感情反応にもたらす音楽の効果と関連

感情反応にもたらす音楽の効果と関連
Effect and relation of music to emotional response
縄田 友香
キーワード:感情価, 悲しさ, 懐かしさ, 悲しい気分, Mood management theory
を求める場合の音楽が、聞いたこともない音楽であ
ることは考えにくい。これらの点をさらに詳しく検
討していくことが、今後の音楽心理学の課題である
と思う。
問題
1 音楽心理学
1.1 音楽心理学
音楽を聴いて、気分が変化することは、多くの人
が経験することであり、調、和声、リズム、音の高
さなどさまざまな音楽の性質によって異なった気分
が生じる(Bruner,1990)
。しかし、それらの音楽的
性質だけでなく、パーソナリティや音楽の好みなど
の個人的特性、音楽を聴く際の個人の心理状態、さ
らに音楽の感情的性格なども、気分に影響する大き
な要因である(谷口、1996)とされている。
2 気分の調整
2.1 Mood management theory
Mood management theory(Zillmann,1988)とは、
人は気分の均衡を保つために、内的及び外的刺激に
よって気分の調節を行なう、という理論である。そ
れは快楽原理に基づき、人は不快な気分を最小限に
し、快の気分を最大限にしようとする傾向がある。
3 懐かしさ
3.1 懐かしさの定義
過去に見たり聞いたりしたものに対して、人は
「懐かしい」と感じる。特に「懐かしさ」は過去の
ものや行為に対する好意的な感情(Holbrook,1993)
であるともいわれている。本研究において、過去の
経験や思い出によって生じる「懐かしさ」とは、そ
の経験や思い出にポジティブなイメージを想起さ
せる場合に起こる感情を指すものとする。
1.2 音楽の感情価
音楽の感情的性格は、感情価(affective value)
によって示される。感情価とは、ある作品がどのよ
うな感情的性格を、どの程度持っているのか、すな
わち感情的性格の質と量を表すものである
(Hevner,1936)
。音楽の性質には、調、和声、リズ
ム、音の高さなど様々な要素があり、それによって
異なった気分が生じる(Bruner,1990)
。音楽の感情
価は、聴取者がどのようにその音楽を認知したかと
いう評定値であり、音楽作品によって生じた気分と
は区別すべきであると考えられている(中村、1983;
谷口、1995)
。
3.2 懐かしさの効果
「懐かしさ」は、単に過去の出来事を見聞きした
時に生じる感情ではなく、記憶や気分に影響を及ぼ
すとされている。
「懐かしさ」を強く感じた時には、
気分がポジティブであり、内容に対してはポジティ
ブな評価をすること(多田、1998)も明らかにされ
ている。
1.3 音楽心理学の問題点
音楽の思考については、文化差やパーソナリティ、
聴取する場面や聴取時の個人の心理状態なども影響
を及ぼすことが示されている。しかし、個人の心理
状態によって、音楽の選択がどのように異なるかの
研究は多くない。またこれまで、音楽心理学におけ
る研究の多くで検討対象とされた音楽は、実験参加
者が聴いたことのない新奇な音楽であった。日頃音
楽を聴くとき、ましてや悲しみの緩和やリラックス
4. 悲しい音楽が感情反応にもたらす効果
4.1 ある心理状態における音楽の聴取
Konecni,Crozier&Doob(1976)によると、心理状
態が異なると、選択して聴く音楽も異なることが示
されており、また個人の心理状態に近い音楽を好む
1
6 悲しい気分で聴く音楽
6.1 音楽の種類によって、それぞれの感情反応
が生起することや(谷口、1991)
、覚醒的な音楽よ
り鎮静的な音楽はリラクゼージョンを高める効果
がある(諸木、岩永、1996)、というように、音楽
の感情価が感情反応に影響を及ぼすことが示され
ている(岩永、1999)
