XenDesktop デザインガイド Microsoft Windows 2008 R2 Hyper-V Version 1.1 用 Citrix Worldwide Consulting Solutions 2010 年 4 月 12 日 www.citrix.com デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 目次 はじめに ........................................................................................................................................................ 1 XenDesktop の Hyper-V 用アーキテクチャ .................................................................................................. 1 インフラ ........................................................................................................................................................ 2 Hyper-V ......................................................................................................................................................... 2 インストールする Hyper-V の選択....................................................................................................... 2 ハードウェアの検討 ............................................................................................................................. 4 デスクトップの高可用性(クラスタリング) .......................................................................................... 4 CPU の検討 .......................................................................................................................................... 5 ネットワーキング................................................................................................................................. 6 Virtual Machine Manager.......................................................................................................................... 7 推奨するデザイン................................................................................................................................. 7 XenDesktop との統合........................................................................................................................... 8 災害復旧用の設定................................................................................................................................. 8 ストレージの選定 ..................................................................................................................................... 9 ストレージのタイプ ............................................................................................................................. 9 保存された状態ファイル.................................................................................................................... 10 オペレーティングシステムのデリバリ....................................................................................................... 11 オペレーティングシステムの選定.......................................................................................................... 11 仮想ハードディスクの検討..................................................................................................................... 11 ダイナミック VHD の回避.................................................................................................................. 12 VHD パーティションオフセットの手動設定...................................................................................... 12 ネットワーキングの検討 ........................................................................................................................ 13 シングルネットワークアダプタ構成.................................................................................................. 13 デュアルネットワークアダプタ構成.................................................................................................. 13 決定内容のまとめ ....................................................................................................................................... 14 配備についての検討.................................................................................................................................... 16 デスクトップデリバリコントローラの設定 ........................................................................................... 16 XenDesktop の作成................................................................................................................................. 16 書き込みキャッシュドライブの一括割り当て........................................................................................ 