化学工学概論Ⅱ 第1部 化学熱力学とは何か H28年 月 日(後期開講) 担当 森下政夫 大学院: 工学研究科化学工学専攻 学部: 化学工学コ-ス熱化学研究室 主要担当科目:物理化学Ⅰ、化学熱力学 、 熱化学Ⅰ(大学院) 主要担当研究テ-マ:熱力学諸量の測定、 状態図の熱力学計算、都市鉱山からの資源 の回収、使用済核燃料廃棄可否熱力学判定 基準の構築(国際機関委託) 課題1 トリチェリの真空実験を説明し、大気圧は 何ヘクトパスカルか解答せよ。 課題2 熱力学第1法則を一言で説明せよ。 課題3 298 Kにおいて、鉄1 molが塩酸と反応する とき、発生した水素ガス(H2)が、1 atm一定 の大気圧を押し戻すの仕事を計算せよ。 課題4 プロペンからプロパンが生成する標準反応 エンタルピー,𝜟𝒓 𝑯◦ ,を求めよ。 課題5 熱力学第2法則を一言で説明せよ。 課題6 カルノーサイクルにおいて、温度Thの高温 熱源から吸熱する熱量qh、と温度Tcの低温 熱源に発熱する熱量qcとの関係式を記せ。 課題7 ステンレス鋼 19.15mol%Crー5.4mol%Ni ー73.31mol%Feの配置のエントロピーを計 算せよ。 課題8 課題9 課題10 課題11 熱力学第3法則を一言で説明せよ。 絶対零度を一言で説明せよ。 第3法則エントロピーを式で表せ。 BaMoO4(cr)の標準生成エントロピー ° (∆𝐟 𝑆m )を計算せよ。 課題12 ステンレス鋼 19.2mol%Crー5.4mol%Niー 75.4mol%Feの1000 Kにおける混合のギブズエネル ギ-,∆mix G,が, -7.57 [kJ mol-1] となることを証 明せよ。ただし、混合のエンタルピー,∆mix H,は、 -1.85 [kJ mol-1] である。 ∆mix G = ∆mix H-T × ∆mix 𝑆 conf ideal ∆mix 𝑆 conf ideal は課題7の解答を用いよ。 課題13 水素エネルギー自動車に関連して、298 K において、水素の燃焼1モルあたり「何[V]」 の起電力得られるのか計算せよ。 化学工学コースのスタッフ 研究グルプ名称 無機機能材料工学 表面エネルギー化学 熱化学 高分子材料工学 粉粒体工学 教授 小舟 正文 八重 真治 森下 政夫 岸 肇 鈴木 道隆 准教授 菊池 丈幸 移動現象 環境化学プロセス 熱エネルギー工学 前田 光治 新船 幸二 山本 拓司 朝熊 裕介 流体計測 助教 福室 直樹 山本 宏明 松田 聡 飯村 健次 伊藤 和宏 柿部 剛史 佐藤根 大士 物理化学とは何か 「物理学の理論と物理的測定方法を化学 に導入して物質の構造,物性,反応の理論 的体系を構築する化学の一部門。」 物理化学の目標 「化学物質の性質あるいは化学現象につ いて精密な測定と理論的解析を行い,それ を通して化学の関連する現象を解明する 基礎概念を導き出すことにある。」 化学工学コ-ス 熱化学研究グループ http://www.eng.u-hyogo.ac.jp/group/group40/ 森下 政夫 山本 宏明 化学熱力学 化学熱力学 [email protected] [email protected] 化学熱力学の目標 「物理学の理論と精密測定を化学反応や化学平衡に適 用し、エネルギーが関連する基礎概念を導く。」 教育・研究の内容 エンタルピ-,エントロピ-およびギブズエネルギ-の精 密測定を行い, 「新エネルギ-開発、都市鉱山から資源 分離回収および環境保全」などの分野において、「エネ ルギー」が関連する基礎概念を導いています。 