������������������������������������� ����������� ����� 〒105-0003 東 京 都 港 区 西 新 橋 1-22-12 J C ビ ル 4F ����������������� ���������������� 第15期中部支部セミナー開催 いよいよ日本養豚事業協同組合の支部活動が始ま って説明されました。経営の安定にとってPRRS等の りました。 清浄化の重要性が語られ、地域防疫の確立のための 中部支部セミナーを皮切りに5月22日(金)名古 施策について平成22年7月に発足した新生養豚プロ 屋駅前のダイヤビルで総勢77名の参加者を迎え、栗 ジェクト協議会の経緯と活動及び今後の課題につい 木允男支部長の来場者への感謝の言葉を交えての元 て説明されました。 気の出る開会の挨拶で幕を開けました。 最後に、「オールイン・オールアウト実現可能な飼 稲吉弘之理事長の挨拶では業界を取りまく最近の 育システム導入の重要性とその具体策」と題して石 社会情勢の動きと、一昨年来のPED、最近のPRRSの 川弘道氏(㈲サミットベテリナリーサービス代表取 発生等疾病問題に直面した情勢の中で、良い管理シ 締役・獣医師)より講演がなされました。冒頭、感 ステムの構築と地域防疫の重要性を本セミナーでの 染経路を絶つことがバイオセキュリティであるとの 講演の柱の一つとして組み入れしたことが紹介され 言葉で始まった講演は、発生要因とその要因を除く ました。 伝染病対策の具体策が述べられました。個別の対策 最初の演題は「動物検疫業務について」と題して を集合した「オールイン・オールアウト」の仕組み 小岩井正博氏(農林水産省動物検疫所名古屋出張所 づくりの必要性が述べられ、連続飼育とオールイン・ 長)より我が国の国内防疫と水際防疫体制について オールアウト生産方式の長所、短所及び経営成績が 説明され、輸入される膨大な種類の動物及び畜産物 比較されました。オールイン・オールアウトのグル の検疫の重要性が資料に基づき説明されました。 ープ管理生産方式の導入手順が資料に基づき詳細に 引き続き「年間稼働母豚1頭当り離乳30頭と枝肉 説明され、さらに導入前後の経営成績の時系列比較 出荷2,200kgの軌跡」と題して稲吉克仁氏(㈲マルミ が示され、参加者の今後の養豚経営に大いに参考と ファーム代表取締役社長)より講演がなされました。 なる講演となりました。 ㈲マルミファームの過去10年間の軌跡が詳細な経営 指標を示しながら、TOPIGS導入前後の繁殖成績の激 変と販売に向けた枝肉の重量、肉質、歩留りを考慮 した取り組み等の経営に必要な多くの活きた改善ポ イントが、多面的な指標を示し数字を伴いながら時 系列にその改善の軌跡が説明されました。また、実 務的な参加者の質問にも具体的な数字を交え丁寧な 回答がなされました。 休憩をはさんで、 「地域防疫の重要性」と題して香 川雅彦氏(㈲香川畜産代表取締役)より次のとおり 講演されました。宮崎県で発生した口蹄疫の行政と 取り組んだ様子を地域防疫の緩みにも触れ、時を追 1 (山田) ▼▼▼ http://tonjikyo.or.jp ホームページ ▼▼▼ [email protected] E-mail TOPIGS-20の育成方法 TOPIGS-GPやTOPIGS-20を導入して成績改善に繋 般飼料)をそのままお使いください。TOPIGSのマ がっている組合員が増加していることは皆様ご承知 ニュアルではDE3,020kcal(TDN68 ∼ 69)が良いと の通りですが、従来のF1母豚の育成方法とはかなり されていますが、TOPIGS-20の生産農場である東海 異なるため、とまどっておられる方がいるとお聞き ブリーディング㈱で実践した結果ではDE3,170kcal しますので、TOPIGS-20の育成方法についてご説明 (TDN72) 前 後 が 良 い と の 結 果 が 出 ま し た の で、 いたします。 TDN72前後に調整する方法を記述します。 ゆめ種豚74(またはTDN74の一般飼料)をお使い ●TOPIGS若雌の育成目標 の場合、DEを3,170Kcalまで下げて育成用飼料とする TOPIGS社では性成熟(3回目の発情で交配)さ 必要があります。この場合最も入手しやすい原料が せるため、エネルギーの低い飼料を与えゆっくり成 『ふすま』ですので、ふすまを利用した育成用飼料の 長させることを推奨しています(表1・2) 。これを 作成方法を以下に述べます。 