2014 年 12 月 15 日 スイング 鈴木 啓介 ORC-I を一年使って 昨今、ヨットレースを取り巻く環境は非常に厳しくなっています。 私が所属している、関西ヨットクラブ(KYC)も例外ではなく、毎月行われているポイン トレースや、年三回行われるシリーズレースも盛り上がりに欠けている状態が数年続いて います。 そこで何か起爆剤になるものは?と考えたときに ORC-I の採用を KYC に提案することを 考えました。その提案に応じて頂き、ORC 取得に協力頂いた各オーナーには本当に感謝し ております。 ここで、簡単に 0RC と IRC の違いを述べたいと思います。両システムとも世界的に普及し ていますが、日本に限定して言えば IRC 取得艇の方が圧倒的に多く。日本で最高峰と言わ れているジャパンカップも IRC を採用しています。 世界的な動向に関して言えば、平成 26 年 11 月 10 日付の JSAF 国際委員会小林氏の 「ISAF/ORC2014 年 年次総会」レポートからもあるように、近年 IRC は減少、ORC は 増大しているようです。2014 年 8 月地点での登録艇を比較すると IRC(5,123 艇)ORC(9,132 艇) それでは何が違うのか? IRC はどの風域でも一つの数値(TCC)をもって成績を算出することに対し、ORC は風域 に応じてレーティングの数値が変わることです。 例えば Melges32 と X-35 のような、ジェネカー艇とスピン艇の二つを比較した場合、 Melges32 は、IRC では軽風でしか勝利のチャンスがないと言われています。別の言い方を すれば軽風では X-35 は Melges32 に勝てない。逆に ORC はどの艇も、各自のパフォーマ ンスに応じた走りを要求される為、成績自体はよりタイトなものになります。 よって、レースが始まる前に完全に勝負が決まってしまうことは減ることが予想されます 。 当然、ORC にも欠点はあります。特に IRC エンドースに相当する ORC-I に関してですが、 取得する際に、IRC と比較してより厳密な計測が要求されるため、計測時に強い風が吹い た場合など、計測が順延されるため費用が余計にかかる可能性があります。 ただし、近代的な電子計測器を導入することで、費用は抑制されつつあります。 更に、レーティングの数値が一つでないため、レース中に手計算で勝ち負けを判断できな いデメリットもあります。 まとめ IRC でトップの艇が、ORC で最下位になることもありません。当然逆もありません。ある 程度 ORC と IRC には相関性があると感じられました。 各艇のタイム差は縮まっており、より白熱したレースができるように感じます。 但し、圧倒的に出場する艇が少ないため、ORC が素晴らしいとの判断も出来かねます。 以上のことから、2015 年は KYC では、ORC-I と IRC エンドース、ミドルクラスの三部門 を正式採用することがオーナー会議で決定されました。ミドルクラスに関しては IRC ノー マルの艇も参加可能になりました。 今後、どのレーティングシステムが日本にマッチしているかは、より多くのオーナーに実 際に使用していただくのが一番と考えます。 現在 IRC ノーマルを使用しているレースには、ORC クラブがそれに相当します。 ORC クラブであれば、取得費用も大幅にコストダウンできるため一度 ORC に相談されて は如何でしょうか? 以上
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