Japan Book in Japanese 16

オリックス
インフラストラクチャー・リーシング&
ファイナンシャル・サービス(IL&FS)
会社概要
オリックス株式会社(ORIX Corporation; 以下
「オリックス」と表記)は、商社3社と銀行5行
とのコラボレーションにより日本で1964年に誕
生したリース会社である。同社の従業員は全世
界で1万5,000人を超え、2005年~2006年の収益
は84億ドルだった。オリックスは23の国や地
域で事業を展開しており、日本国内で1,095カ
所、海外で240カ所もの事務所を持つ。また、
同社は185の連結子会社、84の関連会社を擁し
ている。
IL&FSは、インフラプロジェクトの商業化と開
発および付加価値のある金融サービスの開発に
重点を置いている。IL&FSは、プロジェクトの
構想から実施に至るまで、構想力、文書化力、
開発力、金融力、マネジメント力、技術力、遂
行力といったプロジェクトを成功裏に遂行する
上で欠くことのできない完璧なサービスを提供
する経験とノウハウを擁している。
下のグラフは、2002年-2004年の3年間におけ
るIL&FSの営業収益を示している。
IL&FSの営業収益 (2003年- 2005年)
インドにおけるオリックス
140
営業収益(百万ドル)
オリックスは、リース、生命保険、不動産金融
および不動産開発、コーポレートファイナンス
といった分野で、法人や小売客に商品やサービ
ス提供している。
130
120
110
100
インドにおいて、オリックスは、持ち株会社で
あるインフラストラクチャー・リーシング&フ
ァイナンシャル・サービス(Infrastructure
Leasing & Financial Services Limited;
以下「IL&FS」と表記)を通じて事業を行っ
ている。IL&FSは、1987年に、ユニット・ト
ラスト・オブ・インディア(Unit Trust of
India)、ハウジング開発ファイナンス(
Housing Development Finance Corporation
Limited)、およびインド中央銀行の合弁企
業として設立された。オリックスは1993年に
IL&FSの株式の20%を取得することでインド市
場に参入した。同社における現在の株式保有率
は21.32%である。
50
2002-03
2003-04
2004-05
年
出所:IL&FSウエブサイト
IL&FSは、ムンバイに本社を、バンガロール、
カルカタ、チェンナイ、デリー、グワハティに
拠点を置いている。
成功の要因
幅広いサービスと多岐にわたる領域での専
門性
IL&FSは、交通、教育、技術、電力、旅行、環
境、水道、自動車といった各領域で、プロジ
ェクト開発や建設管理から、融資、エクイテ
IL&FS Lのグループ会社
グループ会社
事業領域
IL&FS インフラ開発 (IL&FS Infrastructure Development
Corporation Limited)
IL&FSインフラ開発は、プロジェクトの概念化、構築、実施、入札プロセスの管理、
およびインフラプロジェクトの資金調達といったサービスを提供している。
IL&FS輸送ネットワーク(IL&FS
Transportation Networks Limited)
IL&FS輸送ネットワークは、陸上輸送分野のプロジェクトに焦点を当てている。同社が
提供するサービスには、プロジェクトの資金調達、プロジェクト開発、建設管理、アド
バイザリー・サービスが含まれる。
IL&FSエコスマート
(Ecosmart Limited)
IL&FSエコスマートは、環境管理システムの導入、移転および再建計画の導入といった
環境コンサルティング・サービスを提供している。また環境アセスメント、プロジェク
ト計画および環境計画、用地選定、スクリーニングおよびスコーピング、プロジェクト
後監視のためのデータ提供をしている。
IL&FS教育&技術サービス
(Education and Technology
Services)
IL&FS教育&技術サービスは、カスタマイズされたトレーニング・モジュールの開発な
ど、教育分野のプロジェクトを専門にしている。
新ティルプール地区開発
(New Tirupur Area Development
Corporation Limited - NTADCL)
新ティルプール地区開発は、ティルプール地区開発プログラム(TADP)の中で、1億
8,500万lpd規模の給水インフラプロジェクトの実施、運営、維持を担当している。
また、スラム地区に低コストの衛生施設を供給している。
ノイダ有料ブリッジ
(Noida Toll Bridge Company Ltd.)
