えたーなるしっぷ(Eternalship)

事業内容で分類
創業形態で分類
地域資源活用
環境・リサイクル・新エネルギー
スピンオフ・独立
女性起業
新商品・新サービス開発
ソーシャルビジネス・コミュニティビジネス
大学発ベンチャー
シニア起業
住む人にとって快適でストレスの少ない、住むことで元気
になれる「健康空間の創造」を目指す!
株式会社えたーなるしっぷ 代表取締役 工藤武範さん
住所:大分県大分市大字市 616 番地の 38
電話番号:097-560-1672
FAX 番号:050-6621-0657
E-mail:[email protected]
HP:http://www.eternalship.com/index.html
設立:2008年5月
資本金:50万円
従業員数:1名
主要事業:建築・住宅資材
輸入販売
■創業のきっかけ ~建築士だから感じる住まいづくりへの不満
幼少の頃から絵を描くのが好きで、大分県立大分工業高等学校 建築科を
卒業後は建築設計の道を選んだ。大分市内の幾つかの設計事務所に勤め、
2002 年に 30 歳で独立し、建築事務所を開業後、一級建築士の資格を得て
住和設計一級建築士事務所に事業所名を変更、2007 年 11 月に自社アトリ
エの建築を機に地元に根ざす思いを込めてアトリエの所在地の「市」を入れ
て住和設計 市一級建築士事務所と改名。
35 歳ぐらいからハウスダストによるアレルギーを発症し、本格的にエコを考えるようになった。身体にい
いとされる土壁用の土を百何十種類も探求し、研究していたところ、米国で 100%天然素材の土塗壁材(商
品名:
「アメリカンクレイ」
)がヒットし、2004 年頃から日本に入って来ている事が分かった。その土壁(ア
メリカンクレイ)を使って自分の家の壁に塗ったところ、咳が治まり始めたのを実感した。
それ以前は、仕事で人に優しい天然素材の建築資材を用いるように設計図面を描いても、施工する建築会社
が使ってくれなかった。なぜなら、建築会社は取引のない会社から物を買うことはしないので、材料を指定し
た設計図を渡されても、その材料が手に入らないと出来ないと断る。その結果、お客様が希望されている施工
がされないという状況が続いていた。しかし、自分の家でアメリカンクレイを取り寄せて自身で工事も出来る
ようになったことから、諦めなくて良いのだと確信した。
ターニングポイントは、3年前に友人から誘われて、鹿児島の築 150 年程の古民家
再生に取り組んだ事である。昔ながらの日本式の土壁ではなく、施主の「お金ではなく、
家族の健康を大事にしたい」という思いを受けて、
「アメリカンクレイ」で施工した。
プロの職人だけでなく子供たちと一緒に楽しみながらアメリカンクレイを塗った。
当時、
「アメリカンクレイ」を取り扱う輸入販売者が北海道と東京だけで、西日本に
は無かった。それで、自分が材料を保管しておき、施工会社や施主に直接、材料供給し
ようと考え、2008 年5月、家造りに必要な自然素材を専門に扱う商社「(株)えたーな
るしっぷ(Eternalship)
」が誕生した。
■事業のあらまし ~より快適な生活のために
「アメリカンクレイ」は、米国ニューメキシコ州アルバカーキ産の天然の粘土
原材料にした、化学物質を一切使用しない 100%天然素材の土壁商品である。
2004 年度全米環境エコプロダクト賞を受賞しており、その特長は、収縮率がほ
ぼゼロという日本の土にはない成分で、乾燥したときに割れない、水が付いても
ミにならない、さわってもキズになりにくい、仮にキズがついても特別な技術を
要とせずに直せ、再生が出来るというもの。湿度が高くなると部屋の中の湿気を
い、逆に冬場の乾燥時など湿度が低くなると、含んでいる湿気を放つという、吸湿、放湿を繰り返しながら、
部屋の湿度を調整する機能がある。さらに、防カビ効果や家具などから揮発した化学物質を吸着する働きもあ
るとのこと。メキシコ辺りでは、この土を使って昔から家の壁に塗っていたもので、米国で大ヒットした商品。
素材は、オフホワイトの粉末で、天然の鉱物顔料を混ぜることによって着色でき、様々な色の塗り壁材とな
るが、漆喰の様な白色と黒色がなかった。そこで、日本人が好む真っ白な色を創り出すために、
「アメリカン
