熊本大学 消化器外科 診療案内 2011 KUMAMOTO CONTENTS 1.スタッフ紹介 …………………………… 2∼3 5. 研究 (代表論文) の紹介 ……………… 18∼19 2.診療グループ紹介 6. 教育紹介 ……………………………… 20∼21 ・消化管外科 ……………………………… 4 7. 平成 22 年度実績一覧 …………………… 22 ・肝胆膵外科 ……………………………… 9 8. 平成 23 年度外部資金獲得状況 ………… 22 3.英文論文(抜粋)…………………………… 15 9. 外来診療日 ………………………………… 22 4.平成 22 年度研究プロジェクト名 10.連絡先 および概要 ……………………………… 17 …………………………………… 22 消化器外科 診療案内 2011 1 ご 挨 拶 教 授 馬 場 秀 夫 この度の東日本大震災により被災されました皆様方に心よりお見舞い申し上げ ます。この未曽有の震災や、福島原発事故により、我が国を取り巻く環境は一変 し、政治、経済、医療、教育の全ての面で解決すべき多くの課題を抱えています。 三月末に被災地での医療支援活動に参加させて頂きましたが、想像を絶する眼 前の光景に心を痛めると共に、医療者として、同じ日本人として復興のためのあ らゆる協力支援をすべきであるという思いが益々強くなりました。叡智を結集し て、この国難を克服し、輝ける日本を再興して次世代に引き継ぐことが、我々の 使命と考えます。 さて、熊本大学消化器外科学教室は、開講後6年が経過し、診療、研究、教育 を更に充実させるべく、日々取り組んでいるところです。昨年は、東病棟が完成 し移転するとともに、電子カルテが始動、新しい環境、新しいシステムの中で、 最新の医療技術を動員して、効率的で質の高い診療を実践することができました。 診療に関しては、早期癌に対しより低侵襲手術の導入を推進するとともに、難 治性癌、進行癌に対しては根治性、治療成績向上を目指した集学的治療にも力を 注いで参りました。また、多くの臨床試験、治験に参加し、evidence の創出に も努力しているところです。 研究面では、基礎的、臨床的研究を積極的に推進し、国内外の学会での発表と 共に Impact factor の高い journal にも publication が増えて参りました。また本 年度は、文科省の科研費を新規、継続合せて20件獲得でき、更なる研究の推進に 弾みがつきました。 教育面においても、総合臨床研修センターの充実したシュミレーションシステ ムの活用、院内の多くのセミナーやカンファレンスを通じて、卒前・卒後の一貫 した教育体制を構築し、最新の知識と技術の習得が可能になるよう工夫している ところです。 最先端の診療を行い、治療成績の向上のため、本年も一歩一歩高みを目指して 日夜努力して参る所存ですので、先生方には、今後ともご指導、ご支援を賜わり ますよう何卒宜しくお願い申し上げます。 平成23年6月 2 消化器外科 診療案内 2011 スタッフ紹介 准教授 別府 透 肝胆膵外科一般、特に肝悪性腫瘍を中心に外科治療を行っています。日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医、日本内視 鏡外科学会の技術認定医として、次代を担う、専門性の高い外科医の育成を目標としています。特に肝細胞癌や大腸癌 肝転移の治療では、世界のトップランナーを目指しています。 Mail: [email protected] 講師 高森啓史 膵臓および胆道疾患に対する治療を行っています。特に、膵切除では、手術手技に工夫を重ねて、合併症も年々減少傾 向にあります。同領域の悪性疾患は難治癌ですので、ひとつでも多くの治療成績改善のためのエビデンスが創出できる ように、all Japan での協力を推進していきたいと考えています。 Mail: [email protected] 講師 渡邊雅之 消化管グループのチーフを務めています。専門は食道癌の治療です。食道癌の診療と研究を行うとともに、消化管疾患 全般について低侵襲治療から集学的治療にいたるまで内科・外科の垣根を越えて対応できるチーム作りを目標としてい ます。 Mail: [email protected] 特任助教 土居浩一 肝胆膵グループのなかで肝臓外科を中心に診療しています。肝臓の手術は侵襲が大きいためリスクが高い傾向にありま すが、安全で根治性の高い治療ができるよう心がけています。またラジオ波凝固療法や一部の肝切除にも腹腔鏡手術を 積極的に取り入れて、低侵襲性にも配慮して、満足度の高い治療が提供できるように努めてまいります。 Mail: [email protected] 助教 外来医長 近本 亮 肝胆膵グループで肝臓外科を中心に診療を行っています。リスクが高い肝胆膵外科領域の手術手技をより安全で、より 成績のよいものにするべく、診療および研究に取り組んでいます。また、スムーズな入退院を行い、手術待機期間の短 縮に努めます。 Mail: [email protected] 特任助教 病棟医長 生田義明 肝胆膵グループで主に胆膵の外科診療を担当しています。この領域の癌は進行癌が多く、手術も高浸襲で、重篤な合併症も少なく ありません。しかしながら、手術のみならず、化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療を行うことで、少しずつ治療 成績が向上しています。