17 まとめ.......................................................................................................................................................... 18 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 付録 ............................................................................................................................................................. 19 XenConvert 2.1 によるパーティションオフセットの手動設定.............................................................. 19 BindCfg によるネットワークカードの設定 ............................................................................................ 19 VMM からの VHD のコピーとアタッチを行う PowerShell スクリプト ................................................. 20 専用ファームマスタの設定..................................................................................................................... 22 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V はじめに このドキュメントでは、Microsoft Hyper-VとCitrix XenDesktop 4 を基盤にした仮想デスクトップの配備 についてのデザイン上のガイダンスを説明します。このドキュメントは、XenDesktopの他のデザインガ イダンスに取って代わるものではなく、それらを補完し、特にMicrosoft Hyper-Vをハイパーバイザーと し て 使 用 す る 場 合 の デ ザ イ ン 上 の 決 定 を 支 援 す る こ と を 目 的 に 作 成 さ れ 、 http://support.citrix.com/article/CTX124087から入手することのできる「XenDesktop Modular Reference Architecture」に記載された、より詳細なレベルのガイダンスを収録しています。このドキュメントの情 報は、Hyper-V上のXenDesktopについての、CitrixとMicrosoftの合同テストで収集されたものです。 このドキュメントでは、読者がすでに XenDesktop の基本アーキテクチャについての知識を持ち、その 機能を深く理解していることを前提にしています。このドキュメントは、App-V や System Center とい った Microsoft のソフトウェアを XenDesktop と組み合わせて実装するための具体的な手順を示すもので はなく、ビジネス上の要件に基づく、XenDesktop と Hyper-V を組み合わせたシステムの最適化を取り 上げています。 便宜上、このドキュメントでは、まず Microsoft Hyper-V を使用して配備する XenDesktop のアーキテク チャの概要を説明し、その後で Hyper-V 環境に特有のデザイン上の決定について、最後に XenDesktop を大規模環境に配備する場合の注意事項を述べます。このドキュメントを読むことで、Microsoft のハイ パーバイザー上に配備する XenDesktop を効果的にデザインできるようになります。 XenDesktopのHyper-V用アーキテクチャ Microsoft Hyper-V をホストハイパーバイザーとして使用した場合の XenDesktop の基本デザインを図 1 に示します。このドキュメントで説明している概念のほとんどは、Microsoft Hyper-V 上でのサーバー仮 想化にも等しく当てはまりますが、このドキュメントではデスクトップ仮想化のみを取り扱います。 1 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 図 1 XenDesktop Hyper-V アーキテクチャ インフラ インフラについてのデザイン上の主な決定内容は、Hyper-V、System Center Virtual Machine Manager (VMM)、XenDesktop、ストレージの 4 項目に分かれます。ここからの節では、配備する XenDesktop の ホストとして Microsoft Hyper-V を使用する場合のアーキテクチャのガイダンスとスケーラビリティにつ いての注意事項を記載します。 Hyper-V Microsoft Hyper-V の役割について、いくつかの重要な決定を行う必要があります。最初に決める必要が あるのは「どのバージョンの Hyper-V が配備に最適か」です。 インストールするHyper-Vの選択 Hyper-V の機能を使用して配備を行うには、必要なバグフィックスに加えて、最新のハードウェアへの 対応と、パフォーマンスに関連する機能が追加された Windows Server 2008 R2 を使用する必要があり ます。Windows Server 2008 R2 には、標準インストール、Server Core、Hyper-V Server 2008 R2 の 3 種類のインストールオプションがあります。 2 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 標準: 標準インストールモードは、Standard から Datacenter までの Windows Server 2008 R2 の あらゆるリリースで使用できます。ホストされた Microsoft オペレーティングシステムライセン スの 1 つのインスタンスのみを使用できるものから、Microsoft オペレーティングシステムの仮 想インスタンスをいくつでも使用できるものまで、リリースごとに「ゲストライセンス利用権」 のレベルが異なります。 Server Core: Windows Server 2008 R2 の各リリースでは「Server Core」と呼ばれる特殊なイン ストールモードも使用できます。Server Core インストールオプションでは、インストールされ るバイナリの数が削減され、サーバーでホスティングすることのできる機能が制限されるため、 オペレーティングシステムに対する攻撃対象を減らすことができます。特に、必要なディスクス ペースが 75%減少することと、Windows エクスプローラがインストールされないため、あらゆ る管理をリモート操作で、またはコマンドプロンプトから行う必要があることに特徴があります。 このインストールモードでも「ゲストライセンス利用権」を使用できるのに対して、以下に示す Hyper-V Server 2008 R2 では、すべてのゲストについてライセンスが必要になります。 Hyper-V Server 2008 R2: Microsoft Hyper-V Server 2008 R2 は Windows Server 2008 R2 の無償 配布版で、Hyper-V の機能とクラスタリング機能の実行のみを行うことができます。この無償版 では Server Core インストールモードしか利用できないため、ユーザーインターフェースはコマ ンドプロンプトのみに制限されます。また、このエディションには「ゲストライセンス利用権」 はなく、すべての仮想化ゲストオペレーティングシステムについてライセンスが必要になります。 技術的には、Hyper-V Server か Server Core を使用した方がパフォーマンスが多少高くなります。攻撃 対象を減らせることと、パフォーマンスが向上することから、ほとんどのケースでは Server Core バー ジョンの使用を推奨します。コマンドラインの使用に充分に慣れていない場合や、Server Core バージョ ンではサポートされないサードパーティ製ソフトウェアをサーバーにインストールする予定がある場合 は、標準インストールを使用してください。たとえば、サーバーに System Center をインストールする のであれば、標準インストールが必要です。 XenDesktopの観点からは、Hyper-Vの機能が含まれているどのインストールモードにも必要なインター フェースが備わっていますが、最も望ましいのは、パフォーマンスが最も高くなり、ゲストOSライセン ス付与コンポーネントが含まれているServer Coreです。Hyper-Vの各機能と各エディションの詳細につ いては、MicrosoftのHyper-Vについてのウェブサイト(http://www.microsoft.com/hyper-v-server)を参照し てください。 