試験問題・正解

【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
(はじめに)
すべての問題文の条件設定において,特に断りのない限り,他に特殊な事情がないものとし
ます。また,各問題の選択枝における条件設定は独立したものと考え,同一問題内における他
の選択枝には影響しないものとします。
特に日時の指定のない限り,2015年9月1日現在で施行されている法律等に基づいて解答し
なさい。
解答は,選択枝ア~エ又はア~ウの中から1つ選びなさい。
1
問1~問7に答えなさい。
問1
ア~エを比較して,ブランドの価値を評価するためのアプローチの説明に関して,最も不適切
と考えられるものはどれか。
ア
コスト・アプローチには,ブランド形成に要したコストとブランド価値が必ずしも比例しな
いという問題点がある。
イ
インカム・アプローチを適用するために必要となる割引現在価値の算定にあたっては,伝統
的アプローチ,期待キャッシュ・フロー・アプローチのいずれを用いても,主観的要素が介
在するという問題がある。
ウ マーケット・アプローチは,ブランドの本質に最も適合する考え方といえる。
エ インカム・アプローチの考え方の1つであるプレミアム価格法は,ブランドの本質的効果に
着目したものといえる。
問2
ア~エを比較して,中小企業庁が行っている「JAPANブランド育成支援事業」の説明に関
して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
支援を受けることができる補助金の額は,戦略策定段階,ブランド確立段階ともに定額と
なっている。
イ
支援を受けることができる期間は,戦略策定段階,ブランド確立段階を合わせると最長で4
年間である。
ウ
JAPANブランドの専用ロゴの使用が認められている。
エ
ブランド確立段階では,専門家の招聘,新商品開発,展示会出展等を行うプロジェクトにつ
いて支援を受けることができる。
1
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問3
次の表は,「平成23年度 商標出願動向調査報告書(概要) 企業のブランド構築に着目し
た商標の出願・活用に関する状況調査 平成24年4月 特許庁」に基づき,新規ブランド構築
時においてとり得る商標出願の内容とその特徴をまとめたものである。ア~エを比較して,空欄
1
~
3
に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。
商標出願の内容
コーポレートスローガン
特徴
①スローガンは一般的には識別力がないとされているが,構
成中に,自分と他人との商品・サービスを区別できる部分
の出願
を有する場合には,商標登録できる可能性がある
②
シリーズ商標の出願
1
①構成される要素の一部を共通にした複数の商標
②
2
③シリーズで共通にする要素を,特定の単語又は語句とする
場合と,単語の接頭語とする場合とがある
技術ブランド,環境ブラ
①パンフレット等の広報・広告等に記載する技術名称やアイ
ンド等の出願
コン等の商標出願
②
ア
イ
3
1
=メッセージが社外向けで商標的使用がされる場合に商標出願を検討
2
=商標の最終案が未定の場合に利用
3
=経費上の戦略(指定商品・役務の個数の制約)として利用
1
=メッセージが社内向けで商標的使用がされる場合に商標出願を検討
2
=多くの指定商品・役務の取得を要し,負担を少なくしつつどこまでカバーするかが
課題
ウ
3
=経費上の戦略(指定商品・役務の個数の制約)として利用
1
=メッセージが社外向けで商標的使用がされる場合に商標出願を検討
2
=経費上の戦略(指定商品・役務の個数の制約)として利用
3
=多くの指定商品・役務の取得を要し,負担を少なくしつつどこまでカバーするかが
課題
エ
1
=メッセージが社内向けで商標的使用がされる場合に商標出願を検討
2
=既存の商標のブランド力を活用したブランド展開・拡張に利用
3
=経費上の戦略(指定商品・役務の個数の制約)として利用
2
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問4
ア~ウを比較して,「平成21年度 意匠出願動向調査報告書 -製品アピールやサービスの
プロモーションのためのデザインの出願戦略に関する調査-(要約版) 平成22年3月 特許
庁」に基づくブランド構築を実現するためのデザイン開発マネジメント体制に関する記述として,
最も適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
ア
トップマネジメント型は,経営トップやブランドマネジメント担当部門が権限をもって,ブ
ランドメッセージを明確に発信し,それに沿ってデザイン開発を進める体制である。トップ
マネジメント型は,ブランドの新規創出の場面で有効であり,特に大企業では効果的である
とされている。
イ ハブ型は,ブランドマネジメント担当部門以外の部門がイニシアティブをとってデザイン開
発の方向付けの調整を進める体制であり,各事業部門からのボトムアップによるブランド構
築にも有効である。
ウ
ネットワーク型は,関連する各部門がデザインの方向性について意識を共有してデザイン開
発を行っていく体制であり,大規模な組織においては顧客の傾向を迅速にくみ取りにくいと
いう問題点がある。
問5
医薬品メーカーX社の知的財産部の部員甲は,自社のテレビコマーシャルの最後に社名と共に
流れる5秒ほどの音楽Aを指定商品「薬剤」について商標登録したいと考えている。そこで甲は
同僚である乙に商標登録出願の相談をした。ア~エを比較して,音楽AはX社が作曲家の丙に依
頼して創作された著作物であった場合に,乙のアドバイスとして,最も適切と考えられるものは
どれか。なお,著作権はすべて丙に帰属しているものとする。
ア
音楽Aは音のみであるので商標登録を受けることはできない。
イ
音楽Aは丙の著作物であるので,X社が商標登録を受けることはできない。
ウ
X社が音楽Aについて商標登録を受けた場合,X社は自由に音楽Aを使用することができる。
エ
X社が音楽Aについて商標登録を受けた場合でも,丙は自己が開くリサイタルで音楽Aを演
奏することができる。
3
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問6
東京を本社とする家具メーカーX社は,肘掛け部分が斬新なデザインである椅子Aを開発した。
X社は,世界各国で椅子Aの販売を予定しており,椅子Aについての世界各国での意匠権を取得
するために,ハーグ協定のジュネーブ改正協定に基づく国際登録出願を検討している。ア~エを
比較して,知的財産部の部員の考えとして,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
国際登録出願をする場合には,国際登録出願に係る願書は英語,フランス語又はスペイン語
のいずれかの言語で作成しなければならない。
イ
国際登録出願をする場合には,特許庁長官又は国際事務局に出願することができる。
ウ
国際登録出願をする場合には,特許庁に係属している自己の意匠登録出願又は意匠登録を基
礎として,出願しなければならない。
エ 一出願に二以上の意匠を包含する国際登録出願をすることができる。
問7
靴メーカーX社は,靴底の形状が独創的な紳士用の靴Aを開発して,靴Aに関して,意匠登録
出願Bをし,その後に意匠登録出願Cをした。意匠登録出願Bに係る意匠は,靴Aの全体の意匠
であり,意匠登録出願Cに係る意匠は,靴Aに対して部品である靴底の意匠である。意匠登録出
願B及びCに対して,拒絶理由が通知された。拒絶理由通知を担当するX社の知的財産部の部員
甲が,拒絶理由通知を確認したところ,意匠登録出願Bに対する拒絶理由は,意匠法第9条第1
項(先願)違反であり,意匠登録出願Cに対する拒絶理由は,意匠法第3条の2(先願意匠の一
部と同一又は類似の後願意匠の保護除外)違反であった。拒絶理由通知書で示された引用例は,
意匠Dであった。意匠Dに係る意匠登録出願は,Y社が出願人であって,意匠登録出願B及びC
より先に出願され,意匠登録出願B及びCの出願後に登録され,意匠公報が発行されていた。意
匠Dに係る意匠公報には,靴Aと類似する靴の意匠Dが記載され,また,意匠Dの靴底は,靴A
の靴底と類似する形状であった。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も不適切と考えられる
ものはどれか。
ア
Y社と交渉し,Y社に手続で協力してもらうことにより,拒絶理由を解消し,意匠登録出願
Bについて意匠登録を受けることができる。
イ
意匠Dに係る意匠登録出願の創作者を確認したところ,意匠登録出願Cの創作者と同一で
あった。かかる場合,意見書において,創作者が同一である旨を主張することにより,拒絶
理由を解消し,意匠登録を受けることができる。
ウ
意匠登録出願Cは,意匠登録出願Bを引用して,意匠法第9条第1項違反を理由に拒絶され
ることはない。
エ 拒絶理由通知に対して意見書を提出できる期間であっても,意匠登録出願Bを立体商標に係
る商標登録出願に出願変更することはできない。
4
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
2
X社が商標登録出願をしたところ,特許庁から拒絶理由通知書が届いた。概要は次の通りで
ある。問8~問10に答えなさい。
整理番号
****
発送番号
****
発送日
平成27年*月*日
拒絶理由通知書
商標登録出願の番号
商願2015-****
起案日
平成27年*月*日
特許庁審査官
●●●●
理由1
この商標登録出願に係る商標は,下記の登録商標と同一又は類似であって,その商標登録に係る指
定商品(指定役務)と同一又は類似の商品(役務)に使用するものですから,商標法第4条第1項第
11号に該当します。
(略)
記
引用No.