共同研究先(実績) 経済協力開発機構(OECD)パリ本部,カリフォルニア大学(米), モンタン大学(墺),京都大学,神戸製鋼所㈱,新日鉄住金㈱, サンアロイ工業㈱など 最近の進学先(過去数年間) 兵庫県立大学大学院,奈良先端科学技術大学大学院 最近の就職先(過去数年間) 神戸製鋼所㈱,日立金属㈱,日本金属工業㈱,大和工業㈱, 日亜鋼業㈱,ダイセル化学工業㈱,ダイハツ自動車工業㈱, NTN東洋ベアリング,三徳金属工業,住友精密工業㈱ 本研究グループの過去の卒業研究生 東北大学総長(元) 井上明久 先生 近畿大学教授 沖幸男 先生 神戸製鋼所高砂工場長 松本修 氏など 多数 人材輩出 力、 F、の定義 F = ma [N] m 質量 [kg] a 加速度 [m s-2] v 速度 [m s-1] 1 [N] = 1 [ kg m s-2] 仕事 = 力 ⨉ 距離 w=F ⨉ L 1 [J] = 1 [N m] 圧力、P、の定義 1 [Pa] =1 [N m-2] = 1 [kg m-1 s-2] 1 [bar] = 1 ⨉ 10 5 [Pa] 1 [atm] = 760 [mmHg] = 1.01325 ⨉ 10 5 [Pa] トリチェリ-の真空実験 水銀柱の高さ: 760 mmHg 水銀密度、 r 、 : 13.55 g cm-3 = 13.5⨉10 6 ⨉(1/103) [kg m-3] P= rhg = 13.5⨉103 [kg m-3] ⨉ 0.76 [m] ⨉ 9.81 [m s-2] = 101.02⨉103 [kg m-1 s-2] = 101.02⨉103 [kg m-2 ⨉ m s-2] = 101.02⨉103 [kg m s-2 ] ⨉ 1 [m-2] = ? [hPa] 課題1 トリチェリの真空実験を説明し、大気圧は 何ヘクトパスカルか解答せよ。 昨年の巨大台風 950 [hPa] 現在の正式の単位 1 [bar] = 1.01325 [Pa] エネルギ-の定義: エネルギ-とは仕事をする能力のことである。 物体の運動エネルギ-: 物体が運動する結果としてもつエネルギ- = 1/2 mv2 物体のポテンシャルエネルギ-: 物体の位置に依存してもつエネルギ-。ポテンシャルエ ネルギ-が0の位置は任意である。 基準の取り方の例: 物体の重力ポテンシャルエネルギ-は 地球表面で0とする = mgh gは自然落下の加速度(g=9.81 ms-2) h=0=でV=0 演習問題 体重 70 kg の高跳びの選手が、10 mの飛び板か ら飛び込んだしき、水面 での速度を計算せよ。 解答 1/2 mv2 = mg h v = (2 ⨉ 9.81 [m s-2] ⨉ 10 [m]) ½ v = 14.0 m s -1 = 50.4 km h -1 熱とは何か ・ 運動エネルギ-の無秩序化された形態 ・絶え間なく動き回っていてる分子は衝突し、運動エ ネルギ-をランダムにやり取りする。 ・物体が加熱または冷却されると、分子の平均運動 エネルギーは変化する。 平均運動エネルギ- m(vavg )2 / 2 = (3/2) kBT vavg : 分子の平均速度 kB: Boltzmann 定数 1.381 ⨉ 10-23 J K-1 熱量の単位 カロリ- (cal) 1 cal は、 1 gの水を、14.5 ℃から15.5 ℃に 上昇させるのに必要な熱量 仕事と熱 1 cal = 4.184 J 熱容量 δQ/dT=C 定圧モル熱容量 Cp, m [J K-1 mol-1] ジュールの実験 熱力学第1法則 エネルギー保存の法則 孤立系の内部エネルギーは一定である ΔU = q + w U : 内部エネルギー (運動エネルギー+位置エネルギー) q:熱 w : 仕事 課題2 熱力学第1法則を一言で説明せよ。 アトキンス物理化学(上)Page 33 数値例 2.1 ある電気モーターが毎秒15 kJ のエネルギー を力学的な仕事として生産し、2 kJ を熱として 外界に放出した。モーターの内部エネルギー の変化は毎秒 (2.1.2)式となる。 