3 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V ハードウェアの検討 仮想デスクトップのホストとして使用するハードウェアについては、Windows Server 2008 R2 でサポー トされるすべての新機能を利用できるものを選定する必要があります。Hyper-V のパフォーマンスの向 上に寄与するハードウェアベースの機能を以下に示します。 SLAT (Second-Level Address Translation)に対応したプロセッサ。Intel プロセッサでは、こ の機能は Nested Page Table と呼ばれ、Nehalem 55xx シリーズのプロセッサに搭載されてい ま す 。 AMD で は 、 こ の 機 能 は Enhanced Page Table (EPT) と 呼 ば れ 、 Opteron 2356 Barcelona シリーズのプロセッサで採用されています。SLAT に対応したプロセッサを使用す ると、Hyper-V ホストのスケーラビリティを最大限に高めることができます。 VMQ (Virtual Machine Queue)に対応したネットワークカード(特に 10GB NIC 使用時) CPU コアパーキング(Nehalem のプロセッサ機能)。Hyper-V サーバーが最小限のプロセッサ でワークロード需要に応じられるようになります。 ゲスト OS として Windows XP が実行される場合、Flex Priority をサポートしているプロセッ サを使用してください。 デスクトップの高可用性(クラスタリング) XenDesktop ファームをデザインする場合、高可用性を確保するかどうかを決定することも重要です。ユ ーザーデスクトップの可用性を高める必要があり、ライブマイグレーションへの対応が必要な場合、そ れらのデスクトップの環境で Hyper-V のクラスタリングを設定する必要があります。クラスタリングを 使用すると、仮想マシンやハイパーバイザーの管理に対する負担が増すため、Microsoft ではデスクトッ プの高可用性が要求される場合を除いて、フェイルオーバークラスタリングを使用しないことを推奨し ています。 クラスタリングを使用する場合、次の制限が適用されます。 1. ライブマイグレーションを手動で開始する必要があります。管理システムや XenDesktop か ら自動的に開始することはできません。 2. 同じクラスタ内のホスト間でしか、デスクトップのライブマイグレーションを行えません。 3. 別のホストに移行する仮想マシンデータを移行前と同じ共有ボリュームに収容しないと、ラ イブマイグレーションを行えません。 4. ライブマイグレーションで移行できるデスクトップは一度に 1 つだけです。 5. Hyper-Vクラスタあたりの最大仮想ゲスト数が 384 から 64 に減少します。詳細については MicrosoftのFAQ (http://www.microsoft.com/hyper-v-server/en/us/faq.aspx)を参照してくださ い。 6. 最大クラスタサイズは 16 ノードなので、最大ゲスト数はクラスタノードあたり 1024 にな ります。推奨される負荷はサーバー15 台(+スペア 1 台)の構成におけるものなので、ほとん どのクラスタではサポートされるゲスト数は約 960 になります。 4 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 基本的に 1 つのクラスタは、ディスクリソースとネットワークリソースを共有する最大 16 台のサーバー で構成されます。Windows Server 2008 R2 のクラスタリング機能には「クラスタ検証」ウィザードが付 属していて、ハードウェア、ネットワーク、ストレージシステムの構成が正しいかどうかを確認できま す。クラスタ検証ウィザードが正常に完了した後で、クラスタ共有ボリュームの設定に移ることができ ます。 クラスタに必要なクラスタ共有ボリューム(CSV)の数は、主にユーザーの I/O プロファイルと、使用され る共有ストレージの性能によって変わります。16 ノード構成のクラスタの場合、ほとんどのケースでは 2 つのクラスタ共有ボリュームがあれば充分です。ただし、ホストのうちの 1 台がリダイレクト I/O モー ドに切り替わった場合のリスクについて検討する必要があります。 リダイレクト I/O モードでは、特定の Hyper-V ノードからのすべての書き込みが、CSV に直接書き込ま れるのではなく、ネットワークを介して転送されます。リダイレクト I/O モードに切り替わったクラス タノードがある場合、そのノードと、書き込み先の CSV のオーナーノードの両方で、ゲストのパフォー マンスが大幅に低下します。これは、オーナーノードがディスクボトルネックになるからです。クラス タがリダイレクト I/O モードに切り替わるのは、以下のイベントが発生した場合です。 ハードウェア障害、ストレージの再構成など、さまざまな理由により、クラスタノードから 共有ストレージへの接続が失われた。 CSV のバックアップ時に、ボリュームのバックアップが完了するまでリダイレクト I/O が使 用される場合がある。 いずれかのノードで CSV に対するデフラグや chkdsk が実行されている。 管理者が CSV をメンテナンスモードに手動で切り替えた。 システムのクラスタ共有ボリューム数を決定する一番良い方法は、想定されるユーザートラフィックで の I/O プロファイルテストを実施し、そのデータを使用して、各ボリュームで処理する必要のある IOPS を計算することです。この情報とストレージベンダから提供される仕様のデータがあれば、適切なボリ ュームの数を算出できます。サポートされる最小ボリューム数は 1、最大ボリューム数は 16 (クラスタノ ードごとに 1 つのボリューム)です。 CPUの検討 Microsoft がサポートしている vCPU 対物理コアのオーバーサブスクリプション比は最大 8:1 です。つま り、4 基の物理コアが搭載されたホストでは、シングル vCPU ゲスト数を常に 32 以下に抑えなければな らないことになります。アーキテクチャ上の制約はありませんが、物理コア 1 基あたりの仮想 CPU 数が 8 というオーバーサブスクリプション比が、現時点でサポートされている比率です。現在、Microsoft で この条件の見直しが行われており、近い将来、サポートされるオーバーサブスクリプション比が引き上 げられる可能性があります。 物理的制限については、1 台の Hyper-V ホストサーバーの全ゲストの vCPU 総数が 512 以下でなければ ならず、ホストあたりの最大ゲスト数が 384 だということ以外に制約はありません。 5 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V ネットワーキング Windows Server 2008 R2 では、TCP Chimney オフロード、VMQ (Virtual Machine Queue)、お よびジャンボフレームが新しくサポートされました。これらの機能により、ネットワー クパフォーマンスの強化と CPU 利用率の引き下げが実現され、全体的なシステムキャ パシティが向上しています。 TCP Chimneyオフロード機能では、TCP/IP接続の処理をネットワークアダプタに直接行わせることがで きます。ネットワークスタックの処理をネットワークアダプタに任せることにより、負荷を軽減できま す。ネットワークアダプタがこの機能をサポートしている場合の詳細な設定方法については、Microsoft のKBの記事 951037 (http://support.microsoft.com/kb/951037)を参照してください。 VMQ に対応したネットワークアダプタでは、仮想ネットワークアダプタごとに別々のネットワークキュ ーを作成し、仮想マシンのメモリを介してそれらのキューにリンクすることにより、仮想マシンとハイ パーバイザーを直接結び付けることができます。この直接的な経路により、システムリソースと CPU サ イクル数を削減できます。 ジャンボフレーム機能は、中核ネットワーク装置と、Hyper-V のネットワークアダプタドライバ設定の 両方で有効にする必要があります。この機能を有効にすると、大量のデータを転送するときのネットワ ークパフォーマンスが向上しますが、ジャンボフレームはすべての環境で使用できるわけではありませ ん。ジャンボフレーム機能を実装する前に、ネットワーク管理者に確認してください。 NIC Teaming を有効にすると、TCP Chimney オフロードと VMQ の機能が無効になります。これは、ど のアダプタで接続が管理されるかを OS が特定できなくなるためです。ただし、NIC Teaming を有効に すると、ネットワークに対するゲストの耐障害性を実現できることに注意が必要です。NIC Teaming を 有効にしなかった場合は、アダプタによる VMQ と TCP オフロードが利用可能になりますが、該当する 仮想ネットワークに対するゲストのネットワーク耐障害性は実現されなくなります。 クラスタリングを使用する場合、すべてのノードのネットワークインターフェース数を同じにし、それ らのネットワークインターフェースを同じネットワークに接続する必要があります。通常、クラスタリ ングのデザインでは 5 つのネットワークを使用します。