劇団四季俳優 田 中彰孝が案内 す る 四季芸術 セ ン タ ー 徹底 ル ポ

しい施設が完成した。大小の稽古場のほか、個人レッスン用の研究室が全部で 25 室。
ライブラリー
メモリアルルーム
広いロッカールームやトレーニングジム、医務室にスポーツマッサージまで備えた、
まさに理
想の施設だ。
窓が大きくとってあり、
どこもとても明るい。建物の南側には桜並木があって、
その前の
ウッドデッキは俳優たちのくつろぎのスペースにもなっているという。稽古からリラックスま
で、俳優たちが1日を過ごす四季芸術センター本館を、
『ライオンキング』
でシンバなどを演
じる田中彰孝の案内で、
ご紹介しよう。
女性ロッカールーム
A稽古場
7
男性ロッカールーム
14
B稽古場
C稽古場
中庭
D稽古場
音響スタジオ
E稽古場
受付
研究室
東1 〜 11
G稽古場
南館への
F稽古場
連絡通路
■メモリアリルルーム
亡くなった劇団の創設メンバーやゆかりの方の写真が飾られてい
る。その壁面に使用されているのは、代々木アトリエ
(劇団四季最
初の稽古場)
中央部の、歴代俳優たちの汗が染み込んだ床板だと
いう。他にも旗揚げ公演のポスターや、貴重な舞台写真などが飾ら
れている。
田中「先輩方の命日などには、劇団員がお参りに来ます。代々木ア
トリエの床板を使っているという話は、浅利先生からうかがっていまし
た。私たち若い俳優も先輩方の舞台に対する祈りを思うと、身の引
き締まる思いがします。」
■研究室
世界各国の戯曲や演劇書、貴重な書籍、関連資料などが集められている。関連資料は作品ごとにまとめられ
ており、
『ライオンキング』
ならアフリカの動物、
『ジーザス・クライスト=スーパースター』
ジャポネスクバージョン用
には歌舞伎の隈取の資料などもある。
書庫と反対側に、
ソファやモニターが置かれたスペースがあり、昔のポスターなども飾られている。過去の舞台
映像なども保管されており、
劇団員が自由に閲覧できる。
田中「この前は何人かで
『ジーザス〜』
の昔の舞台を見ました。東京以外で公演中の演目は、ここで映像を見て
振りを稽古したりもします」
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玄関ホール
応接室
一人用の研究室にも、全てピアノ、鏡とバーが用意されており、歌やダンスを
確認することができる。少し大きめの研究室は、俳優2〜3人が一緒に台詞合わ
せなどをする
「交流稽古」
に使われる。
田中「研究室は、時間を決めて予約します。以前は一人用の部屋数が足りなく
て、順番待ちになることもありましたが、今はそういうこともなくなりました」
■ライブラリー
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■H稽古場
■C稽古場
鏡、バー、ピアノ完備。作品稽古用の広さ
はないが、中央で仕切ることもできて、様々な
用途で使われる小稽古場。海外から参加して
いる俳優たちのために、日本語レッスンの教
室として使われることもあるという。
田中「『ジーザス・クライスト=スーパースター』
ジャポネスクバージョンのメイクの講習は、こ
こでした。先日は、
『ライオンキング』の子役が
稽古していましたよ」
俗に
「八百屋」
とも呼ばれる傾斜舞台を作るための、特別な機構が付い
た大稽古場
(B稽古場にも、
この機能がある)
。
四季の演目には、
『キャッツ』
『エビータ』
『ジーザス・ クライスト=スーパー
スター』
など、傾斜舞台を使用する作品が少なくない。演技の感覚が違うだ
けでなく、足や腰にも負担をかけるため、角度を少しずつ上げながら稽古する
という。音響効果のため、壁には凸凹があったり
(写真右奥)
、上のほうが狭
くなるよう傾斜が付いていたりする
(写真左奥)
。
田中「この線から、床が持ち上がります。
『ジーザス・クライスト=スーパース
ター』
のエルサレムバージョンが一番傾斜がきついですね」
劇 団 四 季俳優
田中彰孝が案内する
劇団四季の創設から半世紀余り。俳優たちを養成し、充実した稽古をするための新
H稽古場
劇団四季結成 周年の2006年 月 日、横浜市あざみ野に
新しい「四季芸術センター」本館が落成した。
充実した施設の詳細をご紹介しよう。
本館
1階
広い、明るい―充実した新稽古場を紹介
文/笠松綾
撮影/織田紘
研究室
西1 〜 10
衣裳室
四季芸術センター 徹底ルポ
ルポ 四季芸術センター
■E稽古場
C稽古場と同じく、反響調整の設計がされた中稽古場
(D稽古場もほ
ぼ同じ規模)
。主にストレートプレイなどの稽古に使われる。6月下旬の
取材時には、7月1日に自由劇場で開幕した
『エクウス』
のためのセットが
組まれていた。稽古場はいずれも2階まで吹き抜けで、2階から見学する
こともできる作りになっている。
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