2005 年 F1 シーズン・プレスキット

2005 年 F1 シーズン・プレスキット
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大きな自信
2004 年もミシュランは、世界中の大きなモータースポーツ・プログラムに、どんなタイヤメー
カーよりも意欲的に取り組みました。そしてパートナーチームとともに、さまざまなカテゴリー
で大きな成果を挙げました。WRC ではダブルタイトル(セバスチャン・ローブのドライバーズ選
手権、シトロエンとのコンストラクターズ選手権)を獲得。MotoGP ではバレンティーノ・ロッ
シがヤマハ移籍 1 年目でタイトル獲得。ル・マン 24 時間ではアウディが総合優勝を遂げ、ミシュ
ランはこの世界一苛酷な耐久レースを 7 連覇しました。
F1 では、残念ながらタイトル獲得はできませんでした(パートナーチームがたがいにポイントを
取り合う形になってしまうのもその要因のひとつです)が、サーキットと研究ラボでは確実な進
歩が認められたシーズンでした。ミシュランの 6 つのパートナーチームは計 3 勝を挙げ、25 の表
彰台順位を獲得しました。ミシュランの F1 通算勝利数は 75 に伸びました。トップ 8 の順位は年
間で最大 144 ですが、ミシュランドライバーはこれを合計 95 獲得しました。選手権ポイント最大
702 ポイントのうち、ミシュランドライバーは合計 400 ポイントを獲得しました。
ピエール・デュパスキエ(ミシュラン・モータースポーツディレクター)
「2004 年 F1 シーズンは、
2 つの方向から評価しなくてはなりません。厳然たる結果という点では、
私たちは自分たちで設定した目標をひとつも達成できませんでした。しかし技術的な進歩という
点では、私たちは多くの重要な目標を達成しました」
「私たちが供給した各種のタイヤを使い、6 つのパートナーチームは幅広いコンディションにお
いて、強力で、安定して、信頼性のあるパフォーマンスを発揮しました。ウェットとドライが入
り混じるブラジルの最終戦では、ミシュランタイヤを履く 2 チームがスリリングな、そして他を
圧倒する走りを見せ、見事に 1 位、2 位を獲得しました。2003 年のミシュラン・タイヤが F1 でア
ドバンテージを持っていたのは疑いようがありませんが、昨年も状況はそれほど変わっていなか
ったと思います」
「今年は 7 つ目のパートナーチームとしてザウバーを迎え入れました。これは私たちが過去 4 シ
ーズンで築いてきた高い評価を証明するものです。ミシュランがすべてのモータースポーツ・カ
テゴリーでそうであるように、ザウバーとも実りある関係を築けると期待しています」
「2005 年シーズンは何が待ち受けているでしょうか。細かい予測はまだ無理ですが、F1 タイヤに
関わる者にとって刺激的なシーズンになるだろうということは間違いありません。技術規定が大
きく変更され、私たちはその挑戦を受けて立つのです」
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「クレルモンフェランの拠点と、サーキットにいる私たちの技術者が総力を結集します。またパ
ートナーチームもしっかりとした技術的基盤を提供してくれます。選択肢を絞りこむための経験
も、シミュレーション技術もあります。私たちは大きな自信を持って将来を見つめています」
ミシュランが切り開く F1 の新時代
F1 世界選手権はこの冬、例年になく大きな変化を遂げました。ダウンフォースを減らしてコーナ
リング速度を抑制したい FIA の指導により、どのチームもフロントウィングとリヤウイングの仕
様を大幅に変更しました。エンジンは 1 基で連続する 2 戦を走りきらなくてはなりません。タイ
ヤは 1 セットで予選とレースを走りきらなくてはなりません(このためタイヤメーカーは硬めの
コンパウンドを使わざるをえなくなり、これもウィングの変更と同じように、コーナーでのグリ
ップを減らす要因になります)。
これらの変化は F1 にどのような影響を与えるでしょうか。ミシュランのモータースポーツディレ
クター、ピエール・デュパスキエは次のように答えます。
――F1 では 1 セットのタイヤでレースを走ることに決まりました。しかしそれまでは、タイヤ
メーカーを 1 社に制限するという議論もなされていました。これはスポーツにとって有害ではな
いでしょうか?
「私もそう思います。ワンメイク化されたカテゴリーでどのようなタイヤが求められるかは、ミ
シュランは充分に理解していますし、そのようなレギュレーションが強制されても最高の製品を
提供できるはずです。しかし F1 でそれをやるのは間違っています。あらゆる点で、スポーツのコ
ンペティション精神に反しています。タイヤメーカーとしては、1 社だけでのレースでは挑戦し
がいがありません。ミシュランは、むしろ厳しい環境でパートナーに技術的アドバンテージを提
供したいという意欲を持っています」
――2005 年用タイヤの開発を始めたのはいつですか?
「ルールが確定したのが遅かったのですが、私たちの準備に大きな影響はありませんでした。提
案そのものはかなり早い段階から公表され、私たちはそれが採用されると予想していました。昨
年の夏にそのアイデアが明らかになったときから、多くの下準備を進めてきました。もしそのル
ールが施行されなかったとしても、問題はなかったでしょう。その場合は、2001 年に F1 復帰し
て以来開発を続けてきた既存のタイヤシリーズを、そのままさらに進化させていったはずです」
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「2005 年用のタイヤを開発するときに、2004 年型のシャシーを使ってもあまり意味がありません。
今年のマシンは空力特性が異なり、ダウンフォースが大幅に減っているからです。もちろん、シ
ミュレーションでのテストは数えきれないほどやりましたし、ハイブリッド型シャシーでのタイ
ヤテストもやりました。しかし厳密な走行テストができるようになったのは、新車が登場し始め
た 1 月からでした」
――シーズン前の開発プログラムはどのように進みましたか?
「私たちはトップレベルのチームを多く抱えており、その優秀な基盤のおかげで着実に進歩でき
ました。この仕事では、突き詰めていくと 0.1 秒の向上にも大きな困難が伴うようになります。
しかし私たちには競争力のあるパートナーがいます。だからといって仕事が簡単になったりはし
ませんが、助かるのは確かです」
――F1 の新しいレギュレーションに対応するために、他のモータースポーツ・カテゴリーでのミ
シュランの経験は役に立ちましたか?
「スポーツカーの分野では、ミシュラン・タイヤはル・マン 24 時間を 7 年連続で制しています。
ですから、タイヤの耐久性については知りつくしているといえるでしょう。しかし、その技術を
そっくりそのまま持ってくるわけにはいきません。スポーツカーではスリックタイヤを使えます
が、F1 は溝付きタイヤと決まっているからです。それでも、エンジニアはル・マンのデータを綿
密に調べました。二輪と四輪の両方で他を圧倒するレース経験があるおかげで、私たちはタイヤ
技術とそのトレンドについて、幅広く、他では得られない視野を持つことができます」
――レース距離を走りきれるタイヤを作るという点で、特別な難しさはありますか?
「旧ルール下でも、私たちのとくにフロントタイヤは、すでにレース距離を走りきれるだけの性
能を持っていました。しかしリヤタイヤは、900 馬力ものパワーを路面に伝える役割を持ってい
ますから、どう考えても難しくなります。さらに、今後の時代は空力荷重が少なくなるため、ク
ルマは前後ともに滑りやすくなります。これを考慮してタイヤの摩耗率を計算しなくてはなりま
せん」
――ウィングの仕様変更は、ミシュランから見て他にどのような影響がありますか?
