第3回 視る心理学2

今回の内容
感覚系の分類
 色の心理学
モダリティー
色覚の基礎
 可視光(視覚の適刺激)
 光の色と物の色
感覚器官
受容器
適刺激
感覚
視覚
眼
視細胞
(桿体・錐体)
可視光
明暗・色など
聴覚
耳
内耳蝸牛基底膜上の
コルチ器の有毛細胞
空気の疎密波
音
皮膚感覚
皮膚
パチニ小体,マイス
ナー小体,ルフィニ終
末,メルケル細胞,自
由神経終末など
機械的刺激・温度刺
激・侵害性刺激など
触・圧,温・熱,
冷,痛,痒など
嗅覚
鼻腔の嗅粘膜
嗅上皮の嗅受容細胞
揮発性の物質
ニオイ
味覚
舌,一部の口腔
内部位
乳頭の味蕾の味受容
細胞
溶解性の物質
味
生活の中の色
 補色残像
 色順応
 色の恒常性
 演色性
 対比と同化
などなど
この他,深部感覚・内臓感覚・前庭感覚
色の心理学:色覚の基礎
色の心理学:色覚の基礎
 光と色覚
光の色
光の物理的性質と色覚
 光のうち、波長380~750nmのものが

可視光となる

物体の色

彩度
明度
高
色相環(PCCS:日本色研配色体系;
Practical Color Co-ordinate System)
無彩光:全ての成分を含む(真昼の太陽光)
有彩光:特定の波長だけが含まれる光(夕日・信号)
物体の表面色は反射光 である
色の心理学:色の見え方
補色残像

低
ひとつの色を眺め続けると、補色が見える
⇒ 手術着や手術室が緑である理由のひとつ
色順応

ひとつの色を見続けると、その色が見えにくくなる
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色の心理学:色の見え方
色の心理的効果

心理的な影響:美味しい色と不味い色
 演色性:光源によるものの見えの違い
 自然光を100として「良い・悪い」で判断する
 部屋の照明や商品のライトアップに利用される
Copyright Akiyoshi Kitaoka 2009 (May 1)
http://www.psy.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/colorconstancy.html
色の恒常性
 異なる照明のもとで眺めても同じ色に見える
色の同時対比
色相対比
 赤を背景にした橙は黄色っぽく、黄を背景にした
橙は赤色っぽく見える(逆に見えることもある)
色の同時対比
彩度対比
 あざやかな色を背景にしたときは「くすんで」見え、
くすんだ色を背景にしたときは、あざやかに見える
色の同時対比
明度対比
 暗い色を背景にしたときは本来よりも明るく、逆に
明るい色を背景にしたときは本来よりも暗く見える
色の同時対比
補色対比
 左の青い四角は、背景が同系色相の緑だが、
右は背景が補色系の赤なので鮮やかに見える
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色覚心理学:色の見え方

知覚への影響:色の同化
知覚への影響:対比と同化
色相同化
色の間隔が広いと対比、
間隔が狭いと同化になる
 色が近づいて見える
明度同化
日常のさまざまな場面でも、
対比や同化の効果を応用
した工夫が用いられている
 明度が近づいて見える
彩度同化
 彩度が近づいて見える
色の心理的効果

知覚への影響:大きさと距離も変わる


膨張色・進出色
 膨らんで(=進出して)見える色
 長波長の色や明度の高い色
縮小色・後退色
 縮んで(=後退して)見える色
 短波長の色や明度の低い色
色の心理的効果

心理的な影響:美味しい色と不味い色

暖色系は食欲を増進させる
色の心理的効果

心理的な影響:時間経過と色
暖色は時間経過を遅く感じる
⇒ ファーストフード店の内装には暖色を使う
 寒色は時間経過を早く感じる
⇒ 待合室の内装には寒色を使う

色の心理的効果
感覚への影響:色の暖かさ
寒色と暖色
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色の心理的効果
色の心理的効果
感覚への影響:色の暖かさ2
感覚への影響:重い色と軽い色
体感温度は、寒色・暖色によって3℃違う
色の心理学
視る心理学
「色」にまつわるエピソード
 参考書
武田軍や真田軍の「赤備え」
黒いストッキングは痩せて見える
緑を眺めて目が安らいだ
1. 松田隆夫・八木保樹・土田宣明・福原浩之・
藤健一・星野裕司・柴田直峰 (1997). 心理
学概説―心と行動の理解.培風館
青いトラックでは記録が良くなる
白衣を着た人は怖い?
2. 松田隆夫
(1995).
視知覚.培風館
部屋を赤やピンクなどにして鬱が改善した
3. 東山篤規・竹澤智美・村上嵩至(訳) (2011).
視覚ワールドの知覚.新曜社
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