。このことから、主に音楽の
感情価や好みといった音楽に対する態度が感情喚
起の要因であるとされてきた。
Mood management theory によると、人は気分の
均衡を保つために、気分の調整を行っているとして
いる。つまり、悲しみの感情が高まっている被験者
が求める音楽は、被験者にとってポジティブな作用
をもたらす感情価を持つ音楽であると考えられる。
という研究結果も示されている。Gibson,
Aust,Hoffman& Zillmann(1995)は、10 代の青年を対
象に音楽の選択を調べ、その結果、恋愛において幸
せな状態では、恋愛を讃える音楽を好み、恋愛にお
いて幸せでない状態では、恋愛を嘆く音楽を好むこ
とが分かっている。
4.2 悲しい音楽の効果
松本(2002)は、非常に悲しい場合に、悲しい音
楽を聴くと、悲しみが低下することを示しており、
悲しみが強い時には、悲しい音楽を好むという傾向
を確かめている。このことは、悲しみが強い時に、
悲しい気分を低下させるという利点を表しており、
Mood Management Theory に 矛 盾 し な い 。 Arnett
(1991;1995)も、激しい性質の音楽を聞く前の気
分は、怒りなどの不快な気分を生じているときが多
いことを報告しており、音楽を聞いた後は、怒りを
発散させていたり、和らいだ気分になっていたりす
るということも述べている。悲しい音楽に関しても
同様のことが考えられ、もとに生じていた悲しい気
分を浄化させている可能性がある。
ただし、悲しみが弱いときは、気分を和らげるた
めに明るい音楽を好む傾向があるとされている(松
本、2002)
。
7 本研究の目的
7.1 非常に悲しいときに聴く聴取曲の効果
人が非常に悲しい気分の状態であるときに、聴取
する音楽の種類によって、悲しみにどのような効果
があるのかを検討する。
7.2 非常に悲しいときに求める音楽の感情価
人が非常に悲しい気分の状態であるときに、ポジ
ティブな作用を求める音楽の感情価について検討
する。
5 懐かしい音楽が感情反応にもたらす効果
5.1 意味ネットワーク活性化拡散モデル
ある概念が処理されているときには、それと結び
ついているほかの概念も活性されるという理論であ
り、それより先に活性化されている概念を処理する
ときにおいては、処理にかかる負担が減少すると考
えられている。
このモデルに基づくと、気分と一致する情報は、
その気分に関する活性化された他の要素と結びつく。
ネットワークの中には感情の調子を表す node(節)
があり、そのような node と密接に結びついた記憶な
どがあると仮定されるのである。ある気分を経験す
るときには、関連する過去経験の記憶が活発になり、
同時にそれと node が結びついている記憶のネット
ワークも活性化するとしている。
5.2 懐かしい音楽の効果
小林(2002)は、音楽を聴いて感じる懐かしさは、
音楽の好みよりも、感情反応へ影響し、ポジティブ
な感情を生起させることを示している。
2
7.3 懐かしさの感情がつながるしくみ
今回被験者を悲しい気分に誘導させるために用
いる「火垂るの墓」という映画は、多くの学生が子
供の頃に観た映画である。この映画を観ることによ
り、悲しい気分が誘導されると同時に、子供の頃に
観たという記憶と、
「懐かしさ」の node が結びつく
とする。
そして、そのあと懐かしい曲として選んだ曲も、
「火垂るの墓」と同様のジブリ作品で用いられた曲
である。ジブリ作品の曲を聞くことによって、更に
被験者の「懐かしさ」の node と、それにまつわる
記憶のネットワークが活性化するのではないかと
考える。ジブリ作品を観ることで「懐かしさ」の概
念が生まれ、その後ジブリ作品を聴くことで、
「懐
かしさ」の概念が活性化するのではないだろうか。
7.4 本研究における仮説
①悲しみが強い時に、悲しい音楽を聴くと明る
い音楽を聴くより、悲しみが低下する。