肥育豚の発育曲線と比較すると、図1のようになり ます。肥育豚より育成若雌の方がかなりゆっくりの ●TOPIGS-20の育成用飼料の作成方法 発育となります。このような発育曲線を維持するた ①ゆめ種豚74 /トンにふすまを140kg添加します。 め、TOPIGS社では表3のような飼料給与マニュア この場合、 「ゆめ種豚74 +ふすま」の主な栄養の設 ルを推奨しています。 計値と不足分の添加量は表4の通りとなります。 TOPIGS-20を組合員の皆様が購入して育成する ②上記「ゆめ種豚74 +ふすま」/トンにゆめマミ ときはRearing(育成)2のステージから始まりま ー Bを4kg(0.4%)添加します。 す。Flushing飼料はゆめ種豚74(またはTDN74の一 ゆ め マ ミ ー Bの 添 加( ミ ネ ラ ル 系 の 飼 料 添 加 物)は必須です。特に亜鉛の要求量がTOPIGSでは 75 ∼ 180ppmと 高 く 表 示 さ れ て い ま す。 ゆ め マ ミ ー Bを0.4%添加すると50ppm上乗せになりますので 表1 TOPIGS 若雌の育成目標 性成熟時日齢 100ppm近くになり、TOPIGSの要求量を満たしてく 240日 性成熟時体重 140kg れます。 性成熟時P2脂肪厚 14mm 亜鉛は皮膚や粘膜の形成に重要な働きをするミネ 表2 週齢ごとの目標到達体重と飼料給与量 週齢 到達体重(kg) 飼料給与量(kg) 21 85 2.20 22 90 2.25 23 94 2.30 24 99 2.35 25 103 2.40 26 108 2.45 27 113 2.50 28 117 2.55 29 122 2.60 30 126 2.60 31 131 2.60 32∼33 140 3.00∼3.20 図1 育成若雌と肥育豚の発育曲線 2 ラルで、TOPIGSばかりでなく育成豚全般に必要な を見てきましたが、信じられないような痩せた育成 ミネラルです。一般的な種豚用飼料に亜鉛は50ppm 子豚でした。 しか添加できませんので(行政指導) 、ゆめマミー B を0.4%添加することをお勧めします。 給与量を減らすと、空腹で育成豚が辛抱しきれな くなるかもしれません。そんな時はヘイキューブな 計算上は上記のような飼料を調整して与えること どの繊維性のものを与えて空腹感を補ってあげてく になりますが、現実的には数頭の母豚に餌を調整し ださい。 (矢嶋) て与えることは不可能です。実際はゆめ種豚74(ま たはTDN74の一般飼料)の給与量を1日100 ∼ 200g 減らして与えることになってしまいます。これでは リジンやリンが少なくなりますので、ゆめ種豚74(ま たはTDN74の一般飼料)20kgに対し魚粉1kg程度を 添加して調整し与えてください。Flushing飼料もこ のままお使いください。 かなり痩せた母豚に仕上がりますが、組合員で最 初にTOPIGSを導入した㈲ロッセ農場は飛騨の高山 にあり北海道並みの寒さですが、TOPIGSは痩せ気 味のほうが成績は良いと話しておられましたので間 違いありません。オランダで一般販売用のTOPIGS TOPIGS 育成豚 表3 飼料給与マニュアル 飼料 項目 Starter Rearing 1 Rearing 2 Flushing ゆめ種豚74 (9∼14週) (15∼20週) (21∼32週) (33週∼ ) (計算値) 期待増体(g/日) 750 700 650 640∼1,300 ― ME(kcal) 3,100 3,000 2,900 3,110 3,130 DE(kcal)※ 3,220 3,120 3,020 3,230 3,260 有効リジン(%) 1.10 0.85 0.65 0.70∼0.65 0.66 カルシウム(%) 0.80 0.75 0.70 0.75∼0.85 0.74 有効リン(%) 0.38 0.35 0.35 0.26∼0.29 125∼180 100∼180 75∼180 亜鉛(ppm) 0.30 50※ ※注1:DE は ME ×1.04の換算値 注2:亜鉛は添加量 表4 TDN74 の飼料の調整 飼料 TOPIGS ゆめ種豚74 種豚74+ ふすま140kg 添加飼料 TDN 74.3 72.4 69.5 ― 有効リジン 0.56 0.58 0.65 1.0kg カルシウム 0.74 0.67 0.70 非フィチンリン 0.30 0.30 0.35 50ppm 43 ppm 75∼180ppm 項目 亜鉛 要求量 注1:第3リンカルとしての添加量です。 