更なる研鑽をつみ、患者さまの予後の改善や、QO L の向上につながるよう努力していきたいと思います。 Mail: [email protected] 助教 医局長 宮本裕士 消化管グループで大腸外科を中心に診療に当たっています。標準治療はもとより、最先端の医療を提供するために、手術、 化学療法、放射線療法、緩和治療を組み合わせた集学的治療にて治療成績を改善させることを目標としています。各科 と合同で治療方針を検討し、個々の症例に合わせた最適の個別化治療を心がけています。 Mail: [email protected] 助教 馬場祥史 消化管グループで上部消化管癌(食道癌・胃癌)を中心に診療にあたっています。治療成績向上のためには手術、全身 化学療法、放射線療法などを組み合わせた集学的治療が重要です。それらに関する最先端の知見に基づき、患者様一人 一人にとって最適な治療を受けていただけるように努力したいと考えています。 Mail: [email protected] 助教 岩槻政晃 消化管癌の外科診療を担当しております。昨今、外科治療を含めた様々な癌治療がめざましい発展を遂げています。そ のような中、熊本から一つでも多くの新たなエビデンスを発信し、患者様の QOL と予後の向上に貢献できるよう尽力し たいと思います。 Mail: [email protected] 特任助教 石本崇胤 消化管グループで上部消化管癌を中心に診療をおこなっております。現在、消化管癌に対しては手術、全身化学療法、 放射線療法などの集学的治療がおこなわれております。それぞれの患者様に適切な治療法を選択していただけるよう十 分な説明を心掛けたいと思っております。 Mail: [email protected] 消化器外科 診療案内 2011 3 診療グループ紹介 消化管外科 食道・胃・小腸・大腸・肛門に発生する様々な疾患を対象に診断、治療を行っています。診断に関しては 消化器内科・画像診断科と毎週カンファレンスを行い、精度向上に努めています。治療に関しては常に最新 の情報をもとに、最良の治療法を施行できるように努力しています。特に悪性腫瘍に対する治療は日進月歩 であり、手術のみならず、化学療法や放射線治療を取り入れた集学的治療による治療成績の向上を目指して います。 1 食道癌 食道癌の治療には内視鏡的治療、外科的切除、放射線療法、化学療法、化学放射線療法(CRT)があり、こ れらを組み合わせた集学的治療が重要です。癌の進行度(病期、ステージ)と患者さんの全身状態を総合的に評 価し、それぞれの患者さんにとって最適と思われる治療法を選択しています。当科における食道癌症例数は2005 年の馬場教授着任以来年々増加し、2010年は、食道切除56例、内視鏡治療8例、化学放射線療法(化学療法)15 例の79例であり、九州ではトップクラスの症例数となっています(図1)。 近年の臨床試験の結果から、切除可能な進行食道癌(cStage II/III 食道癌)に対する標準治療は術前化学療法 後の切除と考えられるようになりました。しかしながら、 従来の標準的化学療法である FP 療法は奏効率が低いこと が問題と考えられます。当科ではより高い抗腫瘍効果を目 指して Docetaxel/Cisplatin/5-FU の3剤を併用する mDCF 療法に取り組んでいます(図2) 。2010年12月までに93例 にこの治療を行い、奏効率51%、病勢コントロール率98% と良好な治療効果を認めています。また、mDCF 療法後 に切除した46例の解析では良好な down-staging を認めて おり、進行食道癌の治療成績向上のために有望な治療法と 考えています(図3) 。 図2.mDCF 療法の著効例 4 消化器外科 診療案内 2011 図1.食道癌の症例数と治療法の推移 図3.リンパ節転移陽性食道癌に対する mDCF 療法 による治療効果と down-staging 診療グループ紹介 手術に関しては、腹腔鏡および胸腔 鏡を用いた鏡視下食道切除術を導入し ています。より小さい創で食道切除を行 うことができるため、体に対する侵襲を 軽減することができます(図4)。拡大 視効果により腹腔内および胸腔内の深 部をより詳細に観察することが可能で す(図5) 。一方、術前治療を行った進 行食道癌に対しては頸部・腹部操作を先 行し、胸部操作時間を短縮することに よって、侵襲を軽減し、安全性の高い 図4.胸腔鏡下手術の胸部創(左)と 腹腔鏡下手術の腹部創(右) 手術を施行することを心がけています。 機能温存の観点からは内視鏡的粘膜 下層剥離術(ESD)が注目されていま す。当科では、ほぼ全周に近い病変に対 しても、根治切除可能であれば積極的 に ESD を施行しています。また、最近 では根治的 CRT 後の遺残・再発表在病 図5.胸腔鏡下における反回神経周囲のリンパ節郭清 変に対する salvage ESD を行っていま す(図6) 。CRT 後は病変範囲の診断が 難しい症例が多く、また瘢痕の影響な どで手技的には熟練が必要とされます。 しかし、適応を選んで慎重に手技を行 えば低侵襲かつ安全な治療法であり、 根治的 CRT 後の遺残・再発表在病変に 対する非常に有用な治療法であると考 えています。 2 図6.CRT 後の再発病変に対する Salvage ESD 胃癌 我が国の胃癌は早期診断と治療の進歩により、その死亡率は低下傾向にはありますが、未だ罹患率は最多です。 早期胃癌に対してはより低侵襲で根治性の高い治療が期待され、一方、切除不能進行・再発胃癌対しては集学的 治療の重要性がさらに増してきています。 