「空力効率の低下は、雨のときに大きな影響が出るでしょう。アクアプレーン現象が起きやすく
なります。この点も私たちは慎重に検討しました。しかし最近のウェットタイヤテストで、この
問題にも効率的に対処できる手応えをつかみました。私たちのレインタイヤは 2004 年中にすでに
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大きく進歩しています。これは最終戦のブラジルに勝ったことからもわかるはずです」
――コンディションがドライで一定している場合、ドライバーはタイヤ選択で悩むでしょうか?
「それはないでしょう。金曜日のフリー走行では、これまで通り、“プライム”と“オプション”の 2
種類のコンパウンドを評価し、そのあとチームのエンジニアと私たちのタイヤテクニシャンがデ
ータを分析することになります。路面がどのように変化するかを予測して、さまざまなパフォー
マンス要素を秤にかけます。今年そこで違うのは、耐久性により重点をおかなくてはならないと
いうことだけです」
――2005 年のミシュランのタイヤ開発はどのようなものになりますか?
「パフォーマンスと耐久性がミシュランのトレードマークであり、これらを高い次元で両立させ
ることを目標にしてきました。これまでに有効性が確かめられたコンストラクションを使用しな
がら、新しい選択肢も検討することになるでしょう。それぞれのサーキットでレース距離を走り
きれる新しいコンパウンドも使用していきます。詳しくはお話しできませんが、さまざまな材料
の比率を調節することでそれらを達成していきます。化学的なファインチューニングなのです」
最新のタイヤルールによって F1 はどう変わるか?
ミシュランの考え
第 56 回 F1 世界選手権は、新しい時代の幕開けとなります。FIA は、コスト削減とコーナリング
速度抑制を目的に、数多くのレギュレーション改訂を実施しました。レース中の給油ストップは
許されますが、戦略的なタイヤ交換は許されません。予選とレースを 1 セットのタイヤで走りき
らなくてはならないのです。
ミシュランのモータースポーツディレクター、ピエール・デュパスキエは、このタイヤルールの
影響を次のように評価しています。
――2005 年にむけて決まったルールを支持しますか?
「1 レースを走りきるタイヤというコンセプトは、ミシュランは全面的に支持します。そもそも
これは私たちが 2004 年に提案したものですから!
レース週末に使用するタイヤの本数が減り
ますから、経費削減になります。またコーナリング速度を下げるという FIA の目的にもかなって
います。耐久性を上げるためにタイヤは硬めのコンストラクションを使わざるをえず、必然的に
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スピードが下がるからです」
――ミシュランにとってはまったく未知の領域ではありませんか?
「グランプリ距離を 1 セットのタイヤで走りきるというのは、何も新しいやり方ではありません。
私たちが最初に F1 に参戦した 1977 年から 1984 年には、それがあたりまえでした。このルールに
よってチームとドライバーは、パフォーマンスとタイヤの耐久性のベストバランスを狙って、シ
ャシー、空力、サスペンションのセッティングを決めていくことになります。1970 年代と 80 年
代前半のことも一応確認しましたが、技術面が当時に較べて格段に進歩していますからね。当時
はガソリンをいっぱいに積んでスタートしたという違いもあります。タイヤも昔はスリック、今
は溝付きです。これらは大きな変化ですよ」
――このルールによってレースの組み立て方に新しい要素が入ってくるのではないでしょうか?
「ドライバーの役割が大きくなると思います。同じチームでもパフォーマンスの差が大きく出る
ようになるでしょう。セットアップの違いやドライビングスタイルの違いが、タイヤの摩耗率に
大きな影響を与えます」
「タイヤをもたせ、そのポテンシャルをフルに発揮させることに、チームとドライバーは神経を
注がねばならなくなります。例えば、若干のアンダーステアにドライビングスタイルを合わせら
れないドライバーは、残り 10 周あたりでタイヤが劣化してしまい、一方で同じマシンに乗るチー
ムメイトは、タイヤの寿命を充分残してチェッカーを受ける、というようなことが起きてくるで
しょう。ほんのわずかなテクニックの違いがその差をつくりだすのです」
「トラクションコントロールも重要になります。プログラムが不適切でホイールスピンが多すぎ
ると、レース途中でタイヤが摩耗してしまうでしょう」
――タイヤメーカーにとって頭痛の種になりそうなものは何ですか?
「温度変化やさまざまなコースレイアウトが、最新のコンパウンドにどのように影響するかは、
まだつかめていません。みなさんは最新世代のタイヤについて、耐久性重視だから“硬い”と簡単
におっしゃいますが、実際にはそれほど単純ではありません。たしかに硬めのタイヤは長持ちし
ますが、グリップは低くなります。そうするとクルマが滑り、摩耗が加速してしまいます。かと
いってコンパウンドを柔らかくしすぎると、クルマの滑りはある程度止まっても、レースの最後
まではもたなくなります。これらの間のどこかで妥協点をみつけなくてはなりません。私たちは
その発見の旅に出発したところなのです」
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――最新のタイヤを試したドライバーたちはどんな反応ですか?
「やはり、クルマがあちこちで滑るという感想が多いですね。しかしその多くは、空力レギュレ
ーションの変更でダウンフォースが減ったせいです。レースシミュレーションでタイヤを交換せ
ずに何十周も連続して走るうちに、ドライバーたちはレース終盤のクルマの挙動変化をだんだん
と把握していきました。タイヤメーカーとして心配なのは、レース終盤の性能低下をタイヤのせ
いだと、ドライバーやエンジニアから非難されることです。しかしさきほども述べたように、重
要なのはタイヤがレースを走りきれるようにするセットアップなのです。おなじコンパウンドで
も、使い方が他よりうまいチームとドライバーが必ず出てくるはずです」
ミシュランが迎える記念すべきシーズン
F1 は世界展開を続けています。2004 年、ミシュランとパートナーチームは、新開催のバーレー
ンと中国を含め、5 つの大陸にまたがる全 18 戦を転戦しました。1950 年に世界選手権が創設され
て以来、最大規模のシリーズでした。しかし今シーズンはそれをさらに上回ります。イスタンブ
ール近郊に新サーキットを建設したトルコが、8 月 21 日に初めてのグランプリを開催します。こ
の新規開催地のためにカレンダーからはずれたレースはなかったので、チームとサプライヤーは
過去最大の 19 戦シリーズに挑むことになりました。
タイヤメーカーはこの未知の領域にどのように挑むのでしょうか。ミシュランのモータースポー
ツディレクター、ピエール・デュパスキエが説明します。
――今シーズンはタイヤレギュレーションが変わったので、すべてのサーキットを再評価しなく
てはなりません。しかし過去の評価基準がまったくないというのは、大変ではありませんか?
「データの少ないイベントに挑むのはいつも大変です。しかし私たちは高度なシミュレーション
ツールを持っています。また新設サーキットには、実際に走る前に視察に行くようにしています。
昨年のバーレーンと中国もそうでした。そうやってアスファルトの特性を測り、さまざまなコー
ナーで発生する負荷を評価しました」
――ミシュランの技術者は、もうトルコの開催地を見にいきましたか?