注2:Rearing 2・Flushing とも亜鉛の代わりに『ゆめマミーB』を種豚用飼料1トンに対し4 kg(0.4%)添加してください。 ▼▼▼ ホームページ http://tonjikyo.or.jp ▼ ▼ ▼ E-mail [email protected] 3 不足分添加量 300g(注1) 4kg(注2) ▼▼▼ http://tonjikyo.or.jp ホームページ ▼▼▼ [email protected] E-mail TOPIGS-GP農場・㈲馬場ファーム PED撲滅プロジェクト∼発生から今日まで∼ 日の出物産株式会社 森川 和徳 PEDの感染報告を頻繁に耳にするようになった昨 ん。運送業者が見つかるまでは、糞尿処理の一時停止、 年の春、「福島県でも1農場で発生が確認された」と 陽性豚舎に入ったら陰性豚舎の担当者とは接触しな 家畜保健所から一報が入りました。 い、豚舎から出たらシャワーを浴び、作業着はすぐ ㈲馬場ファーム(注1)は新潟県と福島県の県境にあ に洗濯をする、また感染がひどい分娩舎に入る際は、 り、周囲100kmには養豚場がなく、冬は5m近く雪 専用の作業着と長靴を着用するというような管理体 が積もるような場所にあります。TOPIGSのGP農場 制を整えました。発生から5日目に配送業者が決ま ということもあり、防疫体制を強化していましたが り、感染していない豚舎のPSを出荷しました。 3年目を迎える前に、PEDウイルスの侵入を許して 出荷後、すぐに強制馴致(注2)を行うようにと指示さ しまいました。 れており、母豚10頭に対して発症後24時間以内の生 4月23日午前8時、農場から「分娩舎で下痢が出 きた子豚1頭の腸管ミンチを1Lの水で溶き、すべて ている」と連絡が入りました。すぐにコンサルタン の母豚に3日間投与しました。発生日から毎日、下 ト獣医に連絡を入れ、農場へ来てもらうようにしま 痢や嘔吐、食欲低下などの観察・記録を行い、強制 したが時すでに遅し。時間が経つごとに、分娩舎で 馴致後も臨床症状を1か月間確認し続けました。100 次々と子豚が感染していきました。家畜保健所にも 頭中15頭は無症状でしたが、その後の抗体検査で抗 連絡を入れ、検体を渡し、翌日「PED陽性」と連絡 体価が上がっていきました。PED発症後は、生まれ が入りました。 てくる子豚は全て殺処分(強制馴致後は生後すぐに 農場には2棟の豚舎があり、そのうち1棟は販売 処分)を1か月間行い、交配も全くしない状態を続 豚舎です。感染力の強いウイルスだけに、販売豚舎 けました。販売豚舎は部分スノコで除糞機が入って も感染が疑われましたが、PCR検査の結果感染して いるため、洗浄後消毒液の濃度を上げ3回乾燥・消 おらず今後の種豚供給にも影響が出るため、陰性が 毒を実施。繁殖豚舎はピット式のため全てのピット 確認された3ヶ月齢∼5ヶ月齢のPSをグループ農場 を空にし、石灰消毒を徹底的に行いました。 へ移動するように指示が下されました。しかしPED 発生から2か月後、農場内にウイルスがどの程度 発生農場から豚を輸送してくれる運送業者はいませ いるのかを確認するために環境下のウイルスチェッ ピット内清掃の様子① ピット内清掃の様子② 4 クの開始と合わせ、PED撲滅プロジェクトが始まり なくなったこともあり、母豚群の更新を通常よりも ました。どのような方法で清浄化に至ったのか、ご 早いペースで行った。外部導入が難しい中、自家生 説明いたします。 産ということもあり、また販売が大幅に減少したこ ともあったため優良な更新豚を選抜し更新を行い、 ㈲馬場ファームにおけるPED撲滅プロジェクト 母豚群の陰性化にも努めている(約6割の豚が抗体 ① ピットの消毒 陰性)。 ピット水はウイルス量は減少しているものの一向 ④ おとり豚の導入 に陰性化にならず大変苦労した。当然ピットは空に 2014年9月にPED陰性の育成豚を6頭海外から導 するが、全ての有機物を排除することは難しかった。 入した。完全な隔離舎はないため、販売豚舎の一部 ピットの高さは50cm程度。人が這いずりながらの作 を隔離豚房とし、ほかの豚と接触しないようにした。 業を繰り返し、徹底的に掃除を行った。そのような中、 隔離終了時に抗体検査を行ったが陰性を保ち、また コンサルタント獣医の先生から強アルカリにするこ 種豚舎へ移動・交配1か月後に採血を行ったが陰性 とを勧められ、ピットを空にして新しい水を入れた。 