Vol.30 - 名古屋大学

多 元 数 理 科 学 研 究 科 よ り
Vol.30
2015. DEC.
入試情報
名古屋大学大学院多元数理科学研究科
前期課程(第2次募集)
後期課程(冬期募集)
就職進学説明会
10/21
数理学科・多元数理科学研究科の学生を
2016年2月4日㊍
対象に、卒業・修了後の進路を考える際の参
2016年2月5日㊎
しました。就職、進学を問わず、おもにこれか
冬の花「柊」の花言葉に「用心深さ」があります。今年を振り返ると、楽観できない出来事も多くありました。事件事故に遭遇しないよ
う過ごすには個々の用心深さが大切かもしれませんね。願わくば、用心深さを忘れずかつ希望的に新年を過ごしたいものです。さ
考となるよう、進路全般に関する説明会を実施
て、今号では、国際コンファレンスやヤンゴン大学訪問、秋入学生の紹介など国際的な話題をたくさんお届けします。
ら準備をはじめる学生向けに、多元数理科学
願書受付期間
研究科の就職委員長や名古屋大学学生相談
2016年1月4日㊊〜2016年1月18日㊊(1月15日㊎を除く)
◎お問い合わせ先/名古屋大学大学院多元数理科学研究科
TEL:052-789-2833 FAX:052-789-5397 E-mail:[email protected]
総合センター就職相談部門のキャリアカウンセ
就職進学説明会・体験談講演風景
ラーが講演を行いました。教員の講演のほか、
今年実際に就職活動・大学院入試・教員採用試験を経験した学生らによる体
験談が話されました。
進路の情報は多元数理科学棟の2 階の”
進路情報室”
で閲覧することができ
ます。ぜひご利用ください。
平成27年度
(片田 栄里)
名古屋大学数学公開講座
第15回 名古屋国際数学コンファレンス
「Zeta Functions of Several Variables and Applications」
フランスCNRSとの共同研究 2015年11月9日〜2015年11月13日/多309講義室
今回第 15回を迎えたこのコンファレンスは2001 年の第 1回を皮切りに毎年違ったテーマで開催
されています。今年はメインテーマを「Zeta Functions of Several Variables and Applications
今 年も「 数 学 公 開 講 座 」が 1 0 月 1 0 日
数理学科説明会
(土)
、10月24日
(土)
、10月31日
(土)
に開催
されました。アンケート調査では「非常に難し
かった」
との感想が多かったのですが、その
11/4
理学部では 2 年進級時に各学科に分属さ
難しさが数学の面白さに通じているのでしょう
れ、専門的な科目を学びます。1 年生は12月ま
か、
「数学に対する視野を広げることができた」
でに行われる各学科の説明会に参加し、分属
「数学の面白さがわかった」
とお答えいただい
の希望を決定します。数理学科は11月5日に
た方も多く見られました。
学科説明会を行い、教務委員長により、進級後
毎年の開講を楽しみにしているとお話し下
の具体的なカリキュラムや学習環境などが説明
さった社会人の方もおいでになり、夏・秋の恒
懇親会風景
されました。また、卒業後の進路については、
例行事として定着している様子が窺えます。
愛知県が主催する「知の探究講座」
として参加している高校生は、講義の
後に11月21日
(土)
に開催された「講座別発表会」の発表練習を行い、TA 講
師からの熱心な指導をうけていました。
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科
(西川 幸)
(フランスCNRSとの共同研究)」
とし、11月9日から11月13日までの間行われました。
道のりも楽しみが盛りだくさんでした。犬山城では急な階段を上り、天守閣まで上りました。当日は
天気にも恵まれ、そこから名古屋駅のビル群を臨むことができました。またお城の中では犬山と犬
山城主たちの歴史等を学ぶことができました。ひとしきりお城を楽しんだ後は、如庵で有名な有楽
今回も国内外から約 90 人の研究者(海外からはフランス、ポーランド、アメリカ、イギリスから8
苑を訪れました。ここには重要文化財である旧正倉院書院があり、参加者全員で呈茶体験をしま
名)が参加し、日本人講演者 19 名、外国人講演者 7 名(名古屋大学に留学中の学生も含む)が
した。庭園を見ながらお茶とお菓子を味わい、和の雰囲気を堪能しました。数学だけでなくこう
講演を行いました。会場の受付からは参加者の方々が興味深げに聴き入る姿を垣間見ることが
いったイベントを通じた交流があると外部からの方達もいろいろと楽しむことができて良い、と門田
できました。講演が終わると尊敬のこもった拍手の後、質疑応答の時間には真剣な受け答えが交
さんは締めくくりました。
わされ、その中で笑いが起こる和やかなシーンもありました。ブレイク中にはラウンジに貼りだされた
自国外もしくは他県で行われるコンファレンスに参加する時、一番の目的は研究のための情報収
ポスターセッションの前で、コーヒーやお菓子を手に和気あいあいと意見交換をする姿も多く見ら
集や学術的な交流ではありますが、離れた土地を訪れる貴重な機会の一つでもあります。開催国
れました。このポスターセッションは講演とは別の発表の場となっており、今回は12 名の方からの
としては異文化理解を促進するような企画を楽しんでいただくのも大切なつとめであると思います。
研究報告が寄せられました。
国内外問わず、ベテランの教授陣から若手研究者まで多くの方々が集まる国際コンファレンス。
10日には学内のレストラン「花の木」においてバンケットが催され、60 名近い参加者を集めまし
講演中の集中した空気からは研究への思い入れが伝わってきます。事務職員としても、こうした
教務委員長の説明に加え、現在数理学科の4
た。会場ではかわいらしい花火柄の浴衣に身を包んだゴータミ・ボウミック先生(合多美望美久、
研究集会のバックアップをするのはとてもやりがいのある仕事です。今後もより一層、参加者の
年生が就職・教職・進学それぞれについての体験を講演しました。
フランス、リール大学より参加)の華やかな姿が目を引きました。浴衣に合わせて髪を飾っていたの
方々が発表、交流しやすく過ごしやすい環境を作る努力をして行きたいと思います。 (内藤 愛)
説明会後には教員と在学生と直接ふれあう機会として懇親会の時間を設け、
お菓子を食べながら和やかな雰囲気のなか歓談しました。
(片田 栄里)
は、オーガナイザーの松本先生から贈られた
髪飾りでした。
また12日にはエクスカーションとして犬山城
へのショートトリップが企画されました。参加し
