消費者法 - 龍谷大学

龍谷大学法科大学院シラバス
消費者法
担 当 教 員
中田
科目群・系
展開・先端科目群
開講曜講時
第 2 学期
単
2
配 当 年 次
2 年次以上
科
目
名
位
授 業 概 要
2014
邦博
火3
消費者法は、様々な法領域が絡み合う、いわゆる複合法領域であり、消費者被害を救済するための新たな
法分野として大きな社会的な関心が集まっている。2009 年の消費者庁の創設はその一つの象徴である。ま
た、2012 年には消費者教育促進法が制定されており、消費者法はビジネス法としての側面を持ち、その知
識は法律家にとって不可欠のものとなっている。
本授業は、消費者法の基本的な枠組みと、消費者の権利救済のための基本的な法システムについて概説し、
質疑応答においてその理解を深めることを目的としている。消費者法の体系的な像を示すとともに、消費者
被害が構造的に生じる具体的紛争類型を取り上げて、どのような法律がかかわっているのか、またそうした
法律の限界はどこにあるのかを明確にし、現時点での「消費者法」の法理の射程について批判的な検討を行
うこととしたい。本授業の主な対象となるのは、契約法、消費者契約法、特定商取引法、割賦販売法である。
とくに、消費者契約法については改正をめぐる議論が、民法改正との関係で活発化することが想定されるの
で、その問題点もとりあげる。
到 達 目 標
① 消費者法を構造的に理解している。
② 具体的な消費者紛争を素材に各種の法の適用可能性を創造的に模索し、被害の具体的救済方法を考える
ことができる。
授 業 方 法
① 担当者が、一方的に講義する方法によるのではなく、対話的な手法を取り入れる。
② 授業計画で選択されたテーマについて報告者を決めて、それをきっかけに議論を深める方式も採用する。
③ 消費者被害の救済の最前線の状況を知るために実務家の話を聞く機会を設けたいと考えている。
④ 最新の具体的な紛争事例を適宜提示し、その解決方法を質疑の中で探る。
⑤ 動きの激しい消費者問題の最新状況に合わせるために、受講者と相談の上、授業内容及び授業計画の一
部を変更することがある。
系統的履修
① 2 年次第 1 学期までに開講される民法及び民事訴訟法関連の法律基本科目を履修済みであることが望ま
しい。
② 「経済法」を履修することを要望する。
成績評価の
方法
課題研究レポート
80%
レポートは、報告を前提としたうえで評価の対象とする。
平常点
20%
質疑への参加状況を勘案する。また、小テストを実施し、平常点の評価に
加えることがある。
テ キ ス ト
①中田邦博・鹿野菜穂子『基本講義
②中田邦博・高嶌英弘
消費者法』
日本評論社、2013 年
2,600 円
『新・キーワード民法』
法律文化社、2007 年
2,100 円
③潮見佳男・中田邦博・松岡久和 『18 歳からはじめる民法(第 2 版)
』 法律文化社、2014 年
2,200 円
①及び②をテキストとして利用する。受講者は、講義の前に①の該当箇所を読了しておくこと。なお、①最
新の教科書の一つであるさらに、別途配付する講義教材も利用する。②は消費者法に関する基本的な制度、
また関連する基本用語の確認のために利用する。③は民法と消費者法の関係に留意して執筆された入門書で
ある。講義の前にできれば、下記の参考文献③と一緒に読んでおくとよい。
参 考 文 献
①長尾治助
『レクチャー消費者法(第 5 版)
』
法律文化社、2011 年
2,800 円
②甲斐道太郎ほか 『消費者六法 (最新版)
』 民事法研究会-消費者法関係の法令/通達を集めた便利な
法令集。
③坂東俊矢・細川幸一
『18 歳から考える消費者と法』
法律文化社:2014 年に第 2 版の出版予定あり。
さらなる参考文献については、上述①の各章において挙げてある文献等を参照。
なお、昨年まで「法学セミナー」で授業担当者の監修のもとで「消費者法の最前線」が連載されたが、テ
キストの①はそれをまとめたものである。
オフィスアワ
ー・教員への連絡
方法
別途掲示する。
授業計画
第1回
消費者法
2014 年 9 月 23 日
担当者
中田
邦博
1
龍谷大学法科大学院シラバス
学修テーマ
消費者問題と消費者法
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
2014
① 消費者問題の特質を具体例に則して理解している。
② 消費者法の構造を理解している。
【予習】教科書、レジュメを読み、基本用語の理解に努めておくこと。
第2回
2014 年 9 月 30 日
担当者
学修テーマ
安全の確保及び製造物責任をめぐる訴訟上の困難
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
中田
邦博
① 製造物責任について理解している。
② 製造物責任法の構造について、具体例に則して説明することができる。
【予習】教科書、レジュメを読み、理解に努めておくこと。
第3回
2014 年 10 月 7 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
表示・広告・品質・計量の規制
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】表示規制の全体的構造、安全表示・品質表示にかかわる法律、広告媒体の責任について理解してい
る。
第4回
【予習】教科書、レジュメを読み、計量法、景品表示法、不正競争防止法の理解に努めておくこと。
2014 年 10 月 14 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
消費者取引の規制①-契約締結過程の規制
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】契約の成否、意思表示の瑕疵(錯誤・詐欺)、交渉力の不均衡と強迫、消費者契約法の該当規定の