を維持している。 その際に水1m に対して炭酸カリウム200gを投入し 3 て強アルカリ性にしようとしたが、pHが全く上がっ これらの結果、㈲馬場ファームでは2014年10月か ていなかった。そのため新しく溜めたピット水1Lに ら販売豚のPED抗体価は陰性を保ち、2015年2月か 対してpH11にするのに何gの炭酸カリウムが必要か、 らは環境下においてもウイルスは検出されておりま リトマス試験紙を用いてテスト後に投入量を決めて せん。 改めて実施した。結果25m のピットに対して約10kg 疾病は一度農場に入ってしまうとなかなか抜くこ の炭酸カリウムが必要であることが分かった。しか とは難しいです。入らないように防疫体制を強化す しピットから完全に有機物を除去しなければ効果は ることが重要です。ただ「清掃→洗浄→消毒」とい なく、人海戦術で徹底的にピットの清掃を行った。 う当たり前なことが「慣れ」になってしまわないよ 何度も何度も同じことを繰り返し、ピットに水を張 うにすることも重要かもしれません。言い換えれば、 り検査に出す。当然、毎月獣医師の巡回指導を受け、 毎日の作業で「慣れ」が油断につながったのかもし PCR法による検査をしてウイルスの動向を見た。 れません。今回PEDを陰性化することができたのは、 ② 抗体検査と追跡調査 現場従業員の努力と目的意識の維持だと痛感してい 家畜保健所からの依頼もあり、抗体価がどの様に ます。またトコトン指導をして下った㈲サミットベ 推移していくかも合わせて行った。強制馴致を行っ テリナリーサービスの石川先生はじめ関係者の方々 たので抗体価は一定以上上がっており、どの程度で にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。 3 減少していくかを毎月同一個体(母豚)とロットご とに5頭ずつを1年間実施した(現在も子豚につい 注1:㈲馬場ファームは、一貫農場として営んでいまし ては県の事業で継続中である) 。徐々に減少はしてい たが2011年の震災後より日の出物産㈱主導の上、 ったが、一向に減少しない個体もいた為、抗体価が TOPGISの種豚場として業務を行っています。 高い個体は淘汰した(その間PEDの再発症は見られ なかった)。 注2:強制馴致は、各農場の飼養形態などの実情に合わ 3月中旬生まれの子豚から7月中旬より抗体陰性 せて取り組む必要があり、農場ごとに最善の対策 が見られるようになった。環境下にはウイルスが存 が異なる場合もあるため、個々の農場による独自 在していたので、いずれ感染する可能性はあったが、 の判断で行うことは適切ではなく、獣医師の管理 陽転することは無かった。 や行政機関の関与のもとで行わなければなりませ ③ 自家更新による豚群の陰性化 ん。 前述したように7月中旬より陽性の子豚がみられ ▼▼▼ ホームページ http://tonjikyo.or.jp ▼ ▼ ▼ E-mail [email protected] 5 ▼▼▼ http://tonjikyo.or.jp ホームページ ▼▼▼ [email protected] E-mail 第1期豚事協若手経営者育成塾第3講座 開催 第1期豚事協若手経営者育成塾第3講座は6月2 解説され、「利益情報」によって「安全情報」のウエ 日∼6月3日にAP浜松町で松村昌雄副理事長の挨拶 イトが増すことも新聞情報を交えて説明されました。 のあと第1講座「経営の理念」 、第2講座「飼料要求 適切な判断をするための論理的、科学的な判断につ 率の科学」に続く「養豚をめぐるリスク管理」をメ いては、情報量により大きく左右されることが説明 インテーマとする4つの講義が行われました。 され講座が終了しました。 講義Ⅰ 養豚経営に関わる法律とコンプライアンス 講義Ⅲ 養豚に関わる人獣共通感染症とそのリスク管理 農林水産省生産局畜産部畜産企画課 東京大学 食の安全研究センター長 関崎 勉 氏 畜産環境・経営安定対策室長 渡辺 裕一郎 氏 牛レバーの生食禁止から、豚レバーの生食問題に 養豚経営に関係する法律は①養豚振興、②家畜疾 触れ、豚に潜む病原体の恐怖についての講義が始まり 病・公衆衛生、③環境対策、④食品安全、⑤その他 ました。