2016 年夏期セミナー心理学講義 選択理論 ~リアリティ・セラピー~ 2016.08.13 1.選択理論とは 選択理論は、精神科医ウイリアム・グラッサー博士によって提唱されたカウンセ リング手法であるリアリティセラピー(現実療法)の基本理論です。 「1965 年に『現実療法』(Reality Therapy)が出版されて一躍注目されるようになっ た。これまでの過去、感情、症状に焦点を当てる方法とは異なり、現在の満たされ ていない重要な人間関係にいち早く焦点を当てることによって、問題解決を試みる カウンセリング手法である。 ことさら洞察を目指すものではないので、小さな子どもからどんなレベルの人に も関われる手法である。対象年齢を問わず、犯罪矯正、薬物依存、精神病、親子・ 夫婦の家族関係、スクール・カウンセリング、職場のマネジメントと適用範囲は広 範囲である。 」(日本リアリティセラピー協会サイトより引用) 選択理論の考えは、 「他人を変えることはできない。変えることができるのは自分 だけである」をモットーに、人が生きていくうえで、避けることのできない人との 関係を良好なものにして、幸福に生きていく方法を説く心理学理論です。選択理論 を使いカウンセリングを行っていくのが、リアリティセラピーです。 「自分を変える」ということは、自己をコントロールするということになります。 「他人を変えることができない」ということは、他人をコントロールすることはで きない、ということになります。 人はよくこのようなことを言います。 「私が今不幸なのは、あの人が○○したからだ」 自分には一切の責任がなく、悪いのはすべて他人のせいということです。 しかし、選択理論では、このように言います。 「自分の行動のすべては、自分で選 。つまり、今自分が んでいる。それは、惨めな感情や神経症などの症状であっても」 不幸なのも、人のせいではなく、自分が選んだ行動によるものであるということで す。ここで「選ぶ」という言葉がでてきましたが、選択理論という名称はここから 1 きています。自分の行動は自分で選択している、ということです。 自分で選択可能な自分の行動や思考を適切に選択することで、人間関係その他の 問題を改善する理論です。 それでは、この後、選択理論の主要な概念について説明していきます。そのなか で、私たちが自分の行動を選択しているということが理解できていくのではないか と思います。その前に、選択理論と反対の他人をコントロールするという普段私た ちがよく行っていることがマイナスであることについて説明します。 2.外的コントロール心理学 選択理論を理解しやすくするために、選択理論とは逆の他人を変える、他人をコ ントロールすることについて説明します。選択理論では、他人をコントロールして 変えようとすることを「外的コントロール心理学」と言います。 私たちは往々にして、人を自分の思うように動かしたい、支配したいと思います。 そして、そのために、罰を与えたり、褒美を与えたりして相手を自分の思うように させます。 例えば、子どもが勉強しないと、おやつを与えないとか、テストでいい点取った ら○○あげるなどがそうです。このような対応では、子どもは一時的に勉強するか もしれませんが、このような対応が頻繁になると、効果も薄くなり、また、親子関 係がかんばしくないものにもなっていきます。 外的コントロール心理学には、 「致命的な 7 つの習慣(行き過ぎやすい習慣) 」と いうものがあります。 ※ここで「致命的な」という表現がされていますが、それはグラッサー博士 の臨床経験から、この7つの習慣が頻繁に使われたことで問題を生じさせ たクライアントを多く診ていることから、行き過ぎやすい習慣という意味 で「致命的な」という強い・極端な表現を使っているものと理解していた だいたらと思います。 ①批判する ②責める ③文句を言う 2 ④ガミガミ言う ⑤脅す ⑥罰する ⑦ほうびで釣る この習慣が習慣的に実践されることで、基本的欲求が充足されず、問題が発生し ます。この7つ以外でも、相手の罪悪感に訴える、無視するなどのコントロール法 もあります。 