民法Ⅵ(家族法)

龍谷大学法科大学院シラバス
2014
民法Ⅵ(家族法)
担 当 教 員
森野
科目群・系
単
位
法律基本科目群(民事法系)
2
開講曜講時
配 当 年 次
第 2 学期 木 4
1 年次以上
授 業 概 要
① ここでいう「家族法」とは、民法の第 4 編親族と第 5 編相続を総称するもので、具体的には、結婚、離
婚、親子、養子、扶養、氏名、戸籍、相続、遺産分割、遺言、遺留分などに関わる法律を対象とする。
② 親族法では、夫婦・親子間の基本的な知識を修得させるとともに、現代社会を生きる人々が営む多様な
家庭生活、家族関係の実情に触れ、その実態と法的な問題点を講述する。
③ 相続法の分野では、相続制度の基本的な知識を修得させたうえで、現代社会における相続制度の機能的
な変化にも留意する。あわせて、親族・相続法と財産法との制度的関連を理解させ、実践的な処理方法
も解説する。そのため、できるだけ事例分析を通して多様な観点から論点を発見できるようにする。
① 家族法と財産法との関連について理解し、その異同について説明できる。
②「法的なものの考え方」に基づき、法曹として判断することができる。
③ 親族間の紛争の実態から問題類型を抽出し、法的な論理を組み立てることができる。
④ 政策的な見方ができる資質を身に付けている。
※「龍谷版共通的到達目標モデル」についても参照すること。
① 毎回のテーマについて、教科書の該当箇所・関連条文を十分に読み込んだうえで受講することを前提に
している。
② テーマごとに少なくとも一つ最高裁判例を取り上げ、これにつき受講者全員で議論することにより、双
方・多方型の授業を展開する。
③ 授業内容の学習成果を確認するため、中間テストを実施する。
④ 自主学習の用に供するため、講義は録音・録画し、e-learning システム上で視聴可能とする。
① 「民法Ⅰ(民事基礎法)
」及び「民法Ⅱ(契約法)
」を履修済みであること。
② 「民法Ⅲ(損害賠償法)
」及び「民法Ⅳ物権法・不動産法)
」を並行履修することが望ましい。
定期試験
70%
択一問題(10 点・絶対的評価)と論述問題(60 点・主として相対的評価)
を出題する。
中間試験
30%
択一問題(10 点・絶対的評価)と論述問題(20 点・主として相対的評価)
。
二宮周平『家族法(第 4 版)
』 新世社、2013 年、3,250 円
水野紀子・大村敦志・窪田充見編『家族法判例百選(第 7 版)
』 有斐閣、2008 年 2,286 円
別途掲示する。
科
目
名
到 達 目 標
授 業 方 法
系統的履修
成績評価の
方法
テ キ ス ト
参 考 文 献
オフィスアワ
ー・教員への連絡
方法
授業計画
第1回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第2回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第3回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
2014 年 9 月 25 日
担当者
森野
俊彦
俊彦
家族法とは何か、家族法の紛争と解決方法
【目標】
① 家族法の存在意義を理解するとともに、家族法が果たしてきた役割について認識する。
② 家事事件手続の概略について理解するとともに、離婚紛争を例として家族紛争解決のプロセスを知る。
【予習】家族法について抱いている自らのイメージを簡略に述べることができるよう準備すること(ペーパ
ーは不要)。
2014 年 10 月 2 日
担当者
森野 俊彦
婚姻の成立要件
【目標】
① 届出の法的意義を理解している。
② 婚姻の成立要件として、届出との関連で形式意思説と実質意思説とが対立していることについて、その
具体的な相違のほか、婚姻障害について、条文及び裁判例を踏まえて説明することができる。
③ 婚姻無効訴訟などの手続的観点について理解している。
【予習】身分行為における公示、届出、形式意思説、実質意思説、婚姻障害事由、親族、血族、姻族につい
て、予習しておくこと。
2014 年 10 月 9 日
担当者
森野 俊彦
婚姻の効力
【目標】
① 同居協力義務、夫婦同氏原則、成年擬制について理解している。
② 貞操義務に関連して、不逞の相手方の不法行為責任に関する判例・学説を理解している。
③ 夫婦財産制の趣旨と所有帰属問題、婚姻費用分担義務及び日常家事債務の連帯責任について、判例を踏
