 :
今までの研究体制や文化のもとでは、固定概念のために、
ヒト遺伝情報の持つポテンシャルを創薬へ活用できていなかった
探索創薬ユニット
Drug Discovery
Unit
バイオロジー
Discovery
Biology
ケミストリー
Discovery
Chemistry
薬理
Discovery
Pharmacology
“Support”
遺伝子情報
ユニット
“Guide”
バイオマーカー
ユニット
“Assist”
統計解析
ユニット
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
“Impact”
“Enable”
スクリーニング
ユニット
…
15
創薬研究の新しい枠組み :
古い枠組みの撤廃と新しい取り組みへの挑戦 :
今までの研究体制や文化のもとでは、固定概念のために、
ヒト遺伝情報の持つポテンシャルを創薬へ活用できていなかった
Drug Discovery
Unit
Drug Discovery
Unit
Drug Discovery
Unit
Drug Discovery
Unit
Discovery
Discovery
Discovery
Discovery
Biology Drug DiscoveryBiology Drug DiscoveryBiologyDrug Discovery Biology
Unit
Unit
Unit
Discovery
Discovery
Discovery
Discovery
Discovery
Chemistry Discovery Chemistry Discovery Chemistry
Chemistry
Biology
Biology
Biology
Discovery
Discovery
Discovery
Discovery
PharmacologyDiscoveryPharmacology
Pharmacology DiscoveryPharmacology Discovery
Chemistry
Chemistry
Chemistry
Discovery
Pharmacology
遺伝子情報
ユニット
バイオマーカー
ユニット
Discovery
Pharmacology
統計解析
ユニット
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
Discovery
Pharmacology
スクリーニング
ユニット
…
16
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
 90名の創薬研究者がボストン近郊に集結
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Target
Modulation
Engine
 同じ研究所に集う科学者がヒト遺伝子情報
から創薬を検証
Integrated
Biology
Engine
 プレシジョン・メディスンのパイプラインと
ポートフォリオに集中
 “バイオベンチャー様“の文化と、何十年に
及ぶ我々の経験と実績
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
17
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
薬剤開発につながるデータ
ヒューマンバイオロジーから
創薬標的とバイオマーカーを同定・検証
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Target
Modulation
Engine
ビックデータ
解析
臨床データ
サイエンス
統合的な
神経遺伝学
Integrated
Biology
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
18
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
ヒューマンバイオロジーへの洞察が与えるインパクト
創薬標的の検証および個別化医療のための
バイオマーカー研究
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
薬理学
(in-vitro & in vivo)
機能遺伝学
トランスレーショナル
研究
In vitro cell biology
iPSC based methods
Systematic gene editing
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Integrated
Biology
Engine
Immune phenotyping
NextGen Sequencing
Functional
genomic target
validation
Dense phenotyping
Target
Modulation
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
Model organisms
Proteomics
19
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
今まで創薬が困難だったターゲットからの薬剤開発
活性が高くかつ選択的な化合物を見出すための
革新的なスクリーニングシステムの確立
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Target
Modulation
Engine
アッセイ法の
確立
構造生物学 &
ケミカルバイオロジー
化合物
スクリーニング
Integrated
Biology
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
20
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
化合物を“新薬”へ
低分子化合物を"薬"に醸成させる
エーザイ・ケミストリー力をフル活用
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Target
Modulation
Engine
メディシナル
ケミストリー
複雑な構造の
薬剤合成
新規な
化合物ライブラリー
Integrated
Biology
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
21
エーザイ AiM 研究所:
ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究に焦点を当てた革新的な研究所
適正な薬を必要な患者様に提供
定量分析、薬物と標的との結合確認、
作用機序、反応
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
Target
Modulation
Engine
PET
トレーサー
イメージング
遺伝学
機能
イメージング
Integrated
Biology
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
22
エーザイ AiM 研究所:ユニークかつ柔軟な起業精神あふれる
共同研究モデルを介して外部環境を有効活用
Human
Biology &
Data
Sciences
Engine
Integrated
Chemistry
Engine
Eisai
AiM
Institute
オープンイノベーション
Integrated
Biology
Engine
研究関連
コンソーシアム
基礎研究段階での
共同研究
サイエンティフィック
パートナーシップ
Target
Modulation
Engine
Imaging
Center of
Excellence
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
サイエンス・トレーニング
プログラム
23
ヒト遺伝学と免疫-認知症:
アミロイドとタウ仮説の先にある次世代治療法に着手
大規模ヒトゲノムデータの解析により認知症における免疫機能不全が注目されている
 認知症のリスク遺伝子の客観的な遺伝子解析で
最も因果関係がありそうな経路
 幾つかの共通かつまれな遺伝子変異が、認知症
リスクと関連する免疫系遺伝子に見つかっている
 画像などを用いた機能解析システムの利用は
分子メカニズムの解明に有用
 臨床確度の高いバイオマーカーは、患者様の
層別化に有用
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
Gene editing, functional genomics
and “disease in dish” models
24
仮説:
免疫食作用仮説 (Immuno-phagocytosis hypothesis)
がん免疫チェックポイント
Immuno-oncology
checkpoint
Immuno-dementia
checkpoint?
認知症免疫チェックポイント?
タウ
Ab
Cell debris Aβ
Tau 細胞の破片
がん細胞
Tumor
cell
XXXX
PD-L1
MHC
PD1
TCR
XXXX
Cytotoxic activity
細胞毒性
細胞傷害性T細胞
Cytotoxic T cell
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
Phagocytosis
食作用
ミクログリア
Microglia
25
仮説:
免疫食作用仮説 (Immuno-phagocytosis hypothesis)
Bioparticle Phagocytosis
pHrodo-labeled bioparticles
Ab Phagocytosis
Aggregated fluor-labeled Ab peptide
Eisai AIM Institute neuro-immunology lab
エーザイAiM研究所は、プレシジョン・メディスンの臨床導入候補品を3-5年で創出するために、
ヒト遺伝子情報により検証された創薬プログラムを始動
Eisai AIM Institute: Andover Innovative Medicines
(I) Human Biology; (II) Chemistry Innovation; (III) Entrepreneurial Collaboration
26
認知症の新薬開発は、一般に、費用がかかり、リスクがあり、長い時間が掛かる
ヒト遺伝子変異は認知症治療薬研究に新しいパラダイムを引き起こす
(i) 新規な薬剤標的の同定によるより高い薬効への期待
(ii) 患者様により良いベネフィットをもたらす創薬標的との整合性
エーザイAiM研究所は、ヒト遺伝子情報に基づいた全く新しい創薬研究を行う
我々は、免疫-認知症の患者様に、ヒト遺伝子情報に基づいた創薬研究を通じて
より良い新薬の提供をめざす
27
27
カン研究所研究戦略
統合細胞生物学による真に新しい創薬ターゲット探索
フラクタルカインプラットフォームとEphA4プラットフォーム
エーザイ サイエンティフィック デイ
株式会社カン研究所 代表取締役社長
兼 チーフサイエンティフィックオフィサー
今井 俊夫
| 28 28
カン研究所
 多面的学問手法による細胞生物学を強みとし、ワールドクラスの創薬
研究による立地創出
 真に新しい創薬ターゲットを見出し、統合細胞生物学による病態生理
機能の解明
 抗体および核酸による医薬品開発に注力し、細胞治療の実現
| 29
カン研究所の研究
統合細胞生物学による創薬
新規のターゲットと革新的な治療法探索のため、神経生物学、免疫学、腫瘍
生物学を用いた統合細胞生物学を強みとする研究の推進
新規ターゲット・
新規治療法
Pathways
Functional Unit
シナプス微小環境
神経炎症・免疫遺伝学
Effectors
神経再生
Information
| 30
脳の微小環境に着目した統合細胞生物学
シナプス微小環境の異常制御
病気の元となる未確認の細胞および
分子の発見(アミロイド、リン酸化タウ)
環境要因
ゲノム変異
血管
着目する細胞: シナプス、アストロサイト、
ミクログリア、末梢の免疫細胞
異常アストロサイト
浸潤免疫細胞
アミロイドβ
アミロイドβ
異常シナプス
リン酸化タウ
リン酸化タウ
異常ミクログリア
細胞死
| 31
神経細胞脱落の新たな理論: E6011の役割?
フラクタルカインを介した免疫細胞の脳への浸潤
フラクタルカインは血管に発現するケモカイン
その受容体CX3CR1は特殊な免疫細胞の浸潤に関わる
細胞の捕獲と強固な接着
偵察
E6011: 抗フラクタルカイン抗体
細胞浸潤
炎症&活性化
免疫細胞
浸潤増強
Aβ
シナプス脱落
炎症起点形成
細胞死抑制
神経細胞死
| 32
E6011(抗フラクタルカイン抗体): 作用メカニズム
E6011は血管内皮上に接着した炎症惹起細胞を除去し、免疫細胞の浸潤を抑制
E6011によるオキサゾロン誘導大腸炎モデルにおける血管内皮細胞上の
クローリング/接着マクロファージの剥離
Hoechst
| 33
E6011 フェーズIb試験:
関節リウマチに対する臨床活性
投与後12週における奏効率(ACR*)
(%)
100
100mg (n=12)
200mg (n=15)
50
0
ACR 20
ACR 50
ACR 70
投与後12週、200 mg投与群の20%がACR70を達成
現在、追加用量(400 mg)を評価中
*ACR: American College of Rheumatology で作成された関節リウマチ臨床症状改善度の基準
| 34
E6011 フェーズIb試験:
クローン病に対する臨床活性
Proportion of patients (%)
投与後12週での臨床反応性と寛解率
CR-70
CR-100
Remission
60
40
20
0
2 mg/kg
5 mg/kg
(Cohort 1) (Cohort 2)
(1/5 1/5 0/5) (2/7 1/7 0/7)
10 mg/kg
(Cohort 3)
(4/6 4/6 3/6)
10 mg/kg投与で高寛解率を達成
現在、15 mg/kgを評価中
| 35
E6011:新たなサイエンスによる
アルツハイマー型認知症(AD)への挑戦
末梢血管
単球
血液脳関門
ミクログリア
ミクログリア
Abプラーク
マクロファージ
神経細胞
仮説
• ミクログリアはADのリスク遺伝子を
発現していることがよく知られている
• しかし、ミクログリアの単一集団性は
未解明
• 同様に浸潤した単球がリスク
遺伝子を発現している可能性
研究ステップ
• 単球のADへの関与を立証
→ E6011がADの薬剤候補へ
• コンディショナルノックアウトを用いて
薬理学的な検証を進める
中枢神経系
| 36
EphA4をターゲットとしたシナプス修飾薬
g-セクレターゼ阻害-アルツハイマー型認知症(AD)治療の古典的な概念
Ab42 オリゴマー
シナプス
AD
ニカストリン
Ab42
BACE
Pen-2
プレセニリン
Aph-1
APP
g-セクレターゼ
• g-セクレターゼ阻害は、アルツハイマー型認知症の治療戦略であった
• 一方で、プレセニリン1/プレセニリン2の両ノックアウトマウスでは、
アルツハイマー型認知症様の神経変性が見られる
•
g-セクレターゼ阻害剤投与の臨床試験においてアルツハイマー型認知症患者様の
認知機能低下
| 37
g-セクレターゼの新規基質探索: EphA4経路
軸策
シナプス
仮説:
樹状突起
g-セクレターゼ阻害によるシナプス機能不全
神経
軸索
g-セクレターゼの鍵となる基質:EphA4
シナプス
EphA4
g-セクレターゼ
樹状突起
EphA4の切断により、正常な樹状突起棘の
機能が調整される。
AD患者様ではEphA4の切断が減少
EphA4切断促進はAD治療薬候補か?
シナプスの維持
&
脳の恒常性維持
Inoue et al., J. Cell Biol., 2009
| 38
EphA4の切断促進因子:
アルツハイマー型認知症(AD)の新しい治療
軸策
EphA4/Ephrin
相互作用
EphA4
切断
(好ましくない状態)
(好ましい状態)
研究開発目的:
EphA4切断の促進によりシナプスの安定化を誘導
| 39
非臨床データでは
切断されたEphA4はシナプス密度を増加
コントロール
切断されたEphA4
Bar: 5mm
In-vitro データ
(ラットから取得した神経細胞)
| 40
総括
 統合細胞生物学コンセプトに基づく、真に新しい創薬分子の探索
 関節リウマチ、クローン病の治験によりMOAが立証されたフラクタルカイン
コンセプト(E6011)のアルツハイマー型認知症(AD)治療への展開
 EphA4切断促進によるAbコンセプトの次を行く新規治療確立の推進
 革新的な新薬で患者様の希望を創出
| 41
筑波研究所:
アルツハイマー型認知症/認知症患者様の
トータルケア実現に向けた、神経栄養因子、タンパク変性、
新しい神経伝達経路プラットフォームにおける強み
エーザイ サイエンティフィック デイ
ニューロロジービジネスグループ
チーフディスカバリーオフィサー
木村 禎治 Ph.D.
42
アミロイド、タウの先にある、次なるアプローチ
シナプス回復剤
早期AD
認知機能
抗タンパク変性剤
E2609*1、BAN2401*2
Aducanumab*3
タウ プログラム
軽度AD
中等度AD
高度AD
症状改善薬
アリセプト
ADの典型的な進行
年齢
 シナプス回復剤はシナプス機能を復活させるだけでなく、
病態の進行を遅延させる可能性
43
AD:アルツハイマー型認知症
*1 Biogen社との共同開発
*2 Biogen社、BioArctic社との共同開発
*3 Biogen社が開発中(エーザイはオプション権を保有)
神経栄養因子機能強化のコンセプト
 神経成長因子(NGF)遺伝子治療によりAD患者様を対象とした
フェーズI試験でMMSEとADAS-cogスコアが改善
•
•
•
•
M. H. Tuszynski, et. al., Nature Medicine, 2005, 11, 551.
H. Malkki, Nature Reviews Neurology, 2015, 11, 548.
D. Ferreira, et. al., J Alzheimers Dis. 2015, 43, 1059.
A. Karami, et. al., Alzheimer’s & Dementia, 2015, 11
 AD11動物モデル(NGF慢性枯渇)でAD様の病理が示された
1. コリン作動性ニューロンの欠損
2. Aβと神経原線維変化の蓄積
NGFの脳室内投与によってこれらの症状が減弱
44
どのようにして神経栄養因子増強剤が効果を示すか?
タウのトランスジェニック動物モデル(P301S)で下記のことが示されている
• コリン作動性ニューロンの欠損
• コリン作動性プレシナプスの減少
神経栄養因子増強剤の効果
• 中隔内に ChAT(コリンアセチルトランスフェラーゼ)陽性細胞が出現
• 海馬中にVAChT(小胞アセチルコリントランスポーター)が出現
神経栄養因子増強剤
細胞体ダメージから救う
プレシナプスの機能改善
 神経栄養因子増強剤はニューロン細胞死を防ぐと同時に
シナプス機能改善を示した
45
サマリー
 シナプス回復剤はシナプス機能を復活させるだけでなく、
病態の進行を遅延させることが可能
 ある低分子化合物はタウトランスジェニック動物モデルで
細胞死を防止するとともにシナプス機能改善効果を示した
 神経栄養因子増強剤はADの疾患修飾として
新たな治療パラダイムを開拓する可能性を有する
立地 5: シナプス微小環境
神経栄養因子プラットフォーム
タンパク質間相互作用制御プラットフォーム
神経栄養因子賦活剤、EphA4プロセシング増強剤、その他のプロジェクト
46
疾患修飾剤の開発への挑戦
APP
ニューロン再生
ミクログリア活性化
Aβ
アミロイド
Aβ蓄積
神経炎症
Aβプロトフィブリル
P P
tau
シナプス機能障害
P P
ミトコンドリア
タウ リン酸化凝集
タンパク質恒常性
タウ
神経回路/ネットワーク機能障害
細胞死
神経障害
細胞代謝
47
シナプス
認知症
アミロイド仮説へのアプローチ: E2609*1とBAN2401*2
シナプス機能障害と消失
プロトフィブリル
細胞外
アミロイドプラーク
細胞内
神経原線維変化
γ-セクレターゼ
タウ
一対のらせん状
フィラメント
48
*1 Biogen社との共同開発
*2 Biogen社、BioArctic社との共同開発
E2609* : ADの治療ターゲット
BACE1によるAPP切断のヒト遺伝的検証
遺伝的BACE阻害は、アミロイドを減少させ、その結果アルツハイマー型認知症を予防し、
認知機能低下を遅延させる可能性がある
APP遺伝子の希少遺伝子機能変形がアイスランドで発見された
BACE1によるAPP切断が
約40%減少*1
ADの進行リスクが約75%減少*1
 適切なタイミングでの適切な患者様におけるBACEの薬理的阻害は、アミロイドを減少させ、
その結果アルツハイマー型認知症を予防し、認知機能低下を遅延させる可能性がある
*1: T. Jonsson, et. al., Nature. 2012 Aug 2;488(7409):96-9.
49
* Biogen社との共同開発
*
E2609 : 動物からヒトへのトランスレーション
E2609による
Aβ減少の用量反応(動物実験)
フェーズI連投試験(MAD試験)における
CSF中のAβ量の変化(用量反応)
社内データ
 脳内Aβ量の減少は、CSF中Aβ量の減少
と相関関係がある
50
* Biogen社との共同開発
 臨床試験における14日間のE2609投与
においてベースラインと比較してCSF中の
Aβ量は用量依存的に減少
*
BAN2401 : 特性
アミロイドプロトフィブリルの定義:
• 80-500 KDa
• 18-114 mers
• 長さ: 1.8-3.0 nm
PLoS ONE, 2012, 7, e32014
• 直径: 25-40 nm
各アミロイドとの親和性
• プロトフィブリル: IC50 1.1 nM
• モノマー: IC50 40000 nM
毒性
• in vitro試験では、プロトフィブリルは細胞毒性を誘発
• プロトフィブリルは、同齢の対象群と比較すると、AD患者様で統計学的有意差を
もって高水準で発生
抗アミロイド抗体の比較
BAN2401
Aducanumab
Solanezumab
Bapineuzumab
Crenezumab
Gantenerumab
エピトープ
構造的
N末端
MIDドメイン
N末端
MIDドメイン
N末端
オリジン
ヒト型
ヒト
ヒト型
ヒト型
ヒト型
ヒト
アイソタイプ
IgG1
IgG1
IgG1
IgG1
IgG4
IgG1
ターゲット
プロトフィブリル
繊維状オリゴマー
溶解性Ab
単量体繊維状
オリゴマー
単量体繊維状
オリゴマー
繊維状オリゴマー
MOA
ミクログリア媒介
クリアランス
ミクログリア媒介
クリアランス
シンク効果
ミクログリア媒介
クリアランス
ミクログリア媒介
クリアランス
ミクログリア媒介
クリアランス
BiogenのAD/PDプレゼンテーション資料(2015) を改編
51
* Biogen社、BioArctic社との共同開発
BAN2401*: 作用機序
 ミクログリアを介してアミロイドが除去されていることが示唆される
Alzheimer‘s Association International Conference (AAIC) 2013で発表
June Kaplow et al, Bradford Navia et al
社内データ
 SPECTイメージング分析では、12週間のmAb158投与により脳領域、
特に海馬と皮質の神経の健康状態を示すマーカーに大きな改善が見られた
52
* Biogen社、BioArctic社との共同開発
タウ仮説に基づくアプローチ
Aβ産生阻害剤
Aβ – タウ経路
阻害剤
エーザイはタウを標的とした自社創製プロジェクト、
および社外パートナーとの共同プロジェクトを進行中
キナーゼ
阻害剤
神経保護
物質
凝集阻害剤
アミロイドベータ

