Person その後の活動

その後の活動
天体望遠鏡博物館 代表理事
村山 昇作
果てしない天体への想い。
■ 多くのボランティアが支える、人気の『天体観望会』
天体望遠鏡博物館では、2016 年 6 月からほぼ毎月、観望会を開催しています。季節にちなんだ企画を打ち出し、
開催日の天候が悪い場合でも、室内で天体望遠鏡の組み立て体験や簡易プラネタリウムによる天体観賞などが行わ
れます。募集はおよそ 60 名ですが、工夫をこらした企画が人気ですぐに定員となります。今回の取材は 11 月 5
日の観望会に伺いました。観望する天体は「月と火星」、
「この季節、同時に見られる夏の星座と秋の星座」などです。
当日は、午前 10 時過ぎに博物館のある香川県さぬき市の旧多和小学校に到着しました。運動場があった広い駐車
場正面では産直市が開かれており、地産の新鮮な野菜や特産品などが販売されています。すぐ横の食堂では、さぬ
きうどんの他に地粉で打った、しっぽくそばを楽しむことができます。
敷地内では多和の産直市が開かれていた
開館は午前 10 時、多くの来館者が訪れる
博物館内に入ると、すでに多くの人が訪れていました。そして、小学校の屋内プールを改装した大型天体望遠鏡
展示棟では、新たな大型天体望遠鏡の設置を行っていました。お話を伺うと、今年 4 月の熊本地震で被災した、熊
本県立教育センター(熊本県山鹿市)から引き取ったとのこと。5 名ほどで作業にあたっていましたが、全員が今
日の観望会のために県の内外から駆けつけたボランティアです。天体望遠鏡博物館では、展示物の設置作業から来
館者の案内と解説、イベントの運営、館内の清掃や設備のメンテナンスまで、あらゆることをボランティアスタッ
フが行っています。
熊本の被災地から引き取った大型天体望遠鏡の設置
村山代表理事(中央)自らも作業に加わる
■ 夏の名残と深まる秋の星空を観望する
山間部の日暮れは早く、午後 4 時半過ぎには薄暗くなり始めていました。その頃から観望会の準備が開始され、
5 時半ごろには広い駐車場の一角に館内の展示室から運ばれた天体望遠鏡が次々と設置されます。6 時過ぎには準
備が整い、その後、観望会参加者へのオリエンテーションが行われました。場所は以前の音楽教室で、黒板や壁の
掲示物はそのまま。隅には打楽器なども置かれています。そこに老若男女さまざまな人が集まり、教室はすぐに満
員になりました。
ニコン製の天体望遠鏡 *(左)も設置
左奥は開閉式の天井を持つ大型望遠鏡観測室
以前の音楽教室で行われたオリエンテーション
*現在は、一般向け天体望遠鏡本体は販売していません。
そして 7 時前、いよいよ観望会開始。屋外はすっかり暗くなっており、晴天に恵まれたこの日の空には、月と星
が美しく輝いています。最初に今日の星座の位置に関する説明が参加者全員に行われました。この時期は天頂から
少し西に「夏の大三角形」を、同じく少し東には「秋の大四角形」を同時に見ることができます。また、それぞれ
に、肉眼では1つに見える星を天体望遠鏡で 2 つの星として見ることのできる、「二重星」があるとのことでした。
参加者の方々は思い思いの望遠鏡で、月や火星、二重星などを観望。さらに開閉式の天井を持つ大型望遠鏡観測室
では、アンドロメダ銀河の眺めなどを楽しんでいました。山間部なので時間が経つにつれ寒さが身に染みてきます。
それでも会場は熱気に包まれていました。
今回の観望会は 8 時半ごろに終了しました。参加者の方々の楽しそうな表情と、何よりも、いそがしく動き回っ
ていた十数名のボランティアの皆さんが、とてもいきいきとしていたことが印象的でした。
参加者はさまざまな望遠鏡で天体を観望
珍しい双眼望遠鏡も用意されていた
■ 村山昇作さんのコメント
この日は大型望遠鏡の組み立て作業を行ったことに加え、天候に恵まれて多くの来館者があり、とても忙しい一日
でした。来館者のなかには、飛び入りで組み立て作業に加わる方もいるなど、来館者との距離が近いことが当博物
館の特徴です。夜の観望会にも多くの参加があり、満点の星空を、大小さまざまな天体望遠鏡で楽しむことができ
ました。ちょうど、しし座流星群が見え始める時期でもあり、流星が飛ぶと大きなどよめきが起こるなど、ライブ
感満載で参加者の方々に喜んでいただきました。でも、一番楽しんだのは我々ボランティアスタッフだったかも知
れません。
天体望遠鏡博物館 代表理事
村山 昇作
インタビューの本編は、Nikon Today Vol.86 の
「Person」コーナー(18 ~ 20 ページ)をご覧ください。