災害危機管理 - Europa

災害危機管理
ファクトシート (ECHO)
fa
データ
2002 年から 2014 年の
間に、EU 域内で発生し
た自然災害により 8 万人
以上が死亡し、1,000 億
ユーロ以上の経済損失が
出た。
防災に 1 ユーロを投じる
ことにより、災害対応に
おいて 4~7 ユーロが節
減できるとされている。
EU の災害危機管理の付
加価値=リスク評価・分
析・管理の向上により、
災害損失を軽減する。
Humanitarian Aid and
Civil Protection
主要メッセージ

気候変動、都市化、人口増加、環境破壊などが一因となり、この数十年
間で自然災害の程度と頻度が確実に高まっている。2013 年、中欧では
100 年に一度の大洪水に見舞われたが、前回の発生から 13 年しか経過
していない。

防災に 1 ユーロを投じることにより、災害対応の費用を 4~7 ユーロも
節減することができる。

欧州委員会は、EU 市民保護メカニズムに参加する国々の防災・災害対
策を支援・補完している。

EU は、保健、環境、気候変動への適応、開発、結束、農業、運輸、エ
ネルギー、研究・イノベーションなどの主要分野において、災害危機回
避をより主流に据えた政策を採っている。
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Tel.: (+32 2) 295 44 00
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Website:
http://ec.europa.eu/echo
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ファクトシート(ECHO)– 災害危機管理- 2015
EU 防災手段
欧州委員会は、さまざまな手段を通して、参加国の危機への取り組みを支援している。
危機評価は、喫緊かつ重大なリスクに対応する投資計画の要である。2010 年、欧州委員会は、加盟国による自国
リスク評価の実施を助けるべく、リスク評価に関する指針を発表した。同指針の発表と、自国のリスク評価を通じ
た加盟国の貢献の後、欧州委員会は、2014 年に、EU における天災と人災に関するリスクの概観を作成した。EU の
市民保護法の規定に基づき、欧州委員会は、EU 市民保護メカニズムに参加する国々をサポートするために、危機
管理能力評価の指針も作成している。
相互評価は、EU 市民保護メカニズムに参加する国が、互いに学びあうことを促す。防災と災害リスク管理の戦略
を相互に評価することは、より良いリスク管理政策や行動につながる。これまでに 2 回、英国(2012 年)とフィ
ンランド(2013 年)で相互評価が行われ、欧州委員会も国連国際防災戦略事務局(UNISDR)や経済協力開発機構
(OECD)と協力しながら、支援した。
災害リスク管理の政策や戦略を策定するためには、データへのアクセスとともに、知見や証拠の基盤を改善する
ことが不可欠である。2013 年に欧州委員会が行った、既存の災害被害記録に関する基準や手順に関する調査が、
EU の手法に関する提言につながる可能性がある。
災害リスクの防止・管理という考え方は、結束政策、保健、環境影響評価、気候変動適応、生態系、農業、食糧・
栄養安全保障、水、洪水リスク管理、大規模産業事故防止、リスク資金調達、原子力安全、運輸、エネルギー、研
究とイノベーションなど、EUの主要政策の多くに、取り入れられている。
革新的な手法による防災資金の充当は、欧州委員会の取り組みの中でも優先度が高く、災害管理の手段としての、
またリスクの認識、防止、緩和を促すインセンティブとしての、保険の活用も包含されている。EUは結束基金や研
究予算を通じて、防災リスク管理に多額の資金を投じている。防災や災害対策のプロジェクトの中には、市民保護
用の基金から充当されているものもある。
評価された主要リスク
影響を受ける可能性のある国の数
地質災害
欧州における主要なリスク
洪水
国別リスク評価の分析により、最も発
異常気象
7
6 3
生頻度の高い 12 のリスクが特定される
ともに、そのようなリスクが、国境を
越えて発生する性質を有していること
