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離婚等請求事件において、夫婦共有財産であるマンションの夫持分につき清
算的財産分与として夫に取得させた上で、扶養的財産分与として妻に対し賃
貸することを命じた高裁判決。
夫である原告が、民法770条1項5号に基づき離婚を求めるとともに、
財産分与として原告と被告が共有しているマンションの被告持分について
移転登記手続を求めるなどした訴訟の判決が、名古屋高裁(岡光民雄裁判長)
であった(平成21年5月28日)。
本判決は、原告と被告の婚姻関係は破綻していると認定した上で、財産分
与について、
「マンションにつき、わざわざ妻の持分が共有登記されたのは、
前払代金・諸経費のほとんどを妻名義の財産によってまかなったことによ
る」ものであるから、本件マンションの被告持分はその特有財産に当たり、
残余の原告持分が、財産分与の対象となる財産であると判断した(ただし、
残余の原告持分については、清算的財産分与により原告が取得した。)。
そして、本件別居が原告による悪意の遺棄に該当すること、遠い将来にお
ける原告の退職金等を分与対象に加えることが現実的でないこと、一部が被
告の特有財産であるマンションが存在すること等を考慮し、「本件婚姻関係
の破綻につき責められるべき点が認められない妻には、扶養的財産分与とし
て、離婚後も一定期間の居住を認めて、その法的地位の安定を図るのが相当
である」と判断し、本件マンションについて、原告から被告に対する原告持
分の賃貸を命じた(賃料月額4万6148円、賃貸期間は長女が高校を卒業
する平成27年3月まで)。
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