自由電子モデル (4/20)

予定 (川口担当分)
(1)4月13日
(2)4月20日
(3)4月27日
(4)5月11日
(5)5月18日
(6)5月25日
(7)6月1日
量子力学・固体の性質の復習
自由電子モデル
結晶中の電子
半導体・輸送現象
金属絶縁体転移
磁性の基礎
物性におけるトポロジー
今日(4/20)の内容
• 自由電子モデル
• 量子統計
• 状態密度
• フェルミ面・フェルミ分布
• 自由電子ガスの基本的性質
化学ポテンシャル、比熱、スピン帯磁率、
電気伝導度、熱伝導度、ホール係数
• (結晶中の電子)クローニッヒ・ペニーモデル
金属の自由電子モデル
正イオンの規則的な配列によってできる
周期的ポテンシャル
ポテンシャルをならして平坦化
• 箱の中の電子
• 電子間のクーロン相互作用も無視
→ 自由電子モデル
波動関数とエネルギー固有値
シュレディンガー方程式
周期境界条件
→ 波動関数(平面波)
エネルギー固有値
より正確には?
固定境界条件
→ 波動関数(平面波)
エネルギー固有値
電子の総状態数は境界条件の
取り方によらない
量子統計
• 2つの状態に2つの粒子(スピンなし)を入れる
異種粒子
粒子の区別ができる
量子統計
• 2つの状態に2つの粒子(スピンなし)を入れる
同種のボース粒子
粒子の区別ができない
同じ状態に入れる
量子統計
• 2つの状態に2つの粒子(スピンなし)を入れる
同種のフェルミ粒子
粒子の区別ができない
同じ状態に入れない
統計性による引力・斥力
2つの粒子が同じ状態に入る確率
同種粒子
異種粒子
ボース粒子
1/2
2/3
引力
フェルミ粒子
0
斥力
電子がとりうる状態
• 電子:フェルミ粒子
• 各状態
に電子1個
• ひとつの に対しては電子2個
• ひとつの に対しては?
家泰弘『物性物理』(産業図書)
状態密度
エネルギー から
の範囲内にある
単位体積あたりの電子状態の数
状態密度
運動量空間で体積
につきひとつの
状態密度 3次元
状態密度 2次元
状態密度 1次元
まとめると
フェルミ球・フェルミ面
• 典型的な金属の電子密度
• エネルギーの低い状態から順に粒子を詰めていく
フェルミ面
運動量空間で
半径 の球
||
フェルミ球
フェルミ波数と電子密度の関係
(3D)
:フェルミエネルギー
特に、
自由電子の全エネルギー(T=0)
• 単位体積あたりのエネルギー
• 一電子あたり
熱力学
• 熱力学第一法則
電子密度を表すパラメータ あ
• 平均電子間距離
:
→
:小 → 電子密度大
ボーア半径 0.53Å
水素1s軌道の平均半径
• フェルミ波数
• 一電子あたりのエネルギー
水素1s軌道のエネルギー
1[Ry] = 13.6 [eV]
フェルミ分布関数
有限温度では
を満たすよう、化学ポテンシャル
が決まる
このときの全エネルギー(単位体積)は
フェルミ分布関数の性質
積分計算に便利な手法
任意関数
=0
フェルミ分布関数の性質
より正確には、
と展開して
化学ポテンシャル
T=0では
なので、辺々引いて
電子比熱
• 電子のエネルギー
• 比熱
古典ガス
フェルミ縮退のために
フェルミ面付近の電子しか
熱励起されない
スピン帯磁率(パウリ常磁性)
• 電子スピン:
• 磁気モーメント:
(ボーア磁子)
• 分散関係:
ゼーマンエネルギー
スピン帯磁率(パウリ常磁性)
スピン帯磁率(パウリ常磁性)
• 磁化:
• 磁化率:
温度によらない一定値
フェルミ面付近のみ寄与
高温では
すべての電子が寄与
(キュリー則)
電気伝導度
電子密度
ドリフト速度
電場をかけると電子は加速 → 散乱
等加速度運動
電気伝導度
平均すると
等加速度運動
:平均散乱時間
Drude則
電気伝導度
具体的に、
銅の電線
断面積 1mm2
電流 100A
電流密度
電子密度
金属中の伝導電子は猛スピードで飛び交っている
熱伝導度
気体分子運動論
熱伝導度
Widemann‐Franz則
電流磁気効果
• 磁場が存在すると、電子はローレンツ力をうける
→ 電流と直角の方向に電荷の分布が生じる
+++++++++++++
-------------
電流磁気効果
誘導電場成分が電子に及ぼす力とローレンツ力の釣り合い
++++++++++++++
--------------
ホール係数
ホール係数の測定により
伝導電子の密度がわかる
結晶中の電子
クローニッヒ・ペニーモデル
一次元周期ポテンシャル中の電子
波動関数
周期
:
(Blochの定理)
境界での連続性
同じ条件
→ 4つの式(変数4つ)
解の条件
バンド構造
家泰弘『物性物理』(産業図書)
レポート問題1
クローニッヒ・ペニーモデルを解いてみよう。
1. 波動関数の境界条件を具体的に書き下して、
ABCDに対する4つの方程式を求めよ。
2. 1. で得た境界条件から、エネルギーと波数qの
関係を求めよ。
3. この関係から、エネルギーバンドを図示しなさい。
具体的に、パラメータをいろいろと変化させて、
数値計算を行ってグラフを描きなさい。フェルミエ
ネルギー(化学ポテンシャル)の位置がどこにあ
ると金属になるのかをグラフ中で示しなさい。