ΔU = -2 kJ -15 kJ = -17 kJ (2.1.2) 力、 F、の定義 F = ma [N] m 質量 [kg] a 加速度 [m s-2] v 速度 [m s-1] 1 [N] = 1 [ kg m s-2] 仕事 = 力 ⨉ 距離 w=F ⨉ L 1 [J] = 1 [N m] (a) 仕事の一 般式 (a1) ある物体を力Fに逆ら って距離dzだけ動かす仕 事は(2.4)式で定義される。 dw = -F dz (2.4) 圧力、P、の定義 1 [Pa] =1 [N m-2] = 1 [kg m-1 s-2] 1 [bar] = 1 ⨉ 10 5 [Pa] 1 [atm] = 760 [mmHg] = 1.01325 ⨉ 10 5 [Pa] (a2) 外圧𝒑𝐞𝐱 に抗して距離dz だけ膨張する仕事は式(2.5) 式で定義される。 δw = -𝒑𝐞𝐱 A dz = -𝒑𝐞𝐱 dV (2.5) (a3) 体積が𝑽𝐢 から𝑽𝐟 まで変化 するときになされる仕事の総量 は (2.6)式で定義される。 𝑽𝐟 δw = - 𝑽 𝒑𝐞𝐱 dV (2.6) 𝐢 図2.6 膨張の仕事 (d) 理想気体の等温可逆膨張 理想(完全)気体の状態方程式 pV = nRT n: モル数 R: 気体定数 8.3145 [JK-1mol-1] T: 絶対温度 [K] p = nRT / V 𝑽𝐟 w =- 𝑽 𝒑 dV w =- nRT 𝐢 𝑽𝐟 𝐝𝑽 𝑽𝐢 𝑽 (2.11) 気体の生成の仕事 課題3 298 Kにおいて、鉄1 molが塩酸と反応するとき、 発生した水素ガス(H2)が、1 atm一定の大気圧を押し戻す の仕事を計算せよ。 Fe(s) + 2HCl (aq) → H2 (g) + FeCl2 (aq) 解答 𝒏𝐑𝑻 w = - 𝒑𝐞𝐱 Δ 𝑽 ≒ - 𝒑𝐞𝐱 Δ 𝑽 × 𝒑𝐞𝐱 = -nRT w = - ×(8.3145 [JK-1mol-1])×298 [K] = -? [kJ] 留意事項 外に向かう仕事 マイナス 発熱反応 マイナス 自発的に進行 吸熱反応 プラス 定容熱容量 定圧熱容量 𝐶𝑉 = 𝐶𝑝 = 𝜕𝑈 𝜕𝑇 𝑉 𝜕𝐻 𝜕𝑇 𝑝 エンタルピーの定義 H = U + pV dH = dU + Vdp + pdV = δq + δw + Vdp + pdV = δq - pdV + Vdp + pdV = δq + Vdp p = 一定のとき(大気圧下での実験) dH = δq 例題2.3 エンタルピーと内部エネルギーの相違 水を1.0 atmの圧力で沸騰するまで加熱した。12 V の電源から0.50 Aの電流をそれと熱接触している抵 抗に300 S流したところ、0.798 gの水が蒸発した。 沸点(373.15 K)におけるモル内部エネルギーとモル エンタルピーの変化を計算せよ。 H2O(l) → H2O (g) 373.15 K 例題2.3 解答 Δ H m = Δq = (0.50 A)×(12 V)×(300 s) = + 0.50×12×300 [J] 吸熱反応 H2O(g)の分子量: 18.02 g -気化モル数 (0.798/18.01) mol + 0.50×12×300 [J] -1] ΔH m= + = +41 [kJ mol 𝟎.𝟕𝟗𝟖 𝟏𝟖.𝟎𝟏 Δ H m = Δ U m + p ΔV + V Δp = Δ U m + p ΔV Δ U m= Δ H m - p ΔV 大気圧を押しのける仕事 w = -p ΔV = -R T = Δ H m - R T = +38 [kJ mol-1] Δ U m: H2Oの液体から気体へ変化したときの運動エネルギ ーと位置エネルギーの増加量 熱化学 基準状態: ある温度における、ある物質の基準状 態とは、1 barの圧力で安定な元素物質である。 例: Fe(bcc) , C(graphite), H2(g), O2(g) 標準状態のうち元素物質 標準状態: ある温度における、ある物質の標準状 態とは、1 barの圧力で純粋な形にある状態であ る。 