今号のトピックス 【政策動向】 1.工業信息化部、新エネルギー車の燃費表示マークの貼付を義務化へ 【新エネルギー車動向】 2.国家能源局、「配電網改造計画」の 5 年間で充電パイル 480 万台を設置 【産業動向】 3.7 月中国乗用車販売台数は前年同期比 7.1%減、日系企業は好調に 4.ニールセンと自動車工業協会、「中国自動車消費者白書」を発表 5.1~7 月日系ブランド車、中国での販売台数 200 万台でシェアも増加 【自動車部品関連】 6.タイヤメーカー各社、SUV 用タイヤを相次いで市場販売へ (2015 年 9 月 9 日配信) 【政策動向】 1.工業信息化部、新エネルギー車の燃費表示マークの貼付を義務化へ (9 月 2 日) 中国工業信息化部は、先日開催した「自動車省エネルギー基準分科会 2015 及び基準審査 会」上で、「軽自動車エネルギー消耗量表示マーク」など 3 項目の国家基準を採択した。この規 程は既存のガソリン自動車、ディーゼル自動車の燃費表示マークを改善した上で、初めて新エ ネルギー自動車を対象とした燃費表示マークを規定したものである。 この規程によると、軽自動車完成車の出荷時、都市部での運転状況、郊外での運転状況、 総合運転状況の 3 項目の燃費の表示マークを明示しなければならない。2010 年 1 月 1 日から、 中国国内で販売される総重量 3.5 トン以下の乗用車及び軽商用車(軽トラック、1 ボックスバン) に対する表示マークの貼付を義務付け、自動車メーカー又は輸入車ディーラーは燃費が異な る車種の表示マークを工業信息化部に申請登録し、同部が定期的に軽自動車の燃費指標を 公表する。同時に、自動車メーカーが表示した燃費が、消費者が実際に使用した燃費を上回っ た場合は、自動車メーカーを処罰すると規定した。 2015 年上半期、中国における新エネルギー自動車の販売総量は前年同期比 255%増の 7 万.2,700 台に達したが、自動車ディーラーや消費者にかかわらず新エネルギー自動車の実質 的な燃費を把握できないのが現状である。中国乗用車信息連席会・崔東樹秘書長は、新エネ ルギー自動車の燃費表示マークの規定は、新エネルギー自動車がガソリン自動車・ディーゼ ル自動車と比べて低燃費であるという特長を明示することで、新エネルギー自動車の販売をよ り促進することができると期待していると述べた。 出所:中国汽車工業協会 【新エネルギー車動向】 2.国家能源局、「配電網改造計画」の 5 年間で充電パイル 480 万台を設置 (9 月 1 日) このほど、国家能源局は「配電網建設改造行動計画(2015~2020 年)」を公布し、今後 5 年 間で新エネルギー車の電力エネルギー代替(石炭や石油などのエネルギーを電力に交替する) を更に進めるため充電施設及び配電建設を重点とし、一連の政策により新エネルギー自動車 産業を飛躍的に発展させるとしている。 同計画によれば、新エネルギー自動車、分散型電源及び電気自動車などの発展需要に合 わせて、送電ネットワークの建設とインターネットとの具体的な融合を推進させるため、2015~ 2020 年、配電網の建設改造へ 2 兆元以上を投資し、そのうち、2015 年度の投資額は 3,000 億 元以上とし、「第 13 次 5 ヵ年規画」期間中、合計 1 兆 7,000 億元以上の投資を予定。2020 年ま でにエネルギー消費全体における電力割合を 2.0%引き上げるとしている。 また「電気自動車の充電インフラ施設発展ガイドライン(2015~2020 年)」に基づき、充電施設 に関連する配電網の建設・改造を強化し、(現在十分に供給が追い付いていない)充電施設の 配電網への接続することを保証し、都市や都市間の充電施設の相互接続を実現する。2020 年、 充電スタンド 1 万 2,000 基、充電パイル 480 万台の接続需要を満たし、電気自動車 500 万台の 充電・電気交換のサービスを提供する。 出所:中国汽車工業協会 【産業動向】 3.7 月中国乗用車販売台数は前年同期比 7.1%減、日系企業は好調に (8 月 19 日) 中国自動車工業協会(China Association Automobile Manufactures、CAAM)の情報によれ ば、今年1~7月、中国の自動車販売台数は前年同期比0.4%増の1,335万3,300台。また、7月 単月の自動車販売台数は同7.1%減の150万3,000台であったという。そのうち、商用車の販売 台数は同9.9%減の23万4,400台、乗用車の販売台数は前年同期比6.6%減の126万8,600台と4 カ月連続で減少したことが分かった。 乗用車の販売台数をセグメント別でみると、スポーツタイプ多目的車(SUV)の販売が堅調な 中、セダンの販売減速が最も顕著であった。