た名古屋大学大学院多元数理科学研究科
D1の門田慎也さんにインタビューしたところ、
教 育 研 究 支 援 室 よ り
楽しかった様子を聞くことができました。参加
者は15 名のグループで、犬山の駅から犬山
早めに旅行の計画を立てるのが好きです。早く計画すれば、旅行が始まるま
通りに上手くいけばもちろん嬉しいです。でも、上手く行かなくても、そもそも旅
での間、色々考えを巡らせて楽しむことができるからです。ガイドブックを買って
に不測の事態はつきものなので、深刻なアクシデントはもちろんいただけません
それを読むことから始まり、あそこではここに行こう、このルートで回ろう、と頭の
が、それ以外であればそれも経験、と楽しもうと頭を切り替えます。というより、
中で色々妄想?を楽しんだり、旅先で着る服など、それを口実に買おうかどうか
頭を切り替えるトレーニングをする機会だと捉えるようにしています。上手くいって
逡巡することすら楽しめたりします。私の場合、旅行に出るまでの準備期間が
もよし、上手くいかなくてもよし、そんな風に旅をまとめられた時、やはり私は嬉し
楽しくて、旅行を計画していると言っても過言ではありません。元々逆算するの
くて妙な達成感で満たされるのです。
(神田 美幸)
が好きなので、私の旅の計画は逆算に似ているかもしれません。そして、計画
編集後記
Newsletter vol.26 でマラソンを始めたことを書かせていただいたのですが、
今年はリレーマラソンに一度出場したきりになってしまいました。その代わりと言う
わけではありませんが、この秋からヨガに通い始めました。日頃は何かと人目が
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科
〒 464-8602 名古屋市千種区不老町
TEL(052)789-2833 FAX(052)789-5397
気になったり、自制しがちですが、ホットヨガで汗ダクダクでヘロヘロになると周り
なんて気にする余裕もなくなり自然とマイペースになります。くさくさすることが多
く、心のなかのコップのお水が揺れまくっていたのですが、ヨガでゆったり体を動
かすことで気持ちが落ち着き、幾分か心がすっきりしたように思います。来年
は、心だけでなく体もスッキリして、だるま体型から脱却したいものです。ちなみ
に、過去のコラムをご覧になりたい場合は、バックナンバーを多元数理科学研究
科のWebページで確認できます。
(片田 栄里)
企画編集
教育研究支援室
城まで続く城下町を歩きながら五平餅を食べ
たり昔ながらの街並を鑑賞したり、お城までの
コンファレンス集合写真
ヤンゴン大学数学科との部局間学術交流覚書
2013 年 6月の名古屋大学同窓会ミャンマー支部設立時に、Kyi Kyi Aung 氏(昭和 49 年 3月
理学研究科数学専攻前期課程修了、元ヤンゴン大学数学科長)のご尽力により、当研究科の元
研究科長とヤンゴン大学の当時の数学科長が、ヤンゴンで会ったことを契機に、ヤンゴン大学数
学科との学術交流覚書締結の第一歩が踏み出されました。2014 年 6月、ヤンゴン大学の学長
Dr. Aung Thu(専門:数学)が名大を訪問された折りに多元数理科学研究科にもお招きし、関
係者を交えて将来の学術交流について懇談を持ちました。2015 年 11月にはヤンゴン大学数学
科長 Win Kyi 氏等を招聘して、具体的に協定の内容を検討し、双方で調整した結果、12月8日
にヤンゴン大学で学術交流協定の調印式を執り行うことになりました。
調印式当日は、学長 Dr. Pho Kaung の挨拶に続き、多元数理科学研究科長、ヤンゴン大学
数学科長それぞれからの覚書調印を歓迎するスピーチの後、双方が学術交流覚書に署名しまし
た。署名後、早速具体的な学生の交流、集中講義の実施などについて情報交換が行われ、学
術交流実践に向けて始動しました。
わずか 3日間のミャンマー滞在でしたが、
人々の穏やかさと、親しみのこもった言葉やお
もてなしに幾度も胸が熱くなりました。また、
調印式に先立って開催されていた研究集会
では、思いがけず懐かしい方々との感動的な
再会もあり、希望と可能性に満ちたミャンマー
の地で有意義な経験をできたことに、覚えた
てのこの言葉を心から捧げます。チェズー
ティンパーデェ! (小崎 和子)
尽きない探究心で会場が一体に
盛り上がるポスターセッション談義
初めての外国生活から沢山のことを学んで
—秋季卒業式—
9月28日に豊田講堂ホールにて、名古屋大学の秋季卒業式が執り行われました。多元数理科
学研究科からは中国政府国家公派研究生項目事業による留学生として清華大学出身の劉裕さん
が、目出度く博士(数理学)号を取得し、秋季卒業式に出席しました。劉さんは一旦中国へ帰国し
た後、2015年12月からはスウェーデンのUppsala大学の研究員に就任しました。
帰国前に、一生懸命準備してくれた日本語で、支援室メンバーへのお礼の気持ちを伝えようと
してくれた劉さんの姿を、良い思い出としてしっかりと瞼に焼き付けておきたいと思います。
劉さんからいただいたメッセージを紹介します。
2011 年 10月に初めて名古屋へ来た時には、胸躍る思いとともに不安もいっぱいでした。4 年
後、日本を離れるときにはまるで自分の故郷を離れ
るような思いを抱きました。様々な国から来ていた多
くの友人たちと知り合ったこと、また、困難に遭遇し
た時に私を助けてくれた沢山の人たちに出会ったこ
とで、数学だけでなく、多くのことを学びました。特
に指導教員からは真の研究者とはどうあるべきかを
学びました。名古屋大学での経験は、将来困難に
ぶつかったとき、間違いなくそれを克服する力となる
ことでしょう。
(原文 英語)
(小崎 和子)
これまでに発行された Newsletter のバックナンバーが多元数理科学研究科ホームページから PDF ファイルにてダウンロードいただけます。
Newsletter バックナンバー http://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/archive/newsletter/
松尾総長から学位記を受け取る劉裕さん
学生プロジェクト活動報告
学生プロジェクトの活動期間も後半に入りました。
夏休み期間中から多くの活動が行われてきています。
前号に続き各プロジェクトの活動の様子をお知らせします。
(水野 貴志子)
ホームカミングデイ
2015 年 10月17日
(土)第 11 回名古屋大学ホームカミングデイが開催されまし
「メゾスコピック量子統計熱力学の情報理論的新展開」
伊藤 康介
本プロジェクトでは、まず 8月17日から19日に京大基礎物理学研究所で行われた研究集会