引用商標一覧
1
登録第****号(商願2004-****)
2
登録第****号(商願2006-****)
3
登録第****号(商願2008-****)
(以下略)
問8
引用商標1の詳細について確認したところ,引用商標1は,X社が数年前の社名変更前に出願
し登録されたものであった。なお,本件出願に係る商標と引用商標1は同一でないものとする。
ア~エを比較して,引用商標1についての対応に関して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
別途,引用商標について登録名義人の表示変更登録申請を行い,併せてその旨を主張した意
見書を提出する。
イ
意見書にて,上記事情から引用商標は実質的には出願人所有のものであることをX社の会社
登記簿謄本とともに説明し,出所の混同は生じない旨を伝える。
ウ 商標の非類似を争う余地があるため,その旨の意見書を提出する。
エ
引用商標と重複する一部の指定商品・役務を削除する補正を行う。
5
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問9
引用商標2の詳細について確認したところ,引用商標2は,X社の子会社が所有するもので
あって,将来的にはX社の名義として管理する予定であることがわかった。なお,本件出願に係
る商標と引用商標2は同一でないものとする。ア~エを比較して,引用商標2についての対応に
関して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
意見書にて,引用商標はX社と同視し得る子会社の所有であり,将来的にはX社が譲り受け
る予定である旨を説明する。
イ
意見書にて,引用商標はX社と同視し得る子会社の所有であり,将来的にはX社が譲り受け
る予定である旨を説明するとともに,引用商標の権利者である子会社からの本件商標の登録
についての同意書も併せて提出する。
ウ
現段階で引用商標について子会社から譲渡を受け,別途出願人であるX社に移転する商標権
移転登録申請を行う。
エ
商標の非類似を争う余地があるため,その旨の意見書を提出する。
問10
引用商標3の詳細について確認したところ,引用商標3は,X社とは関係性のない他社所有の
ものであった。なお,本件出願に係る商標と引用商標3は同一でないものとする。ア~エを比較
して,引用商標3についての対応として,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
商標の非類似を争う余地があるため,その旨の意見書を提出する。
イ
引用商標と重複する一部の指定商品を削除する補正を行う。
ウ
引用商標の権利者に交渉し,当該権利者からの本件商標の登録について異存ない旨の同意書
を提出する。
エ 引用商標が登録後3年経過している場合には,その使用状況を確認し,使用事実がないよう
であれば不使用取消審判を請求する。
6
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
3
問11~問12に答えなさい。
問11
ア~エを比較して,弁理士甲の代理行為に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
X社は弁理士甲を代理人として商標登録出願をし,当該出願に係る商標権を取得した。この
場合に,甲はY社の依頼により当該商標権に対する無効審判手続に代理人として関与するこ
とはできない。
イ
X社はY社の商標登録に対して異議申立てをするため,弁理士である甲にその妥当性につい
て相談を行った。その後,X社がした異議申立てにおいて甲はY社の代理人として手続に関
与することができる。
ウ 弁理士甲は,無効審判の被請求人であるX社の依頼の下,当該審判の代理人を務めている。
甲は,相手方のY社から別の商標出願依頼を受けた場合に,X社の同意なくその出願手続の
代理を受任することはできない。
エ
X社の商標登録に対して無効審判が請求され,特許業務法人ZがX社の依頼を受けてその手
続の代理を行った。その後Zから独立した弁理士甲が無効審判の請求人であるY社の依頼に
よりその無効審判手続の代理をすることができる場合がある。
7
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問12
アパレルメーカーX社は次の商標権を所有している。この度,当該商標権の更新時期が到来し
たため,X社の事業部の部員甲が知的財産部の部員乙に更新手続について相談している。ア~エ
を比較して,甲と乙の会話について,空欄
1
~
2
に入る語句の組合せとして,最も適切
と考えられるものはどれか。
【商標権の概要】
商標:「ABC」
指定商品:
第3類
「化粧品,せっけん類」
第18類「かばん類」
第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」
甲
「当該商標について,出願当初は化粧品メーカーとのコラボレーション企画がありましたが,
結局実現せず,現在の当該商標を使用してのブランド展開はもっぱらバッグと被服です。
とはいえ,バッグと被服についても,数年後にはブランド変更をする可能性が高く,そう
長く使うかどうかわかりません。もうしばらくの間,バッグと被服について使用を継続で
きればいいのですが。」
乙
「更新申請の際,更新対象の商品区分を,使用継続を希望する一部の区分,今回であれば第
18類バッグと第25類被服等のみに限定すること
1
。また,数年後に使用しなくな
る可能性がある場合には,分割納付が可能です。その場合は,まず前期分として
2
年
分の更新登録料を納付し,その後権利維持が不要となった場合には後期分の納付をしない,
という方法をとることができます。」
ア
1
=ができます
2
=3
イ
1
=はできません
2
=3
ウ
1
=はできません
2
=5
エ
1
=ができます
2
=5
8
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
4
問13~問16に答えなさい。
問13
かばんメーカーX社は,同業他社数社とのコラボレーション事業として,自社及び当該数社の
製品を集めたセレクトショップを立ち上げることになった。1年半後に第1号店をオープン予定
であり,当該ショップ名を「DUKE」(称呼:デューク)にしようと考えている。商標登録出
願を行うにあたり,事前に先行商標調査を行うことになった。まずは社内で特許情報プラット
フォーム(J-PlatPat)を利用した簡易調査を行うため,調査対象として入力する商標,称呼や
類似群コードを検討している。ア~エを比較して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
「DUKE」と他の語との結合商標や「DUKE」を構成中に含む商標まで検出すると煩雑
になるため,「DUKE」のみと同一又は類似の先行商標の有無を調べる。
イ
調査対象の称呼は,使用する「デューク」に限定する。
ウ
調査対象の類似群コードは「かばん類の小売」が属する「35K02」のみとする。
エ
調査対象の類似群コードには「かばん類の小売」が属する「35K02」に加え,「かばん
類の小売」と類似すると推定される商品「かばん類」が属する「21C01」も含める。
問14
X社は,商標「ABC」を使用したいと考え,先行商標調査を行ったところ,同一の指定商品
について商標「ABC」と類似する商標「ABC’」がY社によって登録されている事実を発見
した。そこで,X社の知的財産部では,商標「ABC」の使用を確保するための方法を模索する
ため検討をしている。ア~エを比較して,知的財産部の担当者の発言として,最も適切と考えら
れるものはどれか。
ア
「Y社の商標『ABC’』の商標権を譲り受けることができれば,商標『ABC』について
出願する必要はないと思う。」
イ
「商標『ABC』について出願し,その出願をY社に一旦譲渡し,その出願が登録された後
にY社から再譲渡してもらう契約も有効だと思う。」
ウ
「Y社の所有する商標『ABC’』に係る商標権について,Y社から商標『ABC』につい
ての通常使用権を許諾してもらうのも有効だと思う。」
エ
「Y社から,X社が商標『ABC』について商標登録を受けることを同意する旨の同意書を
発行してもらえれば,X社は商標『ABC』について商標登録を受けることができると思
う。」
9
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問15
製薬会社である日本法人のX社は,自社の所有する商標権PをX社の関連会社である日本法人
のY社に譲渡することにした。ア~エを比較して,Y社の担当者甲の考えとして,最も適切と考
えられるものはどれか。
ア X社及びY社の代表取締役が同一人である場合には,X社からY社への商標権Pの譲渡が無
償によるものであっても,X社及びY社の両方の取締役会の承認が必要であると考えた。
イ
X社からY社への商標権Pの譲渡が有償によるものである場合,その譲渡対価は消費税の課
税対象とならないと考えた。
ウ
Y社は商標の管理のみを行い,譲渡を受ける商標権Pに係る商標を使用する予定がないため,
X社に通常使用権を許諾して当該商標を使用させる場合には,特許庁に対して,その通常使
用権の設定登録をしていなければ,Y社は,第三者による商標権Pに係る商標登録に対する
不使用取消審判の請求に対抗することはできないと考えた。
エ
X社からY社へ商標権Pを譲渡した後に,Z社へ商標権Pを譲渡することが決定している場
合でも,譲渡人をX社とし,譲受人を直接Z社とする商標権の移転登録申請はすることがで
きないと考えた。
10
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問16
X社とY社との間で,Y社が所有する商標権Aについて,X社へ20年間専用使用権を設定す
る旨の合意がなされた。X社の知的財産部の部員甲は,特許庁へ商標権Aについての専用使用権
の設定登録を行うために,専用使用権の設定登録申請書に添付する原因証書をドラフトしている。
以下は,原因証書の抜粋である。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も不適切と考えられる
ものはどれか。
I, the undersigned, hereby grant to you the Exclusive Use Right (prescribed under
①
Article 30 of the Japanese Trademark Act), as described below, with respect to the
following trademark right, and furthermore, I hereby agree that your company
shall independently execute the application for the Exclusive Use Right
registration.