内視鏡的治療では、ESD の導入により、従来の EMR では分割切除となっていた広範な病変であっても一括 切除することが可能となり、より詳細な病理組織学的検討が行えるようになりました。現在、消化器内科、放射 線科との週1回の合同カンファレンスを通して早期胃癌の診断の向上に取り組み、ESD 適応症例については消 化器外科のバックアップのもとに消化器内科で ESD を行っております。また早期胃癌の切除例については病理 所見をフィードバックし、さらなる診断能の向上、適応の拡大を目指しています。 内視鏡治療適応外の早期胃癌に対しては腹腔鏡下手術を施行しています。大学病院にご紹介いただく症例の多 消化器外科 診療案内 2011 5 診療グループ紹介 くは高度進行癌や合併症を有するハイリスク症例ですが、適応 症例に対しては腹腔鏡下手術を積極的に施行し、昨年は24例の 腹腔鏡下胃切除を施行いたしました(図7)。鏡視下手術によ る拡大視効果を生かした機能温存とリンパ節郭清の徹底化を図 ることにより、根治性と低侵襲性の両立を目指しています。完 全鏡視下胃切除術も施行しており(図8)、今後進行胃癌への 適応拡大の可能性を明らかにしていきたいと考えています。 一方、診断時に広範なリンパ節転移を伴う症例、他臓器転移 を伴う症例、腹膜播種を伴う症例の予後は未だ不良です。特に 腹膜播種は胃癌の転移・再発形式で最も多くみられ、胃癌によ 図7.胃癌手術症例数の推移 る死亡の20−40% は腹膜播種によ ります。腹膜播種の有無は予後を 規定し、その診断は治療方針の決 定に重要です。しかしながら、術 前の画像診断では、粗大な腹膜結 節や腹水がない限り困難であり、 根治目的で開腹して初めて播種が 分かることも稀ではありませんで した。当科では単孔式腹腔鏡手 術(single incision laparoscopic surgery:SILS)の手技を用いて約 2㎝の臍部のひとつの創から審査 腹腔鏡を行っています(図9) 。 この手技により、より侵襲を軽減 し、創部への癌の播種の危険性を 図8.胃癌に対する完全腹腔鏡下幽門側胃切除術 減らすことができると考えていま す。 胃癌領域においても化学療法が 重要な位置を占めるようになり、 新規抗癌剤や分子標的薬の進歩に より、切除不能進行胃癌の治療成 績は徐々に改善しています。最 近、HER2陽性胃癌に対するハー セプチンの治療効果が臨床試験で 明らかにされ、胃癌に対する保険 適応が承認されました。また初診 時に切除不能とされた症例であっ ても、化学療法を行うことで切除 可能となる症例も経験するように 6 消化器外科 診療案内 2011 図9.進行胃癌に対する単孔式審査腹腔鏡 診療グループ紹介 表1.化学療法により根治切除可能となった腹膜播種 / 細胞診陽性胃癌症例移 なりました(図10) 。当科でも腹膜播種もしくは腹腔 内洗浄細胞診陽性の胃癌に対して化学療法により播種 や腹腔内遊離癌細胞が消失し、根治切除に至った症例 5例を経験しています(表1) 。今後、化学療法や分子 標的治療のさらなる進歩に伴い、高度進行胃癌に対す る術前化学療法による治療成績の向上や、切除不能進 行胃癌症例に根治が望めるようになることが期待され ます。本邦から発信された多くのエビデンスを基に昨 年10月に胃癌治療ガイドラインが改訂されました。当 科では多数の治験・臨床試験に参加することにより、 進行・再発胃癌の治療成績のさらなる向上を目指して おります。 3 図10.化学療法により根治切除が可能となった 腹膜播種陽性胃癌症例移 大腸癌 近年、わが国の大腸癌症例は年々増加の一途を辿っていま す。当科でも切除症例数は年々増加しています(図11)。当 科では進行度に応じて ESD、腹腔鏡下手術などの低侵襲治 療から、リンパ節郭清を伴う標準的腸切除、臓器合併拡大手 術などの高度侵襲を伴う手術などを含め、症例に合った適切 な治療法を選択し、QOL の保持と根治性の確保を目指した 治療を行っています。腹腔鏡下手術に関しては早期癌に限ら ず、進行癌症例に対しても適応拡大を図り、現在大腸癌手術 の約70%の症例に腹腔鏡下手術を施行しています。手術器械 出しの看護師を含めたチームでの術式の定型化・安定化を図 図11.大腸癌手術症例数の推移 消化器外科 診療案内 2011 7 診療グループ紹介 り、難易度の高い横行結腸癌も含め、結腸 癌・直腸 Rs 癌に関してはほぼ全例鏡視下 手術を行っています。直腸 Ra 癌は進行癌 まで、直腸 Rb 癌に関しては Stage I まで を鏡視下手術の適応としています。鏡視下 手術は特に直腸癌において、狭い骨盤内で も良好な視野を確保することができ、癌の 根治性を損なわずに自律神経や臓器を温 存することが可能です。 (図12)。 周囲臓器に浸潤する高度進行直腸癌や 局所再発直腸癌に対しては、根治切除可能 かの判断を慎重に行い、術前術後の治療を 含めた集学的治療にて生存期間の延長を 図12.腹腔鏡下低位前方切除術 試みています。また局所進行直腸癌に対し ては、欧米で広く行われている化学放射線 療法(CRT)の術前療法として有用性を 評価する多施設臨床試験に参加していま す。術前 CRT を行うことにより、downstaging を図り、R0切除率の向上を目指し ています。さらに従来肛門温存が困難であ った症例に対して肛門の温存が可能とな ることが期待されます(図13) 。 切除不能大腸癌に関しては、新規抗癌剤 や分子標的薬の登場により治療成績は飛 躍的に向上しました。