国際空港、その夢と課題 特別顧問 黒野匡彦 2011 年 5 月 16 日 (社)日本観光振興協会寄附講座 「ツーリズム論」 Narita International Airport Corporation All Rights Reserved. 1 空港機能の提供主体 空 港 機 能 成 田 羽 田 空港の建設・運営 国 旅客ターミナルビルの建設・運営 旅客ターミナル ビル会社 (民間) 貨物ターミナルビルの建設・管理 貨物ターミナル ビル会社 (民間) 給油施設の建設・運営 給油会社 (民間) 航空管制 国 CIQ機能 国 カウンターサービス ハイジャック保安検査 航空会社 1 成田空港を三田に重ねると・・・ 成田国際空港施設レイアウト 2 3 2 わが国における成田空港の国際線シェア 4 (2009年度) 那覇空港 1.7% 新千歳空港 福岡空港 1.7% 1.7% 福岡空港 その他 4.2% 4.7% 羽田空港 中部空港 4.2% 那覇空港 1.8% 新千歳空港 広島空港 1.7% 1.0% その他 1.2% その他 羽田空港 5.3% 3.8% 5.5% 福岡空港 4.7% 関西空港 中部空港 8.3% 成田空港 56.5% 21.2% 中部空港 成田空港 成田空港 9.2% 51.2% 69.8% 関西空港 関西空港 19.0% 22.0% 航空旅客数 49,773,042人 (前年度比 1.7%減) 航空貨物量 2,810,865トン (前年度比 2.4%増) 航空機着陸回数 167,857回 (前年度比 4.7%減) 出典:国土交通省資料 世界の空港 ・ 国際線ランキング (2009年) 旅客数 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 都市名 ロンドン パリ 香港 フランクフルト アムステルダム ドバイ シンガポール 成田 マドリッド バンコク 空港名 ヒースロー シャルル・ド・ゴール 香港国際 フランクフルト スキポール ドバイ国際 チャンギ 成田国際 マドリッド・バラハス スワンナプーム 旅客数(人) 60,651,349 53,032,487 44,979,094 44,520,661 43,520,650 40,104,149 36,088,996 30,894,531 29,066,144 28,834,623 前年比 -1.1% -5.0% -4.6% -4.7% -8.1% 9.6% -0.6% -4.4% -2.4% -4.2% 貨物量 順位 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 都市名 香港 ソウル ドバイ 成田 パリ 上海 フランクフルト シンガポール 台北 マイアミ 空港名 香港国際 仁川国際 ドバイ国際 成田国際 シャルル・ド・ゴール 浦東国際 フランクフルト チャンギ 台湾桃園国際 マイアミ国際 取扱量(トン) 3,349,693 2,267,551 1,846,249 1,810,448 1,785,372 1,777,976 1,757,526 1,633,794 1,345,333 1,332,198 前年比 -7.7% -5.0% 6.1% -12.1% -11.2% -7.2% -10.5% -12.0% -9.1% -13.7% 5 ※ ACI 統計より 3 6 成田空港における放射線測定値 0.16 0.15 0.14 測 0.13 定 値 0.12 0.11 ( μ S 0.10 v / 0.09 h 0.08 ) 0.07 0.01 0.06 0 0.05 3/30 4/4 4/9 4/14 4/19 4/24 4/29 5/4 7 震災前後における出発旅客数の変化 (人) 45,000 40,000 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 期間中の旅客数 前年比 66.7% 10,000 5,000 2010年 2011年 0 3/1 3/6 3/11 3/16 3/21 3/26 3/31 4/5 4/10 4/15 4/20 4 8 首都圏空港の容量拡大 (年間発着枠) (万回) 80 74.7 4.0 70 59.1 60 4.0 52.3 40.7 50 羽田 40 30 成田 10 26.0 3.0 3.0 20.0 20 36.0 3.0 6.0 33.1 30.3 27.0 ※ 30.0 22.0 0 20.0 22.0 うち国際線 20.0 うち国際線 平成22年3月 平成22年10月 うち国際線 最終形 羽田: 最短で平成25年度中 成田: 最短で平成26年度中 羽田空港(昼間) 成田空港 羽田空港(深夜早朝) ※ 暫定値である 9 首都圏空港の容量拡大スケジュール (年間発着枠) 年 度 成 田 羽 田 2009 3月 +2万回 (22万回) 10月 2010 2011 年度内 +3万回 (25万回) 2012 年度内 +2万回 (27万回) 最速で2014年度までに 30万回対応の施設整備が可能 2013 2014 年度内 +3万回 国際線 +3万回 (アジア近距離ビジネス路線) 