「まだです。現時点では路面が完成していませんから。完成したら、私たちの基準に従った評価
作業をおこなうつもりです。設計図を見るかぎりでは興味深いサーキットですね。タイプの異な
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るコーナーがいくつもあり、勾配の変化もあります。なかなか厳しいコースで、レースは見応え
のあるものになるでしょう」
――新しいサーキットへの対応は、すでにレースをしている開催地に較べて時間がかかるもので
すか?
「そんなことはありません。詳細な分析が必要なサーキットはトルコだけではありません。シル
バーストンやニュルブルクリンクなどは、ここ数年は大きな改修がされていないので比較的安定
していますが、1 レースタイヤ規定による影響は当然、再評価しなくてはいけません」
「他の国々のサーキットは、この 12 カ月間でかなりの変化があるはずです。バーレーンと中国は
特性が変わっているでしょう。新設サーキットはいつもそうです。スパは昨年、部分的に再舗装
されましたから、そこがどうなっているかも気になります。バルセロナは全面再舗装されました。
これまではタイヤへの負担という点で最も厳しいサーキットでしたが、今後は平均レベルになり
そうです」
「F1 は変化の激しいスポーツですから、毎年すべてのサーキットを再評価することが絶対に必要
なのです」
70%のチームが信頼するミシュラン
ミシュランは F1 世界選手権で最も大きな勢力を誇るタイヤサプライヤーです。昨年は B・A・R、
ルノー、ウイリアムズ、マクラーレン、ジャガー(オーナーが代わり、今年からはレッドブル)、
トヨタの 6 チームと仕事をしてきましたが、今年からスイスに拠点をおくザウバー‐ペトロナス
が新たにミシュラン陣営に加わります。つまり、グランプリのグリッドは 70%がミシュランユー
ザーになります。
タイヤ供給のロジスティクス面で困難はないのでしょうか。ミシュランのモータースポーツディ
レクター、ピエール・デュパスキエは、その心配はないといいます。
――F1 におけるミシュランのタイヤ供給は、2003 年は 5 チームだったのが、昨年 B・A・R が加わ
り、今年からさらにザウバーが加わって、全部で 7 チームになります。どのように対応していき
ますか?
「それほど大きな問題は発生しないでしょう。私たちは、幅広い種類のクルマにむけて競争力の
あるタイヤを供給できるシステムを開発してきましたし、それはうまく機能しています。この 2
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年間で、私たちの陣営の 3 つのチームが勝利を挙げているのがその証拠です。さらに、新レギュ
レーションによってチームごとのタイヤ使用本数も少なくなりますから、その点でも楽になるで
しょう」
――ザウバーと契約したのはどのような経緯だったのですか?
「まず、ジャガーチームがフォードから売却されたあとにどうなるのかが不透明でした。私たち
は陣営の 1 チームを失うかもしれなかったわけです。しかし、最終的にはそうならずにすみまし
た。新生レッドブル・レーシングは、将来について高い目標を掲げていますし、私たちも彼らと
仕事を継続できることをとてもよろこんでいます」
「その交渉がおこなわれている一方で、私たちはもう一つ別のチームを陣営に招きいれることも
賢明だと考えていました。ペーター・ザウバー代表は、以前からミシュランへのスイッチに興味
があると声をかけてくれていましたから、その期待に応えることができてうれしく思っています」
――新しいチームと提携した最初の時期は、いろいろな発見があるのではないでしょうか?
「ドライバーの第一印象を聞くのはいつも楽しみですね。フェリペ・マッサは 2002 年に F1 に昇
格してから、1 度もミシュラン・タイヤを使ったことがありませんでした。ですから、ミシュラ
ンへのスイッチというチームの決定を聞かされたときは、あまりうれしくなかったそうです。し
かし私たちのタイヤを最初にテストしたとき、クルマを降りた直後にペーター・ザウバー代表に
電話をして、正しい選択をしてくれてありがとうと伝えたそうですよ」
――パートナーの 7 チームにどんなタイヤを供給していきますか?
「私たちは常にパフォーマンス・アドバンテージのあるタイヤを供給しているつもりです。しか
しそれは、サスペンションジオメトリーと空力という基本ができていることが前提です。例えば、
いつもバランスがとれているクルマがある一方で、しばしばトラクションが悪くなるクルマや、
リヤが不安定で苦労するクルマがあります。エンジンの特性も考慮しなくてはなりません。パワ
ーはあるけれどもピーキーなエンジンもあれば、パワーとドライバビリティのバランスがとれて
いて使いやすいエンジンもあります。トラクションコントロール・システムがうまく仕上げられ
ているかという、微妙な問題もからんできます。そもそもドライバーが限界まで攻めるときには、
つねに自信を持てるようでなくてはいけません。私たちはパートナーとの関係の中で、その要求
にきちんと応えられる解決策を見出すために、この複雑な方程式を常に頭においています」
「クルマが安定し、ドライバーが快適になって、初めてタイヤ選びが視野に入ってきます。パー
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トナーチームは、レース前の金曜日におこなわれるフリー走行で、2 種類のタイヤをテストしま
す。私たちはこの 2 種類を、“プライム”(タイプ A)と“オプション”(タイプ B)と呼んでいます。
基本的にこの 2 種類にそれほど大きなパフォーマンスの差はありません。1、2 周のタイムで比較
して、片方が若干遅いという程度で、そのかわり長距離での耐久性は大きく変わります。チーム
は、天気や、路面状況や、それらがどのように変化していくかなど、さまざまな要因を考慮して、
どちらのタイヤをレースに使うか決めます。たいていの場合、日曜午後のグリッドでは“プライム”
も“オプション”も見られます。同じチームでもドライバーによって異なる場合さえあります。こ
れはドライバーそれぞれのセットアップの方向性を反映しています。多様な要求を満足できるミ
シュランの懐の深さをしめしているといえます」
――2005 年 F1 シーズンで最大の目標は何ですか?
「それはいつも変わりません。パートナーチームが世界タイトル獲得を視野に入れられるだけの
競争力を提供することです。ただし実際のタイトル獲得はなかなか難しい。ライバル陣営では毎
回同じクルマが先頭に来ますが、私たちは強力なチームを 7 つも抱えていますから。どのチーム
も勝てる力を持っていますし、トップ 6 の順位を狙えます。となると、19 戦シリーズの間にポイ
ントを奪い合う形になってしまいます。勝利数でライバル陣営を上回れても、チャンピオンにな
れるとは限りません。それが難しい現実です」
パフォーマンスを測る究極の基準、モータースポーツ
ミシュランは何十年もの間、情熱と良識を巧みにバランスさせて、モータースポーツ活動に取り
組んできました。レース用タイヤの設計、製造、使用の各段階で安全性に配慮することは、ミシ
ュランのトレードマークであり、またパートナーチームとの実りある協力関係の基本です。
ミシュランの副モータースポーツディレクター、フレデリック・アンリ‐ビアボーは、レースに
おけるミシュランのフィロソフィーを次のように説明します。
――ミシュランは世界第 1 位のタイヤメーカーです。そのミシュランがモータースポーツに関わ
る理由は何ですか?
「根源的な理由がいくつかあります。まず、世界中の自動車メーカーと協力して、それぞれのモ
ータースポーツ活動で成功することにより、彼らとの結びつきを強めたい。だからパートナーを
強力にサポートするのです。また、とにかく勝ちたいという情熱もあります。F1、WRC、二輪の
最高峰レース、ダカール・ラリー、ル・マン 24 時間などの、最先端で高度な技術を要するカテゴ
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リーに、ただ参戦するだけでなく、勝ちたいのです。これらのイベントは世界中のメディアに露
出します。ミシュランユーザーのドライバーやライダーが表彰台の頂点に立つことで、私たちの
力を示せます」
――これらの関わりによって、ミシュランのイメージはどのように向上しますか?
