糖尿病患者の意識調査 - 健康日本21推進フォーラム

報道用資料
健康日本21推進フォーラム
2012年5月
インスリン治療
インスリン治療を
治療を適切に
適切に行っている人
っている人は、
生活満足度が
生活満足度が意外と
意外と高い
~糖尿病患者の意識調査~
健康日本21推進フォーラム(事務局:東京都中央区、理事長:高久史麿・東京大学名誉教授)は、インスリンを
使用している2型糖尿病患者の20~60代の男女639人を対象にインターネット調査を実施しました。
糖尿病は年々増加の一途をたどり、厚生労働省の調査によれば患者数は推定890万人※とされ、人工透析の
原因となる糖尿病性腎症などの合併症の増加が深刻な社会問題化しています。厚生労働省が現在検討を進め
ている、次期国民健康運動においても、糖尿病有病者の増加の抑制は、大きな目標として掲げられています。
本調査は、インスリンを使用している2型糖尿病患者の治療状況や治療満足度、日常生活や将来に対する意
識を探り、能動的に血糖値を管理する重要性を啓発することを目的に実施したものです。
※平成19年「国民健康・栄養調査」より
調査結果の主なトピックスは以下のとおりです。
■ 血糖値を“コントロールできている”人は全体で約6割。
血糖測定器を使用し、インスリンの用量を管理している<血糖管理、用量調節層>は、
“コントロールできている”が64.8%に対し、血糖測定器を使用せず、インスリンの用量も
管理していない<血糖非管理層>は42.4%。
■ 治療満足度は、<血糖管理、用量調節層>が総じて高スコア。
特に、「現在の治療法に満足」や「自身の糖尿病の理解度に満足」は、<血糖非管理層>と
<血糖管理、用量調節層>で大きな差。積極的にインスリンをコントロールする血糖管理が、
高い満足度や理解度に。
■ 生活満足度についても、血糖管理をしている人の方が、全体的に高いポイント。
<血糖管理、用量調節層>や<血糖管理、用量未調節層>の方が、 <血糖非管理層>
より 「毎日を楽しく過ごしている」や「自分は幸せだと感じる」などの項目で高いポイント。
【本調査に関するお問い合わせ先】
健康日本21推進フォーラム事務局 戸上
電話:03-3544-5641 FAX:03-3544-5642
E-mail:[email protected]
調査概要
【調査方法】
【調査対象】
【調査期間】
インターネット調査
以下の条件を満たす20~60代の男女 計639人
2型糖尿病患者で、かつ、インスリン治療を行っている人から無作為抽出
2011年12月9~19日
回答者属性
性別
年代
20歳代
20歳代
30歳代
30歳代
0.5
女性
60歳以上
60歳以上
28.4
25.0
5.9
40歳代
40歳代
34.1
男性
78.2
50歳代
50歳代
34.4
N=639
N=639
患者タイプ
患者タイプ別
タイプ別
インスリン用量を
調節している
=213名
血糖管理をしてい
る(測定器使用)
=580名
調査対象①
=<血糖管理、用量調節層>
(N=213名)
インスリン用量を
調節していない
=367名
2型糖尿病患
者
かつ
インスリン治療
を行っている
639名
調査対象②
=<血糖管理、用量未調節層>
(N=367名)
血糖管理をしてい
ない(測定器使用
なし)
=59名
調査対象③
=<血糖非管理層>
(N=59名)
2
血糖値の管理状況
■ 2型全体では、血糖値を“コントロールできている”人は約6割。
■ <血糖管理、用量調節層>は、“コントロールできている”人は64.8%、<血糖非管理層>では42.4%。
2型糖尿病患者のうち、インスリンによる血糖値を“コントロールできている”(「うまくコントロールできている」+「まあま
あコントロールできている」計)人は、全体で約6割(59.9%)でした。
そのうち、血糖測定器を使用せず、インスリンの用量も管理していない<血糖非管理層>の“コントロールできている”
割合は半数以下(42.4%)で、血糖測定器を使用し、かつ、インスリンの用量を管理している<血糖管理、用量調節層>
の“コントロールできている”64.8%より20ポイント以上低く、思うようにコントロールできていない人が多くなっています
