3. 部門別計画(PDF 464KB)

3.部門別計画
3-1.外
1.外来部門
① 外来
ア.基本方針
1) 初診の外来診療は紹介患者を優先とする。ただし、重症度を考慮し柔軟に
対応する。
2) 再診の外来診療は原則、予約患者とする。
3) 医療機関との連絡窓口として地域医療連携部門を充実させ、医療機関から
の紹介を増やし、予約に対して迅速に対処する。
4) IT化の推進(電子カルテ※導入等)により患者情報を一元管理し、他部
門との情報伝達の迅速化及び正確化を図り、待ち時間を短縮する。
5) 待ち時間対策を講じ、患者のストレスを軽減する。
6) 高齢者や障がい者など、すべての方へ配慮したユニバーサルデザイン※と
する。
7) 初診患者を適切に科分けできるよう総合案内の機能を充実させる。
8) ボランティアを受け入れる場合を想定したスペースの配置についても検討
する。
イ.機能・規模
a.診療科構成
内科(循環器、呼吸器、内分泌・代謝、腎臓、神経、消化器、リウマチ、血
液・腫瘍)、外科(消化器、呼吸器、乳腺、肛門、腫瘍)、整形外科、産婦人
科、小児科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、泌尿器科、脳神経外科、放射線
科、麻酔科、リハビリテーション科、救急科、病理診断科
計15科
b.外来患者数の想定
平均外来患者数は、1 日あたり 650 人と想定する。
c.診察
1) 診察室の面積、構造については各科において極力統一を図る。ただし、特
殊診療科を除く。(産婦人科、小児科、眼科、耳鼻いんこう科、泌尿器科)
2) 診察室は、以下の室数とする。
内科系診察室:9室程度
外科系診察室:14室程度(外科4室、整形外科4室、皮膚科2室、
脳神経外科3室、麻酔科1室)
特殊診察室 :産婦人科2室、小児科2室、眼科1室、耳鼻いんこう科1室、
泌尿器科2室
3) 各科外来に処置室(様子観察室を兼ねる)を設ける。皮膚科の処置室につ
いては光線療法等に対応できること。麻酔科の処置室(処置台 2台程度)
についてはペインクリニック※等に対応できること。
-3-
4) 診察室はプライバシー保護を考慮するとともに、密室にならないよう配慮
する。
5) 診察室は車いす利用者を考慮したスペース、出入口を確保する。ストレッ
チャー対応が必要な診療科については、各々の診療科の一部をストレッチ
ャー対応の診察室とする。
6) 産婦人科外来に、助産師外来や個別指導、乳房マッサージのできる部屋及
び産婦人科専用トイレを設ける。
7) 準備室は、医療器材を効率よく供給・回収できるよう配慮する。
8) 感染症に罹患の恐れがある患者の受付・待合・診察・点滴などを行う部屋
を確保する。一般診療と別の動線とする。
9) 科にて検体を採取する小児科は検体検査室への検体搬送の効率化を配慮し
た配置とする。
d.投薬方式
1) 外来調剤は、原則として院外処方とする。
2) 院外処方にはFAXコーナーを設ける。
3) 特殊処方及び時間外の処方は、院内処方とする。
e.採血・採尿
1) 採血(自己血を含む)は、患者の利便性及び検体搬送や業務の集中に対す
る効率的な運用を考慮し、中央処置室で行う。ただし小児科については科
内にて行う。
2) 検尿は患者のプライバシー確保と検体搬送の効率化を考慮し、採尿トイレ
から検体検査室に直接提出できるものとする。
3) 採血室と採尿室は出来るだけ近接した位置に設ける。
f.注射・点滴
1) 注射・点滴は安全性と業務の効率化を考慮し、中央処置室で行う。点滴用
に10床程度のベッドを設置し、ベッドの間隔はゆとりをもたせる。
2) 小児科は医師による注射や点滴が必要な場合は科内にて行う。
3) 外来化学療法は化学療法室にて実施する。ベッド(又はリクライニングチ
ェア)を10~15設置する。薬剤部門からの動線に配慮する。配置は診察室
から離れた静かな環境を保てる場所とする。
4) 化学療法室から直接入ることのできる専用トイレを設ける。
5) 化学療法室内に相談室を設ける。
g.受付
1) 受付は、中央受付とブロック受付※を配置し、機能分離する。
2) 来院した最初の窓口となる中央受付、自動再来受付機については来院から
診察までの動線に、また会計受付、自動支払機については診察終了してか
ら外来出口までの動線に充分配慮した配置とする。
3) 中央受付は紹介患者も扱うため、地域医療連携部門と隣接する。
4) 医事業務の事務室は、窓口業務との連携を図りやすいよう中央受付の後方
に配置する。
-4-
h.待合方式
1) 車いす利用者を考慮したスペースを確保する。
2) 外来患者の診察待ちは外待ち形式とし、中待合は設けない。
3) 小児科で健診やワクチン接種のため来院した健康な小児と、病気で受診し
た小児の待合いを区別する。
4) 小児科に近接して、プレイルームを設ける。
i.相談・指導・苦情
1) 業務連携のある医療相談、地域医療連携、入院受付窓口は同室内に設ける。
2) 相談及び指導室は中央受付付近に集約配置する。
3) セカンドオピニオン※外来を実施する場合は、診察室を利用する。
4) 看護外来は診察室を利用する。
5) 入院支援室を設置し、入院予定の患者に説明を行う。(入院説明、情報収
集、内服確認、検査やパスの説明など)
6) 栄養相談室を設ける。
j.安全・感染対策
1) 感染症に罹患の恐れがある患者と一般患者が交わらないような動線とする。
2) 小児科と内科には感染症患者の診察室、待合室を設ける。
3) 内科に近い場所には、空気感染患者を一時的に隔離できる陰圧の待合室を
設ける。
4) 産婦人科の配置は感染症の多い科(内科・小児科・耳鼻いんこう科・皮膚
科)の近くを避ける。
k.その他
1) 外来部門と放射線部門、中央処置室、内視鏡室、検査室は近接して配置
する。
2) 小児科近くのトイレは小児にも使いやすい便器等を設置する。
ウ.運営システム
a.総合案内
1) 総合案内は初めて来院した患者、家族・面会者を中心に対応し、以下の
業務を行う。
ⅰ)外来患者の受診科相談と案内
ⅱ)診察申込書記入の案内
ⅲ)家族・面会者等からの質問対応
ⅳ)身体に障がいのある方などへの対応
ⅴ)患者からのクレーム対応、車いす等の管理
2) 紹介患者は紹介窓口を一本化し、返書などのレスポンスの向上を図る。
b.中央受付
1) 中央受付は、以下の窓口を設け、業務を行う。
ⅰ)初診窓口:初診患者の受付
-5-
ⅱ)再診窓口:自動再来受付機の使用方法の説明等
ⅲ)会計窓口:精算
ⅳ)相談窓口:相談業務
c.ブロック受付
1) 一箇所で複数の診療科の受付を行うブロック受付を採用する。ブロック受付
では、以下の業務を行う。
ⅰ)受付、予約、診療の開始・終了の確認
ⅱ)各種説明業務等
ⅲ)会計入力
d.診察
1) 診察予約は各科が行い、将来的にはメディカルクラーク※へ移行することも
想定する。
e.検査・放射線の予約
1) 予約の変更・取消等は、各科で対応する。
f.会計方式
1) 収納業務の効率化及び患者の待ち時間短縮のため、自動支払機を設置する。
2) 窓口での収納も併せて行い、クレジットカード支払いにも対応する。
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② 救急
ア.基本方針
1) 24時間常時救急患者の受け入れを可能とした救急体制を確立し、地域にお
ける二次救急医療※機関の役割を果たす。
2) 初期救急医療センター機能を有し、初期救急担当医と二次救急担当医が協
力して救急業務を行う。
3) 感染症患者に対して、充分な対応ができる体制を整える。
イ.機能・規模
a.ゾーニング※等
1) 救急車入口周辺には雨・雪等を防ぐ庇やピロティを設け、救急入口と救急
室との間に風除室を設ける。
2) 救急車の入出経路は一方通行とする。
3) 救急隊が事後検証票等を記載できる待機室を設ける。また、救急隊用の備
品収納スペースを確保する。
4) 救急患者と一般患者の動線は可能な限り分離する。
5) 手術部門とは搬送に配慮した動線とする。
6) 集中治療室※への動線に配慮する。
7) 放射線部門と隣接させ、薬剤部門と近接させる。
8) 検査部門とは業務効率化の点から、搬送の効率性に配慮する。
9) 風除室の中に除染室(シャワー室)を設ける。外にも有害化学物質等の除
染ができる水道などの設備を設置する。
10) 感染症に罹患の恐れがある患者に対しては待合室を区別し、隔離診察
室にて対応する。
11) 隔離診察室には専用のトイレを設け、トイレは車いすでも出入り可能
なスペースを確保する。