「ブランドの価値を築く方法はいくつかあります。健全な販売構造によって。製品の品質と信頼
性のために高い基準のサービスを提供することによって。研究と投資を通じて高い評価を獲得す
るという面も忘れてはいけません」
「しかしモータースポーツでは、他の方法では得られないフィードバックがあることを指摘して
おかなくてはならないでしょう。どんなに広告キャンペーンが成功してもかなわない効果があり
ます。モータースポーツは信頼性を含めて、さまざまな強みを明らかにします。また好成績のニ
ュースは一般の人々にもすぐ知れわたります。浸透性が高いのです。ブランドイメージを高める
という点で、モータースポーツへの投資に価値があることは、あらゆるマーケットリサーチから
も明らかです」
――ミシュランはモータースポーツにおけるパートナーとの関係を、どのように築いています
か?
「モータースポーツにおける自動車メーカーとの長期的な関わり合いは、さまざまな機会にドア
を開きます。商業的なものも、技術的コラボレーションもあります。自動車メーカーと常に対話
しているおかげで、おたがいに今後の目標となる有益な市場分野を認識できます。競争力のある
タイヤを週末ごとに製造できる事実は、ミシュランへの信頼を築いていきます。世界トップクラ
スの自動車メーカーとモータースポーツで提携していることも、その信頼を後押ししますし。ま
た、強力な商業的関係を築く礎になっていきます」
――ミシュランのモータースポーツへの関わりは、市販用タイヤの市場にどのような影響を与え
ますか?
「市販用タイヤの市場についていえば、私たちがさまざまなレースカテゴリーで成功している事
実によって、私たちの販売店も大きく勇気づけられますし、訪れたお客様にミシュラン・タイヤ
を推薦する動機になってくれます。しかし最も重要なのは、ビジネスユーザーや個人ユーザーを
勇気づけることです」
「基本的に、販売店は私たちが高品質の製品を提供していることをご存知です。だからこそ、ミ
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シュラン・タイヤを顧客に推薦してくださっており、その自信はきちんと伝わるものです。お客
様はそれを自動車やバイクに装着し、その結果、ただの移動手段ではなく楽しいものに変わった
と認識すると、信頼感がさらに増します。世の中の誰もがモータースポーツに興味を持っている
わけではありません。ミシュランのモータースポーツへの関わりは、ビジネスのひとつの側面な
のです」
――モータースポーツにはどれくらいの投資が必要ですか?
「ひと言でいえば、かなりかかります。ミシュランのように最高峰で成功しようとすると、そう
なります。その一方で、投資に見合うだけのリターンがあります。それは私たちが契約する新し
い商業的な提携からわかりますし、もちろんボリュームゾーンにおける市販タイヤの売上からも
わかります。タイヤ構造の新技術や新しい素材といった技術革新の能力も、ミシュランの評価や
ブランドへの期待感を高めます。社内においても、モータースポーツへの参戦は社員を鼓舞し、
力づけます。ミシュランの F1 復帰は、あらゆる分野で、量と質の両方を伴った投資対効果をもた
らしてくれています」
――ミシュランの社員に対するモータースポーツのモチベーション効果はどれくらいですか?
「見ていてわかりやすく、訓練のいきとどいた人々が活躍するモータースポーツ番組の中で、私
たちが好成績を挙げると、社内のコミニュケーションには素晴らしい効果があります。ブランド
への誇りが高まります。世界中のミシュランのスタッフが私たちの成功を知っています。パート
ナーたちが切磋琢磨する世界一厳しい環境を見ることで、“カスタマーサービスとは何か”を社員
たちは学びます」
「さらに、高性能タイヤの重要性を知らしめるチャンスになります。高性能タイヤはしばしば軽
んじられ、たんなる商品のひとつと見なされることがよくあるのです」
「そしてモータースポーツは、働く場の雰囲気を盛りあげます。社員は、会社がおこなっている
レースやラリー活動により興味を持つようになりますし、イントラネットなどのコミニュケーシ
ョンツールを使って、いつも最新情報に接するようになります」
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ミシュラン・タイヤテクニシャンの役割
ミシュランでは、社内のテクニシャンが F1 のパートナー7 チームをそれぞれ担当しています。彼
らはタイヤ関連のパフォーマンスを監視、管理するだけでなく、クレルモンフェランの F1 担当エ
ンジニアグループとチームをつなぐ重要な接点でもあります。
イギリス人のアンディ・ファーンは、2002 年からウェスト・マクラーレン・メルセデスを担当し
ています。
――あなたの仕事は具体的にどのようなものですか?
「ミシュランとマクラーレンをつなぐ連絡担当者のようなものです。タイヤの設計プロセスには
関与しません。しかしレースや、ときにはテストにも立ち会います。各セットのタイヤができる
かぎりスムースに使われるように管理します。そのあとはタイヤの設計者やエンジニアに報告し
ます」
「最大の仕事は、レース用のコンパウンドを選択するときまでに、詳しいデータを調べて助言す
ることです。マシンの走行中はかならずマクラーレンのガレージにいますし、そうでないときも
多くの時間をそこですごします」
――マクラーレンのピットでは、あなたが唯一のミシュラン関係者ですか?
「いいえ。複数のアシスタントテクニシャンがいて、クルマがピットに入ってくるたびにタイヤ
の温度や空気圧を点検する作業を担当しています。先行設計エンジニアの 1 人もマクラーレンチ
ームの本拠地と常に連絡をとっています」
――マクラーレンのタイヤに関するデータは、あなたの手元にとどめるのですか?
それともミ
シュランのテクニシャンの間で共有するのですか?
「ミシュランはタイヤのデータをすべて蓄積しています。結果を集めることでタイヤのレンジ全
体を改善し、全チームにとってパフォーマンス向上に役立つからです。ただし、交換するのはタ
イヤのデータだけです。ミシュランのテクニシャンは、燃料積載量のような秘密情報にもアクセ
スできますが、それをおたがいに話すことは厳禁です。この仕事の難しいところですね。私たち
は仲がよく、このスポーツに関する会話を楽しみますが、そこには一線を引かなくてはなりませ
ん。簡単ではありませんが、慣れしだいです。そしてそのおかげで、タイヤテクニシャンとパー
トナーチームのあいだには強い信頼関係ができるのです」
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――レース週末にはどのような機材を使いますか?
「ラップトップ・コンピュータと、いくつかの計測器を使います。PC と接続できるレーザースキ
ャナーでは、タイヤの摩耗度合いを調べることができます。週末のうちにどのように変化するか
を予測する上で、いい基準になります」
「チームは現在、内蔵型の空気圧センサーや温度センサーを開発していますが、これらはまだ未
完成の技術なので、私たちは今も空気圧計や温度計といった、従来からの測定器に頼っています」
「金曜日には使用したセットのタイヤを切り開いて点検します。とくにリヤタイヤはブリスター
の兆候を調べますし、その他、安定性や耐久性も測定します。集めたデータはその日のうちにミ
シュランのデータ集積地に送られ、分析と比較がおこなわれます。すべてのデータに目を通して
から、レース向けのタイヤについて助言することになります」
――グランプリ週末に用意する 2 種類のタイヤは、どのように決めますか?