純粋な形にある状態: 化学量論組成の化合物 例: H2O(l) , CO2(g), CO(g), Al2O3(s), Fe2O3(s) 標準生成エンタルピー Δf 𝐻 ◦ 基準状態 元素物質 零と定義 H (H2(g))= 0 H (O2(g))=0 at 298.15 K H2(g) + O2(g) →H2O(l) 𝜟𝐟 𝑯◦ = -285.83 [kJ mol-1] 𝜟𝐟 𝑯◦ = H (H2O(l))- H (H2(g)) - H (O2(g)) 酸化物のエンタルピ-変化の決定方法 (△H) 燃焼熱量計法 燃焼熱量計 燃焼熱量計の内部 標準反応エンタルピー 𝜟𝐫 𝑯 ◦ 標準状態: 純粋な形にある状態 at 298.15 K CH4(g) + 2 O2(g) →CO2(g) + 2 H2O(l) 𝜟𝐫 𝑯◦ = -890 [kJ mol-1] 𝜟𝐫 𝑯◦ = 𝟐𝜟𝐟 𝑯◦ (H2O(l)) + 𝜟𝐟 𝑯◦ (CO2(g) ) - 𝜟𝐟 𝑯◦ (CH4(g) )- 2𝜟𝐟 𝑯◦ (O2(g) ) = 2×(-285.83)+ (-393.51)-(- 74.81)- 2×(0) = -890.36 [kJ mol-1] 課題4 プロペンからプロパンが生成する 標準反応エンタルピー,𝜟𝐫 𝑯◦ ,を求めよ。 ヘスの法則 C3H6(g) プロペン C3H8(g) プロパン 𝜟𝐫 𝑯◦ [kJ mol-1] C3H6(g) + H2(g) →C3H8(g) -124 (1) C3H8(g) + 5O2(g) →3CO2(g) + 4H2O(l) -2240 (2) 1 H2O(g) → H2(g) + O2(g) +286 (3) 2 (1) + (2) +(3) =(4) 9 2 C3H6(g) + O2(g) →3CO2(g) +3H2O(l) ? [kJ mol-1] (4) 熱力学第2法則 エントロピー増大の法則 孤立系のエントロピーは自発変化 の間増加する。 課題5 熱力学第2法則を一言で説明せよ。 ニュ-トン(1643-1727,イギリス) 力学の体系化 F = ma, E = 1/2mv2, w = F× l, dw = - pdV ボイル(1627-1691,イギリス) p ∝ 1/V, pV = const. シャルル(1746-1823,フランス) V = 定数× T ワット(1733-1819,イギリス) 最初の蒸気機関 -------- 産業革命 1. 等温可逆膨張 詳細は2年生前期物理化学Ⅰ VA VB CV, m c= R VA 3. 等温可逆圧縮 VB Isothermal Volume, V c C c VT =VT VC VD Adiabatic Adiabatic Pressure, p c B h Th Tc 2. 断熱可逆膨張 VB VC Isothermal VD VB q h = nRTh ln VA VD qc = nRTc ln VC VC 4. 断熱可逆圧縮 VD VA c D c c A h V T =V T 式の導出は2年生 前期物理化学Ⅰ qh qc + =0 Th Tc 課題6 カルノーサイクルに おいて、温度Thの高温熱源 から吸熱する熱量qh、と温 度Tcの低温熱源に発熱する 熱量qcとの関係式を記せ。 Th 1. 等温可逆膨張 2. 断熱可逆膨張 Tc 3. 等温可逆圧縮 4. 断熱可逆圧縮 図に示したように、このサイクルを状態P0から開始して経路Kを通って状態Pへ 到達する過程と、状態Pから経路K’通って状態P0に戻る過程に分けると、 𝑃 𝛿𝑞 𝑃0 𝐾 𝑇 + 𝑃0 𝛿𝑞 𝑃𝐾′ 𝑇 =0 可逆過程であるため経路に依存しないから、 𝑃 𝛿𝑞 𝑃 𝛿𝑞 = 𝑃 𝐾′ 𝑃0 𝐾 𝑇 𝑇 0 したがって、始点P0と終点Pを与えると決まる状態量Sが存在することを意味する。 𝑃 ∆𝑆 = 𝑆 𝑃 -𝑆 𝑃0 微少量では、 𝛿𝑞 𝑑𝑆= 𝑇 𝛿𝑞 = 𝑃0 𝑇 この状態量Sがエントロピーである。 