12) 救急部門として夜間の救急患者を朝まで様子観察する部屋を設ける。
(入院適応の設備)
13) 救急室の処置スペースは、ストレッチャー3 台が搬入できる広さとする。
14) 救急部門に隣接する位置に医師・看護師・研修医の当直室、救急救命
士などの実習生の仮眠(休憩)室を隣接する。
15) 救急部門に患者家族との面談室を設ける。
16) 救急室の近くにカンファレンスルーム ※ として、医師・看護師・研修
医・救急救命士などの実習生が利用できるスペースを確保する。
17) 救急部門に初期救急医療センターを併設する。
ⅰ)診療時間外に救急車以外の患者の診察・処置を行うスペースを、救急車搬
送患者の診察・処置室と区分して設ける。
ⅱ)入口は、救急車入口とは別に、来院患者に分かりやすい位置に設け、内
部では連携のとりやすい構造とする。
ⅲ)受付から待合室が見えるデザインとする。
ⅳ)初期救急担当医の控え室を設ける。
-7-
ⅴ)医師会による初期救急医療センターの運営も想定した事務スペースを確保
する。
ウ.運営システム
a.検査
1) 検査部門は救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築する。
b.薬剤
1) 薬剤部門は救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築する。
2) 診療時間外の調剤は、院内処方とする。
c.放射線
1) 放射線部門は救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築する。
d.患者受入体制
1) 診療時間内及び診療時間外の救急車搬送患者は、原則として救急外来で診
察を行う。
2) 診療時間外の救急車以外の患者は初期救急医療センターで受付を行い、院
内トリアージ※を実施したうえで、原則として軽症の患者は初期救急医療セ
ンターで、それ以外の患者は救急外来で診察を行う。
3) 三次救急医療※機関との連携を図り、適切な救急対応を行う。
4) 当直は複数の医師で行う。(通常は2名、最大3名の医師が同時に診療を行
うことを想定する)
e.その他
1) 救急部門の受付には会計機能を設け、休日夜間を問わず会計精算を行う。
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3-2.診療部門
① 手術
ア.基本方針
1) 安全で効率的な運営を行う。
2) 特定の診療科や手術に用途を限定せず、柔軟な管理を行う。
3) 患者情報の一元化を行い、他部門への迅速かつ正確な情報伝達が行えるよう
に配慮(手術部門管理システム導入の検討、他システムとの連動等)する。
イ.機能・規模
a.手術室
1) 手術室は6室程度とする。
2) 複数のME※機器を使用する手術から、局所麻酔等の手術まで施行できる
手術室をバランスよく配置する。
3) BCR※は、空気清浄度クラス5を1室、その他をクラス7とする。
(清浄度クラスはJIS B 9920に基づく。)
4) 手術件数は、年間約2,500件程度実施可能とする。
b.ゾーニング等
1) 清潔器械の動線及び準備スペースに配慮した形状とする。
2) 人や物の流れ、空気清浄度を考慮した計画とする。
3) 日帰り・外来手術の患者更衣室、トイレを設ける。
4) 家族控え室を設ける。
5) 患者入口とスタッフ入口は別に設ける。
6) 受付窓口、スタッフミーティング室、患者・家族への説明室を設ける。
7) 患者、スタッフの移動に充分な廊下幅や機材スペース(2箇所以上)を確保す
る。ME機器メンテナンススペースを確保する。
8) 手術後のリカバリー室は集中治療室とし、近接配置する。
9) 手術中及び手術前後に関連する部門(放射線部門、MEエリア等)への動線
に配慮する。
10)円滑な検査結果の共有に向けて、検査部門、病理部門と検査結果を共有で
きるよう搬送の流れについても配慮する。
11)手術部門内に臓器写真撮影・臓器処理・臓器固定用の部屋を設ける。
12)中央材料部門と隣接配置する。
13)手洗いに、水道水による深いステンレス手洗いシンクを設置する。
14)十分な広さの男女医師、看護師用の更衣室、休憩室(横になれるソファ
または簡易ベッドを置けるスペース)、シャワー、トイレを設置する
15)ドアの開閉はフットスイッチで行う。
ウ.運営システム
a.患者搬送
1) 手術室への患者搬送は患者負担軽減を図るため、手術室入口での乗せ換え
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は行わず、直接手術台まで搬送する。
b.患者確認方法
1) 医療安全のため患者確認が適切に行えるよう配慮する。
c.検査
1) 円滑に検体を搬送できるよう配慮する。隣接配置する部門は人手搬送と
する。
d.放射線
1) 手術中の放射線検査のうち、一般撮影はポータブル撮影装置で対応する。
CT※、MRI※は放射線部門での対応とする。レントゲンCR読取装置、
ポータブル撮影装置、外科用イメージ装置2台を置く放射線専用スペース
を確保する。
e.その他
1) 業務効率の観点から、靴の履き替えを行わない一足制とする。
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② 放射線
ア.基本方針
1) 充実した二次医療を確保するため、より高度な画像情報を医師に提供する。
2) 地域医療連携を強化し、他医療機関からの利用増加を図る。
3) 緊急検査・迅速検査の一層の充実を図る。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 手術部門との動線に配慮する。
2) 救急部門と隣接配置する。
3) X線透視を必要とする内視鏡検査を考慮した配置とする。
4) 放射線部門が管理する機器は、部門内に集約配置する。
5) CTと血管撮影装置は隣接配置する。
6) 一般撮影、CT、MRIは外来患者の動線に配慮する。
7) 将来の機器増設、入替に配慮し、改修可能な配置とする。
8) 放射線部門(放射線科外来及び生理検査室を含む)の総合受付を設ける。
9) 放射線科医師の読影室(カンファレンスルームを兼ねる。)は放射線部門
の中に設ける。
10) 業務効率化のため中央に作業室、検査室を集約配置し、周囲に廊下・
待合を配置する。
11) 血管撮影及びX線TV検査に医師用の検査着交換用の更衣室を設置す
る。
12) 救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築するため、放射線技師
の当直室は放射線部門内に設ける。
b.放射線部門の機器
1) 一般撮影装置 3台
ⅰ)一般撮影装置はフラットパネルディテクター※とする。
ⅱ)一般撮影室3室は同じ仕様とし、胸部、腹部撮影も考慮したゆとりある部屋
とする。
ⅲ)3室の前室に2室ずつ更衣室を設置する。
2) 乳房撮影 1式
ⅰ)マンモグラフィ※装置を1台設置し、フラットパネルディテクターとする。
ⅱ)マンモグラフィの専用室を設け、女性にやさしい部屋とする。
ⅲ)1室内にマンモグラフィ専用室、乳房超音波室、マンモトーム室を設け、
各部屋は、パーティションにて仕切る。
ⅳ)乳房超音波室に乳房超音波装置を1台設置する。
ⅴ)将来的には超音波での乳がん検診も考慮する。
3) X線TV撮影装置 2台
ⅰ)X線TV撮影装置はフラットパネルディテクターとする。
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ⅱ)X線TV撮影室に前室を設ける。
ⅲ)消化器及び泌尿器検査で使用するため、前室に患者更衣室及びトイレを設ける。
ⅳ)1台は簡易アンギオ※対応装置とする。
ⅴ)検査室・患者更衣室ともに洗面台を設置する。
4) 血管造影装置 2台
ⅰ)前室を確保し物品の保管、患者待機、患者家族への説明などに使用できるように
する。
ⅱ)血管造影装置のうち1台はバイプレーン心臓用、もう1台はアンギオCT(放射線
か、脳神経外科、透析用)とする。
ⅲ)血管造影室とCT室は、操作室を介して繋がっている構造とする。
5) CT 2台
ⅰ)1台は救急室の近くに設置する。もう1台は血管造影室と隣接して設置する。
6) MRI 2台
ⅰ)3Tから1.5Tの機器1台の設置とし、近い将来増設することを視野に入れる。
ⅱ)将来を見据え入れ替えや増設がスムーズに出来る準備としてスペースを確
保しておく。
7) ガンマカメラ 1台
ⅰ)専用室を設ける。
8) 骨密度測定装置 1台
ⅰ)専用室を設ける。
9) ポータブル撮影装置 3台
