平成 19 年度 独立法人福祉医療機構子育て支援基金助成事業 地域小児科クリニックと連携した 子育て支援事業 ふぁみりぃさぽぉと・カーサディバンビーノ ふぁみりぃさぽぉと Casa di Banbino(カーサ ディ バンビーノ 以下バンビーノと略す) は、地域の小児科クリニックから生まれた子育て支援センターである。 医療現場である小児科クリニックには、育児に関連した相談が多く持ち込まれるが、 医療現場での子育て支援には限界があるため、クリニックと連携しつつも独立した事業と しての子育て支援事業を行うことで、幅広く、質の高い、地域に密着した支援ができると 考えた。 開設した平成 17 年度から、徐々に利用者は増加してきたが、その利用者は、クリニック を受診する患児の親子がほとんどであった。そこで、医療と連携した専門家のいる子育て 支援センターの良さを、さらに広く知り、利用してもらい、運営を安定化させるために、 平成 19 年度独立行政法人福祉医療機構の助成金事業として活動を行った。 以下に、各活動の報告をする。 イベント Ⅰ たくさんの親子にバンビーノについて知ってもらう ことを目的とし、左記プログラムでイベントを行っ た。クリニック、公民館などにチラシを置いたほか、 地方情報誌『アゴラ』にもイベントの情報を掲載して もらい、宣伝した。 延参加人数は 150 名前後。バンビーノを利用したこと のある母が友達を連れて参加したり、クリニックなど を通してバンビーノの存在を知ってはいたが利用し たことのなかった親子が参加したり、参加したことの ない講座を体験したり、講師やスタッフと交流を持つ などのよい機会となっていた。 イベント終了後、何人かのお母さん方から食事や会場に関す る意見をもらうことができ、この意見を参考に冬のイベント の開催方法についても検討することとした。 ダウン障児の赤ちゃん体操 パネル展示 リトミック体験 発達障害児のためのミュージックセラピー 説明・実演・体験 イベント Ⅱ 医師であり探検家でもある関野吉晴さんをお招きする機 関野吉晴さんのお話会 会を得たため、イベントの予定を一部変更し、クリニック グレートジャーニーで出会った子ども達 ~地に生きる民の子育て~ 日時 12 月 9 日(日曜日) 14:00~16:00 場所 SS ビル 2 階 多目的ホール と合同で左記の内容にてお話会を開催した。 参加者76名。子育て中の親子のみならず、子どもとかか わる仕事をする教育関係者、医療従事者などの参加もあっ 参加費:ひと家族 1000 円 一人で参加される場合も同料金です。当日お支払いください。 た。また少数ながら小学生の参加もあった。 小中学生が一人で参加の場合は 500 円 定員:100 名(3 歳から定員にカウントします。 )申し込みなど 今回の話は、モンゴルのある少女のことを中心に進んだ。 申し込み方法 日本人である私たちから見ればとても不自由な暮らしを 直接申し込み:クリニックまたは ふぁみりぃさぽぉとばんびぃの Tel・Fax・メールでの申し込み:ふぁみりぃさぽぉとばんびぃの している少女だが、本当にたくましい!そして目がきらき ら輝いていた。少女の住む草原にはゲームはもちろんおも ちゃや早期教育の教材などなく、私たちから見れば、子ど もの喜びそうなものは何にもないように見える。しかし少 女の中には好奇心がいっぱいで、与えられるのではなく自 分で何かを見つけて学んでいく。例えば馬の乗り方、牛の 誘導の仕方など。まるで生きるために大切なことから順番 に学んでいるようであった。 それに比べて日本の子どもたちは、欲する前に与えられい つもおなかいっぱいなので、自分で必要なものを捜して身 につけるという機会が少なくなっているように思えた。い ろいろな情報に翻弄されがちな子育てだが、必要なものを 見極めるというか、必要ないものをそぎ落としていく引き 算の子育てが大切であると感じた。 また、環境問題や人と人とのネットワークの大切さなど、 2時間の中に、考えさせられるべき課題が盛りだくさんで あった。人も自然の一部であることを本当に実感した関野 さんからのメッセージを忘れないよう日々暮らしていき たいという感想を持った。 