国際線 +3万回 (早朝深夜) 年度内 国内線 +2万回 年度内 国際線 +3万回 国内線 +3万回 ※ 新しい運用方式の 慣熟が前提条件 30万回 5 10 成田: 27万回に向けた施設整備計画 投資額 約350億円 ・ 22万回から27万回に向けた整備費用は、約350億円 約70億円 ・ 発着回数1万回当たり 発着回数1万回当たり約70億円(350億/5万回) への字誘導路の改良 2011年3月供用予定 2011年3月10日供用 横堀地区エプロンの新設 2013年3月供用予定 B滑走路西側誘導路の新設 横堀地区誘導路の新設 2013年3月供用予定 2013年3月供用予定 11 成田: 年間発着枠の推移 (万回) 35 発着枠 発着実績 30 万回 30 27 万回 25 万回 25 22 万回 20 万回 20 19.1 17.6 15 13.5 万回 12.9 13 万回 10 5 0 開港 1 9 7 9 1 9 8 0 1 9 8 1 1 9 8 2 1 9 8 3 1 9 8 4 1 9 8 5 1 9 8 6 1 9 8 7 1 9 8 8 1 9 8 9 1 9 9 0 1 9 9 1 1 9 9 2 1 9 9 3 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2002年4月 暫定平行滑走路供用 2 0 0 6 2 0 0 7 2 0 0 8 2 0 0 9 2 0 1 0 2 0 1 1 2 0 1 2 2 0 1 3 2 0 1 4 2 0 1 5 2 0 1 6 (年度) 1 9 7 8 2009年10月 平行滑走路北伸 6 12 羽田の国際化 【総枠予定】 2010年10月 国際線3万回 (アジア近距離ビジネス路線) 早朝深夜3万回 2011年度中 国内2万回 2013年度中 6万回(国際3万、国内3万) 新管制塔 (新しい運用方式の慣熟が前提条件) C滑走路延伸 D滑走路新設 国際線 エプロン 埋立部 国際線 旅客ターミナルビル 国際線 貨物ターミナル D滑走路2,500m 接続部 桟橋部 13 国際空港の競争力 成田 仁川 羽田 ×× → ○ ◎ ×× × ○ ×× ◎ ◎ ◎ × → △ △ ◎ ◎ ○ ×× ◎ ○ ◎ (?) ◎ (?) <空港自体の事由> ◎ 空港の容量 ○ 空港利用コスト ○ 空港の地理的条件 - 世界の航空ネットワーク上の位置 - 国内拠点都市からのアクセス ◎ 国際路線の集中度 <空港以外の事由> ◎ 背後地の総合的な経済力・文化力 ◎ その空港を拠点とするエアラインの企業力 7 14 アジアと欧米間の大圏コース 至: ニューヨーク ロンドン 仁川 ニューヨーク 成田 上海・浦東 ニューヨーク ロンドン 香港 成田 10,860 km 9,580 km 仁川 11,070 km 8,880 km 上海 11,880 km 9,220 km 香港 12,970 km 9,640 km シンガポール 15,350 km 10,870 km チャンギ (出典) chireki.comホームページより、NAAで作成 15 アジア主要空港の特性 (※グラフの格子部分はアジア路線を示す) 仁川・出発 1,828便/週 3% 3% 上海浦東・出発 2,910便/週 9% 2% 19% 8% 5% 61% 6% 10% 成田・出発 1,572便/週 7% 8% 14% 4% 2% 1% 1% 22% 28% 仁川 15% 8% 9% 上海浦東 2% アジア路線 計78% 9% 香港・出発 2,538便/週 1% 7% 2% 5% 4% 5% 18% 6% 16% 日本 韓国 中国本土 台湾・香港 その他アジア 欧州 北米 中東 オセアニア その他 国内 アジア路線 計31% チャンギ・出発 2,507便/週 0%4% 2% 9% 2% 8% 0% 6% 8% 10% 成田 アジア路線 計48% 29% 27% 61% 14% 香港 アジア路線 計81% チャンギ アジア路線 計83% 出典:Sabre社ADI(Airport Data Intelligence)の2011年1月17日~23日のデータを基にNAA作成 8 16 北米、欧州便の比較(出発便数/週) 成田空港は、アジア-北米を結ぶ東アジアの重要な国際拠点空港 293 成田 153 156 仁川 106 69 上海浦東 106 118 香港 152 14 チャンギ 北米 欧州 147 0 50 100 150 200 250 300 350 (便) 出典:Sabre社ADI(Airport Data Intelligence)の2011年1月17日~23日のデータを基にNAA作成 17 アジア・太平洋地域の国際旅客 (百万人) 1998年 2008年 0 50 150 52 域内路線 52 118 (227) ヨーロッパ路線 22 41 (186) 22 北米路線 18 27 (150) 18 27 中近東路線 8 25 (313) 100 211 (211) 計 100 118 200 250 1998年 2008年 41 8 25 100 211 ※ ( )内は1998年比較 ※ 国交省資料より作成 9 2010年プロジェクト後の成田・羽田の空港容量 18 (年間発着枠) 国 際 国 2万回 2万回 (2012年度) 成 内 田 20万回 (30万回) 3万回 3万回 (2014年度) (2011年度) 早朝深夜枠 3万回 羽 3万回 (2013年度) 田 30万回 (44万回) 3万回 2万回 3万回 (2011年度) (2013年度) 【参考】 仁 川 (2009年度実績) 15.8万回 3.5万回 0.5万回 (日本路線) (出典)仁川空港ホームページより Airport Data Intelligence/Sabreの1/11-1/17のスケジュールデータより日本路線のシェアを算出により作成 19 羽田の位置 品川埠頭 大井埠頭 青海埠頭 B滑走路 A滑走路 C滑走路 東京西航路 D滑走路 10 20 国際航空マーケットの行方 空港容量の拡大 オープンスカイ政策の進展 競争の激化 日本的ビジネスモデルからの脱皮 仮説 1 仮説 2 脱皮に成功 脱皮に失敗 コスト競争力の向上 コスト競争力の低下 発展 衰退 世界レベルのメガキャリアへ 国内ビジネスへの特化 厳しい国際競争の勃発 政策的延命(?) 21 「日本の空は非連続な変化を起こした。再建中 の日本航空にも、ライバルの全日本空輸にも大 きなチャンスが与えられる。ただこの変化は一 方で、かつて経験したことのない海外航空会社 との厳しい国際競争の勃発が、目の前に迫って いることを意味している。」 「巨象の漂流」(小野展克 著)より 11 22 オープンスカイ政策の動向 1.シカゴ条約 2.オープンスカイ z 1945年 発効 z 領空主権の原則 189ヶ国が批准 z 二国間の協定で、「企業数」、「輸送力」、 「路線」等についての制限を撤廃すること。 → 二国間協定で相互に就航を認める z 協定内容 「航空企業」、「 国籍要件」、「輸送力」、 「路線」、「運賃」 3.オープンスカイ合意状況 首都圏空港 以外 首都圏空港 韓国 国 2007 年 08 月 2010 年 12 月 タイ 2007 年 11 月 香港 2008 年 01 月 マカオ 2008 年 01 月 ベトナム 2008 年 05 月 マレーシア 2008 年 07 月 2011 年 02 月 シンガポール 2008 年 09 月 2011 年 01 月 カナダ 2009 年 04 月 スリランカ 2010 年 03 月 米国 2010 年010 月 23 わが国へのLCCの就航状況 国・地域 航空会社 日本就航路線 備考 チェジュ航空 中部 = 金浦 関西 = 仁川 関西 = 金浦 北九州 = 仁川 エアプサン 関西 = 釜山 福岡 = 釜山 アシアナ航空 46%出資 イースター航空 新千歳 = 仁川 4/27 就航予定 (同社HPより) シンガポール ジェットスター・アジア 航空 関西 = 台北 = シンガポール カンタスグループ 49%出資 マレーシア エアアジアX 羽田 = クアラルンプール フィリピン セブ・パシフィック航空 関西 = マニラ 韓国 オーストラリア ジェットスター航空 成田 = ゴールドコースト 成田 = ケアンズ 関西 = ゴールドコースト 関西 = ケアンズ = シドニー 中国 茨城 = 上海 春秋航空 カンタスグループ 100%出資 ※ 国交省資料より作成 12 24 羽田とNYの国内線比較 10,000 羽田=新千歳 980万人/50便 @270人 年間輸送人員(千人) 羽田=福岡 8,000 800万人/45便 @243人 羽田=伊丹 6,000 羽田=那覇 240万人/47便 @70人 350km 50人乗り以下の機材 23% 4,000 NY=ワシントン 羽田=鹿児島 2,000 羽田=広島 羽田=小松 NY=ボストン 羽田=熊本 300万人/78便 @53人 370km 50人乗り以下の機材 47% 200万人/17便 @161人 0 0 20 40 60 80 100 1日当たりの便数 【羽田便】2006年度の実績値 【NY便】公表値をもとに推計 25 成田: 国内線ネットワーク 8都市(9空港) 都市 / 空港 203便/週 札幌 JAL 3 便 (10:25/14:40/18:40) ANA 2 便 (10:20/18:55) 仙台 ANA 1 便 (17:40) IBEX 1 便 (10:30) 小松 IBEX 2 便 (10:05/17:55) 札幌 名古屋 中部 JAL 3 便 (09:45/15:50/18:25) ANA 3 便 (10:00/16:55/18:05) 伊丹 JAL 2 便 (16:50/18:30) ANA 2 便 (16:45/17:55) 関空 JAL1便 (17:45) 仙台 大阪 小松 伊丹 中部 広島 福岡 成田空港 関空 便数 (出発時刻) 広島 IBEX 2 便 (16:30/17:40) 福岡 JAL 3 便 (09:35/15:25/19:50) ANA 2 便 (10:25/18:10) 那覇 JAL 1 便 (19:25) ANA 1 便 (17:55) 那覇 13
© Copyright 2024 Paperzz