これらのネットワークの標準構成を以下に示し ます。 ネットワーク 1: SCVMM および Hyper-V の管理トラフィック用 ネットワーク 2: クラスタの内部ハートビート用 ネットワーク 3: パブリック-ホスト/ゲストの外部トラフィック用 ネットワーク 4: ライブマイグレーション(クラスタ通信)およびクラスタメタデータ用 ネットワーク 5: SMB/リダイレクト I/O トラフィック用 ネットワークがサーバーのボトルネックになっている場合、少なくとも 3 つのネットワークを使用する ことを推奨します。ネットワーク 1 および 2 を管理用として 1 つにまとめることができます。さらに、 ライブマイグレーションをまったく、あるいはほとんど使用しない場合は、ネットワーク 4 および 5 を データ転送用として 1 つに統合できます。 6 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V Virtual Machine Manager System Center Virtual Machine Manager (VMM)は、XenDesktopとMicrosoft Hyper-Vホストとの通信を実 現するインターフェースです。VMMはサービスベースのインターフェースを提供し、それをXenDesktop のプール管理サービスから使用することにより、仮想デスクトップの管理を行うことができます。VMM の配備ガイドと操作ガイドはhttp://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=162764からダウンロードすることが できます。この節に記載する高レベルガイダンスのほとんどは、この 2 つのガイドから引用されていま す。詳細な情報については、この 2 つのガイドまたはSystem CenterについてのTechnetウェブサイト (http://technet.microsoft.com/en-us/scvmm/default.aspx)を参照してください。 推奨するデザイン Microsoft Virtual Machine Manager には、VMM サーバー、VMM ライブラリ、VMM データベース、VMM コンソールの 4 つのコンポーネントが含まれています。20 ホスト未満の小規模なシステムでは、通常こ れらのコンポーネントを 1 台のサーバーにまとめることができます。20 ホスト以上のシステムでは、 VMM サーバーと VMM データベースを別々に分離してください。 VMM データベース用に専用のデータベースサーバーを使用する場合、以下の指示に従ってください。 SQL Server の リ モ ー ト 接 続 を 有 効 に し ま す 。 リ モ ー ト 接 続 の 設 定 方 法 に つ い て は http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=127719を参照してください。 SQL Serverへのアクセスが許可されるようにWindowsファイアウォールを設定します。ファ イアウォールの設定方法についてはhttp://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=128365を参照して ください。 SQL Serverのサービスアカウントがローカルシステムで実行されるように設定を行うか、 SQLサービス用に使用するドメインアカウントまたはネットワークサービスのSPN (サービス プ リ ン シ パ ル 名 ) を 作 成 し ま す 。 SPN の 設 定 方 法 に つ い て は http://go.microsoft.com/fwlink/?LinkId=88057を参照してください。 VMM 2008 R2 のインフラをデザインする場合、以下の点に注意してください。 Windows Server 2008 R2 の Hyper-V ホストを管理するには VMM 2008 R2 が必要です。 Server Core インストールモードや Hyper-V 2008 R2 では VMM サーバーのインストールを行 えません。 VMM の全コンポーネントが仮想化環境でサポートされます。 VMM の複数の管理コンソールを同時に開くと、管理システムに対するオーバーヘッドが増大 します。必要のない管理コンソールは閉じるように心がけてください。 参考までに、8 GB の RAM を搭載した 1 台の物理クアッドコアサーバーで、400 の非クラスタ Hyper-V ホストと 8000 の仮想マシンを VMM サーバーで管理できることが Microsoft で検証されています。また、 クラスタ環境については、上記と同じハードウェアで、最大で 16 台のホストと 1024 の仮想マシンの構 成で検証が行われています。 7 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V Microsoft では、1000 を超える仮想マシンを VMM サーバーで管理する場合、VMM データベースを分離 し、このデータベースをホストする SQL Server で、1 つの VMM サーバーのみをサポートすることを推 奨しています。少なくとも 4 基のコアと 16 GB の RAM を搭載した SQL Server を使用し、データベース 用に高い I/O ストレージを確保してください。 XenDesktopとの統合 XenDesktop の管理コンソールでは、個々のデスクトップグループを 1 つの VMM サーバーにしか割り当 てることができません。ただし、1 つの VMM サーバーから複数のデスクトップグループにサービスを提 供できます。 デスクトップデリバリコントローラ(DDC)はプールマスタの役割を果たす可能性があるので、ファーム 内の各 DDC に PowerShell と VMM 管理コンソールをインストールする必要があります。XenDesktop 4 では、DDC を Windows 2003 サーバーにインストールする必要があるため、64 ビット版の Windows Server 2003 R2 の使用を推奨します。VMM 管理コンソールを 32 ビット版の Windows Server 2003 にイ ンストールすることはできませんが、32 ビット版の Windows Server 2003 R2 であれば、このコンソー ルをインストールすることができます。 最後に、XenDesktop のマシン状態管理機能との干渉を防ぐため、VMM サーバーでは VM の自動起動を 無効にしてください。 災害復旧用の設定 Microsoft の VMM サーバーでは、高可用性を実現するためのファームの概念がサポートされていません が、代わりにそれぞれの VMM サーバーに充分な自立性があります。VMM では、Microsoft のクラスタリ ング機能を使用する以外に、耐障害性を実現する手段はありません。 VMM サーバー : Microsoft Hyper-V のフェイルオーバークラスタを使用し、高可用性用に構成された仮想 サ ーバ ーを作 成し ます。 VMM サ ー バー を仮想 化し た場合 、別 のホス トへ の手動 によ る移行 や 、 Performance Resource Optimization (PRO)用の構成は行わないでください。PRO 用の構成を行うと意図 しない移行が引き起こされる可能性があります。 VMM データベース : Microsoft のフェイルオーバークラスタを使用して SQL Server をホストし、クラス タ化した SQL Server に VMM データベースを組み込みます。5 台を超える Hyper-V ホストが存在する環 境では、SQL Express をローカルデータベースとして使用しないでください。 VMM ライブラリ : VMM では、Windows Server 2008 Enterprise エディションや Windows Server 2008 Datacenter エディションで作成されたフェイルオーバークラスタに、高可用性ライブラリ共有機能を追 加することができます。VMM は、Windows Server 2003 のフェイルオーバークラスタを認識できないた め、Microsoft Windows Server 2008 のフェイルオーバークラスタを使用してください。 ただし、VMM サーバーを上記のように構成したとしても、保護されるのはハードウェア障害に対してだ けで、ソフトウェア障害からの保護は行えません。VMM サーバーサービスがハングアップしたり、要求 に応答しなくなると、そのサーバーが使用不能になります。このタイプの障害からの保護には、カスタ ム検出スクリプトと複雑なフェイルオーバールーチンが必要になります。 8 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V VMM サーバーが使用不能になると、XenDesktop のプール管理サービスによって、該当するデスクトッ プがオフラインに切り替えられます。1 つの VMM サーバーで管理される仮想マシン数を制限すると、ソ フトウェア障害が発生したときの影響の範囲を限定することができます。 ストレージの選定 VDI 環境のホストとして、どのようなストレージを選択するかによって、仮想デスクトップのパフォー マンスが大きく変わる可能性があります。