「とにかく対話です。レース週末の間、ミシュランのテクニシャンは少なくとも 1 回はブリーフ
ィングに出て、走行データなどを設計チームに伝えます。クレルモンフェランに戻ってからは、
テスト結果を分析し、今後のレースについて検討します」
「テストセッションに合流するときまでに、次戦用の 2 種類のうち、片方はたいてい決まってい
ます。たいていは“プライム”の方です。そして“オプション”として持っていくタイヤを決めるた
めに、いくつかの候補を試します。そのうち特定のタイヤに大きな進歩が見られたら、すべての
パートナーチームにその利点を公開します」
――サーキット以外の場所で、マクラーレンチームとはどれくらい連絡をとっていますか?
「チームのレースエンジニアとは常に連絡をとっています。グランプリに向かう週には電話会議
をおこない、2 種類のタイヤにどのようなパフォーマンスが予測されるか話しあいます。天気予
報、空気圧、キャンバーなどのタイヤがらみのセッティングを検討します。そして、木曜日にサ
ーキット入りしてまた顔を会わせると、前回のレースから大きく変わった点などを報告しあいま
す」
――あなたの仕事で一番難しいところはどこですか?
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「長い移動や時差ボケを別にすれば、一番難しいのは、金曜日の夕方におこなうレース用タイヤ
の最終決定ですね。きわめて重要な決定ですし、サーキットの路面はその時点でまだ変化してい
る途中なので、判断が難しい。もちろん誰にとっても同じ条件ですが、難しいことに変わりあり
ません」
タイヤの製造
タイヤの製造にはいくつかの段階があります。
半加工部品の下準備
・フラットな、あるいはプロファイルをつけたゴム
・繊維を編みこんだプライ
・メタルプライとビードワイヤ
半加工部品の組み立て
・組み立て
・仕上げ
加硫
品質検査
これらの段階はどれも重要です。加硫をおこなって必要な性能を持つ製品に仕上げるには、加硫
前の製品と半加工部品が製造者の基準を満たしていなくてはなりません。
半加工部品は、ゴム、繊維、メタルプライ、ビードワイヤなどから組み立てられます。
ゴム
コンパウンドは基本的に次のものでできています。
・合成ゴム(スチレン‐ブタジエン、ポリブタジエン、ブチル)と天然ゴム。
・補強剤(カーボンブラック、シリカ)。
・可塑性のある状態から弾性体に変えるための添加剤。硫黄、加硫促進剤、活性剤等。
・素材を補ったり、特定の特性を改善するための添加剤。
繊維プライとメタルプライ
ゴムは押し出し成形によって、平面状のシート材や凹凸をつけた帯状にします。シート材は繊維
プライやメタルプライの製造に使われます。プライは、繊維やスチールワイヤをゴムのシート材
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ではさんだものです。
ビードワイヤ
スチールワイヤは、プライだけでなくビードワイヤの製造にも使われます。極細のワイヤ(直径
約 0.25mm)がプライ用で、太いワイヤ(直径約 1mm)がビードワイヤ用です。
組み立て工程は、組み立てと仕上げの 2 段階に分かれます。
組み立て
まず、半製品を特定の位置と順序で並べていきます。タイヤを組み立てる専用の機械は、回転す
るドラム状のもので、この上にインナーライナーから順番に半製品を重ねていきます。シート材、
プロファイル材、プライ、ビードワイヤをおいてケーシングをつくっていきます。
仕上げ
組み立てられたケーシングを、タイヤの形にします。ドラムをふくらませながら、同時に 2 本の
ビードワイヤを内側に寄せることで、ケーシングをタイヤの形にします。形ができたケーシング
に、クラウンプライ(繊維またはメタル)をつけてタイヤベルトの形をつくります。そのあとト
レッドゴムをつけます。
この段階のタイヤは、加硫前タイヤ、または“グリーン”タイヤと呼ばれます。各部品はまだ未加
硫の結合力(粘着性)でくっついているだけです。
加硫
タイヤは加硫工程を経ることで、エラストマー鎖の間が硫黄によって架橋結合し、可塑性を失っ
て弾性体になります。タイヤを構成するさまざまな部品はこの加硫工程で結合します。添加剤の
働きでプライやワイヤも一体になります。
モールドでの加硫は、特殊なプレス機に熱と圧力を加えておこないます。タイヤは内と外から同
時に熱せられます。外側はモールドの壁に高温の蒸気が流され、内側からは加圧された高温の液
体が注入されるのが一般的です。
タイヤは 10 気圧以上の圧力で内側から押され、モールドに押しつけられます。これによって最終
的な形状が決まり、トレッドパターンとマーキングが刻まれます。加硫時間はタイヤのサイズ、
加工機械、使用しているコンパウンドによってさまざまです。自転車用タイヤなら数分、乗用車
用タイヤは 15 分程度で、
建設機械用の巨大なタイヤの場合は 24 時間以上かかることもあります。
加硫温度は 100℃から 200℃の間です。
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この工程によってゴムは初期の可塑性を失い、安定した弾性体になります。
このあと、製品としての品質基準を満たしているかどうかの検査があります。超音波検査、ユニ
フォーミティ検査、構造検査、X 線検査等がおこなわれます。
こうしてようやくタイヤは使用できる姿になるのです。
F1 におけるタイヤの摩耗
F1 のレース中には、さまざまな種類の“摩耗”がタイヤのパフォーマンスに影響します。ミシュラ
ンのモータースポーツディレクター、ピエール・デュパスキエは次のように説明します。
「フロントタイヤとリヤタイヤの摩耗が均一でないと、クルマのハンドリングに影響します。フ
ロントがグリップが失いはじめると、ドライバーはターンインが難しくなります。早めにブレー
キングして、アンダーステアに対処するテクニックを使わなくてはなりません。このような場合
は、フロントタイヤに不必要な荷重をかけないように気をつける必要があります。無理をすると
ますます現象が悪化してしまいます」
「フロントよりリヤの摩耗が進むと、クルマはオーバーステア気味になり、ドライバーはスロッ
トル操作に慎重さが必要になります。とくに低速コーナーの立ち上がりで気をつけなくてはいけ
ません」
「大事なのはタイヤの摩耗をうまく管理することです。最も大きな要因はシャシーのセットアッ
プです。2005 年は、ミシュランが使用する硬めのコンストラクションのタイヤに対応できるよう
な、効率的な空力特性が求められます。そしてレースが始まれば、ドライバーはタイヤをもたせ
る走り方を心がけなくてはなりません」
ブリスター
「ブリスターは、タイヤの特定の部位に熱が蓄積して起こります。たいていは強い加速と高いコ
ーナリング荷重という、前後方向と横方向のストレスの組み合わせです。外から見てわかるトレ
ッドのブリスターは、過熱したゴムが剥がれた跡です。最初はそれほどラップタイムには影響し
ません。しかしリヤタイヤはこの種の摩耗にとくに弱いのです。いったんブリスターができはじ
めると、クルマは滑りが大きくなり、さらにゴムにストレスがかかってきます」
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「タイヤは、滑ったりすると表面の温度がすぐに上がりますが、ゴムは基本的に断熱性があるの
で、表面以外の温度はそれほど急速には上がりません。しかしタイヤの中心部に過剰な熱が入る
と、ブリスターができやすくなり、トレッドはたちまち劣化してしまいます」