クレイ」に混ぜる材料を探した。ホタテ貝の殻が産業廃棄物として環境問題になっている
と聞けば、粉末化したものを買い付け実験するものの、高価なうえに効能がない。そこで、
大分県産業科学技術センターの助言を元に探し当てたのが、津久見産の消石灰であった。
そこで生産される塩焼消石灰を使用し配合比率を工夫して「真っ白なECO壁」を創り出
した。さらに、黒色の材料として、木炭よりも竹炭のほうが多孔性に富み調湿・消臭効果
に優れているので、大分県産の竹を燃焼温度管理された釜で焼成したものを使い「真っ黒
なECO壁」を創り出した。
2010 年には別のアイデアで応募した「大分県ビジネスプラングランプリ」
(落選)を
きっかけに、他の人がどういう経営をしているのか、経営者としての新しい刺激や価値観
を求め参加した大分商工会議所主催の「創業塾」や、その後の「経営革新塾」を通じて出会った中小企業診断
士、大分県信用組合、商工会議所などの多くの方々の支援を受けて、
『真っ白な ECO 壁』と『真っ黒な ECO
壁』の開発計画で、同年 12 月、大分県の経営革新計画の承認を得ることができた。さらに、大分商工会議所
の「ビジネス何でも応援隊」による専門家の派遣を受けて、大分県出身の有名なデザイナーを紹介され、次年
度には経営革新計画の助成金を元に、新商品のPR用に個性的なリーフレットも作成した。
また、創業塾の同期であった不動産会社の社長㈱マイスペースさん(インテリ
コーディネーター)から、事務所を移転するので、新しい事務所兼ショールーム
壁を白く塗って欲しいと頼まれ、
『真っ白な ECO 壁』を使って施工すると共に、
その時に注文のあった壁画も「アメリカンクレイ」で制作した。現在その事務所
「アメリカンクレイショールーム」にもなっている。
現在、土壁の施工は、自社(自分)で行っており、施工スタッフを養成中である。
『ECO壁』は、誰でも塗ることが出来るので、レクチャー付きでも販売している。
『ECO 壁』は、高い蓄熱性や優れた調湿性、消臭・防かび効果があることで、加湿器や除湿器が不要とな
り、自然素材でもあるために身体にもやさしい。最期は自然のサイクルで土に帰るというエコ商品である。
■今後の取組 ~温もりのある住まいづくりを
今の生活や暮らしの中で、視点の角度を少し変えて、もっと芸術的なものを家の
中に取り込むことで心豊かな生活が送れるのではないだろうか。より快適な生活の
ために土壁を調度品と考えて、土壁アート(壁画、クレイアート)を施してみるこ
とを提案していきたい。色柄も多いので誰でも簡単にステンシル画(切り絵)や筆
を使ってフレスコ画も描ける。
一方、県内の3~4人の画家や作家に、エコ壁の施工方法を学んで貰っている。
「アメリカンクレイ」と「ECO
壁」更にはウォールアートが広まり、大分県内で昔から盛んな「鏝絵」の現代版のようになれば面白くなる。
これからは、単に土壁を塗るだけでなく、アート性も高めて、住居内の快適性も求めるという「心から癒され
る空間を創ろう」というコンセプトで開発を進め、大分の「ECO 壁」を文化として
広めていきたい。
また、
「建築することは木を切り、土を掘り起こし、輸送等で大気を汚している。
次の世代のために、森と海を少しでも自然に戻すことに貢献したい」との思いで、海
にサンゴを植えるという珊瑚の移植活動団体に売上げの一部を寄付している。
■活用した施策
・平成 22 年度創業塾(大分商工会議所)
・平成 22 年度経営革新塾(同)
・
「ビジネス何でも応援隊」の専門家派遣(同)
・2010 年 12 月「経営革新計画承認」
(大分県)
■創業予定者に対するメッセージ
■その他特記事項
・大分県信用組合中小企業支援センターの支援
・大分県産業科学技術センターの助言
■紹介機関からのコメント
工藤さんは創業塾の取りまとめ役的存在で、優しく、社交的で行
“自分だけの世界ではなく、もう
動力がある方です。
「ビジネス何でも応援隊」でサポートさせていた
少し広い視野で、自分の業種以外
だいた際は、工藤さんの商品に対する強い思いを感じました。その
でも積極的にコミュニケーショ ような思いの詰まった『ECO壁』は大変すばらしい自然素材の商
ンを図ってほしい。
”
品で、今後も商品PR等でお手伝いできればと考えています。
(大分商工会議所)