BIO for Retail White Paper: Vol.006 スペース配分の最適化 2003.5.23 山本 泰史 日本 NCR 株式会社 テラデータ事業本部 流通事業部 マーケティング担当 ■ご利用にあたって 本ドキュメントの著作権に関して 本ドキュメント記載内容に関して 本ドキュメントにおける分析レポート例を含む内容は著作権によって保護されており、これら は全て日本 NCR 株式会社に帰属します。商用目的での無断転用、転載を禁じます。 本ドキュメントにおける分析レポート例は雛型であり、データ、レポート構成、課題毎に選択 されている分析レポート例を含めて、全ての小売業にあてはまるものではありません。個別 小売業における要件に基づいて追加、修正をする為のベースとしてご用意しています。 本ドキュメントにおける分析レポート例は、定型的に固定された帳票ではなく、例えば OLAP ツールのドリリング機能を利用したインタラクティブな分析を前提としております。従いまし て、分析レポート例に記載されている属性項目は特定の階層レベルにおけるスナップショッ トを指し示します。例えば”サブクラス”をリストしているレポートでも、場合によってはより配 下、もしくはより上位の商品分類を指し示すことが可能であると言う前提になっています。 本ドキュメントに記載している効果及び効果試算例は、考え方、算出方法をご理解頂く為の 雛型です。それぞれの小売業のビジネス形態に応じて考え方や算出方法は異なる場合が ありますので適時追加、修正頂く前提でご覧下さい。また効果のベースとなっている数値 は、それぞれの小売業において明確化する必要があります。さらに投資対効果という観点 からは、投資額等も考慮に入れた上で、Pay Back Period、ROI、NPV、IRR といった手法を 用いて算出する必要があります。 ■BIO とは BIO の位置付け BIO のアプローチ 経営改善課題を意味します(Business Improvement Opportunities の頭文字をとっています)。 Teradata が全世界的に推進している各業界向けのプログラムで、実際に明細データを活用 して企業の経営課題を改善した例から、業界に共通する幾つかの課題をリストアップし、そ れぞれに対して目的、分析、行動、効果という 4 つのアプローチにまとめ直し、標準化したも のです。 1.目的-課題改善の目的は何か?その上で選択可能な戦術オプションは? 2.分析-目的達成の為にどんなデータをどのように分析するべきか? 3.行動-分析した結果、何をするべきか?行動やプロセスがどう変わるのか? 4.効果-行動の結果、ビジネス上の成果がどう変わるのか? BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 スペース配分の最適化は、店内の売場面積、もしくは売場リソースを消費者需要や消費者の購買パターンに合わせて最適な形 で配分することを目的としています。季節変動によって売行きが高まる商品は当然ながら異なりますし、それに伴って売場構成、 配分を広げる、狭めていくことが必要になります。最適なタイミングで、最適な売場面積を確保することによって、売上を最大化 することが可能となります。また、逆の言い方をすれば、例えばシーズンにマッチしない商品が売場の中で大きな構成を占める ようであれば、期待される売上を確保できない事態に陥るだけでなく、そこに置かれた商品群は、在庫回転率の悪化に大きな 影響を及ぼします。シーズンにマッチしていない商品が大きな位置付けを占めている売場、もしくは店舗は買い物に来たお客 にも落胆をもたらすことになります。もちろんこれらの売場スペース配分の増減は、シーズン性のみならず、消費傾向や流行に 関しても同様のことが言えるでしょう。よくオンライン小売業者が用いるようなパーソナライゼーションのテクノロジーを物理店舗 が用いることができるわけではありませんが、売場スペースを最適に保ちつづけることによって、商圏や流行の動向に即応し、 来店してくれるお客にアピールできるような売場にしなければなりません。 目的 1.バランスの良い売場配分をすることによって売上の最大化を図る。 2.季節要件や消費傾向の変化に合わせた売場配分により顧客にとって親しみ易い売場作りをする。 売場配分を適正に保つ為には、シーズンの観点から見た場合に、売上傾向が上がる/下がる商品分類とそのタイミングを理解し、 その上げ/下げ幅を理解することによって、通年での需要がどのような形になるかを把握する必要があります。それにともなって 売場面積など対リソースの観点から効率性の高いスペース配分の組合せを計画することになります。