佐々木苑子 − 絵絣紬に生きる − 2 0 15 年 4 月 1 8 日[土 ]−6 月 2 1 日[日] 人間国宝 会期中一部展示替えを致します。 会 場:展示室1 開館時間:午前 9 時 30 分∼午後 5 時(入館は 4 時 30 分まで) 休 館 日:毎週月曜日(5 月 4 日は開館) 観 覧 料:一般 820(650)円、大学・高校生 410(320)円 *( )内は 20 名以上の団体割引料金 * 中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者 1 名は無料 * 美術館ニュース No.159 に記載した観覧料に誤りがありました。お詫びして訂正します。 京に生まれた佐々木苑子は、 デザインを学び20代のはじめよりテ 東 キスタイルの図案を描いていましたが、自分のイメージするとお りの色や仕上がりを実現するために、自らの手で織物を織る道へと 進みました。まず、静岡県の手織り紬工房で平織・縞・格子の技術を 絵絣紬着物《夜の煌》1981年 シルク博物館 学んだ後、曲線で表現する絵絣の技を求めて鳥取県の弓浜絣と島根 県の広瀬絣を学びます。従来、木綿糸を藍で染めてつくる絵絣は伝 統的な柄を織り出す素朴な味わいをもつ織物でした。佐々木はこの 絵絣を絹織物に応用し、植物染料で繊細で華やかな色に染めた強靱 で艶のある紬糸で織ることにより、絵絣に新たな芸術性と品格をも たらすことを目指しました。 制作は作家にとって尽きせぬ感動の源である、鳥や花、星や月な どの身近な自然のスケッチに始まり、そこから図柄を創案し、着物 の形に合わせて繰り返す様に配置します。次に紬糸を図柄に合わせ て括り、藍や梔子や紅花やカテキューなどの様々な植物染料で染め て、時には経糸と緯糸両方に柄を染めて、経緯の糸を一本一本合わ せながら織り、弓形や曲線も使った多様な絵絣を浮かび上がらせま す。初期は、織物の繰り返し模様の規則に沿って図案をおいていま すが、やがて、着物に仕立てた際の絵絣柄の配置に工夫を凝らし、さ 絵絣紬着物《青葉闇》2011年 群馬県立近代 美術館 らに絵絣と繊細な色合いの線条を組み合わせたのびやかな構成を発 展させていきます。また並行して、帯を中心に、色彩豊かでリズム のある幾何学的な紋織りも制作していきます。 このように、自然のうちに見出した生き物や光や風のイメージを、 繊細な色合いの紬糸で、ひと織ひと織積み重ねた絵絣や紋織の着物 を日本伝統工芸展を中心に発表し続け、その技術と芸術性が高く評 価されて1975年第 22回日本伝統工芸展で日本工芸会総裁賞、2001 年第48回展で東京都知事賞、03年第50回展で日本伝統工芸展第 50 回展記念賞等、受賞を重ね、2005年重要無形文化財「紬織」保持者 の認定を受けています。 本展は、50年近く重ねられてきた創作の全貌を、着物や帯などの 代表作約 70点によってご紹介する初めての機会となります。 絵絣紬着物《雲居の空》2014年 個人蔵 2月1日 (日)と 3月1日(日)に恒例の 「美術館アートまつり」を開催 しました。2月は 988人、3月は 1,382人と、今回もまた大勢の方々 にご参加いただきました。本当にありがとうございました。 それでは、今回もそれぞれのプログラムのひとこまを写真でご紹 2015 開催レポート 介しましょう。 ふわふわモザイク 親子でちょこっとお茶体験 わくわく きんぎょすくい! じぶんとだれかのためのピクトタイルプロジェクト バックヤードツアー できるのはどんな形? アートカードであそぼう! 新聞紙でだいへんしん! 展覧会ポスタープレゼント WANTED! ウォンテッド! お花畑を作ろう! 現在、友の会では平成 27年度の会員を募集中です。友の会は、会費や館内ショップ の利益を活用し、近代美術館を支援している団体です。会員には県内 5つの美術館の 観覧料が減免になるなど、様々な特典があります。是非この機会にご入会ください。 ■会員の種類と年会費[有効期間は 4月1日∼ 翌年 3月31日] 一般会員 2,000円/学生会員 1,000円/家族会員[同居 2人分]3,000円 [3人以上は 1人につき 1,000円追加] 個人賛助会員 [一口]10,000円/法人賛助会員[一口]20,000円 ■観覧料が減免となる美術館 群馬県立近代美術館・群馬県立館林美術館[両方あわせて年間2回無料(半期会員は 1 回) 、ほか半額 ]高崎市美術館・高崎市タワー美術館・高崎市山田かまち美術館[団体割 引相当額] ■主な事業 *展覧会・教育普及事業・広報への支援・協力のほか、コンサートや講演会等を開催。 *会報の発行、ミュージアム・ツアーなど、会員のための事業を実施。 OOO (トリプル・オゥ)の刺しゅうアクセサリー 春のおすすめアイテム! OOO( トリプル・オゥ ) の刺しゅうアクセサリー 昨年 「グッドデザインぐんま 」大賞を受賞したスフィア・シリーズは、幾重にも糸を重ねることで生まれるパールの ような立体感が特徴です。カラフルな色使いと軽い着け心地で、春先のおしゃれに是非取り入れていただきたいア イテムです。 [お問い合わせ先] 群 馬 県立 近 代 美 術 館 友の会 T e l .027-346-5560(館代表) Fax.027-346-4064 こどもミュージアム・スクール開催報告 どもたちが美術館で定期的に体験活動を行う「こどもミュージ こ アム・スクール」の 26 年度の様子を報告します。 4月に募集して集まった小学 4 年生から中学 2 年生までのメン バーが、5月から11月まで毎月 1回のペースで、美術館スタッフや 第 3回 「フィールドランニング in群馬の森」 アーティストによるワークショップを体験しました。 5、6月には館内探検や鑑賞活動を行い、美術館のことや収蔵作 品について知ってもらいました。7、8月には開催中の「1974年に 生まれて」展出品作家から土屋貴哉さんと水野暁さんが講師とな りました。どちらも屋外での活動があり、 土屋さんの活動では様々 な場所をフロッタージュしてまわり、最後にみんなで大きな一枚 の紙に地面をフロッタージュしました。水野さんの活動では、好 第 4回「きりくちからのぞいて、森の中の美 術館を描こう」 きな形に切り抜いた枠を通して見た景色を写生し、その後板に絵 の具で描きました。10月には新井コー児さんと近藤愛子さんの ワークショップを行いました。新井さんの活動は、コラージュ作 品の制作でした。こどもたちは雑誌の切り抜きや色紙、毛糸や砂 など様々な素材をうまく組み合わせて貼りつけ、コラージュによ る絵画制作を楽しみました。近藤さんは動物をテーマにしたワー クショップを行いました。県立自然史博物館から教材用の剥製 2体 第 5 回「切って、貼って、コラージュあそび」 をお借りし、プラスチック板を使って動物たちの小さな世界を作 りました。最後の回では、展示中のコレクション作品(ホセ・マリ ア・シシリア《赤い花々》 )を真似て、蜜蝋を使った作品を制作しま した。 参加してくれた子どもたちが、アーティストとの交流や様々な 体験によって、美術や美術館に親しむ人に育ってくれることを 第 6回「アニマルワールドを作ろう」 願って、今後も活動を継続していきたいと考えています。 平成 27 年度 こどもミュージアム・スクール 参加者募集のお知らせ 平成 27年度の 「こどもミュージアム・スクール」を下記の要領で募集します。 ■日 程 5 ∼12月の土曜日 (9月をのぞく) 計7 回 ■定 員 20名(応募者多数の場合は抽選) 5月 23日/ 6月 27日/ 7月 25日/ 8月 22日/ ■申込期間 4月7日 [火]∼ 5月10日 [日]必着 10月 24日/ 11月 28日/ 12月 12日 ■会 場 群馬県立近代美術館 ■申込方法 ①住所 ②氏名 (ふりがな)③性別 ④学校名 ⑤学年 ⑥電話番号を記入して、ハガキ、ファッ クスまたは E-mailで、下記までお申込みくだ さい。 ■講 師 外部講師や当館職員 ■申込み・お問い合わせ先 ■参 加 費 2,000円 (材料費、通信費等) 群馬県立近代美術館 ■時 間 午前 10時 ∼午後 4時 ■対 象 小学校 4年生∼中学校 2年生 (7回すべてに参 加できる人) こどもミュージアム・ス クール係 Tel.027-346-5560 Fax.027-346-4064 E-Mail [email protected] 〒 370-1293 高崎市綿貫町 992-1 展示室 4 ●アルバースの版画 4/25 ∼ 5/24 展示室 2 ●日本と西洋の近代美術Ⅰ 4/18 ∼ 6/21 ジョゼフ・アルバース『形成・連接』より《Ⅰ−6[摩天楼]》 ドイツ出身の美術家、ジョゼフ・アルバース (1888∼1976)は、バウ ハウスで色彩と形態の関係について研究を深め、後にバウハウスで教 鞭をとり学生たちを指導しました。今回の展示では1972年に制作され た版画集『形成・連接』から、見るほどに惹かれる色彩構成アートの世 界をご紹介します。 ●素描・水彩の愉しみ 5/26 ∼ 6/21 展示室 5 パブロ・ピカソ 《魚、 瓶、コンポート皿(小さなキッチン)》 印象派のルノワールやモネ、世紀末から20世紀前半 にかけて活躍したムンク、エコール・ド・パリのロー ランサンやパスキン、キュビスムを創始したピカソ などによる西洋近代絵画、そして湯浅一郎や山口 薫、オノサト・トシノブなど群馬ゆかりの作家や明 治・大正・昭和を代表する作家たちによる日本近代 洋画を展示します。 ●福沢一郎−物語を描く 4/25 ∼ 6/21 本県出身の画家、福沢一郎 (1898∼1992)は、生涯にわたり 幅広いテーマで絵画作品を制作 しました。特に戦後は社会風刺 や文明批評を盛り込んだ作風で、 歴史や神話、ときには地獄にも 想を得たテーマを様々な表現技 法によって追求し続け、大作や 連作を発表しました。今回の展 示では、ギリシャ神話やダンテ の「神曲」 などを主題にした物語 性豊かな作品をご紹介します。 ●日本と西洋の近代美術Ⅱ 6/27 ∼ 8/30 福沢一郎《ダンテ暗闇の森へ》 展示室3 ● 現代の美術Ⅰ 4/25 ∼ 6/21 当館所蔵のコレクションから、多彩な表現を生み出した 20世紀 後半以降の美術をご紹介します。 展示室 7(山種記念館) ●戸方庵井上コレクションの人物画 4/18 ∼ 5/24 ●描かれた着物 5/26 ∼ 6/21 6 4日 (土) ボランティアによる茶席 11:00∼ 23日 (木) ファミリータイム 9:30∼12:00 4 月 April June 月 6日 (土) ボランティアによる茶席 11:00∼ 5 月 May 2日 (土) ボランティアによる茶席 11:00∼ 「人間国宝 佐々木苑子」記念対談 14:00∼15:30 10日 (日) サンデー・ギャラリートーク 14:00∼14:40 13日 (水) 「人間国宝 佐々木苑子」 学芸員による作品解説会 14:00∼ 14日 (木) ファミリータイム 9:30∼12:00 16日 (土) こどもアートツアー 14:00∼15:00 23日 (土) こどもミュージアム・スクール 28日 (木) ファミリータイム 9:30∼12:00 「人間国宝 佐々木苑子」 学芸員による作品解説会 14:00∼ 11日 (木) ファミリータイム 9:30∼12:00 14日 (日) サンデー・ギャラリートーク 14:00∼14:40 20日 (土) こどもアートツアー 14:00∼15:00 27日 (土) こどもミュージアム・スクール 群馬青年ビエンナーレ 2015 受賞作品 1月 24日 (土)から 3月 22日 (日)まで開催した 「群馬青年ビエンナーレ 2015」では、38作家による 39点の作品が入選して 展示されました。ここではその中で受賞を果たした作品 8点をご紹介します。 