当科ではより治療 効果の高い新たな治療法の確立のために、 図13.直腸癌に対し放射線化学療法を行った症例 多くの治験・多施設臨床試験に参加してお り、1次治療から標準治療を終えた症例に 対しても最先端の治療を提供しています。 臨床試験以外でも大腸癌治療ガイドライ ンに沿った化学療法を行い、がん専門看護 師・薬剤師の常駐する化学療法センターに て外来ベースの化学療法を行っています。 特に肝転移の場合は切除不能であっても、 化学療法を行うことで転移巣が縮小し根 治切除を目指せる症例が増加しています (図14) 。当科では大腸グループと肝グルー プが綿密な検討を行い、肝切除の適応を判 断しています。 8 消化器外科 診療案内 2011 図14.切除不能肝転移が化学療法により切除可能となった症例 診療グループ紹介 肝胆膵外科 肝 臓 外 科 1 肝細胞癌の個別化集約治療 当科では肝細胞癌の患者さんに対して、肝機能や進行度を考慮して肝切除、局所凝固療法 ( ラジオ波など )、 肝動脈・門脈塞栓療法、全身化学療法、分子標的治療、放射線治療、肝移植などを組み合わせた『個別化集約治 療』を行っています。消化器内科や放射線科と協力しながら、正確な診断や再発予防を含めた治療体系の確立を 目指しています。現在取り組んでいる臨床的課題を以下に示します。 a)肝切除術における最先端の技術、装置、薬剤を導入した安全性と根治性の追求。 b)肝癌に対するラジオ波凝固療法や鏡視下手術を 中心とした低侵襲治療への取り組み。 c)肝動脈・門脈塞栓療法の先行による肝切除の安 全性の確立と適応の拡大 d)豊富な症例をもとにした臨床研究及び最先端の 基礎研究からのフィードバック。 肝癌の入院患者数が年間350症例を超える日本で も有数の high volume center となり、過去5年間は、 年間肝切除症例はほぼ100例を超えています。 2 図1.肝切除術の年次別推移 大腸癌肝転移の新しい治療体系 大腸癌肝転移の治療成績は化学療法と外科手術の併用により、急速に向上しています。切除不能大腸癌肝転移 に対しては、全身化学療法(FOLFOX、FOLFIRI)に分子標的治療薬(Bmab、Cmab、Pmab)を加えたレジ Panitumumab+mFOLFOX6 8コース、mFOLFOX6 3コース 左三区域切除+胆管空腸吻 図2.閉塞性黄疸を有する大型肝転移に対する化学・分子標的治療後の肝切除症例 消化器外科 診療案内 2011 9 診療グループ紹介 メンが標準治療とされています。さらに最近では XELOX(ゼ 図3 ローダ+オキサリプラチン)と分子標的治療薬を組み合わせ た治療も導入され、肝転移巣が切除可能となれば一期的ある いは二期的に大腸と肝転移巣の切除を行うことが推奨されて います。 図2は閉塞性黄疸を有する大型肝転移に対して mFOLFOX6 + Panitumumab による化学・分子標的治療が著効し、左3区 域切除と胆管切除で治癒切除可能となった症例です。 2010年8月から、多施設共同第Ⅱ相臨床試験(KSCC1002) として、 H2および H3の肝限局性転移を有する KRAS 野生型 の結腸・直腸癌における術前化学療法(SOX+Cetuximab)の 有効性と安全性 を行っています。(図3)。世界に向けたエビデンスを地元九州から発信するべく動き始めたプ ロジェクトです。肝切除可能・不可能にかかわらず、大腸癌の肝限局性転移症例(5個以上または5cm 以上)が ございましたら御一報頂ければ幸いです。 3 残存肝体積の増加による肝切除の安全性の向上 肝切除は肝腫瘍の治療において最も有効な治療法といえますが、切除後の肝臓が少なく、肝機能が保てない場 合は全身への負担が大きくなります。肝臓を大量に切除する必要がある人にはあらかじめ残りの肝臓を大きくす るために、門脈塞栓療法という特殊な血管内治療を行ないます。この治療が奏功すると約一ヶ月で摘除する部分 が小さくなり、残る肝臓が大きくなることにより、術後の回復も順調です。 図4. 右門脈塞栓療法による残肝容積の増大 また、肝切除の安全性を確保するうえで、術前術後の肝機能の判定が重 要です。当院では最新鋭検査機器であるアシアロ SPECT/CT fusion の検 査結果をもとに放射線科と協力し、コンピューターでの切除後の残肝機能 を予測解析し、精度の高い術前肝機能評価を行っています。 アシアロ SPECT-CT fusion 画像 4 肝癌の低侵襲治療 肝機能の低下した患者さんには体に優しい、創の小さな経皮的あるいは鏡視下手術を行っています。特に肝癌 に対する腹腔鏡、胸腔鏡手術を全国に先駆けて1994年に導入し、すでに350例以上の患者様に鏡視下の外科的治 療を行っています。特に昨年から『腹腔鏡下の肝切除術』が正式に保険適用となり、標準治療として創の小さい 手術が可能な場合があります。また、表在型の小肝細胞癌に対するラジオ波を中心とした鏡視下局所凝固療法の 10 消化器外科 診療案内 2011 診療グループ紹介 成績は極めて良好で、治療部位再発率8%、10年累積生存率45% でし た。その長期予後は従来の開腹による肝部分切除の52% と同等であり、 根治性の高さはもとより、出血や肝機能低下をほとんど認めないと いう低侵襲性が良好な予後を得られた理由だと考えられます。当院で は CT を備えた手術室の本格稼動により術中、術直後の断層撮影での 肝画像診断が容易で、凝固療法の効果確認が可能です。また、小肝 癌に対して血管造影下治療に凝固療法を組み合わせた精度の高い CT ガイド下穿刺も放射線科と協力して行っています。 