まえて理解している。
民法Ⅵ(家族法)
1
龍谷大学法科大学院シラバス
第4回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第5回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第6回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第7回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第8回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第9回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
2014
【予習】同居協力義務、夫婦同氏原則、夫婦別姓、成年擬制、夫婦財産制、婚姻費用の分担、日常家事債務
について予習しておくこと。
2014 年 10 月 16 日
担当者
森野 俊彦
離婚の要件と効果
【目標】
① まず、離婚の形式的な手続(協議・裁判離婚など)を説明できるとともに、協議離婚制度の意義と問題点
を理解している。
② 有責配偶者からの離婚請求について、裁判離婚における民法所定の「離婚原因」及び判例を踏まえて理
解している。
③ 離婚の効果について、一方配偶者の死亡の場合と比較しながら、財産分与制度の趣旨を理解している。
④ 親権・監護権の帰属問題について、理解している。
【予習】協議離婚、裁判離婚、離婚原因、有責主義、破綻主義、有責配偶者の離婚請求、親権・監護権、財
産分与、再婚禁止期間について予習しておくこと。
2014 年 10 月 23 日
担当者
森野 俊彦
嫡出子制度と認知
【目標】
① 嫡出子と嫡出推定の概念を正確に知る。
② 婚姻前懐胎・婚姻後出生子の扱いを知るともに、嫡出否認制度の問題点とそれを克服するための解釈論
を理解している。
③ 認知制度の意義と問題点を理解している。
【予習】実子、嫡出子、非嫡出子、嫡出推定、認知、準正について予習しておくこと。
2014 年 10 月 30 日
担当者
森野 俊彦
養親子関係と生殖補助医療
【目標】
① 未成年養子縁組の成立要件が成年養子と違うところを知る。
② 特別養子縁組の成立要件と効果が違うところを知る。
③ 生殖補助医療の利用とその限界につき自らの考えを持つ。
【予習】
① 普通養子と特別養子との制度趣旨、その要件・手続並びに両制度の相互関連等について、予習しておく
こと。
② 生殖補助医療について教科書の該当箇所(177 頁~184 頁)を通読して、自らの意見を頭の中でまとめてお
くこと。
2014 年 11 月 6 日
担当者
森野 俊彦
子の保護(親権の内容とその規制)、高齢者への援助(成年後見と扶養)、氏名と戸籍
【目標】
① 親権制度の趣旨、身上監護権と財産管理権との具体的な意義、相互の関連のほか、特に「子の奪い合い
事件」及び利益相反行為に係る問題点について、理解している。
② 後見制度一般について、その類型、具体的な要件などを条文を踏まえて理解している。
③ 扶養制度の趣旨、要件等について、具体例を挙げて説明することができる。
【予習】親権、身上監護権、扶養義務、利益相反行為、面接交渉権、後見について予習しておくこと。
2014 年 11 月 13 日
担当者
森野 俊彦
中間試験
【目標】
① 第 1 回から第 7 回までの学習内容を理解している。
② 論述問題における論理的な思考の展開について、概括的に理解している。
2014 年 11 月 20 日
担当者
森野 俊彦
相続法の概略と相続の原則
【目標】
① 法定相続の制度趣旨について、遺言相続と関連させて理解している。
② 法定相続について、配偶者相続と血族相続と関連させて、条文を踏まえて理解している。
③ 婚外子の相続分差別についての最高裁決定を、従前の経緯を含めて理解する。
④ 具体的な相続人をめぐる諸問題(胎児・同時存在の原則など)及び相続分・指定相続分について、条文
を踏まえて理解している。
【予習】法定相続、遺言相続、配偶者相続、血族相続、相続人、相続分の計算、代襲相続について予習して
おくこと。
民法Ⅵ(家族法)
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龍谷大学法科大学院シラバス
