炭素繊維・複合材料事業の概況

炭素繊維・複合材料事業の概況
帝人株式会社
高機能繊維・複合材料事業グループ長
亀井 範雄
2012年9月29日
1. 炭素繊維・複合材料事業の概況
1
1.炭素繊維・複合材料事業の概況
(1) 帝人グループ内の位置づけ
その他
高機能繊維・複合材料事業グループ
高機能繊維・
複合材料
高機能繊維事業本部
主要製品
アラミド繊維
15 %
産業資材用ポリエステル繊維
炭素繊維・複合材料事業本部
製品
売上高
8,000 億円
[2012年度見通し]
電子材料・
化成品
主要製品
炭素繊維・複合材料
主要会社
東邦テナックス(株)
ヘルスケア
Toho Tenax Europe GmbH
帝人複合材料開発センター
(株)GHクラフト
2
1.炭素繊維・複合材料事業の概況
(2) 国内事業拠点
三島事業所
東京本社
揖斐川事業所
松山事業所
帝人複合材料開発センター/(株)GH クラフト
(静岡県御殿場市)
3
1.炭素繊維・複合材料事業の概況
(3) グローバルネットワーク
TTE
TTA TACA
DSC
TTJ TCIC
欧州市場
北米市場
日本・アジア市場
欧州市場
 Toho Tenax Europe (TTE) (独)
拠点
炭素繊維
生産能力
(グループ合計)
事務所
5,100トン/年
日本・アジア市場
 東邦テナックス (TTJ) (日)
 複合材料開発センター
(TCIC) (日)
 GHクラフト (日)
北米市場
 Toho Tenax America (TTA) (米)
 Teijin Advanced
Composites America (TACA) (米)
 Diversified Structural
Composites (DSC) (米)
6,400トン/年
2,400トン/年
( 13,900トン/年 )
 フランス・フィンランド・イタリア
 上海・シンガポール・インド
 ブラジル
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1.炭素繊維・複合材料事業の概況
(4) 事業の概況
当社シェア約20%
世界のマーケットシェア*
(2011年)
スポーツ・
レジャー
20%
航空機
30%
用途別内訳*(2011年)
一般産業
50%
*出典 : 矢野経済研究所
「機能性炭素材料市場の現状と将来展望」
*当社の売上高ベース
競争優位性
 世界第2位の炭素繊維サプライヤー
 航空機用途を中心としたグローバル市場での高いシェア
 熱可塑性複合材料(CFRTP)の成形技術で画期的な量産技術
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炭素繊維・複合材料のご紹介
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
(1) 炭素繊維の特長
“軽い”
鉄の1/4
“強い”
鉄の10倍
その他の特長
 耐熱性・耐薬品性
 耐疲労性
 寸法安定性
 導電性
(電気を伝えやすく、電磁波も遮蔽)
炭素繊維製コンセプトカーの車体骨格
重量:47kg (従来の鉄製骨格の約1/5)
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
(2) 代表的な用途
航空機
自動車
LEXUS LFA
©AIRBUS
スポーツ
コンセプトカー(電気自動車)
テニスラケット
エネルギー・産業用途
A380
自転車フレーム
風力発電ブレード
風力発電
ボンバルディア Cシリーズ
圧力容器
射出成形部品
カメラ
筐体
ゴルフクラブ
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
a. 航空機用途
1機種あたりの炭素繊維使用量推移
機種 運航開始年
CF推定使用量*
(㌧/機)
 ‘81年 B767の二次構造材に初採用
 ‘85年 A320の垂直尾翼に一次構造材として初採用
 A380以降、使用量は大幅に増加
B767
1981
1
A320
1985
1
A340
1992
5
B777
1994
7
B737
1998
1
A330
1998
5
A380
2006
23
B787
2011
23
A350
2014
23
A380
*:当社推定
B767
1970
1980
B777
A340
A320
B787 A350
A330
B737
1990
2000
2010
2015
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
a. 航空機用途
A380における炭素繊維複合材料採用部位
1機当たり約23㌧の
炭素繊維を使用
©AIRBUS
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
b. 自動車用途
主な炭素繊維複合材料採用部位
ステアリングホイール
ボンネットフード
リアスポイラー
ディフューザー
プロペラシャフト
上記3点:LEXUS LFA
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
c. エネルギー・産業用途 (圧力容器関連)
燃料タンクは、バス上部に搭載