可逆 不可逆過程 不可逆 不可逆サイクルであるから、クラウジウスの不等式より、 𝑃 = 𝛿𝑞 + 𝑃0 𝐾 𝑇 𝑃0 𝛿𝑞 < 0 𝑃𝐾′ 𝑇 路Kは可逆であるから、 𝑃 𝛿𝑞 < − 𝑃0 𝐾′ 𝑇 𝑃 𝛿𝑞 < 𝑃0 𝐾′ 𝑇 𝑃0 𝑃𝐾 𝛿𝑞 < 0 𝑇 𝑃 𝛿𝑞 = 𝑆(𝑃) − 𝑆(𝑃0 )0 𝑃0 𝐾 𝑇 𝛿𝑞 < d𝑆 𝑇 系は孤立しており、熱の出入りはない(dq=0)とすると dS 0 終わりの状態 始めの状態 V1 V2 p 1つの分子が占める場所の割合 1つの分子が占める場所の割合 V1 w1 = v m V2 w2 = v m N個の分子を位置づける仕方の数 V1 W1 = w = v m N個の分子を位置づける仕方の数 N V2 N W2 = w2 = v m N 1 W2 = W1 V2 vm N V1 vm N = V2 V1 N N V2 ln W2 – ln W1 = N ln V1 等温可逆膨張によるエントロピ-変化 V2 V2 V2 S 2 – S 1 = nR ln = nN Ak B ln = Nk B ln V1 V1 V1 NAをアボガドロ数としてN=n NA、 また、ボルツマン定数kBはkB= R / NAである S 2 – S 1 = k Bln W2 – k Bln W1 S = k Bln W ある巨視的状態に対して、より多くの微視的状態があれば、 その巨視的状態のエントロピ-は大きい。 微視的状態が多いとき、系は乱雑であると考えることができる。 配置のエントロピー 課題7 ステンレス鋼 19.2mol%Crー5.4mol%Ni ー75.4mol%Feの配置のエントロピーを計算せよ。 ∆mix 𝑆 conf ideal = -R (𝑋Cr ln 𝑋Cr + 𝑋Ni ln 𝑋Ni +𝑋Fe ln 𝑋Fe ) = -8.3145 (0.192 ln 0.192 + 0.054 ln 0.054+ 0.754 ln 0.754 ) = ? 課題7 [JK-1mol-1] 式の導出の詳細は2年生前期物理化学と 大学院熱化学Ⅰで説明します。 ∆mix 𝑆 conf ideal = 𝑆A,B -𝑆A -𝑆B = -R (𝑋A ln 𝑋A + 𝑋B ln 𝑋B ) R=8.3145 [J K-1 mol-1] H27年12月20日へ テキストを忘れないように! 熱力学第3法則 完全結晶のエントロピーは 絶対零度で零である。 課題8 熱力学第3法則を一言で説明せよ。 熱エンジンの効率 w = qh カルノーサイクルの帰着 qh qc + =0 Th Tc 課題9 絶対零度を一言で 説明せよ。 w = qh + qc qh + qc qc = =1+ qh qh Tc rev = 1 – Th Tc irrerev < 1 – Th 可逆過程(ゆっくり時間無限大) 不可逆過程 課題10 第3法則 エントロピーを式 で表せ。 298.15 m S = 0 p,m C dT T Fig. The measured Cp data for BaMoO4 at 2-300 K. S m (BaMoO4(cr), 298.15 K) = 155.905 ± 1.559 [J K-1mol-1] 課題11 BaMoO4(cr)の標準生成エントロピー ° (∆𝐟 𝑆m )を計算せよ。 