音楽プレイヤーの仕組み I05I002 天野紗矢佳 澤見研究室 I05I059 冨山由紀子 1 はじめに I05I091 光成絵美 できる. 近年ではマルチメディアの利用は著しく,そ CUI:キャラクターユーザーインターフェース の中でも,今や音楽はとても身近なものにな GUI:グラフィカルユーザーインターフェース っている.また,インターネットの普及により, PC で音楽を楽しむ人も多くなった.では,音楽 本研究では GUI を使用しアプリケーション を製作している. プレイヤーはどのように動いているのであろ うか.本研究では Visual Basic (今回はバージ 3.2 プラグイン ョン 6.0 を使用)を用いて音楽プレイヤーのア 特定のアプリケーション用の追加機能モジ プリケーションを作成することを通して,音 ュールのことを示す.初期導入時にはインス 楽プレイヤーの仕組みを調べた. トールされておらず,後で追加インストール され拡張機能を提供するためのソフトウェア 2 音楽プレイヤーについて である. コンピュータ上で音声ファイルを再生する 例としては,アプリケーションのバージョン ためのアプリケーションソフトウェアのこと アップ,スキン(外観のカスタマイズ)視覚エ で,複数のファイルフォーマットの再生に対 フェクトの追加などがある. 応している.使用方法はまず音楽ファイルの 再生が上げられるが、それ以外の機能を付属 4 ファイルフォーマットについて しているものが多い.また,プラグインをダウ ファイルの保存形式のことである.保存する ンロードすることにより操作性の幅を広げて データの種類にあわせて様々なファイルフォ いるものもある. ーマットが存在する.ファイルフォーマットに は大きく分けて無圧縮,可逆圧縮,非可逆圧縮 代表的なもの:iTunes, QuickTime Player, の三つがある. Windows Media Player など 通常のCD音源データは無圧縮の wav ファ イルを用いており,録音時とほぼ同等の音質で 3 ユーザーインタフェースとプラグイン 再生できる. 各種情報を表示するための機能とデータを Mid ファイル等の可逆圧縮は,データを全く アップデートさせるための機能でもあるユー 損なわず復元でき,再び元の状態に戻せる.テ ザーインタフェースとプラグインについて説 キストデータやプログラムのソースコード等 明する. 多少の劣化が生じても問題がないものはこの 方式が用いられる. 3.1 ユーザーインターフェース mp3 ファイル等の非可逆圧縮では,人間の聴 ユーザーインターフェース (UI)とは,コンピ 覚では聞き取りにくい周波数の音を削り,デー ュータシステム,あるいはコンピュータプロ タ量を削減するデータ圧縮をしている. グラムと人間(ユーザー)との間で情報をやり 図 1 は wav ファイルと mp3 ファイルの波形を 取りするための方法,操作,表示といった仕組 比較したもので,右下の赤く囲った部分が削ら みの総称で,大きく次の 2 種類に分けることが れた箇所である. D-1 5.1 再生機能構成部 ユーザーが操作可能な操作手段の入力部,音 声を出力する出力部,音楽データを記憶保持す る楽曲データ記憶部,音楽データを読み込み所 定形式の電気信号に変換して伝達させる再生 部,特徴計算機能構成部から受け取った特徴量 空間を記憶保持する特徴量空間記憶部,特徴量 空間を参照して楽曲スコアを算出しプレイリ ストを生成するプレイリスト生成部,各構成部 を制御して音楽再生に必要な情報処理を実行 する制御部を備えている. 5.2 特徴計算機能構成部 特徴量計算構成部は,楽曲データ記憶部に記 図 1 波形の比較 憶された各楽曲から特徴量(パワー情報,音色 また,各フォーマットには,それぞれに応じ 情報,ビート情報)を抽出し,特徴量空間(特徴 たデバイスタイプが存在する.例を挙げる 量の総合データ)を生成する特徴量生成部を備 と,Wav ファイルは WaveAudio,mid ファイルは えている. Sequencer,mp3 と wma は MPEGVideo といったデ バイスタイプとして再生することができる. 6 Visual Basic プログラムの作成方法 今回設定したデバイスタイプは上に挙げた VB では,フォームと呼ばれるオブジェクトに, ものを設定した. 必要な機能に応じたコントロールと呼ばれる パーツを配置し,そのパーツに対する処理を組 5 音楽再生システム み合わせていくことで一つのソフトを作成す 音楽再生システムは楽曲の再生,及びプレイ る.また,各オブジェクトに付随する処理のこ リストの生成を行う『再生機能構成部』と各楽 とをプロシージャと呼び,プロシージャを階層 曲の特徴量を計算して記録する『特徴計算機能 的に組み合わせ必要な機能を実現させる. 構成部』から成る.双方の間で,音楽データや特 徴微量空間等のデータのやり取りが行われる と考える. 図 3 アプリケーションプログラムの構造化 プログラミング 図2 音楽再生システム D-2 6.1 プロジェクトの構成要素 プロジェクトとは,モジュールやフォームな どの集まりで,一つのソフトを実行するのに必 要なオブジェクトやプログラムコードなど,各 種ファイルをまとめてプロジェクトと呼ぶ. モジュールとは,まとまった機能を実現する ためのオブジェクトやプログラムコードの集 まりで,一つ一つのファイルのことを示す. コントロールには,フォーム上に配置される 部品で,標準コントロールと ActiveX コントロ ールがある. 