第 10 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第 11 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第 12 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第 13 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第 14 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
第 15 回
学修テーマ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
2014 年 11 月 27 日
担当者
森野
2014
俊彦
相続人の確定と相続財産の範囲等
【目標】
① 相続権の剥奪(廃除・相続欠格)について、条文を踏まえて理解している。
② 単純承認・限定承認の趣旨や要件・効果について、具体例に即して説明することができる。
③ 放棄の制度趣旨とその手続及びその要件・効果について、判例を踏まえて理解している。
④ 熟慮期間の意義及び再転相続について、具体例に即して説明することができる。
⑤ 相続の効果として包括的に相続人に承継される財産について、それぞれの問題点を理解している。
⑥ 相続財産に属さない権利・財産を認識する。
【予習】相続廃除、相続欠格、単純承認、限定承認、相続放棄、特別縁故者に対する相続財産の分与(教科
書 308 頁以下)について予習しておくこと。
2014 年 12 月 4 日
担当者
森野 俊彦
相続財産の管理・取戻しと具体的相続分
【目標】
① 遺産の管理問題をめぐる問題点について、包括承継された各財産は基本的には複数相続人の共有に属す
ることを踏まえて理解している。
② 共同相続人の 1 人が相続財産を占有している場合の問題の処理を考える。
③ 相続財産から生じた果実が誰に帰属するか、その考え方を理解する。
④ 相続回復請求権の意義と問題点について、理解する。
⑤ 具体的相続分の意義を理解し、概略的にでもその算定ができる。
【予習】上記の各問題点について教科書の該当部分を精読し、少なくとも言葉の意味を理解して授業に臨む
こと。あわせて、共有と合有について予習しておくこと。
2014 年 12 月 11 日
担当者
森野 俊彦
遺産分割
【目標】
① 具体的な遺産分割の当事者、手続、基準、方法を知る。
② 特別受益、寄与分が実際の遺産分割実務で果たす機能について考える。
③ 債権債務の帰属の仕方を理解し、遺産分割の対象とする可能性を考える。
④ 遺産分割の解除や無効について考える。
【予習】特別受益、寄与分の意義を再確認するとともに、遺産分割の全体像を把握しておくこと。
2014 年 12 月 18 日
担当者
森野 俊彦
遺言①(遺言の方式)と効力)
【目標】
① 遺言能力の意義とその必要性を理解する。
② 遺言の方式とその特徴を理解し、どの程度の方式違反があれば、なお遺言が有効とされるのか判例の現
状を知る。
③ 内容の抵触する遺言が存在する場合に、どのように取り扱うかを認識する。
【予習】とりあえず、遺言に関係する条文(960 条~1027 条)と主要判例を判例六法などで通読し、遺言につ
いての基礎的学習をしてくる。
2015 年 1 月 8 日
担当者
森野 俊彦
遺言②(遺言による財産処分と遺言の執行)
【目標】
① 遺言による財産の処分の典型である遺贈とその法的な仕組みを知る。
② 「相続させる遺言」旨の遺言の果たす役割とその問題点を考える。
② 遺言執行者の任務と相続人の処分権の制限の関係を理解する。
【予習】遺贈の種類と効果について予習するとともに、「相続させる」遺言が登場した経緯や問題点につい
ても予習しておくこと。
2015 年 1 月 15 日
担当者
森野 俊彦
遺留分
【目標】
① 遺留分の制度趣旨や遺留分権利者及び具体的な遺留分侵害額の算定手法について理解している。
② 遺留分の権利行使によって、どのような法律関係が当事者間で形成され、その結果、利害関係人との関
係がどのように処理されるかについて、条文・判例に即して理解している。
【予習】遺留分、遺留分額、遺留分の侵害、遺留分減殺請求権、価額弁償について予習しておくこと。
民法Ⅵ(家族法)
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