[グラフ1] 。
グラフ1:現在の治療によって自分の血糖値をうまくコントロールできていると思うか
うまくコントロールできている
2型全体
(N=639)
まあまあコントロールできている
8.6
血糖管理、用量調節層
(N=213)
9.9
血糖管理、用量未調節層
(N=367)
9.0
51.3
64.8
40.1
40.7
20%
59.9
35.2
51.0
10%
60.0
57.6△
30%
コントロール
できている計
40.1
54.9
血糖非管理層
1.7
(N=59)
0%
思うようにコントロールできていない
40%
50%
60%
70%
▽ 42.4
80%
90%
100%
△▽※5%水準で有意
(△:2型全体を上回る値で有意、 ▽:2型全体を下回る値で有意)
3
血糖値の管理(測定器)必要度
■ 2型全体では、自己血糖測定器の“必要”度は約8割。
■ 「非管理層」の“必要”度は約3割。<血糖管理、用量調節層>(92.5%)と大差。
■ “不要”の理由は、「医師の処方に従えば問題ない」「面倒」、“必要”の理由は、「治療の役に立つ」から。
糖尿病の治療を継続するために、自身の血糖値を自分で管理する自己血糖測定器の必要度を7段階で聞いたところ、2
型糖尿病全体では、約8割(81.9%)が、“必要”(「ぜひ必要」+「必要」+「まあ必要」計)と回答しました。
そのうち、<血糖非管理層>の“必要”とする割合は3人に1人(33.8%)で、<血糖管理、用量調節層>の92.5%から60
ポイント近くの大きな差が見られ、<血糖非管理層>は血糖値を自身で管理する必要をあまり感じていない様子が伺え
ます [グラフ2] 。
さらに、<血糖非管理層>で、“不要”と回答した人に、その理由を聞いたところ、「医師の処方どおりに薬を使用してい
れば使わなくても問題ないから」が半数以上(51.3%)見られ、「測定するのが面倒なので使いたくないから」(43.6%)が
続いています。
一方、<血糖管理、用量調節層>で、“必要”と回答した人にその理由を聞くと、「日常的に自分の血糖値を把握してお
くことが自分の治療に役に立つ」が約4人に3人(73.6%)で、積極的に治療に参加していることがわかりました。
グラフ2:自身の血糖値を管理し、糖尿病の治療を継続するために、自己血糖測定器は必要なものだと思うか
ぜひ必要
2型全体
(N=639)
必要
まあ必要
30.8
血糖管理、用量調節層
(N=213)
どちらとも
いえない
30.0
28.2
28.1
血糖非管理層
(N=59)
33.2
16.9
▽16.9
0%
10%
20%
必要でない
21.1
△44.1
血糖管理、用量未調節層
(N=367)
あまり
必要でない
40%
50%
70%
80%
不要計
81.9
8.2
2.0
0.9
2.3
▽4.7 0.5△ 92.5
7.9
△15.3
60%
5.3
20.2
△39.0
30%
9.7
22.3
必要計
全く必要でない
5.4
2.2
0.8
▽
83.6
△6.8 △5.1 ▽33.8
90%
2.8
8.4
27.2
100%
△▽※5%水準で有意
(△:2型全体を上回る値で有意、 ▽:2型全体を下回る値で有意)
4
糖尿病患者の治療満足度
■ 糖尿病治療満足度は、「血糖管理、用量調節層」が総じて高く、管理度合いが下がるにつれ、
スコアは低下。
■ 特に、「現在の治療法満足」は、「血糖非管理層」と「血糖管理、用量調節層」で差。
糖尿病治療の満足度を測定する指標(DTSQ;Diabetes Treatment Satisfaction Questionnaire)を聞いたとこ
ろ、「血糖管理、用量調節層」はすべての項目で高いスコアを示し、管理度合いが下がるにつれ、スコアは低
下しました。
とりわけ、「現在の治療法に満足」かどうかについては、「血糖管理、用量調節層」が3.50なのに対し、「血
糖非管理層」は2.85と開きが見られます。「血糖管理、用量調節層」は、積極的に治療に参加し、血糖値を上
手に管理することで、治療への満足が高いようです [グラフ3]。
グラフ3:DTSQスコア
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
