秋田マックニューズレター01(創刊号)

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2011(平成 23)年1月 創刊号
あ ま に れ
きた
っく
ゅーず
たー (秋田マックニューズレター)
ごあいさつ
施設が再開して半年たちました。たくさんの人々
のご厚意に支えられて新年を迎えられたこと、感謝
申し上げます。
昨年はいろいろありまして、焼失した建物の代替
物件探しもその一つでした。必ず見つかると信じて
探し続けましたが、何度もダメになりました。諦め
かけたときに、幸いにもマックに適した物件が授か
りました。喜びや安堵と同時に、シマッタと思いま
した。もうダメだと諦めた自分が恥ずかしくなりま
した。新潟マックに入所していた頃、「誰が良くな
って誰がダメになるか、誰にも分からない」と施設
長が言っていたことを思い出します。それは、マッ
クを通る仲間達への愛情なのだと思います。ダメだ
ろうと決めつけないで、分からないから、各々の可
能性を信じてもらえたのではないでしょうか。私
も、そうありたいと思います。
今回、第1回秋田マックセミナーで講演して下さ
った岡崎直人様から、ニューズレターを作りません
か?という提案をいただき、発行準備を担当してい
ただけることになりました。何の実績もない秋田マ
ックですが、皆様に支えていただきながら前進でき
れば幸いです。
皆様、これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
秋田マック施設長
佐藤 孝
秋田マック外観
マックの愛犬バッカス
目次
ごあいさつ
入所者の物語
1
会費・献金・献品
2~3
セミナーに参加して
利用者月報
理事長より
4~5
活動報告
6
YAKUINNMEIBO/RIYOUSHAGEPPOU
アルコール・その他の
依存症の社会復帰援助施設
特定非営利活動法人
秋田マック
〒010-0042
秋田県秋田市桜三丁目14-10
電話・FAX 018-874-7021
E-mail: [email protected]
URL http://park6.wakwak.com/̃
akitamac/
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2
☺☺☺☺☺☺☺☺入所者の物語☺☺☺☺☺☺☺☺
「この一年」
A.T
自分がアルコールの利用目的としては、酔いの雰囲気を利用して、共通の話
題、状況、境遇、時間。その時だけは分かち合え、他人と比較する事を酒の肴と
しては飲み、自尊感情の強い私は、理性を欠き、男性の本能のおもむくままを表
現する道具として利用していただけでした。
31歳頃には山型飲酒が続き、その後十数回程の入退院の繰り返しで数年を経
過しました。40歳代半ばには、親兄弟の「もう、お前を精神病院には入院させ
ない!!何も変わらないし、意味が無い!!」という実家の経済的理由もあり、
その後の7~8年間は入院こそなかったものの、3~4ヶ月サイクルで社会復帰
と山型飲酒後の離職を繰り返し、このご時世に復帰はもう無理と決めつけて、実
家や他人様にこれ以上迷惑を掛けない方法を四苦八苦して考えた結果、福祉のお
世話になる手段を取りました。
平成22年の8月初めに、とうとう秋田マックに身を委ねなければならない程
のことをしでかしまして、入所することになりました。入所時は、これからどう
なるのか不安で眠れぬ日々が続きました。流れのままに、目まぐるしい程の行事
と仲間との出会いの中で、「こんな仲間がいるんだ!!同じ病い、同じ目的、目
標の仲間が!!」と、驚きと感動、新しい発見、目に見えない「神」という内に
秘められた存在が感じ取られる、しらふな充実した日々を実感しています。過去
の自分とは決別をし、今日一日に目標を達成することに、毎日が充実して感じら
れ、今はマック、AAにつながらせてもらって、気づかされた事に感謝していま
す。
「分岐点」
Y.T
「しょうが無いんだよな、」身体も頭の中も疲れきっていた自分は、そう思い
ながらマックの玄関に足を踏み入れました。いや、実際に言葉が口から漏れてい
