介護記録基準

介護記録基準
Ⅰ 総論
1、介護記録とは
2、介護記録の目的
3、介護記録で行うべきこと、行ってはいけないこと、 注意深く行うこと
Ⅱ 介護記録の書き方
1、フェイスシート
2、アセスメント
3、ケアプラン
4、介護経過記録
5、記録の表現方法
6、看護(介護)情報提供書
7、介護用語略語集
8、フォーカスチャーテング
Ⅲ 介護記録評価表
Ⅳ 看護・介護記録様式等
1
介護記録基準
Ⅰ 総論
1.介護記録とは
介護サービスの一連の過程を記述したものである。
また、多数の介護者及び医療専門職等が要介護者に関わる情報を共有し、協力して効率よく質
の高い介護を行うための、定型化された記録をいう。
介護記録には介護日誌、フェイスシート、アセスメント表、介護経過記録などがある。
2.介護記録の目的
介護記録は、自分が提供したケアの証明となり、また科学的な根拠を示すものである。
介護記録には以下のような目的がある。
1)事実を残す。
2)「利用者の生活の証」と「提供者の支援の証」を残す。
3)利用者の状態や心理面、生活環境を把握する。
4)職員間の情報の共有とケアの継続性や統一性を確保する。
5)ケアプランの立案・見直し・評価の貴重な資料となる。
6)日々の業務を振り返り、より質の高いケアを目指す。
7)リスクマネジメントに繋がる。
8)適切に業務を果たしている事を残す証拠(法的証拠)となる。
3.介護記録で行うべきこと、行ってはいけないこと
〈行うべきこと〉
1)ケアを行う前と行ったケアを記録する前に、他のケア提供者が何を書いているのかを
良く読む。
2)計画に基づいてケアがなされているかどうかをふまえて記録を書く。
3)ケアを行った後は、できるだけ早い時点で記録するようにする。
4)利用者の行動や言葉を直接引用し、利用者に何が起こったか、どのようなケアを誰が
いつ実施したのか、また、その反応等の事実を正しく記録する。
5)見やすいように書く。決められた記録の様式で記入する。
6)原則として記録に日付と時刻を記入する。
(インシデントや事故等、利用者に異常が生じた場合の時刻は 必ず記入)
7)記載者は定められた形式で署名を行う。
2
8)署名する場合は、漢字で記載する。同姓同名の場合は、名前の一字までを記載する。
例)山田太
9)訂正するときは、2本線で引き、訂正者の訂正印を押印。修正液は使わない。
10)どのページも記入されているか、両面使用紙なら両面共に記入されているかを確認す
る。ページ数を記載すると抜け落ちたページが発見しやすい。
〈行ってはいけないこと〉
1)前もって、これから行うケアを書いてはいけない。
2)自分が実際に対応していない利用者の記録をしない。
3)意味のない語句や利用者のケア及び観察に関係のない主観的な表現をしない。
4)利用者への先入観や偏見による内容を記録してはならない。
5)「~と思われる」、「~のように見える」と言ったあいまいな表現はしない。
6)イニシャルや簡略化した署名はしない。
7)記録の途中で行を空けない。改ざんの可能性があると判断される。
〈注意深く行うこと〉
1)利用者の態度や性格などについての記述をするとき。
2)病状や診断、治療など、医師及び看護師の領域に踏み込んだ書き方をするとき
3)その他、利用者との信頼関係を損なうおそれのある事項を記載するとき。
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Ⅱ 介護記録の書き方
1.フェイスシート
1)定義:フェイスシートとは利用者を知るための最初の情報である。
利用者及び、家族の状態が一目で分かるようになっており、利用者の全体像を読み
取ることができる。サービス開始前に必要な基本的情報である。
2)目的:サービス提供にあたり、利用者の生活状況を把握し、得た情報をケアへ活かし、チ
ームスタッフで正しい情報を共有することを目的とする。
3)方法:情報収集=利用者本人、家族や親戚、家族以外の関わりの深い方からの聞き取り、
または他施設、他病院等からの「看護(介護)情報提供書」などから得た情報を記
入する。
利用者が、日々の生活の中でできることや支援が必要なことなどを様々な角度(下
表参照)から情報収集し、ありのままを記入する。
※家族以外の関わりの深い方:近隣住民、民生委員、福祉員、自治会長等
(1)基本情報
①利用者の基本情報= 氏名・性別・生年月日・住所・電話番号等の連絡先・ 利用者以
外の家族等の基本情報について記載する
②意向=本人や家族の思い・希望等
③健康状態=既往歴・主傷病・病状・痛み・褥瘡等
④ADL=寝返り・起き上がり・移乗・歩行・更衣・入浴・排泄・食事・口腔衛生等