Trademark Registration Nos. 1234xxx and 1235xxx
1. Scope of the Exclusive Use Right
Territory: The whole territory of Japan
Term: Until the expiration date of this trademark
②
(including every renewal term)
Licensed goods: All designated goods
③
2. Amount of Consideration
④
ア
本原因証書中に,下線①の記載があれば,専用使用権の設定登録は専用使用権者単独で行う
ことができると考えた。
イ
本原因証書中に,下線②のような記載をすることにより,専用使用権設定登録申請書の「期
間」の欄にライセンス契約書に記載された20年後の期限を記載することができると考えた。
ウ
本原因証書中の下線③の項目(「Licensed goods」)については,具体的なdesignated
goodsを記載する方法のほか,「All designated goods」のように記載することもできると考
えた。
エ
本原因証書中の下線④の項目(「Amount of Consideration」)は,必須の記載事項ではな
いと考えた。
11
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
5
飲料メーカーX社は,「ピース」なる商標権を保有している。今般,小売事業者のY社から,
X社に対して,同商標をY社のプライベートブランドとして使用したい旨の申入れがあったた
め,使用許諾については交渉可能であると返答し,併せて次の通り,商標使用許諾契約書(案)
を送付した。問17~問19に答えなさい。
商標使用許諾契約書(案)
X株式会社(以下「甲」という)とY株式会社(以下「乙」という)は,甲が所有する商標権につい
て,次の通り契約を締結する。
第1条(定義)
本契約において「本商標」とは,甲の所有に係る下記登録商標をいう。また,本契約において,
「本商標権」とは,本商標に係る商標権をいう。
① 商標登録番号
第○○○○○○号
② 商標名
「ピース」
③ 指定区分及び指定商品
第30類 茶,コーヒー,ココア,菓子,パン,サンドイッチ,中華
まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,ぎょうざ,
しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ
第2条(使用許諾の範囲)
甲は,本商標権について,乙に対し,以下の範囲で本商標を使用することを許諾する。
①
使用地域
日本
②
使用商品
茶,コーヒー,ココア,菓子,パン
③
使用内容
本商標権を付した商品の製造,販売
第3条(使用権の許諾)
甲は,乙に,本契約有効期間中,前条で定める範囲で本商標を使用するための通常使用権を許諾す
る。
2
乙は,前項で使用することを許諾された商標(以下「許諾商標」という)に関し,前項において
明示的に定める以外の権利を有しないものとする。
3
乙は,第1項で定める通常使用権を,甲の事前の書面による承諾なく,第三者に譲渡又は再使用
の許諾をすることができないものとする。
第4条(本契約の対価)
乙は,本契約によって甲から許諾された使用権について,以下の対価を甲が乙に発行する請求書記
載の支払期限までに甲の指定する銀行口座に振り込むものとする。
①
一時金
金○○○○円
②
使用料
本商標権を使用した製品の販売価格に○○%を乗じて得られた金額
第5条(保証の否認)
甲は,許諾商標に係る商標権の有効性並びに取消可能性,及び乙による許諾商標の使用が第三者の
権利を侵害しないことについて何らの保証もしないものとする。
第6条(契約有効期間)
本契約は,契約締結の日から○○年○○月○○日まで有効とし,当該期間満了日の3カ月前までに
(次ページに続く)
12
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
いずれの当事者からも相手方に書面にて契約の終了の意思表示がなされない限り,さらに本契約と
同一条件で○年間更新されるものとし,以後も同様とする。
第7条(本契約の解約)
甲は,乙が次の各号の一に該当した場合,何らの催告することなく,直ちに本契約を解約すること
ができるものとする。
①
契約に違反し,かつ,当該違反状態が甲からの通知後1カ月以内に是正されないとき。
②
破産の申立て,民事再生手続,会社更生手続,又は清算開始の申立てがあったとき。
③
差押え,仮差押え,仮処分もしく競売の申立てがあったとき。
④
乙の議決権付株式の過半数を第三者が直接的又は間接的に取得したとき。
⑤
本商標に関する有効性について疑義を提起したとき。
第8条(契約終了後の措置)
本契約が終了した場合は,乙は直ちに許諾商標の使用を中止し,許諾商標を付した在庫商品及び製
造途中の商品の措置について甲の指示に従うものとする。
第9条(協議)
本契約に定めのない事項又は本契約の規定の解釈について疑義がある事項については,甲及び乙は,
商標法その他の関連する法令,法規及び慣行に従い,誠意をもって協議し,解決を図るものとする。
本契約締結の証として,本書2通を作成し,甲乙記名押印の上,各自1通ずつ保有する。
平成○○年○月○日
(甲)
東京都○○区○○町○丁目○番○号
X株式会社
代表取締役
(乙)
○○○○
印
東京都○○区○○町○丁目○番○号
Y株式会社
代表取締役
○○○○
印
問17
ア~エを比較して,X社の担当者の見解として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
Y社から,将来の海外展開も考慮して,「ピース」とともに「PEACE」の使用も希望す
る旨の回答があったが,これを認めることは問題となる可能性がある。
イ
Y社から,使用商品に関し,プライベートブランドだけでなく,Y社の本業である他社商品
の販売についても,許諾商標の使用を希望する旨の回答があったが,当社にとって競合する
会社の製品でない限り,契約範囲内の使用であるため,認めてもよい。
ウ
Y社から,許諾商標を広告にも使用したい旨の回答があったが,これは契約範囲内の使用で
あるため,認めてもよい。
エ
Y社から,第3条第2項「明示的に定める以外の権利」の文言の趣旨が不明であるため,削
除したい旨の回答があったが,指摘通り,削除してもよい。
13
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問18
商標使用許諾契約書案の内容について,Y社の担当者である丙と丁が会話をしている。ア~ウ
を比較して,最も適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
ア
丙 「X社から送付されてきた契約書案には,通常使用権について質権の設定を禁ずる規定
がないので,将来担保融資を受ける場合に,質権の設定が自由にできると考えられま
すね。」
丁
「いや,特許法の規定を準用して,商標法では,質権設定に商標権者の承諾を要する規
定があるから,自由に設定できるわけではないと思います。」
イ
丙 「当社は,契約を締結し次第,許諾商標を使用する予定だが,諸情報から推測すると,
X社は,当面『ピース』を使用する予定がないみたいです。」
丁
「現在,登録から2年経過したところなので,契約期間を1年にして,契約期間終了3
カ月前までにX社が使用をしていないようだったら,契約を終了させると同時に不使
用取消審判を請求しましょう。」
ウ
丙 「第三者に対抗するために,一応,通常使用権の登録も検討しておきましょう。通常使
用権の登録申請の期間は,使用権設定登録申請書に商標権の存続期間を超える期間を
設定できるでしょうか。」
丁 「商標権者と通常使用権者で合意していれば,存続期間を超える期間を申請書に記載す
ることは可能だと思います。」
問19
ア~エを比較して,商標使用許諾契約書案の規定について,最も不適切と考えられるものはど
れか。
ア
第5条について,本商標の無効審決が確定し,遡及消滅した場合,Y社の既払い対価に対し
て,本契約に不返還特約を設けることは違法ではない。
イ
第6条について,契約有効期間満了前に,本商標の存続期間が満了する場合,X社に対して
商標権存続期間更新登録申請を義務づける規定を設けることができる。
ウ 第7条について,Y社が本商標の有効性について無効審判を提起したとき,X社が本契約を
催告なしに直ちに解約できるとした第5号の規定は,独占禁止法違反である。
エ
第8条に代えて,契約終了後であっても,Y社の在庫商品の販売について,本契約で定める
条件でY社の販売を認める旨の規定を設けることはできる。
14
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
6
X社は,X社が保有する商標権を,次の約定にてY社に売却する契約を締結した。X社及び
Y社は,商標権の移転登録手続を行ったが,Y社は,約定の期日になったにもかかわらず商標
権の売買代金を支払わず,Y社の本社にある工場において商標権に係る標章を付した製品Aを
製造して販売していた。問20~問21に答えなさい。
商標権売買契約書
売渡人X社(以下「甲」という)と買受人Y社(以下「乙」という)とは,次の条項にて商標権の売
買契約(以下「本契約」という)を締結する。
第1条(売買される商標権)
甲は,乙に対して,次の商標権(以下「売買商標権」という)を売却する。
商標登録第○○○○○号
登録日
平成○年○月○日
商品・役務の区分及び指定商品・役務
商標
(略)
(略)
第2条(権利の移転登録等)
1
甲及び乙は,平成○年○月○日までに,特許庁に対して,売買商標権の移転登録を行うものとす
る。
2
売買商標権は,乙が第1項の登録手続を完了した時に,乙に移転する。
3
権利の移転に要する費用は乙の負担とする。
第3条(売買代金)
乙は,甲に対して,前条の移転登録が完了した日から7日以内に,売買商標権の売買代金として金
300万円を支払う。
第4条(損害賠償)
甲又は乙は,乙又は甲が本契約に定める義務を履行しないために損害を受けた時は,その損害賠償