加齢
過剰リン酸化
微小管動態
神経細胞死
凝集
シナプス損傷
微小管
安定化
クリアランス
エンハンサー
伝達
伝達阻害剤
シナプス機能
エンハンサー
既存
ターゲット
53
未確認
ターゲット
微小管動態
過剰リン酸化

凝集
神経細胞死
抗タウ抗体のコンセプト
ミスフォールドシード
モノマー
タウの播種と拡散を防ぐ
抗体
= タウ
 ミスフォールドしたタウの細胞間伝達が、病変の拡散を引き起こす
 タウを標的とする治療抗体が、多数のタウオパチーにおいて病変的タウ播種と
拡散を抑制
例: アルツハイマー型認知症、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺 など
54
前臨床モデルにおけるコンセプト検証
タウシードを注入
タウシードが脳全体に
分散しタウ凝集を
誘発
プライマリーシーディングに対する阻害:
抗体とP301Sタウシード混合剤を
トランスジェニックモデル動物に
脳内投与すると海馬内の不溶性タウが
減少
セカンダリーシーディングに対する阻害:
P301Sタウシードの脳内投与前/後に
抗体を腹腔内投与すると
大脳皮質内の不溶性タウが減少
 タウシードが、不溶性タウ凝集を誘発する
 抗体がタウシードを捕らえ、タウシードの細胞間の拡散を阻害する
 抗体によりニューロン内の不溶性タウ凝集が減少
55
サマリー
 遺伝学研究がAD治療のBACEコンセプトの裏付けとなる
 E2609*1の作用機序が前臨床モデルから臨床試験に橋渡された
 前臨床試験において、BAN2401*2における作用機序と機能効果が実証された
 抗タウ抗体により、タウの細胞間播種・拡散仮説は立証された
立地 3: タンパク変性
トランスレーショナルスタディは、ゲノム編集細胞/動物モデルにおける
機能(行動、脳波、fMRI)と病理生物学(アミロイドやタウのPET) にリンクする
E2609, BAN2401, タウプロジェクト, アルファシヌクレインとTDP-43プロジェクト
56
*1 Biogen社との共同開発
*2 Biogen社、BioArctic社との共同開発
正常対照
睡眠効率 %
Lemborexant*:
ADにおける睡眠障害はサーカディアンリズム異常の一部
MMSE スコア
睡眠効率 %
時間 (10分間隔)
時間 (10分間隔)
CSF オレキシンレベル pg/ml
A. Satlin et al., Neurobiol. Aging, 1995, 16, 765
Liguori et al, JAMA Neurol. 2014;71(12):1498-1505.
 ADの患者様は、睡眠覚醒断片化症状がある
 睡眠効率は、認知機能と正の相関関係にある
 睡眠効率は、脳髄液のオレキシンレベルと負の相関関係にある
LemborexantにはAD患者様の睡眠覚醒断片化の改善効果が見込まれる
57
* Purdue Pharmaとの共同開発
E2027: PDE9阻害剤
グルタミン酸作動性神経ネットワーク
グルタミン酸作動性神経
海馬
シナプス領域
グルタミン酸作動性神経
GTP
GC
cGMP:サイクリック環状グアノシン一リン酸
GC:グアニリルシクラーゼ
NO:一酸化窒素
PKG:プロテインキナーゼG
cGMP
5’-GMP
PDE9
PKG
シナプス前細胞
NMDA R
Glu
Glu
5’-GMP
Ca2+
NO
PDE9
cGMP
Na+
Glu AMPA R
NOS
GC
GTP
PKG
シナプス後細胞
 PDE9は、複数の神経伝達物質系の下流にあるcGMPシグナルを制御する
 E2027は、認知障害や精神神経系症状における治療ベネフィットをもたらすことが
期待されている
58
E2027: 薬理学的な特徴
強力かつ高い選択性を持つ PDE9阻害剤
PDE9 IC50: 0.0035 μM; 他のPDEと比較して1000倍超の選択性
海馬におけるcGMP
プラセボ
野生型の動物
プラセボ
3
10
E2027 (mg/kg, p.o.)
Tg2576動物
Contextual fear conditioning試験
プラセボ
野生型の動物
プラセボ
3
10
E2027 (mg/kg, p.o.)
Tg2576動物
*: p<0.05 compared
#: p<0.05 compared
59
Tg2576マウスで、海馬におけるcGMPの減少が認められた
E2027は海馬におけるcGMPの減少を改善した
E2027はTg2576マウスでContextual fear conditioning試験における記憶障害を改善した
認知機能の改善はCSF中のcGMPレベルとの関連性がある
サマリー
 オレキシン経路は、睡眠-覚醒サイクルを司る鍵となる経路である
 Lemborexantは、認知症患者様の睡眠覚醒断片化の改善の
可能性を持つ
 PDE9阻害剤 E2027は、複数の神経伝達物質によるシグナルを
調整することによって認知機能と精神神経系の症状改善の
可能性を持つ
立地2: 新しい神経伝達経路
AMPA プラットフォーム、オレキシン プラットフォーム、PDE プラットフォーム
60
筑波研究所の低分子化合物ディスカバリー力
細胞ベースのハイスループットスクリーニング(HTS)
フラグメント分子ベースの薬剤設計(FBDD)
FBDDアプローチによるヒット化合物の
検出
独自の化合物ライブラリー
フラグメントライブラリーデザイン
]
独自のアッセイ系
新規のヒット化合物
HTSからのエーザイ初の製品化を達成
ステップ1:広範な機能性アンタゴニスト捕集のためのAMPA誘導性の細胞死アッセイ
ステップ2:競合的アンタゴニストを排除するための3H-AMPAバインディングアッセイ
タンパク質立体構造情報ベースの薬剤設計(SBDD)
PDE9親和性アッセイ
ヒット化合物
X線構造解析
 フラグメントスクリーニングによる有望なフラグメントの同定
コンピューター支援型薬剤設計
SBDDアプローチの統合
 X線構造解析をシード化合物
の構造学的開発に効率良く
役立たせる
 Gタンパク質共役
受容体(GPCR)
ライブラリーと
パネルアッセイを
併せた独自の方法
]
 タンパク質間相互作用等従来の創薬方法論では困難と考えられてきた
創薬標的に対して、上記種々のアプローチで低分子化合物を見つけ出す
エーザイのケミストリー力
61
臨床ステージにある
アルツハイマー型認知症と認知症領域の
パイプラインにおける進展
エーザイ サイエンティフィック デイ
ニューロロジービジネスグループ
チーフクリニカルオフィサー兼チーフメディカルオフィサー
リン・クレイマー
62
MD、FAAN
アルツハイマー型認知症と認知症の
「トータルケア」をめざす強力なパイプライン
前臨床
立地 2: 新しい神経伝達経路
オレキシン
プラットフォーム
AMPA
プラットフォーム
PDE
プラットフォーム
フェーズⅠ
POC/フェーズII
E2027
BAN2401
ピボタル/フェーズIII
アリセプト
早期AD
抗Aβプロトフィブリル
モノクローナル抗体
認知症
PDE9阻害剤

上市
AD/DLB
AChE阻害剤
2016年度3QまでにLPI予定(800例)
立地 3: タンパク変性
タウ
プラットフォーム
α-シヌクレイン
プラットフォーム
E2609
TDP-43
プラットフォーム
早期AD
BACE阻害剤
立地 4: 神経炎症および免疫ジェネティクス
免疫-認知症
プラットフォーム
機能ゲノミクス
およびゲノム編集
プラットフォーム
フラクタルカイン
プラットフォーム
立地 5: シナプス微小環境
神経栄養因子
エンハンサー
プラットフォーム

E6011
立地 6: ニューロン再生
遺伝子改変グリア細胞移植プラットフォーム
Aducanumab
早期AD
抗Aβ抗体
AD/認知症への適応拡大の可能性

Biogen社が開発中:
エーザイは共同開発・共同販促のオプション権を保有
Lemborexant
AD/認知症に伴う
睡眠覚醒断片化
オレキシン受容体拮抗剤


63
2016年7月にFDAとEnd of Ph II ミーティング予定
フェーズIII試験の開始に向けて準備中
関節リウマチ/クローン病
抗フラクタルカイン
モノクローナル抗体

EphA4
切断エンハンサー
プラットフォーム

FDAとプレINDミーティングを2016年7月に予定
2016年度3QにフェーズⅡ試験開始予定
E2609: Biogen社との共同開発 BAN2401: BioArtic社、Biogen社との共同開発 Lemborexant: Purdue Pharmaとの共同開発
各種診断法を段階的に適応することにより
早期アルツハイマー型認知症治療につなげる
疾患修飾療法の対象となる「早期アルツハイマー型認知症」患者様をどう特定するのか?
潜在的な患者様
ウェブテスト、
ウェアラブルデバイス、
スマートフォンによる測定など
ステージ 1: より早期のステージの患者様を
見つけるための在宅スクリーニング法
(例:一般的な兆候)
院内でのコンピューターを用いたテストや
簡易アンケート
ステージ 2: かかりつけ医による認知症の
スクリーニング法(例:簡易スクリーニング)
アミロイドPETイメージング
ステージ 3: AD専門医によるガイドラインに則した
特定診断法(例:確定検査)
段階的にCSFを用いた体外診断に
置き換わる可能性はあるが、
診断の簡便性や侵襲性の改善が望まれる
早期AD
「疾患修飾」による治療
64
E2609* 作用機序のコンセプト
アミロイドカスケード仮説
シナプス機能障害と消失
アミロイドカスケード仮説
Aβオリゴマー
APP
BACE
Aβ
細胞外
E2609
アミロイドプラーク
細胞内
神経原線維変化
γセクレターゼ
P
タウ
P
P
P
P
P
一対のらせん状
フィラメント
65
* Biogen社との共同開発
E2609* フェーズII試験の進展

202試験 (外来患者様対象試験)



202試験の結果



66
多施設共同、外来患者様対象試験
フェーズⅡ試験では、25%, 50%, 75%のBACE阻害を達成するため、
PK/PDモデルに基づき、投与量は 5mg, 15mg, 50mgを選択
すべての用量で予備的な安全性を確認
CSFおよび血漿のPK/PDデータにより、これまでのフェーズⅠ試験と
フェーズⅡ試験から導かれたモデルを確認
–CSFと血漿において期待されたレベルのアミロイドベータの阻害が認められた
フェーズⅠ試験およびフェーズII試験の安全性、PK/PDデータの解析により、
最適用量を見出した
* Biogen社との共同開発
E2609* フェーズIII試験開始に向けて準備中
67

試験デザインについて
 当局とEnd-of-phase II ミーティングにて試験デザインを協議予定
FDA (米国)
2016年7月
EMA (欧州)
2016年度3Q
PMDA (日本) 2016年度3Q

デザインコンセプトの候補
 グローバル、多施設共同、外来患者様対象試験
 プラセボ対照
 24カ月投与
 主要評価項目:CDR-SB
 規制当局と協議して効率化された開発シナリオを検討中
* Biogen社との共同開発
BAN2401* 作用機序のコンセプト
抗Aβプロトフィブリル抗体
アルツハイマー型認知症の免疫療法のために作られた
Aβプロトフィブリルに対する抗体
ADDLs
Ab*56
オリゴマー
LMW-Ab
(8-20 kDa)
Abフィブリル
グロブロマー
スフェロイド
(20-100 kDa)
Abモノマー
(4 kDa)
Aβプラーク
可溶性
BAN2401
不溶性
Protofibrilar Pores
プロトフィブリル
(> 100 kDa)
プラークにより引き起こされる毒性:
 ニューロンの神経毒性(in vitro)
 LTPの阻害(in vitro/in vivo)
 記憶障害(in vivo)
Prof. Lars Lannfelt
68
* Biogen社、BioArctic社との共同開発
BAN2401*1 フェーズⅡ試験デザインと現在の状況

フェーズII試験 (201試験):
有効性と用量/投与スケジュール設定試験


固定されたバーンイン期間:最初の196例の患者様登録は
固定割り付け
レスポンス アダプティブ ランダム化




69
ベイジアンアダプティブデザイン

196例の患者様登録にて開始[1回目の中間解析 (IA)]
250例で次のIAを実施し、その後も目標症例数まで
50例ごとにIAを実施
すべての患者様が12カ月間の投与が終了するまで
目標症例数の登録完了後も3カ月ごとにIAを実施
IA実施ごとに無益性を判断
350例でのIAから、Early successの判断を開始
ADに関する新しい取組み

レスポンスアダプティブランダム化は、 IA結果に基づき、
患者様をより適切な用量群に割り付けることで、治験
担当医や治験審査委員会(IRB)、患者様にとって
より受容性が高い効率的な試験につながる