具体的に、セダンは前年同期比19.7%減の68万 8,700台、多目的車(MPV)は同5.3%減の11万2,600台、クロスオーバー車(CUV)は同15.8%減 の7万4,300台、スポーツタイプ多目的車(SUV)は同34.2%増の39万3,100台であった。 国別では、7 月単月、日系ブランドの乗用車販売台数は 25 万 6,600 台と同月の乗用車販売 総数の 20.2%を占めた。このほか、ドイツ系は 24 万 5,700 台(19.4%)、アメリカ系は 14 万 6,400 台(11.5%)、韓国系は 8 万 4,200 台(6.6%)、フランス系は 3 万 8,800 台(3.1%)と前月と比べて いずれも減少した。 1~5 月、中国の新エネルギー車の生産台数は前年同期比 4 倍の 9 万 8,900 台。このうち、 電気自動車分野において、乗用車が同 3 倍の 4 万 3,000 台、商用車が同 8 倍の 2 万 1,900 台。 ハイブリッド車分野において、乗用車が同 5 倍の 2 万 6,100 台、商用車が同 85.0%増の 8,041 台であった。 また、7 月単月の新エネルギー車の生産台数は同 3.5 倍の 2 万 400 台。そのうち、電気自動 車においては、乗用車が同 79.0%増の 6,657 台、商用車が同 18 倍の 6,395 台。ハイブリッド車 においては、乗用車が同 5.5 倍の 5,688 台、商用車が同 145.0%増の 1,650 台であった。なお、 「車両購入税の免除に関する新エネルギー車の車種リスト」(第 1 弾~第 4 弾)に登録された新 エネルギー車の生産台数は 1 万 8,100 台で、7 月の生産総量の 89.0%を占めた。 出所:鳳凰網 出所:鳳凰汽車 4.ニールセンと自動車工業協会、 「中国自動車消費者白書」を発表(8 月 12 日) 8 月 11 日、米国市場調査会社のニールセン(Nielsen)は、中国自動車工業協会(CAAM)と 共同で作成した「中国自動車消費者白書」を発表した。両者による白書の共同作成は連続 4 年 目となり、2015 年 4 月、各都市の自動車購入者と潜在的購入者を含む 700 人を対象として調 査を行い、自動車の購買制限による新エネルギー自動車市場に及ぼす影響、自動車購買者 の需要などを調査した。 同白書の主な調査結果は以下のとおり。 ○セダンの台数制限政策による自動車の購買に及ぼす影響 1994 年から上海市は全国に先立ってセダンの台数制限政策を実施した後、北京市、貴陽市、 広州市、天津市、杭州市、深圳市、石家庄市の 8 市において、交通渋滞と大気汚染問題を解 消するため、セダンの購買に係る抑制策を打ち出した。政策の影響に関して、調査対象者のう ち、「影響はない」と回答したのは全体の 51%で、「新エネルギー自動車の購入を検討する」は 16%、「購入計画を変更する」は 13%、「購入計画を延期する」は 11%であった。 ○消費者の新エネルギー自動車関連優遇政策に対する期待 2015 年上半期、10 件以上の新エネルギー自動車産業の政策や基準を公布及び実施した。 新エネルギー自動車のモデル都市は 89 カ所に達し、電気自動車販売の補助金給付も徐々に 普及しつつある。しかしながら、新エネルギー自動車補助政策に関して認識している調査対象 者は 53.9%。上海市、北京市、深圳市は全国平均水準を上回っているが、そのほかの都市で は 16~28%の水準にとどまっている。新エネルギー自動車の補助政策を知っている消費者の うち、「購買したい」という回答者の割合は 57%、補助政策を知らない消費者の中でも、「購買し たい」と答えたのは 38%であった。 ○プラグイン式自動車のニーズに関する成長余地 2015 年上半期、販売台数別では、電気自動車(EV)がプラグインハイブリッド自動車(PHV) の 2 倍であった。EV に対する消費者の認知度は 72%、PHV に対する認知度は 48%であった が、PHV は航続能力が高く、充電施設への依存度が低いという技術的な優位性を理解した上 で調査を行ったところ、「EV を購入したい」という回答者は 8%、「PHV を購入したい」という回答 者は 14%でその割合はある程度上昇した。 ○消費者の新エネルギー自動車製品の性能及びアフターサービスに関するニーズ 過去の調査結果と類似し、航続距離が短く、充電時間が長く、メンテナンス店が少ないことが 新エネルギー車の主な制約要因になっている。現時点で販売されている電気自動車の大多数 は航続距離が 150~200km、これに対して消費者が希望する航続距離は 248km と依然として 差がある。充電時間に関しても、多くの電気自動車の充電時間は 6~8 時間、快速充電の場合 でも 30~40 分を必要とする。一方、消費者の希望する充電時間は平均 4.7 時間で、快速充電 時間ではわずか 24 分であった。 