会場からは、国によって子どもの育ち行く環境の違いと問 題、家族、人々の幸せの価値観の違い、豊かさについての 疑問、なぜ関野さんがグレートジャーニーを始めたのかな ど、それぞれがそれぞれの立場からの質問が寄せられ、子 ども自身もさることながら、子どもとのかかわりを通して 大人が考えていかなければいけないたくさんの問題があ ることに気づかされたようであった。 イベント Ⅲ 冬のバンビーノフェスタは、左記のプログラムで開 催した。 夏のイベントの際、食事内容や会場についての評判 がよくなかったため、冬のフェスタは開催日を 5 日 間に延長し、1 会場で開催できるようにした。また 食事については、バンビーノを利用する母親や、講 師の協力により、素材調理方法にこだわりつつも家 庭で実践できるメニュー作りをし、提供した。 基本的な内容は、夏のフェスタ同様バンビーノをま だ利用したことがない親子など広くバンビーノを 知ってもらうことを目的にとした。 年末年始があり、宣伝に費やした時間は短かったも のの、連日30~40組の親子が訪れ、会場が熱気 に包まれる状況であった。 また夏はプログラムの時間が押して、忙しく開催と なってしまったので、今回は、時間を大まかに区切 って、ゆとりのあるプログラムにした。そのためか、 子どもを遊ばせたり、企画に参加するだけでなく、 母同士おしゃべりをしたり情報交換をしたり、夏と 比較しゆったり時間を過ごす人が多かった。 このフェスタをきっかけに、レギュラークラスに参 加したり、子育て広場を積極的に利用してくれる親 子も増えた。 親子で楽しむコンサートの様子 ハイジのお話会の様子 子育てひろば 【開催日】 月・水・金曜日を中心とした年間 130 日 10:00~15:00 【利用者】1 日 10~15 組の親子 年間約 3000 名 【ボランティア】 田中裕子 長岡智美 山口愛子 山本ひとみ 秋山留美 ボランティアスタッフ 5 名と、運営委員 3 名が交代で子育て広場を担当した。お母さんの話し相手・子どもの遊び相手・積 極的に話しかけたり、時には見守ったりしながら、親子がリラックスして過ごせるように配慮した。年齢層に幅があるとき は、特に安全面には気を配り、おもちゃを選択したり、子ども自身にも注意を呼びかけたりした。 クリニックから紹介されて訪室する親子の中には、問題を抱えている場合も多く、親子の様子に注意し、声をかけるように した。また個人情報の問題に配慮しつつも、日々担当スタッフが変わることを補える範囲での情報交換も行い、問題を抱え るお母さんが話しやすい雰囲気作りにも努めた。 バンビーノの講座で知り合った後、一緒に子育て広場を利用したり、何度か子育て広場に足を運ぶうちに顔見知りの親子が でき、付き合いが始まった親子も多く、子育てについて相談しあったり、励ましたり、情報交換したり、『子育て仲間』の 輪が広がっていく様子が見受けられた。また仲間同士で解決できないことを、気軽にスタッフに相談しに来たり、子どもの 成長を報告に来たりと、誰かと感情を分かち合いながら育児をしようとするお母さん方も多く、コンセプトでもある“ひと りぼっちの親をなくそう・誰かとつながってみよう”というバンビーノのコンセプトをかなえるべき、大切な場になったと 思われる。 発達障害児と健常児との交流は、まだ決して多くはないが、障害児の母親が、積極的に子育て広場を活用してくれるケース もあり、少しづつ輪を広げていけるようにすることが今後の課題である。 小児科の看護師としての経験と、自分自身の子育ての経験とを 踏まえてボランティアスタッフとして活動をした。バンビーノ を通して自分にも子育て仲間ができたり情報交換ができたり とプラスの面も多く、また育児に悩む母に対して看護師という 立場でありながら同じようなことに悩む母として、近い立場で 相談に乗ることもできた。あるきっかけを通じて、人と人が出 会っていくことにはとても意味があることも感じた。また1歳 と3歳になる子どもも、バンビーノで多くの人たちと触れ合う ことができたことで、とても成長したことを実感できた。 