外的コントロールに害がないならばいいのですが、そうではなく外的コントロー ルによって他人を思うように動かそうとすることで、人間関係が損なわれることに なります。なぜなら、人に支配されることを快く思う人はいません。脅しや罰によ って人を思うように動かしても、そのときだけで、その人との信頼に基づいた温か い人間関係を結ぶことはできません。 人間は人との関係に支えられて生きています。良好な人間関係が結ぶことができ ない人は、孤独を感じ、良好な人間関係から得られる喜びを感じることができない ので、他のことでその欲求を満たそうとします。たとえそれが、一見してマイナス なことであっても手っ取り早く快感を得られるものに手を出してしまいす。お酒、 麻薬、暴力、ギャンブルなどがそうです。ですから、アルコール依存症の人など、 良好な人間関係が持てるように支援していくことで、お酒を飲む必要がなくなって いきます。 日常において、お互いがお互いに、相手をコントロールしようとするわけですか ら、良い関係を築くことは難しくなります。 他人をコントロールし、変えるのではなく、自分をコントロールして変えること で良い人間関係を目指す選択理論が有効であることがわかると思います。 「グラッサーのアイディアを教育界で使ってグラッサー・クオリティ・スクールが いくつも誕生している。実践校では 7 つの習慣は実践されず、教師と生徒との関係 は対立構図ではない。外的コントロールを使わない、温かい人間関係のなかで、ク ライエントは問題解決をし、生徒は勉学に取り組んでいると報告されている。 」 (日本リアリティセラピー協会サイトより引用) ここに書かれている対立構図ではではない関係はどのような態度、習慣から生まれ てくるのでしょうか。 3 選択理論が説く「身につけたい7つの習慣」 (不足しがちな習慣) ①耳を傾ける ②励ます ③尊敬する、敬意をはらう ④受け入れる ⑤違いを交渉する。調整する。話し合う。 ⑥信頼する ⑦支援する 外的コントロールの7つの習慣ではなく、上記の7つの習慣を実践することで人 間関係は良好で温かいものになっていくことはおわかりになるかと思います。 3.選択理論の主な概念 1)行動の仕組み (1)行動の4つの要素 選択理論では、行動を4つの要素に分けて考えます。普通の捉え方と少し違いま すので、単に行動と言わずに「全行動」という言い方をします。 その4つとは、 ①行為:通常、行動と言われる外側に現れた身体の行い、表情。 ②思考:思い、考え。 ③感情:気分や感情。 ④生理反応:汗が出る、血圧が上がる、動悸がする、食欲不振、不眠、頭痛など の身体反応。 思考や感情まで行動という言葉の枠組みに入れてしまうことに承諾しにくい人も いるかもしれませんが、仕事をしているときでも、ある動作(行為)があり、やり ながら、 「どうやるかを」考えながらやり、その過程において、さまざまな気分・感 情が生じてくるでしょう。そして、体を動かすことや、集中していることでの生理 反応はあるでしょう。これが「全行動」ということです。 例えば、掃除・片付けをするというとき。掃除機をかけている、あるいは、雑巾 で拭いているという「行為」があり、そのとき、「ここは汚れがひどいなあ」とか、 4 「もっと力入れて拭かないときれいにならないなあ」などと「思考」したり、だん だんきれいになってくることに「気持ち良い」という「感情」もあるでしょう。ま た、体を動かしていることで何らかの生理反応はあるでしょう。 このように、1つの行動にはこの4つはつながって生じています。 (2)コントロールできるのは、 「行為」と「思考」 この「全行動」を選択理論では、自動車に例えて説明します。4つの要素を4つ のタイヤに見立てます。 「行為」と「思考」が前輪で、 「感情」と「生理反応」が後輪です。 車を運転する場合、前輪を操作することで、進む方向が決まります。私たちの行動 についても同様で、前輪である「行為」と「思考」を操作=コントロールすること で、進む方向も決まり、 「感情」や「生理反応」も決まります。 