⑤IADL=調理・掃除・買物・金銭管理・服薬状況等
⑥認知=日常の意思決定を行う為の認知能力の程度、問題行動等
⑦コミュニケーション能力= 意思の伝達・視力・聴力等のコミュニケーション
※共通の判断基準として「障害老人の日常生活自立度」、「認知症である老人の日常生活
自立度」、「障害程度区分」等を用いる場合もある。
(2)生活状況
①生活状況=利用者の現在の生活状況、生活歴等
②社会との関わり=社会活動への参加意欲・関わりの変化・喪失感や孤独感等
③介護力=介護者の有無・介護意思・介護負担・主な介護者に関する情報
④ 居住環境=現在の居住環境・住宅改修の必要性・危険箇所 等
(3)その他
①利用者の被保険者情報= 介護保険、医療保険、生活保護、身体障害者手帳の有無等
②現在利用のサービス状況 =主治医、担当ケアマネージャー、事業所名等
③特別な状況=虐待、ターミナルケア等
※参考:「課題分析標準項目」の中の基本情報に関する項目、課題分析(アセスメン
4
ト)に関する項目(厚生労働省)これらを独自に分類し、まとめたもの。
※1)-②意向は介護記録基準Ⅲ-1①表同様(“望む生活”への手がかりを探る為
に必要な項目として追加。)
4)留意点
①個人の情報となる部分が多いので、管理、取り扱いには細心の注意を払う。
②聞き取りを行う際、利用者、家族の同意を得た上で情報収集する。
③内容の変更や、追加、確認した項目も、随時書き加え、常に最新の情報に更新する。
④個人名、読み方が難しい箇所も、ふりがなをつけておく。
⑤利用者、家族が話を避ける場合は、無理に聞き出そうとせず、必要な情報(連絡先等)に留
めておく。
信頼関係を築いていきながら、可能であれば、情報を得て追加していく。
⑥利用者の生活全般の情報を多角的、客観的にとらえる。
⑦意向に関しては、利用者、家族それぞれに介護に対する思いが、同じでない場合もあるため、
中立的立場でとらえる。
⑧必要に応じて利用者及び家族以外の関係者からも情報を入手する。
2.アセスメント
1)定義:アセスメントとは、利用者を理解する為に、日常生活の中で『いつ・どこで・誰が・
何を・どのように』困り、援助を必要としているのか、介護の視点から情報を収集し、
それを解釈し、“利用者の望む暮らし”の実現へ向け、分析する事である。
2)目的:利用者の生活全般について状態を十分に把握するために、本人の正確な情報を収集・
分析し、 課題を明確にする。
3)方法 :
(1)情報収集=利用者の身体状況だけでなく、利用者が抱えている心理状態のほか、利用者
を取り巻く環境的な側面、利用者が何を求めているかなど、様々な角度(下記
参照)から情報を収集する。
①健康状態 既往歴・主傷病・症状・痛み等
②ADL 寝返り・起き上がり・移乗・歩行・更衣・入浴・排泄
③IADL 調理・掃除・買物・金銭管理・服薬状況等
④認知 日常の意思決定を行う為の認知能力の程度
⑤コミュニケーション能力 意思の伝達・視力・聴力等のコミュニケーション
⑥社会との関わり 社会的活動への参加意欲・社会との関わりの変化・喪失感や孤独感等
⑦排尿・排便 失禁の状況・排泄後の後始末・コントロール方法・頻度等
⑧褥瘡・皮膚の問題 褥瘡の程度・皮膚の清潔状況等に関する項目
⑨口腔衛生 歯・口腔内の状態や、口腔衛生に関する項目
⑩食事摂取 栄養・食事回数・水分量等
⑪問題行動 暴言暴行・徘徊・介護の抵抗・収集癖・火の不始末・不潔行為・異食行動等
⑫介護力 介護者の有無・介護者の介護意思・介護負担・主な介護者に関する情報
⑬居住環境 現在の居住環境について、住宅改修の必要性・危険箇所等
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⑭意向 本人や家族の思い・希望等
※参考:厚生労働省課題分析標準項目(厚生労働省ホームページより)
※14(意向)を追加:“望む生活”への手がかりを探る為に必要な項目
(2)必要な介護や生活課題の抽出
(3)解決要因を分析し、生活目標を導き出す
4)留意点
①利用者のライフスタイルや価値観を考慮し、どのような生き方を望んでいるのか、利用者本
位の視点に立って考える。
②他職種からも情報収集する。
③生活状況が変化した場合は、その際に生じた課題(ニーズ)も合わせて抽出する。
3.ケアプラン
1)定義:ケアプランとは、個々のニーズに合わせた課題を明確にし、本人の望む生活実現に向け
た生活支援計画の全体像を示すものである。
2)目的:個々の状況を判断し、それを改善、維持し、危険の予測、予防の為の方向や方法を明ら
かにし、 ケアスタッフが情報を共有する。