ノイダ有料ブリッジは、IL&FSと共に、1996年に新オクラ工業開発局(NOIDA)より特定
目的媒体として指定された。設立当初より同社は、デリーとノイダ又は大ノイダ圏を結
ぶDND Flywayの開発、建設、運営、維持に、建設・所有・運営・譲渡 (BOOT)ベースで
携わってきた。
IL&FS投資マネジャー
(IL&FS Investment Managers
Limited-IIML)
エクイティファンド管理会社であるIL&FS投資マネジャーは、資金調達、投資の計画と
実施、ファンドの再編に関する実績がある。
IL&FSインベストスマート
(IL&FS Investsmart Limited-IIL)
IL&FSインベストスマートは、1997年に設立され、リーテール、マーチャント・バンキン
グ、機関株式ビジネス、債券委託、プロジェクトシンジケートといった各部門を通じて
金融サービスを提供している。
IL&FSトラスト
(IL&FS Trust Company Limited
-ITCL)
IL&FSトラストは、債券発行、融資、証券化商品、投資信託、未公開株、ベンチャー投
資資金の信託および関連サービスを提供している。
ORIXオートビジネスソリューション
(ORIX Auto and Business Solutions
Limited -OABS)
1995年にIL&FSとオリックスとの合弁会社として設立され、自動車のファイナンスリー
ス、レンタカー、メンテナンス、分割払いサービスを提供している。
ィ・ファンド管理、自動車のファイナンスリー
スに至るまで、広範なインフラおよび金融サー
ビスを提供している。こうしたサービスを支え
るのは多岐にわたるグループ企業で、それぞれ
が得意分野を持っている。このことが、さまざ
まなセクターへのサービス提供を可能にしてい
る。また、著しい経済発展を遂げているインド
では、近年、さまざまなセクターが急ピッチで
成長し、多くのインフラ整備プロジェクトが開
始されており、幅広いセクターをカバーする
IL&FSの成長も確実なものとなっている。
中央および州政府と民間セクターとのパー
トナーシップ
IL&FSは、国内のさまざまな政府機関(中央お
よび州政府)、金融機関、民間セクターとのパ
ートナーシップ関係を築き、多岐にわたるイン
フラ整備プロジェクトの資金調達および実施に
携わっている。これらのパートナーシップによ
り、IL&FSは、革新的手法でプロジェクトの資
金調達を遂行し、ライフサイクルコストの削減
に成功している。IL&FSはまた、各プロジェク
トで得られた経験を活かし、透明性が高く、説
明責任が果たせるプロセスを構築することに重
点を置いている。IL&FSは現在、100億ドル規模
のプロジェクトを遂行中である。
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以下は、IL&FSが参加したインドでのプロジェクト:
カテゴリー
プロジェクト
物的インフラ
IL&FSは、バラジ・インフラプロジェクト(Balaji Infra Projects Limited -BIPL)が
推進しているディグヒ港プロジェクトの共同デベロッパーを務めている。
IL&FSは、インド原子力発電 (Nuclear Power Corporation of India Limited) に投資
顧問サービスを提供。サービスには、買手と売手と運送業者との三者契約(輸送および
融資契約)、電力購入契約の交渉と締結、各電力会社との仲介などが含まれる。
社会インフラ
IL&FS 教育&技術サービスは、アーメダバード市の4,800名の教職員に対し、コンピュ
ータを活用した教授法による研修プログラムの実施企業に指名された。
IL&FSエコスマートは、ムンバイ都市交通プロジェクトの復興・再定住プログラムに対し
て投資顧問サービスを提供している。これには、ムンバイ都市開発局(MMRDA)の実行
計画の推進支援や、プロジェクトで影響を受ける世帯(PAH)への補償金給付管理ため
のリレーショナルデータベース管理システムの開発、また、将来の類似プロジェクトに
役立てるための再定住活動計画実施マニュアルの作成が含まれている。
今後の計画
IL&FSは、マンガロール特別経済区(SEZ)プロ
ジェクトの共同プロモーターとしての役割を果
たしている。IL&FSは最近、同社の特定目的組
合(SPV)への加入覚書をカナラ商工会議所
(KCCI)と取り交わした。このプロジェクトに
参加するKCCI以外のプロモーターは、カルナタ
カ工業地区開発理事会(KIADB)およびインド
石油・天然ガス公社(ONGC)である。
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