「タイヤが自然なライフサイクルを終えつつフィニッシュできれば、私たちは宿題をこなしたと
いえるでしょう」
グレーニング
「グレーニングはどんなレーシングタイヤにも起きるものですが、F1 で使われている溝付きタイ
ヤは、とくに起きやすいといえます。“グレーニング(ささくれ)”という表現はアメリカ生まれ
ですが、私は“ピーリング(剥がれ)”という表現のほうがより正確だと思います」
「これはタイヤが横方向にグリップするときに、表面に働く力でゴムの層が剥がれ、トレッド上
に盛り上がるものです。一般的にはフロントタイヤへの横荷重で起き、クルマはアンダーステア
傾向になります。しかし、タイヤの自然な摩耗によって余計なゴムはしだいに削り取られるので、
この現象は数周もするとおさまります。リヤタイヤに起きることもあります。たいていは、トラ
クションをかける場面が多いサーキットで、低速コーナーからの強烈な加速が原因です」
リニアな摩耗
「この場合は、フロントもリヤも同じ比率で、自然な劣化サイクルをたどります。ラップごとの
性能低下も安定しています。シャシーのバランスにも影響はありません。じつはタイヤが安定し
た状態にあると、レースが進行するにつれてクルマのパフォーマンスが上がる場合があります。
これはガソリンが減って車重が軽くなるためです」
グリップの秘密
クルマと路面をつなぐ黒い魔法
グリップがなければ、F1 マシンは機能しません。ブレーキが効かないどころか、直線も走れませ
ん。レーシングカーのあらゆる動きは、路面との唯一の接点であるタイヤが発生するグリップの
レベルによって規定されます。
ポリマー、硫黄架橋、弾性係数、ストレス頻度……。グリップの本質を知る科学者にとって、こ
れらは常識です。しばしば化学の領域に踏みこむその世界では、これらは基本中の基本といえま
す。それをここで解説しましょう。
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タイヤが路面と接地するのはトレッドです。トレッドは、まず何よりもゴムでできています。
ゴムは、粘弾性をもつ物質(チューインガムもその一種)です。その変形性は、粘液(オイルな
ど)と可撓性のある固体(バネなど)の中間です。
バネは、かけられた力に比例して、即座に変形します。しかし粘液のふるまいは異なります。オ
イルが満たされたシリンダーにピストンを押しこむ速度が速いほど、抵抗が増します。さらに、
ピストンに圧力をかけはじめた瞬間から動きはじめるまでに、遅れがあります。液体の粘性は、
それを構成する分子間の摩擦によって発生しています。
タイヤの製造に使われるゴムは、各種のポリマーでできています。ポリマーは長い分子の鎖で、
ひとりでに球状にまとまり、おたがいにからみつく性質を持っています。タイヤの製造では、こ
れに硫黄を混ぜて加熱する、加硫という工程があります。これによって無数のポリマー鎖の間に
硫黄結合ができます。
使ったポリマーの種類(ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエン‐スチレン等)や、加硫
によってつくられた硫黄結合の数によって粘度は変わります。これらのパラメータを変化させる
ことによって、最終的なコンパウンドが柔らかめ(弾性係数が低い)になったり、硬め(弾性係
数が高い)になったりします。
グリップを重視するトレッド用のコンパウンドは、中間の弾性係数(適度な柔らかさ)にして、
粘度を上げています。
あるコンパウンドにおいて、弾性と粘性という 2 つの特性は、タイヤの作業負荷(路面と接触す
る頻度で、クルマの速度に比例)と周囲の温度に変化するという問題があります。そしてこの 2
つの特性は相反関係にあります。
接地頻度が高すぎると、コンパウンドは硬く(極端な場合はもろく)なり、粘性を失ってしまい
ます。温度による変化は逆で、低温のほうがコンパウンドは硬く、もろくなります。温度が上が
ると柔らかくなります。
つまり、温度と接地頻度は反比例の関係にあります。接地頻度が 10 倍になるのは、ゴムの温度が
7℃から 8℃下がるのとおなじ効果を持ちます。
シーズン中の 19 戦それぞれのタイヤを作るときには、想定される作業負荷、特性、環境温度に対
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して、適切な柔軟性と高いヒステリシスを持つトレッド用コンパウンドを選ぶことが重要です。
トレッドのグリップレベルを支配する 2 つの現象
グリップの基本は、タイヤが路面を滑っているときに起きる 2 つの現象から見てとることができ
ます。
へこみ
路面の小さな突起を踏んだときに、タイヤは変形します。柔軟な特性を持つコンパウンドが、そ
の形状を変え、路面の細かな凹凸を吸収します。トレッドが路面を滑るとき、ゴムはその粘性の
おかげで滑らかに変形します。突起を踏んで変形したゴムは、そこを通りすぎても、すぐにはも
とに戻りません。路面の凹凸による変化は非対称で、滑りに対抗する一定の力を蓄積します。
このようなへこみを発生させるために、路面には数ミクロンから数ミリの大きさの細かな凹凸が
あるべきです。雨のときもこの現象は同じように働き、好ましい効果を発揮します。
グリップ
グリップの根源は、きわめて小さい(約百分の一ミクロン)分子の接触です。そしてクルマが滑
るときに強くなります。
グリップは、タイヤと路面の接触面における分子の相互作用によって発生しています。タイヤが
回転すると、トレッドの一部が路面と物理的に接触します。そして分子は、接触が切れるまで伸
びていきます。ゴムの分子鎖は、伸びて離すというサイクルを何度もくりかえし、これがタイヤ
内部の粘弾性効果をつくりだしています。これはカーカス内の分子鎖の摩擦によって発生します。
温度や、ゴムが路面を滑る速度によっても異なりますが、この効果によって接地面に働く力は 100
倍から 1000 倍も強くなっています。
グリップするには(少しだけ)滑る必要がある
このような変形と分子の連携をつかさどる力は、垂直方向にのみ働くもので、接線方向には働き
ません。しかし、タイヤが少しでも滑ろうとすれば別です。わずかに滑ることによって、それに
対抗する力が発生し、それによってクルマは路面をつかんでいるのです。
顕微鏡レベルでは、この現象はきわめて短時間のうちに起きています。300km/h で走行するレー
シングカーの場合、ある接地面は 1 秒間に 40 回ずつ路面に接しています。ゴムの分子はすさまじ
い速さでグリップを発生させているわけで、まさに黒い魔法といえます。
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要点
ゴムは粘弾性をもつ材料で、バネとピストンをあわせたようなふるまいをします。変形しても復
元しますが、ある方向に形が変わると、もとの形に戻るまではやや時間がかかります。力のかか
る方向が変わったときに反応が遅れる現象を、ヒステリシスと呼びます。この遅れはエネルギー
の損失を伴います。
タイヤのふるまい(柔軟性、ヒステリシス、エネルギー損失の程度)は、温度と接地頻度によっ
て変化します。
接地頻度が高くなると、タイヤはゴムらしい柔軟性を失って、硬く、もろくなります。
温度が上がると、タイヤは硬くもろい状態から、ゴムらしい柔軟性を取り戻します。
ゴムが硬くなりはじめる温度に近づくと(接地頻度が高いと、その温度はより高くなります)、適
度な柔軟性の中で最大限のヒステリシスを発揮するようになります。この 2 つの特性が摩擦のメ