目標症例数の登録





Andrew Satlin et al, Alzheimer's & Dementia: Translational
Research & Clinical Interventions, Volume 2, Issue 1,
January 2016, Pages 1–12
よりロバストな結果をもって試験が完了すれば
レギュラトリー上の試験の有用性が増す
IAにおけるSuccessの判断のために必要な最低限のパーセンテージ減少
中間解析(IA)
におけるn 数
ベイジアンアプローチ
650
63 %
700
62 %
750
61 %
800
59 %
95%閾値推定
800 +
3カ月
57 %
800 +
6カ月
54 %
既存のアプローチ*2
共分散分析
現在の状況
800 + 9カ月
52 %
 2016年6月に11回目のIA(700例)実施
800 + 12カ月
38 %
 2016年度3QまでにLPI(800例)予定
 フェーズII試験結果がポジティブな場合、将来のピボタル試験にどのように活用するかについて、
当局と引き続き協議中
*1 Biogen社、BioArctic社との共同開発
*2 フェーズIII試験では25~30%の範囲の差異が期待されている
54 %
アルツハイマー型認知症/認知症における
併用療法の可能性を追究
将来可能性がある併用の事例
Aβ 産生の阻害
(BACE阻害剤)
阻害
アミロイド前駆体
タンパク (APP)
併用
毒性のあるオリゴマーAβの除去
(抗Aβ抗体)
消去
Aβオリゴマー
Aβプラーク
将来可能性がある併用の他の事例
•
•
•
BACE阻害剤 +抗タウ抗体、 BACE阻害剤 + タウ凝集阻害剤、抗Aβ抗体 +抗タウ抗体
タンパク変性をターゲットとした疾患修飾剤と神経炎症/免疫ジェネティクス、もしくはシナプス微小環境をターゲットとした
薬剤の併用
疾患修飾剤 + 症状改善剤
 併用療法で治療が向上する可能性
• 単剤療法よりも治療効果向上の可能性や同等の効果で安全性向上の可能性(投与量の調節が有害事象を低減)
 多くの組み合わせによる併用療法が患者様ニーズに合った個別化医療の提供拡大に貢献する可能性
 併用療法が開発の加速と開発プログラムにおけるコスト低減に貢献する可能性
• 2X2 (1トライアル)-要因分析法が単剤、併用のどちらともに貢献する可能性
• 併用療法がラベル拡大に貢献する可能性
• 併用療法につづく単剤療法(治療効果もしくは用量調節におけるライフサイクルマネジメント単剤療法のプログラムによる)
 最終目標:この複雑な疾患における予防/治癒に向けた治療法の確立をめざす
70
Lemborexant*
認知症における睡眠覚醒断片化と一般的な不眠症を同時に開発
認知症における
睡眠覚醒断片化
認知症における睡眠断片化の
適応を取得した最初の製品をめざす
睡眠覚醒断片化は不眠症ではない
診断上も不眠症とは区別されている
一般的な不眠症
高齢者を対象として
ユニークにポジショニングされた
ベストインクラスの
不眠症治療剤をめざす
71
* Purdue Pharmaとの共同開発
既存の治療薬では満たされていないアンメットニーズ
• 認知症に伴う睡眠覚醒断片化の新たな治療薬となる可能性
• 睡眠覚醒断片化は、施設入居の契機となる行動障害と関連性が
あると考えられている
• 承認された薬がないため、認知症患者様が抗精神病薬を含む薬の
適応外使用によるリスクにさらされている
• 不眠症の臨床開発プログラムをレバレッジとして速やかに上市へ
• フェーズⅡ試験デザイン(予定): 睡眠効率と覚醒効率を主要評価項目
とした多施設共同プラセボ対象二重盲検試験
睡眠覚醒断片化に関するFDAとのプレINDミーティング 2016年7月
IND提出
2016年度2Q
フェーズⅡ試験開始
2016年度3Q
フェーズⅢ試験開始予定
2017年度
承認見込み
2020年度以前
差別化の可能性
• ゾルピデムとの直接比較試験における安全性プロファイルの優越性
• ゾルピデムとの直接比較試験における睡眠効率の優越性(睡眠維持と
潜在入眠)
• 翌朝の運転への影響がないこと
ピボタル試験の開始
2016年度5月
承認見込み
2020年度以前
E2027はPDE9を阻害し脳内cGMPを増加
 cGMPは学習と記憶において重要な役割を担う二次メッセンジャー
 ホスホジエステラーゼ9(PDE9)はcGMPを特異的に分解し、脳内の
cGMPシグナリングを制御
 PDE9は脳内の認知経路で豊富に発現
 認知障害の患者様の脳内及びCSF内でcGMPが減少
 PDE9阻害剤が認知経路内のシグナリングを強化
E2027
PDE9阻害剤
72


フェーズI試験にて予備的なproof-of-mechanismが認められた
認知症患者様の認知機能と認知症の周辺症状(BPSD)の
改善を企図した追加の臨床試験について試験デザインを計画中
上市目標:
2020年度以降
アルツハイマー型認知症/認知症関連領域
5つのアセットの概要
疾患洞察にもとづく病態制御

