北海道さけ・ますふ化場サーモン・セミナー要旨集

北海道さけ
Sal
on
Hatchery
(163):・
・
)ゝech . Rep . Hokkaido
91 , 1994
ますふ化場
サーモン・ セ ミナー要旨 集
第33 回
サーモン・セミナー
l993 年 2
l.
月
2 .
「
l0 日
lHN の防疫対策についての一考察」
吉永守 (北海道大学水産学部)
「サケ 科魚類におけるせ つ そ
う
IHN
病の疫
学的検討」
(伝染性造血器壊死症) は,わが国
では北海道内のべニザケに発生して以来,現
野村百一 (北海道さけ・ますふ
化場調査課)
在ほ ほ全国に分布し,サケ科白額に大きな
王
被害を与えている疾病であ る。 現在までの
としてサケ科白額に大きな被害を与える細
菌性疾病であ る。 しかし,研究の対象は王
多くの研究者の努力により,診断法および
ウイルス分離法が確立され, ウイルスの性
として養殖任 に発生したせっそう病 および
状解明もなされてきた。THN
それ由来の病原体に関するものであ る。 増
内には侵入しないことが明らかにされ,
殖対象のサケ, カラフトマスおよびサクラ
ード剤による卵 消毒が汚染の拡大防止にき
せ つ そう病は古くから知られていて,
マスのせっそう
病については
, A.
Sは 7%0n
た /d は
ウイルスは卵
ヨ
わめて有効な手段となっている。さらに,飼
subsp. ク冤 SoMci んに関する一連の 研究があ
育用排水および排水の紫覚線処理の有効性
るが,疫学的な観占からはさらに検討すべ
が確認され,用水からのウイルス侵入防止
き課題も多い。外観上せっそう病の症状が
対策法として実用化されている。近年は,抗
見られない河 l@に遡上したサケ,
IHN
カラフト
マスおよびサクラマス 親 伍の腎臓から 月 .
ウイルス物質産生細菌利用インターフ
ェロンの活用,弱毒 ワクチン,サブユニッ
sa/ 約07@/ 而の検出を試みた 結果,本菌は広
トワクチンの検討も進められ,実用化の試
く北海道内の王要 な河川に遡上した規缶に
験も実施されている。 しかし今後解明され
保有されていることが明らかになった。 ま
なければならない 占も多い。培養 法 より感
た, 親 缶の腎臓だけではなく体腔液からも
度の高いウイルス検出法の確立は,
Wll によっては高率で検出され,汚染拡大
スの来源や宿主体内での動態を明らかにす
ピケ
えで今後検討すべき重要な課題の一 つ
の要因と推定された。本菌 の来源は現状で
る
は明らかになっていないが
, A. ㏄Ⅰ noai ビ /d は
であ る。
ァ
ぅ
ウイル
フアージが河川に常在的に存在することか
ら, 本菌は親色が河川に湖上後感染し,畜
第34 回
養池内で汚染を拡大すると推定された。 さ
らに,本菌の保有率が催教書 養条件の改善
により低下することから,畜養技術の 改善
サーモン,セミナー
l993 年 4
l.
月
le 日
「さけ・ますふ
化放流事業をとりまく
最近の情勢と今後のあ り方」
小林明弘 (前北海道さけ・ますふ
化場次長)
1951 年 (昭和2f 年) に水産資源保護法が
成立し,翌1952 年には水産庁所管として北
廃水が河川に 流出したためであ った。
最近,
海道さけ・ますふ化場が設立された。 当時
湖の pH が上昇してきているが,原因は温泉
万
の泉質に変化が生じ酸性化物質の湧出量が
屋であ り, その資源の中心は十勝 Jll, 西別
の北海道におけるサケ資源量は巧0-200
減少したためであ る。 この泉質変化は湖水
川,常日川だった。 その後,降下稚魚保護
の酸性化を改善させるために必要な廃水処
事業,河口通過観測事業や飼育事業等の 導
理に関係するため今後も継続的な調査が必
入により資源量は増え始めた。1977 年の2㎝
要であ る。 同時に, 湖に缶が棲む豊かな自
海里漁業水域の設定と共に北洋漁業の衰退
然を創造し維持するためには,温泉廃水中
が余儀なくされ,
の酸性化 (貧栄養化) 物質の中和処理が切
この分を沿岸でカバーす
るためにふ化放流事業を強化した結果, サ
に望まれる。
ケ 資源量は著しい増加を示した。しかし,最
近は世界のサケ・マス
類生産量が120 万トン
サーモン,ワークショップ
にも達し,日本へのサケ・マス類輸入が増
l993 年 4
え, それに伴い缶価安等様々な問題が生じ
l .