3)方法:
(1)ケアプランの立案
アセスメントに基づいて介護目標と介護方法を考える。
ニーズ:利用者や家族の意向を挙げる。
介護目標:具体的かつ達成可能で、利用者や家族の意向に沿ったものを設定。
①長期目標・・・本人が将来的にどうありたいか、何を目指すのか具体的にわかりや
すく記載。
②短期目標・・・長期目標の達成に向けて、段階的に今、何をすべきかを表す。
介護方法:目標に対し、どのケアスタッフがサービスを提供しても、一定のサービスを維
持して利用者の生活援助ができ、しかも利用者の望む生活の継続に繋がるよう
な具体的な内容でなくてはならない。
(2)ケアプランの実施
立案したケアプランの内容を利用者、家族へ説明し、同意を得た後、実施する。
(3)ケアプランの評価
①援助した結果に対して、利用者や家族の望む生活が継続できているか、利用者や家族の
望む目標に近づいているかを検証する。
②在宅介護に移行時は、家族の介護負担軽減に繋がっているかどうかも検証する。
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4)留意点
①利用者本位のサービス提供を心掛ける。
②個々の状態に応じた自立支援を行う。
③目標志向的なプランを立案するように心掛ける。
④目標達成時や身体状況等に変化が生じた場合は、その都度評価し、計画の立て直しを行う。
4.介護経過記録
1)定義:経過記録とは、「行動・分析・考察」を重ねていくために有効的な手段であり、利用者の
日々の生活状態や介護サービス提供状況を記録することである。
2)目的:利用者の身体状態や心理面、生活環境を把握し、利用者がサービスを利用している間の
生活の証として記録に残す。
また、ケアスタッフの情報の共有やケアの統一・振り返りや見直しをして、支援の証と
して記録に残す。
3)方法・留意点
①事実をありのままに記入する。(ヒヤッとしたことなども含む)
②主観的な記入はせず、客観的に記入する。
③利用者の身体面、精神面、周囲の状況などの環境面をしっかり観察して正確に記入する。
④「見守り」も記録として記入する。
⑤介護者としてどのような働きかけをし、利用者がどのような反応をしたか、その結果どう
なったかを記入する。
⑥観察し、ケアの中で感じたリスクやケアの注意点、また考えられる対応方法などが、その
利用者に関わる全スタッフに継続されるように記入する。
⑦ケアの目標や次のサービスに役立てることを意識して記入する。
⑧5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)で記入する。
⑨重さ、長さ、大きさ、量、時間などは出来る限り数値を用いて記入する。
⑩記録をためず、記憶が新しい時に記入する。
⑪「特になし」「特変なし」は使わない。(専門的な視点で記入する)
⑫ボールペンや万年筆など消えないインクで記入する。
⑬読める字で記入する。
5.記録の表現方法
1)本人:本人
2)家族:具体的に記録(例:長男、次男、長女、長男の妻など)
3)他者:イニシャルでの記録を基本とする。ただし、後に対人関係での細かい情報が必要と判断
される場合には実名を使用する。
4)文章の語尾:~である。調で記載。(場合によっては丁寧語でなくてよい)
5)本人の言葉:「 」でそのままの言葉を記載。 その言葉を引用したアセスメント、記録を残し
た理由を付け加える。
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6)その他 :
(1)インシデント、事故に関しては、憶測な記録はせず見たままの状況を記載する。
例)訪室すると、体の右側を下にして、ベットサイドに横になっている
(2)客観的な文章を使い、情緒的な文章は使わない。
例)悲しそうに泣いている。→顔をゆがめて泣いている。
(3)普段と違う表情や行動があるときは記録に残す。
6.看護(介護)情報提供書
1)定義:看護(介護)情報提供書は、利用者の現在の精神・身体の情報を要約した物である。
2)目的:看護(介護)情報提供書を使用することにより、施設間や病院との情報交換がスムーズ
に行え、 利用者の看護及び介護が安全かつ円滑に継続したサービスが提供できる。
3)方法 施設での現在の生活状況(ADL・病気・本人の要望等)を各施設の様式に記入する。
4)留意点
(1)第三者が読んで理解出来るよう、要点を絞って情報を正確に記入する。
(2)他職種からの情報も記入する。
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7.介護用語略集