「Yukawa International Seminar 2015」及び、20日から23日に京大芝蘭会館で行われた研究
「Deformation theory of Complex Dynamical Systems」
藤野 弘基
8月に開催されたISACC(マカオ)、複素多変数若手研究集会(上海)、ICFIDCAA(福岡)
集会「International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015」
に参加し、研究テーマである統計物理学の最新の研究状況について情報収集を行った。様々な
研究者や学生との交流により、自分の知らなかったテーマに情報理論を応用できる可能性を示唆
していただいたりなど、大変有意義な機会となった。
の三つの国際研究集会に参加しました。本学生プロジェクトのテーマである複素力学系の変形
さらに9月には、シンガポール国立大学のCentre for Quantum Technologiesに滞在し、研
理論と深い関係にある、タイヒミュラー空間論に関する発表を行ったことで多くの数学者と有意義
究交流を行った。ここには、ヨーロッパからアジアまで、ほとんど一人ずつ国籍が違うほど多彩な
な議論を交わすことができました。特にISACCやICFIDCAAでは複素力学系に関する研究発
学生や研究者たちがおり、セミナーに参加したり議論したりすることで、今後の研究に役立つ有益
表を多く聴くことができたので、今後の研究に
な交流ができた。セミナーで自分の研究を発
向けた視野が広がったように思います。また、
表した際にいただいた質問や意見も、大変有
本学生プロジェクトで定期的に行っている自主
意義であった。
セミナーは順調に進んでいます。複素力学系
また、個人的な交流では、実験物理や計
の基礎的な部分から、擬等角写像論におけ
算理論などの普段ではあまり関わることのでき
る大定理であるアールフォルス・ベアスの可測
ない分野の学生たちと議論を交わし、非常に
写像定理の証明をフォローするなどの学習を
貴重な体験ができた。
してきました。今後はより複素力学系の変形
だ学習を進めていく予定です。
複素多変数若手研究集会
—第4回学生奨励賞(飛田賞)—
た。当日は秋晴れの素晴らしいお天気に恵まれ、大勢の方々が来訪されました。
多元数理科学研究科出身の若い研究者に対して、数理科学同窓会から贈
多元数理科学研究科の企画として、田中祐一氏による保護者向け就職セミ
られる名古屋大学数理科学学生奨励賞「飛田賞」の第 4 回受賞者が木村杏
ナー、内藤久資准教授による「幾何学の応用を考える」
と題する講演がありまし
た。ホームカミングデイにふさわしく在学生のご両親や親子、卒業生のご夫婦
揃っての参加など参加者は多彩でした。
また、伊藤由佳理准教授担当の理学部 1 年生による「数学博物館を作ろう!」
子氏(静岡大学)
に決定しました。
多元数理科学研究科の教育システムの中でいろんな分野にチャレンジできた
こと、また、様々なセミナー等により、いろんな分野に触れることができたこと、そ
のような環境を作ってくれた先生方へ、様々な方面からサポートしてくれた支援
のポスター発表が、講演会場横のリフレッシュスペースで行われました。この発
室へ、そして一緒に勉強した仲間たちへの感謝
表は、孫のポスターを見に来たと言わ
のことばが寄せられました。
(詳しくは、多元数理
れた祖父母の方々や、多くの高校生
科学研究科のウェブページをご覧ください。
)
を引きつけました。わかりやすい内容
ご本人のご都合で授賞式は欠席となりました
のポスターを、一 枚 一 枚 熱 心に見
が、ちょうど人生の大きな節目を迎えた時期での
入っている皆さんの様子が印象的で
受賞となり、研究者としての飛躍も更に期待され
した。
ることでしょう。
参加者は約100名を数え、この日の
同窓会からは、副賞、楯、表彰状が、また飛
催しは大盛況のうちに終了しました。
田基金から、ご本人のご希望の洋書が贈られま
このように本プロジェクトで得られたものを活か
して今後の研究活動に邁進する所存である。
理論(マクマレン・サリバン理論)に踏み込ん
人生の節目の大きな励みに
(水野 貴志子)
講演する内藤久資准教授
した。
(小崎 和子)
第4回飛田賞受賞者 木村杏子氏
京大芝蘭会館にて
「幾何と数論に現れる作用素環の解析と応用」
第10回 留学生交流イベント
「数論幾何と位相幾何3」
郡田 亨
松岡 勇気
「数学の様々な分野に現れる
“非可換”
な対象を作用素環を用いて定式化し、その性質を調べ
る」
ということが非可換幾何学における一つのテーマですが、私たちの学生プロジェクトでは特に
幾何学や数論に関連した作用素環や、その非可換幾何学に対する理解を深めることを目的とし
学生プロジェクトの資金で、夏休みに一週間、長野県での勉強会に行ってきました。テーマを
絞った勉強会で、数名の方による輪講で教わることが多くためになりました。
残りの資金の使い道は次の三通りです。まず、立教大学にいる元指導教員の先生に会いに
て活動しています。具体的な活動内容としては、数論に関する非可換幾何学において重要な役
行って直接指導を受けます。普段からメールで色々相談をし
割を担う志村多様体に対する理解を深める為、8月に「2015年度整数論サマースクール - 志村多
ていて、先生も名古屋に来てくれたりしていて困ることはない
様体とその応用-」に参加した他、定期的に「非可換幾何・作用素環セミナー」
と題した自主ゼミを
のですが、今度は私が向こうに行く予定です。
行っています。この自主ゼミではプロジェクトメ
二つ目は、12月の頭に京都で毎年開かれる代数的整数論と
ンバー以外にも非可換幾何や作用素環に興
関連する話題の研究集会に行きます。忙しい時期で一日しか
味を持つ人達を集め、互いが勉強したり考え
行けませんが、みんなが集まる集会なので楽しみです。残念な
たりしたことを発表し合うことで、お互いの理
がら聴けませんが、今年は宇宙際幾何の講演があります。
解を深め合っています。また3月には「非可換
最後の一つは、2月に行われることになった「International
幾何若手勉強会 2016」
と題して、幾何学的
workshop on motives in Tokyo, 2016」を聴きに行くことで
量子化とKホモロジーに関する勉強会を他大
す。これは毎年楽しみにしている研究集会です。国内で毎
学の学生と合同で行う予定です。
年このような研究集会が開かれているのは大変良いことだと
留学生交流イベントは、留学生の皆さんが安心して勉学に励める環境づくり
を目指し、人々との交流や異文化の紹介、再認識の機会など、毎回趣向を凝ら