豚レンサ球菌の話は後段で演ずるとして、カ と多岐に亘っているが、その中で大きく関わりのあ ンピロバクター、敗血症に至るサルモネラ属菌(コレ る「養豚農業振興法」 、 「家畜伝染病予防法」 、 「化製 ラエスイス) 、 E型肝炎ウイルス、豚丹毒菌、 寄生虫(ア 場等に関する法律」 、 「廃棄物の処理及び清掃に関す ジア条虫)について人への感染と症状が説明されまし る法律」、「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の た。家畜の衛生管理ガイドラインについては、前提と 促進に関する法律」 、 「水質汚濁防止法」 、 「悪臭防止法」 なる家畜伝染病予防法、使用環境・家畜への汚染防 について、資料に沿って概要、背景、施行状況等が 止のための手法「農場GAP」 、そして「農場HACCP」 説明されました。新たな環境問題等の対応について について概要が説明され前段が終了しました。 畜産クラスターの仕組みに組み込んで進めるのも一 休憩をはさんで、ショッキングな映像と共に「豚 つの方法と説明しながらも、畜産クラスター事業へ レンサ球菌」による人の劇症型レンサ球菌症の説明 の申込が多く次年度以降の対応に委ねている状況と が始まりました。世界及び日本における感染状況、 の説明でありました。義務として法律を守るコンプ 発症のメカニズム、血清型による症状の違い等、生々 ライアンスは、自らを守るために実施状況を記録に しい映像を交え、経口感染の可能性にも触れた講義 残すことも重要とのコメントで講座を締めくくりま は、質問の多さにも塾生の関心の深さが窺えました。 した。 講義Ⅳ 臭気問題の経験に基づくトラブル回避と善後策 講義Ⅱ 食の安全とリスクコミュニケーション 有限会社村上畜産 代表取締役 黒濱 武仁 氏 公益財団法人 食の安全・安心財団 臭気問題に対する氏の行政との対応についてその 理事長 唐木 英明 氏 背景と経緯について話されました。NHK大河ドラマ 食の安全と安心については「食の安全」 、 「食の安 と市長選に始まった臭気問題(悪臭防止法)に対す 心」、「食料の安定供給」に分類され講義されました。 る行政との取り組みと対応が時系列に述べられ、臭 「食の安全」については、過去の食品事故を基に科学 気問題の重要性について地形による臭気の考察、い 的な観点からの要因とその対応について解説されま くつかの脱臭対策に対する考察が述べられました。 した。「食の安全」と「食の安心」の関係について 体験談が当然法令順守を前提とするが、過度な行政 は、統計的な手法と人が意思決定を行うときに、暗 対応には環境省の法適用を参考にした対応も時には 黙のうちに用いている簡便な解法や法則(ヒューリ 必要との苦言も披露されました。県の農畜産課が調 スティック:直観的な判断)や記憶の誤りからの認 整役として動いてくれるのではとの塾生からのコメ 識上の偏り(認知バイアス)についてBSE問題を例 ントもあり、環境問題に対しての周辺住民、行政へ に説明がなされました。さらに、人の「危険情報」、 の対応への重要性を改めて認識させられた講座であ 「安全情報」に対する判断に至るプロセスを解り易く りました。 6 (山田) ベンチマーキングで立ち位置を知る 秋田県・㈲細川農興 細川 拓也 こんにちは。秋田県横手市で母豚規模150頭の農場 の農場よりも上にこんなにたくさんの農場があると で働いている㈲細川農興の細川拓也と申します。こ いう悔しい気持ちがモチベーションになり、この数 のたび動物衛生研究所様・JASV様で運営されている 字を変えようという気持ちになりました。 ベンチマーキングシステムPigInfoの2014年度の『母 それからは勉強会などがあれば積極的に参加して、 豚1頭当り離乳子豚数部門 第2位』 ・前年からの実績 新しい方法や技術、他農場の方がどのような方法で の上昇が著しい農場に授与される『JumpUp賞』とい 実績をだしているのかなどを伺ったりして、良いと う2つの賞をいただきました。これからも、このよう 思う方法があれば農場で実践をして自分の農場に合 な賞をいただけるよう精進して参りたいと思います。 っている方法なのか確認しました。それをやってい 今回はそんなベンチマーキングについての私の経 くだけで間違いなく数字は上がっていくと感じてい 験談を話してほしいということで豚事協の方から要 ます。 請がありました。私自身就農してから4年目とまだ そのほかにもPigInfoだと成績がグラフ化されてい まだ若輩者で大変僭越ではありますが、PigInfoを始 くので、回数を重ねていくごとに実績がどのように めてからどのような理由で農場の成績が変化してい 変化しているか、経時的な変化を知ることができ、 ったか、そのようなことを振り返るいい機会を頂い 経営判断の部分でも大きく役立つツールになってい たと思いお話をさせていただきます。 