内容について、概括的に理解している。
第5回
【予習】教科書、レジュメを読み、消費者契約法の理解に努めておくこと。
2014 年 10 月 21 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
消費者取引の規制②契約内容の規制
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】公序良俗違反、取締法規違反の効力、信義則、約款規制、消費者契約法の該当規定の内容について
理解している。
第6回
【予習】教科書、レジュメを読み、約款、消費者契約法、不当条項の理解に努めておくこと。
2014 年 10 月 28 日
学修テーマ
消費者取引と不法行為
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
担当者
中田
邦博
① 消費者取引における被害救済の方法としての不法行為構成について、具体例に則して説明することがで
きる。
② 取引型不法行為責任の特徴、過失相殺、不法行為訴訟の現状と課題などについて理解している。
【予習】教科書、レジュメを読み、取引型不法行為の理解に努めておくこと。
第7回
2014 年 11 月 4 日
学修テーマ
特定商取引法
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
担当者
中田
邦博
① 特定商取引法の適用について、具体例に即して解決の指針を説明することができる。
②クーリングオフ制度に関する法規制について、その概要を理解している。
【予習】教科書、レジュメを読み、特定商取引法、訪問販売、通信販売、電話勧誘、連鎖販売の理解に努め
ておくこと。
第8回
2014 年 11 月 11 日
学修テーマ
割賦販売法
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
消費者法
担当者
中田
邦博
① 割賦販売法について、概括的に理解している。
② 抗弁の対抗の法理について、具体例に即して説明することができる。
2
龍谷大学法科大学院シラバス
2014
【予習】教科書、レジュメを読み、基本用語の理解に努めておくこと。
第9回
2014 年 11 月 18 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
市場の公正さの確保
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】経済法に関する各法の消費者関連部分(独禁法の措置請求、景表法、独禁法による損害賠償・差止、
不正競争防止法)について理解している。
【予習】教科書、レジュメを読み、独占禁止法、不正競争防止法、広告規制の理解に努めておくこと。
第 10 回
2014 年 11 月 25 日
学修テーマ
金融サービス取引
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】 適合性の原則、説明義務違反、民法等と各業法との関係、金融商品販売法などの金融サービスに
かかわる各種の法律を総合的に理解し、消費者保護とのかかわりを示す。
第 11 回
担当者
中田
邦博
【予習】教科書、レジュメを読み、適合性の原則、先物取引、投機的取引の理解に努めておくこと。
2014 年 12 月 2 日
学修テーマ
消費者信用と多重債務
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】
担当者
中田
邦博
① 消費者信用と多重債務問題の社会的背景を理解している。
② 利息制限法、出資法、みなし弁済成立の要件、貸金業規制法、個人再生手続、特定調停手続、多重債務
事件の処理方法について理解している。
【予習】教科書、レジュメを読み、利息制限法の理解に努めておくこと。
第 12 回
2014 年 12 月 9 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
高度情報化社会と消費者
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】いわゆる電子商取引の法的問題点を理解し、具体例を挙げて説明することができる。
【予習】教科書、レジュメを読み、消費者と電気通信事業者との契約、プロバイダ責任制限法、消費者によ
る電子商取引、個人情報保護の理解に努めておくこと。
第 13 回
2014 年 12 月 16 日
学修テーマ
宗教問題と消費者
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】人の心の弱さや不安につけ込む取引形態の存在を理解し、その対策と法的規制について説明するこ
とができる。
第 14 回
担当者
中田
邦博
【予習】教科書、レジュメを読み、民法(不法行為法・意思表示の瑕疵)、違法性の判断基準、信徒の活動
と使用者責任についての理解に努めておくこと。
2015 年 1 月 6 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
消費者紛争解決手続き 、団体訴権、集団的訴訟の問題について
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】集団的権利救済の必要性及び裁判外手続の存在を理解し、そのメリットとデメリットについて説明
することができる。
第 15 回
【予習】教科書、レジュメを読み、ADR、団体訴権、集団・集合訴訟、消費者契約法についての理解に努め
ておくこと。
2015 年 1 月 13 日
担当者
中田
邦博
学修テーマ
まとめ
学修目標・自学
自習について
のアドバイス
【目標】消費者相談での対応について、具体例に即して説明することができる。
消費者法
【予習】提示された事例についてこれまで学んだことでどのような解決すればよいか考えること。
3