みんな同じに見えていた植物に対して見る目が変わった」
と言っていただけるの
た11月16日、参加者 12 名、うち留学生 7 名と教育研究支援室のメンバーで、
が何より嬉しいです。どんなことも、知る機会があると親しみがわき、世界が広
名古屋大学東山キャンパスに自生している樹々を観察しながら散歩し、野外で
がると思います。交流
お弁当を頂きました。キャンパス内には豊かな自然が残されているため、キャン
イベントはもちろん、新
パス内の道路を歩くだけでも多様な樹々が見られます。アジア、ヨーロッパと
しい出会いの機会が
様々な国籍の参加者がいる中で、皆さんに楽しんでいただけるよう、紹介する
あったら、ぜひ扉を開
樹種は、匂いがあるもの、字が書ける葉など、体感できるものを中心にしました。
けていただけたらと思
どんぐりは、樹種によって大きさや形、キャップの模様が違うことを紹介し、探した
います。
(松久 聖子)
参加者同士の会話も弾み、楽しい時間となりました。
留学生の方々の感想は、普段気づかなかった植物のことを学べてよかったと
いうご意見のほかに、リラックスできる活動だった、新しい友人と出会えたなど、
G30プログラムに名古屋大学が採択されて早7年。この秋多元数理科学研究科には初めてこのプログラムの修士課程に留学生が
入学しました。また、秋入学制度も始まってから今年で5 度目を迎え、今秋は3 名の入学があり、内 2 名が留学生でした。今号では、
博士課程に入学した、インドネシア出身のEdi Kurniadiさんと中国出身の李峰さんの日本へ来たいきさつなどを紹介していただきます。
最後に、植物を紹介させていただいた立場から、
「今まで何気なく見ていた、
して企画しています。記念すべき第 10回目の今回は、あたたかな陽気に恵まれ
とつです。東山キャンパスをぐるっと一周した頃には、だいぶお腹もすいていて、
新世界にて
新しい仲間(留学生紹介)
交流イベントとして嬉しい声を聞くことができました。
り見比べたりしていただきました。皆で野外で食べるお弁当もメインイベントのひ
思います。
Cafe Davidにて勉強会の打ち合わせ
—Walk on Higashiyama campus 歩いて植物観察してみよう—
一般相対性理論
誕生100周年記念
市民講演会に参加して
学生有志がおもてなし BBQパーティ
暑さも寒さもちょうどよく、アウトドア日和となった10月16日、多元数理科学棟に
植物の紹介と観察
平成27年度
名古屋大学(理学ブロック)地震防災訓練
かの有名なアインシュタインの一般相対性理論が誕生
て恒例のBBQパーティが行われました。玄関には4 台のBBQコンロ、1 階のセ
平成 27 年 10月28日に南海トラフ巨大地震を想定した名古屋大学防災訓練
Edi:名
古屋大学は、世界的に見ても有名な大学ですし、
自分自身が興味のある分野について研究している先生
(伊師先生)
がいたためです。
李峰:修士課程在学中に現指導教員の杉本先生の論文を読み、
先生のもとで勉強したいと思ったからです。
して今年で100 年になりました。それを記念した講演会
ミナー室にはお鍋やオードブルが用意され、集まった大勢の学生や教員達に振
が実施されました。理学ブロック自衛消防隊本部隊では無線で事務局との連携
Q.セミナーについて
数理科学研究科共催)
。今年ノーベル物理学賞を受賞
る舞われました。今年も普段話す機会の少ない人との交流の機会となったので
を取りつつ、学生・職員の安否を確認。有事に備え、情報伝達経路・機器の
はないでしょうか。
確認に余念がありませんでした。
Q.なぜ名古屋大学を選んだのですか?
Edi:今
期は週に1度セミナーがあり、先生がわかりやすく説明してくれるので、
研究について自分の進むべき道を指し示してもらえます。
李峰:杉本ゼミは先生も学生も皆親切です。最前線の内容が学べるため、
努力が必要ですが、
セミナーから得ることは多いです。
Q.好きなものについて
が 11月21日に坂田平田ホールにて開かれました(多元
された東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授先
生をはじめ、全 4 名が宇宙の謎に迫る研究をそれぞれ
個性あふれる切り口でわかりやすく説明して下さいまし
Edi:ジ
ャーナルなど利用できる蔵書のたくさんある理学図書館
李峰:最近味噌汁をおいしく飲めるようになりました。
た。参加者は約300名でプレスの方も多数取材に来てお
り、講演の合間に梶田先生に写真やサインをお願いする
Q.ここで数学を勉強したあとの予定は何ですか?
参加者の姿もちらほらいて、大変盛況な講演会でした。
Edi:一
生懸命勉強して3年以内に学位を取得したいです。
その後はインドネシアに戻って数
学をまた教えたいです
(Ediさんはlecturer)
。
李峰:修了後は日本に残ってもう少し研究を続けたいと思っています。
その後、
他の国に行っ
(渡辺ゆかり)
てさらに研究を深めたいです。
お二人とも今号で紹介している留学生交流イベントやBBQなど、それぞれ勢
で、同じ学年だとわかるとお互いのことを質問し合い、情報共有に勤しんでいまし
た。彼らの日本での生活が順調に、そして楽しいものになるように我々もサポートさ
(渡辺 ゆかり)
李峰さん(左)
、
Edi Kurniadiさん(右)
講演する
梶田教授
(壇上)
午後には煙体験訓練にも参加してきたのですが、想像以上に視界が利かず、
から大学院まで、様々な学年の学生が有志として参加し、備品のチェックや買
数十センチ先も見えない状態では真っ直ぐ歩くことすら怖いという貴重な体験を
い出し、下ごしらえなどの事前準備、当日のおもてなしから片付けまでを担当し
させていただきました。熱も有毒ガスもない煙だけの状態でこの有様ですから、
ます。有志の仕事は大変で面倒なこ
実際の火事に遭遇してしまった時に
とも多くあります。それにも関わらず、
は冷静な対処が出来るでしょうか。
有志を引き受けてくれる学生たちに感
「いつか」
「起こるかも知れない」大
激するとともに、学生の学年の垣根を
規模災害への備えを改めて意識させ
越えた縦のつながりを感じました。
てくれた体験となりました。(西川
幸)
力的に参加して下さっていたようですが、顔を合わせたことはこれまでなかったよう
せていただきます。
毎年このパーティは、学生の有志が中心となって企画運営しています。学部
(片田 栄里)
多元数理科学棟玄関にて
一斉避難訓練中
学生プロジェクト活動報告
学生プロジェクトの活動期間も後半に入りました。
夏休み期間中から多くの活動が行われてきています。
前号に続き各プロジェクトの活動の様子をお知らせします。