ると感じています。 私がPigInfoを知るきっかけになったのは当農場を ベンチマーキングに参加するようになって、私が 見ていただいているコンサルタントの先生からお話 取り組んだ交配関連の改善点は主に次の3点です。 を伺ったことが始まりでした。私は以前販売の仕事 第1に深部注入を採用しました。深部注入は1年半 をしていて従業員同士を競わせるために同じような ほど前から取り入れていますが、現在の交配方法は システムがあったので、養豚にもそのような媒体が 『直接交配・深部注入・深部注入』の3回交配です。 あると知って是非ともやるべきだと感じ、申し込み 最初の直交は雄豚が沢山いるため、勿体ないので発 をしました。 情確認の目的で交配しているだけで、実質的な効果 PigInfoのいいところはやはり自農場の業界での現 は小さいと思っています。近い将来直交はやめます。 在の立ち位置を知ることができるという点が1番に 第2に発情確認後の初交配を遅らせたことです。当 挙げられると思います。PigInfoの場合全体の計算方 初は、発情が来たらすぐに交配していましたが、今 法を統一し集計していることもあり、本当の意味で は発情を確認してからほぼ1日経過してから交配を 他農場の実績と自農場の実績の比較検討ができます。 開始しています。これが適期の交配になっていると 私の農場ではPigInfo参加当時離乳頭数が10.2頭く 思います。3番目の改善点は、妊娠鑑定器を購入し らいだったと記憶していますが、その数字が良いの 受胎を確認していることです。これにより不受胎豚 か悪いのかわからないため、改善しなければならな の確認が早くなり、同時に精度が高くなったことで い数字なのか把握できないという状態で仕事をして 年間母豚回転数の改善に繋がりました。 いました。ただ、最初にベンチマークの解析結果が 今回、私が今までベンチマーキングに参加して感 送られてきた時、軒並み順位が悪く面白くないので、 じることは、もっと参加者が増えればいいなという 棚に冊子をしまったのを覚えています。しかし、2 ことです。これを読んで新しく参加してみようかな 回目、3回目と解析結果が送られてくるうちに自分 と思う方が1人でもいればとても嬉しいです。 ▼▼▼ ホームページ http://tonjikyo.or.jp ▼ ▼ ▼ E-mail [email protected] 7 ▼▼▼ http://tonjikyo.or.jp ホームページ ▼▼▼ [email protected] E-mail 養豚場の汚水処理 第4回(最終回) 汚水処理施設の維持管理 グリーン&ウォーター株式会社 取締役水処理事業部技術担当 横井 星二 養豚場の汚水は汚濁(BOD)濃度としては大変高 を把握しておくことは大切です。トラブルで多くみ 濃度で、その総負荷量は生活排水の負荷量に匹敵す られるのが、BOD負荷量を把握しておらず、汚水処 ること、他の排水に比べて窒素も高濃度に含有して 理施設の処理能力以上の負荷を受け入れざるを得な いるという特徴があると前回お話ししました。その くなる所謂“過負荷”が原因の場合です。水量が多 汚水処理施設の維持管理についてお話します。 い・少ない、濃度が濃い・薄いという定性で把握す るのではなく水量と濃度から定量的に豚舎から排出 BOD負荷量の把握 される適正なBOD負荷量(BOD濃度mg / L×汚水 活性汚泥法の浄化の原理をまとめてみると、図1 量m3 /日)を把握することは重要なポイントです。 のようになります。 汚水が活性汚泥処理施設に流入するまでに、餌カ 活性汚泥量の管理 ス等の固形物を取り除き汚濁負荷(BOD負荷)の低 BODを酸化分解する活性汚泥量の管理は重要で 減を図るのが一次処理(前処理)に当たります。こ す。活性汚泥量は通常濃度で管理し、MLSS(Mixed の一次処理で流入前のBOD負荷を安定させておくこ Liquor Suspended Solids、単位はmg / L)で表しま とは重要なポイントです。一次処理でBOD負荷量を す。 安定させるためにも、日々豚舎から発生する負荷量 活性汚泥中のバクテリアは供給される酸素を利用 して流入するBODを水や炭酸ガスに分解し且つ自身 �� � の増殖を行います。流入BOD量に対し活性汚泥が過 ���� 不足なく存在すれば良いことになります。