当然ながら、毎年毎年温 度、気候等の外部与件には変化が現れますのでマスタープランに対して調整を実施しなければなりません。場合によってはマ スタープランよりも早め/遅めに売場を広げなければならない商品分類も存在するでしょうし、その分狭めなければならない商品 分類も存在するでしょう。またこれらの調整のタイミングは地域によっても違ってくるかもしれません。 シーズン性に依存した商品の例の一つとして、衣料が挙げられますが、例えば夏に T シャツをメインに、その後カーディガンに、 それからセーターにといった売場の中で大きな位置付けを占める主役商品が移り変わる売場に関しては、特に重要になってく るでしょう。例えば単純にそれぞれの商品分類を売場から入れ替えるだけではなく、どの程度の割合で配分していくかというブ レンド具合も考慮に入れなければなりません。 もうひとつ考慮しなければならないのは、流行や商品カテゴリー自体の成長と縮小です。例えば飲料におけるお茶系の飲料は、 ここ数年ソフトドリンクにおける構成比としては大きくなってきました。このような大きなトレンドの中で、どの商品群を大きく取り上 げ、広い売り場を使って売り込んでいくかという点もこれらスペース配分というテーマと大きく関わってくることでしょう。 以下に取り上げる分析の例としてはもっとも一般的なものとして、売場面積をそのリソースの単位として扱っていますが、場合に よっては棚やフェイスの場合もあるでしょうし、もっと販売戦略的な位置付けとしては、エンドや平棚、入り口付近の山積み等、陳 列場所等も考慮に入れることができると思います。これらは業態によっても異なりますし、販売施策によっても管理の対象と管理 方法は異なってくると思います。例えば売場面積であれば平米数かもしれませんが、フェイスであればフェイス数、エンドや山 積み等はフラグ付与によって管理する必要があるかもしれません。また当然ながら、これらのデータが履歴でインプットされなけ ればなりません。スペース配分を変更した結果をきちんと登録しておかなければ、その実行結果を評価することができませんし、 次年度以降に昨年の結果を分析し、今年のスペース配分に役立てようとしても、売上金額だけでは売場面積の変更がどのよう に実施されたのかが分からないからです。シーズンインに、売場面積を広げた結果売上が上がったのか、それとも売場面積を 広げるというアクションの前からその商品分類の売上が上がっていたのかは、その登録履歴が無ければ分かりません。これらの データをきちんとインプットを実施する作業というのは大変なのですが、科学的に売場の効率を把握し、より効率性の高い売場 にしていく為には非常に重要な作業となります。もちろん、全ての商品についてこれらを実施していく必要もないかもしれません。 重点的に特定の商品分類や、特定の売場に絞りこんで実施していくことも可能でしょうし、こういったインプットサービスを外部に 委託することも可能でしょう。 Page 2 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 売場効率の生産性を数値的な効果として評価する方法は色々ありますが、例えばある 1 平米を対象として、30 日間平米を広げ る、もしくは狭めるべきなのにしなかった時の売場効率が 1,000 円/平米/日であり、逆にきちんと売場スペースを配分したときの 売場効率が 5,000 円/平米/日であったと仮定すると、30 日*(5,000 円-1,000 円)*1 平米で=12 万円の売上金額における差額が導 き出されます。これらは商品のコントロールがきちんとされているという前提に基づいています。 戦術 1.長期的に見て売上傾向が上げトレンド/下げトレンドの商品分類を把握する。 2.立ちあがり/終息が例年に比べて早い/遅い商品分類を把握する。 3.対売場面積の観点から見た場合に、効率が落ち込んでいる商品分類を把握する。 4.新たな消費傾向として盛りあがってきている商品分類を認識する(過去の例:お茶系ドリンク、激辛、...)。 スペース配分の最適化を実施していく上で必要となる分析として以下のような例が挙げられます。上述したように売場リソースの 単位については業態によって違いがあるでしょうし、また扱う商品によっても分析の仕方は少しづつ違ってくるでしょう。扱って いる商品に合わせて置き換えて考える必要があります。 分析 1.前年もしくは計画と対比した売上実績状況の分析 2.売上トレンドの分析 3.在庫バランスの分析 4.売場効率把握の分析 実際の分析例を以下にご紹介します。大きな流れとしては以下のようになります。 