(水野 貴志子)
ホームカミングデイ
2015 年 10月17日
(土)第 11 回名古屋大学ホームカミングデイが開催されまし
「メゾスコピック量子統計熱力学の情報理論的新展開」
伊藤 康介
本プロジェクトでは、まず 8月17日から19日に京大基礎物理学研究所で行われた研究集会
「Yukawa International Seminar 2015」及び、20日から23日に京大芝蘭会館で行われた研究
「Deformation theory of Complex Dynamical Systems」
藤野 弘基
8月に開催されたISACC(マカオ)、複素多変数若手研究集会(上海)、ICFIDCAA(福岡)
集会「International Symposium on Fluctuation and Structure out of Equilibrium 2015」
に参加し、研究テーマである統計物理学の最新の研究状況について情報収集を行った。様々な
研究者や学生との交流により、自分の知らなかったテーマに情報理論を応用できる可能性を示唆
していただいたりなど、大変有意義な機会となった。
の三つの国際研究集会に参加しました。本学生プロジェクトのテーマである複素力学系の変形
さらに9月には、シンガポール国立大学のCentre for Quantum Technologiesに滞在し、研
理論と深い関係にある、タイヒミュラー空間論に関する発表を行ったことで多くの数学者と有意義
究交流を行った。ここには、ヨーロッパからアジアまで、ほとんど一人ずつ国籍が違うほど多彩な
な議論を交わすことができました。特にISACCやICFIDCAAでは複素力学系に関する研究発
学生や研究者たちがおり、セミナーに参加したり議論したりすることで、今後の研究に役立つ有益
表を多く聴くことができたので、今後の研究に
な交流ができた。セミナーで自分の研究を発
向けた視野が広がったように思います。また、
表した際にいただいた質問や意見も、大変有
本学生プロジェクトで定期的に行っている自主
意義であった。
セミナーは順調に進んでいます。複素力学系
また、個人的な交流では、実験物理や計
の基礎的な部分から、擬等角写像論におけ
算理論などの普段ではあまり関わることのでき
る大定理であるアールフォルス・ベアスの可測
ない分野の学生たちと議論を交わし、非常に
写像定理の証明をフォローするなどの学習を
貴重な体験ができた。
してきました。今後はより複素力学系の変形
だ学習を進めていく予定です。
複素多変数若手研究集会
—第4回学生奨励賞(飛田賞)—
た。当日は秋晴れの素晴らしいお天気に恵まれ、大勢の方々が来訪されました。
多元数理科学研究科出身の若い研究者に対して、数理科学同窓会から贈
多元数理科学研究科の企画として、田中祐一氏による保護者向け就職セミ
られる名古屋大学数理科学学生奨励賞「飛田賞」の第 4 回受賞者が木村杏
ナー、内藤久資准教授による「幾何学の応用を考える」
と題する講演がありまし
た。ホームカミングデイにふさわしく在学生のご両親や親子、卒業生のご夫婦
揃っての参加など参加者は多彩でした。
また、伊藤由佳理准教授担当の理学部 1 年生による「数学博物館を作ろう!」
子氏(静岡大学)
に決定しました。
多元数理科学研究科の教育システムの中でいろんな分野にチャレンジできた
こと、また、様々なセミナー等により、いろんな分野に触れることができたこと、そ
のような環境を作ってくれた先生方へ、様々な方面からサポートしてくれた支援
のポスター発表が、講演会場横のリフレッシュスペースで行われました。この発
室へ、そして一緒に勉強した仲間たちへの感謝
表は、孫のポスターを見に来たと言わ
のことばが寄せられました。
(詳しくは、多元数理
れた祖父母の方々や、多くの高校生
科学研究科のウェブページをご覧ください。
)
を引きつけました。わかりやすい内容
ご本人のご都合で授賞式は欠席となりました
のポスターを、一 枚 一 枚 熱 心に見
が、ちょうど人生の大きな節目を迎えた時期での
入っている皆さんの様子が印象的で
受賞となり、研究者としての飛躍も更に期待され
した。
ることでしょう。
参加者は約100名を数え、この日の
同窓会からは、副賞、楯、表彰状が、また飛
催しは大盛況のうちに終了しました。
田基金から、ご本人のご希望の洋書が贈られま
このように本プロジェクトで得られたものを活か
して今後の研究活動に邁進する所存である。
理論(マクマレン・サリバン理論)に踏み込ん
人生の節目の大きな励みに
(水野 貴志子)
講演する内藤久資准教授
した。
(小崎 和子)
第4回飛田賞受賞者 木村杏子氏
京大芝蘭会館にて
「幾何と数論に現れる作用素環の解析と応用」
第10回 留学生交流イベント
「数論幾何と位相幾何3」
郡田 亨
松岡 勇気
「数学の様々な分野に現れる
“非可換”
な対象を作用素環を用いて定式化し、その性質を調べ
る」
ということが非可換幾何学における一つのテーマですが、私たちの学生プロジェクトでは特に
幾何学や数論に関連した作用素環や、その非可換幾何学に対する理解を深めることを目的とし
学生プロジェクトの資金で、夏休みに一週間、長野県での勉強会に行ってきました。テーマを
絞った勉強会で、数名の方による輪講で教わることが多くためになりました。
残りの資金の使い道は次の三通りです。まず、立教大学にいる元指導教員の先生に会いに
て活動しています。具体的な活動内容としては、数論に関する非可換幾何学において重要な役
行って直接指導を受けます。普段からメールで色々相談をし
割を担う志村多様体に対する理解を深める為、8月に「2015年度整数論サマースクール - 志村多
ていて、先生も名古屋に来てくれたりしていて困ることはない
様体とその応用-」に参加した他、定期的に「非可換幾何・作用素環セミナー」
と題した自主ゼミを
のですが、今度は私が向こうに行く予定です。
行っています。この自主ゼミではプロジェクトメ
二つ目は、12月の頭に京都で毎年開かれる代数的整数論と
ンバー以外にも非可換幾何や作用素環に興
関連する話題の研究集会に行きます。忙しい時期で一日しか
味を持つ人達を集め、互いが勉強したり考え
行けませんが、みんなが集まる集会なので楽しみです。残念な
たりしたことを発表し合うことで、お互いの理
がら聴けませんが、今年は宇宙際幾何の講演があります。
解を深め合っています。また3月には「非可換
最後の一つは、2月に行われることになった「International
幾何若手勉強会 2016」
と題して、幾何学的
workshop on motives in Tokyo, 2016」を聴きに行くことで
量子化とKホモロジーに関する勉強会を他大