カニズムをつくりだし、グリップを発生させます。レース中の使用状況がちょうどその範囲にく
るように、トレッドのコンパウンドは調整されています。
タイヤの割り当てプロセス
チームはグランプリ週末ごとに 2 種類のタイヤを選ぶことができます。
金曜日のフリー走行では、ドライバーはその 2 種類のコンパウンドを 1 セットずつ使用できます。
そして週末を通じて使用するタイヤを決めなくてはなりません。土曜日の走行を始めるまでに、
金曜日に使った 2 セットのうちレースで使用すると決めた方を残し、使わない方のセットは返却
します。
土曜日の午前中は、ドライバー1 人につき、選んだコンパウンドのタイヤを 3 セット持ちます。
つまり新品 2 セットと、金曜日の残り 1 セットです。
土曜日午前のフリー走行では、割り当てられたタイヤを自由に使えます。ただしそのうち 1 セッ
トは、2 回の予選とレース用であることを考慮しなくてはなりません。
予選は、第 1 回が土曜日午後、第 2 回が日曜日午前におこなわれます。この 2 度の予選セッショ
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ンとレースは、1 セットのタイヤで走りきらなくてはなりません。
レース時のスペアも、1 セットだけキープできます。ただし、交換できるのは安全上の理由があ
るときだけです。スペアとなるタイヤは、土曜日のフリー走行で使用済みのものです。
金曜日
土曜日
土曜日
フリー走行
フリー走行
第 1 回予選
土曜日
日曜日
第 2 回予選
レース
コンパウンド選択
割り当て数
割り当て数
割り当て数
8
12
4
車両保管
割り当て数
0
(安全上の理由が
ある場合は除外)
2 種類のコンパウ
選んだ仕様のタイ
2 回の予選とレー
タイヤ交換は許さ
レース終了まで同
ンドが 1 セットず
ヤ 8 本と、同じ種
スを 1 セットのタイ
れない。
じタイヤを使用す
つ、計 8 本のドライ
類の金曜日の残り
ヤで走りきらなくて
る。万一にそなえ
タイヤが渡され
4 本を、自由に使
はならない。
てスペアの 1 セット
る。
用できる。
は用意できる(た
だし、通常は土曜
日の昼までに使用
したもの)。
レギュレーション
最大直径
最低幅
最大幅
備考
フロント
リヤ
フロント
リヤ
ドライ用
660 mm
305 mm
365 mm
355 mm
380 mm
溝を義務付け
ウェット用
670 mm
305 mm
365 mm
355 mm
380 mm
ボイドレシオ 30%以
上 、 溝 の 深 さ
2.5mm
フルウェット用
670 mm
305 mm
365 mm
355 mm
380 mm
ボイドレシオ 40%以
上、溝の深さ 5mm
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溝付きドライタイヤ
長距離をこなすタイヤ
ミシュランの研究開発部門はおもにゴムを研究しますが、F1 エンジニアの多くはカーボンファイ
バーやチタンといった素材を研究します。どちらも合理的で、どちらも特殊な材料を使っていま
す。
1. サイズ
ミシュランのドライウェザー用 F1 タイヤは、直径 660mm、幅 380mm(フロントは 355mm)です。
トレッドにはレギュレーションで定められた 4 本の溝があります。この溝は深さ 2.5mm 以上で、
トレッド中心から左右対称に配置されます。溝の間隔は中心間で 50mm です。
2. パフォーマンス
溝付きタイヤのパフォーマンスは、サイズ、コンパウンド、コンストラクション、路面コンディ
ション、シャシー等々によって変わってきますし、シーズン全 19 戦のあいだにも大きく変わりま
す。タイヤはチームそれぞれに専用設計されます。そしてチームは金曜日のフリー走行セッショ
ンで 2 種類のコンパウンドしか使えません。そのあと、週末全体で使用するタイヤをドライバー
ごとに決めます。2005 年のレギュレーション改正により、ドライバーは同じ 4 本のタイヤで予選
とレースを走らなくてはなりません。F1 タイヤの寿命は 300km 以上になるはずです。
3. 素材
タイヤのコンパウンドは、サーキットの特性に合わせて、硬めのものや柔らかめのものが使われ
ます。これはレースごとに異なりますし、コンストラクションもシーズン中に微妙に変化してい
きます。タイヤの骨格は複雑に編まれたナイロンとポリエステルです。これによって F1 マシンの
強烈な空力荷重(250km/h で 1 トン以上)に耐えます。前後方向には 5G、横方向には 4G がかか
りますし、縁石によって激しく叩かれることもあります。
4. 温度
F1 タイヤが最高のパフォーマンスを発揮する作動温度は約 100℃です。ショルダー、センター、
トレッド内側まで均等にこの温度になっているのが理想です。また前後左右の 4 本とも同じ温度
であることが望まれます。後ろだけが熱くなるとクルマはオーバーステア傾向になり、前だけが
熱くなるとアンダーステア傾向になります。
5. レギュレーション
ドライバーが週末に使えるタイヤは 16 本、4 セットです。
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レインタイヤ
水膜を切り裂くタイヤ
最新のウェットタイヤを評価するために、散水車でサーキットの路面を濡らすこともあります。
1. 定義
ウェットタイヤは、タイヤと路面の接地面に入りこんでくる水の膜を切り裂かなくてはいけませ
ん。雨の量が多すぎると、グリップが完全に失われてアクアプレーン現象が起きます。2005 年の
ルールでは、タイヤメーカーが用意できるウェットタイヤはレース週末ごとに 1 種類で、それに
加えて「マキシウェット」と呼ばれるタイヤがもう 1 種類あるだけです。また、ウェットタイヤ
が使用できるのは、レース審判員がウェットコンディションを宣言したときだけです。雨の量が
多いと判断した場合には、「マキシウェット」の使用を許可します。
2. ルール
タイヤメーカーはレースごとに、使用したいタイヤの原寸大の図面を FIA の技術委員に提出しな
くてはなりません。ウェットタイヤの数は、レース週末にドライバー1 人あたり 28 本(ウェット
16 本、マキシウェット 12 本)に限定されています。
3. 排水性
ウェットタイヤは毎秒数十リットルもの排水能力を持っています。ウェットコンディションでは
路面温度が低いので、ウェットタイヤの作動温度域はドライタイヤよりもかなり低く設定されて
おり、通常は 30℃から 50℃です。路面と車体のクリアランスを広げるために、直径がドライタイ
ヤより若干大きめです。
ミシュランの F1 部門
レースごとに送られるスタッフ 35 名と、1000 本のタイヤ
ミシュランの 2005 年 F1 チームには、機材マネージャー1 名、在庫管理係 2 名、テクニカルアシ
スタント 14 名(パートナー7 チーム、計 14 台に 1 名ずつ)がいます。タイヤのフィッティング
作業もこのチームの仕事で、レース週末には研修中のタイヤフィッター1 名も加わります。さら
にチーム担当のテクニシャン 7 名、コーディネーター1 名、開発エンジニア 2、3 名、F1 プログラ
ムマネージャー、モータースポーツディレクター……。もちろん広報担当者もいます。ホスピタ
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リティマネージャーと、2 名の上級シェフも忘れてはいけません。
誰が何をするのか?