を請求することができる。
第5条(協議事項)
本契約に定めのない事項又は本契約の各条項の解釈につき疑義を生じた場合には,甲乙双方速やか
に協議し,決定するものとする。
第6条(準拠法)
本契約の成立及び効力,並びに本契約に関して発生する問題の解釈及び履行等については,日本国
の法律に準拠するものとする。
本契約の成立を証するため,本書2通を作成し,甲乙記名押印の上,各1通を保有する。
(次ページに続く)
15
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
平成○年○月○日
甲
千葉県千葉市○○○○
株式会社X社
代表取締役
乙
○○○○
印
兵庫県神戸市○○○○
株式会社Y社
代表取締役
○○○○
印
問20
X社の知的財産部の部員丙は,Y社に対してとり得る法的手段について検討している。ア~エ
を比較して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア 売買商標権の売買代金の支払期限は契約書に規定され,Y社はその期限を徒過しているが,
相当の期間を定めて履行の催告をしない限り,X社は,本契約を解除できない。
イ
本契約を解除してしまうと,本契約が遡及的に消滅するため,Y社の債務不履行によってX
社が損害を被ったとしても,X社は,Y社に対して損害賠償請求をすることができない。
ウ X社は,Y社に対して,売買代金の支払を請求する場合,年6%の割合の遅延損害金を請求
できるが,その起算点は,X社からY社に対して売買代金の支払の請求をした日の翌日であ
る。
エ X社は,Y社が売買商標権をZ社に売り渡し,Z社に対する売買商標権の移転登録が完了し
た後であっても,本契約を解除することによって,売買商標権の返還を受けることができる。
問21
X社の知的財産部の部員丙は,Y社に対して訴訟を提起することを検討している。X社の本社
所在地は千葉県千葉市,Y社の本社所在地は兵庫県神戸市である。ア~ウを比較して,最も不適
切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
ア
X社が,Y社に対して,本契約に基づく売買代金支払を求める訴えを提起する場合,X社は,
千葉地方裁判所に対して訴えを提起することができる。
イ
X社が,本契約を解除して,Y社に対して,商標権移転登録の抹消登録請求を求める訴えを
提起する場合,東京地方裁判所に対して訴えを提起することができる。
ウ
X社が,本契約を解除して,Y社に対して,商標権に基づき製品Aの製造及び販売の差止め
を求める訴えを提起する場合,東京地方裁判所に対して訴えを提起することができる。
16
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
7
問22~問34に答えなさい。
問22
家電メーカーX社は,新商品の洗濯機について商標「ABC」を使用したいと考え,先行商標
の有無を確認した。その結果,当該商品についてY社が商標「ABC」に係る商標権を有してい
ることが判明したが,X社の調査した範囲では,Y社が商標「ABC」を使用しているような事
実は発見されなかった。そこで,X社は,Y社の商標「ABC」に係る商標登録に対して不使用
取消審判を請求した。これを受けて,不使用取消審判の請求を受けたY社の事業部の部員甲と知
的財産部の部員乙が会話をしている。ア~エを比較して,甲と乙の会話として,最も不適切と考
えられるものはどれか。
ア
甲 「事業部の部員の名刺には商標『ABC』の文字が印刷されているので,この名刺を商
標の使用証拠として提出すればよいですか。」
乙
「商標が印刷されている名刺だけでは,不使用取消審判の請求に対抗できない可能性が
あると思います。」
イ 甲 「実は,不使用取消審判を請求される前に,X社から譲渡交渉の申入れがありました。
その後,交渉を有利に進めるため,洗濯機について商標『ABC』の使用を開始して
いましたので,これを使用証拠として準備すればよいですか。」
乙
「譲渡の申入れがあった後の使用については,駆け込み使用として,不使用取消審判に
対抗できない可能性があると思います。」
ウ
甲 「使用証拠を準備するのには時間がかかりそうです。特許庁における審判手続では使用
証拠を提出せず,商標登録を取り消す旨の審決がされた場合に,審決取消訴訟におい
て使用証拠を提出することはできますか。」
乙
「審決がされた後でも一定の期間内であれば審決取消訴訟を提起することができますが,
審判段階で使用証拠を提出していない場合には,後になって有効な証拠が見つかった
としても,使用証拠を提出することはできません。」
エ
甲 「商標『ABC』単独ではなく,『ABC洗濯機』という商品名が掲載されたカタログ
を発見したのですが,これを使用証拠とすることはできませんか。」
乙
「『洗濯機』は商品との関係で識別力のない部分ですので,商標『ABC』と実質的に
同一の商標を使用していると判断される可能性はあると思います。」
17
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問23
化粧品メーカーX社は,商標「ANGEL/エンジェル」(2段書き)(指定商品:第3類
「化粧品,せっけん類,香料」)について商標権を有している。当該商標権に対し,その指定商
品中「化粧品」について不使用取消審判を受けた。「ANGEL」はX社が5年程前から販売し
ている洗顔料のブランド名であり,具体的には,登録商標の欧文字部分「ANGEL」のみを太
字に表した態様で商品パッケージに付して使用している。ただし,片仮名部分「エンジェル」は
使用していない。また,類似商品・役務審査基準によるとそれぞれの類似群コードは,化粧品は
04C01,せっけん類は04A01,香料は04D01であり,特許情報プラットフォーム
(J-PlatPat)において商品・役務名を検索したところ,洗顔料について類似群コード04A0
1,04C01が振られている事例を発見した。ア~エを比較して,不使用取消審判への対応に
ついてのX社の知的財産部の部員甲の考えとして,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
欧文字部分のみの使用では登録商標の使用とは認められないため,指定商品「化粧品」につ
いての取消しは免れない。よって,使用を中止せざるを得ないと考えた。
イ
欧文字部分のみの使用であっても登録商標の使用として認められるが,洗顔料への使用は指
定商品中「せっけん類」への使用に該当し「化粧品」への使用とは認められない。よって,
取消しは免れず,使用を中止せざるを得ないと考えた。
ウ 欧文字部分のみの使用であっても登録商標の使用として認められるとともに,洗顔料への使
用は指定商品中「せっけん類」及び「化粧品」両方への使用に該当すると考えられる。よっ
て,適切な使用証拠を提出すれば,取消しは免れると考えた。
エ
欧文字部分のみの使用であっても登録商標の使用として認められるが,太字にしていること
で登録商標の欧文字部分との同一性が認められない可能性が高い。よって,取消しは免れず,
使用を中止せざるを得ないと考えた。
18
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問24
アパレルメーカーX社が商標「ABC」をTシャツと靴に付して販売していたところ,同業の
ライバル企業であるY社から,当該使用はY社が所有する商標「abc」に係る商標権を侵害す
るとして警告書が届いた。警告書は,Y社は,商標「abc」を自社のアパレルブランドとして
事業展開しており,X社には当該登録商標と類似する「ABC」の使用を直ちに中止してほしい,
応じない場合には商標権侵害として訴訟を提起するつもりである,という内容であった。そこで,
X社の法務部の部員甲は,事業部に自社商標の使用状況を問い合わせるとともに,Y社の所有す
る商標権の詳細の確認とY社による商標「abc」の使用状況の調査を行った。調査結果は次の
通りであった。ア~エを比較して,警告への対応に関する甲の考えとして,最も適切と考えられ
るものはどれか。
【X社による商標「ABC」の使用状況】
1カ月程前に商標「ABC」をTシャツと靴に付して販売を開始したばかり。試験的な販売だったた
め,商標調査や出願はまだ行っていなかった。
事業部の意向としては,主要商品である靴の売れ行きが好調なため靴への使用を本格的に開始し,ブ
ランドとして長らく展開していきたい,Tシャツについては使用を中止しても構わない,とのこと。
【Y社所有の商標権】
商標:
「abc」
指定商品:
第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」
登録日:
2010年4月20日
次回更新期限:2020年4月20日
【Y社による商標「abc」の使用状況】
被服のブランド名として使用中。靴については使用形跡なし。
ア
両商標は大文字と小文字という点で外観が相違することから非類似であり,侵害訴訟におい
ては非侵害を争う余地がある。よって,Y社には侵害には該当しない旨を回答し,使用は継
続する一方で商標「ABC」を第25類全商品について直ちに出願しようと考えた。
イ
X社の商標「ABC」の使用がY社の商標権を侵害することは確かであり,Y社は登録商標
「abc」を指定商品に使用していることから,侵害訴訟による差止め,損害賠償請求を避
けるためには使用を中止せざるを得ないと考えた。
ウ
Y社は登録商標「abc」を靴には使用していない可能性が高いことから,Y社の商標権に
係る指定商品「履物」に対し不使用取消審判を検討する一方で,使用対象を靴のみとしてT
シャツへの使用は中止し,商標「ABC」を「履物」について直ちに出願しようと考えた。
エ
Y社は登録商標「abc」を靴には使用していない可能性が高い。不使用であれば商標権は
放棄したものとみなされ権利行使はできないので,Tシャツへの使用は中止する一方で,靴
については継続使用しても問題ないと考えた。
19
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問25