②悲しみが強いときに、懐かしくて悲しい音楽を
聴くと、悲しい音楽を聴くより、悲しみが低下
する。
③懐かしい音楽を聴いたときに、自伝的記憶の想
起量がポジティブまたは鮮明であると、より悲
しみが低下する。
④悲しみが弱いときよりも、悲しみが強いときの
方が、音楽の好みや感情価は個人の気分調整に
影響を及ぼす。
実験計画:実験の目的は、聴取する音楽の性質であ
り、初聴取で悲しい音楽を聴く群をFS群、初聴取で
明るい音楽を聴く群をFB群、懐かしく悲しい音楽を
聞く郡をNS群、懐かしく明るい音楽を聴く群をNB群
とした。各被験者数はFS群 12 人、FB群 18 人、NS
群 13 人、NB群 14 人であった。
悲しみの操作:悲しい気分を誘導するために、映画
「火垂るの墓」を使用し、14 分間観賞して貰った。
音楽:NS群:天空の城ラピュタのテーマ曲、NB群:
となりのトトロのテーマ曲、FN群:Erik Satieのピ
アノ作品集(Roge,1983)よりGnossienne No.3、FB
群:DoorsよりEasy Rideをそれぞれ聴取してもらい、
時間は4分前後であった。
方法
1 質問項目
質問紙①
好きな音楽の性質:井上・小林(1985)
、岩下(1972)
から選んだ 10 対の形容詞対を使用し、5 件法のSD
法を用いた。
手続き: 実験は各群集団で行った。質問紙①に回
答してもらった後、悲しみの操作、音楽聴取、質問
紙②を順に行った。実験全体の所要時間は約 20 分
であった。
結果
質問紙②
聴取後の気分:寺崎・岸本・古賀(1992)の多面的
感情状態尺度(Multiple Mood Scale:MMS)を参考に
作成した。
1 音楽聴取後の気分
感情測定尺度 10 項目について、因子分析(主因
法、プロマックス回転)を行った結果、2 因子を抽
出した。第一因子を「悲しみ」
(α=0.83)と命名
し、第二因子を「快適性」
(α=0.78)と命名した。
聴取曲によって想起される思い出:曲を聞いたこと
によって思い出された過去の経験や出来事が、鮮明
であるか、またその思い出がポジティブなものかど
うかを測定するために、独自に質問項目を作り、そ
れを用いた。
2 悲しい音楽の効果
「悲しみ」因子において「聴取曲」の明るい音楽
群・悲しい音楽群で T 検定を行った結果、有意な差
は見られなかった(t=1.347 df=55 p<.05)
。
「快適性」因子において「聴取曲」の明るい音楽
群・悲しい音楽群で T 検定を行った結果、有意な差
が見られた(t=2.631 df=55 p<.05)。仮説①とは
逆の結果となった。
音楽と生活の密着度:被験者が日常生活において、
どのくらい音楽と接しているかを測定するために、
独自に質問項目を作り、それを用いた。
悲しみを和らげる効果があると思う音楽の性質:
井上・小林(1985)
、岩下(1972)から選んだ 10 対
の形容詞対を使用し、5 件法のSD法を用いた。
3 懐かしい音楽の効果
「悲しみ」因子・
「快適性」因子において、
「聴取
曲」の懐かしい音楽群・初めて聴く音楽群でそれぞ
れにおいて T 検定を行った結果、有意な差は見られ
なかった(悲しみ:t=0.04 df=55 p<.05 快適性:
t=0.02 df=55 p<.05)
。仮説②は支持されなかった。
フェース項目:性別・学年・学部・音楽経験の有無
2 実験の概要
被験者:関西大学の学生 57 名(男性 19 名、女性 38
名)を対象に実験を行なった。
3
が平常に戻ってしまう危険性を回避するためだ。
しかし、その質問を飛ばしたことにより、映画を
鑑賞した後、被験者それぞれが、どれくらい悲し
みを感じていたのを、計ることができなかった。
映画を鑑賞した後の悲しみの度合いででも、群を
分ける必要があったと思われる。今後の課題とし
ては、映画鑑賞後と音楽聴取後の気分変化を明快
にデータ化することであると思うが、質問紙だけ