E2609
Biogen社と共同開発
BACE阻害剤


BAN2401
Biogen社と共同開発
抗Aβプロトフィブリル抗体
Aducanumab




(BIIB037, Biogen社)
抗Aβ抗体

サポーティブケアと
認知機能改善

Lemborexant
Purdue Pharmaと共同開発
オレキシン受容体拮抗剤
E2027
PDE9阻害剤
73




フェーズⅠ・Ⅱ試験の安全性、PK/PDデータの解析により、最適用量を
見出した。全ての用量において、予備的な安全性と、CSFと血漿において
期待されたレベルのアミロイドベータの阻害が認められた。
2016年度7月にFDAとのEnd of Phase II ミーティングにて、
フェーズⅢ試験のプロトコル概要の協議を予定
フェーズⅢ試験開始に向けた準備に着手した
2016年6月に11回目(700例)の中間解析を実施
2016年度3Q LPI予定(800例)
フェーズⅡ試験結果がポジティブな場合、将来のピボタル試験に
どのように活用するかについて、当局と引き続き協議している
上市目標
2020年度以降
の早い時期
早期AD患者様を対象とした2本のフェーズⅢ試験が進行中
(18カ月での主要エンドポイントの評価)
エーザイが共同開発と共同販売のオプション権を保有
2016年度5月に不眠症に関するフェーズⅢ試験を開始
登録患者様には高齢の患者様を含む
認知症患者様の半数以上は睡眠障害を発症しており、睡眠と認知症の
関係が示唆されている*
2016年7月に睡眠覚醒断片化に関するFDAとのプレINDミーティングを予定、
2016年度3QにフェーズII試験開始予定
上市目標
2020年度以前
フェーズⅠ試験で予備的なproof-of-mechanismが認められた
認知症患者様の認知機能と認知症の周辺症状(BPSD)の改善を
ターゲットとした追加の臨床試験デザインを策定中
上市目標:
2020年度以降
E2609: Biogen社との共同開発 BAN2401: BioArtic社、Biogen社との共同開発 Lemborexant: Purdue Pharmaとの共同開発
* Liguori C et al. JAMA Neurol. 2014 Dec;71(12):1498-505.
オンコロジー領域における
立地とイノベーション
エーザイ サイエンティフィック デイ
オンコロジービジネスグループ プレジデント
井池 輝繁
74
エーザイ オンコロジービジネスグループ
PainからGainへ –充足すべきhhcニーズ–
治癒への望み
• 私の究極的な願いは、このがんを治癒させることですが、しかしそれは現実的ではないでしょう。私が
望むものは、できるだけ長い時間です。ハラヴェンは、私に時間をもたらしてくれました。それについて、
本当に感謝しています。私に家族と過ごすかけがえのない数ヶ月を与えてくれました。
もっとも、それも長くは続かないことは分かっています。
通常の社会生活/日常生活の継続
• 生きることは重要です。生きて何をするかということもまた、重要なのです。
• できるだけ長く、フルタイムの仕事を続けて、私の人生を生きる、これが私
の目標です。私の目標は、全身性化学療法から解放されることです。
経済的圧迫
・ 私と夫は、私の白血病への法外な治療薬と
検査費用(月7千USドル)のため、破産宣告を
受けなければなりませんでした。私が生き続け
るために必要な薬にかかる理不尽な費用は、
私たちから全てのものを奪っていきました。
・ 患者たちは、薬を飲むのを一日おきにしたり、
一月飲まなかったりしています。これらは全て、
経済的な理由によるものです。
75
購入しやすい
価格設定
Pain
副作用
• 抗がん剤治療の副作用は地獄でした。もし、
がんが再発したならば、私はもう抗がん剤治療
は受けたくありません。むしろ喜んでホスピスに
行くでしょう。
• お医者さんに、もし副作用として痺れが出た
ならばどうなるのですか、と尋ねました。しかし
お医者さんの回答は「副作用に対応する方法
はありません」というものでした。
がんを治癒可能、
管理可能な疾患に
日常/社会生活の維持
• 抗がん剤治療の副作用や、社会からの
偏見で、仕事を続けられないのではないか
と不安でした。
• もし私が病気で働けなくなったり、ここに
居られなくなったら、誰が私の家族の面倒
を見てくれるのでしょう。
心理的/精神的な苦痛
• 患者を比べないで欲しい。患者は一人ひとりが違いま
す。
• 手術や抗がん剤よりも、心理的な痛みが辛かった。
• 医者は「あなたのがんは一般的には予後が良いので
すよ」と言うかも知れません。しかし、がんはがん。病気
に対する考えは、医者と患者では全く違います。
• がんが再発するかもしれない・・・。すごく不安です。
患者様の日常
生活の維持に
役立つ解決策
包括的な疾病管理:
心理的/精神的ケア、
テイラーメイド治療、
先進的なケア計画
「患者様プロファイル」チャートは下記出典の「顧客チャート」を元にしてエーザイによって作成された。
Value Proposition Design: How to Create Products and Services Customers Want (Strategyzer)
オンコロジー領域の立地とイノベーション
がん患者様に治癒をもたらすための「センターライン」プラットフォーム
1-2: 骨髄系細胞
(骨髄由来免疫抑制細胞)
立地1. がん微小環境
1-1. 間葉系細胞、腫瘍間質
(細胞分化、がん幹細胞性等)
プラットフォームテクノロジー
• エリブリン プラットフォーム
• モルフォテック抗体 プラットフォーム
• がん幹細胞 プラットフォーム
プラットフォームテクノロジー
• プロスタグランジン/Toll様受容体 プラットフォーム
(骨髄系細胞を標的としたがん免疫 プラットフォーム)
プロジェクト
• E7046 (EP4阻害剤)、その他新規プロジェクト
プロジェクト
• エリブリン+ペムブロリズマブ、エリブリン+PEGPH20、
ハリコンドリン研究、その他新規プロジェクト
1-3: 血管内皮細胞
(異常腫瘍血管)
立地2: がん遺伝子依存性と
スプライシング異常
プラットフォームテクノロジー
• レンバチニブ/キナーゼ阻害剤 プラットフォーム
プラットフォームテクノロジー
• がんゲノミクスプラットフォーム
• スプライシングプラットフォーム
プロジェクト
• レンバチニブ+ペムブロリズマブ、
レンバチニブ+エベロリムス、その他新規プロジェクト
プロジェクト
• FGFR4阻害剤、SF3B1モジュレーター、
その他新規プロジェクト
76 プラットフォーム:「イノベーションにより確立された創薬技術基盤」を指し、ここから一連のプロジェクトが生み出される
がん微小環境へのフォーカス
間葉系がん細胞
上皮間葉転換
間葉上皮転換
がん幹細胞
骨髄系細胞
上皮がん細胞
• 殺細胞抗がん剤
• 第一世代受容体
チロシンキナーゼ阻害剤
血管内皮細胞
血管新生阻害剤
77
リンパ系細胞
免疫チェックポイント
阻害剤
間葉系間質細胞
(繊維芽細胞など)
オンコロジー ディスカバリーエンジン 4サイト
H3 Biomedicine (米国 Cambridge)
がんゲノム プラットフォーム
• がんのドライバー遺伝子や異常な遺伝子発現などのがん遺伝子依存性を同定、検証するための
最先端のゲノミクス、バイオインフォマティクスツール
• がん遺伝子依存性
• スプライシング異常
スプライシング プラットフォーム
• スプライスバリアント特異的な新たなスプライシングモジュレーターを同定するための化合物ライブラリー、
ユニークなハイスループットスクリーニングシステム
筑波研究所
• 異常腫瘍血管
レンバチニブ/キナーゼ阻害剤 プラットフォーム
• キナーゼを標的とする多様な低分子ライブラリー
• 新たな細胞内標的分子を同定するための、レンビマの開発を通じて蓄積した臨床サンプルや
トランスレーショナル研究ツール
• 免疫抑制性骨髄系細胞
がん幹細胞 プラットフォーム
• 細胞分化、エピジェネティックな制御、腫瘍代謝を評価するための、機能的な細胞ベースの
フェノティピックスクリーニングシステム
• がんの不均一性に対応する単一細胞ベースの分析技術
エリブリン プラットフォーム
• 非常に複雑な化合物を合成するための天然物合成化学と、ハリコンドリンをベースにした
化合物ライブラリー、ハラヴェンの開発を通じて蓄積したトランスレーショナル研究ツール
モルフォテック (米国 Exton)
モルフォテック抗体 プラットフォーム
• 抗葉酸受容体α抗体、抗メソセリン抗体、抗TEM1抗体 等
• モルフォテック独自の部位特異的コンジュゲーション技術
• 細胞分化
• がん幹細胞性
• 細胞分化
• がん幹細胞性
Eisai Andover Innovative Medicines Institute (米国 Andover)
プロスタグランジン/Toll様受容体 プラットフォーム
(骨髄系細胞を標的としたがん免疫プラットフォーム)
78
• EP2やEP4、Toll様受容体のアンタゴニストに関する独自の化合物ライブラリー
• 骨髄系細胞を介したがん免疫を評価するための無細胞系、細胞系のアッセイシステム
• 免疫抑制性骨髄系細胞
エーザイ サイエンティフィック デイ
Markus Warmuth, MD
President and CEO, H3 Biomedicine
H3 - 膨大な分子データと精密な化学合成技術の調和
がん患者様のデータを
強力な個別化治療へ導く
ビッグデータ
サイエンス
80
精密合成
化学
H3 Biomedicine
新たな
治療
H3 のナレッジベース
発生
プロセシング
管理
統合
Wart
TiP
分析
データマイニング
治療仮説
81
H3 Biomedicine
H3のポートフォリオプロジェクトは
がんの重要な特徴に影響を及ぼす
増殖
免疫回避
生存
遺伝病
免疫抑制
Modified from Cell, Volume 144, Issue 5, Douglas Hanahan and Robert A. Weinberg, Hallmarks of Cancer: The Next Generation, p646–674,
Copyright 2011, with permission from Elsevier.
82
H3 Biomedicine
H3の化学合成のアプローチ
創薬が困難ながん遺伝子に取り組むため
H3は複数の異なるアプローチを組み合わせる
多様性を
志向した
合成
構造に
基づく
デザイン
天然物
フラグメント
に基づく
アプローチ
83
共有結合
による
阻害剤
H3 Biomedicine
H3 パイプライン
ターゲット
84
適応症
SF3B1 (H3B-8800)
進行性血液がん
FGFR4 (H3B-6527)
FGF19高発現 肝細胞がん,
胆管がん, 大腸がん
ESR1
ER陽性乳がん
SF3B1 / MCL1
MCL1増幅 がん
Target A
MYD88変異びまん性
大細胞型B細胞リンパ腫
SF3B1
(変異選択的)
進行性血液がん
SRSF2
(変異選択的)
進行性血液がん
Target E
膀胱がん
各種探索プログラム
遺伝学的に定義された
様々ながん
ターゲット
バリデーション
ヒット化合物から
リード化合物へ
リード化合物の
最適化
非臨床開発
IND / フェーズ I
臨床
2017
H3 Biomedicine
FGFR4:
肝細胞がんにおける魅力的なターゲット
• 高度に保存されたチロシンキナーゼ受容体ファミリーの1つ
• 胆汁酸合成および他の代謝プロセスの制御に関与
• そのシグナル伝達には、補助受容体であるKlotho-b(KLB)が必要
• リガンド(FGF19)の結合により、MAPK、AKTおよびSTAT-3等の
下流シグナル経路を誘導
85
H3 Biomedicine
H3B-6527:FGF19/FGFR4 シグナルが
活性化された肝細胞がんにおいて有効性を示す
がん細胞
増殖と生存
3
1
V e h ic le , P O , B ID
1500
H 3 B - 6 5 2 7 3 0 m g /k g , P O , B ID
H 3 B - 6 5 2 7 1 0 0 m g /k g , P O , B ID
M e a n + /- S E M
H3B6527
FGFR4
過剰活性化
H E P 3 B T u m o r v o lu m e ( m m )
FGF19
FGF19
FGF19
オートクライン/パラクライン
FGF19依存性の細胞および動物モデルにおいて
H3B-6527はFGFR4を選択的に阻害することにより
増殖阻害および細胞死を導く
H 3 B - 6 5 2 7 3 0 0 m g /k g , P O , B ID
1000
500
0
0
5
10
15
D a y o f T r e a tm e n t
(内部データ)
86
H3 Biomedicine
H3B-6527:肝細胞がんモデルにおいて
ソラフェニブよりも優れた有効性を示す
HCC腫瘍におけるFGF19の発現
およびFGF19のコピー数
患者様の腫瘍サンプル
V e h ic le , P O , B ID
7
S o r a fin ib 4 0 m g /k g , P O , Q D
H 3 B -6 5 2 7 5 0 0 m g /k g , P O , B ID
Model 1
3
3
L IX 0 1 2 T u m o r v o lu m e (m m )
5
4
Model 3
Model 1
2000
1500
1000
500
0
0
5
10
1500
Model 2
1000
500
0
0
15
5
2
Model 4
0
-1
1500
1000
500
0
0
-3 -2 -1 0 1 2 3 4 5 6
FGF19 コピー数 (Log2 Ratio)
7
8
3
3
1
Model 3
2000
10
20
30
D a y s p o s t a d m in is t r a t io n
10
15
20
25
D a y s p o s t a d m in is t r a t io n
D a y s p o s t a d m in is t r a tio n
L IX 0 0 6 T u m o r v o lu m e (m m )
3
L IX 1 0 8 T u m o r v o lu m e ( m m )
Model 2
L IX 0 6 6 T u m o r v o lu m e (m m )
FGF19 発現量 (Log2 Ratio)
6
40
Model 4
2000
1500
1000
500
0
0
10
20
30
D a y p o s t a d m in is tr a tio n
(内部データ)
87
H3 Biomedicine
H3B-6527: プロファイル概要
• FGFR4を強力かつ高い選択性で阻害する低分子化合物
• 共有結合による非可逆的なFGFR4阻害
• FGF19発現細胞株において選択的な増殖阻害(in vitro)
• 細胞株および腫瘍移植モデルにおいてFGFR4シグナルを阻害
• FGF19発現腫瘍移植モデルにおいて腫瘍縮小(in vivo)
• 経口投与可能な非臨床薬物動態プロファイル
• 報告された毒性はすべてコントロール可能かつ可逆的で、
許容可能な非臨床安全性プロファイル
88
H3 Biomedicine
H3B-6527: 臨床開発
•
2016年4月 提出したINDで臨床試験開始の了解を取得
2016年7月 最初の症例の組み入れを予定
•
フェーズ I 試験は、進行性切除不能肝細胞がん(硬変あり、および硬変なし)
および肝内胆管細胞がんで実施
•
グローバル臨床試験(北米, 欧州、アジア)
•
FGF19高発現患者における臨床でのコンセプト証明
•