す。これは毎年楽しみにしている研究集会です。国内で毎
学の学生と合同で行う予定です。
年このような研究集会が開かれているのは大変良いことだと
留学生交流イベントは、留学生の皆さんが安心して勉学に励める環境づくり
を目指し、人々との交流や異文化の紹介、再認識の機会など、毎回趣向を凝ら
みんな同じに見えていた植物に対して見る目が変わった」
と言っていただけるの
た11月16日、参加者 12 名、うち留学生 7 名と教育研究支援室のメンバーで、
が何より嬉しいです。どんなことも、知る機会があると親しみがわき、世界が広
名古屋大学東山キャンパスに自生している樹々を観察しながら散歩し、野外で
がると思います。交流
お弁当を頂きました。キャンパス内には豊かな自然が残されているため、キャン
イベントはもちろん、新
パス内の道路を歩くだけでも多様な樹々が見られます。アジア、ヨーロッパと
しい出会いの機会が
様々な国籍の参加者がいる中で、皆さんに楽しんでいただけるよう、紹介する
あったら、ぜひ扉を開
樹種は、匂いがあるもの、字が書ける葉など、体感できるものを中心にしました。
けていただけたらと思
どんぐりは、樹種によって大きさや形、キャップの模様が違うことを紹介し、探した
います。
(松久 聖子)
参加者同士の会話も弾み、楽しい時間となりました。
留学生の方々の感想は、普段気づかなかった植物のことを学べてよかったと
いうご意見のほかに、リラックスできる活動だった、新しい友人と出会えたなど、
G30プログラムに名古屋大学が採択されて早7年。この秋多元数理科学研究科には初めてこのプログラムの修士課程に留学生が
入学しました。また、秋入学制度も始まってから今年で5 度目を迎え、今秋は3 名の入学があり、内 2 名が留学生でした。今号では、
博士課程に入学した、インドネシア出身のEdi Kurniadiさんと中国出身の李峰さんの日本へ来たいきさつなどを紹介していただきます。
最後に、植物を紹介させていただいた立場から、
「今まで何気なく見ていた、
して企画しています。記念すべき第 10回目の今回は、あたたかな陽気に恵まれ
とつです。東山キャンパスをぐるっと一周した頃には、だいぶお腹もすいていて、
新世界にて
新しい仲間(留学生紹介)
交流イベントとして嬉しい声を聞くことができました。
り見比べたりしていただきました。皆で野外で食べるお弁当もメインイベントのひ
思います。
Cafe Davidにて勉強会の打ち合わせ
—Walk on Higashiyama campus 歩いて植物観察してみよう—
一般相対性理論
誕生100周年記念
市民講演会に参加して
学生有志がおもてなし BBQパーティ
暑さも寒さもちょうどよく、アウトドア日和となった10月16日、多元数理科学棟に
植物の紹介と観察
平成27年度
名古屋大学(理学ブロック)地震防災訓練
かの有名なアインシュタインの一般相対性理論が誕生
て恒例のBBQパーティが行われました。玄関には4 台のBBQコンロ、1 階のセ
平成 27 年 10月28日に南海トラフ巨大地震を想定した名古屋大学防災訓練
Edi:名
古屋大学は、世界的に見ても有名な大学ですし、
自分自身が興味のある分野について研究している先生
(伊師先生)
がいたためです。
李峰:修士課程在学中に現指導教員の杉本先生の論文を読み、
先生のもとで勉強したいと思ったからです。
して今年で100 年になりました。それを記念した講演会
ミナー室にはお鍋やオードブルが用意され、集まった大勢の学生や教員達に振
が実施されました。理学ブロック自衛消防隊本部隊では無線で事務局との連携
Q.セミナーについて
数理科学研究科共催)
。今年ノーベル物理学賞を受賞
る舞われました。今年も普段話す機会の少ない人との交流の機会となったので
を取りつつ、学生・職員の安否を確認。有事に備え、情報伝達経路・機器の
はないでしょうか。
確認に余念がありませんでした。
Q.なぜ名古屋大学を選んだのですか?
Edi:今
期は週に1度セミナーがあり、先生がわかりやすく説明してくれるので、
研究について自分の進むべき道を指し示してもらえます。
李峰:杉本ゼミは先生も学生も皆親切です。最前線の内容が学べるため、
努力が必要ですが、
セミナーから得ることは多いです。
Q.好きなものについて
が 11月21日に坂田平田ホールにて開かれました(多元
された東京大学宇宙線研究所所長の梶田隆章教授先
生をはじめ、全 4 名が宇宙の謎に迫る研究をそれぞれ
個性あふれる切り口でわかりやすく説明して下さいまし
Edi:ジ
ャーナルなど利用できる蔵書のたくさんある理学図書館
李峰:最近味噌汁をおいしく飲めるようになりました。
た。参加者は約300名でプレスの方も多数取材に来てお
り、講演の合間に梶田先生に写真やサインをお願いする
Q.ここで数学を勉強したあとの予定は何ですか?
参加者の姿もちらほらいて、大変盛況な講演会でした。
Edi:一
生懸命勉強して3年以内に学位を取得したいです。
その後はインドネシアに戻って数
学をまた教えたいです
(Ediさんはlecturer)
。
李峰:修了後は日本に残ってもう少し研究を続けたいと思っています。
その後、
他の国に行っ
(渡辺ゆかり)
てさらに研究を深めたいです。
お二人とも今号で紹介している留学生交流イベントやBBQなど、それぞれ勢
で、同じ学年だとわかるとお互いのことを質問し合い、情報共有に勤しんでいまし
た。彼らの日本での生活が順調に、そして楽しいものになるように我々もサポートさ
(渡辺 ゆかり)
李峰さん(左)
、
Edi Kurniadiさん(右)
講演する
梶田教授
(壇上)
午後には煙体験訓練にも参加してきたのですが、想像以上に視界が利かず、
から大学院まで、様々な学年の学生が有志として参加し、備品のチェックや買
数十センチ先も見えない状態では真っ直ぐ歩くことすら怖いという貴重な体験を
い出し、下ごしらえなどの事前準備、当日のおもてなしから片付けまでを担当し
させていただきました。熱も有毒ガスもない煙だけの状態でこの有様ですから、
ます。有志の仕事は大変で面倒なこ
実際の火事に遭遇してしまった時に
とも多くあります。それにも関わらず、
は冷静な対処が出来るでしょうか。
有志を引き受けてくれる学生たちに感
「いつか」
「起こるかも知れない」大
激するとともに、学生の学年の垣根を
規模災害への備えを改めて意識させ
越えた縦のつながりを感じました。
てくれた体験となりました。(西川
幸)
力的に参加して下さっていたようですが、顔を合わせたことはこれまでなかったよう
せていただきます。
毎年このパーティは、学生の有志が中心となって企画運営しています。学部
(片田 栄里)