ストレージソリューションを正しくデザインするには、 XenDesktop や Hyper-V で使用するストレージの特性と動作を理解する必要があります。 ストレージのタイプ Hyper-V の配備計画の立案では、Hyper-V ではファイバーチャネル(FC)や iSCSI のような、DAS (Direct Attached Storage)やブロックレベルの SAN ストレージしかサポートされないことに注意する必 要があります。選択したどのストレージについても、ホスト上のデスクトップあたり約 15 IOPS (秒あた りの I/O 操作回数)の性能がサポートされている必要があります。すなわち、それぞれのホストで 50 のデ スクトップをサポートする場合、(書き込みが 90%のケースでは)ホストあたり 750 IOPS の性能を持つス トレージが必要になります。 仮想デスクトップのワークロードは極めて書き込み集約的で、いくつかの研究では書き込みが最大 90% を占めます。書き込み集約的な環境では、RAID 1 構成や RAID 10 構成では 2 倍の書き込みオーバヘッド が、RAID 5 構成では 4 倍の書き込みオーバーヘッドが発生します。ほとんどのケースでは、ストレージ 構成として RAID 1 や RAID 10 を使用した方が、仮想デスクトップユーザーにとってのパフォーマンス が高くなります。さまざまなワークロードにおける書き込みペナルティを表 1 に示します。 RAID レベル 書き込みペナルティ RAID 0 1 RAID 1 または RAID 10 2 RAID 5 (データ 3、パリティ 1) 4 RAID 5 (データ 4 パリティ 1 | データ 3 パリティ 2) 5 RAID 5 (データ 5 パリティ 1 | データ 4 パリティ 2) 6 表 1 RAID 構成における IOPS 書き込みペナルティ 次の式を使用して VDI ワークロードにおけるファンクショナル IOPS を計算できます。 ファンクショナル IOPS = ((ストレージの本来の IOPS * 0.9)/ 書き込みペナルティ) + (ストレージの本来 の IOPS * 0.1) たとえば、8 台の 72GB 15K SCSI3 ドライブで RAID 10 ストレージアレイを構成する場合を考えます。 本来の IOPS の合計が 1200 とすると、VDI におけるファンクショナル IOPS は 660 になります。 ファンクショナル IOPS = ((1200 * 0.9) / 2) + (1200 * 0.1) = 540 + 120 = 660 9 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V このストレージアレイでサポートすることのできるデスクトップ数は、ファンクショナル IOPS を 15 で 割ることで求めることができます(計算結果は 44 になります)。 保存された状態ファイル Microsoft Hyper-V では、仮想マシンが最初に起動したときに、その仮想マシン用の RAM と同じサイズ の.BIN ファイルが作成されます。仮想マシンが保存状態に移行すると、このファイルに RAM の内容が 書き込まれます。このファイルは仮想マシンと同じ場所に自動的に作成され、無効にすることはできま せん。従って、仮想マシンをサポートするのに必要な SAN 上のディスクスペースを計算する場合、仮想 マシンの RAM の容量を計算に入れる必要があります。 10 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V オペレーティングシステムのデリバリ この節では、仮想マシンへのオペレーティングシステムのデリバリについてのガイダンスを記載します。 オペレーティングシステムの選定、仮想ハードディスク、およびネットワーキングについて取り上げて います。 オペレーティングシステムの選定 Citrix と Microsoft の両社による内部テストでは、Microsoft Hyper-V 上では、RAM 容量が同じとすると Windows 7 の方が Windows XP よりユーザーエクスペリエンスに優れ、スケーラビリティも概ね高いこ とが現時点で明らかにされています。 Microsoft のチームは、このスケーラビリティの向上を、Windows 7 が仮想化を意識したオペレーティン グシステムであるためだとしています。Windows 7 には、仮想化環境におけるパフォーマンスを改善す るいくつかの機能が取り入れられています。 Windows 7 には、基本オペレーティングシステムの一部として Hyper-V ホスト統合サービス が組み込まれています。 Windows 7 では、アイドル状態になるとハイパーバイザーに通知が行われるため、ハイパー バイザーはゲスト操作のスケジューリングを行わずにすみます。 Windows 7 には、ネットワーク用やディスク用の最適化されたデバイスドライバが付属して います。 Windows 7 では、ストレージが改善され、ページファイル管理が最適化されています。 ゲストオペレーティングシステムの選定では、仮想デスクトップのオペレーティングシステムが、ユー ザーのアプリケーションをすべてサポートしているかどうかを確認することも重要です。Windows XP や Vista でしか実行できなかったり、32 ビットオペレーティングシステムにしか対応していないアプリ ケーションがある場合、オペレーティングシステムの選択肢が限られることになります。Windows 7 に ネイティブに対応していないアプリケーションをデリバリする必要がある場合、Microsoft App-V や Citrix XenApp の使用を検討してください。 仮想ハードディスクの検討 CitrixとHyper-Vを組み合わせた仮想環境では、プロビジョニングサービスとMicrosoft Hyper-Vの両方か ら仮想ハードディスク(VHD)が使用されます。仮想ハードディスクを使用する場合、ダイナミックVHD ファイルの使用を避けることと、diskpart ユーティリティを使ってパーティションオフセットを手動で 設定する必要があることに注意が必要です。diskpart の使用法については、MicrosoftのKBの記事 300415 (http://support.microsoft.com/kb/300415)を参照してください。 11 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V ダイナミックVHDの回避 ダイナミック VHD では、ファイルの末尾に 1 バイトが追加されるため、ファイルがディスクサブシステ ムの整列境界に並ばなくなります。このようなファイルの不整列が発生すると、ファイルの内容が変更 されるたびに余分な I/O 操作が発生し、パフォーマンスが大きく低下します。固定ディスク VHD であれ ば、この余分なバイトがファイルの末尾に付加されることはありません。 また、ダイナミック VHD では(2 MB ブロック単位の)サイズ拡張アルゴリズムが使用されるため、ドラ イブサイズが拡張されるとストレージデバイスでかなりのオーバーヘッドが発生します。ダイナミック ドライブのサイズが拡張される場合、ファイルサイズが拡大されるたびに、アロケーションテーブルが 更新され、ドライブのヘッダセクションとフッタセクションが書き換えられます(読み込みと書き込みが 発生します)。たとえば、ダイナミック VHD に 10 MB のファイルが書き込まれる場合、ダイナミック VHD ファイルの管理のためだけに、30 回の I/O 操作がオーバーヘッドとして余分に加わることになりま す。 プロビジョニングサービス用に書き込みキャッシュドライブを作成する場合、固定サイズ VHD のみを使 用してください。書き込みキャッシュドライブとして固定サイズ VHD を使用すれば、ファイルサイズ拡 大に伴うボトルネックを回避し、SAN の整列の問題を改善できます。 VHDパーティションオフセットの手動設定 システムパフォーマンス向上のためのもう 1 つのガイドラインとして、インストール時に diskpart ユー ティリティを使用し、手動でパーティションオフセットを 1024 KB に設定してください。この設定を行 うと、ディスクストレージサブシステムの整列の問題を改善できます。このようにして VHD ファイルの オフセットを正しい値に修正すると、ディスクへのアクセス回数が減少するため、少ない I/O 操作でフ ァイルの読み出しや書き込みを行えるようになります。 Windows XPのセットアップ機能やdiskpart ユーティリティでは、ブートパーティションのオフセット がディスクサブシステムの整列境界に揃いません。Windows Server 2003 SP1 やWindows 7 に付属して いるdiskpart ユーティリティであれば、この問題が修正されているため、ディスクにより適したオフセ ットでブートパーティションが作成されますが、それでも(パーティションサイズによっては)、整列境界 に揃わないオフセットが使用される場合があります。そのため、どのVHDファイルについても、 diskpartユーティリティでパーティションオフセットを手動で設定してから、フォーマットを行うこと を 推 奨 し ま す 。 