ミシュランの F1 チーム 35 名が、レース週末にそれぞれ何をするのかご紹
介しましょう。
コーディネーター
コーディネーターは日常のオペレーション全般を管理し、すべてのパートナーチームが適切な時
間に適切な場所でタイヤを手に入れられるようにします。
在庫管理係/フィッター
在庫管理係/フィッターは、各チーム担当のタイヤエンジニアの指示に従って、タイヤを整理しま
す(セットごとに並べたり、マーキングを書きこんだりします)。
テクニカルアシスタント/フィッター
テクニカルアシスタント/フィッターは、タイヤのフィッティングとバランス取り作業を補助しま
す。また空気圧管理と、気温、路面温度、タイヤ温度の計測もおこないます。
タイヤエンジニア
タイヤエンジニアは、担当するチームの内部事情を知ることができる特権的な立場です。テクニ
カルアシスタント/フィッターが収集したデータにもとづいて、タイヤのパフォーマンスを分析し、
チームがどの仕様を使うべきかを助言します。
マネージャー
マネージャーは運営の責任者で、開発チームへのデータの流れを管理します。またロジスティク
ス、作業エリアの設営、スタッフとタイヤの安全管理等の重要事項も担当します。
開発チーム
ミシュランの化学スタッフは、白衣を着て試験管を振る人々ではありません。自動車メーカーや
ルール策定者と情報を交換し、サーキットで集めたデータ(パートナーチームから提供されたタ
イヤに関する数値や情報)を分析する専門家です。新しいコンパウンドやコンストラクションは
そうやって開発されていきます。
広報担当者
レースごとにジャーナリストの要望に応え、インタビューの希望を受け、定期的にプレスリリー
スを出して情報を流し、ミシュランのホスピタリティブースがいつも整然と運営されているよう
に気を配るのが仕事です。
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ホスピタリティマネージャー
ミシュランのホスピタリティマネージャーは、チームのモーターホームをヨーロッパ各地で運転
し、ブースの設営を監督します。シェフと協力して毎日のケータリングサービスを管理し、チー
ムとメディア関係者に朝食、昼食、夕食を提供します。
パートナーたち
BMW ウイリアムズ F1 チーム
車体:Williams FW27
エンジン:BMW P84/5
ドライバー:マーク・ウェバー(No.7)、ニック・ハイドフェルド(No.8)
ラッキーストライク B・A・R ホンダ
車体:B・A・R 007
エンジン:Honda RA005E
ドライバー:ジェンソン・バトン(No.3)、佐藤琢磨(No.4)
マイルドセブン・ルノーF1 チーム
車体:Renault R25
エンジン:Renault RS25
ドライバー:フェルナンド・アロンソ(No.5)
、ジャンカルロ・フィジケラ(No.6)
パナソニック・トヨタ・レーシング
車体:Toyota TF105
エンジン:Toyota RVX-05
ドライバー:ラルフ・シューマッハ(No.17)
、ヤルノ・トゥルーリ(No.16)
レッドブル・レーシング
車体:Red Bull RB1
エンジン:Cosworth TJ2005 Series 10
ドライバー:デイビッド・クルサード(No.14)、クリスチャン・クリエン(No.15)
ザウバー・ペトロナス
車体:Sauber Petronas C24
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エンジン:Petronas 05A
ドライバー:ジャック・ビルヌーヴ(No.11)
、フェリペ・マッサ(No.12)
ウェスト・マクラーレン・メルセデス
車体:MP4-20
エンジン:Mercedes-Benz F0 110R
ドライバー:キミ・ライコネン(No.9)、ファン=パブロ・モントーヤ(No.10)
パートナーたちのコメント
パトリック・ヘッド(BMW ウイリアムズ F1 チーム、技術部門ディレクター)
「ミシュランが 2001 年に F1 復帰した後、ミシュラン・タイヤで最も多くの勝利を挙げてきたの
はウイリアムズだ。だから新ルールへの対応も密接に協力してやってきた。空力も、荷重移動も、
メカニカルバランスも、トラクションコントロールも、突き詰めればタイヤのパフォーマンスを
上げるための手段にすぎない。タイヤを傷めずにグリップを発揮させるという課題は、新ルール
のためにいっそう困難になったが、私たちは冬の間に大きな進歩を遂げたと思っている」
ジェフリー・ウィリス(ラッキーストライク B・A・R ホンダ、テクニカルディレクター)
「2005 年にむけて F1 の技術レギュレーションとスポーティングレギュレーションが改訂された
ことから、私たちは冬のテストでミシュランとのタイヤ開発に重点をおいた。課題は、競争力を
維持しながらレース距離を走りきれるタイヤをつくることだった。膨大な仕事量だったが、有益
だった」
パット・シモンズ(マイルドセブン・ルノーF1 チーム、技術部門エグゼクティブディレクター)
「2005 年の F1 レギュレーションに加えられたさまざまな変更の中で、最も興味深く、困難を伴
うのは、タイヤに関する部分だ。エンジンもこれまでの 2 倍の距離を走らなくてはいけなくなっ
たが、タイヤは 4 倍だ。エンジンはダイナモでも試験できるが、タイヤメーカーは実際に走行さ
せて、自分たちが課題をどれくらいこなしたか確認しなくてはならない。ミシュランは昨シーズ
ン終盤からソリューションを求めて努力している。おかげで冬のテストは好調だった。今シーズ
ンはミシュランの力でフェラーリに挑戦できると信じている」
マイク・ガスコイン(パナソニック・トヨタ・レーシング、シャシー部門テクニカルディレクタ
ー)
「2005 年の F1 で最大の変化はタイヤのレギュレーションだ。なにしろ 1 セットのタイヤでレー
スを走りきるわけだから、ドライバーはこれまでになくタイヤをいたわらなくてはならない。ミ
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シュランとのテスト結果を見ると、私たちはいい方向に進んでいるようだ」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング、スポーティングディレクター)
「私は今年から初めて F1 チームの指揮を執るが、ミシュランといっしょに仕事をできることをう
れしく思う。今シーズンはうまくタイヤを使うことが重要で、ここまでの流れにはとてもいい感
触を持っている。パートナーチームへのミシュランの対応力は素晴らしい。これから F1 界に礎を
築こうとしているレッドブル・レーシングにとって、このような強固な関係は大事だ」
ペーター・ザウバー(ザウバー・ペトロナス、チーム代表)
「昨年型の C23 シャシーを使ってのミシュラン・タイヤの初テストが、問題なくできたのはとて
もよかった。また新しいタイヤレギュレーションを考えれば、新型車で開幕前のテストを積むの
が重要だ。ミシュランとの作業はうまく進み、とても生産的だ。テスト結果から、シーズンにむ
けての準備は整ったと思っている」
マーティン・ウィトマーシュ(ウェスト・マクラーレン・メルセデス、フォーミュラワン CEO)
「1 周の予選で速いタイムを出し、なおかつレースの最後までもって、スティントごとのパフォ
ーマンスも高い……そんなタイヤをなんとかして開発しなくてはならない。冬の間、私たちはミ
シュランと密接に協力してきた。おかげで期待できる結果が出ている」
本件に関するお問い合わせは下記までお願いいたします
日本ミシュランタイヤ株式会社 広報部
ド・ポルチュ/石井
Tel:03-5210-2731
Fax:03-5210-2147
ミシュランホームページ:http://www.michelin.co.jp
ミシュランWEBサイト上でF1 全戦のプレビューリリース、予選、決勝レポートを日本語で掲載いたします。URL
はhttp://www.michelin.co.jp/compet/p1.htmです。こちらも合わせてご覧いただけると幸いです。
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