ではなく、心拍数や血圧などの生理反応で、感情
反応を計ることが望ましい。
4 思い出の想起量
懐かしい音楽を聴取した被験者に対し、
「悲しみ」
因子・
「快適性」因子において、自伝的記憶のポジテ
ィブ群・ネガティブ群の T 検定を行った結果、有意
な差は見られなかった(悲しみ:t=-0.33 df=30
p<.05 快適性:t=-1.41 df=30 p<.05)
。仮説③は
支持されなかった。
5 音楽の好みと感情価
「悲しみを和らげる効果があると思う曲」につい
て、
「聴取後の快適性」と「好きな曲」で分散分析を
行った結果、「好きな曲」において主効果が見られ
(F(13.71)=0.001,p<.01)
、
「聴取後の快適性」と「好
きな曲」との間に交互作用が見られた
(F(7.674)=0.008,p<.01)
。仮説④は支持された。
仮説②③について
悲しい気分を和らげる効果において、
「懐かしい
音楽」と「初めて聴く音楽」の間に有意な差は見
られなかった。また想起された思い出が、ポジテ
ィブな人と、ネガティブな人との間にも有意な差
は見られなかった。
想起された思い出がポジティブかネガティブか、
ということと、想起された思い出によって、被験
者自身の気分がどのように変化しているかを測定
できなかった、ということ問題点である。思い出
事態の判定に加え、その時の被験者の気分の状態
も測定する必要がある。それには仮説①の結果に
対する課題でも明記したように、生理反応の測定
をする必要があると思われる。なぜなら、「懐かし
い音楽」を聴いている最中に、被験者にどのような
身体的変化が起こっているか。さらにそれに伴う
感情の変化なども測定する必要があるからだ。ま
た、今回被験者が思い出した経験について、ポジ
ティブかネガティブかを判定する質問紙の内容は、
客観的な評価であるものが多かった。思い出が楽
しい経験であったり、友人と語りあえたりするも
のでは決してないが、主観的には「良い思い出」
となりうる場合もある。
「懐かしさ」がもたらすポ
ジティブな感情反応を測定するためには、主観的
な評価を、より重点的に測る必要がある。
また悲しい気分の時に音楽を聞く状況とは、ま
るで異なる実験室の中で、個人的な過去の体験を
想起させる「懐かしさ」が、どれほど強く被験者
に影響を及ぼしたのかも、定かではない。このよ
うな、感情反応を測定する実験は、小さな部屋で
少人数、もしくは一人ずつ行うことが望ましいと
考えられる。また、本研究で使用した音楽が、ア
ニメソングであったため、思い出に対する評価に、
ポジティブ・ネガティブ間の差が出にくかったこ
とも、結果が出なかった原因のひとつである。
考察
仮説①について
本研究において、悲しい音楽が、悲しい気分に
どのような影響を及ぼすか検討した結果、悲しい
気分のときに、悲しい音楽を聴くと、快適性が低
下し、明るい音楽を聴くと、より快適性が増すと
いう結果が得られ、仮説とは逆の結果になった。
その理由として、まず悲しみの度合いが弱かった
ことが考えられる。松本(2002)によると、やや
悲しい場合に悲しい音楽を聴くと、悲しみは低下
しないことが分かっているし、さらに、悲しみが
生じていない場合に関しては、悲しい音楽を聴く
と、悲しい気分が生じることが明らかになってい
る。本研究においては、映画を鑑賞した直後の気
分を評定せずに、すぐさま音楽の聴取を行った。
気分評定のための質問紙に回答をする時間を設け
ることによって、映画を鑑賞した後に生じた気分
4
全体的考察
仮説④について
「悲しい気分を和らげる効果があると思う曲」につ
いて、音楽を聴取した後の「快適性」と、被験者の
「好きな曲」で分散分析を行った結果、音楽聴取後
に「快適性」を強く感じている人には、
「悲しい気分
を和らげる効果があると思う曲」と「好きな曲」の
間に関係性はなかったが、音楽聴取後に「快適性」
を感じていない人には、「好きな曲が悲しい音楽の