最近の治療法
あなた自身の
最近の治療法
この治療法を 現在の治療法
現在の治療の はどの程度便
糖尿病につい
はどの程度融
ほかの人に勧 を続けていくこ
利なものだと
てのあなたの
満足度
とへの満足度
通性があるか
めますか
感じるか
理解度
タイプ/血糖管理、用量調節層
タイプ/血糖管理、用量未調節層
タイプ/血糖非管理層
2型全体
3.50
3.16
△ 3.29
3.78
3.30
3.28
3.42
2.94
2.98
3.60
2.91
3.12
▽ 2.85
3.39
2.71
2.83
▽ 3.22
3.63
▽ 2.63
3.01
2.76
3.00
3.07
△
3.14
※5%水準で有意△▽ (△:2型全体を上回る値で有意、 ▽:2型全体を下回る値で有意)
5
糖尿病患者の生活満足度
■ 血糖管理をしている人の方が、「毎日を楽しく」過ごし、「自分は幸せ」。
■ ただし、ネガティブ項目でも、<血糖管理、用量調節層>の方がスコアがやや高く、日常で不安や心配を
感じている傾向も。
日常生活や将来に対する意識を聞いた質問では、ポジティブな項目について、「毎日を楽しく過ごしている」
は、<血糖非管理層>100点満点中47.3点であるのに対し、<血糖管理、用量調節層>54.3点であるなど、<
血糖管理、用量調節層>や<血糖管理、用量未調節層>の方が、<血糖非管理層>に比べ高くなっています。
血糖を管理している人の方が、「毎日を楽しく」過ごし、「自分は幸せ」だと感じているようです [グラフ4]。
一方、日常生活や将来に対する不安などネガティブな項目についても、「強い不安や緊張を感じて悩むことが
ある」などで<血糖管理、用量調節層>は高く、日常生活に不安や心配を抱いているからこそ、治療に積極的
に関わり、その結果、生活への満足度に結びついているのかもしれません [グラフ5]。
グラフ4:日常生活や将来に対する意識(ポジティブ) <100点満点>
60
50
40
30
20
10
0
毎日を楽しく過ごしている
毎日の生活を送るため
の活力が十分にある
自分がやろうとしたこと
は、だいたいやり遂げら
れる
自分は幸せだと感じる
タイプ/血糖管理、用量調節層
54.3
47.7
50.7
52.0
タイプ/血糖管理、用量未調節層
54.0
50.0
49.7
52.3
タイプ/血糖非管理層
47.3
45.7
49.0
48.0
2型全体
53.7
49.0
50.0
51.7
グラフ5:日常生活や将来に対する意識(ネガティブ)<100点満点>
80
70
60
50
40
30
20
10
0
強い不安や緊張を感じて 自分の人生は面白くない
将来のことが心配である
悩むことがある
と感じることがある
自分の健康に不安があ
る
タイプ/血糖管理、用量調節層
54.7
50.7
71.7
74.7
タイプ/血糖管理、用量未調節層
50.0
50.3
67.3
74.0
タイプ/血糖非管理層
48.0
48.0
66.0
71.3
2型全体
51.3
50.3
68.7
74.0
6
所感 石井 均 (天理よろづ相談所病院副院長)
糖尿病患者でも、満足度の高い日常生活を送るために、
糖尿病患者でも、満足度の高い日常生活を送るために、
適切な血糖コントロールを。
適切な血糖コントロールを。
糖尿病は、自覚症状に乏しく、忙しい現代社会において健康診断で要治療、要診断と判定され
糖尿病は、自覚症状に乏しく、忙しい現代社会において健康診断で要治療、要診断と判定され
ても、皆が皆きちんと受療して治療を始めるとは限らず、患者は増え続けているのが現状だ。
ても、皆が皆きちんと受療して治療を始めるとは限らず、患者は増え続けているのが現状だ。
悪化すると腎臓や目や足などへの合併症を起こすため、血糖値を適正な値に保つ必要があるの
悪化すると腎臓や目や足などへの合併症を起こすため、血糖値を適正な値に保つ必要があるの
が糖尿病である。医師や薬剤師の指導の元、適切な治療を行っていれば重症化を避けることはで
が糖尿病である。医師や薬剤師の指導の元、適切な治療を行っていれば重症化を避けることはで
