基礎・応用コース① 工業材料の基礎と応用 ■主担当講師 山本治利(山本技術士事務所) ■概要 過去 3 年にわたる本コースの教授内容は、受講者へのアンケートの結果などから徐々 に変更されてきましたが、今年も鉄鋼材料が中心のカリキュラムを編成しました。 その内容は、金属の基礎と鉄鋼の基礎とを5コマ、鉄鋼の各論を4コマ、工場見学と 実習を5コマとしました。合計で 18 コマになります。この内4コマには、事前に準備し た9テーマ(各論)の中から受講生が希望する5~6テーマを採り上げ、充当することに しました。 ■学習目標 当コースでは、工業材料の諸特性をただ鵜呑みに学ぶのではなく、その特性が得られ る理論的根拠を習得することを基本的目標とします。この知識をバックグラウンドに持 つことにより、材料選択や材料処理方法が誤りなく判断でき、適切な条件下での材料活 用が可能になります。多種多様な材料の中から最適材料を選択し、適切な処理を施すこ とができる技術者の育成を目指します。 ■受講対象者 静岡県東部地区の企業に勤務する者、若しくは東部地区に居住する者で、高校卒業程 度以上の学力を持ち、工業材料を学ぼうとする者。 ■受講者数 実習を含む全講座受講者:12 名、 実習を含まない科目別受講者:8名 ■特徴、ポイント (1)これまでのアンケート結果を参考に鉄鋼材料重点のカリキュラムを編成しました。 (2)今年度は初めての試みとして、予め準備した九つのテーマの中から受講者の希望する テーマを4コマ(12 時間)で開講します。 (3)コ ー ス の 内 容 は 1 ~ 3 コ マ (コ マ 数 3 ): 金 属 共 通 の 基 礎 テ ー マ 4 ~ 5 コ マ (コ マ 数 2 ): 鉄 鋼 共 通 の 基 礎 テ ー マ 6 ~ 9 コ マ (コ マ 数 4 ): 鉄 鋼 材 料 各 論 10~13 コマ(コマ数4): 受 講 者 の 希 望 テ ー マ 14 コマ (コ マ 数1): 工 場 見 学 15~18 コマ(コマ数4):実 習 (全 18 コ マ ) 1 ■コマ数 3時間×16 コマ、2時間×1 コマ、4時間×1 コマ、合計 18 コマ ■各コマ詳細 回 日時 場所 項目 講義 1 9/1 (火) 16:30~ 19:30 (火) 16:30~ 19:30 3 オリエンテーション.物質の構造 解する。 〇特徴:物質の構造を平易に説明し、受講生の理解を深める。 講義 沼津高専 状態図. 〇目標:状態図を学び、得られる組織、諸特性の根拠を理解する。 〇特徴:模式図を用いて平易に解説する。 講義 9/15 (火) 16:30~ 19:30 容 〇目標:物質の構造を原子の結び付き方、結晶の構造様式から理 沼津高専 9/08 2 内 金属の変形.金属と合金の強化. 〇目標:金属の変形や破壊を原子構造のレベルで理解し、金属材 料活用に役立てる。数種類ある金属と合金の強化法を原子 沼津高専 の移動の立場から理解する。 〇特徴:多くの組織写真を示して理解を助ける。 見学 4 10/02 (金) 13:30~ 16:30 工場見学 〇目標:座学により得た知識を補完、定着させると同時に、他社の 2社を予定 生産設備、安全対策、作業行動など現場の環境、雰囲気を 体感し、自社の改善、技術向上の糧とする。 〇特徴:実学により理解度を一層高める。 講義 5 10/06 (火) 16:30~ 19:30 沼津高専 鉄-炭素系状態図と鋼の組織・性質 鋼は炭素の含有量や熱処理の種類によって組織が変化し、性質も 変化することを鉄-炭素系状態図を通じて学ぶ。 講義 鋼の分類.鋼の性質に及ぼす不純物、温度の影響. リムド鋼とキルド鋼 〇目標:鋼には添加されている合金元素の種類とその量から多様 6 10/13 (火) 16:30~ 19:30 沼津高専 な用途があることを理解する。また、含有ガス、有害元素の 及ぼす影響、使用温度の影響について学ぶ。 