4-1-6-3 心臓血管外科 1.概要、特色 1.1 概要 心臓血管外科では、先天性心疾患および後天性小児心疾患の外科治療を行っている。 1.2 特色 先天性心疾患の診療には、診断、薬物治療やカテーテル治療、手術、術後管理、その後 の外来での長期管理などさまざまなステップがある。治療成績の向上には、それぞれのス テップを専門家が行い、かつ治療全体を齟齬なくスムーズに進めるチーム医療が重要であ る。また、先天性心疾患のチーム医療に関連する診療科は胎児診療科、新生児科、循環器 科、麻酔科、集中治療科、総合診療科、心臓血管外科などであるが、対象となる患者さん は、胎児や未熟児から成人まで幅広い年齢層にわたっている。染色体異常や症候群など、 心臓以外の複数の臓器に問題を抱える患者さんも多く、この様な患者さんは、幅広い集学 的医療を必要としますので診療科間の協力体制は特に重要であると考える。 心臓血管外科は、先天性心疾患診療の一部の外科治療を担当しているが、外科治療を要 するさまざまな疾患のなかで、特に低出生体重児や新生児の先天性心疾患と、複雑な病態 を示す成人先天性心疾患の治療に力を入れている。 2.診療活動 平成 20 年 11 月に関口医長が退官し、金子が医長になりました。平成 21 年 2 月から常勤 医師を 2 名から 3 名に増員しました。その後はレジデント1名を含めて4人体制である。 2.1 入院診療 入院診療の中心は手術治療である。火曜、木曜を定時手術日とし、重症例 1 例、または 軽症例 2 例の手術を行っている。緊急手術に関しては、麻酔科や手術室の協力のもと、曜 日を問わず随時施行しているが、術後の ICU 滞在中の管理は、集中治療科が中心となって 行っており、患者さんの状態に関して緊密に連携して協力しながら治療を行っている。 また、一般病棟での管理は、循環器科や総合診療部と協力して行っており、手術以外にも、 膜型人工肺による補助循環やカテーテルによる血管内治療に際しての血管へのカニューラ やシースの挿入も行っている。 2.2 2.2.1 手術症例概要(2008.4.~2009.3.) 開心術 手術総数 56 例 手術時年齢:5 日~13 歳 内容:心室中隔欠損閉鎖 ン型手術 14 例、心房中隔欠損閉鎖 6 例、フォンタ 5 例、ファロー四徴症(両大血管右室起始、肺動脈閉鎖を含む)手術 例、総肺静脈還流異常症手術 3 例、僧帽弁形成術 6 2 例、三尖弁形成(エプスタイ ン奇形を含む)術 2 例、房室中隔欠損閉鎖 1 例、共通房室弁形成術 1 例、大動 脈弁下狭窄解除術 1 例、肺動脈狭窄解除術 1 例、末梢肺動脈形成術 1 例、主要 大動脈-肺動脈側副動脈手術 2.2.2 9 例、グレン吻合 1 例、その他 3例 非開心術 手術総数 41 例 手術時年齢:5 日~31 歳 内容:動脈管閉鎖術 手術 2.3 5 例、肺動脈絞扼術 1 例、ペースメーカー関連手術 3 例、大動脈縮窄症手術 15 例、その他 2 例、体肺動脈短絡 15 例 外来診療 外来は毎週月曜、水曜、金曜の午後に診療を行っており、毎月第3金曜(休日等で診療 ができない場合は翌週の金曜)は特殊外来としてペースメーカー外来を行っている。本年 は、循環器科との連携をこれまで以上に強め、心臓血管外科は手術や入院中の管理に重点 を置くようにした。成人先天性心疾患に対する長期の綿密な管理の重要性を鑑みて、外来 診療は循環器科が中心となって行う体制に移行しつつある。 3.施設認定 3.1 心臓血管外科専門医認定機構認定施設 当施設は、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会の 3 学会で構 成される心臓血管外科専門医認定機構により認定修練施設の認定を受けている。心臓血管 外科専門医の認定申請に必要な修練をカリキュラムに沿って行っている。
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