月
22 日
「サハリンにおけるカラフトマスの
飼
育と放流について」
て来ている。 このことから,国として専用
漁業者の減少,後継者の
問題等もあ るが,国
Sereey N. Tarasyuku
(Pacific Research
民の蛋白瀬としての食料生産をど う するの
Institute of FSheries
ゐ Oceanograph
か, また,我が国のサケ・マス資源を高位
Skhalln Branch)
安定的に維持するため国がど う関わってい
Ⅹ,
自然界におけるカラフトマス稚魚の降海
くのかが論議されている。これらのことば
ピークは,南東サハリンでは 沿岸水温が
かりにとらわれることなく,北海道さけ ,
6.6 ∼7.3 。 C に達した時である。 人工で管理
ますふ化場が今まで培ってきたふ化放流技
された稚缶は自然界の稚苗より早く浮上す
術を更に磨き,発展していくことを祈念す
るため,ふ化場産稚苗は最近まで 自然界の
るものである。
稚缶 の陸海ピークより 2 一 3 週間ほど早く
放流されていた。 当 研究所サハリン支所で
2 .
は 1987 年から沿岸水温観測所のデータ等か
「湖の酸性化及びそれら
湖の環境を生
物生産が可能なまでに蘇生させる方法」
ら通水温となる時期を予測しふ化場に伝え
橋本進 (朝北海道さけ・ますふ化場調査課
ている。通水温となる時期は,南東サハリ
研究室長 )
ン地区では 5 月 お 日一30 日頃,アニワ湾地
北海道の屈斜路湖 は 従来より酸性湖 とし
区ではそれより 1 週間程度早い時期となっ
1968 年には放流された
ている。飼育に際しては,①卵黄がふ化時
て知られているが,
8% 以下にまで吸収された時期に給餌を
サケ稚苗が大量に死んだ事故があ った。 こ
の
れは温泉水に含まれるアルミニュームイオ
6.3 でまで上昇
開始すること,②飼育水温が
ンが酸性条件下において強い毒性を示すこ
した時に成長鼻の増加が認められること,③
とから,湖の持つ浄化能力を超えた温泉の
溶存酸素量が g
一
86
ppm
以下の時の成長量は小
レスノイ ふ化場では 8%
さいこと,などに留意する必要があ る。
を超える回帰率と
なっている。 この要因上して,飼育事業の
「サケ稚魚の
摂餌量について」
実施,適切な時期の放流,沿岸での節料条
鈴木俊哉 (北海道さけ・ますふ
化場調査課)
件が良かったことなどがあ げられる。 しか
2 .
水温 と色体サイズがサケ幼稚色の消化速
し,サハリン
州全体の回帰率は約3.9% であ
度と摂餌量におよ ぽす影響について調べた
る。 サケでは,湧水が豊富で用水条件の良
結果,消化速度は,色体重0 . 49- 1.66K
いオホーツキーふ
化場の回帰率が約0 . 5% か
の範
囲で自体サイズに関わらず,水温
5.1-12.l。 C
ら約1.40/ にまで向上しているが,他のふ化
の範囲において水温の上昇とともに増加す
場の回帰率は現在のところ 1% 以下である。
ることがわかった。幼稚 色 が空 胃 になるま
近年の ザケやカラフトマスの放流時期は自
での時間は,水温 5 。 C で58.8 時間,は。
Cで
然界の陸海時期に合わせ沿岸水温が適水温
は , 36.Ul 時間と推定された。 自体重0 . f65-
となる時期に放流するよう改善されてきて
3.199 のサケ幼稚苗の日間最大摂餌薬を, 5
いることから,今後回帰率の 向上が期待さ
5.2
日間の累積憤として求めたところ ,水温
れている。
12.l 。 C の範囲において,累積最大損
餌 率は
水温の上昇とともに増加し,色体重の増加
4 .