連続式活 ����� ���� 性汚泥法では、運転MLSS濃度は3,000 ∼ 5,000mg / ������������� ������������ Lが適正と言われることが多いようですが、弊社の複 ������� 合ラグーンシステムでは7,000mg / L前後が適正とし �� � �������� ています。その処理施設に合った適正MLSS濃度に維 ���� ������������� ������� ��������� ������ 持管理することが大切です。また、水温の高い夏場 は活性汚泥自身の浄化能力も上がりますので、MLSS ������ ����� は低めに、水温の下がる冬場は活性汚泥の能力が低 ����������� くなりますので、MLSSは高めでの運転管理が必要に なります。MLSSは日々発生する余剰汚泥の処理を行 �� � わなければ増加していきますので、冬場に向かう時 図1 浄化の原理 8 期では、冬場に維持するMLSS濃度をあらかじめ決め �������������� ておきそれに合わせた余剰汚泥処理が必要です。ま ������ た、逆に夏場に向けては、余剰汚泥処理量を増やし ��� つつMLSSを低めに抑えるような調整も必要です。 ��������������� 曝気の調整 浄化とは、活性汚泥が流入するBODを供給された ����� ��� ����� ��� �� �������� 酸素を消費して酸化することを意味しますが、活性 ���� ��� �� ������������� 汚泥自身も呼吸のため酸素を消費します。そのため、 � 汚水処理施設の曝気量計算は、BOD酸化に必要な酸 ������������ 素量と活性汚泥が呼吸に消費する酸素量の合算にな ります。このように流入するBOD負荷量や、活性汚 ���� 泥量によって必要酸素量は変わります。また、夏場 と冬場でも運転MLSS濃度を変えることもあります。 ����� ��� �������� ��� �� ���� ���� ��� �� ������ さらに、夏場と冬場では水温も違い、溶解する酸素 量も変化します。(水温が低いほど溶け込みやすい。) �������� このように必要酸素量を得るための曝気量はその ������ 時々において一律ではありませんので処理の安定化 図2 生物学的脱窒素処理の原理 のためには曝気量の調整は大切です。そのためには、 曝気機器は複数台とし台数制御が可能であるとか、 が存在する好気条件下でアンモニアを亜硝酸(NO2) 、 インバーター制御で風量のコントロールを行う等の 硝酸(NO3)に変化させます。亜硝酸(NO2) 、硝酸 工夫は必要になります。また、 DO計 (溶存酸素濃度計) (NO3)に変化した後、酸素が存在しない嫌気条件下 やORP計(酸化還元電位計、物質の酸化度合を計測) で亜硝酸(NO2)、硝酸(NO3)に結合している酸素 で状況を確認し曝気の調整を行う事も有効です。こ (O2)を自身の呼吸に消費するバクテリアもまた活性 のように、流入するBOD負荷量と活性汚泥量に対し 汚泥の中には存在(脱窒菌)します。亜硝酸(NO2) て過不足の無い曝気の調整を行う事が、汚水処理施 硝酸(NO3)から酸素を消費してしまうと残るのは 設のBODの浄化機能を安定的に維持するための重要 窒素ガス(N2)で大気中に放出されて一連の窒素処 なポイントとなります。 理が終了します。これが、生物学的脱窒素処理です。 窒素の処理は、好気条件下でアンモニア(NH4)を 生物学的脱窒素処理 亜硝酸(NO2)硝酸(NO3)に変化させ、嫌気条件下 BOD負荷量の把握とそれに対する活性汚泥量の管 で窒素ガス(N2)にするものですからこの好気条件/ 理及び曝気(酸素量)の調整の管理が重要ですが、 嫌気条件のメリハリを如何に作りそれぞれの役割を 養豚排水は窒素も高濃度に含有しているという特徴 果たすバクテリアを働かせるかが重要なポイントに がありますので、窒素の処理も重要なポイントです。 なります。連続式活性汚泥法、回分式活性汚泥法と 窒素の処理の原理は図2のようになります。窒素分 方式の違いで、窒素の処理については其々管理する は、糞尿中に尿素・未硝化タンパク質などの形で排 ポイントが違ってきますので、窒素処理の原理をよ 泄され、バクテリアや酵素の働きで大部分がアンモ く理解しそれぞれ方法に合った管理をしていただけ ニアに変化します。アンモニア(NH4)は高濃度に存 ればと思います。水質の規制で現在暫定基準が適用 在すると活性汚泥の働きを阻害することもあります。 