ⅰ)放射線部門に機材庫(ポータブル撮影装置2台の保管)スペースを確保する。
ⅱ)手術室にポータブル撮影装置1台の保管スペースを確保する。
10)外科用イメージ装置 2台
ⅰ)手術室に外科用イメージ装置2台の保管スペースを確保する。
c.他部門の機器
1) ESWL(体外衝撃波結石破砕装置)
を放射線部門に設置する。
d.その他
1) 各診断、治療室には医療用酸素や吸引の中央配管を整備するとともに、患
者のプライバシーに充分に配慮する。
ウ.運営システム
a.読影
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1) 放射線科にて読影を行う。
2) 遠隔読影システムを導入する。
b.持ち込みフィルム・メディア管理
1) 容易に閲覧が可能なように、デジタル保存する。
2) 他院からの持ち込みCD、DVD等のメディアはシステム内に取り込んで、
院内のビューワーから見ることが出来るようにする。
c.システム
1)完全フィルムレス運用とする。
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③ 検査・輸血
ア.基本方針
1) 検査部門では、機能別に組分け、正確で迅速な検査結果を提供し、効率的
に業務を行う。(検体検査、生理機能検査、細菌検査、病理検査、輸血検
査、健診検査)
2) 外注検査は業務効率の観点から費用対効果を適時調査・分析し、委託化が
望ましい項目は積極的に外注検査とする。
3) 検査の質を確保するため、精度管理に努める。
4) 迅速に結果を出せる体制を構築し、患者の待ち時間短縮に寄与する。
5) 各部門の集約化を図り、他職種との業務連携向上に努め、経営効率性を考
慮した部門運営を行う。
6) 感染物、有機物などを考慮した設備、空調を備え、スタッフの安全と健康
に配慮した作業環境を確保する。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 検体検査室(緊急検査室を含む)はワンフロアとし、スタッフの業務効率
化を図る。
2) 検体検査室は換気設備を設置する。また検体検査室内の細菌室・病理検査
室は個室とし、両部屋共に換気設備を設置する。
3) 検体検査室内に男女スタッフ更衣室、当直室、シャワールーム、カンファ
レンスルーム、資料室を設ける。
4) 中央処置室や採尿用トイレが検体検査室と別階の場合、採血検体と尿検体
はダムウェーター※にて搬送する。
5) 病理検査室内に病理診断室・標本保管庫を設け十分な広さを確保する。
6) 廊下から、検体検査室、細菌室、病理検査室へ繋がるスタッフ用通路を設
ける。
7) 生理検査室には脳波室、筋電図室等のシールドルーム※、聴力検査等の防
音室、スタッフルームを設ける。
8) 生理検査室は患者の利便性を考慮し、放射線部門と近接し、受付は放射線
部門総合受付で行う。
9) 生理検査室は、全室ベッドが出入り可能な構造とする。
10) 生理検査室に近接してトイレを設ける。
11) 病理検査室は術中迅速検査に対応できるように、手術室とつなぐダム
ウェーターなどの搬送設備を考慮する。
12) 細菌室及び病理検査室に安全キャビネットを備える。
13) 救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築するため、検査技師の
当直室は検体検査部門内に設ける。
b.検査機能
1) 検体検査(生化学・血液・免疫・血清・輸血・一般・血液ガス分析)
2) 生理機能検査(心電図・超音波・呼吸機能・筋電図・脳波・無呼吸検査・
聴力検査)
3) 細菌検査(感受性試験・同定検査・染色顕微鏡検査・迅速検査・院内感染
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対策業務)
4) 病理検査(組織診・細胞診・病理解剖)
5) 輸血検査(血液型・交叉試験※・抗体スクリーニング※・血液製剤管理業
務)
6) 健診業務
c.その他
1) 自由診療業務
ウ.運営システム
a.生理機能検査
1) 放射線部門と連携して業務の効率化を図る。
b.細菌検査
1) 職員の安全に充分配慮したものとする。
c.病理検査
1) 職員の安全を確保するため、ホルマリンを扱う切り出し室を区分し、また
有機溶媒などを扱う部屋の換気にも配慮する。
d.輸血検査
1) 血液製剤の発注、管理は、輸血検査部門が行う。
e.採血・採尿
1) 中央処置室での採血受付は、診察券等での自動受付とし、番号での呼び込み
を行うことを検討する。
2) 検体検査予約のある患者は、再診受付後、ブロック受付を経由することなく、
採血・採尿に向かうシステムを検討する。
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④ 内視鏡
ア.基本方針
1) 専門性を高め、先進的な内視鏡的処置・治療に積極的に取り組むと共に、
各種疾患の早期発見、正確な診断を行う。
2) 人間ドック・健診との連携(スタッフ・器材)を図る。
3) IT化を図ることでフィルムレスとし、見読性を高める。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 内視鏡センターを設ける。
2) 内視鏡センターは外来及び病棟、また救急外来からも患者にとってわかり
やすく、アプローチしやすい場所に配置し、患者とスタッフの動線が極力
交わらないように配慮する。
3) 内視鏡センターは、放射線部門X線TV室に近接し、検査部門超音波検査室、
検査部門検体検査室(輸血)との動線に配慮する。
4) 内視鏡センター内にトイレを設ける。
5) 検査→ファイバー洗浄用シンク→ファイバー洗浄機とファイバー保管庫と
の、内視鏡センター内での動線に配慮する。
6) 受付カウンターを設ける。
7) 内視鏡センター内に待合室を設ける。
8) ファイバー洗浄スペースを確保する。
9) 感染や消毒に配慮した内視鏡保管場所を設ける。
10) 回復室を設ける。
11) 検査室に隣接した診察室を設ける。
12) 物品・ME機器等保管室を設ける。
b.検査室等
1) 内視鏡検査室 7 室程度
上部内視鏡室 3 室程度(うち 1 室は健診用)
下部内視鏡室 3 室程度(うち 1 室は健診用)
気管支鏡検査室 1 室程度
2) 前処置室 3 室程度
上部内視鏡用 1 室程度:咽頭麻酔・注射等施行時のリクライニングチ
ェアー数台と間仕切りの設置、上部内視鏡検
査室と隣接する。
下部内視鏡用 1 室程度:下部内視鏡検査室と隣接する。
気管支鏡用 1 室程度:気管支鏡検査室と隣接する。
ウ.運営システム
a.物品管理
1) 内視鏡センターにて、機器等の洗浄消毒、保守点検、整備、物品等の維持
を行う。
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⑤ 透析
ア. 基本方針
1) 導入期や合併症など、地域の医療機関では対応が困難な患者に対して、入
院にて各種血液浄化療法を提供する。
2) 外来では腹膜透析(CAPD※)等の血液浄化療法も提供する。
3) 正確で安全な業務の向上に努めるとともに、効率性を考慮した運営体制の
確立に努める。
4) 患者情報の一元化を行い、他部門への迅速かつ正確な情報伝達が行えるよ
うに配慮(透析部門システム導入の検討、他システムとの連動等)する。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 駐車場や時間外出入口(屋根ありで患者送迎の際に雨などに濡れずに乗降
できるスペースあり)との動線を考慮して、外来エリアに配置する。また、
入院患者にも考慮し、病棟からエレベーター使用にて直接入ることができ
る動線(ベッド搬送)にも配慮する。
2) 受付エリアに近接して下足コーナー、患者休憩室(開放室ではなく畳敷き
で横になれるような作りでバリアフリーにも配慮)、患者更衣室(開閉時
に内部が見えないような作りで座りながらの更衣ができる程度の広さ)、
身障者用トイレ 2 箇所(うち 1 箇所には汚物処理室を併設)を設ける。
3) 診察室エリア(医師 2 名程度が使用、入口は 2 箇所で透析室内外から入室
が可能な診察室もの)を設ける。
4) スタッフエリアに十分な広さの休憩室とスタッフ用トイレを設ける。
5) 機械室エリアに透析機器水処理室、透析液倉庫(外部から直接搬入が可能
な入口があり直接雨等に濡れずに積み下ろしが可能なもの)、部門システ
ム用サーバ室を設ける。
6) 清潔エリアに洗浄室を設ける。