とともに減少した。消化速度が色体重によ
「北海道太平洋沿岸の
春季の海洋環境
ほ ついて」
る差がないことを考え合わせると , 摂餌薬
関二郎 U北海道さけ・ますふ化場調査課)
を コントロールする要因として,魚体重と
沿岸水温がそれぞれ 3 。 C
と
5 。 C に達した
ともに変化する要因 (例えば,代謝 量) の
時期を目安にして ,
存在する可能性が示唆された。
1988 年には敦生川 にそれぞれサケ稚色を放
1986 年には広尾州 に ,
流し,その回帰効率を調べた。放流時の尾
3 .
丈長は広尾州で4.1Ocm
「サハリンの
ぶ Ⅱ ヒ 場における サケと カ
4.86cm
ラフトマスの回帰率について」
Nadezhda
B. Khorevina
(Pacific Re.
と
と
4.57cm で敦生川旧
5.72cm であ った。それぞれの回帰
効率の比較では広尾州で約 1 : 3, 敷Ⅲ ll
search Institute of 円sheries & Oceanog.
で約 1 : 2 と面河
raphy, Skhalin Branch)
llとも
5 。 C に達した時期
に放流したほうが回帰効率は高かった。
1986
1992 年の春にロシア連邦サハリン 州でカ
年の広尾沿岸の水温と動物プランクトンの
ラフトマス367.W00 千尾,サケ184.900千尾
調査では,水温は6 月 4 日にl0m 層で明瞭
の稚色、 をふ化場から放流した。以前は 10 憶
な水温躍層が形成され,6 月 24 日には5 一 7
尾 もの稚魚を放流していたが近年は施設能
m
力 に見合う数にしている。サハリン州では
連れて躍 層の形成される水深が浅くなった。
層に水温躍層が移り,時期が遅くなるに
ラフトマスの犬吠産卵が多いことからふ
動物プランクトンは 6 月 4 日に最大の値を
化場からの放流缶の 回帰率を把握すること
示し,それ以降は減少した。垂直分布の変
は難しいが,南東サハリンに位置している
化は時期による変動が多少見られるものの,
ヵ
87
一
5 一 l0m
以深の下層部で大きい値を示した。
2 .
「ウチュラフケン
湖におけるニジマス
の回遊動態」
1990 年の 3 月から 6 月にかけて,北海道日
高沿岸で海岸線に並行に 3 本のラインを設
Ambrosio
:m 層からポンプによる動物プ
定 し ,水深,
Ecology Cente わ
ランクトンの採集を行った結果, ライン上
の個体数のピーク問の距離は,わずかの例
C. Espinos
(Neuquen
Applied
アルゼンチン共和国にはニジマス,
ウントラウト,
ブラ
フルツクトラウト,大西洋
外を除き採集日,採集ラインに 関係なくほ
サケ,サクラマス,
ほ幼-130m
れたが,中でもニジマスは重要な魚種とな
の間に収まった。また,ピーク
マス / スケ等が移入さ
と谷の平均個体数の比も 5 月 29 日の 1 例を
っている。
ウチュラフケン湖は標高900m
の
除き3.4-1.3
位置にあ り,面積
78km,, 平均水深120m,
最
切 狭い範囲であ った。
大水深250m
第35 回
サーモン・セミナー
l993 年 7
l .