分析例 1,2,3:ベーシックな売上貢献度合いの把握 分析例 4:商品分類毎の売上トレンドの上昇/下降把握 分析例 5,6:商品分類毎、もしくはトレンドでの在庫レベルの把握 分析例 7,8:売場生産性の観点から商品分類を評価 分析例 1:サブクラス前年売上金額 フィルタ詳細: フィルタ詳細 地域 (ID) = 1 クラス (ID) = 15 シーズン (ID) = 4 クラス 15 子供服 合計 Page 3 of 10 メトリック サブクラス 1511 長ズボン 1513 ジーンズ 1514 半ズボン シャツ 1521 Tシャツ 1531 ニットウェア 1552 女性下着 1554 男性下着 1571 ジャンパー 1574 ジャケット、男の子用 1575 ジャケット、女の子用 合計 合計 前年売上金額 3,353 1,989 683 8,303 243 177 0 7,976 2,077 460 25,261 25,261 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 この非常にシンプルなレポートは、特定地域における前年同シーズンの売上金額を表示しています。縦軸の項目として特定ク ラス配下のサブクラスをリストしており、サブクラス毎の前年の売上金額がどうだったかを評価することができます。 このレポートから、それぞれのサブクラスの売上パフォーマンスを来たるシーズンにおける計画を行っていく際の参考にすること が可能です。 分析例 2:クラス別売上貢献比率 フィルタ詳細: フィルタ詳細 地域 (ID) = 2 部門 (ID) = 1 年 (ID) = 2000 メトリック クラス 22 加工食品 65 トイレタリ 合計 売上数量 売上金額 計画売上金額 売上金額構成比 粗利金額 粗利率 粗利金額構成比 平均売単価 31,077 142,066 141,107 83.63% 26,833 18.89% 83.46% 4.57 6,055 27,817 28,212 16.37% 5,318 19.12% 16.54% 4.59 37,132 169,883 169,318 100.00% 32,151 18.93% 100.00% 4.58 このレポートでは、クラス毎の売上、計画対比、粗利、平均売単価の実績を把握しています。特定地域、年間でフィルタ条件を 指定して絞りこんでいますが、必要に応じて、特定店舗、そしてシーズン等に絞りこむ必要もあるでしょう。売上数量と売上金額 により絶対的な販売ボリュームを把握することができる他、計画売上金額との対比から、計画した値に対する乖離状況を把握す ることも可能です。また、売上金額構成比は、それぞれの商品分類に対してどの程度の売場スペースを配分するべきかというテ ーマに対しての参考値を与えてくれます。 このレポートからも、売場スペースを配分していくにあたってのベースとなる商品分類毎の貢献度を把握していくことが可能とな ります。 分析例 3:店舗別直営及びテナント売上実績比較 フィルタ詳細: フィルタ詳細 地域 (ID) = 2 週 (ID) = 65 メトリック 売上金額 直営部門 売上金額 店舗 1 三軒茶屋店 2 池尻店 3 三宿店 5 南平台店 6 用賀店 7 桜新町店 合計 500,000 325,000 425,000 350,000 250,000 450,000 2,300,000 400,000 243,750 340,000 245,000 212,500 337,500 1,778,750 直営部門 売上金額 構成比 80.00% 75.00% 80.00% 70.00% 85.00% 75.00% 77.34% テナント 売上金額 100,000 81,250 85,000 105,000 37,500 112,500 521,250 テナント 売上金額 構成比 20.00% 25.00% 20.00% 30.00% 15.00% 25.00% 22.66% 売上金額 前年差額比 2.04% -7.14% 1.19% -2.78% 0.40% 5.88% -0.41% 直営部門 売上金額 前年差額比 -3.96% -12.95% 1.19% -9.26% 6.68% 5.88% -12.42% テナント 売上金額 前年差額比 36.05% 16.07% 1.19% 16.67% -24.70% 5.88% 51.17% こちらのレポートは店内にテナントを入れている場合に、直営部門とテナント部門それぞれの実績を把握することが可能となっ ています。縦軸には店舗をリストし、店舗毎の売上金額と、売上金額における直営部門とテナントのそれぞれの絶対値を[売上 金額]、[直営部門売上金額]、[テナント売上金額]から把握することが可能となっています。また、相対的な直営部門とテナント部 門の比較を[直営部門売上金額構成比]、[テナント売上金額構成比]から把握することが可能です。