7) 感染物エリアに感染廃棄物室(汚染物の洗浄と患者の目に触れず外部へ廃
棄物を搬出できる搬出口あり)を設ける。
8) 個室エリアに個人用透析装置付き個室を 3 室設ける。うち 1 室は外部入口
もある感染対応の仕様とする。
9) メンテナンスエリアに器具庫、メンテナンス室、データ処理室(技士 2 名
程度が使用する)を設ける。
10) 倉庫(薬品庫)、リネン庫、カンファレンス室兼書籍庫(スタッフ全員が
入れる大きさ)、患者食堂(20 名程度が同時に食事をとれるスペース)を
近接して設ける。
b.機能・規模
1) 40台程度の透析ベッドを設置可能とする。最大50台を設置できるスペース
(ワンフロア)を確保する。
2) 全ベッドに酸素配管、吸引配管は一部に、圧縮配管は個室のみに設置する。
3) 長時間にわたる透析の患者負担に配慮する。(ベッドサイドへのテレビ設
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置、食事スペースの確保等)
ウ.運営システム
a.食事提供
1) 病院側からの食事提供は行わず、患者個人による外部業者からの食事提供を
検討する。
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⑥ リハビリテーション
ア.基本方針
1) 各診療部門と連携・協力のもと、一般病棟では急性期病院としての早期リ
ハビリテーションサービスを実施し、患者の早期退院を支援する。
2) 急性期治療後の回復期リハビリテーション※病棟では、在宅でのより良い
生活を目指し、質の高いリハビリテーションを実施する。
3) 入院患者を中心にリハビリテーションを実施するが、必要に応じて外来患
者のリハビリテーションサービスも行う。
4) 患者情報の一元化を行い、他部門への迅速かつ正確な情報伝達が行えるよ
うに配慮する。
5) 臨床実習施設として質の高い臨床教育を提供する。
6) リハビリテーション技術の伝達や情報の発信を通じて、地域社会に貢献す
る。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 外来及び一般病棟や回復期リハビリテーション病棟からの動線を短くして、
患者にとってわかりやすく、アプローチしやすい配置とする。
2) 業務の効率性、患者のリスク管理、治療内容を把握するためにリハビリテ
ーション室は、理学療法室・作業療法室・言語聴覚療法室を同一床に配置
する。
3) 屋外歩行練習及び園芸療法ができるスペースを確保する。
b.機能
1) 以下の諸室を有する。
理学療法室、作業療法室、言語聴覚室、小児治療室、患者トイレ(左右対
称の障がい者対応トイレを含む)、診察室、職員更衣室(洗面台付)、カ
ンファレンス室、スタッフ室、高次脳機能検査室、器材室、職員トイレ
ⅰ)理学療法
・治療ベッド、物理療法機器、評価機器、パワーリハマシン※、平行棒な
どの設置と直線歩行ができるスペースを確保する。
・集団体操の実施のために、プロジェクターと集団で体操できるためのス
ペースを確保する。
・理学療法室と作業療法室はオープンスペースとする。
ⅱ)作業療法
ⅲ)言語聴覚療法
2) その他の条件
ⅰ)採光が充分得られるように配慮する。
ⅱ)転倒に対して安全性が高い床材や壁等にする。
ウ.運営システム
- 19 -
a.施設基準
1) 脳血管疾患等リハビリテーションⅠ
2) 運動器リハビリテーションⅠ及びⅡ
3) 呼吸器リハビリテーションⅠ
b.人員
1) 基本方針を実践するために適正な下記職種を配置する。
ⅰ)理学療法士
ⅱ)作業療法士
ⅲ)言語聴覚士
c.リハビリテーション治療の実施
1) 急性期病棟では、早期から病室またはリハビリテーション室にて治療を開始
する。
2) 回復期リハビリテーション病棟では、「しているADL※」の向上を目標に
集中的にリハビリテーション治療を行って在宅復帰につなげる。
3) 外来診察室で受診後、リハビリテーション室にて治療(物理療法も含む)を
実施する。
- 20 -
3-3.病
3.病棟部門
① 一般病棟
ア.基本方針
1) 患者の早期治療及び早期退院を促進する。
(目標:平均在院日数 16 日以内)
2) 効率的に病床を利用する(目標:病床利用率※90%以上)。
3) 前方・後方連携病院を確保し、地域医療連携に積極的に取り組む。
4) 機能別診療体制を整備し、患者中心のチーム医療の充実を図る。
5) 病室面積は1病床当たり 8 ㎡以上を確保し、患者の特性を考慮した充分な
療養環境を確保する。
6) 4疾病5事業といった地域や生活に密着した疾病や、二次救急に対応する
急性期入院機能を整備する。
7) 様々な病状に対応した集中治療室を整備する。ただし、集中治療室はハイ
ケアユニット※とする。
イ.機能・規模
a.病床構成
1) 総病床数は 300 床を基本とし、うち、一般病床(回復期リハビリテーション
病床を除く)は 255 床程度とする。
2) 一般病床の中に、集中治療室を 10 床以内で設置し、ハイケアユニット入
院医療管理料の算定が可能な病床とする。
3) 一般病床の中に、重症者室を18床程度設置し、集中治療室を除く各病棟に
原則として均等に配置する。スタッフステーションからの観察と動線短縮
を考慮し、術後や常時行動観察が必要な患者に使用する。
b.病棟構成
1) 病棟看護単位は40~45床をベースとして、各病棟の特性に応じた構成とする。
集中治療室は単独での看護単位とする。
2) 放射線部門・手術部門等は一般病棟と連係しやすい動線計画とする。
3) 患者のプライバシーに配慮した施設構成とする。
c.病室
1) 1床室(個室)を基本とし、看護動線に配慮した効率的な構成とする。
2) 多床室を設ける場合は、患者のプライバシーを考慮した計画とする。
3) 療養環境(採光、空調、遮音、色彩など)に配慮した計画とする。
4) スタッフが作業しやすいスペースを確保する。
5) 個室は差額個室と差額を徴収しない個室で構成し、その設備内容に違いを
持たせる。
6) 感染症個室(陰圧対応)2室を内科病棟に設ける。前室を設ける。
7) 無菌個室(簡易型)1室を外科病棟に設ける。前室を設ける。
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d.集中治療室
1) 集中治療室に家族の待機部屋を隣接する。
2) 手術後患者の円滑な搬送を考慮し、手術部門との繋がりに配慮する。
3) 薬剤部門及び検査部門との繋がりに配慮する。
4) 救急部門からの緊急搬送を考慮した配置計画とする。
e.スタッフステーション
1) スタッフステーションはオープンで病棟の中央に位置し、受付コーナーは
エレベーターホールを見通せる位置とする。
2) 休憩室や仮眠室、勤務交代、引き継ぎを行うスペース、受付コーナー、記
録コーナー、医師用スペース、作業準備コーナー、薬歴管理コーナー、多
職種事務スペースをスタッフステーション内に設ける。
3) 各病棟に仮眠室は 2 室とし、個室でシャワーつきとする。
4) 処置室として、スタッフステーションに近接して処置台を設置できるスペ
ースを確保する。
5) インフォームドコンセント※(IC)室としてスタッフステーションに隣
接し個室で 3 箇所程度設ける。
6) IC室は看護指導室として、また薬剤師、理学療法士、MSW、栄養士な
ど他職種が指導できるスペースとしても使用できるものとする。
7) カンファレンスルームをスタッフステーションに隣接して設ける。
8) 点滴のミキシング用処置台や、注射薬、麻薬金庫、滅菌材料棚など収納棚
のユニットを設置する。
f.食堂・談話室
1) 病室以外に家族とも食事のできる食堂・談話室を設ける。
2) 公衆電話、自動販売機、図書コーナー等を設ける。
3) 食堂は食堂加算がとれる面積を有する。
4) 洗面台、流し台を設置する。
g.安全・感染対策
1) 各病室に手洗い設備と個人防護具ラックを設置する。
2) 汚物処理室には洗浄用シンク、汚物槽(跳ね返り対策必要)、ベッドパン
ウォッシャー、器材乾燥スペース、オムツ処理機、手洗い設備、個人防護
具ラックを必要する。
3) 汚物処理室は感染予防に配慮したもので、動線を考えたシンクや乾燥機を
設置する。
4) 汚物処理室は十分な消臭対策を行い、廊下や病室からの視界に配慮する。
5) 転倒時の外傷を最小限におさえるため床は衝撃吸収性が高く、足音が響か
ないものにする。
h.トイレ
1) 患者用トイレは患者動線や病室配置に配慮した計画とする。車いす利用者
も利用できるものとする。
