『バドの扉がひらくとき』 クリストファー・ポール・カーティス/作 前沢 明枝/訳 徳間書店 バドは6歳の時にママが死んだので、パパのことはなにも知らない。ある日、 ママが残したジャズバンドのちらしを手がかりに、パパを探す旅に出た。時は大 恐慌の1930年代、黒人差別が激しいミシガン州。ひとりで生きるために「バ ドの知恵」を駆使して、人々に助けられながらもたくましく旅をする。無事にパ パに出会えるだろうか? 『The manzai』 あさの あつこ/作 岩崎書店 『黄色い目の魚』 佐藤 多佳子/著 新潮社 中2の瀬田歩は、転校してきて一ヶ月たったある日、クラ 悟が物心ついて初めて会った父親との思い出は、一緒にり スメートの秋本貴史に『おつきあい』を申し込まれた。男同 んごの絵を描いた事だ。絵ばかり描いているロクデナシの父 士のおつき合いって?あせる歩だったが、実は漫才のコンビ 親だったが、たった一度会った後に死んでしまった。悟はそ を組んでほしいという誘いだった。前の学校で登校拒否をし、 の後なんとなく独学でデッサンの練習をするようになった。 それが間接的な原因となり父と姉を交通事故で失った歩。と 人物を描くのが好きで、ノートにいつも落書きをしている。 まどいながらも秋本とコンビを組み、文化祭で漫才『ロミオ みのりにはマンガ家兼イラストレーターの叔父がいる。み とジュリエット』をやることになる。学校側の反対を受ける のりは家族から短気でかんしゃくもちと思われて嫌われてい が、個性豊かなクラスメート達は漫才を成功させようと協力、 るから、叔父のアトリエにいりびたっている。学校でも浮い 奮闘する。 「なんで、ふつうじゃないとあかんのや。」 「俺にと ている存在だ。 って、お前は特別なんや。」など登場人物達の発する言葉が心 に響く。歩達は無事に演じられるのか? そんな二人が高校で出会う。美術の授業で偶然みのりを描 くことになった悟は、みのりという対象に興味を抱く。描く 側と描かれる側の二人が、やがて確かな絆を感じ始める。 『彼の手は語りつぐ』 パトリシア・ポラッコ/作 千葉茂樹/訳 新潮社 アメリカの南北戦争の最中、白人のシェルダンは足を撃たれて草原に横たわっ 『えんの松原』 伊藤 遊/作 福音館書店 時は平安朝。少年の音羽は両親と死別し たため、男子禁制の温明殿に女装をして預 ていた。そこへ、黒人のピンクスが通りかかり、彼はシェルダンを自分の母の元 へ連れ帰る。二人の間には友情が芽生え、家族以上の絆で結ばれていく。しかし、 二人は所属部隊へ戻る途中で捕まり、ピンクスは収容所で殺されてしまう。 ピンクスを記憶にとどめるために、シェルダンが家族に語りついできた実話で す。ピンクスの名前はこの先もきっと語りつがれていくことでしょう。 けられることになった。その屋敷の中で、 音羽は次の天皇となる憲平皇子と出会う。 憲平は、夜な夜な恐ろしい怨霊に祟られて いた。理由もなく殺されると苦しむ憲平 『ダンス・ラブ★グランプリ を、音羽はなんとかして助けようと思い、 県立厚木高校ダンスドリル部全米制覇の記録』 長谷川 晶一/著 主婦の友社 怨霊の正体を探っていく。怨霊が棲むとい われ、不気味さが漂う「えんの松原」で、 神奈川県立厚木高校は有名大学への進学率が高い名門校。誰もが勉強にいそしむ 音羽が見たものとは?二人は命をかけて 中で、ダンスドリル部は代々、主要大会で優勝を成し遂げ、入賞経験を何度も持つ。 怨霊に立ち向かう。 腰痛や骨膜炎、捻挫などのけがに悩まされながらも23人全員で生み出した「うち ららしさ」で全米チアダンス選手権へ出場、そしてグランプリ受賞。そこに至るま でには様々な苦難があった。踊り疲れた中でのケンカ、何度練習してもうまくなら ないもどかしさ・・・。それらを乗り越えて得た自信や根性や努力、一生続く友との絆 は最高の宝物だ。
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