ボランティアスタッフ 私自身障害を持つ子どもを育てているという立場から、時に はお母さんの気持ちにとても近づきながら話を聞くことが でき、そんなときには、誰かの役に立てているという満足感 を感じることができます。またどんな子どもであっても子育 てというものはみんな同じように悩むものだという共通点 があることに気づくこともできました。 更にたくさんの親子の様子を見ることで、自分では経験でき ないことを知ることができたり、客観的に自分の姿を見つめ なおすきっかけになったりと、自分自身のためにもとても勉 強になる場でした。 ボランティアスタッフ 田中裕子 長岡智美 色で心の表現『パステルアート』 ☆開催日 5/28・6/11・7/9・7/30・8/1・8/27・9/10・10/22・11/12・12/17・1/21・2/18・3/10・24(予定) 全 14 回 ☆2 月までの延参加者 115 名 ☆講師 カラーセラピスト・色彩講師 小林祥子 独立行政法人福祉医療機構の助成金をいただき、 ”笑顔がこぼれるパステルアート”をめざしてスタートした活動も、はや 1 年になりますが、 おかげさまで、 毎月キャンセル待ちも出る大盛況のワークショップに成長しました 各回約10名のママたちのワーク中の様子はこんな感じです。 傍らで子どもが騒いでも気づかず、パステルに没頭し続けるママ 片手でわが子を抱きかかえ、あやしつつ取り組むママ とっておきの小さなおにぎりを、小出しに与えて乗り切るママ ひとりの時間を満喫し、クリエイティブを追求するママ ママの横に転がって、静かに微笑む赤ちゃん ママのおひざで、パステルとたわむれる子ども ママの横にちょこりと座り、1人前にアートしちゃう子ども ママから離れて、汽車の積み木に没頭する子ども こんなふうに、みんな思い思いのスタイルで、 それぞれの色と形を楽しんで、作品を仕上げていきます。 そして、最後の発表は、ハーブティーとおいしいお菓子を いただきながらのハッピータイム! お互いにポジティブメッセージを伝え合うこの時間を 私は一番大切にしています。 なぜなら、ここでママたちの表情がグッと輝きを増すからです。 パステルの色を通して、気持ちが外へ流れ出したあとの 心地よい時間なのですね。 また、自分で自分の気持ちに気づき、 人からの言葉でまた新たな自分を発見する・・・ 自分とは違う、人の新鮮な発想に驚き、感動する・・・ そんな小さな変化の積み重ねが、色と共に 子育てや日常生活に潤いをもたらしてくれているよう です。 そうして、ナント、帰宅後も余波は続くのだそうです! みなさん、癒やされるべく、 目につくところにパステルを貼っておくと、 ”うわ~!キレイだね!” ”ママ、すごくいいね!” ”わたしもやりたい~”・・・ 今度は少し大きいお子さんや、だんなサマとの うれしいふれあいにも一役買ってくれるそうです。 感謝です、パステルアート! 楽しくコラージュ 【開催日】 4/16・5/14・6/4・7/2・8/6・9/3・10/1・11/5・12/3 1/7・2/4・3/3 全 12 回 【延参加者】102 名 【講師】 アートセラピスト 福山恵美子 平成19年4月より毎月1回、ファミリーサポートバンビーノにおいて、 バンビーノでの作品を含む 主として乳幼児の子育て中のお母さん達を対象に、コラージュ講座を開催した。 コラージュ展が 3 月に開催される コラージュとは、雑誌・広告等から好きな絵や写真を選んで切り抜き、 それらを画用紙の上に自由に並べて貼り、一枚の作品にするものである。プロセスは簡単だが、選ぶ・切る・並べる・貼るの各 過程において、参加者はさまざまな気持ちの変化を感じたようだ。 まず写真等を選んで切る時。 子育て中は、お化粧、ファッション、身の回り品や行動範囲等、 母親はいろいろな面で束縛を受ける。 そこで、欲しいもの、好きなもの、行きたいところなどを遠慮 なく切り抜いてもらう。これだけでも充分、お母さん方は喜び を感じてくれていた。また、ザクザクと絵や写真を切る行為自 体に、爽快感を感じたお母さん方も多かった。これは大切な感 覚だと思う。 