ア~エを比較して,商標権の侵害行為に関して,最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
「A」という登録商標が付されているテレビゲーム機を,改造(出力端子の増設,機能の拡
張等)し,「A」の商標を付したまま,さらに異なる商品名表示を付して販売することは,
たとえ登録商標と異なる商品名が付されているとしても,「A」の商標権者の商品であると
混同されるおそれがあるため,商標権の侵害が成立する。
イ
「B」という登録商標が,他者が構成するフランチャイズチェーンの名称と類似するとき,
フランチャイズチェーンは,フランチャイズ契約により結合した企業グループとして共通の
目的の下に一体として経済活動を行うものであるから,このような企業グループに属するこ
との表示は,主体の同一性を認識させる機能を有するため,「B」の商標権者は,自己の商
標権を,当該フランチャイズチェーンに属する者に対して効力を及ぼすことができない。
ウ
「C」という登録商標の商標権者が商標権の侵害を主張した裁判において,先使用権を抗弁
として主張した被告が,自己の取引先等に迷惑がかかることを懸念して被告標章の使用を中
止したことは,「継続してその商品についてその商標の使用をする場合」を満たさないため,
先使用権の抗弁は認められない。
エ
「D」という,指定役務を「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守」とする登録商
標につき,商標「D」の出願時に,類似する標章が付されたパソコン用ウィルス対策ソフト
ウエア商品が著名な商品として販売されていたとき,商標「D」自体の出所識別力が弱く,
また商標「D」の商標権者が商標を使用していなかったという事情の下では,商標「D」の
商標権者による商標権の侵害の主張は権利濫用にあたる。
20
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問26
XYZ株式会社(以下「XYZ社」とする)は,同社が販売する「電子計算機用プログラム」
の分野においては「XYZ」の商標を使用し,同社が提供する「電子計算機用プログラムの提供,
電子計算機用プログラムの開発,電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」の分野
においては「XYZ’」の商標を使用している。XYZ社は商標「XYZ」について,指定商品
を第9類「電子計算機用プログラム」とする商標登録Pを所有しているが,第42類「電子計算
機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの開発,電子計算機の性能・操作方法等に関す
る紹介及び説明」については商標登録を受けていない。XYZ社の商標担当者甲は,事業部の担
当者乙から,「今後は,商標『XYZ』を電子計算機用プログラムだけでなく,電子計算機用プ
ログラムの提供,電子計算機用プログラムの開発,電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介
及び説明にも使用する予定がある。」との連絡を受けた。そこで,甲は,他者の商標登録の有無
を確認したところ,ABC株式会社(以下「ABC社」とする)が第42類「電子計算機用プロ
グラムの提供,電子計算機用プログラムの開発」について商標を「XYZ」とする商標登録Qを
有している事実を発見した。なお,この商標登録Qに係る商標出願の出願日は,商標登録Pに係
る商標出願の出願日より後であった。ア~エを比較して,甲の考えとして,最も適切と考えられ
るものはどれか。
ア
商標登録Pに係る商標と商標登録Qに係る商標とは同一の商標であるが,これら商標登録に
係るそれぞれの指定商品及び役務である第9類「電子計算機用プログラム」と第42類「電
子計算機用プログラムの提供」とは非類似の商品及び役務であるため,ABC社の商標登録
Qに係る指定役務中の第42類「電子計算機用プログラムの提供」についての商標登録の無
効審判を請求することはできない,と考えた。
イ
XYZ社が「電子計算機用プログラム」について使用している商標「XYZ」がABC社の
商標登録Qに係る商標出願の出願日の前から「電子計算機用プログラムの提供及び電子計算
機用プログラムの開発」の分野の需要者間で周知なものとなっている場合でも,ABC社の
商標登録Qに係るすべての指定役務を無効審判の請求によって無効にすることは難しい,と
考えた。
ウ
XYZ社が「電子計算機用プログラム」について使用する「XYZ」が商標として有名なも
のでなくても,電子計算機用プログラムの開発を事業としているXYZ社の会社名が商標登
録Qの出願以前から著名なものとなっている場合には,ABC社の商標登録Qに係る指定役
務のすべてを無効審判の請求によって無効にすることができる,と考えた。
エ
電子計算機の性能・操作方法等に関する紹介及び説明について商標「XYZ」を使用すると,
XYZ社は,ABC社の商標登録Qに係る商標権を侵害する可能性が高い,と考えた。
21
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問27
商社X社の法務部の部員甲は,社内の会議において,登録商標に類似する標章を使用した場合
であっても,商標としての使用ではないとして商標権の侵害が否定される場面について,発言し
ている。ア~エを比較して,関連する裁判例を考慮して,甲の発言として,最も不適切と考えら
れるものはどれか。
ア
「標章が,例えばシャツの中央部に大きくあしらわれるといった,『面白い感じ』などの装
飾的,意匠的な効果によって商品の購買意欲を喚起させることが目的であるケースなど,
標章が出所の識別機能としては働いていないような場合が考えられます。」
イ 「標章が,例えば木札の中央部に『通行手形』の文字を大書し,その両脇に『交通安全』な
どの文字を記載した商品のように,『通行手形』が他者の登録商標であっても,その商品
が歴史上実際に用いられた通行手形を模したものであることを,表現,説明するために記
述的に用いられているケースなど,自他商品の識別機能を果たす態様となっていないよう
な場合が考えられます。」
ウ
「標章が,例えばパチスロ機の主要部品に付されていてその流通過程では視認することがで
きるようになっていても,パチンコ店に搬入され完成品(パチスロ機)に組み込まれた後
には視認することができないようになっているようなケースなど,商標としての機能を果
たし得ない態様となっている場合が考えられます。」
エ
「標章が,例えばその商品自体でなく,包装用の箱に印刷されており,包装用容器を指定商
品とする登録商標と類似していたとしても,その標章は内容物の商品名表示であり,包装
用の箱の出所を表示する機能を果たしていないような場合が考えられます。」
22
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問28
X社の法務部の部長甲と部員乙が,自社のブランドが冒用されている場合の対抗策について会
話をしている。ア~エを比較して,乙の発言として,最も不適切と考えられるものはどれか。
甲
「わが社のブランドが勝手に使われている場合,どのように対抗しますか。」
乙
「ブランドが商標登録されていれば,商標権の侵害の成否を検討します。」
甲
「そうですね。では,指定商品が異なるなど,商標権の侵害の成立主張が難しい場
合はどうですか。」
乙
「不正競争防止法に規定される,混同惹起行為や著名表示冒用行為にあたるかどう
かを検討します。」
甲
「そうですね。では,混同惹起行為の要件について考えてみましょう。まず,『商
品等表示』についてはどう考えますか。」
乙の発言1 「商品等表示とは,商品の出所又は営業の主体を示す表示です。商品とは,市場で
流通しているものであり,有体物も無体物も含みます。営業は,不正競争防止法
が競争秩序の維持を目的とするものですから,非営利事業は含まれません。」
甲
「『需要者の間で広く認識されている』という要件はどうですか。わが社のブラン
ドの中には地域を限定して展開しているものもありますが,その場合でも要件は
満たしますか。」
乙の発言2 「周知性の要件は,立証がなかなか大変なところでもありますが,一地方でのみ広
く認識されている場合でも要件は満たされると考えられています。」
甲
「『同一若しくは類似の商品等表示』という要件は,具体的にはどのように判断さ
れますか。」
乙の発言3 「取引の実情のもとにおいて,取引者又は需要者が,両表示の外観,称呼又は観念
に基づく印象,記憶,連想等から両者を全体的に類似のものとして受け取るおそ
れがあるか否かを基準とする,と考えられています。」
甲
「『混同を生じさせる行為』とは,現実に混同が生じている必要がありますか。」
乙の発言4 「いいえ,おそれがあれば足りると考えられています。おそれの有無は,一般消費
者を基準として判断されるべきであるとされています。」
ア
発言1 イ 発言2 ウ 発言3 エ 発言4
23
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問29
家電メーカーX社は,日本において登録している商標「ABC」について,日本での輸入差止
申立てを検討している。X社の知的財産部の部員甲とその上司である乙が,当該輸入差止申立て
に関して会話をしている。ア~エを比較して,甲の発言として,最も不適切と考えられるものは
どれか。
甲
「税関に相談して,ようやく輸入差止申立てのための必要書類の準備が終わりまし
た。」
乙
「どの税関に相談しているのかな。」
甲
「東京税関になります。」
乙
「わかった。次はどの税関に申立てをする予定なのかい。」
甲の発言1 「いえ,1つの税関に申立てを行えば,別の税関に別途申立てをする必要はありま
せん。」
乙
「なるほど。ちなみに,今回は商標『ABC』についての申立てだから,申立ての
対象となっていない他の商標に係る模倣品については税関での差止めはされない
ということかな。」
甲
「そんなことはありません。商標については輸入差止申立てを行えば,税関におけ
る認定手続の簡素化手続,つまり輸入者に争う意思がない限り,権利者が意見書
を提出しなくても侵害の該否の認定を税関がしてくれるようになりますが,通常