〇特徴:明らかにされているデータ、図、表、写真を示して認識を助 ける。 2 講義 7 10/20(火) 16:30~ 19:30 炭素鋼.合金鋼.高張力鋼.超強力高 〇目標:鋼の基本的姿から炭素鋼、合金鋼を学び、経済性を考え た材料選択の技術を身につける。 沼津高専 〇特徴:鉄と炭素、鉄と添加合金元素との関係をシリーズで、写真 を示して解説する。 講義 鋼の熱処理(一般熱処理、表面硬化) 〇目標:各種熱処理及び表面硬化法を学び、得られる機械的性質 8 10/27(火) 16:30~ 19:30 を理解し、経済性を考慮した材料選択の技術を身に着け 沼津高専 る。 〇特徴:処理前後の組織写真、現場写真、失敗事例等を活用し理 解を深める。 実習 9 10/29(木) 17:30~ 19:30 熱処理(焼入れ) 〇S45C試験片を用い、①焼入れ-焼き戻し(低温)、②完全調質、 沼津高専 ③A 3 変態点未満の不完全調質、を実習し、第 16 回の実習で用い る試験片を作成する。また、加熱炉の取り扱い、温度測定法、安全 作業法などを経験する。(2時間) 10 11/6(金) 16:30~ 19:30 実習 沼津テ クノ カレッ ジ ○9.0 ㎜及び 4.5 ㎜の鋼板の半自動溶接実習を行い、同時に浸透 探傷法によって溶接部の欠陥有無を確認する。 講義 11 11/10 (火) 16:30~ 19:30 鋼板の溶接(半自動溶接) 工具鋼.高速度鋼.超硬合金 〇目標:特定温度域に現れる鋼の脆性を学ぶ。刃物や金型に用い る鋼種の諸性質、選択法を学ぶ。 沼津高専 〇特徴:JIS 規定には無い特長ある鋼種を紹介し、理解と利用に役 立てる。 講義 ステンレス鋼.鋳鉄 〇目標:ステンレス鋼の基本組成と処理を学び、個々のニーズに対 12 11/17(火) 16:30~ 19:30 応できる知識を習得する。 沼津高専 鋳鉄の特性、用途を学び、欠陥や形状特性を学習し鋳 造品の設計や活用の技術向上に役立てる。 〇特徴:組織写真、使用事例、誤用事例等を活用し理解を深める。 13-1 13 11/19(木) 08:00~ 12:00 ㈱セイコー 高周波 実習 ○ S45C のΦ25 試験片を 2 条件で高周波焼入れを行う。 切断-研磨-腐食をして焼入れ深さを確認する。 (2時間) 実習 13-2 野木鋳造㈱ 高周波焼入れ 鋳鉄の鋳造 ○フラン鋳型の造形実習を行い、作業工程(模型‐造形‐注湯‐かた ばらし‐はつり‐製品)を確認、ものづくりを実感する。(2時間) 3 講義 14 11/24(火) 17:00~ 19:00 沼津高専 下記9テーマより選択 講義 15 12/01 (火) 16:30~ 19:30 沼津高専 12/04 (金) 16:30~ 19:30 受講者の希望テーマ B 下記9テーマより選択 実習 16 受講者の希望テーマ A 鋼の顕微鏡組織試験、かたさ測定及び引張り試験 沼津工業技術 〇S45Cの生材及び第 16 回実習で得られた 3 種類の試験片につ 支援センタ いての顕微鏡組織の観察、カタサの測定及び引張り強さの測定を 実習する。 講義 17 12/08 (火) 16:30~ 19:30 18 12/15(火) 16:30~ 19:30 沼津高専 下記9テーマより選択 講義 沼津高専 受講者の希望テーマ C 受講者の希望テーマ D 下記9テーマより選択 注:第 13 回実習では、受講生が2グループに分かれて 13-1 と 13-2 を交互に各2時間実 習する。 選択テーマ 下記9テーマの中から5~6テーマを採り上げる。 金属材料 : ①アルミニウム ②銅 ③チタン ④マグネシウム 金属加工 : ⑤鋳造(精密鋳造、ダイキャスト) ⑥化学めっき ⑦乾式めっき ⑧塑性加工 ⑨溶接、 以上 4
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