No.1116 2011年7月12日 プレクストロニクス社と有機EL照明用導電性高分子の販売契約を締結 有機EL照明における低電圧での発光や長寿命化、輝度向上に貢献する材料 三洋化成工業株式会社 (証券コード 4471) 三洋化成工業株式会社(本社:京都市東山区、社長:安藤孝夫)は、米国で有機ELや有機薄膜太陽電池向 けの材料技術などを手がけるプレクストロニクス社(本社:ピッツバーグ、CEO:Andrew W. Hannah)の導 電性高分子を、有機EL照明用に日本国内で独占販売する契約を締結しましたので、報告申しあげます。 有機EL照明は、面全体で発光するため、やわらかい光で広範囲を照らすことができ、プラスチック基板で はフレキシブルに曲げられることから照明デザインの幅が広がります。ただし、コストや寿命、輝度の面で更 なる向上が求められています。 今回締結した契約は、当社が日本の有機EL照明の製造メーカーや開発メーカーに向けて、導電性高分子『P 『Plexcore® OC』シリーズ lexcore® OC』シリーズを販売することに関するものです。 は、有機EL照明の正孔注入層および正孔輸送層の材料です。塗布型で成膜するため、蒸着型に比べて製造コ ストが削減できます。水系と溶剤系の2種類があり、各種塗布方式に適合します。表1の特長によって、有機 EL照明における低電圧での発光や長寿命化、輝度向上を実現します。特に、腐食性や吸湿性が低いことから、 有機EL照明の寿命を延ばすことができます。 プレクストロニクス社は、数社のビジネスパートナーとともに『Plexcore® OC』シリーズを使 った有機ELを開発しています。低電圧での発光の一例として、大手化学メーカーである欧州 Solvay 社は、同 製品を使って開発した有機EL素子が、駆動電圧3V、電圧安定性0.5V以内を実現したと2009年12 月に発表しました。 また、有機EL照明の長寿命化、輝度向上の一例としては、有機EL技術開発の有力メーカーである米国U DC(Universal Display Corporation)社が『Plexcore® OC』シリーズ製品を使って開発した有 機EL素子では、R(赤) 、G(緑) 、B(青)の輝度1,000cd(カンデラ)/㎡における輝度半減寿命 および発光効率は以下のとおりであり、すべてでトップクラスの性能を実現したと、最近報告しました。 R:12.6万時間、18cd(カンデラ)/A、 G:17.6万時間、68cd(カンデラ)/A、 B:8,000時間、29cd(カンデラ)/A (データ出典: 「International Display Manufacturing Conference 2011」におけるUDC社の発表論文) 有機EL照明は発光ダイオード(LED)照明と並んで、省エネ性能の高い次世代照明として市場の拡大が 見込まれています。この有望な分野で、当社はプレクストロニクス社と協力し、事業拡大をめざしています。 【製品の概要】 『Plexcore® OC』シリーズは、下記の特長によって、有機EL照明の長寿命化や輝度向上に貢 献します。 <表1> 製品名 主な特長 『Plexcore® OC』シリーズ (水系と溶剤系の2種類がある) ・腐食性が低い ・吸湿性が低い ・正孔輸送性が高い ・塗布型の各種方式に適用できる ・透明性が高い 【プレクストロニクス社について】 プレクストロニクス社は2002年、カーネギーメロン大学からポリチオフェン系導電性高分子技術のライ センスを受け、数社からの出資をもとに設立されました。製造コスト削減および性能向上をコンセプトに開発 した導電性高分子を使った導電性インキを、有機EL照明や有機薄膜太陽電池向けに製造販売しています。登 録および出願中の特許件数は195件以上です。 以上 <本件に関するお問い合わせ先> 三洋化成工業株式会社 広報部 電話 075-541-4312
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