ですから、自分の行動を選択すると言った場合、どのような「行為」を行うか、 どのような「思考」をするかを選択するということになります。「行為」と「思考」 は選択できます。 自己コントロールというとき、この「行為」と「思考」をコントロールすること だと理解することは、とても大切なことです。気分を直したいので、良い気分を選 ぼうとしても、良い気分を選ぶことはなかなかできません。気分に影響を与える「行 為」や「思考」を変える=選ぶことならできます。もちろん、長年の習慣がありま すから簡単に変えられるというわけではありませんが、練習によって「行為」や「思 考」を変える=選びなおすということはできるようになります。気分転換というと き、散歩したり、お茶を飲んだりするということは普通にやっているかと思います が、それをもっと積極的に重要な場面でも行うということです。 認知療法でも、 「思考」=ものの見方・考え方を変えて「感情」を変えるというこ とでした。ここは選択理論と認知療法が同じ見解というか、事実に気づいたアプロ ーチをしているということになります。 (3)落ち込みも選択 生きていくうえで、落ち込むことがあるのは普通のことです。ただ、その落ち込 みを持続させているのは、その人の選択によってである、ということです。 5 落ち込みを持続させるには、どのような行動をとったらいいでしょうか? 家に閉じこもる。布団にくるまって「自分なんてダメだ」と繰り返し考える。 一方、落ち込みが持続しそうにない行動はどんな行動があるでしょうか? 外に出て少し早めに歩く。自分の好きな美味しい食べ物を食べる。お笑いを見る などが考えられます。まだまだあるでしょうから、皆さんで考えてみてください。 いかがでしょう? 落ち込みを持続させる行動も、持続させない行動もどちらも選ぼうと思えば選ぶ ことができます。もちろん、持続させない行動を選ぶのは、多少の努力は必要でし ょうが、できないことではありません。それを選び行うことで、気分は変わってき ます。 では、なぜ、落ち込みを持続させるのでしょうか。落ち込みを持続させるには、 それなりの理由、メリットがあるからです。そのメリットとは、 ①人にお願いしなくても助けが得られる。 落ち込んでいることで、人から心配してもらえる。 つまり、落ち込むことで他人をコントロールできる。 ②逃避 落ち込むことで、したくないこと、恐れていることをしない言い訳としている。 「こんな状態でそれどころではない」と言ってやることから逃避している。 ③怒りの抑制 落ち込むことで活動を鈍らせ、怒りを抑制し、怒りから生じる破壊行動を止める。 人は、何かうまくいかないと、怒りか落ち込むかのどちらかが生といいます。 怒りは人間関係にしろ、物理的なものにしろ、破壊へと導きますから、落ち込む ことを選択することで、怒りの弊害を防ぐことができるというわけです。 (4)怒りも選択 怒りは普通誰にでも生じるものです。自分がやってほしくないことを他人がした 場合など、「ムカッ」「イラッ」とすることはあるでしょう。問題は、そのとき、ど うするかです。怒りを強くし、長引かせるか、瞬間的なもので終わらせるかは選択 の問題です。 6 怒りを強くし、長引かせるにはどういう行動をとったらいいでしょうか? 相手の行ったことを何度も思い起こし、 「何であんなことしやがったんだ」と繰り 返し考える。舌打ちをし、握り拳を強く握る、など。 一方、怒りの炎を大きくしないためには、どんな行動をとったらいいでしょう? 大きく深呼吸する。顔を洗う。屈伸するなど、体を動かす。怒りに水を差すとい う感じです。 怒りを持続させる行動、止める行動のどちらも行うことはできることはわかって いただけると思います。あとは、自分がどちらを選ぶかにかかっています。 (5)感情のコントロール 今も揚げました怒りが特にそうですが、感情というものは気づかないうちに瞬間 的に生じています。しかし、選択理論の行動の仕組みから考えて、上でも示したよ うに、瞬間的に生じた感情への処し方は自分で選択しているということになります。 通常、その処し方は無意識的、自動的に起こってしまいます。 