の認定手続は輸入差止申立てをしていない商標についても行われます。」
乙
「それはよかった。この申立てをすれば,申立てに係る商標を付した商品について
は,すべて簡素化手続になるということだね。」
甲の発言2 「そうですね。商標『ABC』の指定商品と同一又は類似の商品で『ABC』を無
断で使用している商品については,すべて簡素化手続の対象となります。」
乙
「簡素化手続の場合には,輸入者が争わない限り権利者が意見書を提出しないとい
うことだけど,疑義貨物の写真はもらえるのかな。もらえれば,今後の模倣品対
策にも活用できるし。」
甲の発言3 「依頼はしてみますが,輸入者に争う意思がなく権利者が意見書を提出しなくても
いい場合には,疑義貨物の写真を送付するような手続はありませんので,難しい
と思います。」
乙
「あれ,でも,以前に疑義貨物の写真が来てなかったかい。」
甲の発言4 「あれは通常の認定手続のものです。通常の認定手続に入る前に税関から鑑定依頼
があることがあり,疑義貨物の写真が送付されてくることがあります。また認定
手続においても,意見書を提出するために必要があるときは,申出により疑義貨
物の写真をメールで受け取ることができます。」
ア
発言1 イ 発言2 ウ 発言3 エ 発言4
24
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問30
家電メーカーX社の商標「ABC」を付した疑義貨物について認定手続が開始されたところ,
輸入者から,次の意見書が提出された。
本件貨物は中国においてX社の販売代理店から正規に購入したものです。少なくとも商標
権侵害品とは知らずに購入したものです。また個人使用目的で購入したものです。
これを受けて,X社の知的財産部の部員甲とその上司である乙が輸入者からの当該意見書につ
いて会話をしている。ア~エを比較して,甲の発言として,最も適切と考えられるものはどれか。
乙
「随分短い意見書だけど,これって何か意味のあることが書いてあるのかい。」
甲
「いろいろとありますね。」
乙
「そうか。当社の販売代理店から購入したというのは問題になるのかな。」
甲の発言1 「そうですね。本当に疑義貨物が中国の当社の販売代理店が販売している製品であ
る場合,わが社が当該販売代理店に納入している正規品である場合はもとより,
当該販売代理店がわが社との販売代理店契約の範囲を超えて製造販売していた製
品であっても,当該販売代理店にはわが社の製品を商標『ABC』を使用して販
売する権利がありますので,並行輸入の問題が生じます。」
乙
「なるほど。この輸入者が商標権侵害品と知らずに購入したものだという主張は意
味があるのかな。」
甲の発言2 「はい。知らずに購入した物を輸入した場合についてまで差し止めるのはさすがに
輸入者に酷ですので,特に個人使用目的の場合には,この『知らなかった』とい
う主張は問題になります。」
乙
「『個人使用目的』というのも問題になるのかな。」
甲の発言3 「商標法上は特に明確な規定はないのですが,関税基本通達において,業として輸
入されるものでないものは知的財産権侵害品にならない旨が規定されております
ので,個人使用目的の場合には,この『業として』に該当しないので,差し止め
ることはできません。」
乙
「そうすると,疑義貨物が1つの場合は,『個人使用目的』と主張すれば通関でき
てしまうということかな。」
甲の発言4 「確かに輸入貨物が1個の場合には,『業として』の該当性が否定される可能性は
あります。もっとも,1個であるから直ちに『業として』の該当性が否定される
わけではありませんので,そのような場合でも,その他の事情の情報収集に努め
るのがいいと思います。例えば,当該輸入者がインターネット上で疑義貨物と同
一の商品を販売している事実などが発見できた場合には,『業として』の輸入で
あることの有力な証拠となります。」
ア
発言1 イ 発言2 ウ 発言3 エ 発言4
25
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問31
自動車部品メーカーX社は,中国において自社の商標「ABC」について税関登録をすること
を検討している。ア~エを比較して,中国における税関手続についての留意点として,最も不適
切と考えられるものはどれか。
ア
中国において商標権の税関登録を行うと,当該商標を付した正規品も税関により止められる
ことがある。このため,ホワイトリストを提供できるといいが,税関側のシステムが未だに
整備されておらず,ホワイトリストを提供する方法がない。
イ
中国においては,税関に商標権に基づく差押えの申立てをする場合に,貨物の価格に応じた
担保金を提供しなければならない。総担保を提供すれば,案件毎に担保金を提供する必要は
なくなる。
ウ 日本と異なり,中国においては,疑義貨物の通関を止めている期間の倉庫料,保管料,廃棄
等の処分費用は,知的財産権者が負担することになっている。このため,担保金が返還され
る際に,これらの金額が控除されることになる。
エ
税関は,登録された商標権を侵害する貨物を発見した場合,知的財産権者にその旨を通知す
る。知的財産権者は当該通知を受けた日から3営業日以内に回答しなければならないが,日
本の企業の場合,中国における「営業日」であることに注意が必要である。
問32
中国進出を考えているX社が中国国内の商標を調査したところ,自社使用商標がすでに第三者
により商標登録出願されているのを発見した。ア~エを比較して,最も適切と考えられるものは
どれか。
ア
第三者により出願された商標に対し,予備的査定がなされすでに公告されている場合,X社
は当該商標に対し異議申立てをすることができない。
イ
第三者により登録された商標が,3年間継続して中国で使用されていなかった場合には,X
社は当該商標の取消しを請求することができる。
ウ 第三者により出願された商標が,すでに登録されており,登録日から5年が経過している場
合には,X社が無効審判請求をできる場合はない。
エ
X社の使用商標が,以前中国で馳名商標として認定されたことがある場合,今回第三者によ
り出願された商標が登録されることはない。
26
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問33
アパレルメーカーX社は,中国で販売する予定のバッグについて,中国で意匠権を取得するこ
とを検討している。ア~エを比較して,最も適切と考えられるものはどれか。
ア 中国で意匠権を取得していない場合でも,反不正当競争法により同一デザインの製品に対し
販売の差止め等を求める余地がある。この場合,保護を求める製品が中国で有名である必要
はない。
イ
中国では日本と異なり部分意匠が認められていないため,バッグが半製品の状態での権利行
使が認められない可能性がある。
ウ
中国での意匠の権利化に際しては日本と同様に実体審査が行われるため,新規性のない意匠
は基本的に登録されない。
エ
中国での意匠権の要件である新規性については国内公知主義がとられているため,日本で公
知となった意匠も中国では新規性を失ったものとはみなされない。
問34
ア~エを比較して,中国で商標権を侵害する模倣品に対する対応策について,最も不適切と考
えられるものはどれか。
ア
中国では,権利侵害者に対し,民事訴訟・刑事訴訟を提起して製造の差止めや損害賠償を求
めることができると共に,事案が悪質な場合には刑事責任の追及を求めることができる。ま
た,行政機関に対し取締りを求めることもできる。
イ
行政機関に対し取締りを求める場合には,当該知的財産を管轄する行政機関に対し,ごく簡
単な情報を提供するだけで足り,模倣品業者の所在地,模倣品の概要等の証拠を自ら提供す
る必要はない。
ウ
商標権の侵害を理由とした行政取締りを求める場合には,日本の特許庁にあたる知識産権局
でなく,企業名等を管轄する工商行政管理局に対し取締りを求める必要がある。
エ 中国でもいわゆる懲罰的賠償が導入されたため,一定の要件を満たす場合には侵害により受
けた実際の損失の3倍以下の賠償金が科される場合がある。
27
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
8
問35~問39に答えなさい。
問35
X社は,日本出願を基礎として国際登録出願を行った。その後,国際登録日から6カ月程経過
した頃,基礎とする日本出願についての日本国特許庁による審査において拒絶理由通知を受け,
一部の指定商品を削除する補正を行った。ア~エを比較して,基礎出願における当該補正が国際
登録へ与える影響として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
国際登録の指定商品についても,基礎出願において削除された商品が取り消される。この場
合,当該取消しは国際事務局により自動的に行われ,国際登録簿に反映される。
イ 国際登録の指定商品についても,基礎出願において削除された商品が取り消される。この場
合,出願人は,基礎出願の指定商品についての補正手続を行った後に,別途国際登録の指定
商品についても同様の商品減縮の手続を行う必要がある。
ウ
国際登録は,基礎出願の指定商品の一部が削除されたとしても何ら影響は受けず,もとの出
願時の指定商品のままで変わりない。
エ 国際登録の指定商品との齟齬が生じるため,国際登録全体が取り消されることになる。この
場合,救済措置として,一定条件のもと国際登録を各指定国の国内出願に転換することがで
き,当該国内出願の出願日は国際登録日まで遡及する。
問36
ア~エを比較して,欧州共同体商標意匠庁への商標登録出願に関する次の文章の空欄
3
1
~
に入る語句の組合せとして,最も適切と考えられるものはどれか。
欧州共同体商標は,
1
を有することが絶対的登録要件である。色彩,3D,ホログラ
ムに関する商標も登録が可能である。なお,ドイツでは,触感に関する商標の登録例があり,
ベネルクスでは味に関する商標の登録例がある。出願日の認定に関し,これらの商標は通常
の商標と
2
,商標見本の記載をもって認定される。
1
を有さない場合は,その旨が
出願人に通知され,出願人は意見書や補正書で反論することができる。このとき,審査官か
ら
3
を求められることがある。