S ∆ m (BaMoO4(cr), 298.15 K) = S m (BaMoO4(cr), 298.15 K) m m m −S −S −S (Ba(cr), 298.15 K) (Mo(cr), 298.15 K) (O2(g), 298.15 K) = 155.905 -62.420 -28.581 -(1/2)×205.152 = -37.602 [JK-1mol-1] ° (Mo) = 28.581 ± 0.050 𝑆m ° (O ) = 205.152 ± 0.005 𝑆m 2 [J・K−1・mol−1] [J・K−1・mol−1] ギブズエネルギ- の定義 ギブズ(1839-1903, アメリカ) 不可逆過程も含めたクラウジウスの不等式は d𝑆 𝛿𝑞 − 𝑇 ≥0 𝑇d𝑆 − 𝛿𝑞 ≥ 0 定圧で熱が輸送され、膨張以外の仕事がなければ、𝛿𝑞 = dHと書くことができ、 TdS – dH 0 dH – TdS 0 dG = dH-TdSと定義すると、 dG 0 G をギブズエネルギ-と定義する ∆𝐫 𝑮° = ∆𝐫 𝑮° − T × ∆𝐫 𝑺° 例題3.5 非膨張 最大の仕事 C6H12O6(s) + 6O2 (g) → 6 CO2(g) + 6 H2O (l) ∆r 𝐻° = -2808 [kJ mol-1] ∆r 𝑆° = + 182.4 [J K-1 mol-1] 体温 310 K (37 ℃) ∆r 𝐺° = -2808 [kJ mol-1] -(310 [K]) ×(182.4 [J K-1 mol-1]) = -2865 [kJ mol-1] 質量70 kg の人は鉛直に3.0 m上るのに2.1 kJ の仕事を必要とする。0.13 gのグルコ-スを必要 とする。 混合のギブズエネルギー 課題12 ステンレス鋼 19.2mol%Crー 5.4mol%Ni ー75.4mol%Feの1000 Kにおける混合のギブ ズエネルギ-,∆mix G,が, -7.57 [kJ mol-1] となることを証明せよ。 ただし、混合のエンタルピー,∆mix H,は、-1.85 [kJ mol-1] である。 ∆mix G = ∆mix H-T × ∆mix 𝑆 conf ideal ∆mix 𝑆 conf ideal は課題7の解答を用いよ。 課題13 水素エネルギー自動車に関連して、298 Kにおい て、水素の燃焼1モルあたり「何[V]」の起電力が得られる のか計算せよ。 1 2 H2(g)+ O2(g) → H2O(l) Δ fG゜(H2O(l), 298 K) = -237.141 [kJ mol-1] ° ∆ 𝐺 𝐸 ° =− r ν𝐹 式の導出は3年生化学熱力学で説明 解答 𝑬° =− ∆𝐟 𝐆° 𝐇𝟐 𝐎 (l) 𝝂𝐅 −𝟐𝟑𝟕.𝟏𝟒𝟏×𝟏𝟎𝟎𝟎 [𝐉] =− 𝟏×𝟗.𝟔𝟒𝟖𝟓 ×𝟏𝟎𝟒 [𝐉𝑽−𝟏 ] n : 価数 = ? [V] F: ファラデー定数 (𝟗. 𝟔𝟒𝟖𝟓 × 𝟏𝟎𝟒 [𝐉𝑽−𝟏 ]) 平衡定数,K 式の導出は3年生化学熱力学で説明 Δ vapG゜(T K): 1 barのH2O(g)が蒸発するギブズエネルギ- H2O(l) → H2O(g) Δ vapG゜(T K) = - R T ln K = -R T ln = -R T ln ∴ 𝑝H 2 O 𝑝° = exp − 𝑎H2 O (g) 𝑎H2 O (l) 𝑝H O 2 𝑝° 1 ∆vap 𝐺 ° RT 課題14 298.15 K における水蒸気分圧を計算せよ。 1 2 1 2 H2(g)+ O2(g) → H2O(l) Δ fG゜(H2O(l), T K) H2(g)+ O2(g) → H2O(g) Δ fG゜(H2O(g), T K) H2O(l) → H2O(g) Δ vapG゜(T K) = Δ fG゜(H2O(g), T K)- Δ fG゜(H2O(l), T K) Δ vapG゜(T K): 1 barのH2O(g)が蒸発するギブズエネルギ- Temp Δ fG゜(H2O(l)) Δ fG゜(H2O(g)) [K] [kJ mol-1] [kJ mol-1] 298.15 -237.141 -228.620 373.15 -225.169 -225.169 500 -204.920 -219.113 Δ vapG゜ [kJ mol-1] +8.521 0 -14.194 p(H2O) [bar] 課題13 1 30.388
© Copyright 2024 Paperzz