瞬間的に怒りが生じると、次に自動的にガミガミ言うとか、怒鳴る、無視する、 睨むなどの行動をとります。ここが問題です。こうした行動は長年の蓄積で習慣化 していて、無意識的に、自動的に生じるようになってしまっています。このような 行動のことを選択理論では<整理された行動>と言います。<整理された行動>は、 使い慣れているために自分で選んだ行動だとは思えませんが、怒りが生じた後、怒 鳴らない処し方もあります。怒鳴るのは、怒鳴ることを選んでいるからです。 そこで、この習慣化したマイナスの行動を選ぶことを辞め、新たな行動を選択す ることを学ぶことが必要になります。その手順を以下に紹介します。 ①自分が取っている行動は、感情を悪化させるものか、どうか吟味する。 ②その行動がマイナスの結果を生むのであれば、それとは違うどのような行動をと ったらいいか検討する。これは、先ほど、落ち込みや怒りを持続させない行動を 考えましたが、そのように検討します。 ③そして、それを実行する。 この①~③を行うのは、怒りなら怒りの感情が出ているときはやりにくいでしょ うから、そうでないときに考えてみるとよいでしょう。そして、今度、そのような 行動が出たときには、あらかじめ考えていた持続させない行動を実践します。怒り 7 がでているときでも、できるならもちろんやるといいでしょう。持続させない新し い行動を習慣化してしまえばいいのです。そのためには、習慣化するための練習と 時間は必要です。 ここで、もう一度、行動の仕組みの4つの要素を思い出してみましょう。「行為」 「思考」 「感情」 「生理反応」でした。そしてこの4つを車の車輪に喩えると、 「行為」 「思考」が前輪で、「感情」「生理反応」が後輪でした。車の方向を変えられるのは 前輪です。 「感情」を変える、あるいは左右されないようにするためには、前輪であ る「行為」 「思考」の方向を変えればいいのです。 感情に支配されないようになるためには、ハンドルをしっかり握って、前輪であ る「行為」 「思考」を今までとは違う方向に向けることです。 気がすすまなくても、やってるうちに、気が乗ってくることもあります。行動の 仕組みを使って感情のコントロールをするのです。 2)基本的欲求 基本的欲求とは、選択理論においては、 「一生の間とり続ける行動のすべてを動機 づけるもの」としています。 (1)5つの基本的欲求 ①愛・所属の欲求 愛し愛されたい欲求。人とつながっていたい欲求。 ②力・価値の欲求 自分には力がある、存在価値があると感じたい欲求。 負けず嫌い。 ③自由の欲求 人に制約されることを嫌い、自由に自分で決めたいという欲求。 ④楽しみの欲求 新しいことをやってみたい、知りたいという欲求。 好奇心が強い、知識欲が強い、楽しいことが好き。 ⑤生存の欲求 8 生命維持の欲求。食欲、睡眠欲など。 人は誰でもこの5種類の欲求を持っていますが、どの欲求が強く、どの欲求が弱 いかは人によって違います。ですから、自分の弱い欲求を強い欲求として持ってい る人の気持ちや行動を理解することは難しいということが言えます。人それぞれ、 この5つの欲求の強さのバランスが違います。ですから、その点を考慮することで、 人への理解がしやすくなります。 基本的欲求の強弱を知ることは、自分が求めているものが何なのか明確になり、 自己コントロールする場合に有効です。強い欲求というのは、なかなか満たされま せん。弱い欲求は、満たされやすいものです。 また、基本的欲求が満足される土台には、良好な人間関係があります。良好な人 間関係があれば基本的欲求は満たされやすいと言えるでしょう。 ではここで、自分の欲求のバランスを知るテストをやってみたいと思います。 (巻 末参照) 3)クオリティー・ワールド(上質世界) ~こころのアルバム~ (1)欲求を満たすもの 選択理論では、自分にとって心地よさや欲求を満足させてくれるものを、かけが いのないものとして、脳内に刻み込んでいる(保管している)と考えます。 自分の基本的欲求を満たす人、物、出来事、考え方を写真のようにこころのアル バムに保管しているといいます。