2) 蓄尿装置は汚物処理室に隣接するトイレに設置する。
- 22 -
3) 職員用については、スタッフステーション内に男女別で、休憩用スペース
に隣接配置する。
i.その他
1) 廊下の幅はベッドがスムーズに交差できる広さとする。
2) 小児科の病棟には小児専用個室と小児用便器、洗面器を設ける。また、プ
レイルームも設ける。
3) 各階に車いすの患者も利用できるシャワー、コインランドリーを設け、介
助者にも利用しやすい配置とする。また全病棟の患者及び介助者が利用で
きる浴室(介助を行いながら使用できるスペースを有する)を一般病棟全
体で 2 箇所程度設ける。
4) 機械浴室を病院全体で 2 箇所程度設ける。(うち 1 箇所は回復期リハビリ
テーション病棟内とする。)
5) リネン庫は倉庫とは別に設ける。
6) 患者や外来者から区分された動線で、職員や物資、患者ベッドなど多目的
用途のエレベーターとステーション内に小さめで内服定期処方薬カートな
ど運搬可能な輸送装置(ダムウェーター等)を設置する。
7) 患者の転落対策として、階段の設置場所を考慮する。
8) スタッフステーションに職員が不在の場合でも、ナースコールに対応でき
るようにPHS(夜勤時全職員)と連動させる。
ウ.運営システム
a.看護体制
1) 一般病棟の看護配置は 7 対 1※とする。
2) 集中治療室の看護配置は 4 対 1 とする。
3) 3 交代制との混合で 2 交代制の運用を検討する。
b.病床管理
1) 病床情報の一元管理を行い、病床利用の管理は看護部門が中心となって行
う。
c.薬剤
1) サテライトファーマシー※は設けず、各病棟の共用スペースを活用する。
2) 抗がん剤の混注は薬剤部門にて行う。
d.検査
1) 検査は原則として病棟処置室または病室にて行う。
e.患者搬送
1) 患者の移送は負担を軽減するために原則としてベッド搬送とする。
f.集中治療室運用
1) 集中治療室の対象患者は、以下に掲げる状態に準じる状態とする。
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ⅰ)意識障害又は昏睡
ⅱ)急性呼吸不全又は慢性呼吸不全の急性増悪
ⅲ)急性心不全(心筋梗塞を含む)
ⅳ)急性薬物中毒
ⅴ)ショック
ⅵ)重篤な代謝障害(肝不全、腎不全、重症糖尿病等)
ⅶ)広範囲熱傷
ⅷ)大手術後
ⅸ)救急蘇生後
ⅹ)その他外傷、破傷風等で重篤な状態
g.感染症患者対応
1) 陰圧の病室は感染対策上必要であると考え、対象疾患は重症インフルエン
ザ、結核等を想定する。通常は一般病室としても利用する。
h.開放病床
1) 一般病床に、地域の開業医と共用する開放病床(5 床程度)の設置を検討す
る。
i.その他
1) スタッフステーション内の多職種事務スペースは病棟師長・薬剤師・MS
W等の事務スペースとする。
2) カンファレンスルームは、病棟内での実習生の記録・カンファレンスにも
使用する。
3) 行動観察が常時必要な患者は、ベッドごとスタッフステーションで観察す
ることを想定する。
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② 回復期リハビリテーション病棟
ア.基本方針
1) 患者の在宅(日常の生活)復帰を促進する。
2) 安全かつ質の高い医療を提供する。
3) 地域医療連携に積極的に取り組み、他の急性期病院より回復期患者を受け
入れる。
4) 回復期患者の特性を考慮した充分な療養環境を確保する。
5) 効率的に病床を利用する。(目標:病床利用率90%以上)
イ.機能・規模
a.病床構成
1) 回復期リハビリテーション病床は 45 床程度とする。
b.病棟構成
1) 施設基準は回復期リハビリテーション病棟入院料 1 あるいは 2・休日リハ
ビリテーション提供体制加算・リハビリテーション充実加算とする。
2) リハビリテーション室と同一フロアにして連携のとりやすい動線とする。
3) 患者のプライバシーに配慮した施設構成とする。
4) 安全に歩行訓練が出来る計画とする。
c.病室
1) 一般病棟に準じた構成とする。
2) 全病室に洗面台を設置する。車いす乗車で利用できる設計とする。
3) 病室内にポータブルトイレ、車いす、歩行補助具などの収納ができるスペ
ースを設ける。
d.スタッフステーション
1) スタッフステーションはオープンで病棟の中央に位置し、受付コーナーは
エレベーターホールを見通せる位置とする。
2) 休憩室や仮眠室、勤務交代、引き継ぎを行うスペース、受付コーナー、記
録コーナー、医師用スペース、作業準備コーナー、多職種事務スペースを
スタッフステーション内に設ける。
3) 各病棟に仮眠室は 2 室とし、個室でシャワーつきとする。
4) インフォームドコンセント(IC)室としてスタッフステーションに隣接
し個室で 3 箇所程度設ける。その中の1つは診察室として使用できる機能
を持たせる。
5) IC室は看護指導室として、また薬剤師、理学療法士、栄養士など他の職
種が指導できるスペースとしても使用できるものとする。
6) カンファレンスルームをスタッフステーションに隣接して設ける。最大
15 名程度の人数が入れるようにし、プレゼンテーションができる設備を
設置する。
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7) 点滴のミキシング用処置台や、注射薬、麻薬金庫、滅菌材料棚など収納棚
のユニットを設置する。
8) MSWコーナーを設ける。
e.食堂・談話室
1) 病室以外に家族とも食事のできる食堂・談話室を設ける。
2) 公衆電話、自動販売機、図書コーナー等を設ける。
3) 食堂は食堂加算がとれる面積を有する。
4) 食堂はレクリエーションに活用する。
5) スタッフの目が届きやすい構造とする。
6) 洗面台、流し台を設置する。
f.安全・感染対策
1) 各病室に手洗い設備と個人防護具ラックを設置する。
2) 汚物処理室には洗浄用シンク、汚物槽(跳ね返り対策必要)、ベッドパン
ウォッシャー、器材乾燥スペース、オムツ処理機、手洗い設備、個人防護
具ラックを必要する。
3) 汚物処理室は感染予防に配慮したもので、動線を考えたシンクや乾燥機を
設置する。
4) 汚物処理室は十分な消臭対策を行い、廊下や病室からの視界に配慮する。
5) 転倒時の外傷を最小限におさえるため床は衝撃吸収性が高く、足音が響か
ないものにする。
g.入浴設備
1) 機械浴室は病院全体の 2 箇所程度のうち1箇所を回復期リハビリテーショ
ン病棟に設ける。
2) 介助浴室を回復期リハビリテーション病棟に 1 箇所設ける。
3) 訓練浴室(家庭用ユニットバス)を 1 箇所設ける。
4) 車いすの患者が利用できるシャワーを設置し、介助者にも利用しやすい配
置とする。
h.トイレ
1) 個室トイレ(男女別なし、車いす利用者対応)とし、患者動線や病室配置に
配慮した計画とする。それとは別に身体障がい者介助用トイレを2箇所設け
る。
2) 身体障がい者介助用についてはオストメイト対応で、左右のどちらからも
使い勝手の良い構造とする。
3) 職員用については、スタッフステーション内に男女別で、休憩用スペース
に隣接配置する。
i.その他
1) 廊下の幅は一般病棟に準じたものとする。
2) リネン庫は倉庫とは別に設ける。
3) 患者や外来者から区分された動線で、職員や物資、患者ベッドなど多目的
用途のエレベーターとステーション内に小さめで内服定期処方薬カートな
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4)
5)
6)
7)
ど運搬可能な輸送装置(ダムウェーター等)を設置する。
患者の転落対策として、階段の設置場所を考慮する。
スタッフステーションに職員が不在の場合でも、ナースコールに対応でき
るようにPHS(夜勤時全職員)と連動させる。
試験外泊室を兼ねた日常生活動作訓練室を病棟内に設ける。(キッチン設
備、押入れ付の和室、シミュレーション用可動式入浴設備・トイレ設備を
有する)
病棟内リハビリテーション室を設け、リハビリに必要な機械・器具を配備
する。
ウ.運営システム
a.看護体制
1) 看護配置は 13 対 1、看護補助者 30 対 1 とする。
2) 3 交代制との混合で 2 交代制の運用を検討する。
b.病床管理
1) 病床情報の一元管理を行い、病床利用の管理は看護部門が中心となって行
う。
2) 患者の入棟の可否については、入棟判定会議で決定する。
c.患者搬送
1) 患者の移送は負担を軽減するために原則としてベッド搬送とする。