幼い子供を育てていれば、当然いろいろなことに慎重になる。 一人ならエイヤッとやってしまいたくても、そうはいかない場 合は多々あるし、元々ダイナミックな性格のお母さんなら、そ の辺のストレスをため込んでいる可能性は充分あると思う。 また子育て中は、言うことを聞かない、思い通りに行かない 我が子に対して、ついついネガティブな感情を抱いてしまう ことも当然あるだろう。はさみでザクザクと切るのは、知ら ず知らずため込んだ、それら不要なエネルギーを安全に解放 できる手段だったようだ。「何も考えず、バサバサ切るだけ ですっきりしました。」という声を何度も聞いた。イライラ 感やモヤモヤ感のあるお母さんには、是非体験して頂きたい と思う。 次に並べて貼る段階。ここでは、お母さん方それぞれが、お 気に入りの世界を創る楽しい時間に没頭する。真面目に育児 に専念するあまり、自分の楽しみや喜びはおざなりになり、 結果、疲労感を蓄積させるケースは多いと思う。この時間、どのお母さん達も非常に集中していくが、集中して自分の気持ちと 向き合い、自分を楽しませ、言い換えれば自らをケアしてあげている訳である。そしてその結果、作品完成時には、皆さん実に 満足そうな生き生きした表情をされているのが印象的だった。顔色も瞳の強さも、始める前と格段に違っていた。また「自分の 作品や、作品をを作ることも好きだけれど、他の人の作品を見るのも大好き。」という嬉しい言葉を何度も聞いた。自分も好き、 みんなも好き、という人間関係(親子ももちろん人間関係)を良好にするための鍵のようなものを、お母さん方は皆、コラージ ュ作品の中から直感的に受け取ってくださったと感じている。今後も、このような姿勢で講座を続けていきたいと思う。 花と遊ぼう ~フラワーセラピー~ 【開催日】 4/27・5/22・6/22・7/24・8/1(2 回)・9/25・10/26・11/27・1/28・2/22・3/24(予定) 全 12 回 【延参加者】123 名 【講師】 かんがるぅぽけっと 西嶋貴子 星利佳 本埜麻美 「花を1輪だけ、花瓶に生ける」そんなことは習わなくてもできるし、1輪生けていったい何になるの?体験される前には、き っと誰もが思うことです。ところが、よく気をつけてみると、このフラワーセラピーの花との出会いからのプロセスは、すべて 「初めての子育て」と置き換えられます。また、その一連のプロセスが生ける人の心にリラクゼーション効果を与えます。 *手順と体験者の様子* ① いろんな花の中から、自分で1輪だけを選ぶ。 ・・・特別な1輪の花になる =たくさんの人間の中で、お互いを選んで生まれた親と子。 ② 眺める。色の出方や葉の様子、手触り。上から横から後ろから見てみると花にも いろんな表情があることに気づく。 ・・・花に愛おしさが湧く =日常生活の中では、なかなか子どもを違う目線で見ることが難しいもの。花を通しての発見が子育ての気づきに。 ③ 生ける。何も難しいわけがないと思っていたのが、案外どう生けたらよいのかわからなかったり、「こう生けたい!」が 花がうまく向いてくれなかったりする。スタッフの助けを得て生けてみる。できた瞬間、表情がパッと輝く。 ・・・うれしい!満足な顔 小さな達成感 携帯で写真を撮る人も多い。 =子育ては、生まれる前には思ってもみなかった、意外な問題の連続。どうしたらよいのかわからなかったり、親の思 う通りにはなかなかならなかったり。落ち込むことも多いけれど、些細なことがとてもうれしかったりする。 ④ 花が応える。愛情を受けた花は輝きを増す。 ・・・色が鮮やかになったり、生き生きとして見えたり。 =親の愛情を受けた子どもは、その愛情の中でのびのびと育つ。 *同伴の子どもたちの様子* ・お母さんと一緒にお花を見て、ニコニコ、目をキラキラさせていた。 小さい子どもでも、きれいな物は大好きでちゃんとわかり、情操が 養われると感じた。 ・ 「子どもが花を気にかけるようになりました。 」という声があり、お子 様にも花のよさが伝わっていて嬉しかった。 ・1~2歳の子も抹茶をおいしそうに飲んでいた。子どもに日本の文化 を伝えるのも大事なことだと思う。 *スタッフの感想* ・毎回、体験者のお顔がどんどん輝いていく姿を拝見し、私たちも 感動すると共にボランティアさせて頂く喜びを感じました。 このような活動のできる場所がもっと増加したら、住みよい 世の中になると思います。 これからも協力させていただきたいと思います。 ありがとうございます。 ・花を生ける過程で花の表情が変わることを体験者の方と共有 できて嬉しかったです。 マタニティクラス 【開催日】 4/4・4/18・5/16・6/20・7/18・8/8・9/19・10/17・11/17・12/19・2/20・3/19(予定) 全 12 回 【延参加者】39 名 【講師】 助産師 清水由紀子 山口陽子 病院や市町村で行われるマタニティクラスは、通常第 1 子を妊娠中の妊婦を対象に行われる。しかし、子育てをしなが らすごす妊婦期間や、同時に 2 人 3 人の子育てを行うことは、母にとっても初めての体験であり、第 1 子の子育てとは 違った不安や心配があるものである。そこで、バンビーノでは、第 2 子以降のお子さんを妊娠中の妊婦を対象としたマ タニティクラスを開催した。 *参加状況* ・参加者は、どの回も、5組以内であった。 ・参加者のほとんどは、子どもを連れての参加であった。 *参加動機* ・初産婦のときに母親学級に参加できなかったので ・経産婦向けの母親学級がなかった ・上の子にどう関わっていいのか心配だった、 ・上の子の赤ちゃん返りが心配 ・どうのように赤ちゃんがくることを伝えたらよいか 知りたかったなどであった。 ・クラスを知ったきっかけは、クリニックで勧められた・バンビーノの 掲示を見たがほとんどであった。 *講座について* ・隔月、『身体編』と『こころ編』というテーマで交互に開催した。 ・参加者同士の座談会を中心に、個々の問題や心配事を共有したり、アドバイスしたり、情報交換が出来て いた。 ・専門的なアドバイスについても、個別に対応でき個々のニーズに対応できた。 ・連れてきた子どもを観察し、一緒に遊びながら対応について具体的にアドバイスが出来た。 ・講師の役割として、クラスを進行する役と子どもたちを見たり、外回りをしたりと言う役割り分担が出来 た 月に1度の開催で、欠席したときの振り替えが難しかった。 *今後の課題* ・参加者を増やすための周知を広げる。 開催日を増やすことで、参加しやすさ、振り替えのしやすさを図る。 心の育ちを考える ~心育さろん~ 【開催日】 4/11・5/9・6/13・7/11・8/1・9/12・10/10・11/14・12/12・1/9・2/13・3/12(予定) 全 12 回 【延参加者】90 名 【講師】 看護師 是永典子 目には見えにくいけれど、とても大切な心の発達。でも身体の成長と同じように、きちんと順番があり、ひとつひとつのステ ップを踏むことが大切であることを知っておくことは、育児の助けになると考え、この講座を始めた。 バンビーノの『ぽれぽれの会』の中で、月 1 回、お母さんたちの理想の子ども像を聞きながら開催した。 1 才前後のお子さんを持つお母さんたちには、お子さんが生まれ てからこれまでに、『基本的信頼感』という心の一番大切な根っ こ部分を育てるという大切な仕事をしてきたことを知ってもら った。そして、多くのお母さんたちが理想とする、 “思いやりの ある子” “やさしい子”に育つためには、信頼関係を土台にした 感情のやり取りの大切さについて話した。当然のこととしてこれ までやってきた声かけや、欲求に応えることがどうして大切なの かを知ることで、自分は日々大きな仕事をしているという自身を もてたお母さんも多かったようである。 1 歳半以降になると、子どもの個性が目立ち始め、 『他の子と違 う』ことが心配になるお母さん方が多かった。またそれは自分の 育て方が悪い?とか、わがままを言う子どもにどのように対応し ていいか困っている母も多かった。そこで、2 歳前後のクラスで は、『基本的信頼感』という心の発達をベースに、自分を主張す るべく『自我の芽生え』という心の発達段階に入ったことを話し た。