たかもしれません。
生活保護の世話になりながらも、そのお金のほとんどを飲酒の為だけに使い、
今が昼か夜かも分からない、酒を買おうと外に出ようとしても自転車にまともに
乗ることもままならない、そんな「命」は有りながら「死人」の様な生活をして
いた自分の所に福祉担当で関係者のその人はやって来ました。
普段なら、扉も窓も閉め切って、完全に居留守を決め込む自分でしたが、夏の
蒸し暑さに耐えかね、わずかに開けていた窓の隙間から話し掛けられ、対応せざ
るをえなくなり、その隙間からのぞく見慣れた顔はいつもの様子とは少し違い、
悲しそうな中に何か厳しさも含まれていたように思います。
その一言の前後の会話は、酔っていたせいもあってあまり覚えていません。た
だ、「そのままここで飲み続けるか、それとも施設に入ってやり直してみるか、
自分で選んで決めてくれ」というその人の問い掛けは、生涯忘れる事のできない
3
言葉になりました。
「後悔」「あきらめ」「不安」と共にマックでの生活が始まったのですが、ス
タッフや仲間の支えは自分を「死人」の様な生活から徐々に「人」として再び生
きていける希望を取り戻させてくれる大きな力になることを理解するのにあまり
時間は必要ありませんでした。
「人」としての生活は、今まで忘れていたさまざまな物事を思い出させてくれ
ます。食べ物のおいしさ、自由に身体が動く快適さ、天気や季節の移り変わり、
そして、人とふれ合うことで感じる「楽しさ」「やさしさ」は、自分が最も求め
ていた事だったんだと・・・。
「この一年」
I.T.
私は過去に入退院を何回となく繰り返していましたが、酒を止めることはでき
ませんでした。そのうちに私は血を吐いてしまい、初めて、心底止めようと思い
ました。もう一杯飲めればという考えも頭に浮かびましたが、自分から精神病院
に入院しました。先生から「酒を飲む飲まないは自分で決めなさい」と言われ
て、3ヶ月で退院しましたが、退院後に再飲酒してしまったことが定期検診でバ
レて、また再入院しました。
その後は 10 年間酒を止めていましたが、そんなとき、女房が家出したり母親
が入院したり、いろいろな出来事が重なりました。私はスーパーで買い物してい
て、酒のコーナーの前で足が止まり、飲む気も買う気もなかった缶ビール2本を
買って飲んでしまいました。これではいけないと思って娘に正直に打ち明けまし
たが、「あんなに約束したのに」と泣かれてしまいました。飲んだことを謝りま
したが、それから 3 ヶ月後にまた飲んでしまい、会社を辞め、母親のことや住宅
ローンのことなど悩みながら酒を浴びていました。
とうとう倒れて救急車で運ばれて、父親の声を聞いた気がして意識が戻りまし
た。父親は 30 年以上前に酒で亡くなり、私は父親の夢も見たことがありません
でしたが、その父親の声で意識が戻ったときは集中治療室のベッドの上でした。
入院中は、これからのことを悩んでいました。1 ヶ月くらい経ったころ、市の
福祉の人が来て、「もう家に帰ることはできません。退院したらまっすぐ新潟マ
ックに行きますから。」と言われ、全財産を無くした私は紙袋2つと片道切符を
もらい、退院と同時に新潟マックに向かいました。
私が新潟マックそしてAA、グループホームに繋がったのは、平成 21 年 11 月
25 日でした。新潟マックに繋がり、生活に必要な物すべてを仲間から与えてもら
いました。杖をつきながら夜のミーティング会場に往復するときも、仲間がいつ
も一緒でした。ミーティングでテーマやステップに沿って上手に話すことができ
ませんでしたが、6ヶ月過ぎた頃に、「秋田マックが再開したら秋田に帰って新
4
しい仲間とミーティングしなさい。」と館長に言われ、今は秋田で新しい仲間達
と一緒にミーティングをやっています。そして、社会復帰を目指して仲間とハロ
ーワークに週2回通っています。
AAと多くの仲間と出会えて、マックに感謝しています。
☃☁第3回秋田マックセミナーに参加して☂☀
11月27日(土)午後1時より、秋田市の秋田大学医学部保健学科1階大講
義室にて、「依存からの回復」というテーマで、第3回秋田マックセミナーが開
催されました。
