決議文はこちら - 日本エネルギー会議

2014 年 6 月 5 日
内閣総理大臣
安倍晋三
殿
一般社団法人
原子力国民会議
========== 決議文 ==========
原子力発電所の安全確保と利用、経済の再生 並びに福島の復興に向けた要望
福島第一原子力発電所の事故後3年が経過するにもかかわらず、被災地の本格的な復興
は緒についておらず、避難生活を余儀なくされている住民の方々のご苦労を思うと心が痛
みます。また、廃炉問題や汚染水対策問題も、担当する組織づくりなど少しずつ進展の兆
しが見えていますが、本格的解決には未だほど遠いといえます。さらに国内全般を俯瞰す
ると、原子力発電所の再稼働も期待される状況には至っていません。
この結果、老朽化した火力発電設備による綱渡り的な電力供給や化石燃料の輸入増加に
よる数兆円規模の国富の流出、電気料金値上げによる国民生活及び事業経営への圧迫、こ
れまで国のエネルギー政策に貢献してきた原子力関連施設立地地域の経済問題、地球環境
問題の解決の先延ばしなど、エネルギー供給基盤の混迷が我が国の経済再生の足かせとな
っています。
閣議決定された “エネルギー基本計画” では、原子力は「重要なベースロード電源」と
位置付けられました。原子力の再興は、まさに日本経済の再生とそれを堅固たるものにす
る最良の方策となるものです。
私達は “原子力国民会議” を立ち上げ、立地地域と消費地域の商工団体関係者、労働団
体、NPO 活動を展開している一般市民、および学識経験者などと手を携えて、原子力の
正常化に貢献したいと願う者の集団です。そのため、全国 4 か所および国際協調の端緒と
なる台湾で集会を開催することとしました。この集会では、参加団体より提起された様々
な意見を踏まえ、以下の事項を内閣総理大臣に要望致します。
1. 我が国の経済再生と国民負担軽減のため、原子力発電所の安全確保と利用、および
実効性のあるエネルギー政策の推進を要望します。
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(1) 我が国の英知を結集し原子力発電所の安全を十分に確認した上で、その早期再稼
働を迅速に進めるため、国会は与えられた役割を発揮して適合性審査の迅速化に
努め、政府は審査に合格した原子力発電所の稼動に向け前面に立って地域住民の
理解と支持の獲得に最善の努力を尽くす。
(2) 原子力発電所の運転再開に応じて電気料金の値下げを早期に実現させる。
(3) 建設中の原子力施設も速やかに完成させ、電力の供給体制を万全なものにする。
(4) 原子炉等規制法に新たに盛りこまれた原子炉の供用期間を 40 年に制限する条文
は、原子力の先進国である米国で多数の原子力発電所が 60 年まで寿命延長され
ている実情と整合性が取れないので、撤廃する。
(5) 資源節約と燃料増殖に繋がる核燃料サイクルを堅実に推進する。とりわけ、再処
理施設の早期運転開始を目指した適合性審査を促進させ、高レベル放射性廃棄物
の最終処分場の立地を確定させるため、政府が政治的指導力を発揮する。
(6) 原子力発電所における使用済燃料の貯蔵安全性を向上させ、かつ核燃料サイクル
の柔軟性を確保するため、早期に出来る限り乾式貯蔵方式に移行させる。
(7) 国際的にも有意義な日本経済の弾力的再生を実現するため、資源に乏しい我が国
の実態を踏まえ、原子力を含めたエネルギー供給のベストミックスを追求する。
2. 福島の復興に向けて、地域社会とその経済基盤を再構築し、より積極的な地域振興
策を施すことを要望します。
(1) 先進的な研究開発機関の誘致のみならず関連産業の育成をはかり、立地地域の経
済再生と雇用の確保に全力を挙げて取り組む。特に、チェルノブイリ事故後の新
都市建設なども参考に、革新的な復興策を検討する。
(2) 風評被害に対処するため、適切な汚染水対策や除染を進めると同時に、国立の関
係施設で福島産品を採用するなど、福島産品の流通促進に全力を挙げて取り組む。
併せて、風評被害につながる放射線に関する誤解や不安を払拭するため、国民の
正しい理解を促進する活動に全力を挙げて取り組む。
これらを実現するために、貴内閣総理大臣閣下が指導力を発揮されることを切に要望
致します。
以上
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