月
9 日
「アルゼンチン
共和国 ネウケン州立養
魚センタ一におけるミニプロ
協力の概要」
長沢石見 (JlCA 長期専門家)
あ る。 この湖でのニジマスの回
遊調査は, 7 月から10 月の間に湖と湖につ
ながる剛 llの 3
ケ
所で採補 したニジマスを
標識放流し,遊漁の解禁となる11 月以後の
再捕報告により実施した。高楠報告にあた
っては,釣り人にライセンスを発行する際
このプロジェクトは1975 年 12 月に国際協
に再捕報告の協力を依頼し協力してくれた
力事業団 (JICA) への依頼を受けて現地視
人に記俳品を渡している。11 月の再捕結果
察や専門家が現地に短期派遣されたのが始
は放流地点での報告が多く, その後だんだ
まりである。 その後,飼育可能な野生生物
んと湖の奥の方へ移り,産卵期 が近づいた
を増殖し地域産業振興に 役立てる目的で
4 月から 5 月には放流目付近に戻ってくる
19 打年にネウケン州立養缶 センター(CEA Ⅵ
傾向があ った。 この調査はまだ充分ではな
が設立された。 この中にはラクダ科のリャ
く今後も継続して実施する必要があ る。
マなどを殖やし毛皮産業を発展させること
も含まれている。淡水養殖部門では専門家
3 .
「チュメウイン
川における養魚場から
の栄養負荷と生物環境」
がいないことから 1 年遅れ (1988 年) の活
動開始となり,長期専門家として長沢が派
清水難太郎 (北海道さけ・ますふ化場調査
遣された。 この計画の目的はサケ・マス養
課)
殖産業の振興にあ り, 5 年間で生産量を100
アルゼンチン共和国にあ るチュメウイン
万トンにする計画であ った。1993 年 3 月で
川はウチュラフケン湖を源とする世界的に
この協力が終了したが,今後は養殖産業を
も著名な河 llであ る。 養魚と観光 (主に釣
さらに発展させるために
規模を拡大して,本
り
格的なプロジェクトを組む必要があ るだる
) が両立するかについて,養魚場からの
排水による河川への栄養負荷とその影響,問
題占を明らかにすること,及びその技術移
転を図ることを 目的に調査を実施した。何
Jl@ で水質調査をした結果,養苗場の排水
5 .
よりも下流の街からの生活排水の方がはる
「北海道の内水面養殖における
魚病の
現状」
かに大きな負荷を示した。 しかし,街の上
鈴木邦夫 (北海道立水産脾仕場)
北海道内の民間奏台場は lWm 数十ヵ所ある
流と下流における水質の差はほとんど認め
られず,現在の時 日 では水域内の負荷が下
が,最近 5 年間の伍病診断件数,検体数は
流に影響は与えていないものと判断された。
著しく増加している。THN
また,下流ほどべントスの現存量が増大し
が増え, また,稚缶から成缶 まで伍体サイ
ており,栄養塩が水性植物に吸収されべ ン
ズに関係なくIHN
は 色病診断件数
で死亡することが多くな
トスに受け継がれるといった食物連鎖がう
った。
IHN
まく機能していると考えられる。 つまり養
ジマス,ヤマメからそれぞれ分離したウィ
急場の排水,生活排水共に 自然の浄化能力
内にあ り, 河 llの自然環境が保たれている
ルス をニジマス,ヤマメに感染させたとこ
と判断された。
に対し強い病毒,性を
示し,ニジマスには弱
4 .
スから分離したウィルスではその逆であ っ
ウィルスの特性を知るためにニ
ろ,ヤマメから分離したウィルスはヤマメ
い 病毒性しか示さなかった。 また,ニジマ
「
ゴヒ
, 毎 道の河川・湖沼漁業概観」
今田和史 (北海道立水産脾作場)
た。
ヘルペスウィルスはニジマスの
200K
kg サイズで累積へい死率が13-70%
北海道の河川や湖での重要な産業種とし
一l
と大き
ては,ヤツメ,キュウ ウオ,ワカサギ,ア
な被害を出している。現在のところ無病対
ユ, ヒメ マス,ホタテ, シジミ,養殖のニ
策としては防疫が主であ るが,今後の課題
ソ
ジマスなどがある。1991 年の北海道におけ
としては防疫の徹底はもちろんのこと,
る生産額はヤツメ4,120 万円,ワカサギ
W0.2W0
っと積極的なワクチンの開発や耐病性をキ
守
万円, ホタテ 84.900 万円,養殖ニジマス
っ伍、 を 作出するなどのことも進めなければ
111,700万円な ビ となっている。
コヒ 海道には
ならない。
も
大小様々な湖があ り, ワカサギ,ヒメ マス
を代表的な漁業資源として湖の活用が図ら
6 .