肝細胞がん2ndラインでの迅速承認をめざす
•
その他の可能性:
• 単剤または併用による肝細胞がん1stライン
89
H3 Biomedicine
スプライソソーム変異:新しいクラスのがん遺伝子
SF3B1 (several across HEAT domain 4-8)
骨髄異形成症候群(MDS)(25%), 慢性リンパ性
白血病(CLL)(10%), 慢性骨髄単球性白血病
(CMML)(5%), 急性骨髄性白血病(AML)(5%),
乳がん(2%), ブドウ膜黒色腫(20%)
U2AF1 (S34 or Q157)
MDS(6%), AML(5%), CMML(8%), 肺がん(3%),
子宮がんおよび膵がん(~1%)
ZRSR2
CMML (8%), MDS (6%), AML (1%)
SRSF2 (P95 or P95-R102 indel)
CMML(47%), MDS(15%),
原発性骨髄繊維症 (17%),
AML/二次性AML (19%)
90
•
mRNAスプライシング機構における体細胞変異により、スプライシング異常を誘導
•
スプライシング異常は、分化抑制、免疫機構回避等のがんの重要な特徴を誘導
H3 Biomedicine
治療アプローチとしてスプライソソーム異常を活用
SF3B1/SRSF2/U2AF1
WT/WT
正常
MUT/WT
悪性化
-/WT
ほぼ正常
-/-
造血不全と細胞死
MUT/Inhibitor
選択的細胞死
SF3Bモジュレーター
H3B-8800
細胞死
91
H3 Biomedicine
H3B-8800 :スプライソソーム変異を伴う
悪性腫瘍モデルにおいて異なる活性を示す
K562 SF3B 1
2000
T腫瘍体積
u m o r V o lu m e
2000
1000
500
T腫瘍体積
u m o r V o lu m e
8 m g /k g P O , Q D
(M e a n  S E M )
1500
K700E
V e h ic le
3
T u m o r V o lu m e , m m
8 m g /k g P O , Q D
(M e a n  S E M )
K562 SF3B 1
V e h ic le
3
T u m o r V o lu m e , m m
K 700K
0
1500
1000
500
0
0
5
10
15
20
0
T im e ( D a y )
5
10
15
20
T im e ( D a y )
•
SF3B1変異モデルにおいてのみ、腫瘍増殖阻害
•
他のいくつかの腫瘍移植モデルにおいて活性を確認済み
(内部データ)
92
H3 Biomedicine
H3B-8800: プロファイル概要
• 強力かつ選択的なSF3Bモジュレーター
• SF3B1変異細胞および腫瘍移植モデルにおいて、用量依存的な
RNAスプライシング制御、選択的アポトーシス誘導、および抗腫瘍活性を有する
• SRSF2変異白血病の腫瘍移植モデルおよびPDXモデルにおいて活性を確認
• 耐性用量での薬力学的活性を確認
• GLP毒性試験から良好な治療指数が期待される
• ヒトで予測される半減期から1日1回投与が期待される
93
H3 Biomedicine
H3B-8800: 臨床開発
• 2016年4月 提出したIND で臨床試験開始の了解を取得
2016年7月 最初の症例の組み入れを予定
• フェーズ I 試験は、進行性血液がんで実施し、骨髄異形成症候群(MDS)、
慢性骨髄単球性白血病(CMML)、急性骨髄性白血病(AML)の特定の患者に
おける活性を精査する投与群も設定
• グローバル臨床試験(北米, 欧州)
• フェーズ II 試験は、スプライシング因子に変異のあるMDS(有効性シグナル
が強く、安全性が高いことを想定)で申請対応試験としての実施を検討中
– 血液学的改善を評価指標として使用
• CMMLでも迅速承認の可能性
• 二次性AML、慢性リンパ性白血病(CLL)、非小細胞肺がん(NSCLC)、
ブドウ膜黒色腫(Uveal Melanoma)等での開発可能性あり
94
H3 Biomedicine
H3 Biomedicine スプライシング プラットフォーム
バイオインフォマティクス
スプライシングケミストリー
• 新規RNAseqパイプライン
• スプライシング異常
• スプライシング制御低分子化合物
• 多様性指向合成(DOS) と
天然物合成技術
スプライシングバイオロジー
• ハイスループットIn vitro ミニ遺伝子およびスプライシングアッセイ
• U2-snRNP 複合体結晶構造解析
95
H3 Biomedicine
がんにおけるスプライス制御への
複合的なアプローチ
“オミクス”による
特徴付けとドライバー・
スプライス・イベント
Scaffold
A
Scaffold
C
スプライシング
モジュレーター
Scaffold
B
Indication
96
Indication
H3 Biomedicine
Indication
スプライス制御は
腫瘍の特異的な免疫を誘導可能
スプライス
モジュレーター
がん細胞
高親和性
抗体
新規抗原
97
細胞死
H3 Biomedicine
まとめ
• H3は、研究活動を開始してわずか4年半の間に、膨大な分子
データと個別化薬剤の架け橋となる、業界をリードする研究開発
エンジンを構築した
• がんゲノミクスやスプライシング異常について、重要ながんの特徴
との関連性を明らかにすることに注力している
• 2つのIND(H3B-6527, H3B-8800)を申請し、受理された。
7月に FPI を見込む。
• 更なるプロジェクトが非臨床開発、INDのステージに向けて進行中
• 最初の承認取得の目標:2020年
98
H3 Biomedicine
次世代免疫療法
骨髄細胞リニエージを標的とした治療法により
がん免疫における未解決なニーズの充足へ
エーザイ サイエンティフィック デイ
Nadeem Sarwar
President, Eisai AiM Institute
Andover innovative Medicines
AiM Institute hhc mission statement
Have the courage to innovate without borders and make evidence-based decisions
to deliver solutions that address real patient needs
99
現代の創薬は
がんの治癒に必要なツールを
手にしている
100
がん患者様にとって前例のない希望:
しかし現在効果があるのは少数の患者様に限られる
免疫療法と個別化医療は
がんとの闘いにおいて、最も効果的な手段を提供する
がん治療において、変革を起こし得る科学的発見をめざす投資が加速
 Genomics England*1
 Cancer MoonShot Initiative*2
 Parker Institute*3
 Bloomberg-Kimmel Institute*4
 ………
重要で未解決なニーズが残っている
*1:
*2:
*3:
*4:
ゲノミクス・イングランド:イギリスで10万人のゲノム解析を行うプロジェクト
米国がんムーンショット・イニシアティブ:バイデン副大統領が主導する予算10億ドルのがん撲滅をめざす国家プロジェクト
パーカー研究所(米国):ショーン・パーカーが、がん撲滅を目的として設立した共同事業体
ブルームバーグ・キンメル研究所(米国):マイケル・R・ブルームバーグ、シドニー・キンメルらの出資を受け、ジョンズ・ホプキンス大学が設立したがん免疫の研究センター
101
次世代個別化免疫療法:
標的は腫瘍内微小環境
腫瘍とその細胞環境は、免疫寛容やがんの増殖、進化において
相互依存の関係にある
微小環境
腫瘍
102
既存の古い薬からの新規免疫微小環境の手がかり:
アスピリン、プロスタグランジン、骨髄細胞
アスピリンがいくつものがんのリスクを減らす可能性-
そのMoAにおけるプロスタグランジンと骨髄細胞の関与
大規模なメタアナリシスにおける、
がんの発生率の低減とアスピリンの関連:
Adapted from Rothwell et al. Several
 食道がん: 30%
 胃がん: 30%
 大腸がん: 35%
がんの予防に関して
11,000人が参加した
無作為化試験
EPレセプターを強く特異的に調節することが
腫瘍免疫微小環境をターゲットとする新規治療法となる可能性
103
プロスタグランジンE2(PGE2)シグナリングは免疫細胞の抗腫瘍活性を阻害
E7046: ファーストインクラスのEP4特異的拮抗剤
PGE2を介した腫瘍増殖と免疫抑制の解除
マクロファージ
E7046
EP2
PGE2
EP4 receptor
EP4レセプター
T細胞
樹状細胞
104
E7046 治験計画と現状
FY2015
101試験:
単剤療法,
フェーズⅡ試験
の推奨用量
(RP2D)
放射線療法(RT)/
化学放射線療法
(CRT) 併用
FY2016
FY2017
FY2018
FY2019
FY2020
フェーズⅠ
RP2D
フェーズⅠb
併用
フェーズⅡ 併用 CRT
薬事活動/ピボタル試験開始
申請
フェーズ I:
 非盲検多施設共同試験
 骨髄細胞浸潤が亢進しているがんを選択
 マルチオミクスデータ、サンプル、FDG-PETの収集
フェーズ Ⅰb/Ⅱ 化学放射線療法との併用
 非盲検多施設共同併用試験
 PETトレーサーの開発が現在進行中
 局所進行性直腸がん患者様における術前放射線療法との併用
105
免疫療法が有効ながん患者様にとって、かつてない希望となる
腫瘍微小環境内の免疫抑制性骨髄細胞リニエージに着目した
患者様のアンメットニーズを満たす新規かつ相補的な治療法を提供
現在臨床開発中のファーストインクラスのEP4受容体拮抗剤「E7046」により
この仮説が検証可能
E7046の最適な標的、最適な患者様やがん種、用量を同定するため
大規模なマルチオミクスデータとイメージングデータを統合
106
立地とイノベーション
筑波研究所におけるがん微小環境をターゲットとした
低分子化合物サイエンス
エーザイ サイエンティフィック デイ
オンコロジービジネスグループ
チーフメディスンクリエーションオフィサー
大和 隆志
107
エリブリンの新たな作用機序
1. 微小管に対する作用に基づく有糸分裂の阻害効果
2. がんバイオロジーに基づく上記以外の効果
1) 腫瘍血管リモデリング
2) 上皮間葉転換の反転
3) がん転移の阻害
4) がん幹細胞の阻害
(これら全てが、がん細胞あるいはがん微小環境の表現型の変化と
関連している)
Agoulnik et al., Dezso et al., Matsui et al., and McCracken et al., 2013 AACR Meeting;
Yoshida et al., 2013 AACR-NCI-EORTC; Funahashi et al., 2014; Yoshida et al., Br J Cancer, 2014
108
エリブリン単回投与後
灌流が腫瘍の中心部と周辺部で均一化
ヌードラットに溶媒のみ、もしくはエリブリンを単回投与した時の
代表的な腫瘍のDCE-MRI画像
ヒト乳がん細胞MX-1皮下移植動物モデル(6日後)
灌流が良好
灌流が均一
腫瘍縮小
灌流が悪い低酸素領域
Vehicle
Eribulin, 0.3 mg/kg
対照(溶媒のみ投与)
エリブリン, 0.3 mg/kg投与
Funahashi et al., 2014
109
エリブリンは実験動物モデルにおいて
腫瘍の上皮間葉転換を反転させる
ヒト乳がん細胞MX-1皮下移植動物モデル
(単回投与, 8日目, ヌードマウス)
上皮系マーカー
間葉系マーカー
110
Yoshida et al., 2014
エリブリンは実験動物モデルでがんの転移を妨げ
マウスの生存率を増加させる
エリブリンまたは5FUで前処理した
乳がん細胞を尾静脈から注射
マウスの生存曲線
生存率(%)
肺転移結節の数
肺転移結節の数
日数
111
Yoshida et al., 2014
HSAEC RD細胞の連続移植動物モデルにおける
エリブリンの抗がん幹細胞活性
HSAEC RD細胞: KRASV12遺伝子 とCYCLIN-D1遺伝子を発現するレトロウィルスベクターを感染させたヒト小気道上皮細胞
Control
腫瘍体積 (mm3)
Serial
transplantation
コントロール
腫瘍形成率(%)
HSAEC RD肺がん細胞移植動物モデル
日数
Eribulin
Control
PTX QD5 20 mg/kg
ERI Q4D3 1 mg/kg
QD5:5日間連投
Q4D3: 4日毎に3回投与
パクリタキセル
日数
腫瘍形成率(%)
日数
腫瘍形成率(%)
PTX
112
移植細胞数
( 一群当たりのマウスの数:10 )
エリブリン
日数
112
エリブリンの新規作用機序に関するヒューマンバイオロジーエビデンスを示す
米国がん研究会議(AACR)2016の発表
• 局所進行性または転移性乳がんの52人の患者様にエリブリンを投与
• 患者様において投与前後で生検
• 免疫組織化学的評価と奏功率(RR)との間の相関 :
o TILS: PD-1, CD8, FOXP3
o Cancer cells: PD-L1, PD-L2
o EMT markers: E-cadherin, N-cadherin, vimentin, CA9
結論
•臨床奏効率との間に統計的に有意な
相関が認められたマーカー:
 PD-L1 (p = 0.024)
 FOXP3 (p = 0.004)
 E-cadherin (p = 0.004)
 CA9 (p = 0.024)
•免疫抑制マーカー(PD-L1, FOXP3)との
間に負の相関が認められたもの:
 臨床奏効率
 上皮間葉転換の反転(E-cadherinの
発現上昇)
• 低酸素状態の消失(CA9の発現低下)と
臨床奏効率との間には相関あり
113
ハリコンドリン類化合物
Halichondria okadai Kadota B-16メラノーマ細胞に対する
600 kg
Halichondrin B
12.5 mg
C
7.2 mg
Norhalichondrin A
35.0 mg
B
4.2 mg
C
2.4 mg
Homohalichondrin A 17.2 mg
B 3.1 mg
C 2.1 mg
•
殺細胞活性
IC50 (nM)
0.083
0.31
4.6
0.23
0.089
-
Isolation, structure determination and biological activity:
Hirata, Uemura et al J. Am. Chem. Soc. 1985, 107, 4796; Pure Appl. Chem. 1986, 58, 701.
•
For isolation from different species of sponges, see:
Pettit et al J. Med. Chem. 1991, 34, 3339; J. Org. Chem. 1993, 58, 2538.
114 Blunt, Munro et al Tetrahedron Lett. 1994, 35, 9435; J. Org. Chem. 1997, 62. 1868; Bioorg. Med. Chem. 2009, 17, 2199.
ハリコンドリンBのインビトロ細胞増殖抑制活性
プロファイル
ハリコンドリンB
Halichondrin
B
(NSC 609395)
エリブリン
(NSC 707389)
NCI-60がん細胞パネル解析における50%細胞増殖抑制活性の値(GI50 values)
エリブリン
ハリコンドリンB
https://dtp.cancer.gov/timeline/posters/Halichondrin.pdf