5 CT 設置された手術室 最新肝切除手技の導入 肝癌の外科的治療は肝切除を基盤とした体系であり、近年その手術手技は確実に進歩しています。特に2000年 以降は様々な技術革新がもたらされており、当科が取り入れているテクニックは(1)グリソン鞘別の肝血流遮 断・コントロール技術、 (2)肝移植手術の応用、 (3)最新の止血器具の採用等であり、さらに改良をつづけてい ます。 これらにより、難しい肝切除の例数が増えてい るにもかかわらず、手術時間は短縮し、出血量は大幅に 赤血球 減少しています。肝切除症例は年間100∼120例になって 凍結血漿 いますが、大きな肝切除例を含めても輸血を必要とする 症例は5% 以下であり、患者さんの負担と侵襲は軽減さ れています(図5)。 従来の方法では困難であった手術 への挑戦も可能となっており、肝癌に対する治療選択肢 を拡げる結果となっています。 6 図5.術中血液製剤使用頻度 脾臓疾患の鏡視下手術 脾臓疾患では脾機能亢進症、特発性血小板減少性紫斑病、遺伝性球状赤血球症、脾悪性リンパ腫などに対する 腹腔鏡下脾臓摘除術を積極的に行っています。また、最近では C 型肝炎に対する IFN 治療導入前の血小板数増 加のために腹腔鏡用手補助下摘脾術を行う症例が増加しています。1kg ぐらいまでの脾臓は腹腔鏡下摘除が可能 です。その際には術前に画像解析から推定脾容積を算出し、適切な治療法を選択しています。 7 治験、臨床試験への積極的参加 全国規模の治験に積極的に参加し更に独自の臨床試験を立ち上げることにより、最新の治療法を確立し世界に 向けてのエビデンスの発信を目指しています。現在、肝切後の術後感染予防薬投与期間の比較研究、肝細胞癌に 対する術後補助療法としてのソラフィニブ投与の第Ⅲ相試験 (STORM 試験)、SURF trial(小型肝細胞癌に対 する肝切除と RFA の比較)、ソラフィニブ不応症例に対する TS-1投与の第Ⅲ相比較試験、進行肝細胞癌に対す る新規分子標的治療薬 linifanib(ABT-869)による治療、大腸癌肝限局転移に対する SOX+Cetuximab 後肝切除 (KSCC1002)などの治験や臨床試験を進行中です。 以上のように患者様の状態を個別に考慮したうえで、最低限の侵襲で確実な効果を得ることを目標として治療 体系を構築しています。 消化器外科 診療案内 2011 11 診療グループ紹介 胆 膵 外 科 膵臓・胆道疾患に対し、患者さんの病態に応じた治療法を選択しています。外科治療を中心に、内視鏡診 断・治療そして集学的治療まで幅広く行っています。特に、膵癌と胆道癌の診療に力を入れています。膵癌 と胆道癌は、癌遺残のない根治切除 (R0切除 ) ができるか否かで予後が大きく異なります。したがって、術 前における遠隔転移の有無および局所進展の把握が重要となります。根治切除可能な症例には、合併症防止 策にも工夫を加え、必要に応じて血管合併切除も併施しています。一方、低悪性度の腫瘍には縮小手術を導 入して、患者さんの QOL にも配慮しています。 1 膵癌 膵癌は、難治癌の代表で、全体の5年生存率は5%未満と報告されています。現在までに24例の5年生存例を 経験しています。消化器外科学講座が開講した2005年4月以降には膵癌90例に手術を行い、生存期間中央値は30 ヵ月で、1年生存率76%、2年生存率60%の成績です。 膵癌の治療成績向上を目的として、術前画像診断能の精度を高めて手術症例を適正に選別するために血管造 影下 CT(CTAP+CTHA)と EOB-MRI を行っています(J Gastroenterol 45: 1241-6, 2010, 胆と膵 31: 1377-81, 2010)。また、癌遺残のない手術を心掛け、微小転移対策としての周術期の補助化学療法(Ann Surg Oncol18: 1110-5, 2011) を導入することが肝要と考えています。 2 膵切除の安全性向上を目指した取り組みと膵縮小手術 膵切除に伴う最も注意を要する合併症は、膵液漏およびそれに随伴する重篤な合併症です。その防止策として、 膵頭十二指腸切除術(PD)では、郭清後の外膜が露出した血管系を肝円索で被覆し、さらに膵胃吻合部を大網 の一部で被覆し、その間にドレーンを留置しています。現在、腹腔内のドレーンはその1本のみで、当科で作成 したクリニカルパスに準じ、術後5日目には原則的にドレーンは抜去しています。この防止策導入後、明らかに 膵液漏は減少して、現在臨床的に問題となる 膵液瘻の発生率は、3.7% となりました。さ らに在院日数も減少しています。 一方、膵頭部領域の低悪性度腫瘍に対して は、根治性を損なわずに臓器機能を可能な限 り温存する縮小手術に取り組んでいます。膵 頭部深部に存在する膵インスリノーマには、 図1.膵頭部深部のインスリノーマに対する 十二指腸胆管温存膵頭切除術 十二指腸胆管温存膵頭部切除を行い(図1) 、 十二指腸乳頭部腫瘍には、壁進達度や悪性度 に応じて、経十二指腸的乳頭切除(図2)や 膵頭十二指腸第二部切除も行っています。 図2.十二指腸乳頭部腫瘍に対する経十二指腸的乳頭切除術 12 消化器外科 診療案内 2011 診療グループ紹介 3 単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術の導入 胆嚢結石症などの良性胆嚢疾患に対して、単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術を導入しています(図3)。