正 し い オ フ セ ッ ト 値 の 計 算 方 法 に つ い て は 、 Microsoft の KB の 記 事 929491 (http://support.microsoft.com/kb/929491)を参照してください。 プロビジョニングサービスで使用するために、イメージをVHDに変換する場合、VHDパーティションオ フセットの設定機能を持つXenConvert 2.1 (またはそれ以降)を使用してください。XenConvert 2.1 は、 http://www.citrix.com/English/ps2/products/subfeature.asp?contentID=1860675からダウンロードするこ とができます。このバージョンのXenConvertであれば、vDiskパーティションのオフセットを正確に指定 できます。それ以前のバージョンのXenConvertでは、オフセットが 252 KBに固定されるため、ディス クストレージサブシステムの整列境界とのずれが生じてしまいます。XenConvert 2.1 の使用方法につい ては「付録」を参照してください。 12 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V ネットワーキングの検討 Microsoft Hyper-V には 2 種類のネットワークアダプタがあります。その一方は、Hyper-V の管理コンソ ールでは「レガシーネットワークアダプタ」、VMM の管理コンソールでは「エミュレートネットワーク アダプタ」という名称で呼ばれ。もう一方のアダプタは、どちらの管理コンソールでも「統合ネットワ ークアダプタ」という名称で呼ばれます。 レガシーネットワークアダプタは、仮想マシンの BIOS に直接結び付いています。デバイスへのアクセ ス時に、コンテキストを切り替えないと通信を行えないため、このタイプのアダプタの方がプロセッサ のオーバヘッドが高くなります。レガシーネットワークアダプタは、プロビジョニングサービスで使用 されるような PXE (ブート前実行環境)のサポートに必要になります。一般にはレガシーネットワークの 速度は 100 MB までに制限されていると信じられていますが、ホストの物理ネットワークインターフェ ースの性能次第では、100 MB を超える通信速度も実現できます。 統合ネットワークアダプタは、仮想マシンにオペレーティングシステムが読み込まれた後で、ホスト統 合サービスによってロードされます。そのため、このタイプのアダプタは PXE では使用できません。統 合ネットワークアダプタは仮想マシンに直接統合されているため、高速な VMBus を使用して通信を行う ことができます。また、レガシーネットワークアダプタのようにコンテキストの切り替えを行う必要が ないので、プロセッサのオーバーヘッドも低くなります。 シングルネットワークアダプタ構成 プロビジョニングサービスや、サードパーティ製のその他の PXE イメージングデリバリアプリケーショ ンを環境で使用しないのであれば、レガシーネットワークアダプタを使用する必要はありません。統合 ネットワークアダプタのみを使用することにより、最高のパフォーマンスを実現できます。 逆に、プロセッサの処理能力に余裕があり、コンテキスト切り替えが増えても問題がない場合は、レガ シーネットワークアダプタを仮想マシンの唯一のネットワークアダプタにすることができます。その場 合、仮想マシンから見たネットワークスループットは変わりません。影響を受けるのは、1 台の物理 Hyper-V ホストでサポートすることのできるゲスト仮想マシン数だけです。 ネットワークパフォーマンスや耐障害性が重要視されないユーザー環境では、単純化のため、このよう なシングルネットワークアダプタ構成を使用することを推奨します。仮想ネットワーク用のアダプタに 対して NIC Teaming を適用しない場合や、ネットワークパフォーマンスが重要な場合は、デュアルネッ トワークアダプタ構成を使用してください。 デュアルネットワークアダプタ構成 Hyper-V 使用時に、プロビジョニングサービスによる PXE のサポートが必要な場合は、レガシーNIC (ネ ットワークカード)が必要です。仮想マシンの起動後は、ドライバによって統合 NIC の経路メトリックの 値がレガシーNIC のものより小さい値に設定されるため、統合 NIC の方がレガシーNIC より優先されま す。 13 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V プロビジョニングサービスを使用してオペレーティングシステムのストリーミングを行う場合、仮想マ シンごとに 2 つのネットワークカードを作成すると、パフォーマンスが最も高くなります。このうち、 レガシーネットワークカードは PXE ブートをサポートするために使用し、統合ネットワークカードはオ ペレーティングシステム起動後のネットワークトラフィック用に使用します。これらのネットワークカ ードが両方ともオペレーティングシステムで有効にされていて、両方とも同じサブネットに属していれ ば、ほとんどのトラフィックで統合ネットワークカードの方が優先的に使用されます。ただし、 Windows のネットワーキング機能では、複数の要因に基づいてパケットに最適な経路が決定されるため、 状況によってはレガシーネットワークアダプタの方がデータ転送に使用される場合もあります。 プロビジョニングサービスを使用してオペレーティングシステムのデリバリを行う場合、プロビジョニ ングサービスのインストールフォルダに含まれているbindcfg を実行し、vDiskイメージを作成する前に、 レガシーネットワークアダプタがプロビジョニングサービスのデバイスドライバにバインドされている ことを確認する必要があります。デバイスドライバが不適切なネットワークアダプタにバインドされて いると、vDiskイメージによるブートプロセスを完了できなくなります。bindcfg の使用法については「 付録」を参照してください。 決定内容のまとめ このドキュメントで取り上げたデザイン上の決定内容と、推奨する選択肢を表 2 にまとめます。 Microsoft Hyper-V 環境における XenDesktop のアーキテクチャをデザインするときに、この表を参考用 として活用してください。 決定内容 選択肢 推奨 Windows Server 2008 の インストールモード 標準、Server Core、Hyper-V Server 2008 R2 Server Core ハードウェア機能 SLAT、VMQ、PP、Flex Priority SLAT、VMQ デスクトップの高可用性 Hyper-V のフェイルオーバークラ スタ、または通常の Hyper-V サ ーバー 通常の Hyper-V サーバー(高可用性 が必要な場合を除く) クラスタ共有ボリューム 数 1~16 2~4 (ユーザーI/O プロファイルに よる) クラスタリングネットワ ーク 内部用、外部用、管理用、マイグ レーション用、SMB 用 (計 5 種 類) 外部用、管理+内部用、マイグレー ション+SMB 用(計 3 種類) ネットワーク構成 ジャンボフレーム、VMQ、TCP オフロード、NIC Teaming VMQ、TCP オフロード CPU のオーバーサブスク リプション比 全ゲスト(最大ゲスト数は 384)の vCPU 総数を求め、それを物理コ ア数で割る 8:1 (最大 vCPU 数は 512) VMM サーバーの構成 VMM データベースを分離、また はシングルサーバー構成 VMM データベースを VMM サーバ ーから分離する 14 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 決定内容 選択肢 推奨 VMM サーバーの仮想化 仮想化、または物理サーバーを使 用 仮想化 (クラスタリングによる高可 用性の実現が可能) ストレージ デスクトップあたりの IOPS、状 態ファイルの保存 仮想マシンあたりの IOPS が 15 以 上であること、および必要なストレ ージ容量に VM の RAM 容量を含め ること SAN ストレージの RAID レベル RAID1、RAID5、RAID10 RAID1 または RAID10 デスクトップオペレーテ ィングシステム Windows XP、Windows Vista、 Windows 7 Windows 7 VHD のタイプ 固定またはダイナミック 固定 VHD パーティションのオ フセット 自動または手動設定 ストレージのブロックと一致するよ うにオフセットを手動で設定 ゲストのネットワークア ダプタ シングル構成またはデュアル構成 可能であればシングル構成、パフォ ーマンスを向上させたいのであれば デュアル構成 表 2 Hyper-V デザインについての決定内容 15 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 配備についての検討 この節では、大規模環境への配備について取り上げます。最初の節では、XenDesktop の DDC の設定に ついてのガイダンスを、残りの 2 つの節では、プロビジョニングサービスの書き込みキャッシュドライ ブの作成と割り当てを一括して行うためのガイダンスとスクリプトを記載しています。 デスクトップデリバリコントローラの設定 大規模なデスクトップファームでは、デスクトップデリバリコントローラ(DDC)のパフォーマンスをチ ューニングし、専用の役割を作成することを推奨します。