また、前年との比較に関して も売上金額全体としては、[売上金額前年差額比]、[直営部門売上金額前年差額比]、[テナント売上金額前年差額比]の三つの メトリックから把握することが可能です。 このレポートから、テナント、直営それぞれの売場スペースの配分を見直す際に参考にすることができますし、場合によっては テナントの入れ替えや家賃(歩合、定額)の契約延長時の交渉材料としても利用することができます。またここでは直営<>テナン トという区分にしていますが、委託仕入<>買取といった区分で把握することも可能でしょう。システム的には、商品属性として管 Page 4 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 理する、もしくは取引として管理することになるでしょう。 分析例 4:商品分類分析 ページバイ: ページバイ メトリック:売上金額構成比 フィルタ詳細: フィルタ詳細 地域 (ID) = 1 クラス(ID) = 16 四半期 (ID) = 1 週 サブクラス パンツ ジャージ 1611 パンツ-ジャージ パンツ ジーンズ 1613 パンツ-ジーンズ 1614 靴下 シャツ 1621 Tシャツ 1631 ニットウェア 下着 幼児向け 1652 下着-幼児向け 下着 タイツ 1653 下着-タイツ 下着 耐水性 1654 下着-耐水性 寝着 その他 1661 寝着-その他 寝着 パジャマ 1662 寝着-パジャマ 1674 ジャンパー 合計 1998/12/27 1999/1/3 1999/1/10 1999/1/17 1999/1/24 1999/1/31 1999/2/7 1999/2/14 1999/2/21 1999/2/28 1999/3/7 1999/3/14 1999/3/21 3.24% 0.00% 0.71% 2.27% 44.79% 4.58% 3.37% 1.31% 24.30% 3.51% 11.93% 100.00% 5.64% 4.74% 3.28% 11.23% 0.00% 0.00% 3.88% 1.79% 0.00% 1.68% 0.00% 2.16% 8.31% 0.71% 0.00% 34.67% 5.98% 13.12% 8.15% 20.59% 27.48% 28.32% 29.39% 35.73% 20.82% 5.15% 5.62% 8.37% 5.84% 20.16% 6.51% 6.67% 6.76% 6.97% 2.60% 0.00% 0.00% 3.52% 0.00% 0.00% 18.91% 23.69% 11.13% 23.06% 13.75% 1.64% 5.99% 8.48% 6.26% 3.76% 0.00% 12.95% 5.86% 2.05% 16.64% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 5.25% 2.21% 1.07% 6.04% 3.29% 1.41% 2.47% 2.22% 16.27% 3.39% 1.85% 13.03% 6.90% 19.93% 18.02% 7.26% 24.68% 31.11% 26.85% 25.12% 4.41% 4.64% 14.71% 4.95% 7.84% 5.44% 3.01% 8.79% 0.00% 4.18% 0.00% 1.00% 24.76% 8.92% 20.41% 25.83% 1.17% 12.99% 3.07% 0.00% 5.43% 5.76% 8.54% 5.77% 100.00% 100.00% 100.00% 100.00% 5.03% 5.08% 6.95% 0.42% 0.00% 0.99% 4.57% 0.00% 2.62% 6.84% 32.36% 10.08% 33.12% 15.76% 21.33% 8.44% 1.96% 9.50% 3.22% 3.35% 6.16% 6.08% 0.00% 0.00% 17.61% 38.19% 28.82% 10.31% 1.55% 2.66% 4.36% 1.76% 10.89% 100.00% 100.00% 100.00% このレポートでは横軸に週のトレンドを置き、縦軸にサブクラスをリストして、サブクラス毎のトレンド比較を行っています。メトリッ クとしては売上金額構成比を使い、相対的な売上金額の構成比がどのように推移しているのかを把握することが可能です。シ ーズンをトレンドで捉えることにより、売上が増加傾向にあるサブクラスと、逆に下降傾向にあるサブクラスを同時に把握すること が可能です。また、当初想定していたシーズン性とは違う動きをした商品に関しては、何かしらの外部与件があるか、別な問題 がある場合がありますので、実際に売場を見る等して対策を講じる必要があるでしょう。 