115
ハリコンドリンBの In Vivo 抗腫瘍活性プロファイル
ヒトメラノーマLOX細胞のヌードラット
骨髄転移モデル
Halichondrin B
Halichondrin B
Vinblastine
生存率(%)
Survival (%)
対Day0比較腫瘍体積平均値
ヒトメラノーマLOX細胞のヌードマウス
皮下移植モデル
Vinblastine
Vehicle
Days
日数
日数
Halichondrin B(-□-) & homohalichondrin B(-◆-) :
20 mg/kgを2日毎に5回静脈内投与
Day 0においてLOX細胞1 x 106 個をヌードラットの
心臓内に投与
Vinblastin (-◇-):
4 mg/kgを7日毎に2回投与
その後Day 7から、halichondrin B(9 mg/kgを2日毎に
5回)、 vinblastine(1.8 mg/kgを7日毎に2回)、
生理食塩水(2日毎に5回)をそれぞれ腹腔内投与
コントロール (-■-):
生理食塩水を2日毎に5回静脈内投与
116
J Exp Ther Oncol. 1996;1(2):119-25
レンバチニブとPD-1阻害剤との併用
ヌードマウスと野生型マウスにおける
科学的根拠
腫瘍増殖の相対比較
免疫応答性の
Balb/c 野生型マウス
比較腫瘍体積
比較腫瘍体積
免疫不全の
ヌードマウス
日数
日数
レンバチニブは免疫抑制性の骨髄由来細胞(がん関連
マクロファージ:TAM)を減少させるとともに、活性された
細胞傷害性T細胞(CD8 陽性T細胞)を誘導して、PD-1
阻害剤の抗腫瘍活性を亢進する。
Kato et al. 2015 EORTC-NCI-AACR meeting
免疫細胞の集団解析
117
T細胞活性化
レンバチニブとPD-1阻害剤との併用
レンバチニブは免疫抑制性の骨髄由来細胞を減少させるとともに、
活性された細胞傷害性T細胞を誘導して、 PD-1阻害剤の抗腫瘍活性を亢進する
免疫抑制系の
がん微小環境
レンバチニブ
(VEGF 阻害)
PD-1阻害剤との併用による
抗腫瘍活性の上昇
単球
単球
PD-L1は腫瘍細胞に発
現、PD-1と結合し、
細胞傷害性T細胞を抑制
VEGF
CSF
腫瘍関連
マクロファージ
PD-L1
PD-1
がん細胞
減少
がん細胞
MHC
Antigen
TCR
TGF-β
腫瘍関連
マクロファージ
免疫抑制
サイトカイン (TGF-β)
減少
免疫抑制
受容体 (PD-1, Lag3)
細胞傷害性
T細胞
制御性T細胞
腫瘍関連マクロファージ(Tumor-associated
macrophage: TAM)は、TGF-βを分泌することに
よって、免疫抑制性の制御性T細胞を活性化すると
118 ともに、細胞傷害性T細胞を阻害する
腫瘍関連
マクロファージ
Attack
MHC
Antigen
TCR
PD-1
Ab
IFNg
細胞傷害性
T細胞
減少
免疫賦活
サイトカイン (IL12)
増加
レンバチニブは
がん微小環境下での免疫を賦活
Kato et al., EORTC-NCI-AACR 2015
Raymanらは、動物の腎細胞がんモデルにおいて、スニチニブによる
PD-1阻害を介した類似の作用機序を報告している
(Society of Immunotherapy of Cancer (SITC 2015))
筑波研究所のがん幹細胞性プラットフォーム(1)
- 間葉系がん細胞と腫瘍血管を標的とするAXL阻害剤 AXL は間葉系がん(幹細胞様)細胞と腫瘍血管形成に対する主要な制御因子である
血管内皮細胞(EC)
エルロチニブ耐性のEGFR変異の非小細胞肺がんでは、
AXLの活性化と上皮間葉転換(EMT)が報告されている
Nat Genet, 44, 852 (2012)
平滑筋細胞 (SMC)
がん細胞
AXLは間葉系マーカー遺伝子の一つとして、
抗PD-1抗体に対する自然耐性を示すメラノーマの
患者群で同定された
Cell, 165, 35 (2016)
パクリタキセル週一回投与治療後のトリプルネガティブ
乳がんの臨床サンプルにおいて、AXLの発現増加が
観察された
がん細胞
上皮間葉転換
血管内皮細胞
遊走、増殖、生存
平滑筋細胞
遊走、増殖、生存
治療前
治療後
オートクライン/パラクライン AXL/Gas6シグナリング
119
AXLの免疫染色像
AXL/Gas6シグナルリングは、抗VEGF療法に対して
抵抗性を示す周皮細胞で被覆された腫瘍血管の形成を
促進する
Cancer Res., 65, 9294 (2005)
筑波研究所のがん幹細胞性プラットフォーム(2)
- がん幹細胞性を標的とするALDH(アルデヒド脱水素酵素)阻害剤  ALDHには19のアイソフォームが存在
•
•
•
•
ALDH1A1, ALDH1A2, ALDH1A3, ALDH1B1, ALDH1L1, ALDH1L2
ALDH2
ALDH3A1, ALDH3A2, ALDH3B1, ALDH3B2
ALDH4A1, ALDH5A1, ALDH6A1, ALDH7A1, ALDH8A1, ALDH9A1,
ALDH16A1, ALDH18A1
幹細胞性マーカー
1. 多様ながん種でALDHが高発現している。
2. 化学療法後にALDHの発現増加が認められる。
3. ALDHの発現と予後不良につながる腫瘍の悪性度との間に高い相関が報告されている。
•
全てのサブタイプの乳がん患者をALDHの陰性群と陽性群に分けしてカプランマイヤー生存曲線を比較したところ、
ALDH陽性群で無病生存期間ならびに全生存期間がより短くなることが観察された。
Breast Cancer Res Treat., 156, 261 (2016).
4. ALDHのノックダウンを行ったところ、がん幹細胞性(in vitro)と腫瘍増殖(in vivo)の抑制が
認められた。
In vivo H358皮下移植モデル
In vitro
コロニー形成能
120
120
スフィア形成能
がん領域における治癒をめざした立地とイノベーション:
がんゲノミクスとがん微小環境
TRLプラットフォーム
エリブリン/がん幹細胞性
間葉系がん細胞
上皮間葉転換
間葉上皮転換
上皮系がん細胞
殺細胞性抗がん剤
第一世代受容体
チロシンキナーゼ阻害剤
H3Bプラットフォーム
がんゲノミクス
スプライシング
TRLプラットフォーム
レンバチニブ
血管内皮細胞
121
血管新生阻害剤
がん幹細胞
AIM Instituteプラットフォーム
プロスタグランジン受容体
骨髄系細胞
TRLプラットフォーム
エリブリン/レンバチニブ
リンパ球系細胞
免疫チェックポイント阻害剤
MORプラットフォーム
抗TEM-1抗体
間葉系間質細胞
(線維芽細胞など)
グローバルアセット エリブリン、レンバチニブ
新規治療パラダイムの確立に向けて
エーザイ サイエンティフィック デイ
Alton B. Kremer MD, PhD
Chief Clinical Officer
Chief Medical Officer
122
レンバチニブの作用機序
VEGFR
FGFR
Lenvatinib
RAS
PI3K
RAF
AKT
MEK
mTOR
T202/Y204
P
ERK1/2
P
P T389
S6K
T421/S424
S235/S236
P
S6
Angiogenesis
123
Adapted from Stjepanovic N, Capdevila J. Biologics: Targets and Therapy. 2014:8;129-139; Eisai data on file.
レンバチニブとエベロリムスのインタラクション機序(仮説)
VEGFR
FGFR
Lenvatinib
RAS
PI3K
RAF
AKT
MEK
mTOR
T202/Y204
Everolimus
P
ERK1/2
P
P T389
S6K
T421/S424
S235/S236
P
S6
Angiogenesis
124
Adapted from Stjepanovic N, Capdevila J. Biologics: Targets and Therapy. 2014:8;129-139; Eisai data on file.
レンバチニブとエベロリムス併用 非臨床研究からの根拠
レンバチニブ+エベロリムスの補完的作用
 レンバチニブとエベロリムス併用によるVEGF誘導血管新生に対する
阻害活性の増強
 両薬剤の併用によるFGF誘導血管新生に対する阻害活性への相乗効果
 強力な血管新生阻害活性のコンビネーションに加え、併用による直接的な
抗腫瘍効果
 mTOR-S6K-S6 シグナル伝達経路に対するデュアルターゲット
Source: Module 2.6.2, Discussion and Conclusion
125
腎細胞がん フェーズII試験(205試験、NCT01136733)
グローバル,非盲検,無作為化フェーズII試験
Lenvatinib, 18 mg
+ Everolimus, 5 mg
主要適格基準
•
•
•
•
•
進行性又は転移性腎細胞
がん
測定可能病変
前治療中または前治療後
9ヶ月以内の病勢進行
1回のVEGF標的治療中
または治療後の病勢進行
ECOG-パフォーマンス
ステータス 0又は1
無
作
為
•
Lenvatinib
24 mg 1日1回経口投与
n = 52
化
Everolimus
10 mg 1日1回経口投与
n = 50
1:1:1
* 主治医評価と、RECISTv1.1に基づく
 LEN/EVE vs EVE
 LEN vs EVE
1日1回経口投与
n = 51
•
126
主要評価項目
• 無増悪生存期間*
病勢進行または
忍容できない毒性発現まで
投与継続
副次評価項目(抜粋)
• 無増悪生存期間
 LEN/EVE vs LEN
•
•
•
奏効率
全生存期間
安全性および忍容性
カプランマイヤー曲線(無増悪生存期間)
(主治医評価 – 205試験)
1.0
+EVE
+LEN+EVE
Progression-Free Survival
(n = 51)
PFS, months, median
(95% CI)
0.8
14.6 (5.9-20.1)
HR vs everolimus
95% CI
0.6
+
(n = 50)
5.5 (3.5-7.1)
0.40
(0.24-0.68)
+
0.4
0.2
0.0
0
3
6
9
12
15
18
21
24
10
3
5
1
1
0
0
0
Time (months)
Number at risk:
Lenvatinib/Everolimus
Everolimus
51
50
41
29
27
15
23
11
16
7
 追加で実施したBonferroni法を用いて多重性を考慮した解析でのレンバチニブ+エベロリムスの
エベロリムス単剤に対する調整後p値は P = 0.0011* であった
United States Package Insert.
127 *Internal data
腎細胞がんにおける有効性結果
(主治医評価 – 205試験)
Lenvatinib 18 mg +
Everolimus 5 mg
(n=51)
Everolimus 10 mg
14.6 (5.9, 20.1)
5.5 (3.5, 7.1)
0.37 (0.22, 0.62)
−
全生存期間中央値(月)(95% 信頼区間)
25.5 (16.4, 32.1)
15.4 (11.8, 20.6)
ハザード比(95% 信頼区間)b
Lenvatinib+ Everolimus vs Everolimus
0.67 (0.42, 1.08)
−
奏効率, n (%)
19 (37)
3 (6)
(95% 信頼区間)
(24, 52)
(1, 17)
(n=50)
無増悪生存期間a
無増悪生存期間中央値(月)(95% 信頼区間)
ハザード比(95% 信頼区間)b
Lenvatinib+ Everolimus vs Everolimus
全生存期間c
奏効率(確定)
腫瘍評価はRECIST v1.1 に基づく。確定済の奏効を、奏効として扱った。
データカットオフ日 = 2014年6月13日
a. 点推定値はカプランマイヤー法を用い、95%信頼区間はlog-log transformationを用いたGreenwood formulaによる
b. ハザード比は,治療を共変量とし,ヘモグロビン値及び補正血清カルシウム値を層とした層別Cox回帰モデルに基づき推定した
c. データカットオフ日は2015年7月31日
128
FDA 承認
 2016年5月13日に、レンバチニブ(18mg)は、血管新生阻害薬
(標準的治療)の前治療歴を有する進行性腎細胞がんに対する
エベロリムス(5mg)との併用療法の適応でFDAより承認を取得
 ブレイクスルーセラピーと優先審査品目の指定
 FDAが承認した腎細胞がんに対する初めてかつ唯一の
チロシンキナーゼ阻害剤(レンバチニブ)とmTOR阻害剤
(エベロリムス)の併用療法
129
腎細胞がん フェーズIII試験 307試験
2016年9月開始予定
グローバル,非盲検,無作為化フェーズIII試験
主要適格基準
• 18歳以上
• 組織学的又は細胞学的に
確定された淡明細胞型
優位の進行性腎細胞がん
• 腎細胞がんに対して全身
薬物療法の治療歴がない
• Karnofsky Performance
Score 70以上
Lenvatinib 18 mg
+ Everolimus 5 mg
1日1回経口投与
無
作
為
化
•
Lenvatinib
20 mg 1日1回経口投与
+ Pembrolizumab
200 mg 3週ごと静脈内投与
•
Sunitinib
層別因子
• 地域
(欧州及び北米/それ以外)
• MSCKK リスクグループ
(低/中/高)
130
50 mg 1日1回経口
4週間投与後,2週間休薬
1:1:1
n = ~735
病勢進行または
忍容できない毒性発現まで
投与継続
主要評価項目
• 無増悪生存期間
(RECIST 1.1での
独立画像判定)
副次評価項目
• 奏効率
• 全生存期間
• 安全性および忍容性
探索的評価項目(抜粋)
• 健康関連のQOL
• 奏効期間
• PK/PD
• バイオマーカー
腎細胞がんファーストライン 307試験:主な目標達成時期
 試験開始
 2016年9月
 データベースロック
 2019年12月
 トップライン結果
 2019年度4Q
131
肝細胞がん フェーズIII試験
(304試験、NCT01761266)
主要適格基準
(N = 940)
• 確定された切除不能
肝細胞がん
• mRECISTによる測定
可能病変
• Barcelona Clinic
Liver Cancer Staging
Systemに基づく
Stage B 又は C
• Child-Pugh score A
• ECOG-パフォーマンス
ステータス 0 又は 1
• 抗がん剤前治療歴
なし
層別因子
• 地域
• 肉眼的門脈
浸潤又は肝外
転移,若しくは
その両方
(有/無)
• ECOG (0/1)
• 体重
(< 60 kg/
≥ 60 kg)
レンバチニブ
12 or 8 mg 1日1回
経口投与(体重により)
無
作
為
化
ソラフェニブ
400 mg 1日2回
経口投与
1:1
病勢進行まで投与継続
(mRECIST)
132
主要評価項目
• 全生存期間
副次評価項目(抜粋)
• 無増悪生存期間
• 無増悪期間
• 奏効率
• 安全性および忍容性
•
PK パラメーター
•
QOL
選択された固形がんでのレンバチニブとペムブロリズマブの併用
フェーズIb/II試験(111試験、NCT02501096)
フェーズIb
フェーズII(2016年1月31日開始)
腎細胞がん(20)*
レンバチニブ
群
1A
2A
3A
レンバチニブ
24 mg
20 mg
14 mg
ペンブロリズマブ