“わがまま”と思える言動や行動も大切な発達段階での子ど もの仕事であり、ずっと続くことではないことを話すと安心する お母さんが多かった。 *感想* 仕事をある程度こなしキャリアを積んだ後で、結婚・出産し母親になる女性が増えている。そのような女性は、子育て中 に社会から孤立したような孤立感を感じたり、仕事のように考えたとおりに段取り良くは進まない子育てにストレスを持 ったりしやすいようである。しかし、育児というのは、一人の『人』を創りだす尊い仕事であり、そのことに自身と誇り を持ってほしいと思う。また、この大切な仕事を、楽しく楽にやっていってほしいとも思うのである。なぜなら、子ども にとって、お母さんとの楽しい時間は心のエネルギーの貯金になり、お母さんにとっては難しい思春期を迎えたときの縁 の下の力になるからである。 少し知っておくだけで、お母さんたちの心の負担をやわらげられるような講座として、今後も継続していきたい。 お話会 【開催日】 4/11・5/9・6/13・7/11・8/1・9/12・10/10・11/14・12/12・1/9・2/13・3/12(予定) 全 12 回 【延参加者】約 180 組の親子 【講師】 ファンファン 阿部久子 子育て中のお母さん達にお話会をやってよかった事 お話会ボランティアグループ『ファンファン』は、子育てが一段落した仲間が集まり主に読みきかせのボランティアをしてい る仲間です。それぞれの子育ての経験や特技、趣味等をいかし楽しく活動をしています。 メンバーには元幼稚園保育園の教諭もいて 当日のカリュキュラムなどに能力を発揮しています。 お話会は、生まれてから就園までの期間の子供達にあった時 間に開催し、自由に来て頂く開放的な会です。1年を通しリ ピーターとなってくださる方も多いです。場所も絵本がたく さんある小児科の下の階にある部屋で、安心感も大きいと思 います。 幼児の環境も少子化や核家族化、IT化による個の強化等で 多様にかつ急激に変化していて育児書では間に合わない部 分も多いのが現状です。 お話会に気軽にきて頂く事で、私達と会話するだけではなく 他の親子の方々ともコミュニケーションをとるきっかけに なり不安から解放される助けになっています。 活動の具体的な内容は読み聞かせですが、絵本を通して親子 で和んで頂きます。また手遊びや簡単な工作を取り入れ知能 の発達を促しながら子供と楽しく遊ぶスキルを提供してい ます。 このお話会の役割は、絵本に親しむだけではありません。 親子対他の人たちと、または親子同士でコミュニケーション を楽しくとり子育てで孤独しないための場でもあると思っ ています。 この活動により可愛いお子様達の毎月の成長に立ち会う事 ができ、子育てという評価をされにくい経験を活かす事がで き開催している私たちもうれしい事です。 スリング講習会 【開催日】 4/13・5/11・6/8・7/13・8/1・9/14・10/12・11/9・12/14・1/11・2/12・3/11 全 12 回 【延参加者】53 名(2 月現在) 【講師】 助産師 山口陽子 お母さんへの負担が少ない上に、新生児から約 3 歳まで使用できる抱っこ紐『スリング』 スリングを使った密着育児は、お母さんが五感を使って赤ちゃんとのやり取りをします。さらに赤ちゃんの発達も促すと言われてい て、クリニックでも育児不安の強いお母さんには特に、スリングを使った密着育児を勧めている。 しかし、使い方の自由度が広いだけに、買ってはみたもののうまく使えずしまいっぱなしになっていることもあり、この講習会を開 催している。 参加者は 3~5 名程度。お子さんの月齢は、生後 1 ヶ月から 8 ヶ月 が多かった。 スリング講習会にを知ったきっかけは、クリニックの受診時、友達 からの紹介が多かったが、インターネットで知ったという方もい た。 それぞれの月齢にあった使用方法と、その他のアレンジについて説 明したが、意外と安全面への配慮について理解していない方が多か った。 出産後初めて子どもと二人で外出したというケースも多く、母乳育 児や離乳食などについての話題で会話が弾んだり、今後親子で遊び にいく場所などの情報交換をしたりと、有意義な時間がすごせてい たと思う。 