このレポートからは、商品分類毎のトレンドの上昇/下降を判断し、売場スペースの観点から配分を見直す時期とそのボリューム に関する検討を実施することが可能となります。 分析例 5:クラス別消化率 フィルタ詳細: フィルタ詳細 店舗タイプ (ID) = 1 クラス (ID) = 48 年 (ID) = 1999 1-26週 サブクラス メトリック 121110 ドレスシャツ 121120 カジュアルドレス 121135 ポロシャツ 121140 襟無し 121145 ジャンバー 121150 ノースリーブ 合計 売上金額 粗利金額 売上数量 仕入数量 平均売上レート 消化率 期末在庫数量 平均在庫週数 600,000 210,000 23,529 800 24,329 904.96 1.5 96.71% 415,000 145,250 11,690 950 12,640 449.62 4.0 92.48% 250,000 100,000 11,111 1,050 12,161 427.35 4.5 91.37% 500,000 175,000 16,393 600 16,993 630.50 3.0 96.47% 650,000 247,000 25,490 800 26,290 980.38 1.5 96.96% 210,000 67,893 10,244 1,500 11,744 394.00 5.0 87.23% 2,625,000 945,143 98,457 5,700 104,157 3786.81 4.1 94.53% スペース配分におけるスイッチオーバーを円滑に実行していく上では、売上の状況と共に、在庫の状況をきちんとコントロール していく必要があります。シーズンエンドに向かってどのように在庫を収束に向かわせることができるかが円滑なスイッチオーバ ーを実行していく上で重要になるでしょう。ここでは、サブクラス毎の売上金額、粗利金額、売上数量といった販売実績と共に、 期末在庫数量、仕入数量といった実績を把握することが可能です。そして平均売上レート、平均在庫週数、消化率から在庫に 関連した収束状況を把握することが可能となっています。特に消化率は仕入れた商品に対して、どの程度売り切っているかを 判断するメトリックとなります。 Page 5 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 このレポートから収束するべき商品分類の収束状況を把握することが可能となり、売場をシーズンインする商品分類に徐々に明 渡していくことが可能となります。 分析例 6:累積仕入消化数量分析 フィルタ詳細: フィルタ詳細 店舗 (ID) = 1 クラス (ID) = 15 シーズン (ID) = 4 週 メトリック 週 第15週 第16週 週 第17週 週 第18週 週 第19週 週 第20週 週 第21週 週 第22週 週 合計 売上金額 仕入数量 期末在庫数量 累積仕入数量 売上数量 平均売上レート 平均在庫週数 累積売上数量 22,000 880 870 3,000 2,120 2.4 880 4,650 22,500 900 880 0 1,220 1.4 1,780 4,650 23,000 920 899 4,000 4,300 4.8 2,700 8,650 23,200 928 957 0 3,372 3.5 3,628 8,650 28,000 1,120 997 4,000 6,252 6.3 4,748 12,650 22,000 880 998 0 5,372 5.4 5,628 12,650 20,500 820 988 3,500 8,052 8.1 6,448 16,150 19,000 760 965 0 7,292 7.6 7,208 16,150 180,200 7,208 14,500 こちらのレポートからは、週のトレンドで特定の商品分類における売上及び在庫トレンドを把握することが可能です。売場スペー スを拡大していく商品分類が対象であれば、売上の状況と在庫バランスの状況を比較しながら商品補充の為の判断に用いるこ とができますし、シーズンエンドで売場スペースが縮小していく商品であれば逆に収束状況を把握するために利用することがで きます。 このレポートでは、特定商品分類に絞りこんだ売上と在庫のバランスを把握することによって、売場に対する継続的な修正をど のように行っていけば良いかを判断することが可能となります。 