多元数理科学棟玄関にて
一斉避難訓練中
多 元 数 理 科 学 研 究 科 よ り
Vol.30
2015. DEC.
入試情報
名古屋大学大学院多元数理科学研究科
前期課程(第2次募集)
後期課程(冬期募集)
就職進学説明会
10/21
数理学科・多元数理科学研究科の学生を
2016年2月4日㊍
対象に、卒業・修了後の進路を考える際の参
2016年2月5日㊎
しました。就職、進学を問わず、おもにこれか
冬の花「柊」の花言葉に「用心深さ」があります。今年を振り返ると、楽観できない出来事も多くありました。事件事故に遭遇しないよ
う過ごすには個々の用心深さが大切かもしれませんね。願わくば、用心深さを忘れずかつ希望的に新年を過ごしたいものです。さ
考となるよう、進路全般に関する説明会を実施
て、今号では、国際コンファレンスやヤンゴン大学訪問、秋入学生の紹介など国際的な話題をたくさんお届けします。
ら準備をはじめる学生向けに、多元数理科学
願書受付期間
研究科の就職委員長や名古屋大学学生相談
2016年1月4日㊊〜2016年1月18日㊊(1月15日㊎を除く)
◎お問い合わせ先/名古屋大学大学院多元数理科学研究科
TEL:052-789-2833 FAX:052-789-5397 E-mail:[email protected]
総合センター就職相談部門のキャリアカウンセ
就職進学説明会・体験談講演風景
ラーが講演を行いました。教員の講演のほか、
今年実際に就職活動・大学院入試・教員採用試験を経験した学生らによる体
験談が話されました。
進路の情報は多元数理科学棟の2 階の”
進路情報室”
で閲覧することができ
ます。ぜひご利用ください。
平成27年度
(片田 栄里)
名古屋大学数学公開講座
第15回 名古屋国際数学コンファレンス
「Zeta Functions of Several Variables and Applications」
フランスCNRSとの共同研究 2015年11月9日〜2015年11月13日/多309講義室
今回第 15回を迎えたこのコンファレンスは2001 年の第 1回を皮切りに毎年違ったテーマで開催
されています。今年はメインテーマを「Zeta Functions of Several Variables and Applications
今 年も「 数 学 公 開 講 座 」が 1 0 月 1 0 日
数理学科説明会
(土)
、10月24日
(土)
、10月31日
(土)
に開催
されました。アンケート調査では「非常に難し
かった」
との感想が多かったのですが、その
11/4
理学部では 2 年進級時に各学科に分属さ
難しさが数学の面白さに通じているのでしょう
れ、専門的な科目を学びます。1 年生は12月ま
か、
「数学に対する視野を広げることができた」
でに行われる各学科の説明会に参加し、分属
「数学の面白さがわかった」
とお答えいただい
の希望を決定します。数理学科は11月5日に
た方も多く見られました。
学科説明会を行い、教務委員長により、進級後
毎年の開講を楽しみにしているとお話し下
の具体的なカリキュラムや学習環境などが説明
さった社会人の方もおいでになり、夏・秋の恒
懇親会風景
されました。また、卒業後の進路については、
例行事として定着している様子が窺えます。
愛知県が主催する「知の探究講座」
として参加している高校生は、講義の
後に11月21日
(土)
に開催された「講座別発表会」の発表練習を行い、TA 講
師からの熱心な指導をうけていました。
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科
(西川 幸)
(フランスCNRSとの共同研究)」
とし、11月9日から11月13日までの間行われました。
道のりも楽しみが盛りだくさんでした。犬山城では急な階段を上り、天守閣まで上りました。当日は
天気にも恵まれ、そこから名古屋駅のビル群を臨むことができました。またお城の中では犬山と犬
山城主たちの歴史等を学ぶことができました。ひとしきりお城を楽しんだ後は、如庵で有名な有楽
今回も国内外から約 90 人の研究者(海外からはフランス、ポーランド、アメリカ、イギリスから8
苑を訪れました。ここには重要文化財である旧正倉院書院があり、参加者全員で呈茶体験をしま
名)が参加し、日本人講演者 19 名、外国人講演者 7 名(名古屋大学に留学中の学生も含む)が
した。庭園を見ながらお茶とお菓子を味わい、和の雰囲気を堪能しました。数学だけでなくこう
講演を行いました。会場の受付からは参加者の方々が興味深げに聴き入る姿を垣間見ることが
いったイベントを通じた交流があると外部からの方達もいろいろと楽しむことができて良い、と門田
できました。講演が終わると尊敬のこもった拍手の後、質疑応答の時間には真剣な受け答えが交
さんは締めくくりました。
わされ、その中で笑いが起こる和やかなシーンもありました。ブレイク中にはラウンジに貼りだされた
自国外もしくは他県で行われるコンファレンスに参加する時、一番の目的は研究のための情報収
ポスターセッションの前で、コーヒーやお菓子を手に和気あいあいと意見交換をする姿も多く見ら
集や学術的な交流ではありますが、離れた土地を訪れる貴重な機会の一つでもあります。開催国
れました。このポスターセッションは講演とは別の発表の場となっており、今回は12 名の方からの
としては異文化理解を促進するような企画を楽しんでいただくのも大切なつとめであると思います。
研究報告が寄せられました。
国内外問わず、ベテランの教授陣から若手研究者まで多くの方々が集まる国際コンファレンス。
10日には学内のレストラン「花の木」においてバンケットが催され、60 名近い参加者を集めまし
講演中の集中した空気からは研究への思い入れが伝わってきます。事務職員としても、こうした
教務委員長の説明に加え、現在数理学科の4
た。会場ではかわいらしい花火柄の浴衣に身を包んだゴータミ・ボウミック先生(合多美望美久、
研究集会のバックアップをするのはとてもやりがいのある仕事です。今後もより一層、参加者の
年生が就職・教職・進学それぞれについての体験を講演しました。
フランス、リール大学より参加)の華やかな姿が目を引きました。浴衣に合わせて髪を飾っていたの
方々が発表、交流しやすく過ごしやすい環境を作る努力をして行きたいと思います。 (内藤 愛)