大 賞 (当館買い上げ) 榎本浩子 《話したくないこと 英語の勉強 布団を干す》 ミクストメディア、映像(10 分) 優秀賞 ガトーフェスタ ハラダ賞 (同社買い上げ) 小田原のどか 《↓》ネオン管、ミクストメディア 鈴木のぞみ《still remember》 写真乳剤、外されていた窓 奨励賞 小沢裕子《YOU SAY》 映像(3 分 43 秒) 、印刷物 斉藤邦彦《現像中》 16 ㎜フィルム、ライトボックス、映像(6 分) 朴ジヘ《Family 1》 スチールパイプ、LED 照明、テー プ、木、家電製品、電線など 堀川すなお《T シャツ ,C. 凸 3, Ⅳ》 (部分) クレヨン、油彩、タルク、合成樹脂塗料・ 綿布 光岡幸一《夢をみない夜》 ミクストメディア、映像(1 分 45 秒、2 分 33 秒) 田中龍也 須賀に生まれた岡本健彦は、大学卒業後の 1963年、当時世界の芸 横 術の中心地だったニューヨークに渡り、シェイプト・カンヴァス (変形カンヴァス)による表現を追求して最先端の絵画動向の一翼を 担いました。68年の帰国後は、福島、東京を経て、92年からは群馬 県多野郡吉井町(現・高崎市吉井町)にスタジオ兼住居を構え、以後現 在まで、合板や金属を半立体的に組み合わせるなど絵画表現の新しい 可能性を探り続けています。当館では2011年に、 岡本の学生時代の作 品から最新作までの展開をたどる回顧展を開催しています。 岡本は吉井町に移った頃から、俵屋宗達をはじめとする琳派を研究 し、その作品の色彩、形態、画面構成などあらゆる要素を解体して、 再構成する作品に取り組みました。今回ご紹介する 《燕子花図》は、 有 岡本健彦(1934∼) 《燕子花図》1996 年 油彩、 鉛、 ステンレススチール、 和紙、 天蚕糸、 カンヴァス・合板 168×324 cm 作者寄贈 名な尾形光琳による同名の六曲一双屏風(根津美術館蔵、国宝)を参 照し、その特質を浮かび上がらせる作品となっています。 光琳は燕子花をパターン化して、上下、左右にリズミカルに反復す ることで金地の画面に奥行きと広がりをもたらしました。岡本は燕子 花をさらに単純な幾何学形にまで還元して表現方法を様々に変えな がら反復していきます。そして画面に貼り付けた鏡面状のステンレス 板、あるいは光を吸収する鉛板によって空間の奥行きを、画面を横 切って水平に張られたテグスによって空間の広がりを表しています。 優れた古典美術は、それぞれの時代、それぞれの見方で新たな脚光 を浴び、再評価されるものです。岡本は、日本美術の一つの到達点と して琳派に着目し、そこから造形理論を導き出して絵画の概念を再考 し、現代における新たな造形言語を作り出したのです。 ART OF LIFE アート・オブ・ライフ─ 生きることの美学 2 0 15 年 7 月 1 1 日[土 ]− 8 月 3 0 日[日] 会 場 : 展示室 1 休館日 : 月曜日(7 月 20 日、8 月 10 日は開館) 、7 月 21 日 (火) 観覧料 : 一般 510(400)円、大高生 250(200)円 *( )内は 20 名以上の団体割引料金 *中学生以下、障害者手帳等をお持ちの方とその介護者 1 名は無料 1 2 術をあらわす 「アート」という言葉は元来、 「技」を意 美 味するものでした。本展覧会タイトル「アート・オブ・ ライフ」は 「人生の技法」 、豊かに生きるための方法のこ とを意図しています。本展覧会は、当館と県立館林美術 館の収蔵品を中心としながら、作品を美術の歴史や技法 に沿って展観するのではなく、広く人生や生活という視 点から紹介するものです。19世紀近代生活の豊かさを美 術に結晶させた印象派の作品から、生活観が多様化した 3 1.ピエール=オーギュスト・ルノワール《読書するふたり》1887年、当館蔵 2.J.J.グランヴィル『生きている花々』第1巻表紙、1847年、群馬県立館林美術館蔵 3.伊庭靖子《Untitled》1998年、群馬県立館林美術館蔵 現代の美術まで、時代やジャンルを超えた作品のなかに、 人生を、日常を、細やかに生きるための秘訣を探ります。
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