ア
1
=識別性
2
=異なるものはなく
3
=ディスクレーム
イ
1
=視認性
2
=異なるものはなく
3
=ディスクレーム
ウ
1
=識別性
2
=異なり追加料金の支払を要し
3
=出願取下
エ
1
=視認性
2
=異なり追加料金の支払を要し
3
=出願取下
28
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問37
日本人である出願人が米国で直接,連邦商標登録出願をする場合において,商標出願日が認定
されるためには,37 C.F.R. §2.21(a)に定められる情報が必要とされている。ア~エを比較して,
(a) ~ (g)のリストの中から37 C.F.R. §2.21(a)に記載される出願日認定のための絶対的要件として,
最も適切と考えられるものはどれか。
(a) 商標
(b) 出願の基礎
(c) 指定商品・役務の記載
(d) 出願人
(e) 現地代理人
(f) 使用証拠
(g) 最低 1 区分の出願費用
(a),(c),(d),(e),(f)
ア
イ (a),(b),(c),(d),(g)
ウ (a),(c),(d),(e),(g)
(a),(d),(e),(f),(g)
エ
問38
ファッションデザイナーである山田さんは,オリジナルブランド「YAMADA」を米国に展
開することとした。ア~エを比較して,商標「YAMADA」として連邦商標登録を目指す際の
留意点として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
色やトレードドレスなど比較的商標の保護範囲が広い米国においては,氏についても本質的
に識別力を有するものと考えられている。第三者の商標と混同を生じさせることがなければ,
拒絶理由通知を受けることなく連邦登録が認められている。
イ 米国において氏は本質的に識別力を有さないものと考えられる。商標「YAMADA」のセ
カンダリー・ミーニングの獲得を証明できなければ,連邦登録は認められない可能性が高い。
ウ 商標「YAMADA」が珍しい,又はありふれた氏という判断に関係なく,米国において氏
の連邦登録は一切認められない。
エ 米国において氏が連邦登録を受けるためには,商標「YAMADA」が,米国において実際
に商業使用をされていることが義務づけられる。使用証明することができれば,拒絶理由通
知を受けることなく連邦登録が認められる。
29
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問39
ア~エを比較して,米国の商標権ライセンスにおける「Naked License」に関する解釈として,
最も不適切と考えられるものはどれか。
ア
ランハム法は,ライセンサーである商標権者が,ライセンシー製品の品質管理をすることを
義務づけている。
イ ライセンサーがライセンシー管理を義務づけられているのは,ライセンサーの商標が有する
品質や一貫性を信頼し,ライセンシーの製品を購入する消費者の保護を図るためである。
ウ Naked Licenseは,正当な品質コントロールを欠くライセンスの付与として,ライセンサー
は商標権を放棄したとみなされる可能性がある。
エ
書面による契約がない商標ライセンスは,ライセンシーに対して十分なコントロールを行っ
ていたことを示す証拠がないと判断され,Naked Licenseとしてライセンサーの商標権の喪
失に至る。
30
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
9
化学品メーカーX社の知的財産部の部員甲は,事業部の部員乙とともに,約1年後に更新期
限が到来する自社所有の国際商標登録の更新について検討している。当該国際商標登録の内容
は次の通りである。問40~問41に答えなさい。
商標:
「ABC」
指定国:
アメリカ,イギリス,ドイツ,フランス,イタリア,フィリピン,中国
区分:
第1類
第17類
unprocessed plastics (原料プラスチック)
plastic substances, semi-processed (半加工プラスチック)
問40
ア~エを比較して,乙の発言に対する甲の回答として,最も適切と考えられるものはどれか。
乙
「現在,わが社はフィリピンと中国では事業から撤退していて,商標も使用していないです。
将来的にどうなるかは未定ですが,少なくとも5,6年は事業の再開はないと思います。」
ア
「更新時に指定国を減らすことはできないので,フィリピンと中国も含む全指定国について
の一括更新を行う必要があります。」
イ
「更新時に指定国を減らすことができるので,今回はフィリピンと中国は更新しません。も
し事業を再開する場合には,10年後の更新申請時に両国を再度追加することで指定国と
して復活させることができます。」
ウ
「更新時に指定国を減らすことはできます。フィリピンと中国において将来的に事業が再開
される可能性がゼロではないようなので,今回は全指定国について分割納付として前期5
年分のみ納付しましょう。後期分の納付期限までに事業再開の目処がたたないようであれ
ば,その時点でフィリピンと中国について権利を放棄する手続をとります。」
エ
「更新時に指定国を減らすことはできます。但し,今回更新しなかった両国については今回
の更新期限をもって権利は消滅するため,将来事業が再開され商標を使用することになっ
た場合には,事後指定するか又は両国において別途新たな個別出願を行う必要がありま
す。」
31
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問41
ア~エを比較して,乙の発言に対する甲の回答として,最も適切と考えられるものはどれか。
乙
「出願当初は,原料プラスチックに加えプラスチックをシート状に加工したものも販売する
予定でしたが,結局,原料プラスチックのみの事業展開となりました。この方針は変わら
ないので,第17類はもう必要ありません。」
ア
「更新時に区分を減縮することができるので,今回は第1類のみ更新します。WIPOの
ウェブサイトにおけるE-renewalでオンライン更新の手続をする際に更新する区分を選択
することができます。」
イ
「区分を第1類のみに減縮して更新しましょう。具体的には,WIPOのウェブサイトにお
いて,E-renewalでのオンライン更新手続と同時に,別途商品減縮の手続を紙フォーム,
つまりMM6で行います。」
ウ
「区分を第1類のみに減縮して更新しましょう。具体的には,まず商品減縮の手続を紙
フォーム,つまりMM6で行い,当該減縮が国際登録簿に記録された後に,WIPOの
ウェブサイトにおけるE-renewalでオンライン更新手続を行います。」
エ
「更新時に区分を減縮することはできません。第1類について権利を維持する必要がある以
上,今回は第17類も含む2区分について更新します。」
32
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
10
米国で連邦商標登録出願を行った日本企業X社は,米国特許商標庁から次の拒絶理由通知
を受け取った。問42~問43に答えなさい。
UNITED STATES PATENT AND TRADEMARK OFFICE (USPTO)
OFFICE ACTION (OFFICIAL LETTER) ABOUT APPLICANT’S TRADEMARK
APPLICATION
U.S. APPLICATION SERIAL NO. 899999XX
MARK: XXXXXX
APPLICANT: COMPANY X
OFFICE ACTION
STRICT DEADLINE TO RESPOND TO THIS LETTER
TO AVOID ABANDONMENT OF APPLICANT'S TRADEMARK APPLICATION,
THE USPTO MUST RECEIVE APPLICANT’S COMPLETE RESPONSE TO THIS
LETTER WITHIN 6 MONTHS OF THIS ISSUE/MAILING DATE BELOW.
ISSUE/MAILING DATE: 11/18/2014
Registration Refused: Mark is Merely Descriptive
Registration is refused because the applied-for mark merely describes a feature or
characteristic of applicant’s goods and/or services. Trademark Act Section 2(e)(1),
15 U.S.C. §1052(e)(1); see TMEP §§ 1209.01(b), 1209.03 et seq.
A mark may be merely descriptive even if it does not describe the full scope and
extent of the applicant’s goods or services. In re Oppedahl & Larson LLP, 373 F.3d
1171, 1173, 71 U.S.P.Q.2d 1370, 1371 (Fed. Cir. 2004); TMEP § 1209.01(b). It is
enough if a mark describes only one significant function, attribute, or property. In
re The Chamber of commerce of the U.S., 675 F.3d 1297, 1300, 102 U.S.P.Q.2d 1217,
1219 (Fed. Cir. 2012). A mark that describes an intended user or a group of users
of a product or service is merely descriptive. E.g., In re planalytics, Inc., 70
U.S.P.Q2d 1453 (T.T.A.B. 2004).
