立命館大学研究部 2016 年 5 月 17 日 2015 年度採択 研究推進プログラム(科研費連動型)研究成果報告書 採択者 研究課題 所属機関・職名:情報理工学部・助教 氏名:山西 良典 印象を入力とした歌詞および音響特徴に基づく楽曲検索技術の開発 Ⅰ.研究計画の概要 平 成 27 年 度 科 学 研 究 費 助 成 事 業 - 科 研 費 - 申 請 時 の 研 究 計 画 に つ い て 、 概 要 を 記 入 し て く だ さ い 。 本研究の最終目標は、 「歌詞と音響の印象を入力として、利用者の感性に適合した楽曲を音楽データベースから検 索する音楽検索技術の実現」である。そのために、1)言語情報処理技術を適用した歌詞の特徴量化手法の開発、2) 歌詞および音響の特徴を用いた楽曲印象推定手法の開発を具体的な到達要件とする。そして、これらのモデルと技 術を組み合わせ、最終目標である 3)印象を入力とした歌詞および音響特徴に基づく音楽検索技術の開発を実現さ せる。これまでの音楽検索技術に関わる研究では、歌詞を伴う歌唱曲に対しても音響特徴のみに着目したものがほ とんどである。本研究課題では、歌詞の印象についての処理を取り入れることで、実際にヒトが楽曲を聴取する際 の感性に適合した楽曲検索技術の確立を図る。 印象を入力とした歌詞および音響特徴に基づく楽曲検索技術を開発するために、新しく歌詞の単語および表現の 特徴量化手法を開発する。また、 「歌詞」 「音響」 「歌詞および音響」をそれぞれ説明変数とした楽曲印象推定手法を 開発する。さらに、自然言語で表現された楽曲印象を入力とした歌詞および音響特徴に基づく楽曲検索技術を開発 する。 Ⅱ.研究成果の概要 研究成果について、概要を記入してください。 本研究の成果として,歌詞の表現特徴をモデル化して歌詞中の印象的なフレーズを自動的に抽出する手法につい て,国際論文誌に1件掲載した[1].また,本研究の検索クエリを印象語ではなくドライブ中のコンテキスト(風景, 車内会話)に発展させて,走行中の道路から見られる風景に合致した楽曲を歌詞の特徴量を参考にして楽曲データ ベースから検索する技術について,特許を出願した[2].本技術では,歌詞中で出現する風景語と歌詞中で風景語と 共起する頻度が高い風景関連語に基づいた楽曲検索を実現する.このとき,車内会話と音楽との音響的類似性も考 慮することで,よりドライブ中のコンテキストに適合した楽曲検索をねらっている.本技術の開発,特許出願につ いては,龍谷大学奥健太講師と共同で遂行した. また,歌詞中で頻繁に出現する漢字に対して特殊な読み方を充てる現象から発想を得て,近年の社会問題の1つ となっている「キラキラネーム」を自動的に判定するしくみを提案した.キラキラネームでは,漢字に対して特殊 な読み方を充てることが問題となっているが,歌詞では漢字の特殊な読みによって強い印象付けを行っている.今 後は,この漢字に対する特殊な読み方についても歌詞のモデル化に取り入れる. 本研究を発展させた研究計画「コンテキストに応じた歌詞検索のための感性理解エンジンの開発」は,2016 年度 の科研費若手(B)に採択された. [1]. R. Yamanishi, R. Kagita, Y. Nishihara and J. Fukumoto: Detecting Attractive Phrases from Musical Lyrics Focusing on Typical Expressions on Lyrics, International Journal of Affective Engineering, Vol. 14, No.3, pp.167-174, 2015. [2]. 山西,奥,川越,福本,西原,松村:楽曲推薦システム、コンピュータプログラム、及び方法,特願 2016-042077,2016 [3]. 山西,大泉,西原,福本: 人名の言語的特徴の分析に基づくキラキラネーム判定,日本感性工学会論文誌, Vol.15, No.1, pp.31-37, 2016. 1
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