その他の助成金事業 【広報宣伝活動】 年 4 回、バンビーノガーデンという子育て情報新聞を作り発刊、HP 上での公開と公民館などにおいてもらった。 またパンフレットは、講師の先生方が、学校や地域で講演会や学習会を行う際に配布してもらった。 まだまだ十分な広報活動ができているとは言い難いが、以前は利用者の 90%以上がクリニックから紹介されてきた方であったも のが、現在では 3 割程度は友達同士の口コミ、HP,さらに少数派ではあるが、地域でパンフレットやバンビーノガーデンを目にし たという方もいた。また、他の市の行政関連の職員など子育てにかかわる職種の方が 3~4 名見学に来るケースもあり、徐々に認 知度は高まっているといえそうだ。 【育児関連商品のリサーチ】 運営費の確保のため、育児用品の販売を行っているが、新たな商品として手作りエコバッグ・マッサージなどで使用するアロマオ イルなどを試供した。手作りエコバッグは、イベントなどで提案してみたところ、子どもと一緒に作る楽しさもあり好評であった。 しかし消耗品のコストが予想以上に高く、今後販売を考えるときに値段設定について要検討である。マッサージ・アロマオイルは、 リラックス効果や、家族のコミュニケーション手段として有効だと思われるが、良質のオイルは単価が高いものが多く、子育て世 代が購入しやすい商品を選択していく必要がある。 1 年間助成金事業をとしてさまざまな活動を行ってきたが、子育て広場など、いつでもボランティアを 含めたスタッフがいて見守っていることでの安心感や、相談のしやすさからか、子育て広場を含めて 繰り返し利用してくれる親子が多く、このような活動の大切さを実感することができた。 またレギュラークラスも、特に母が自分を表現し癒されるという体験を通して自分を見つめなおしたり、 新しい自分を発見し、子育てにも生かしていく母親が多く見受けられ、子育て支援活動の中では、 母親のメンタルケアをしていくことがとても重要であると感じた。 バンビーノのコンセプトでもある『人と人のつながり作り』に関しては次のようなエピソードもあった。 ある日バンビーノに双子の妊娠がわかり、育てていけるだろうかと不安でいっぱいになっていた お母さんが来ていた。すると偶然にも、現在まさに双子の赤ちゃんを育てているお母さんとばったり 出会い、いろいろ話を聞くことができた。このことをきっかけに、そのお母さんは気持ちが前向きになり、 今では双子の誕生を覚悟を決めつつ楽しみに待っている。 このように、バンビーノを通していろいろな親子が新しい出会いの機会を持ち、その出会いを通して 何かが変化していく、これこそバンビーノの目指す「人と人とのつながり作り」である。 子どもたちも変化する。お母さんのためのクラスをやっていると、子どもたちははじめはなかなか お母さんのそばを離れられず、お母さんの作業が思うように進まないこともしばしばある。 しかし回数を重ねていくと、場所にも人にも慣れ、バンビーノに来たらお母さんはお勉強、自分は お友達と遊ぶという切り替えができるようになってくる。 (もちろん途中で心の基地である母の元にもちょこちょこやっては来るが・・・) けんかをしたり共に笑ったり、スタッフを遊びに誘ったり・・・子どもたちの社会性が育っていく様子が 手に取るようにわかるのだ。 バンビが開設当初、おっぱいを飲んでいた子どもたちが春には幼稚園。子どもの成長もさることながら、 お母さん方も母として成長してきている様子を見ていると、子どもの力ってすごいなぁ~と感じさせられる。 育児は大変だけれど、子どものおかげでやわらかくなった自分や、新しい出会いなど、目に見えない プレゼントをたくさんくれた子どもたちに感謝しつつ、親子で楽しい毎日を過ごしていけるよう、 今後も育児支援活動を続けていきたい。 バンビーノの活動を理解し協力していただいた、講師・ボランティアスタッフ・おぐちこどもクリニック 院長はじめスタッフの皆様に感謝いたします。 芥川理津子
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