このように自分に心地よさ、満足を与えてくれる ものを保管している場所のことを<クオリティー・ワールド(上質世界)>と言い ます。 クオリティー・ワールド(上質世界)は、変化していきます。子どものころに自 分を満足させてくれた人やものも、成長とともに変化していきます。それは大人に なってからも随時変化します。 また、クオリティー・ワールド(上質世界)にあるものは、必ずしも社会的に見 て上質なものばかりとは言えません。麻薬やお酒、ギャンブル、暴力などが入って いる人もいます。 9 (2)基本的欲求に基づいたもの クオリティー・ワールド(上質世界)は、5つの基本的欲求に基づいています。 自分を愛してくれる人、自分の存在価値を感じることができる状態、自由を感じ られる状態、自分の好奇心を満足させるもの、安全が得られる状況などがクオリテ ィー・ワールド(上質世界)にあるものです。 このクオリティー・ワールド(上質世界)は、人それぞれです。同じ基本的欲求 でも満たされるものや状況は人それぞれです。 そして、人はクオリティー・ワールド(上質世界)に入っているものを求めよう と努力します。それが願望となります。願望に向かって努力するということです。 基本的欲求を満足させる願望となるクオリティー・ワールド(上質世界)は人生で 大切なものです。そして、人は、自分のその世界に入っていないものには関心を示 しません。 (3)欲求は満たさないではいられない 私たちの基本的欲求は、一度満たせばいいというものではありません。お腹が空 いてご飯を食べても、またお腹が空き食べたくなります。つまり、毎日、欲求を満 たす行動をとらなければならないということです。しかし、いつもいつもすべての 欲求を満足させることはできません。そうすると、時間をかけた努力、自分を変え る努力を怠って安直に満足できる方法を選んでしまうということも生じやすくなり ます。手っ取り早く目先の利益だけに走ってしまうということです。 お腹が空いたとき、食べ物を盗んで満腹にしても、盗みで捕まってしまい、自分 を本当には幸福にしません。 また、愛・所属の欲求を満たしたくて、人に注目されたい、かまってもらいたい ために、拗ねるなどの態度をとって、人にかまってもらっても、かまう方も鬱陶し いとか、面倒くさいと思い、良好な人間関係が築けるわけではありません。愛・所 属の欲求を満たしたいのであれば、前向きな肯定的な態度・行動をとることで人と の関わりを得れば、相手との人間関係はいいものとなり、持続してその欲求を満た せることになります。そのためには、自分を成長させる、変える努力が必要なこと もあるでしょう。 ですから、ここで考えなければならないことは、一時的に欲求を満たせる方法や 10 後で苦しみを味わうような満たし方ではなく、できるだけ持続して満たせる行動を 選ぶということです。そこには、先ほども言いましたように努力も必要でしょう。 今まで、どう満たすか、ということについて話してきましたが、何によって満た すかについて考えることも必要です。つまり、欲求は変わらないが、欲求を満たす ためのクオリティー・ワールド(上質世界)=願望は変えられるということです。 満たすことが難しい理想的な願望は変えることが必要です。そうでなければ、不 正な方法や不健全なことで代貸して少しでも欲求充足をはかろうとするでしょう。 それでは幸福になれません。(もちろん、前向きな肯定的な方法であれこれ模索し、 努力するなら何ら問題はありませんが)。 願望は現実的で具体的なものの方が、得られやすいので、何によって満たすかク オリティー・ワールド(上質世界)の内容を変える場合、それらも考慮することが 必要です。 4.選択理論のまとめ (1)選択理論全体の仕組み ①人は<基本的欲求>に駆り立てられている。 ↓ ②<基本的欲求>満たすために、<クオリティー・ワールド(上質世界)>に入っ ているものを得ようとする。 ↓ ③<クオリティー・ワールド(上質世界)>に入っているものを得るための<行動 >をする。 ④得るための<行動>は、相手を強制・支配しようとする<外的コントロール>で 行うのではなく、自分の行動を選ぶ<自己コントロール>の選択理論で行う。 ↓ ⑤満足できる人間関係が得られる。 (2)選択理論で自分を変える ①行動を変える <全行動>の仕組みに則って、行動を変えることです。<全行動>の4つの要素を 11 思い出してください。車の喩えで「行為」 「思考」が前輪、 「感情」 「生理反応」が後 輪でした。車をどこに向かって走らせるかは、前輪をどうするかで決まってきます。 自分を変えるためには、前輪の「行為」を変ることです。それによって、支配され やすい「感情」も変えることができます。 やる気や体調といった直接変えられない「感情」 「生理反応」に焦点を合わせない で、直接変えられる「行為」を変えることで、やる気を変えるということです。こ のことは、脳科学の実験でも証明されているようです。やり始める(体を動かす) ことでやる気が出てくるということです。 ②ものの見方・捉え方(思考)を変える これは認知療法と同じことと受けとめてください。自分のものの見方が偏った極 端なものでないか点検し、他の見方はないかを探ります。視点を変えて、反対側か ら見るとか、人の立場になって見るとかですね。長所短所は裏表ということもそう です。同じ要素でも、お節介は短所ですが、面倒見良いと言えば長所です。 自分の見方が絶対ではないことを認識することが必要です。自分が、こうだと思 ったことを無意識的に事実であると思い込んでしまはないで、自分はそう思ったけ ど、それは単に思い込みかもしれないと捉えることです。柔軟な思考とも言えます。 ③願望を変える クオリティー・ワールド(上質世界)にある得たいもの=願望を変えます。先に も説明しましたように、基本的欲求は変えられませんが、それを何で満たすかは変 更できます。 現実からかけ離れたものであるなら、現実的なものに修正し、より具体的なもの にするとよいでしょう。具体的なものほど達成しやすいものです。曖昧では、達成 するために何を行うかがはっきりしない場合があります。 そして、願望に優先順位をつけるといいでしょう。 行動・思考・願望を変えることで、自分を変え、人との関係も変わり、欲求充足 につながります。変えやすいもの、変えにくいものがあると思いますが、まずは変 えやすいものから変えていくことをお勧めします。 12 5.付録:ひかりの輪の実践を選択理論に当てはめてみる (1)クオリティー・ワールド(上質世界) 仏陀、悟り、三悟心経の教えなどを上質世界に入れる。 (2)それを達成するための行動を選択 教学・功徳・行法・聖地の実践することを選ぶ。 気分が乗らないときでも、簡単な呼吸法をまずやってみる、歩行瞑想をやって みるなどすることで、やる気も生まれてくる。 巻末 【欲求のプロフィール・チェックリスト】 (『人間関係をしなやかにするたったひとつのルール』 渡辺奈都子著 ディスカヴァー・トゥエンティワンより引用) 自分にあてはまると思うものに印をしてください。 □1 誰とも関わらずに一人で完結する作業より、グループで取り組む作業が好き です。 □2 人から注目されることは気分が良いことです。 □3 一人きりで、好きなことを好きなようにできる時間が何より欠かせません。 □4 CM や雑誌で見た新商品は、とりあえずチェックしてみたくなります。 □5 アクシデントやトラブルのない、安定した人生を歩めたらいいなと思います。 □6 自分には直接関係なくても、周囲の喧嘩を見聞きすると落ち着かない気分に なります。 □7 勝負ごとや競争するゲームでは、つい熱くなってしまいます。 □8 細かいマニュアルや人から指示されることが多い仕事は苦手です。 □9 未体験なことに取り組むのが好きです。 □10 自分の身体に疲れを感じたら、無理をしないでしっかり休養をとるようにし ます。 □11 一人は「自由」というよりも「寂しい」印象がします。 □12 コツコツと地道にがんばっている自分の姿は、あまり人に見せたくありませ ん。 13 □13 いくら家族でも、 「相手は相手、自分は自分」と割り切っている部分がありま す。 □14 毎日変わらない単調な作業をするよりは、リスクやスリルのある仕事をした いです。 □15 初めての場所に行ったときは、迷わないように行きと同じ道を帰ってきます。 □16 誘われると、なかなか断れないタイプです。 □17 間違っている人がいたら、自分の知っている正しい方法を教えてあげたくな ります。 □18 コース料理よりも、ビュッフェ形式の方がワクワクします。 □19 何かに夢中になると、人から声をかけられても気づかないことがよくありま す。 □20 創造性やアイデアが問われる課題より、数や量をこなす課題が得意です。 □21 グループや組織の和を考えて、自分の都合を変更することは苦になりません。 □22 夢に向かってがんばることや、自ら揚げた目標を達成することに喜びを感じ ます。 □23 規則やルールが厳しいことで、窮屈に感じることがよくあります。 □24 自分の専門分野に関係ないことでも、興味を持ったことは時間を投資して学 んでいます。 □25 健康のために自ら継続していることがあります。 □26 相手に嫌われないように、と考えて行動することがよくあります。 □27 自分の仕事や役割の責任が大きい場合の方がモチベーションがあがります。 □28 知らない店に一人で入ったり、一人で食事することは、まったく苦になりま せん。 □29 「限定○個」とか「○○名物」などの広告に好奇心をくすぐられます。 □30 経験のない未開拓な領域に取り組むよりも、慣れている仕事を究めていく方 がすきです。 □31 「一体感」「連帯感」 「団結力」というキーワードに、魅力を感じます。 □32 ついつい誰かと比較してしまって、優越感や劣等感を感じることがよくあり ます。 □33 誰かにアドバイスされるより、自分でコントロールしたいタイプです。 □34 気になったことはすぐに調べる方です。 □35 何も計画せずに、行き当たりばったりで過ごすことにはかなり不安を感じま す。 □36 困っている人を見ると、つい黙っていられなくなて声をかけてしまうタイプ です。 □37 多くの人に注目されるような大きなイベントは率先して取り組みます。 14 □38 依存することも、されることも嫌いです。 □39 人から「悩み事なんてないんじゃない?」と言われたことがあります。 □40 「癒やし」「リラクゼーション」「リフレッシュ効果」のキャッチコピーに惹 かれます。 □41 初対面でも、話しかけるタイプです。 □42 あなたは特別だと言われると、とても嬉しいです。 □43 グループや組織で、自分一人だけ周りと意見が異なっても、特に気になりま せん。 □44 周囲の評価に関係なく、ずっと続けている趣味やコレクションがあります。 □45 どんなに誘われても、スカイダイビングやバンジージャンプはしたくありま せん。 □46 遠出をするなら、一人より、誰かと一緒に出かけたいです。 □47 誰かの役に立てると思うと、多少の犠牲を払ってもがんばってしまいます。 □48 どんなに好きな相手でも、毎週末デートするのはしんどいです。 □49 冗談を思いつくと言わずにはいられません。 □50 お金の使い方は計画的で、衝動買いはしない方だと思います。 ご自分が印を付けた項目の数を縦に数えて、5つの数字をだしてみてください。 欲求のプロフィール・チェックリスト 1.□ 2.□ 3.□ 4.□ 5.□ 6.□ 7.□ 8.□ 9.□ 10. □ 11. □ 12. □ 13. □ 14. □ 15. □ 16. □ 17. □ 18. □ 19. □ 20. □ 21. □ 22. □ 23. □ 24. □ 25. □ 26. □ 27. □ 28. □ 29. □ 30. □ 31. □ 32. □ 33. □ 34. □ 35. □ 36. □ 37. □ 38. □ 39. □ 40. □ 41. □ 42. □ 43. □ 44. □ 45. □ 46. □ 47. □ 48. □ 49. □ 50. □ 合計 合計 合計 合計 合計 15
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