人」は「悲しい気分を和らげる効果があると思う曲」
に”悲しい音楽”を選び、
「好きな曲が明るい音楽」
の人は「悲しい気分を和らげる効果があると思う曲」
には「明るい音楽」を選んだことが分かった。
被験者の気分
快適
快適でない
好きな曲
明るい音楽
悲しい音楽
明るい音楽
悲しい音楽
本研究では、悲しい気分の時に聞く音楽が、感情
反応にどのように影響するかを、実験的に検討し
た。その結果、悲しい音楽は、
「快適性」を低下さ
せ、明るい音楽は「快適性」が生じるということ
がわかった。しかし、快適でないと感じていると
き、人は気分調整のために、自分の好きな曲と同
じ感情価を持つ音楽を求める、ということもわか
り、
「悲しい音楽」が好きな人は、悲しみを和らげ
るために、
「悲しい音楽」を選ぶ傾向があるという
こともわかった。したがって、悲しい音楽を聴く
事は、Mood management theory に矛盾しない行動
であることもわかった。しかし、実際には、
「明るい音楽」を聴くほうが、
「快適性」は低下す
るのであるから、好きな曲と同じ感情価を持つ音
楽を聴くことが、気分調整にとって有効な手段で
あるとは断定できない。
また、
「懐かしさ」を感じると、悲しみが低下する、
という仮説は立証されなかったが、多くの研究で、
「懐かしさ」とはポジティブなイメージを伴う感
情であることが証明されているし、音楽を聴いて
感じる「懐かしさ」は、音楽の感情価や好みより
も、感情反応に影響を及ぼす、という先行研究も
ある。今後、
「懐かしさ」について、より主観的な
評定ができるように、質問紙を工夫し、また生理
反応も測定できる環境で、実験を行いたい。
悲しい気分を和
らげる効果があ
ると思う曲
ns
ns
明るい音楽
悲しい音楽
このことから、人は快適でないと感じているとき、
感情をポジティブにするために求める音楽は、自
分の「好きな曲」と同じ感情価を持つ音楽である
ことが分かった。
ここで注目すべき点は、仮説①の検証において、
悲しい音楽を聴くと快適でなくなり、明るい音楽
を聴くと快適になった、という結果を得たにもか
かわらず、実際に悲しい気分になった被験者が、
気分調整のために求めた音楽の感情価は、被験者
自身の好みの感情価をもつ音楽であったというこ
とである。仮説①の結果通りに考えると、明るい
音楽に「快適性」を和らげる効果があるはずだが、
悲しい気分の状態では、それよりも、自分の好み
の曲を重視するということが分かった。このこと
から、
「実際に悲しい気分を和らげる効果のある音
楽」と、
「悲しい気分の時に気分を和らげる効果が
あると思う曲」に対する認識には差がある、とい
うことが分かる。この点については、今後の検討
する必要がある。ある曲を好きになる、という個
人的な経緯は様々で、過去の経験や文化的背景も
要因となってくるだろう。
今後の課題としては、第 1 に、音楽聴取中の気分
変化を明らかにすることである。聴取中の気分変
化を見ることによって、音楽からの影響を更に詳
しく知ることが出来る。それを測るためにも、生
理反応を測定できる環境を整えることが不可欠で
あると思う。第 2 に、音楽を聴く環境を整えるこ
とである。出来れば集団実験ではなく、一人での
実験が出来るようになることが望ましい。また、
気分によって、音楽の認知に差異があるかもしれ
ない。気分が異なっても、同じ感情価で認知でき
ているかどうかも明らかではない。これについて
も、今後検討する必要がある。
5
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[転載・引用をご希望の場合は必ず事前に下記までご連絡ください。]
著作責任者: 土田昭司[関西大学]
連絡先: [email protected]
最終更新日: 2006 年 3 月 19 日
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