略語
微熱
発熱
高熱
主
副
陰洗
体変
レク
リハ
リハパン
AM
BB
BS
BP
CW
Dr
Fa
H
MC
NC
Ns
OT
意味
37.0°C~
37.5°C~
38.0°C 以上
主食
副食
陰部洗浄
体位変換
英語 ドイツ語
ラテン語
備考
レクリエーション
リハビリテーション
リハビリパンツ
午前
全身清拭
ブリストルスケール
血圧
介護スタッフ
医師
家族
時間
口腔清拭
ナースコール
看護師
作業療法士
ante meridiem
Bed bath
Bristol stool scale
Blood pressure
Care Worker
Doctor
family
hour
mouth care
nurse call
nurse
便の性状分類
関係が判る様に記入
occupational therapy
therapist
P
PB
PM
PT
P トイレ
SpO2
SS
T
Ur
VS
Wt
脈拍
部分清拭
午後
理学療法士
post meridiem
動脈血酸素飽和度
physical therapy
portable toilet
Saturation Pulse
ショートスティ
shortstay
体温
尿
temperature
urine
バイタルサイン
vital signs
体重
weight
ポータブルトイレ
※1
pulse
point bath
O2 は酸素のこと
短期入所
生命徴候
【特記】・なるべく略語は使用しない。どうしても使用するときは介護記録用語集内の用語とする。
・英文標記時は、正しいスペルで標記する。
※1 SaO2という事もあるがaはarterial(動脈)という意味
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8.フォーカスチャーティング
フォーカスチャーティング
1981 年、米国ミネアポリスにあるエーテル病院の前記録委員長スーザン・ランピーらによっ
て開発された看護の記録方式。実施した看護の内容を、4項目を使って系統的に記録する。
フォーカス チャーティングは叙述的な経過記録の一方法。
患者に起こった介入が必要な出来事(Concerns:コンサーンス)に焦点(Focus)をあて、そ
の時の患者の状態/情報(Data)、それに対する介入/行為(Action)、その結果/反応
(Response)を系統的に記載する経過記録。POS は問題に焦点をあてるのに対しフォーカスチ
ャーティングは出来事に焦点をあてるところに違いがあり、これらは上手く使い分けること
によって非常に効率的な記録となる。
(1)フォーカス チャーティングの4つの基本要素
①F(Focus)
明らかにされた患者の Concerns をフォーカスとよぶ。
フォーカスとは情報から明らかにされた患者の関心や注目すべき行
動、気がかりなこと、問題、心配、重要な出来事、患者に起こったあ
るいは起こり得る状態の結論である。情報の検索やコミュニケーショ
ンを円滑にするために、本文とは独立したフォーカス欄を設け記載す
る。見出しの目的でもある
このフォーカス欄をみれば、患者の経過が一目瞭然とわかる。
②D(Data)
フォーカスを支持する、あるいは証明する主観的および客観的情報
や、出来事が起こった時の「情報」を記載する。ケア、介入が必要な状
況を詳しく記載することになる。
③A(Action)
状況に対して、医療従事者が実際に行った医療や看護介入のための計
画や行為、治療、処置など「行為」を記載する。
④R(Response)
行為/介入に対する患者の結果/反応を記述する。
看護したことや、治療の結果、患者がどうなったのか「反応」を書く。
参考文献
スーザン・ランピー ,岩井郁子監訳:フォーカス チャーティング
-患者中心の看護記録
医学書院、1997、14-19
10
例1
12/27
20:00
③F:Pトイレ 移動
例2
5/ 6
10:00
① F: 微熱
16:00
① F: 解熱
D:「済みません、誰かー」Pトイレの前で 立ったまま
まま険しい表情をしている。
A:Pトレイのフタを開け排尿誘導し、落ち着く
よう 促す。
R:表情穏やかになる。
D:T37.2℃ 体感熱 有り 肺雑音なし
オムツ内に排尿有る
A:アイスノンにて様 子観察
D:T:36.7℃
フォーカスでは患者の状態の急激な変化や異常・重大な出来事を記載 するので、14 時の途中経過の
記録は省く。又、解熱したことが一目でわかるように、F欄に「F:解熱」と記載すると分りやす
い。
38.0 以上高熱 37.5~発熱 37.0~微熱