説明会後には教員と在学生と直接ふれあう機会として懇親会の時間を設け、
お菓子を食べながら和やかな雰囲気のなか歓談しました。
(片田 栄里)
は、オーガナイザーの松本先生から贈られた
髪飾りでした。
また12日にはエクスカーションとして犬山城
へのショートトリップが企画されました。参加し
た名古屋大学大学院多元数理科学研究科
D1の門田慎也さんにインタビューしたところ、
教 育 研 究 支 援 室 よ り
楽しかった様子を聞くことができました。参加
者は15 名のグループで、犬山の駅から犬山
早めに旅行の計画を立てるのが好きです。早く計画すれば、旅行が始まるま
通りに上手くいけばもちろん嬉しいです。でも、上手く行かなくても、そもそも旅
での間、色々考えを巡らせて楽しむことができるからです。ガイドブックを買って
に不測の事態はつきものなので、深刻なアクシデントはもちろんいただけません
それを読むことから始まり、あそこではここに行こう、このルートで回ろう、と頭の
が、それ以外であればそれも経験、と楽しもうと頭を切り替えます。というより、
中で色々妄想?を楽しんだり、旅先で着る服など、それを口実に買おうかどうか
頭を切り替えるトレーニングをする機会だと捉えるようにしています。上手くいって
逡巡することすら楽しめたりします。私の場合、旅行に出るまでの準備期間が
もよし、上手くいかなくてもよし、そんな風に旅をまとめられた時、やはり私は嬉し
楽しくて、旅行を計画していると言っても過言ではありません。元々逆算するの
くて妙な達成感で満たされるのです。
(神田 美幸)
が好きなので、私の旅の計画は逆算に似ているかもしれません。そして、計画
編集後記
Newsletter vol.26 でマラソンを始めたことを書かせていただいたのですが、
今年はリレーマラソンに一度出場したきりになってしまいました。その代わりと言う
わけではありませんが、この秋からヨガに通い始めました。日頃は何かと人目が
名古屋大学 大学院多元数理科学研究科
〒 464-8602 名古屋市千種区不老町
TEL(052)789-2833 FAX(052)789-5397
気になったり、自制しがちですが、ホットヨガで汗ダクダクでヘロヘロになると周り
なんて気にする余裕もなくなり自然とマイペースになります。くさくさすることが多
く、心のなかのコップのお水が揺れまくっていたのですが、ヨガでゆったり体を動
かすことで気持ちが落ち着き、幾分か心がすっきりしたように思います。来年
は、心だけでなく体もスッキリして、だるま体型から脱却したいものです。ちなみ
に、過去のコラムをご覧になりたい場合は、バックナンバーを多元数理科学研究
科のWebページで確認できます。
(片田 栄里)
企画編集
教育研究支援室
城まで続く城下町を歩きながら五平餅を食べ
たり昔ながらの街並を鑑賞したり、お城までの
コンファレンス集合写真
ヤンゴン大学数学科との部局間学術交流覚書
2013 年 6月の名古屋大学同窓会ミャンマー支部設立時に、Kyi Kyi Aung 氏(昭和 49 年 3月
理学研究科数学専攻前期課程修了、元ヤンゴン大学数学科長)のご尽力により、当研究科の元
研究科長とヤンゴン大学の当時の数学科長が、ヤンゴンで会ったことを契機に、ヤンゴン大学数
学科との学術交流覚書締結の第一歩が踏み出されました。2014 年 6月、ヤンゴン大学の学長
Dr. Aung Thu(専門:数学)が名大を訪問された折りに多元数理科学研究科にもお招きし、関
係者を交えて将来の学術交流について懇談を持ちました。2015 年 11月にはヤンゴン大学数学
科長 Win Kyi 氏等を招聘して、具体的に協定の内容を検討し、双方で調整した結果、12月8日
にヤンゴン大学で学術交流協定の調印式を執り行うことになりました。
調印式当日は、学長 Dr. Pho Kaung の挨拶に続き、多元数理科学研究科長、ヤンゴン大学
数学科長それぞれからの覚書調印を歓迎するスピーチの後、双方が学術交流覚書に署名しまし
た。署名後、早速具体的な学生の交流、集中講義の実施などについて情報交換が行われ、学
術交流実践に向けて始動しました。
わずか 3日間のミャンマー滞在でしたが、
人々の穏やかさと、親しみのこもった言葉やお
もてなしに幾度も胸が熱くなりました。また、
調印式に先立って開催されていた研究集会
では、思いがけず懐かしい方々との感動的な
再会もあり、希望と可能性に満ちたミャンマー
の地で有意義な経験をできたことに、覚えた
てのこの言葉を心から捧げます。チェズー
ティンパーデェ! (小崎 和子)
尽きない探究心で会場が一体に
盛り上がるポスターセッション談義
初めての外国生活から沢山のことを学んで
—秋季卒業式—
9月28日に豊田講堂ホールにて、名古屋大学の秋季卒業式が執り行われました。多元数理科
学研究科からは中国政府国家公派研究生項目事業による留学生として清華大学出身の劉裕さん
が、目出度く博士(数理学)号を取得し、秋季卒業式に出席しました。劉さんは一旦中国へ帰国し
た後、2015年12月からはスウェーデンのUppsala大学の研究員に就任しました。
帰国前に、一生懸命準備してくれた日本語で、支援室メンバーへのお礼の気持ちを伝えようと
してくれた劉さんの姿を、良い思い出としてしっかりと瞼に焼き付けておきたいと思います。
劉さんからいただいたメッセージを紹介します。
2011 年 10月に初めて名古屋へ来た時には、胸躍る思いとともに不安もいっぱいでした。4 年
後、日本を離れるときにはまるで自分の故郷を離れ
るような思いを抱きました。様々な国から来ていた多
くの友人たちと知り合ったこと、また、困難に遭遇し
た時に私を助けてくれた沢山の人たちに出会ったこ
とで、数学だけでなく、多くのことを学びました。特
に指導教員からは真の研究者とはどうあるべきかを
学びました。名古屋大学での経験は、将来困難に
ぶつかったとき、間違いなくそれを克服する力となる
ことでしょう。
(原文 英語)
(小崎 和子)
これまでに発行された Newsletter のバックナンバーが多元数理科学研究科ホームページから PDF ファイルにてダウンロードいただけます。
Newsletter バックナンバー http://www.math.nagoya-u.ac.jp/ja/archive/newsletter/
松尾総長から学位記を受け取る劉裕さん