当日は、当事者やご家族、関係者など、約 90 人が参加して下さり、前半は、
岡田勝利理事長の挨拶と新潟マックを通って依存からの回復に取り組んでいる3
人の体験談、後半は、かすみがうらクリニック(三重県四日市市)の副院長で精
神科医・内科医の猪野亜朗先生が、「アルコール・薬物を巡る最近の進歩」と題
して講演して下さいましたので、その内容を簡単に紹介させていただきたいと思
います。
☆☆☆開会挨拶☆☆☆
◆秋田マック理事長
岡田勝利
「秋田は酒処で飲酒運転や自殺者が多く、新潟と似通っている。アルコールや
薬物やギャンブルなど、いろいろな嗜癖からの回復に『AAの12のステップ』
が効くので、これを秋田に広めたいと考えている。秋田マックを宜しくお願いし
ます。」
☆☆☆仲間の話☆☆☆
◆1人目
パチンコに依存した 30 代男性
「いろいろあったが、新潟マックに入所してから2年程経った。今は、仕事を
しながらミーティングに毎日通っていて、強迫的にギャンブルと金のことばかり
考える日々ではなくなった。周囲の支えがあったからこそ今があることに感謝を
忘れないようにしたい。」
◆2人目
うつ状態からアルコール・薬物に依存した 30 代女性
「気分の落ち込みと不眠から、アルコールと睡眠薬を一緒に飲むようになった。
その後、新潟マックへ通所を再開しながら薬を切った。辛い離脱症状が一週間以
上続いたとき、自分に何が起こっているのか自覚した。今は回復のために3ミー
ティングを続けている。
5
◆3人目
薬物に依存した 40 代男性
「風邪を引いて、せき止め薬を用量以上に服用したことがきっかけだった。残
業の疲れを癒そうとして朝晩飲むようになり、飲まないと身体が動かなくなっ
た。その後、治療施設で薬は止まったので、社会復帰できると思ったが、どうに
もならない状態だった。地元に戻ってマックに通い始めてから、薬ではなく自分
自身に問題があることが分かり始めた。今は、新潟マックで働きながら、ミーテ
ィングにも出てステップをやっていることで、内面的な問題も解決してきてい
る。」
☆☆☆関係者のお話☆☆☆
◆猪野亜朗
氏
講師の猪野先生には、「三重モデル」
と呼ばれるアルコール依存症を早期発見
する体制づくり(保健文化賞受賞)の紹
介をとおした地域連携や自殺とアルコー
ルの周辺、依存症と脳画像研究の紹介な
ど、親しみある口調でわかりやすくお話
ししていただきました。
その中で印象深かったのは、自殺対策
同様の「法整備」がアルコール対策にも
必要というお話と、脳の活性化している
ところを画像として見ることができるよ
うになった例として、アルコール依存症
者の脳は酒瓶を見ただけで飲酒している
のと同様に活性化している画像のご紹介
でした。
また、アルコール依存症者は飲み続けたことで脳(の回路)が変化して渇望感
が亢進した結果として飲酒中心の生活となること、変化した脳の回路や萎縮など
も断酒を続けることで回復可能であること、「脳の変化」の回復には時間が必要
であることなどを、脳の画像とデータで示して下さいました。あわてずに繰り返
し繰り返しAAミーティングや断酒会例会をやることは、ダメージを受けた脳の
回復に効果があるというお話もしていただけました。
しかし、断酒を何年続けても、一旦出来上がった脳の回路は元には戻らず、サ
ビついているだけの状態なのだそうです。依存症は「脳」という身体の病気であ
るということを教えていただいたように思います。
(猪野先生、どうもありがとうございました。)
6
☆☆☆アンケート☆☆☆
今回はセミナー参加者へのアンケート調査を実施しました。
アンケートに回答していただけたのは、参加者の約 45%、回答者の約 70%は
女性、回答者の約 36%が 50 歳代という結果でした。
また、「仲間の話をたくさん聞いてみたい」、「簡単なきっかけで依存症にな
ることを知った」、「自殺予防対策としてのアルコール問題をもっと周知すべき
だと感じた」、「家族の気持ちの持ち方、対応の仕方を示していただいた様に思
います」などの感想が寄せられました。
7
利用者月報
新入所者
‘10 年 6 月
7月
8月
9月
10 月
11 月
12 月
1
2
0
0
0