従来の多孔 式(4ポート)手術に比べ、手術時間が若干長めですが、出血量は変わらず、合併症は認めていません。手術1 ヵ月後には創がほとんど目立たなくなり(図4) 、整容性に対する患者さんの満足度は高くなっています。 図3.単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術 臍部の約2.5cm の皮膚切開部よりポートを挿入して、同部 よりカメラと2本の鉗子を挿入して、胆嚢摘出を行います。 4 図4.単孔式腹腔鏡下胆嚢摘出術後1カ月の創部 超音波内視鏡下針生検(EUS-FNA) 切除不能膵癌に対しては、化学療法を開始 する前に、必ず EUS-FNA を行い病理診断 を確定しています。画像検査上、切除不能膵 癌と診断された症例にも良性疾患が含まれる ことがあります。当科では、2008年4月から 122例に対して、EUS-FNA を行い、検体採 取率86%、感度96%、特異度96%、正診率96 %と高い診断率が得られています。症例を呈 示します。全身倦怠感と黄疸を主訴に前医を 受診し、上腸間膜静脈(SMV)分枝まで浸 潤した局所進行膵癌の診断で紹介されまし た(図5) 。EUS-FNA にて class I の診断で 図5.EUS-FNA にて慢性膵炎の診断を得た1例 したので、抗癌剤の投与を行わず2ヶ月間の 経過観察を行いますと、PET 上 FDG 集積 の低下と SMV 浸潤の改善を認めました(図 6) 。しかしながら、胆管の狭窄像は悪化傾 向を認めました。自己免疫膵炎の診断基準は 満たしませんでしたが、ステロイドの投与を 行い胆管狭窄は改善し、胆道ドレナージチュ ーブ(ERBD)は抜去することができました。 EUS-FNA による病理診断にて、不要な抗癌 剤投与を回避できた症例と考えています。 図6.2か月の経過観察で SMV の狭窄像と FDG の集積は改善した。 消化器外科 診療案内 2011 13 診療グループ紹介 5 胆道癌 胆管癌・胆嚢癌は、その進展形式により術式が大きく変わるために、術前の進展度診断が重要となります。進 展度診断には、MDCT の冠状断と胆管腔内超音波検査(IDUS)が有用です。症例を呈示します。中部胆管癌の 診断で紹介入院されました。MDCT と IDUS により肝側は左右肝管で、十二指腸側は膵上縁 で切除することで治癒切除可能と判断し(図 7) 、肝外胆管切除および D2リンパ節郭清を行 い、治癒切除が可能でした(図8)。 切除不能胆道癌には、シスプラチン +5-FU 動注および Gem 全身投与を行っています。現 在、奏効率は37.5%、病勢コントロール率62.5 %で、生存期間中央値は15.1ヵ月と比較的良好 な効果を認めています(図9)。PR 症例の1 図7.中部胆管癌の1例 ① IDUS と MDCT の冠状断にて、肝側は左右肝管には数 mm の浸潤があ り(矢頭) 、十二指腸側は、膵上縁までの癌の進展(矢印)と判断した。 例を呈示します。多発肝転移およびリンパ節転 移(no.13a)を伴う胆嚢癌症例です。治療開始 1ヵ月後で腫瘍径和は、16.0cm から5.4cm ま で減少し、4ヵ月後には0.9cm まで縮小してい ます(図10) 。 図8.中部胆管癌の1例 ② 黒点で癌の進展範囲を示した。 図9.非切除胆道癌に対するシスプラチン+5-FU 動注 および Gemcitabine 全身投与例の生存曲線 図10.多発肝転移とリンパ節転移を伴う胆管癌 矢印:肝転移巣、矢頭:リンパ節 (no. 13a) 14 消化器外科 診療案内 2011 【平成22年度 年間英文論文業績】 Inpact Factor 論文数 20以上 10∼20 5∼10 1編 3編 10編 5以下 89編 Journal Cancer Cell J Clin Oncol , Gastroenterol, Lancet Oncol Clinical Cancer Res, J Pathol, Am J Gastroenterol, Cancer Prev Res, Am J Pathol, Cancer, J Biol Chem Int J Cancer, Lab Invest, Mod Pathol, Plos One, Br J Cancer, Cancer Epidemiol Biomarkers Prev, Mol Cancer Res, Ann Surg Oncol, Cancer Sci, Ann Thoracic Surg, J Mol Diagn, Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol, Cancer Causes Cont, J Gastroenterol, Pancreas, Cancer Chemother Pharmacol, J Surg Oncol, Int J Oncol, Am J 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Laparoscopy (in press) 【研究プロジェクト名および概要】 Ⅰ. 消化管に関する研究 ・膵臓癌の浸潤転移機序の解析とその予防法の確立に関する研究 ・消化管癌化学療法の効果予測因子の探索と臨床応用 ・遺伝子変異に基づく膵炎の発症機構の解析 ・胃癌腹膜播腫の予防的治療戦略と遺伝子治療 ・IPMN の発育 ・ 進展機序の解明 ・Focused DNA array を用いた大腸癌肝転移の予知と治療法の確立 ・末血・骨髄中の CTC の検出 Ⅲ.