患者の状態のうち、重要な変化だけを記録に残し、記録の効率がアップする。
チャーティングで結果に至る経過がわかる。
どのような行為を行ったかと、なぜ、その様な行為(処置)を行ったか読み取ることができる。そ
して、それによって患者がどう変化したかがわかる。
例えば、「首の痛み」とあれば、わかりやすい。
器官、臓器名を記載するのは避ける。例えば、「呼吸器」というフォーカス名では患者の呼吸にど
のような変化があったのか、全く見えない。呼吸困難、息切れ、湿性の咳などの患者の状態を示す
用語を使う。患者の現在の状況を最も適確に表すキーワードとなるものは何かということを頭に入
れて記載する。
番号①および③はケアプランの記載内容番号とする。
「フォーカス・チャーティング」の良いところは、情報や実施したケア、患者の反応を系統的に書
くことによって統一性をもたせることができるところ。さらに、看護過程にそった経時記録を書く
ことができ、フォーカスの部分を追うだけで、その時知りたい情報へのアクセスがしやすい。
医師、看護婦、薬剤師、栄養士、理学療法士など専門分野全ての記録を同一の用紙で行うことで
個々の患者やそれを取り巻く環境などをフォーカスすることにより、健康増進への意識を高めるこ
とを可能にできる。
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Ⅲ 介護記録評価表
1) 定義
介護記録評価表とは介護記録が基準に沿って記入されているか確認し、見直しや修正に繋げ
ていく為のツールである。
2)目的
評価を行う事で介護記録を充実させ、ケアの質の向上を目指す。
3)方法
(1)実施日:ケアプランの評価月に1ケースにつき1枚使用
(2)評価者:全職種
(3)評価方法:話し合いながら○×でチェックする
※以下、介護記録基準(ケアプラン・介護経過記録・記録の表現方法・略語集)を参照
①課 題 :本人・家族の意向が、背景も含め、明確に表現されているか。
②長期目標:本人が将来的にどうありたいのか、何を目指すのか、具体的に分かりやすく表
現されているか。
③短期目標:長期目標の達成に向けて、段階的に今何をするべきか表現されているか。
④援助内容:目標と連動しており、誰もが統一した援助が出来る内容で、具体的に表現され
ているか。
⑤経過記録:基準に沿った記入がされているか。
⑥評価
:目標に向かって援助した結果がどうであったか、今後どのようにすれば目標が
達成出来るか、など具体的に表現されているか。
4)留意点
(1)入院や施設入所、及びADLに大きな変化があった時など、状態に変化が生じた時点で評価す
る。
(2)評価する際は、担当者(ケアプラン作成者)以外で話し合い、第三者の目で見て評価する。
(3)“×”と評価した場合は、次回作成の手がかりとする為にも、判断の理由を詳しく記入す
る。
(4)“△”は、判断が曖昧で、結果的には“×”と同等の判断となる為、使用しない。
(5)評価者は責任を明確にするためにサインをする。
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介護記録評価表
評価日H
年
月
項目
日
様
内
担当職員名
容
課題
1 利用者、家族の希望をふまえた内容である
2 ニーズは具体的に表現されている
長期目標
1 ニーズ・課題にそった目標になっている
2 現実的で達成可能な表現で書いている
短期目標
1
2
3
4
援助内容
1 目標と連動した内容になっている
2 援助の内容が具体的に表現されている
3 第3者がケアプランを見ても援助が出来る
経過記録
1
2
3
4
5
6
7
8
評価
1 目標・援助内容が評価されている
2 今後の課題が明確にされている
3 利用者の状態が変わった時点で評価されている
長期目標と連動した目標になっている
現実的で達成可能な表現で書いている
具体的に期間が明示されている
評価出来る目標となっている
ケアプランと連動した記録が出来ている
経過が分かる内容になっている
使用する場合は、決められた略語を用いている
訂正時ボールペンで2本線をひいている
修正液を使用していない
記録の途中で行を空けていない
日時、記載者の署名がある
利用者や家族が見ても理解しやすいように記録されている
評価表示 ○ :出来ている × :出来ていない
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評価者名
評価
Ⅳ 看護・介護記録様式等
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