DDCの役割の変更については、Citrixのナレッ ジベースの記事CTX117477 (http://support.citrix.com/article/ctx117477)を参照してください。役割の設定 についての、さらに詳しいガイダンスについては「付録」を参照してください。 XenDesktop のアーキテクチャをデザインする場合、現時点ではマスタをブローカリングとプール管理用 にのみ使用し、残りのメンバーサーバーを XML 要求用に使用することを推奨します。すなわち、Web インターフェースの設定時に、ファームマスタが、ファームへの接続用に使用されるサーバーリスト中 の最後のサーバーになるようにします。 いずれかのDDCで、3900 を超える数の接続を取り扱う必要がある場合、そのDDC上でレジストリを変更 する必要があります。これは、Windows Server 2003 では、デフォルトではTCP接続数が 3977 に制限さ れるためです(Windows Server 2008 におけるデフォルト接続数は 16,384 です)。詳細については、 http://support.microsoft.com/kb/196271を参照してください。 XenDesktopの作成 XenDesktop のセットアップウィザードを実行すると、プロビジョニングサービス、VMM サーバー、お よび XenDesktop コントローラとの通信が適切に確立され、すべてのデスクトップが自動的に構築され ます。ただし、Hyper-V サーバーがクラスタ化されている場合は 1 分に 2 つの、Hyper-V サーバーがク ラスタ化されていない場合は 1 分に 3 つの割合でしかデスクトップが作成されません。 これを解決する手段として、プロビジョニングサーバー上で XenDesktop のセットアップウィザードの 複数のインスタンスを同時に実行できます。プロビジョニングサーバーのコマンドに対するリモート API はまだ利用できないため、XenDesktop のセットアップウィザードはプロビジョニングサーバー自身 から実行する必要があります。同じプロビジョニングサーバーで、または同じファーム内の複数のプロ ビジョニングサーバーで、XenDesktop セットアップウィザードの複数のインスタンスを同時に実行でき ます。ただし、そのためには対象になる VMM サーバーが別々でなければなりません。 同じ VMM サーバーに対して、XenDesktop セットアップウィザードの複数のインスタンスを実行するこ とは推奨しません。これは、セットアップウィザードではインテリジェント配置用の VMM API が使用さ れないためです。代わりに、セットアップウィザードは作成するデスクトップ数を受け取り、VMM サー バーに登録されたすべてのホストに、同じ数のマシンを均等に分配します。 もう 1 つの方法として、XenDesktop のセットアップウィザードの代わりに、VMM サーバー、プロビジ ョニングサーバー、および XenDesktop の API にアクセスする PowerShell スクリプトを使用することも できます。すべてのコンポーネントが設定用の API をサポートしていますが、現時点では、この代替ス クリプトは用意されていません。 16 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V Hyper-V サーバーの処理能力の一部が別の目的に使われていたり、Hyper-V サーバーによって処理能力が 異なっていたりなどの理由で、サーバーの処理能力に違いがある場合は、VMM ステージングサーバーを 用いることで、XenDesktop のセットアップウィザードが使用可能になります。このステージングサーバ ーは、Hyper-V ホスト用の一時的な VMM 管理サーバーとして機能します。VMM ステージングサーバー を使用するための大まかな手順は以下のようになります。 1. VMM サーバーを構築し、そのサーバーにローカル SQL Express データベースを組み込みま す。 2. この VMM ステージングサーバーに Hyper-V ホストを一時的に登録します。 3. XenDesktop のセットアップウィザードを実行し、デスクトップを作成します。 4. セットアップウィザードの完了後に、Hyper-V ホストを本番 VMM サーバーに登録し直しま す。 5. XenDesktop のグループプロパティを変更し、本番 VMM サーバーが使用されるようにしま す。 ステージングサーバーを使用すると、仮想マシンの作成・配置用のスクリプトを書かずにすみます。 書き込みキャッシュドライブの一括割り当て XenDesktopセットアップウィザードを使用した場合のもう 1 つの副作用として、仮想マシンにアタッチ されるドライブのうち、テンプレートして使われるものは作成対象から除外されるため、書き込みキャ ッシュドライブはすべて、デスクトップが作成された後で追加する必要があります。VMMサーバーを使 用して、書き込みキャッシュドライブの作成と仮想マシンへのアタッチを行うことができます。SCVMM ライブラリ内の VHDを、指定されたパターンと名前が一致するすべての仮想マシンにアタッチする PowerShellスクリプトを「付録」に掲載しています。このスクリプトはVMMサーバーから実行できます。 このスクリプトの実行には、1 つの仮想マシンにつき 30~90 秒の時間がかかります。ストレージやネッ トワークの速度によっては、さらに長い時間がかかる可能性もあります。また、このスクリプトはVMM サーバーによってシーケンシャルに実行されます。 この処理を行うもう 1 つの方法として、バッチファイルを作成することもできます。このバッチファイ ルを使用して、まず(1024 KB のオフセット値を使用して区切られ、適切にフォーマットされた)テンプレ ート VHD を仮想マシンごとにコピーし、その後で、作成された VHD のアタッチのみを行う PowerShell スクリプトを VMM サーバーから実行します。通常は、こちらの方法の方が高速です。この方法では、 最も時間がかかるファイルコピーを各ホストからパラレルに実行できます。正しく設定が行われていれ ば、ファイルコピーを約 20 秒で終わらせることができます。 「新しいハードウェアが見つかりました」という警告メッセージが表示されないようにするため、書き 込みキャッシュドライブは、PVS の vDisk イメージにアタッチされた書き込みキャッシュ VHD のコピー にしてください。このようにすると、ディスクのシグニチャが一致するため、再起動を促すプロンプト が表示されなくなります。 17 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V まとめ このデザインガイドは、Microsoft Hyper-V 上の XenDesktop の配備をデザインする場合のガイダンスを 提供するために作成されました。このガイダンスを、XenDesktop アーキテクチャの他のガイドと組み合 わせて活用してください。XenDesktop の配備の詳細については、以下に示すホワイトペーパーおよび URL を参照してください。 XD Design Handbook: http://support.citrix.com/article/CTX120760 Delivering 5000 Desktops with XD4: http://support.citrix.com/article/CTX123684 XenDesktop Modular Reference Architecture: http://support.citrix.com/article/CTX124087 XenDesktopのホワイトペーパー: http://support.citrix.com/product/xd/v4.0/whitepaper/ XenDesktop on Microsoftウェブサイト: http://community.citrix.com/p/edit/xendesktop-on-microsoft 18 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 付録 この付録には、このドキュメントの内容に関係する補足用の技術情報を収録しています。 XenConvert 2.1 によるパーティションオフセットの手動設定 XenConvert 2.1 のドキュメントに、パーティションオフセットを手動で変更する方法が記載されていま すが、その内容をここにも記載します。XenConvert の実行形式ファイルと同じフォルダの中にある XenConvert.INI ファイルの内容を編集することで、パーティションオフセットの設定を行うことができ ます。オフセット値を 1024 KB に設定するには、このファイルに次のセクションと値を追加します。 [parameters] PartitionOffsetBase=1048576 この INI ファイルパラメータを使用することで、パーティションオフセットをローカルストレージシステ ムや SAN ストレージシステムに合った値に設定できます。SAN ストレージシステムに配置するすべて の VHD について、この設定を行う必要があります。 