が、確認された。さらに、気候変動、
産業事故
19
伝染病
8
17
9
原子力事故
生態系悪化、宇宙天気、薬剤耐性など
の、数多くの新生リスクにも注目した。
家畜伝染病
10
15
11
山火事/森林火災
また、洪水が最も発生頻度の高いリス
クとして、各国が対応を進めているこ
とが判明した。世界的な伝染病、異常
運輸事故
15
12
13
14
サイバー攻撃
気象(台風、熱寒波、氷雪など)、火
災を主要なリスクとみなす国が多く、
その他にも産業事故、主要インフラ喪
失、運輸事故、テロ、サイバー攻撃な
テロ攻撃
主要インフラ喪失
出所: SWD (2014)134
EU における自然・人為災害概観
17 の EU 加盟国およびノルウェーのリスク
評価データに基づく
干ばつ
化学・生物・放射性物質・核
兵器
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どの人災も主要リスクに特定されてい
る。
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国際協力の強化
EUは、加盟候補国、潜在的候補国、その他の近隣諸国(西バルカン諸国、地中海、東方パートナシップ諸国など)
に影響を及ぼす災害の予防・備え・対応において、加盟前支援制度(Instrument for Pre-accession Assistance=
IPA)や近隣諸国用資金を通じて貢献している。
欧州委員会は、全世界において防災(DRR)とその認識を促進するための、兵庫行動枠組を支援している。また、
災害リスクの軽減が、貧困撲滅および持続可能な開発に向けた2015年以降の枠組みに、盛り込まれることを、奨励
している。これに関して、欧州委員会は、2015以降の兵庫行動枠組に関する政策文書を策定した。この文書は、強
靭性を構築するためのリスク管理、との副題を冠し、新たなDRRのための国際(国連)枠組みに関する国際交渉に
おいて、EU全体としての共通の立場を形成することに、貢献した。
EU の防災プロジェクト
欧州委員会は、「バルト諸国の日常事故・防災・強靭性プロ
ジェクト (BaltPrevResilience)」に、共同出資している。そ
の目的は、日常事故や災害や危機が引き起こす被害を予防す
ることにある。バルト海地域と EU においては、日常事故に起
因する死傷者の数が、あまりにも多い。事故予防にとって最
も重要なことは、過去に発生した事故や災害の経験から学ぶ
ことである。
欧州委員会は、使用可能な資源、現在と将来の海洋活動の水準、および
環境脆弱性を定量化する、地域全体および国境を越えた海洋汚染防止政
策を開発するための、BE-AWARE-2 プロジェクトに資金を充当している。
これには、英国、オランダ、ベルギー、ノルウェー、フランス、スウェ
ーデン、アイルランド、ドイツの政府と市民保護機関などがプロジェク
トパートナーとして加わっている。このプロジェクトにおいては、石油
流出や衝突事故など、異なった将来のシナリオを特定し、准地域レベル
の減災措置や対応能力につなげること、ボン協定全域について、海岸地
帯や沖合いの海洋汚染に対する脆弱性の評価を行うとともに、各シナリ
オについて予想される流出の影響、准地域を単位としたリスク管理の結
論を導き出すことを目指している。
洪水 CBA(費用便益分析)プロジェクトは、欧州委員会の
後押しにより、英国、ギリシャ、ルーマニア、ポルトガル、
ドイツ、スペインの 6 つのパートナーで構成されるコンソ
ーシアムが実行している。それは、洪水リスク管理、市民
保護当局、研究界、学術界、民間部門、など、EU 域内のさ
まざまな社会経済的環境の中で、洪水予防策の CBA を行っている利害関係者が活用できるよう、持続可能な「知見プラ
ットフォーム」を構築することを、目的としている。さらに、情報の収集、評価、交換を円滑化すること、現行のモデ
ルやベストプラクティスの概観を示すこと、手法や情報源の集約化、既存の予防メカニズムの性能強化、欧州全域にお
ける主管庁の国際協力の促進なども、目指している。
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ファクトシート(ECHO)– 災害危機管理- 2015 - Page 3 /3