されている硝酸態窒素について、近い将来暫定基準 ただ、活性汚泥の中にはこのアンモニア(NH4)を好 は除外されると思いますので、窒素の処理について んで酸化するバクテリアも存在し(硝化細菌)、酸素 は十分検討されることが必要かと思います。 ▼▼▼ ホームページ http://tonjikyo.or.jp ▼ ▼ ▼ E-mail [email protected] 9 ▼▼▼ http://tonjikyo.or.jp ホームページ ▼▼▼ [email protected] E-mail ≪胃≫ �� ���� 食べ物は胃に放出される塩酸や酵素の活躍で分解 され、お粥状にされます。分解された栄養分は小腸 で吸収されます。 繊維は消化するのは大変なので胃壁を丈夫にして くれると言われます。でも胃にとって繊維がどれだ け必要なのか、本当に必要なのかはわかっておりま せん。 胃袋(ガツ)のモツ煮込みは美味しいですね。根 菜類や大蒜、蒟蒻と一緒に4∼5時間かけてゆっく り煮込んで軟らかくしたものは、お酒のつまみに絶 品です。 ��������������� ● ● ● 豚 事 協 の 年 間 行 事 ● ● ● * * * 理 事 会 第 第 第 第 第 1 2 3 4 5 回 回 回 回 回 平成27年1月23日(金)(東京) 平成27年2月20日(金)(東京) 平成27年4月24日(金)(東京) 平成27年7月24日(金)(東京) 平成27年10月23日(金)(東京) 支 部 会 中 北 関 東 中 九 沖 部 支 海 道 支 東 支 北 支 四 国 支 州 支 縄 支 部 部 部 部 部 部 部 平成27年5月22日(金) (名古屋) 平成27年7月3日(金)(札幌) 平成27年7月17日(金) (東京) 平成27年8月21日(金) (盛岡) 平成27年9月11日(金) (松山) 平成27年10月9日(金)(熊本) 平成27年11月20日(金) (那覇) 女 性 部 第7回女性部セミナー 平成27年8月29日(土)∼30日(日) そ の 他 若手経営者育成塾第二講座 若手経営者育成塾第三講座 海外視察研修 編 集 後 記 平成27年3月3日(火)∼4日(水) (横浜) 平成27年6月2日(火)∼3日(水) (東京) 未定 ※青字は平成27年7月1日以降の行事となります。都合によっては変更・中止となる可 能性もありますこと、ご了承下さい。 10 ●2014年1年間のベンチマークデータの 集計結果を基に好成績を収めた農場を表 彰する“JASVベンチマーキングセミナー 2015”に出席しました。 主要5部門一位の成績は、母豚1頭当 たり粗利益部門では744,489円、同出荷 枝肉重量部門では2,287.9kg、同離乳子 豚数部門では29.99頭、農場枝肉FCR部門 では4.13、離乳後事故率部門では1.55% というもの。なんとも素晴らしい成績で す。全ての部門に於いて前年度の成績よ り向上していると思ったのですが、比較 してみると母豚1頭当たり離乳子豚数部 門、農場枝肉FCR部門、離乳後事故率部 門では若干のマイナスでした。PEDが大 きく影響していると思われます。しかし ながら、母豚1頭当たり粗利益部門では 168,840円ものプラス、同出荷枝肉重量 部門では85.7kgものプラスと大躍進です。 2014年はPEDが入ってしまったか否かによっ て明暗が分かれた年でもありましたが、 高豚価も影響し、PEDが入らなかった農 場にとってはかなり余裕のある年になっ たのではないでしょうか。 PEDは個人だけでは防ぎようがないほ ど猛威を振るいました。まだまだ油断で きない状況です。改めて地域防疫の重要 性を思い知らされた年でもありました。 ●過日ご案内の通り、豚事協Face Book を始めました!“日本養豚事業協同組合 ファンページ”は組合員・非組合員にか かわらず、誰でもご利用頂けます。セミ ナー案内等を始め、いろいろな情報を豚 事協より発信いたします。“豚事協のペー ジ”は組合員専用のページです。お友達 になっていただければ、おすすめ商品、 価格変更、セミナー内容など組合員にの み発信する情報をお届けいたします。ま た組合員同士の交流も可能です。お友達 になるにはまず組合員、従業員、ご家族 等の確認を取らせていただきますことご 了承ください。是非多くの組合員関係者 のみなさん、お友達になって下さい! 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