分析例 7:クラス別売上前年比較/平方米 フィルタ詳細: フィルタ詳細 店舗 (ID) = 6 月 (ID) = 15 メトリック クラス 1110 惣菜 1120 冷凍食品 1135 グロサリー 1140 加工食品 1145 生肉鮮魚 1150 野菜 1160 お菓子 1170 ベーカリー 1180 お酒 合計 売上金額 40,617 191,438 179,791 110,204 110,204 261,025 284,172 214,585 63,764 1,455,800 売上金額 構成比 2.79% 13.15% 12.35% 7.57% 7.57% 17.93% 19.52% 14.74% 4.38% 100.00% 売上金額 前年差額 33 9,493 63 7,608 -1,032 7,803 14,011 6,591 -1,886 42,684 売上金額 前年差額比 0.08% 5.22% 0.04% 7.42% -0.93% 3.08% 5.19% 3.17% -2.87% 3.02% 前年 売上金額 40,584 181,945 179,728 102,596 111,236 253,222 270,161 207,994 65,650 1,413,116 売上金額 平方米 /平方米 50.77 191.44 179.79 110.20 73.47 130.51 157.87 143.06 127.53 131.15 前年 売上金額 平方米 /平方米 50.73 181.95 179.73 102.60 74.16 126.61 150.09 138.66 131.30 127.31 売上金額 前年差額 平方米 /平方米 0.04 9.49 0.06 7.61 -0.69 3.90 7.78 4.39 -3.77 3.85 売上金額 前年差額比 平方米 /平方米 0.08% 5.22% 0.04% 7.42% -0.93% 3.08% 5.19% 3.17% -2.87% 3.02% 平方米 800 1,000 1,000 1,000 1,500 2,000 1,800 1,500 500 11,100 このレポートでは売場面積と売上金額を比較した際の売上効率について、縦軸にリストしたクラス毎に把握しています。[売上金 額]、[前年売上金額]、及び[平方米]がベースとなるメトリックです。[売上金額構成比]は、それぞれのクラスの相対的な売上バラ ンスを推し量ることが可能です。また[売上金額前年差額]と[売上金額前年差額比]は、それぞれのクラスが前年と比較した際に 成長しているクラスか、逆に伸び悩んでいるクラスかを把握することが可能です。[売上金額/平方米]は、平方米を基準とした売 上指標値で、この値からそれぞれのクラスの売場生産性を測ることが可能となります。[前年売上金額/平方米]は、前年の売場面 積あたりの売上金額を指し示します。[売上金額/平方米]と[前年売上金額/平方米]の値の乖離が、[売上金額前年差額比/平方 米]にて表示されています。この値から売場効率という観点で見た場合の各クラスにおける効率性の変化を読み取ることが可能 Page 6 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 です。 このレポートから、それぞれのクラスにおける売場面積に対する生産性を把握し、効率性の低い商品分類、効率性の高い商品 分類を認識し、各商品分類に対する売場スペースの再配分に役立てる、または再配分した結果の評価に役立てることが可能と なります。 分析例 8:サブクラス別、売上比較当年対前年 フィルタ詳細: フィルタ詳細 地域 (ID) = 1 クラス (ID) = 15 シーズン (ID) = 4 メトリック クラス サブクラス 15 子供服 1511 長ズボン 1513 ジーンズ 1514 半ズボン シャツ 1521 Tシャツ 1531 ニットウェア 1552 女性下着 1554 男性下着 1571 ジャンパー 1574 ジャケット、男の子用 1575 ジャケット、女の子用 合計 合計 合計 売上数量 87 50 27 222 8 4 2 202 59 24 685 685 売上金額 3,112 1,724 1,295 7,103 330 174 106 9,012 1,796 567 25,219 25,219 クラス 売上金額 構成比 前年 売上金額 12.34% 6.84% 5.14% 28.17% 1.31% 0.69% 0.42% 35.73% 7.12% 2.25% 100.00% 100.00% 売上金額 前年差額 3,353 1,989 683 8,303 243 177 0 7,976 2,077 460 25,261 25,263 -241 -265 612 -1,200 87 -3 106 1,036 -281 107 -42 -42 売上金額 前年差額比 -7.19% -13.32% 89.60% -14.45% 35.80% -1.69% 12.99% -13.53% 23.26% -0.17% -0.18% 売上金額 平方米 /平方米 前年 売上金額 平方米 /平方米 5 22 8 6 3 1 2 9 4 3 6 25 4 7 2 1 0 8 4 3 売上金額 前年差額 平方米 /平方米 売上金額 前年差額比 平方米 /平方米 -1 -3 4 -1 1 0 2 1 0 0 -16.67% -12.00% 100.00% -14.29% 50.00% 0.00% 12.50% 0.00% 0.00% このレポートは、特定クラス配下のサブクラス毎に、売上及び売場生産性に関する指標を把握するレポートです。