200 mg
200 mg
200 mg
フェーズII試験と同様のがん腫
n = 10 – 30
(実際には13名)
メラノーマ(7)
20 mg 1日1回投与
(フェーズII試験推奨用量)
尿路上皮がん(6)
+ ペムブロリズマブ
200 mg 3週に1回投与
非小細胞肺がん(1)
(21日サイクル)
n = 60-120
子宮内膜がん(20)
頭頸部扁平上皮
細胞がん(5)
133
* 2016年6月23日現在の組み入れ
計画中の試験: 肝細胞がんにおけるレンバチニブと
ペムブロリズマブの併用フェーズIb試験(116試験)
用量制限毒性 評価パート
• N=6-10
• レンバチニブ開始用量:
12mg 1日1回投与
(体重 ≥ 60 kg)
/8 mg 1日1回投与
(体重 < 60 kg)
• ペムブロリズマブ用量:
200mg /3週に1回投与
• Barcelona Clinic Liver
Cancer Staging System
に基づく、Stage B 又は C
• Child-Pugh A
• ECOG-パフォーマンス
ステータス 0-1
134
拡大パート
• 全身治療の
前歴なし
• N=20
(日本10名
/米国10名)
主要評価項目
• レンバチニブとペムブロリズマブ
併用の最大耐量および
フェーズII試験推奨用量
副次評価項目(抜粋)
• 安全性および忍容性
• 有効性:奏効率/無増悪生存期間/
全生存期間/効果持続期間
(腫瘍の評価はirRECISTを用いて
行う)
• PK パラメーター
• 血液/腫瘍中のバイオマーカー
転移性のトリプルネガティブ乳がんにおけるエリブリンとペムブロリズマブの併用
フェーズIb/II試験(218試験、NCT02513472)
主要適格基準
• 18歳以上
• 転移がんへの0~2回の
化学療法による前治療経験
• 測定可能病変
• ECOG-パフォーマンス
ステータス 0 又は 1
• 適切な骨髄、腎および肝機能
主要評価項目
・ 用量制限毒性
・ 奏効率
エリブリン
1.4 mg/m2 (初日、8日目)
+ ペムブロリズマブ
200 mg (初日)
(21日サイクル)
n = 約 95
現在の組み入れ患者様数: 85*
135
* 2016年6月23日現在の組み入れ患者様数
副次評価項目(抜粋)
・ 無増悪生存期間
・ 全生存期間
・ 効果持続期間
・ PD-L1陽性サブグループ
の結果
・ 安全性および忍容性
PD-1阻害剤との併用試験の状況
• レンバチニブ (111試験)
– 予備的なデータが主要な学会において発表される予定
– 今後蓄積するコホート・データに基づいて更なる臨床試験を実施
– 腎細胞がんのフェーズIII試験は既に計画中(307試験)
• エリブリン (218試験)
– 予備的なデータが主要な学会において発表される予定
– 泌尿器がんのコホートを追加予定
•患者数52
•コホート:a) シスプラチンを使用できない群、b)シスプラチン処置後の群
•2016年10月開始予定
136
まとめ
 レンバチニブはエベロリムスとの併用で腎細胞がんセカンドラインの
承認を米国において取得
 レンバチニブはエベロリムスとの併用およびペムブロリズマブとの併用で、
腎細胞がんファーストラインのフェーズIII試験を本年9月に開始予定
 レンバチニブの肝細胞がんのフェーズIII試験結果を2016年末までに
取得予定
 ぺムブロリズマブとの併用試験はレンバチニブとエリブリンで合計8つの
異なるがん腫において実施中
137
血管内皮細胞
オンコロジー フラッグシップ・プログラム