BindCfgによるネットワークカードの設定 ホストで複数のネットワークアダプタを使用する場合、プロビジョニングサービスのストリーミングサ ービスに、正しいネットワークアダプタがバインドされていることを確認してください。プロビジョニ ングサービスへのネットワークカードのバインド状態を確認するには、XenDesktop 上の\Program Files\Citrix\Provisioning Services\BindCfg.exe プログラムを実行します。以下の図に示されているように、 Hyper-V のレガシー(エミュレーション)ネットワークアダプタが選択されていることを確認します。 Microsoft Virtual Machine Bus Network Adapter は、PXE ブートをサポートしていない統合ネットワーク アダプタです。 19 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V VMMからのVHDのコピーとアタッチを行うPowerShellスクリプト 以下の PowerShell スクリプトを使用すると、VMM サーバーの API を使用して、VMM ライブラリからホ ストへの VHD のコピーと、作成済みの仮想マシンへのアタッチの両方を行うことができます。 使用例: PS c:\scripts> .\copyvdisk.ps1 "\\SCVMM\MSSCVMMLibrary\VHDs\writecachebase.vhd" "C:\VMs" XDesktop "" "" 注意事項: 1. VMM PS ライブラリがロードされるようにするため、VMM サーバーの PowerShell から実 行する必要があります。 2. ベース VHD を VMM サーバーのライブラリに含めておく必要があります。SCVMM コンソ ール上でリフレッシュが必要になる場合があります。この VHD はパーティション化され、 NTFS でフォーマットされている必要があります。 3. 最初の引数は VMM ライブラリのパスです。このパスは UNC パスでなければなりません。 4. 2 番目の引数は Hyper-V サーバー上の VM の場所を示すパスです。このパスは Hyper-V ホス トからの相対パスでなければなりません。UNC パスは指定できません。 5. 3 番目の引数は仮想マシン名のマッチパターンです。末尾にワイルドカードが付けられてい ると見なされます。 6. 4 番目と 5 番目の引数は書き込みキャッシュ VHD ファイル名の先頭と末尾に付加される文 字列です。指定を省略した場合は、このファイル名は仮想マシン名と同じになります。 20 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V COPYVDISK.PS1 の内容: if ($args -eq $null -or $args.Count -lt 3) { write-output "Usage: copyvdisk UNC_fileName_of_vhd Path_to_cluster_storage VMNameMatches prepend_filename append_filename" exit 1 } $VdiskPath = $args[0] $ClusterStoragePath = $args[1] $VMNameMatches = $args[2] $PrependString = $args[3] $AppendString = $args[4] $VMMServer = Get-VMMServer -Computername "localhost" $BaseVdisk = Get-VirtualHardDisk -VMMServer $VMMServer | where { $_.Location -eq "$VdiskPath" } if ($BaseVdisk -eq $null) { write-output "Unable to find vdisk: $VdiskPath" exit 1 } $VMs = Get-VM | where { $_.Name -match "$VMNameMatches" } if ($VMs -eq $null) { write-output "No VMs matches the pattern: $VMNameMatches" exit 1 } else { $matchedString = "{0} vms match the pattern: {1}" -f $VMs.Count, $VMNameMatches write-output $matchedString } foreach ($vm in $VMS) { $current_disks = get-VirtualDiskDrive -VM $VM if ($current_disks -eq $null -or $current_disks.count -eq 0) { $filename = "{0}{1}{2}.vhd" -f "$PrependString", $VM.name, "$AppendString" $cloningMessage = "Attaching {0} to VM {1}" -f $filename, $VM.Name write-output $cloningMessage $newvhd = New-VirtualDiskDrive -VM $VM -VirtualHardDisk $BaseVdisk -Path "$ClusterStoragePath\$VM" -Filename "$filename" -IDE -Bus 0 -LUN 0 } else { $diskattachedmessage = "{0} {1}" -f $VM.Name, "has disk already attached" write-output $diskattachedmessage } } 21 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V 専用ファームマスタの設定 Citrixのナレッジベースの記事CTX117477 (http://support.citrix.com/article/ctx117477)に記載された手順に ほぼ従うことにより、ファームサーバーのレジストリキーを適切に設定できます。ただし、特定のサー バーのみをXML要求用に使用するためのWebインターフェースの設定手順だけは、この記事で取り上げ られていません。 XML 要求用に使用されるサーバーを編集するには、(ファームにサービスを提供するすべての Web イン ターフェースサーバー上で) Web インターフェースの管理コンソールを呼び出し、以下の手順を実行し ます。 1. 使用されている XenApp Web サイトまたは XenApp サービスサイトを選択します。 2. そのサイトを右クリックし、コンテキストメニューから Server Farms を選択します。 3. ファームを選択し、Edit…ボタンをクリックします。 4. 以下の図に示すダイアログボックスを使用できるようになります。この図では、xdddc2~ xdddc4 が XML 要求サーバーとして機能し、xdmaster がファームマスタになります。 xdmaster はリストに残されていますが、他のすべてのファームサーバーが使用不能になっ たときしか使用されません。 22 デザインガイド | XenDesktopおよびMicrosoft Hyper-V Citrix について Citrix Systems, Inc.(Nasdaq:CTXS)は、仮想化、ネットワーキング、およびソフトウェアに特化した トッププロバイダーであり、これらのサービス技術を世界中の 23 万社以上もの企業や組織に対して提供 しています。同社の Citrix Delivery Center、Citrix Cloud Center(C3)、Citrix Online Services の各製品 ファミリーは、ユーザーがどこにいて、どんなデバイスを使用していようとも、すべてのユーザーに対 してアプリケーションをオンデマンドで配信することにより、数百万ユーザーを対象としたコンピュー ティングを根本的に簡素化します。Citrix の顧客には、世界最大級のインターネット企業である各社、 Fortune Global 500 に選ばれている企業のうちの 99%、および数十万もの中小企業やプロシューマーが 含まれています。また、Citrix は、100 ヶ国以上の 1 万を超える企業とパートナー契約を結んでいます。 同社は 1989 年に設立され、2008 年度の収益は 16 億ドルでした。 ©2010 Citrix Systems, Inc. All rights reserved. Citrix®、Access Gateway™、Branch Repeater™、Citrix Repeater™、HDX™、 XenServer™、 XenApp™、 XenDesktop™および Citrix Delivery Center™は、 Citrix Systems, Inc.またはその子会社の登録商標であり、米国の特許商標局およびその他の国に登録され ています。その他の商標や登録商標はそれぞれの各社が所有権を有するものです。 23
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