CNGバス
CNG* タンク
(* CNG: 圧縮天然ガス)
圧力容器1L当たりの重量比較
0
0.5
1
1.5
(単位:kg/L)
スチール製
炭素繊維製
約1/3に軽量化可能
出典:当社推定値
呼吸器用酸素タンク
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
c. エネルギー・産業用途 (エネルギー関連)
ブレードの内部に
炭素繊維複合材料を採用
風力発電
風力発電ブレードの構造
ケーブル中心のコア部分に
炭素繊維複合材料を採用
深海油田関連
電線ケーブル・コア
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
c. エネルギー・産業用途 (その他産業)
©川崎重工業(株)
橋梁
鉄道車両部品
他に、
©スズキ(株)
オートバイ部品
 工業用ローラー (製紙、印刷用他)
 土木建築(コンクリート補強材他)
 機械部品(ロボットアーム、板ばね他)
 高速回転体(遠心分離機ローター、
フライホイール他)
©ソニー(株)
電子機器筐体
 医療機器(車椅子、X線天板、他)
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2.炭素繊維・複合材料のご紹介
d. スポーツ・レジャー用途
テニスラケット
CFRP bicycle
frame
自転車フレーム
ゴルフクラブ
釣竿
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3. 事業環境
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3.事業環境
(1) 炭素繊維を取り巻く事業環境
原油価格の高騰
地球温暖化の加速
0.2
0
1981年~2010年の30年平均値に対する
世界の年平均気温偏差(℃)
120
原油価格(WTI)
100
[$/バレル]
-0.2
80
-0.4
60
-0.6
40
-0.8
-1
1880
20
1920
1960
2000
0
1980
1985
1990
1995
2000
出典:気象庁
2005
2010
2015
2020
出典:大和総研推定値
 地球温暖化の加速、原油価格の高騰など環境・エネルギー問題に対し、
省エネ、環境負荷低減など、解決策が必要とされている。
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3.事業環境
(1) 炭素繊維を取り巻く事業環境
軽量化
CO2排出削減
地球温暖化
クリーン・エネルギー
自動車
航空機
クリーン・代替エネルギー
省エネルギー
原油価格の
高騰
代替エネルギー
風力発電
天然ガス
 炭素繊維複合材料は、「省エネルギー」、「CO2削減」、
「クリーン・代替エネルギーの普及」に大きく貢献、環境・
エネルギー問題のソリューションとして成長が期待される。
深海油田
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3.事業環境
(2) 炭素繊維の需要見通し
 環境・エネルギー問題のソリューションとして
150,000
千㌧/年
炭素繊維市場は今後も高い成長が見込まれる。
年率15%以上の需要成長予想
100,000
100
一般産業用途
航空機
スポーツ・レジャー
50,000
50
0
0
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
出典:当社推定値
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4. 事業戦略
20
4. 事業戦略
(1) 中長期経営ビジョン「CHANGE for 2016」における位置づけ
事業ポートフォリオ変革
「重点拡大事業」への
フォーカス
事業区分
重点戦略事業
事業
事業
4つの
技術
地域
技術 ポートフォリオ 地域
変革
新規育成事業
人材
人材
2011年
0.8兆円
13%
投資方針
 高機能繊維・複合材料
 ヘルスケア
 新規電子材料
 先端医療材料
 電子材料・化成品
 IT
 製品
基幹事業
重点拡大事業への投資配分
イメージ
2009年-2011年
2012年-2020年
対象事業
投入資源を重点・優先配分
(大型M&Aを含む)
成長分野を中心に集中・
選択的な投資
事業別売上構成イメージ
2016年
2020年
1.3兆円
2.0兆円
25%
20%
 高機能繊維・
複合材料
 ヘルスケア
重点拡大事業
 基幹事業
 新規育成事業
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4. 事業戦略
(2) 事業戦略
中長期経営ビジョン
• 炭素繊維・複合材料業界のリーディング・カンパニーとなる
中長期経営方針
• 顧客と一体となった市場・用途開発の推進とソリューション提供型ビジネスへの転換
成長の機会
• 年率15%以上の成長
航空機用途、一般産業用途の需要拡大、自動車向け部材の需要拡大
競争優位性
• 航空機用途を中心としたグローバル市場での高いシェア、日・米・欧3極に生産・販売拠点
• 熱可塑性複合材料(CFRTP)の成形における画期的な量産技術