前のレポート ではクラスレベルで把握していますが、ここでは、サブクラスで把握しています。当然ながら把握したいと思うレベルで売場面積 のデータを登録しなければなりません。レポートの各メトリック、及びレポートの見方は前のレポートと同じである為割愛しますが 一つだけ補足すると[売上金額前年差額/平方米]が実際の前年における売場生産性であるのに対して、[売上金額前年差額比/ 平方米]は、当年の売場効率と、前年の売場効率の差額比を表しています。前のレポート同様それぞれの商品分類に関する売 場効率と、その成長性を見極め、最適なスペース配分を実施し、またスペース配分の実施後の評価を行っていく為に利用する ことが可能です。 これらの分析の中から、利用者は特定のタイミングにおける各商品分類の売場生産性と、上昇/下降トレンドを把握できるように なり、またそこから実際に売場スペースを拡大させる、もしくは縮小させるというアクションへとつなげることが可能となります。実 際に、どれだけ売場スペースを拡大させる/縮小させることが売上効率を最大化させることにつなげるのかを予測する上でも、こ れらの情報は重要な情報となります。そして成長性の高い商品分類や商品特性からは、新たな売場作りのコンセプトや売場計 画を作成していく上での参考にすることが可能となります。当然ながらこれらの売場スペースの変更に伴い、削除する、もしくは 投入するべき商品群を検討する等、売場スペースと合わせて売場作りのアクションが必要となります。 行動 1.計画に早めて/遅めて拡大させる売場の決定と実施 2.計画に早めて/遅めて縮小させる売場の決定と実施 3.新たに設置するべき売場のコンセプトと売場計画の作成実施 4.売場拡大に伴って投入するべき商品群の選定 5.売場縮小に伴って削除するべき商品群の選定 Page 7 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 商品分類、もしくは商品特性毎のシーズン性、または流行性に基づいたスペース配分を実施し、スペース配分に基づいた品揃 えが実施することができれば、売場効率を高め、売上数量、売上金額ベースでの増加をもたらすことが可能となります。また、こ れらが計画的に行われることによって、在庫計画にも良い影響を与えることになります。ある商品群に関しては売場の縮小に合 わせて在庫レベルを下げて売りきっていくことができるようになり、逆に売場の拡大に伴って商品投入を拡大していくことができ れば、無用な過剰在庫を減らしつつ、売上を維持していくことができるようになります。また消費者にとっても、シーズン性、また は流行性に合わせた売場を展開することによって魅力溢れた売場を訴求できることになります。これらが店舗に対するロイヤル ティと顧客満足をもたらすことは言うまでもありません。 効果 1.売場効率の向上による売上数量、売上金額の増加 2.売場変化に伴う商品分類間の在庫バランス変化による過剰在庫の削減 3.親しみやすい売場作りによる顧客満足度の向上 効果試算の例をご紹介します。添付資料にて記載しているモデル企業を前提に考えていきます。現在、全店における売場の 20%を季節変動要素の高い売場として配分しており、この売場の売場変更が年に 4 回発生していると仮定します。当然ながらそ れぞれの売場によっては年2 回売場の変更を実施する所もあれば、毎月、つまり年間12 回売場変更を行っている売場も存在し、 その平均が 4 回であると仮定しましょう。そして、これらの 20%の売場面積から導き出される売上金額が 20%であると仮定しまし ょう。場合によってはこれらの売場は企画、もしくはプロモーション用の売場であったりすると売上金額における割合としては、 20%より高い可能性も多いに有り得ますがここでは売場面積の割合と同じ 20%であると仮定しておきましょう。仮に、売場変更の 4 回のうち 1 回は季節変動のタイミングに対して 1 週間のギャップを発生させており、これをオンタイムに売場変更できたことによ って売場効率を 1.5 倍にすることができたと仮定すると、以下の試算が想定されます。 ■売場変更していない場合の売上金額=年間売上高 600 億円*20%*1 週/52 週=約 2.3 億円 ■売場変更した場合の売上金額=約 2.3 億円*1.5 倍=3.45 億円 ■上記二つのギャップ=3.45 億円-2.3 億円=1.15 億円の売上金額増加 (粗利率に変更が無いという前提で 1.15 億円*30%=3,450 万円の粗利、利益インパクト) ここでは割愛しますが、売場を商品の集合体と考えた際には、仮に 1 週間の売場変更の遅れがあった場合売場に売れることな く残っていた商品がもたらす在庫生産性の問題も改善することになります。もちろん急な売場変更ではなく、計画的かつ柔軟な 売場変更が実施された場合ですが、早めに売りきったり、1 週間分の追加補充を回避したりすることが可能となるはずです。 上記の数字は当然ながら根拠の無い数字に基づいて計算した結果である為、実際にこの試算例を利用する際には個別企業毎 にどの程度の売場変更タイミングに対する正確性があるのか、そのときの売場生産性と、それらが正確なタイミングになった際 にどの程度まで売場生産性を上げていくことができるのかを推し量らなければなりません。以下に効果試算を実施していく上で のポイント、及び数式を挙げます。 Page 8 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 A=シーズン毎等のタイミングで売場変更を実施する売場スペースの全体に占める割合(%) B=これらの売場がもたらす売上金額の売上金額全体に占める割合(%) C=A の売場スペースの売場生産性(単位あたり売上金額) D=売場変更タイミングのギャップ期間(月であれば x/12、週であれば x/52、日であれば x/営業日数) E=D のギャップ期間を正した場合の、売場生産性(単位あたり売上金額) F=売場生産性の改善度=E/C(倍数) G=B*年間売上高*D*F=増加後の売上金額 H=B*年間売上高*D=現在の売上金額 I=G-H=売上金額の増加分 J=I*粗利率=粗利金額の増加分 上記の試算以外にも回収シナリオは考えられるでしょう。いずれにしても、分析した結果を元に、スペース配分変更のタイミング と、その度合いを明快に理解することができれば、売場生産性を向上させ、売上金額を向上させることができることになります。 いずれの課題に関しても同じことが言えるのですが、分析の無い行動は、目をつぶって鉄砲を撃つようなものであり、きちんとし た成果に結びつくことはまぐれでもない限り、有り得ないでしょう。逆に分析の結果、実施するべき行動が明確になり、想定した 形に近い成果を勝ち得ることができるようになるはずです。もちろん様々な外部与件や偶然によって消費者の購買は決定付け られていく訳ですから絶対狙った通りになるとは限りませんが、十分な分析を実施していくことができれば、かなりの確度で成果 に結びつけることができるはずです。/// Page 9 of 10 BIO: Business Improvement Opportunities for Retail Industry 第 1 章:マーチャンダイジング - 第 6 項:スペース配分の最適化 添付資料:モデル企業 以下は、想定効果を算出する為の仮想のモデル企業です。計算を容易にする為、シンプルな数値を置いています。 ■P/L関連より 売上高 売上原価 販売及び一般管理費 営業利益 物販以外の営業収入は無いものとして扱う 600 億円 420 億円(粗利率 30%) 168 億円 12 億円(利益率 2%) ■B/S関連より 期末在庫 投資原価の回転 28 億円 15 回転(単純に売上原価/期末在庫として計算) ■売上高(600億円)の構造 顧客数 バスケット数(レシート枚数) バスケット買上点数 平均単価 店舗数 20 万 ID(売上高の 80%を構成) 2,400 万枚 5点 500 円 10 店舗(1 店舗あたり年間売上高は 60 億円) ■販売及び一般管理費(168億円)の構造 本部費用合計 各店舗費用合計 68 億円 100 億円(1 店舗年間 10 億円) ■各店舗費用(1店舗年間10億円)の構造 宣伝費 消耗品費 配送費 人件費 地代家賃 店舗管理、修繕費 水道光熱費 その他 1.0 億円 0.2 億円 0.1 億円 4.0 億円 2.0 億円 0.7 億円 0.5 億円 1.5 億円 オンラインショップやカタログ販売における収益構造は、物理店舗とは違う構造が想定されますが、ここでは、便宜上同一モデルを用いると 共に、必要な前提条件に関しては各項における効果試算にて随時付与することとします。 Page 10 of 10
© Copyright 2024 Paperzz