0
0
入所者
実数
0
1
3
3
3
3
3
活
新通所者
0
2
0
1
0
0
2
動
通所者
実数
0
2
1
1
0
0
2
報
見学訪問
電話相談
0
1
0
0
0
5
2
0
18
10
2
5
2
7
告
10 月
10/10 AA盛岡グループのミーティングに参加
10/23 カトリック土崎教会のバザー、準備手伝い
10/24
カトリック土崎教会のバザーに参加
10/29
イベント“AA北東北の集い”に参加(10/29~10/31)
11 月
11/21 セリオン観光
11/26 秋田看護福祉大学の角田講師と学生 4 人、マックミーティングに体験参加
11/27 秋田マックセミナーに参加
11/30
月例定期会議
12 月
12/08
12/14
山形県精神保健福祉センター主催の学習会に参加
秋田市保健所主催のアディクション学習会に参加
8
会費・献金・献品・・・ありがとうございます
2008年4月より、2010年12月まで、秋田マックを支える会に会費・
献金・献品をご協力・ご支援いただき本当にありがとうございます。
2009年8月4日の火災全焼にて、施設休業を余儀なくされました。
再開への献金・献品、たくさんの方々がご支援下さいました。
お陰様で、施設再開時必要経費並びに必要備品等購入資金として、活用させてい
ただき、再開することができました。
皆様の温かいご支援に心より感謝申し上げます。
今後とも、ご支援下さいますよう、よろしくお願い申し上げます。
※次回発行から、2011年よりご支援の方々の氏名・名称掲載させていただきます。
献金・献品・会員募集
活動をご支援して下さる正会員・賛助会員・団体賛助会員を募集しています。
献金・献品も何とぞよろしくお願い申し上げます。
※年会費(一口)
*正 会 員
5,000円
*賛 助 会 員
3,000円
*団体賛助会員
10,000円
※会費・献金振込口座
*郵便口座番号
*加 入 者 名
02280-1-53689
秋田マックを支える会
◆◇◆発送作業簡略のため、全ての宛先に振替用紙を同封させていただきます◆◇
9
岡田勝利理事長より
アルコールを止めたいと何千回も思ったか。
だけども止められなくて失敗の繰り返しでした。
マックプログラムに繋がる前は、アルコールを止めていく自信もなく、仕事も首に
なり、病院も何度も入院して、その度に失敗して、生きてゆくのが辛かった。でも
そのことを素直に言うことも出来ずに突っ張っていました。
マックプログラムに繋がってからは、仲間の話、正直な話を聞くうちに少しずつ自
分の話が出来るようになり、頑な(かたくな)な心が少し開いてきました。
自分一人では出来なかったアルコールが止めることが出来ていました。もうあの世
界には戻りたくないと思ってミーティングに毎日参加しました。
秋田の仲間も自分と同じだと思っています。
秋田マックは 2009 年 8 月に火災に遭い全焼しました、2010 年 6 月に再建し運営を
始めることが出来ましたが、財政的には弱いです。公的な援助が無くスタッフもボ
ランティアでやっています。
鬱、自殺、アルコール絡みの医療費の損失、交通事故、家族に与える心の傷などア
ルコールが原因の問題は沢山あり、本人も家族も次第に身体、精神、スピリチュア
ルと病んでいきます。
一人でも多くの仲間が回復できるようにやっていきたいです。
秋田マックをよろしくお願いします。
編集後記
~月山の約束~
AAとマックの友人の岡崎と申します。昨年 12 月、秋田マックを訪問させていた
だき、施設長の佐藤さんに車で山形県立精神保健福祉センターに送っていただく途
中、雪の月山を超えるあたりで、ニューズレター編集の約束をさせていただきまし
た。地元の協力者の方々を差し置いて出過ぎたまねをします。「秋田マックニュー
ズレター」は長いので「あまにれ」のニックネームで呼んでください。少なくとも
年2回発行していきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。(Ned)
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