d.その他
1) スタッフステーション内の多職種事務スペースは病棟師長・薬剤師等の事
務スペースとする。
2) カンファレンスルームは、病棟内での実習生の記録・カンファレンスにも
使用する。
3) 行動観察が常時必要な患者は、ベッドごとスタッフステーションで観察す
ることを想定する。
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③ 分娩・周産期※
ア.基本方針
1) 母子及び家族が安心して療養できるように、セキュリティとプライバシー
に配慮する。
イ.機能・規模
a.分娩室等
1) 分娩件数は年間200~250件と想定し、分娩室は1室、LDR室※(陣痛・
分娩・回復)1室とする。
2) 陣痛室は2室程度とする。1室は2畳分の畳、又はマットエリアのある部屋
とする。
3) 新生児室に、他の新生児と区分して保育器2台分のスペースを確保する。
保育器はスタッフステーション及び面会者からも見えるところに設置する。
4) 手術室との動線が短くなるよう配慮する。
b.病室
1) 病棟1単位の中に産科専用として10床程度の周産期病床を設け、サブスタ
ッフステーションにより運営を行う。
2) 病室は母子同室を基本とする。
3) 母子同室でない場合にも、新生児と面会できるスペースを設ける。
4) 病室は一般病棟に準じた構成とする。
ウ.運営システム
a.周産期の運営
1) 帝王切開は手術室にて対応する。
2) 分娩室は家族が立ち会えるスペースを確保する。
3) 院内助産に対応した施設整備を行う。
4) 新生児室の療養環境及びセキュリティに配慮する。
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3-4.管理部門
① 管理運営
ア.基本方針
1) 経営会議及び管理会議の一層充実を図り、病院経営の維持または改革・改
善に資する事務局体制を構築する。
2) 安全かつ快適な院内環境保持のため、施設管理体制の充実を図る。
3) 院内で発生する廃棄物の減量に努めるとともに、適正な分別・回収・処理
を行う。
4) 医師の確保、大学との連携、研修等に配慮した施設整備を行う。
5) 医療安全管理体制を構築し、組織全体で万全な医療事故の防止体制、対応
体制の整備・確立を図り、安全かつ丁寧な医療の提供に資する。
6) 患者の権利を尊重・擁護を第一に考え、安全かつ質の高い医療の提供に資
する。
7) 整理・整頓・清潔・清掃が行き届いた治療環境の提供を目指す。
8) 管理、医局、看護、事務の各部門の意思疎通が図りやすい施設構造とする。
イ.機能・規模
a.管理部門
1) 事業管理者、院長以下、幹部職員の執務室は連携の取りやすい配置とし、病
院運営の効率化を図る。
b.医局
1) 迅速な対応のため、救急外来、病棟、外来への動線に配慮する。
2) 医局員数を55人に設定する。
3) 事業管理者、院長、副院長などは個室とする。医師間のコミュニケーショ
ンのため医局は大部屋としつつ、パーティションなどにより個人のプライ
バシーに配慮した部屋とする。
4) 医局員用の各室は、組織体制の変更に応じて柔軟に対応できる構造とする。
5) 研修医室を設ける。
6) 医局に隣接して、医局業務補助者の執務室を設ける。
7) 医師用に男女別の更衣室(ロッカー室)を設ける。
c.看護部門
1) 看護部門の長の執務室に隣接して、看護部門の幹部職員(病棟師長、外来
師長、手術室師長等)がカンファレンスできるスペースを確保する。
d.事務部門
1) 効率的で質の高い業務を行うため、庶務、人事、財務、統計の各部門を集
約化し、事務部門の長の執務室と隣接または近接配置する。ただし患者と
密接に関わる部門(医療相談・地域医療連携、入院受付窓口等)を除く。
2) 紙カルテ及びフィルムの保管は基本的に新病院には置かず、別の場所に必
要な分のみ保管する。耳鼻いんこう科、眼科については当面の間、各診療
- 29 -
部門に保管する。
3) 打合せのためのミーティングルームを設ける。
e.会議・研修
1) 各委員会など多目的に使用できる20人収容規模の会議室を6室程度設ける。
一部はME機器に関する勉強会が開催可能な医療配管、給排水等の設備を
整備する。
2) 会議室・研修室は可動間仕切り等により200人収容規模として使用できる
ものとする。備え付けのプロジェクターと大きめのスクリーンを設置する
など大規模な講演会が可能な設備を整える。
3) 会議室以外に研究・研修など多目的に使用できる10人収容規模の研究室を
設ける。
4) 臨床研修室を設ける。全部門の職員が24時間使用でき、実技のトレーニン
グやインターネットでの文献検索、腹腔鏡や挿管などのシミュレーターを
配備する。
f.仮眠室
1) 当直業務以外の、夜間の呼び出しや業務延長の際使用する仮眠室及びバ
ス・トイレ等の設備は、スペースを有効利用するため、男女別で集約配置
する。
g.医療安全管理部門
1) 医療相談窓口(地域医療連携)と近接し、面談室、カンファレンススペー
スの設置を検討する。
2) 医療安全管理室を設ける。
ⅰ)医療事故やインシデント※事例を検討し、医療の改善に資する事故防止対
策、再発防止策を検討する。
ⅱ)全ての相談に迅速に対応するため、気軽に相談できる体制とする。
ⅲ)医療安全を組織横断的に担う部門として、医事請求部門、医療情報シス
テム部門、診療情報(病歴管理)部門、地域医療連携室、感染管理部門
などと連携を図る。
ⅳ)専従の医療安全管理者、医療安全担当者、事務職員(兼務可)、医療メ
ディエーターを配置する。
h.感染対策管理部門
1) 感染対策室を設ける。
ⅰ)医療安全管理部門と連携が図れる場所とする。
i.その他の管理部門
1)総合受付と近接して医事請求部門、医療情報システム部門、診療情報(病
歴管理)部門を配置する。
j.その他
1) 長期使用による配管修理及び外壁、窓ガラスの清掃等の利便性を考慮する。
2) 防犯管理に配慮した患者出入口、職員通用口を設ける。
3) 霊安室を設ける。(あらゆる宗教にも対応できる祭壇にする)
- 30 -
4)
5)
6)
7)
8)
霊安室に家族待機室を設ける。
剖検室を設ける。
ボランティア室を設け、病院ボランティアの方の作業や休憩室に利用する。
外来職員、病棟職員の更衣室(ロッカー室)を男女別に集約配置する。
実習を行う看護学生 60 名程度の更衣室(ロッカー室)、休憩室を設ける。
ウ.運営システム
1) 管理部門、医局及び個人情報を保管する部門においては、入室に際し、認
証を必要とする構造設備とする。
- 31 -
② 福利厚生
ア.基本方針
1) 職員の労働意欲の向上を目標に福利厚生を充実させ、より良い職場環境と
する。
2) 職員宿舎については、原則建設はせず、新病院近くの民間賃貸住宅の借り
上げにより確保する。
イ.機能・規模
a.機能
1) 職員用図書室を設ける。
24 時間使用可能、PC環境が整備され、臨床研修室の近隣に設置する。
看護学生が実習施設内図書室として使用することを想定する。
2) 職員厚生室を設ける。
- 32 -
③ 地域連携
ア.基本方針
1) 地域医療連携室は、外来及び入院患者の医療・福祉相談、逆紹介患者窓口、
入院支援・退院支援の機能を持ち、多職種で共同して調整・相談できるよ
うに、室及び窓口を一つにして対応する。
2) 地域包括支援センター機能を併設し、福祉面の速やかな対応ができるよう
にする。
イ.機能・規模
a.地域医療連携室の構成
1) 地域医療連携室は各外来との動線に配慮し、オープンスペースで入りやす
い雰囲気とする。
2) 相談窓口は2箇所以上のカウンターを設置する。
3) 相談室として個室を3室程度設ける。
4) 医療安全管理室と隣接する。
5) 総合案内とは別の窓口とする。
ウ.運営システム
1)市内の診療所から診療や検査予約できるITシステム導入を検討する。
- 33 -
3-5.供給部門
① 薬剤
ア.基本方針
1) 薬剤の有効性及び安全性、経済性を確保するとともに、適正な薬品の供給
と医薬品情報を患者に提供する。
2) 入院調剤や医薬品管理等の業務に加え、病棟服薬指導や医薬品情報管理業
務の充実を図る。
3) 正確、安全、迅速な業務の向上に努め、経営的効率性(SPD※の導入
等)を考慮した部門運営を行う。
4) 薬学生の実習を積極的に受け入れ、後進の指導・育成に努める。
イ.機能・規模
1) 薬剤部門内に調剤室、注射剤調整室、製剤室、抗がん調製室、TPN※調
製室、薬品倉庫、DI室※、スタッフルームを設置し、全てワンフロアと
する。