外科一般に関する研究 ・消化器癌の発育・進展に関与する遺伝子の解明 Ⅱ.肝・胆膵に関する研究 ・miRNA をターゲットとした消化器癌に対する新たな治療戦略の開発 ・RFA 後の再発機序の解明 ・消化器癌における cancer stem cell の研究 ・転移性肝癌に対する術前化学療法の有効性に関する研究 ・周術期のサイトカインの変動と低侵襲手術への応用 ・画像診断を用いた機能的肝切除範囲の決定法 ・オートファジーの生理学的意義の解明 消化器外科 診療案内 2011 17 実験室の様子 研究(代表論文) の紹介 1 消化器癌における CD44発現の意義と機能的役割 について(石本助教) 近年、癌組織中には自己複製能を持ち、異なる分化段階の細胞を産生する能力を有する細胞である癌幹細胞の 存在が知られており、癌における抗癌剤・放射線治療に対する抵抗性や癌の再発には、癌幹細胞の存在が関与し ていると考えられている。今回の研究において、癌幹細胞の主要な表面マーカーの一つである CD44のバリアン トアイソフォームが細胞膜においてシスチンのトランスポーターである xCT と結合し、グルタチオンの生成を 促進することで癌細胞の活性酸素種の蓄積を抑制し酸化ストレスへの抵抗性を高めていることを見い出した。 また、CD44 と xCT による酸化ストレス制 御機構をターゲットとした治療を行うことは癌 細胞に活性酸素種を誘導し、腫瘍抑制効果が期 待できる。以上のように、CD44によって制御 されるシグナルを解明することは、癌幹細胞に 対する新しい癌治療法の開発に繋がる可能性が 高く、今後もさらなる研究の進展により新しい 図1 マウス胃癌組織における CD44陽性癌細胞と p38MAPK 活性化 治療戦略が確立されていくことが期待できる。 CD44バリアントアイソフォーム (CD44v) 発現細胞(赤)では酸化ス (Cancer Cell 2011 19: 387-400) トレスによって誘導される p38MAPK の活性化(緑)が抑えられている。 図2 CD44と xCT の相互作用を介した酸化ストレス 回避メカニズム CD44のバリアントアイソフォーム(CD44v)は,細胞膜の表 面においてシスチントランスポーターである xCT を安定化させ ることで細胞外からのシスチンの取り込みを増加させ,抗酸化 物質であるグルタチオンの生成を促進する。その結果,CD44 バリアント陽性のがん細胞は酸化ストレスシグナルの活性化を 回避している。 2 図3 CD44陽性癌細胞に対する治療戦略 CD44陽性癌細胞は、CD44と xCT の相互作用により細胞内グル タチオン量を高く維持し、細胞増殖や治療抵抗性を示す。癌幹細 胞を含めた治療抵抗性癌細胞では、このストレス回避機構を利用 しているため、CD44および xCT を標的とした薬剤は有効性を発 揮すると考えられる。 大腸癌における IGF2 DMR0メチル化レベルと予後との関係(馬場助教) Insulin-like growth factor 2(IGF2)は細胞分裂促進作用 や抗アポトーシス作用を有し、癌の発生・浸潤・転移に関 与する。IGF2遺伝子は通常刷り込み(imprinting)を受け ており、大部分が父型由来アレルからのみ発現している。 し か し、 様 々 な 癌 種 に お い て、 刷 り 込 み 消 失(loss of imprinting; LOI)により IGF2遺伝子が両アレルから発現す るようになり、それが腫瘍増殖につながることが報告され ている。さらに、血液細胞や正常大腸上皮細胞における IGF2遺伝子の刷り込み消失が大腸癌の発癌リスクと関与す ることが明らかにされ、大きな注目を集めている。 18 消化器外科 診療案内 2011 図1A IGF2遺 伝 子 の 刷 り 込 み 消 失 は differentially methylated 図1B regions(DMR)として知られる CpG 配列に富んだ領域の メチル化レベルにより制御されている。特に、大腸癌にお いては、IGF2遺伝子 DMR0のメチル化レベルが IGF2遺伝子 の刷り込み消失と密接に関係しており、刷り込み消失の surrogate marker になりうると報告されている。 我々は1000例以上の大腸癌における IGF2遺伝子 DMR0の メチル化レベルを pyrosequencing technology(図1A)を 用いて測定し、1)大腸癌組織の IGF2 DMR0メチル化レベ ルは、正常上皮に比べて有意に低いこと(p<0.0001;図1B)。 2)IGF2 DMR0メチル化レベルは、LINE-1メチル化レベル (≒ゲノム DNA 全体のメチル化レベル)と有意に相関して いること。3)IGF2 DMR0低メチル化群は、高メチル化群 よりも有意に予後が不良であること(図2)を明らかにした。 IGF2遺伝子の刷り込み消失の surrogate marker になりう ると考えられている IGF2遺伝子 DMR0のメチル化レベルを pyrosequencing technology により測定した。IGF2 DMR0 の低メチル症例は予後不良であり、IGF2 DMR0メチル化レ ベ ル が 予 後 予 測 因 子 と な り う る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た。 (Gastroenterology. 