図 5 フォームウインドウ プロパティとは,オブジェクトの特徴を示す マルチメディアファイルからの再生と CD を 固有の情報で,設定するにはプロパティウィン 読み込んで再生する 2 通りの機能を実現した. ドウを使用する. メソッドとは,オブジェクトが実行できる処 7.1 完成フォームに使用したコントロール 理で,アプリケーションプログラムの実行時に フォーム上にどのコントロールを使用し,ど オブジェクトに特定の処理を行わせる. のように作動させるのかを説明する. 7.1.1 コマンドボタン ここで使用しているコマンドボタンは、マル チメディアファイルの再生,CD 演奏,終了であ る.マルチメディアファイルの再生コマンドを クリックした時,マルチメディアファイルの再 生フォームが表示される.CD 演奏ボタンをク 図 4 プロジェクトの構成要素 リックした時,CD 演奏フォームが表示される. 終了ボタンをクリックした時,アプリケーショ 6.2 アプリケーションの作成手順 ン終了確認のウィンドウを表示させる. フォームウィンドウ上にボタンや文字など, オブジェクトをレイアウトする. 7.1.2 ドライブリストボックス オブジェクトの色や動作など特徴を設定し, ドライブを表示する.ここでは,情報処理装 オブジェクトが行う処理を記述する. 置の再生機能構成部にある制御部の一部とし プログラムの動作を確認し,誤りがあれば修 て考えた. 正する. 7.1.3 ディレクトリボックス 7 完成フォーム 最上階層のディレクトリが表示され,必要と レイアウトとプロパティの設定をしたもの するファイルがあるサブディレクトリまで選 がフォームウィンドウ(図 5)である. 択しつつ順にたどっていく. D-3 ここでは,情報処理装置の再生機能構成部に 視覚に関しては,作成したコントロールはす ある制御部の一部として考えた. べて機能している. 再生以外の機能は繰り返し,音量調節,ファ 7.1.4 ファイルリストボックス イルの選択のみになるため,音楽プレイヤーと 選択したディレクトリ内に格納されている して最低限の機能はついているものと考えら ファイルを表示する.ここでは,情報処理装置 れる.しかし Windows Media Player のように動 の再生機能構成部にある,プレイリストの生成 画や視覚エフェクト,プレイリスト,データの 部,特徴量空間記憶部,特徴計算機能構成部に 取り込みや書き込みなどの多彩な機能はない. ある特徴量空間生成部として大きく考えた. 9 まとめ 7.1.5 チェックボックス 本研究を通して,音楽プレイヤーの構成につい 項目をチェックさせるための部品で,ここで て学習できた.しかし音楽再生システムを難しく は,楽曲の繰り返しを行わせるために設置した. 考えすぎ,特徴量空間生成部をうまく作成でき なかった. 7.1.6 MCIコントロール Windows Media Player と比較してみて,まだ 音楽を再生する時に使用される.コマンドボ まだ付属機能の数が少ないことがわかった. タンで作成した場合,コード記述が長くなるの 今後の課題として,音楽プレイヤーに必要な で,複数の人がコードを見た時に,理解しやす プレイリストを作成する機能をつけ,最終的に いように工夫した. 動画など,視覚でも楽しめるような機能をつけ ることが挙げられる. 7.1.7 垂直スクロールバー ボリューム調節のために設置し実行させた 10 参献 時,デフォルトの音量を 50 に設定している. [1]『Visual Basic6.0 パーフェクトマスタ ー』 :青空研究会, 見有哲久, 株式会社秀和シ 7.1.8 ラベル ステム 文字を表示させるための部品で,ここではボ [2] J-STORE 科学技術振興機構研究成果展開 リュームの数値,CD 演奏の曲数とタイトルを 総合データベース 表示させる. http://jstore.jst.go.jp/ [3]IT 用語辞典, http://e-words.jp/ [4]Windows Media ホーム 8 一般的な音楽プレイヤーとの比較 http://www.microsoft.com/japan/windows/w 今回作成した音楽プレイヤーでは再生機能, 繰り返し機能,音量調節機能までを実現するこ indowsmedia/default.mspx とができた.完成度は,一般的な Windows Media [5]IT 用語辞典バイナリ BINARY Player を視覚と聴覚に関し,比較することに http://www.sophia-it.com/ よりチェックした. [6]SPEANA: リ ア ル タ イ ム ・ ア ナ ラ イ ザ ー 聴覚で確かめた限りでは,音質の変化は無く, (Windows3.1/画像&サウンド) 音飛びなども無いことから再生機能は同等と http://www.vector.co.jp/soft/win31/art/se 言える. 074351.html D-4
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