アフターサービスに関しては、調査対象者のうち、充電施設をもっと増やしてほしい(49%)、 合理的なメンテナンス費用を設定してほしい(48%)、メンテナンス期間を更に延ばしてほしい (45%)、十分に合理的な価格で部品を提供してほしい(42%)、電池の無料検査・置き換え・回 収サービスを提供してもらいたい(38%)という回答が多かった。 ○1~3 線都市*の新エネルギー車購入層 新エネルギー自動車の購入計画をもつ調査対象者は、新エネルギー自動車の普及が今後 のトレンドだと認識し、更に新エネルギー自動車の使用は個人のイメージアップにつながるとも 考えている。1線都市では、個人のセンスを生かすことができるプラグインハイブリッド自動車 により高い興味を示し、その年齢層は 35~39 歳に集中している。2、3 線都市では、高収入では ないが環境保護意識が高い 25~29 歳の男性が電気自動車への興味が高い。 *第 1~3 線都市の区分は、政治、経済力、都市の規模、周辺地区への影響力などによる。 1 線都市:北京市、上海市、広州市、深セン市、天津市。2 線都市:南京市、武漢市、瀋陽市、西安市、成 都市、重慶市、杭州市、青島市、大連市、寧波市など 35 都市。3 線都市:銀川市、西寧市、海口市、洛陽 市、南通市、常州市、紹興市、温州市、台州市、吉林市など 108 都市。4 線都市:その他の都市 出所:易車 5.1~7 月日系ブランド車、中国での販売台数 200 万台でシェアも増加 (9 月 2 日) 今年 1~7 月、中国ブランドの乗用車販売台数は前年同期比 13.58%増の 467 万 8,800 台と 乗用車販売総数の 41.17%を占め、シェアでは前年同期を 3.69%上回った。一方、今年、日系 ブランドを除き、他国ブランドはシェアが引き続き下落した。四大日系自動車メーカーのうち、ホ ンダの販売台数は前年同期比 32.8%増と最速で成長を遂げ、伸び率では乗用車業界全体の 10 倍に達した。 中国自動車工業協会(CAAM)のデータによると、2014 年、乗用車の販売台数は前年同期 比 9.89%増の 1,970 万 600 台に達した。販売台数において、同年、中国ブランドと日系ブランド の伸びとシェアはとともに下降したが、他国のブランドはいずれも 10%以上の伸びを示した。こ れに対して、2015 年に入ってその状況が逆転。1~7 月、スポーツタイプ多目的車(SUV)の販 売好調により中国ブランドのシェアは前年同期比 3.69%増、日系ブランドも大量の新車を投入 しそのシェアをやや引き上げた。一方、他国ブランドは下降状況が続いている。 日系自動車をブランド別でみると、1~7 月、トヨタの合計販売台数は前年同期比 11.9%増の 60 万 5,300 台。ホンダは同 32.8%増の 53 万 3,998 台、日産は同 2.8%増の 67 万 2,100 台、マ ツダは同 15.4%増の 13 万 2,499 台であった。4 大自動車企業の販売総数は 194 万 4,000 台、 4 社ともに新車投入が販売台数を押し上げた。 業界関係者によると、今年の自動車市場全体は下降傾向にあり、特に 7 月の販売台数の落 ち込みは顕著であった。多くの自動車企業の販売台数は前年同期を下回り、減少率が約 50% まで落ち込んだ企業もあった。一方、多くの日系自動車企業は前月の増加傾向を保った。 出所:蓋世汽車網 【自動車部品関連】 6.タイヤメーカー各社、SUV 用タイヤを相次いで市場販売へ(8 月 27 日) 8月、仏・ミシュランタイヤは乗り心地のよさをセールスポイントとして SUV(スポーツタイプ多 目的車)用タイヤの Primacy SUV「旅悦」の市場販売を開始した。 中国では、SUV の人気が高まる中、多くのタイヤメーカーが相次いで SUV 用タイヤを生産し ている。7月、米クーパータイヤは牽引力と耐久力をセールスポイントとして「Discoverer STT Pro」を発表。5 月、英・ダンロップタイヤはスポーツ性と操縦性を重視する「SP SPORT MAXX 050」と「GRANDTREK PT 3」の 2 種類を市場に投入した。3 月、トーヨータイヤは静寂性能と駆 動性をアピールする「OPEN COUNTRY A/T II」を登場させた。 業界関係者は、SUV の普及率が急激な成長を遂げ、今後数年間で、SUV 用タイヤの交換率 も徐々に高まり、交換タイヤの主力となる可能性もあると述べた。 出所:タイヤ世界網 ジェトロ上海ニューズレター 自動車レポート(2015 年 9 月上期号) 中国上海市延安西路 2201 号上海国際貿易中心 21 階 作成者 ジェトロ(日本貿易振興機構)上海事務所 経済信息部 徐 暁蕾、張 培葉、余 慧玲
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