レンバチニブ*1

がん遺伝子依存性と
スプライシング異常
がん微小環境
138

H3B-6527
FGFR4阻害剤



H3B-8800
スプライシング
モジュレーター
E7046
EP4阻害剤






エリブリン*1,2

ペムブロリズマブもしくはエベロリムスとの併用による腎細胞がんファーストラインの
グローバル、無作為化、非盲検、フェーズIII試験を2016年9月に開始予定
HCCファーストラインでのグローバル申請を2016年度中に計画
ペムブロリズマブとの併用:肺がん、悪性黒色腫、頭頚部がん、膀胱がん、
腎細胞がん、子宮内膜がんでのフェーズⅠb/Ⅱ試験が進行中
上市
ターゲット:
HCC:
2017年度
2016年4月にINDが受理され、7月に最初の症例の組入れを予定
フェーズ I 試験は、進行性切除不能肝細胞がん(硬変あり、および硬変なし)
および肝内胆管がんで実施
FGF19高発現患者における臨床でのPOC試験を予定
2016年4月にNDが受理され、7月に最初の症例の組入れを予定
フェーズⅠ試験は、進行性血液がんで実施し、骨髄異形成症候群(MDS)、
慢性骨髄単球性白血病(CMML)、急性骨髄性白血病(AML)の特定の患者様に
おける活性を精査する投与群も設定
フェーズII試験はスプライシング因子に変異のあるMDSで申請試験としての実施を検討
上市
ターゲット:
2020年度
フェーズII試験推奨用量を決定するための多施設フェーズⅠ試験が進行中
局所進行性の直腸がんの術前放射線療法との併用による、オープンラベル、
多施設フェーズⅠb/Ⅱ試験を2016年度下期に計画中
ペムブロリズマブとの併用: トリプルネガティブ乳がんのフェーズⅠb/Ⅱ試験が進行中
PEGPH20との併用:HER2ネガティブ乳がん治療への可能性を探るための
フェーズⅠb/Ⅱ試験を2016年度1Qに開始
*1: ペムブロリズマブ併用フェーズⅠb/Ⅱ試験:メルク社との提携 *2:PEGPH20併用フェーズⅠb/Ⅱ試験:Halozyme社との提携
上市
ターゲット:
2020年度
以降
エーザイ サイエンティフィック デイ
クロージング リマークス
内藤 晴夫 KBE
CEO
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世界で最も大きなアンメットメディカルニーズである
「アルツハイマー型認知症/認知症」に対し
異なる作用機序の薬剤を用いて
多様な先制医療の機会を提供する
ワールドクラスの低分子化合物サイエンスを活用し、
「がん微小環境」および「オンコジェノミクス」に注力し、
がんの治癒をめざす
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