れてきた。数 あ る湖の中からヒメ マス生産
「
ネウケン州におけるサケ科魚類の疾
病についての予報とアルゼンチン共和国
で有名な支笏湖と洞爺湖を対象に基礎生産
での急病研究」
と漁業生産の関係について研究中である。 洞
ひaudio0.
爺湖と支笏湖を比較すると,透明度は支笏
ogy
Coria (NeuauenAppliedEcol-
Center)
前後に対して洞爺湖の方が少し低
サケ・マス類はネウケン州に1970 一 1980
い。 クロロフィル量はほ ほ同程度で,かつ
年にかけて導入され,今では州の重要な産
基礎生産量にも大きな違いは見られていな
業種となっている。 自然の生態系を守る配
いが, ヒメ マスの漁業生産量は 5 一 10 倍と
慮から, 自然湖 には養台場の建設を禁止す
湖が20m
るという内容の州の法律が1992 年12 月に初
めて制定された。また,自席に
関しては,治
一
89
一
療の困難な急病 は ついては病気を持ってい
に内臓癒着症 が見られた。緑虫 Phぬ ilonTe移は
ないことが移入の条件となっている。 アメ
sV.
リカではこのような
病気が発生した場合,全
0 . 5 であ るのに対し,癒着症の
缶では寄生率
の寄生率が正常白 では33%, 平均寄生数
数を処分し,その生産額の70% を補償する
100%, 平均寄生数13.7 であ り,この綿虫が
システムになっているが,
癒着症の原因と推定された。
は現在のところ,
アルゼンチンで
このような体制にはなっ
ていない。 また,これまでは急病の診断を
第36 回
する担当者がおらず,基本的な急病診断の
サーモン・セミナー
l993 年 8
月
26 日
みを実施している現状にあ る。 ウィルス,細
「石川県千敗
川 におけるサケの人工ふ化放流
菌,寄生虫な ビ に関する急病診断技術の習
事業の経過について」
得と防疫体制の確立が今後必要であ る。
楠田浩司 (石川県内水面水産試験場実川分
場)
7 .
「
北パタゴニア産淡水魚の寄生虫と寄
石川県でサケ の人工ふ化放流事業が再開
されたのは1978 年で,美川町にふ化場を設
生性疾病」
浦和茂彦 (北海道さけ・ますふ
化場調査課)
WggW 年l1 月から¥2 月にアルゼンチン共和
置し北海道から3,0n0 千粒の移殖を受け地場
卵を加え,翌年
2,787 千尾の稚魚を放流した。
国 ネウケン州で養殖ニジマスおよび野生色
1988 年から手取川 で捕獲した親任だけで再
における寄生虫の発生状況を調査した。Ⅲ
生産が可能との判断から県覚からの移植卵
腸管に寄生する鞭毛虫 Ha8 瓶移ん
sはァ移
nn ぬ
の受け入れをやめた。1988 年から1991 年ま
は ,調査したどの養苗場でもニジマス稚魚
1,000 千屠
では大型稚苗育成技術開発により
に多数寄生し, Wll に生息するブラウント
る 2 S 以上にすることを 目標において実施
にも寄生がみられた。 この寄生虫は
したが,能力等の関係で良 い 結果は出てい
南半球では初めての報告であ る。 対処方法
ない。 しかし,199., 咋には放流 稚伍全数を
は,河川水の使用を止めること,飼育条件
l K 以上のサイズで放流できた。1987 年か
ラウ
ト
を良くすること,薬剤としてフラン系抗生
ら海中飼育もてがけ,現在は入 捺江の湾口
物質の ブ ラドリドンを経口投与することな
部 を綱仕切りをして飼育する方法で実施し
どである。 (2)アルミネ湖に生息する 4 台 種
ている。石川県では末利用河川調査,回帰
における寄生虫を調査したところ ,ニジマ
親魚の回遊経路調査,千敗川 固有群の資源
スにおける鈍頭
ク
は ね gon
虫 P0%
ク
horhynchus
た 硲の寄生率と 寄生数が他缶種 より
調査,鰭切りによる母川回帰調査,放流稚
魚の河 l@ における調査などを実施し,少
高く, この地区のニジマスが痩せているの
ないながらも安定した放流を継続している
はこの寄生虫によるものと考えられた。 中
が,現在サクラマスを増殖するための模索
間宿主 はョコェビであ り,色種問の寄生頻
もしており,今後石川県としてサケ の増殖
度の違いは食性が反映しているものと思わ
をどのようにしていくのか検討が必要にな
れた。(3@ 卵期 のぺルカボカチカの約半数
っている。
第37 回
サーモン・セミナー
l993 年 9
l.