きるのだが、生活習慣に気をつけるのも限度があり、多くの制限からストレスも高まるため、前向き
きるのだが、生活習慣に気をつけるのも限度があり、多くの制限からストレスも高まるため、前向き
に治療に取り組める患者ばかりではない。自覚症状に乏しく、血管障害が起きると言われてもイ
に治療に取り組める患者ばかりではない。自覚症状に乏しく、血管障害が起きると言われてもイ
メージがわきにくいため、治療のモチベーションを維持していくのは、傍から見るよりはるかに大変な
メージがわきにくいため、治療のモチベーションを維持していくのは、傍から見るよりはるかに大変な
のである。従って、治療の継続には、心のケアも重要になる。
のである。従って、治療の継続には、心のケアも重要になる。
そのような中、今回の調査結果では、インスリン治療において適切な血糖コントロールを行ってい
そのような中、今回の調査結果では、インスリン治療において適切な血糖コントロールを行ってい
る患者は、コントロールをしていない患者に比べ、治療に対する満足度が高く、日常生活を楽しんで
る患者は、コントロールをしていない患者に比べ、治療に対する満足度が高く、日常生活を楽しんで
いることが判った。インスリンの導入には、依然拒否反応を示す患者も多いが、インスリン治療で血
いることが判った。インスリンの導入には、依然拒否反応を示す患者も多いが、インスリン治療で血
糖コントロールすることの意識が、生活の質の違いに影響を及ぼすことが広く知られれば、患者の治
糖コントロールすることの意識が、生活の質の違いに影響を及ぼすことが広く知られれば、患者の治
療を続ける励みにもなるのではないか。
療を続ける励みにもなるのではないか。
その一方で、血糖値を管理していない層は、血糖値を自身で測定し管理する自己血糖測定器を
その一方で、血糖値を管理していない層は、血糖値を自身で測定し管理する自己血糖測定器を
“不要”とする人が、3割近くもいたのが気になる。繰り返しになるが、糖尿病の治療においては、患
“不要”とする人が、3割近くもいたのが気になる。繰り返しになるが、糖尿病の治療においては、患
者自身が自己管理することが最も肝心だ。
者自身が自己管理することが最も肝心だ。
糖尿病の治療は運動、食事、薬が基本である。それらをきちんと守らなければ、合併症が進行しま
糖尿病の治療は運動、食事、薬が基本である。それらをきちんと守らなければ、合併症が進行しま
すよ、とネガティブな面を強調するよりも、きちんと治療すれば、日常的なストレスが減って毎日が今
すよ、とネガティブな面を強調するよりも、きちんと治療すれば、日常的なストレスが減って毎日が今
以上に楽しくなりますよ、と知ってもらうことで、患者が納得して積極的に自己管理できるようにな
以上に楽しくなりますよ、と知ってもらうことで、患者が納得して積極的に自己管理できるようにな
ればと思っている。
ればと思っている。
●石井 均(いしい・ひとし)
京都大学医学部卒。神戸中央市民病院勤務を経て現職。93年にジョスリン糖尿病センターに留学,アラン・
年にジョスリン糖尿病センターに留学,アラン・
京都大学医学部卒。神戸中央市民病院勤務を経て現職。
ジェーコブソン氏,ウィリアム・ポランスキー氏らから「糖尿病の心理・社会的領域」を学び,帰国後,糖尿病
患者への心理的アプローチに取り組む。主著に『
患者への心理的アプローチに取り組む。主著に『糖尿病エンパワーメント』『
糖尿病エンパワーメント』『糖尿病バーンアウト
』『糖尿病バーンアウト』
糖尿病バーンアウト』(いずれも
医歯薬出版・訳書)がある。
●健康日本21推進フォーラムについて
健康日本21推進フォーラムは、厚生労働省の策定した第3次国民健康づくり運動「健康日本21」
(21世紀における国民健康づくり運動)を産業界から支援する目的で1999年に設立され、
健康日本21推進全国連絡協議会の一員として活動する任意団体です。
平成24年3月現在、20の企業・団体が集い、新規会員を随時募集しています。
健康日本21推進フォーラム URL:http://www.kenko-nippon21forum.gr.jp
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