2) 調剤室は、調剤支援システム、監査台、冷蔵庫等の設置を前提としたスペ
ースを考慮する。
3) 調剤支援システム(錠剤分包機、散剤監査システム、薬袋発行機、薬情発
行機、水剤監査システム等)を導入する。
4) 注射剤調製室は薬剤倉庫との機能的な配置を考慮する。
5) 製剤室は業務に応じたスペースを考慮する。湿式製剤室と乾式製剤室を設
ける。
6) 抗がん剤調製室は、職員の健康被害防止等の対策を講じること。
7) TPN調製室は患者数に応じたクリーンベンチ※等の設置を前提としたス
ペースを考慮する。
8) 薬品倉庫に災害時の医薬品備蓄室を設ける。搬入方法や薬剤部との位置関
係を考慮し、通常及び災害時にも十分なスペースを設定する。
9) スタッフルームは、薬剤師数に応じた備品が設置できるスペースを考慮す
る。
10) 外来患者専用のお薬相談室を隣接して設ける。
11) 薬剤部と外来点滴室は近接配置とする。
12) 救急室への動線を考慮した位置に、時間外の薬剤交付窓口を設ける。
13) 救急患者用(インフルエンザ等の感染者を含む)の服薬指導室を設け
る。
14) 治験受け入れの為の治験施設支援機関(SMO)が使用できるような
汎用性のある部屋を2部屋設ける。
15) 救急外来業務と病棟業務を併せた当直体制を構築するため、薬剤師の当
直室は薬剤部門内に設ける。
ウ.運営システム
a.搬送方法
- 34 -
1) 患者ごとに薬剤を取り揃えた注射カート、薬剤カートで搬送する。
2) 薬剤部門、検査部門兼用で各病棟へのダムウェーター等を導入する。
3) 外来、病棟へのカート等による定期搬送ルートを考慮する。
- 35 -
② 中央材料
ア.基本方針
1) 安全で効率的な管理・運営が可能な手術器材及び診療材料の管理システム
を確立する。
2) 使用済み医療材料の滅菌前処理から、滅菌後の保管、そして医療現場への
供給に至るまで、一連の物品管理システムを整備し、既滅菌物品の無菌維
持・管理を行う。
3) 中央材料部門は一部外注化(滅菌業務)を検討する。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 手術器材の搬送を効率化するため、手術室に隣接配置する。
b.機能
1) 中央材料室は洗浄室と組み立て・滅菌・保管室で構成する2層構造とする。
ⅰ)仕分、洗浄室
・汚染ゾーンに区分し、使用済器材の回収コーナー、仕分・洗浄コーナー
を設ける。
・手術部門への供給回収動線に充分配慮したゾーニングとする。
ⅱ)点検・組立室
・各種器械の点検、組立、セット及び包装を行う。
ⅲ)滅菌装置スペース
・清潔ゾーンに区分し、高圧蒸気滅菌装置及びガス滅菌装置、プラズマ滅
菌装置により、滅菌を行う。
ⅳ)既滅菌保管室
・清潔ゾーンに区分し、滅菌済の器材を払い出すまでの一時保管を行う。
ウ.運営システム
a.セット方式
1) 手術器材、診療材料等のセット方式は、中央材料室による中央化とする。
b.払い出し
1) パスボックス※を利用する。
c.一次洗浄
1) 部門ごとでの洗浄は行わず、原則、中央材料室で行う。
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③ 栄養
ア.基本方針
1) 食事は適切な内容、適時・適温での提供、選択メニューや特別メニューの
導入等を行い、患者サービスの向上を図る。
2) 調理方式は、HACCP※(食品の安全を確保する管理手法)を導入し、
「大量調理施設衛生管理マニュアル」※を遵守した衛生管理を行う。
3) 給食部門は外部委託とし、栄養指導・相談は正規職員により行う。
※「大量調理施設衛生管理マニュアル(厚生労働省 平成9年3月24日衛食第85号別添、最
終改正:平成24年5月18日食安発0518第1号)」
イ.機能・規模
a.食数
1) 入院患者及び、病児・病後児保育を想定する。
b.調理システム
1) 業務効率化を図るため、クックサーブ※とクックチル※(院内型)の併用と
する。
2) 給食室内では食品の流れが交差しない構造であること。汚染区域と非汚染
区域が明確に区別されていること。
3) 配膳車は給食室内より専用エレベーター(配膳用と下膳用は同一のものを
使用)にて各階へ搬送できる構造であること。また、専用エレベーターは
管理区域内に配置し、配膳用と下膳用では扉が異なること。また各階の専
用エレベーターは、配膳車を出し入れする際に患者への安全面を考慮し、
食堂内あるいは配膳車用スペースに隣接して設ける。
c.給食室
1) 給食室は以下の部屋、スペースを設ける。
ⅰ)調理
検収室、下処理室(洗浄スペース)、調理室(配膳スペース、洗浄スペース)、
食品保管室
ⅱ)その他
給食事務室1室、前室(調理従事者準備室)、休憩室1室、更衣室2室、トイ
レ2室、収納室1室
2) 検収室へは、業者がトラックを横付けでき、搬入の際に食材が雨などにあ
たらないよう屋根があり、食材納入業者以外の者が侵入できないようセキ
ュリティ設備のある構造とする。
d.配膳
1) 配膳は中央配膳方式とする。
2) 衛生面に配慮し、配膳車は配膳用と下膳用を分ける。
3) 病棟への配膳は病棟までは給食部門の委託スタッフが搬送し、病棟から病
室へは病棟スタッフが配膳する。
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4) 各階病棟の配膳専用エレベーター付近には、下膳用配膳車置き場を設ける。
5) 配膳車を専用エレベーターから病棟へ搬送する際に患者との接触をさける
ため、廊下は十分な広さがあり、廊下に車いすなど物が置かれないよう収
納スペースを整備する。
e.栄養相談室
1) 栄養相談室は、内科外来付近と内科入院病棟付近に各 1 室ずつ設け、プラ
イバシーが確保できる構造とする。
f.栄養事務室
1) 栄養指導を行う管理栄養士の事務室を設ける。
ウ.運営システム
a.適時・適温給食
1) 適時給食を実施する。
2) 保温・保冷機能を有する配膳車の導入による適温給食を実施する。
b.メニュー
1) 選択メニューを実施し、患者サービスの向上を図る。
c.栄養指導・相談
1) 個人栄養指導ができる環境を整備する。
2) 集団栄養指導は、必要な設備の整った共用の部屋で実施する。
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3-6.共用動線
ア.基本方針
1) 不特定多数の人が利用する共用部(廊下、階段、エレベーター等)はバリ
アフリーとし、すべての人が利用しやすい環境を整備する。
2) 車いす利用者に対応した受付カウンターやスペースを設ける。
3) 患者動線とスタッフ動線を出来るだけ分離するよう配慮する。
イ.機能・規模
a.機能
1) エントランスホール※は、明るく開放的な空間とする。
2) 患者が利用する廊下は車いす及びベッド搬送のすれ違いを考慮した幅員を
十分に確保する。
3) バリアフリーに対応した昇降のしやすい階段とする。
4) 一般用エレベーターは利用者に分かりやすい位置に配置し、音声誘導や車
いす利用者用操作盤等のバリアフリーに対応したものとする。
5) 搬送用エレベーターは機器を装着した患者のベッド搬送が可能なかごサイ
ズ及び充分な出入口を確保した計画とする。
6) 物品用エレベーターは管理区域内に設け、患者及び外来者の目に触れにく
い配置とする。
7) 病棟患者(特にベッド移動が必要な患者)が一般の外来患者の目に触れず
に手術室、生理検査室、放射線部門(CT、MRIなど)などに移動でき
るよう配慮する。
8) 隣接配置を必要とする部門が上下階の関係となる場合は、ダムウェーター
の設置等を検討する。
9) 外来が異なる階に分散配置される場合は、エレベーターならびにエスカレ
ーターを整備する。
10) 機械室は採用する電気設備及び空調設備等の仕様に応じて、メンテナ
ンス及び将来の更新を考慮した適切な面積の確保と配置計画を行う。
11) 設備用シャフト等はメンテナンス及び将来の更新を考慮し、各階で同
位置に配置する。
12) 案内などの表示は分かりやすいものにする。
ウ.運営システム
1) 患者の呼び込みは、患者のプライバシーに配慮する。視覚や聴覚に障がい
のある方の対応も含めて検討する。
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3-7.その他
① 健診センター
ア.基本方針
1) 地域住民の健康を予防の立場から守っていくことを基本とし、二次予防
(疾病の早期発見・早期治療)のみならず、一次予防(疾病の発生予防)
にも対応する。