月
l7
2 .
「サハリンにおける
サケの再生産と現
存星
日
」
Antonina
「北太平洋の
沖合水域におけるサケ属
魚類の回帰回遊行動」
A. Kovtun
(Paclflc Research
Institute of Fisheries & Oceanography,
Skhalin Branch)
小倉米基 (遠洋水産研究所 )
海洋における 回帰回遊がほとんど解明さ
サハリンでサケが産卵回帰する年齢は 2
れていないサケ属音類は ついて,標識放流
年白から 6 年白で, どの地域でも 4 年魚の
寓捕と超音波テレメトリ 一の二つの異なっ
組成割合が高い。生活 1 年目の鱗の隆起線
たスケールの調査結果から,沖合水域にお
数がサハリン北部で少なく南部で多いこと,
ける回帰回遊時の遊泳生態を明らかにした。
隆起線数の変動が地域ごとの変動範囲を超
標識放流寓捕 データから計算された回遊率
えることはないことから,沿岸漁獲のサケ
Ⅱ日当たりの 母川への接近距離 ) は,平均
で北部群と南部群を判別することができる。
で約 50km Ⅰ 日 ,個体の最大回遊率は
SOkm ノ
カリーニンスキーふ化場の回帰率の変化と
日程度であった。1 日に50 一80km 移動する
放流数の調査からふ化場の最適生産能力を
ためには昼夜連続でほぽ直線的に移動する
試算すると,5,000 万屋 となる。実際に放流
と仮定して0 . 58 一0 . 93m
数が多い時には 回帰率が1:1 おから0 . 3% に
Ⅰ秒の遊泳速度が
必要となる。超音波テレメトリ 一により追
低下している。 サハリン北部のティミ川の
中流部にあ るアドティモフスキーふ化場は
跡した結果,回帰回遊時の
平均遊泳速度は,
0.54-0.66m
Ⅰ 秒 (0.88 一 1.17 尾丈長Ⅰ
1932 年から稼働しているが,当初,
このJl@
での人工増殖の資源は天然再生産の資源量
秒 ) であ った。 これは回遊率から計算され
た遊泳速度に近いものであ った。 また,遊
の30% を超えることはなかった。
しかし,
1991
泳速度の日周変化は見られず, さらに移動
年に日本と共同で新しい ピ レンガ合同ふ化
方向はほほ一定に保たれており,先の仮定
場が建てられ,現在その割合は80% まで増
が妥当であ ると確認された。沖合水域で夏
加している。 最近 5 年間の回帰率は
季,サケ属伍類は 50m 以浅の表層を生息域
0 . 27-0
としており,特にべ
ニザケ,カラフトマス,
天然産卵は非常に減少し産卵地域で 2 尾Ⅰ
ギンザケ ,
100 ㎡であった。
商業漁獲が資源量の25-30
m
スチールヘッド・トラウ ト は 印
. 93%
であ る。 1992 年のティ㍉ llの
% に達していることから ,ニスキー湾を
以浅 の 種く表層を遊泳することが 多かっ
た。サケはこれらの色種より深い層 まで利
1993 一 1996 年まで全面的に禁止し,ティミ
用する傾向にあ り,一方,マス
/ スケは 主
Jl@ 湖上させることとした。資源量の減少
遊泳層が20 一40m
の王な 原因はサケが母川に産卵回遊する途
で, 他の角種 と生息深度
に顕著な差が見られた。 しかしながら,
上で盛んに流し網漁業が行われているため
い
だと考えている。
ずれの色種でも 日周鉛直移動は見られなか
った。
一
91
一