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
自動車に対するCO2排出削減と低燃費化への規制強化
欧州: 2025年までにCO2排出量を50%削減
米国: 2025年までに燃料消費量を50%削減
日本: 2020年までに燃料消費量を50%削減
2010
11
12
13
14
欧州
(CO2 排出量)
140 g/km
130 g/km
米国
(燃料消費量)
27.5 M/G
35.5 M/G
日本
(燃料消費量)
15
16
(2010年度比、予想値)
(2010年度比、規制案)
(2010年度比、規制案)
17
18
19
20
21
95 g/km
22
23
24
25
70 g/km
54.5 M/G
規制値
15.1km/L
16.8 km/L
20.3 km/L
規制案
予想値
出典:Jetro資料等
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
燃費改善、CO2排出量削減へのアプローチ
政府
道路インフラ整備、渋滞緩和
道路インフラ整備、渋滞緩和
燃料メーカー
天然ガス、ディーゼル
天然ガス、ディーゼル、
バイオ燃料
バイオ燃料
利用者
エコドライブ
エコドライブ
自動車
燃費改善
内燃機関
車体
効率改善、ダウンサイジング
空気抵抗低減
ハイブリッド、電気自動車、etc
軽量化
タイヤ
駆動系
転がり抗低減
伝達ロス低減
帝人は熱可塑性複合材料による軽量化に注力
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
1,100kgの自動車
(ケーススタディ)
軽量化の起点
ボディ軽量化
349kg →174kg
(-170Kg,50%↓)
自動車ボディ軽量化がもたらす波及効果
軽量化スパイラル
エンジン
電気部品
ステアリング
ブレーキ
サスペンション
その他部品
ガソリン燃料消費量
30%以上ダウン
トランス
ミッション
710kg
(-400Kg:合計35%軽量化)
170Kgのボディ軽量化が、
合計400Kgの軽量化に波及
出典:JSAE SYMPOSIUM No.01-10
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
帝人の「熱可塑性CFRP」量産プロセスは、世界初“タクトタイム1分”を達成
• 成形加工時間の大幅短縮により車の生産タクトタイムに合致
帝人の熱可塑性CFRP タクトタイム約1分
プレス成形 >> 脱型
従来比10倍の高効率
フロスト&サリバン社アワード
ICISの「Innovation Award2011」で
大賞・部門賞受賞!
従来の熱硬化性CFRP タクトタイム約10分
加熱 >> 離型剤塗布 >> 樹脂含浸 >> 樹脂効果 >> 脱型
• 一体成形による部品点数の大幅削減
• 成形工程での廃棄ロス減少
• リユース・リフォーム・リサイクル性良好
飛躍的な低コストを実現
(ロス、消費エネルギー、設備コスト)
量産車への適用に向け、大きく前進!
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
事業化に向けた主な動き
2011年3月
熱可塑性CFRPをタクトタイム1分以内で成形する量産技術を確立
2011年11月
松山事業所に実証用パイロットプラント新設決定
2011年12月
GM社と量産車向け熱可塑性CFRP製品の共同開発契約を締結
2012年4月
米国に「複合材料用途開発センター」開設
米国でのマーケティング及び用途開発を展開
GM社副会長 スティーブ・ガースキー氏のコメント
帝人とのパートナーシップにより、これまで一部のラグジュアリーカーに
限定的に使われていたCFRPが、自動車業界における新たな
技術革新になると考えています。
この技術は、自動車業界の地図を塗り替える可能性と、
GMの長年の技術革新を実証することになるでしょう。
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4. 事業戦略
(3) 熱可塑性複合材料(CFRTP)の事業展開
事業展開イメージ
スーパーカー・超高級車
数万台/年
CFRPボディー車
CFRP車体構造材
数千台/年
推定市場規模
推定市場規模
300万台/年
30~50億$/年
• GM社をはじめとする国内外メーカーとの取り組みを強化し、
早期事業化を推進
高級車・普及車
1億台/年
300万台/年
更に、
• 自動車以外の産業向け部品にも積極的に適用
約9,700万台/年
従来の金属ボディー車
2020年 世界の自動車市場規模:1億台/年*
CFRP製品事業全体で、
2020年近傍に1,500~2,000億円の
*出典:当社推定値
事業規模を目指す
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当資料に記載されている内容は
種々の前提に基づいたものであり
記載された将来の計画数値、
施策の実現を確約したり
保証するものではありません。
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