2) 健診機関として精度の高い検査を提供し、スタッフ教育を充実させる。
3) 顧客満足を第一とし利用者の満足を得るため、次のことを目標とする。
ⅰ)総拘束時間の短縮
ⅱ)待ち時間の有効利用
ⅲ)診察・結果説明・保健指導での人間的信頼関係の形成
4) 院内の医療資源を有効に利用するため、放射線部門・内視鏡部門との連携
を強化する。
イ.機能・規模
a.ゾーニング等
1) 待合室、医師の診察室、看護師の指導室、栄養指導室を部門エリア内に設け
る。
2) 一般の患者と分離した動線を設ける。病院内の検査機器を共用で使用する
ため、放射線部門や内視鏡室に近い場所に設ける。
3) 健診センター用の出入口を設け、出入口の近くに駐車場が配備されるよう
配慮する。
4) 待合室(20人分程度)、更衣室(男女別各10名鍵付きロッカー付)、トイ
レ(男女別、化粧室付き)、医師診察室2室、看護師等の指導室1室、栄養
士の栄養指導室1室、集団指導、特定健診受入のための大部屋(多目的ル
ーム)1室、受付会計窓口、事務作業室(書類保管室を兼ねる)を部門エ
リア内に設ける。
5) 多目的スペースを設け、健診機能とは別に自由診療の高濃度ビタミンC点
滴療法を実施できる環境を整える。
b.人間ドック・健診数の想定
1)人間ドックは、1日あたり6人受入可能とする。
2)健康診断は、1日あたり40人受入可能とする。
c.機能
1) 人間ドック(日帰り、1 泊 2 日、脳ドック、企業健診を含む)
、生活習慣病
予防健診、特定健診(集団健診含む)、子宮がん検診、乳がん検診等各種
を行う。なお、1 泊ドック実施の際の宿泊施設はホテル等の外部施設を活
用する。
2) 生活習慣病予防健診、特定健診後の保健指導を行う。
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3) 受診者の動線が短くなる検査機器の配置を行う。
4) 受診者のプライバシー保護は、最大限優先する。
5) 待ち時間の有効利用のため、アメニティ※ゾーンではリラクゼーションや
情報収集が行える計画とする。
ウ.運営システム
1) 受付場所は、一般患者と健診受診者の動線を分け、明確に区分する。
2) 受付から会計まで、健診センター内で完結できる計画とする。
3) 各検査機器は電子カルテシステムと連携し、検査データを共有できる検診
システムとする。
4) 予約管理、書類発送、健診結果等の情報を健診センターが一元管理する。
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② アメニティ設備
ア.基本方針
1) 病院の利用者並びにスタッフに対して、快適で使いやすい施設、設備を提
供する。
2) 病院のスタッフにとって働きやすい勤務環境とする。
イ.機能・規模
a.機能
1) レストランは白山連峰の眺望を活用するなど、快適な空間とする。厨房は
共通で、職員と患者の食事スペースは区別する。
2) 売店(コンビニエンスストアを含む)、理容室を設ける。
3) ATM(使用頻度の高い金融機関)、自販機コーナーを設ける。
4) 売店は、患者、外来者、職員が利用でき、車いすとのすれ違いに配慮した
棚の間隔を持った利便性、快適性の高い設備とする。
5) 患者用の図書・医療情報コーナーを設ける。
6) プライバシーの保たれた、車いす対応の電話コーナーを設ける。
ウ.運営システム
1) レストラン・売店は、外部委託での運営を想定する。
2) 絵画・パネル展示等、ヒーリングアート※を各所に設置し、待ち時間にか
かるストレスの軽減を図る。
3) アメニティ向上策としての各種案内表示、植栽等を配備する。
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③ 保育事業
ア.基本方針
1) 子育てを行う病院職員の職業生活と家庭生活との両立を支援できるよう、
福利厚生の一環として、院内保育施設(夜間保育)を開設する。
2) 子育てを行う世代が、安心して継続して仕事につけるよう、病児・病後児
を預かる保育施設の開設と運用を検討する。
イ.機能・規模
a.機能
1) 市民を対象として、病児・病後児保育、児童デイサービスを行うスペー
スを確保する。
2) 職員を対象として、夜間保育を行う。
b.ゾーニング等
1) 充分な広さのプレイルームと感染症毎の隔離のための個室を 4 室設ける。
2) 事務室、玩具などを収納する倉庫を備える。
3) 夜間保育用の別室(病児と接触しない構造)を備える。
4) 各室に手洗い洗面台(小児サイズ)を設置する。
5) 調乳や食事後の簡単洗浄のための台所、不潔用洗浄槽を備える。
6) 職員専用の休憩室、更衣室とトイレを備える。
7) 病院の玄関とは別の専用玄関とする。
8) 室内の床は、衝撃吸収床で床暖房とする。
9) 各室の扉は、子どもの力では開かない抵抗式のものとする。
10) 小児用トイレとおむつ交換スペースを設ける。トイレは、感染対策を
考えて、4 箇所とする。
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④ 災害時対応
ア.基本方針
1) 地震時においても診療機能を維持できる施設計画とする。
2) 災害時における患者の受け入れを可能な施設、ライフラインの確保した計
画とする。
3) 災害時に利用できるトリアージスペースを確保する。
4) 病院機能が維持できる物資を備蓄する。
5) 病院のBCP※に則った施設計画とする。
イ.機能・規模
a.備蓄
1) 以下のような項目について備蓄できる体制を整える。災害用備蓄庫を設け
る。
ⅰ)医薬品、食料、飲料水
ⅱ)医療ガス※
ⅲ)調理用燃料
ⅳ)ベッドやテント、ポータブルトイレ など
ⅴ)感染対策防護具の備蓄
2) 上記備蓄物品の想定量は、下記のとおりとする。
外 来 患 者 650人×災害時5倍×3日=延9,750人
入 院 患 者 300人×災害時2倍×3日=延1,800人
職
員
等 500人
×3日=延1,500人 計 延13,050人分
b.トリアージ体制
1) 病院の建物外の敷地には、災害時に傷病者のトリアージや簡易テントの張
り場所として利用できるスペースを確保する。屋内(エントランスホール
など)との位置関係に配慮する。
2) エントランスホールや外来待合室、救急室前フロアの空間は、災害時に、
トリアージされた傷病者の受入を可能とする一定の広さとし、災害対応型
医療用アウトレット※を備えるものとする。
ウ.運営システム
1) 傷病者受入れ時にプライバシーを確保できるように配慮する。
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⑤ 医療安全対策
ア.基本方針
1) 良質で安全な医療を提供し、医療事故を防止する施設、設備とする。
イ.機能・規模
a.転倒・転落防止
1) 院内全体にスロープを造らないこととする。
2) 転倒、転落、撥水性、吸音性等に配慮した床材とする。
3) 廊下に物を置かないよう、収納スペースを十分に設ける。
4) 廊下、階段、トイレ、浴室、エレベーターなど、患者の動線に配慮して手
すりを設置する。
b.離棟・離院防止
1) 離院防止のため、出入口や非常口に監視カメラを設置し防災センター※で
監視(録画)できる設備を設置する。
2) 離棟防止のため、スタッフステーションの受付から患者や面会者用のエレ
ベーターが観察できることが望ましい。
c.自殺防止
1) ベランダ、吹き抜け、屋上等には、十分な高さのフェンス(手すり)を設
置し、飛び降りの防止に努める。
d.防災・保安
1) 院内全体の防災・保安を一元管理する防災センターを設置し、中央監視設
備を整備する。
ウ.運営システム
1) 患者認証防止のため、患者確認認証システムを構築する。
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⑥ 感染対策
ア.基本方針
1) 院内感染を防止し、安全で清潔な施設、設備構造とする。
イ.機能・規模
1) 感染症に罹患の恐れがある患者と一般患者の動線が交わらないよう配慮す
る。
2) 必要な部門において、感染症に罹患の恐れがある患者と一般患者の診察室、
処置室、待合室、病室等を区分する。
3) 各部門において、感染性廃棄物を一時的に保管できる適切なスペースを設
ける。
4) 床と壁の角、トイレの床、流し台等の水周りは埃がたまりにくく清掃の行
いやすい構造とする。
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