33
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問42
ア~エを比較して,X社の出願が拒絶される理由として,最も適切と考えられるものはどれか。
ア
X社の商標は一般名称として一般公衆に認識されているマークであることから,
Trademark Act Section 2(e)(1)により当該出願の登録は拒絶される。
X社の商標は,既存の登録商標と出所混同を招く可能性があることから,Trademark Act
イ
Section 2(e)(1)により当該出願の登録は拒絶される。
ウ
X社の商標は,その商品がターゲットとする特定の顧客を直接的に表現しているだけなので,
Trademark Act Section 2(e)(1)により当該出願の登録は拒絶される。
X社の商標は不道徳,欺瞞的,中傷的なマークであるため,Trademark Act Section 2(e)(1)
エ
により当該出願の登録は拒絶される。
問43
ア~エを比較して,米国特許商標庁から受けた拒絶理由通知へのX社の対応として,最も適切
と考えられるものはどれか。
ア
指定商品・役務の内容を具体的な記載に補正することで,使用の範囲を狭くする。
イ
X社の商標からX社の商品や役務の性質が何であるかを理解するには,ある程度の想像力を
要することを主張する。
ウ
X社の商品・役務は,ターゲットとなる消費者が熟考して購入するものであることから,第
三者の商標と混同を生じさせることはないことを主張する。
エ X社の商標に類似する商標が連邦商標登録を受けていることを示す。
34
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
11
TB,LLC社によるCTM出願に対して,FOSCO,SA社が異議申立てを行った。
次の文書は,欧州共同体商標意匠庁による本件異議申立ての決定である。なお,FOSCO,
SA社の商標登録は,2012年6月以前になされたものである。問44~問45に答えなさ
い。
OPPOSITION No B 2 XXX XXX
Fosco, SA, xx, 00000 Barcelona, Spain (opponent), represented by X, Spain
(professional representative)
against
TB, LLC, xx NJ 00000, United States of America (applicant), represented by Y,
United Kingdom (professional representative).
On 30/04/2015, the Opposition Division takes the following:
DECISION:
1. Opposition No B 2 XXX XXX is upheld for all the contested goods, namely:
Class 18: Leather bags; all-purpose sport, athletic and carrying bags; back packs.
2. Community trade mark application No 1X XXX XXX is rejected in its entirety.
3. The applicant bears the costs, fixed at EUR 650.
REASONS:
The opponent filed an opposition against all the goods of Community trade mark
application No 1X XXX XXX. The opposition is based on Community trade mark
registration No 7 XXX XXX. The opponent invoked Article 8(1)(b) CTMR.
LIKELIHOOD OF CONFUSION – ARTICLE 8(1)(b) CTMR
A likelihood of confusion exists if there is a risk that the public might believe that
the goods or services in question, under the assumption that they bear the marks in
question, come from the same undertaking or, as the case may be, from
economically-linked undertakings. Whether a likelihood of confusion exists depends
on the appreciation in a global assessment of several factors, which are
interdependent. These factors include the similarity of the signs, the similarity of
the goods and services, the distinctiveness of the earlier mark, the distinctive and
dominant elements of the conflicting signs and the relevant public.
a) The goods and services
The goods and services on which the opposition is based are the following:
(次ページに続く)
35
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
Class 18: Leather and imitations of leather, and goods made of these materials and
not included in other classes; animal skins, hides; trunks and travelling bags;
umbrellas, parasols and walking sticks; whips, harness and saddlery.
The contested goods are the following:
Class 18: Leather bags; all-purpose sport, athletic and carrying bags; back packs.
Contested goods in Class 18
The contested leather bags are included in the broad category of the opponent’s
leather and goods made of these materials. Therefore, they are considered identical.
The contested all-purpose sport, athletic and carrying bags and back packs coincide
in purpose, distribution channels and end users of the opponent’s travelling bags.
Therefore, they are considered similar.
b) The signs
FOSCO (bold, stylised)
Earlier trade mark
FOCO
Contested sign
The relevant territory is the European Union.
For reasons of procedural economy, the Opposition Division will focus the
comparison of the signs on the French-speaking part of the relevant public.
The earlier sign, ‘FOSCO’, is a figurative mark in slightly stylised bold upper case
letters, and the contested sign, ‘FOCO’, consists of one word in upper case letters.
Visually, the signs are similar to the extent that they coincide in the sequence of
letters ‘FO’ and ‘CO’. On the other hand, they differ in the additional letter, ‘S’, in
the centre of the earlier mark.
Aurally, the pronunciation of the signs coincides in the syllables ‘FO’ and ‘CO’,
present identically in both signs, and to that extent the signs are aurally similar.
The pronunciation differs in the letter ‘S’ of the earlier sign, which has no
counterpart in the contested mark.
Conceptually, neither of the signs has a meaning for the public in the relevant
territory. Since a conceptual comparison is not possible, the conceptual aspect does
not influence the assessment of the similarity of the signs.
Taking into account the abovementioned visual and aural coincidences, it is
considered that the signs under comparison are similar.
(次ページに続く)
36
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
c) Distinctive and dominant elements of the signs
d) Distinctiveness of the earlier mark
e) Relevant public – level of attention
(略)
f) Global assessment, other arguments and conclusion
The contested goods are identical or similar to the opponent’s goods.
The signs are visually and aurally similar, owing to the presence of the sequence of
syllables ‘FO’ and ‘CO’, which correspond to the first two and the last two letters of
the earlier sign, and to the contested sign in its entirety. On the other hand, they
differ in the central letter ‘S’ of the earlier mark.
In the light of the foregoing, and taking into account the fact that consumers tend to
remember similarities rather than dissimilarities between signs, and that the
average consumer only rarely has the chance to make a direct comparison between
the different marks, and must place his or her trust in the imperfect picture of them
that he or she has kept in his or her mind, it is considered that, at least from the
perspective of the relevant French public, the visual and aural dissimilarities
between the signs are not enough to counteract the visual and aural similarities
between the signs. Therefore, the Opposition Division finds that there is a likelihood
of confusion for at least this part of the public.
Considering all the abovementioned, the opposition is therefore well founded on the
basis of the opponent’s Community trade mark registration. It follows that the
contested trade mark must be rejected for all the contested goods.
COSTS
According to Article 85(1) CTMR, the losing party in opposition proceedings must
bear the fees and costs incurred by the other party.
Since the applicant is the losing party, it must bear the opposition fee as well as the
costs incurred by the opponent in the course of these proceedings.
The Opposition Division
Maria LARSSEN
Eric KELLY
37
Christina DAHLBERG
【第 23 回 1 級(ブランド専門業務)学科試験】
問44
ア~エを比較して,出願人TB,LLC社による,本件異議申立てへの反論として,最も適切
と考えられるものはどれか。
ア 出願商標に使用される商品と異議申立人の商標に使用される商品は類似していない。
イ 出願商標,異議申立人の商標ともに,短い文字から構成されることから,消費者は両商標の
差異を容易に区別できる。
ウ
異議申立人の商標は,意味がよく知られた語であるから,識別力を有していない。
エ
異議申立人の商標に使用される商品の記載内容が,広範すぎて不明瞭である。
問45
ア~ウを比較して,欧州共同体商標意匠庁の異議部が行った,本件異議申立ての決定の根拠と
して,最も適切と考えられるものはどれか。(この問題には選択枝エはない)
ア
出願商標は記述的商標にあたり,識別力を有していないと判断した。
イ
出願人による出願商標の使用により,消費者を混同させる可能性があると判断した。
ウ
出願人が指定した商品の記載内容が,広範すぎて不明瞭であると判断した。
38
知的財産教育協会
【1級学科】
番号 正解
問1 ウ
問2 ア
問3 ウ
問4 イ
問5 エ
問6 ウ
問7 イ
問8 ア
問9 ウ
問10 ウ
問11 イ
問12 エ
問13 エ
問14 イ
問15 エ
問16 イ
問17 ア
問18 ア
問19 ウ
問20 ア
問21 ウ
問22 ウ
問23 ウ
問24 ウ
問25 ウ
問26 ウ
問27 ウ
問28 ア
問29 イ
問30 エ
問31 ア
問32 イ
問33 イ
問34 イ
問35 ア
問36 ア
問37 ウ
問38 イ
問39 エ
問40 エ
問41 ウ
問42 ウ
問43 イ
問44 イ
問45 イ