2010 139:1855-64 ) 図2 3 p53誘導性タンパク質 Mieap による新規ミトコンドリア品質管理機構(宮本助教) 今回、p53によって発現誘導される標的遺伝 図1 子の1つである遺伝子を新たに同定し、Mieap 遺伝子と名付けた。Mieap 遺伝子は多くのヒ トがん細胞株において、プロモーターのメチ ル化で発現が消失しており、がん抑制遺伝子 としての可能性が示唆された。細胞へガンマ 線照射を行った所、3日目∼5日目をピーク として、LAMP1及びカテプシン D などのリソ ゾームのシグナルが Mieap の発現に依存して ミトコンドリアへの集積していることが判明 した(図1)。 そ の 後、 免 疫 電 顕 及 び 生 化 学 的 解 析 で も、 ミトコンドリア内に Mieap 依存的にリソソー ムタンパク質の集積が起こっており、この現 象はミトコンドリア内の酸化修飾タンパク質 図2 の 除 去 と 強 く 関 係 し て い る こ と が 判 明 し た。 以上より、Mieap 遺伝子は障害を受けたミト コンドリアを修復し、細胞の quality をコント ロールしていると結論付けた(図2)。 この論文は、新しい論文評価システムであ る Faculty of 1000 の Must read に選出された。 ご指導いただきました国立がんセンター研究 所の荒川先生にはお礼申し上げます。 (Plos one. 2011 6:e16054) 消化器外科 診療案内 2011 19 教育への取り組み 消化器外科・内科・放射線科との合同カンファレンス 近年、外科医の減少が危惧されています。学生・研 修医にも外科の面白さを知ってもらい、将来的に外科 希望者が増加するよう、教育にも熱心に取り組んでい ます。当科で行っている学生・研修医・教室員に対す る教育の取り組みの一端をご紹介いたします。 早朝講義風景 毎週月曜日夕方に消化器外科・内科・放射線科が集 まり、合同カンファを行っています。治療方針の決定 のために診療科を超えた活発な議論が行われています。 抄読会風景 4月∼5月の2か月間、6:45より新入医局員およ び帰局者に対し早朝講義を行っています。 朝のカンファレンス風景 毎週土曜日の朝7:30から2時間程度、抄読会を 行っています。臨床論文2編、基礎論文1編の紹介と 輪読会および ASCO や AACR の Virtual meeting を 行っています。 毎朝7:30からカンファレンス 前日の術後報告と 当日の術前症例、重症症例のプレゼンテーションを 行っています。 教授回診の様子 最新の医療情報の共有のため多数の研究会を開催し ています。 毎週水曜日は総回診を行っています。学生たちも興 味を持って参加しています。 20 消化器外科 診療案内 2011 鏡視下関連のセミナーも多数行っています。 Reduced Port Surgery セミナーでの1コマ。 5年生、6年生の学生に対しては、糸結びなど の外科基本手技実習を行った後、豚皮を用いた縫 合実習や腸管吻合実習を行っています。 外科基本手技実習 救急時の対応過程を virtual に学ぶプログラムソフト (Micro Sim)を用いた心肺蘇生シュミレーションなど、 さまざまなシュミレーターを用いた実習を行っていま す。これらの実習を通して将来の外科医師を希望する 学生が増加することを期待しています。 心肺蘇生シュミレーション(Micro Sim) 縫合実習 静脈注射シュミレーター クラークシップに参加してくれた学生のうち、 希望者は福島のラボで豚を使った腹腔鏡手術実習 に参加可能です。 CVC 挿入シュミレーター 内視鏡手術トレーニングシュミレーター 福島のラボでの手術実習 消化器外科 診療案内 2011 21 平成22年度実績一覧 年間手術例数 699例 800 700 624 679 650 732 主な全国学会発表演題数 699 600 508 500 日本外科学会 41題 日本消化器外科学会 38題 459 400 300 200 100 0 平成16年度 平成17年度平成18年度 平成19年度平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度 文科省 科学研究費補助金獲得件数 H23年度獲得件数 (件) 25 H23 20 15 新規 基盤(B) 1 基盤(C) 13 萌芽研究 2 若手(A) 1 若手(B) 3 継続 10 5 0 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 計 20 消化器外科外来担当医 月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日 馬場 別府 石河 岩槻 近本 馬場(祥) 高森 馬場 渡邊 近本 坂本 長井 高森 生田 別府 宮本 石本 井田 消化器外科医局 TEL:096-373-5212 FAX:096-371-4378 外科外来 TEL & FAX:096-373-5583 外科病棟(時間外緊急時) TEL & FAX:096-373-7409 22 消化器外科 診療案内 2011 熊本大学 消化器外科診療案内2011 編集・発行 熊本大学大学院消化器外科 〒860-8556 熊本市本荘1丁目1番1号 TEL 096-373-5212(医局) 発行日 平成23年6月1日 印刷 シモダ印刷㈱
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